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津波避難「要配慮者」対応に課題 到達時間に間に合わず/資機材不足 静岡県内各地で訓練

 静岡県の津波対策推進旬間(2~11日)に合わせた津波避難訓練が10日、沿岸市町で行われた。12市町で約2万6千人が参加し、夜間の発災想定や避難所要時間の計測などの訓練を繰り広げた。津波到達時間までに避難が間に合わなかったり、高齢者が多い地域で要配慮者の避難に必要な資機材の不足が判明したりするなど、各地で課題が浮き彫りになった。

事前に詳細な時間を告知せず実施した訓練で、津波避難タワーに上る住民=10日午前、西伊豆町仁科
事前に詳細な時間を告知せず実施した訓練で、津波避難タワーに上る住民=10日午前、西伊豆町仁科
防災委員の手を借りて屋上に避難する名倉ちづこさん(左)=10日午前、浜松市中央区舞阪町
防災委員の手を借りて屋上に避難する名倉ちづこさん(左)=10日午前、浜松市中央区舞阪町
夜間の津波避難訓練に励む住民=9日午後、磐田市豊浜の豊浜小
夜間の津波避難訓練に励む住民=9日午後、磐田市豊浜の豊浜小
事前に詳細な時間を告知せず実施した訓練で、津波避難タワーに上る住民=10日午前、西伊豆町仁科
防災委員の手を借りて屋上に避難する名倉ちづこさん(左)=10日午前、浜松市中央区舞阪町
夜間の津波避難訓練に励む住民=9日午後、磐田市豊浜の豊浜小

 西伊豆町仁科の沢田地区。午前7時50分、地震発生と津波警報を知らせる同報無線が鳴り響いた。町は事前に詳細な訓練時間を告知せずに訓練を実施。約40人が放送や町からのメールを合図に地区内4カ所の津波避難タワーなどに向かった。津波到達予想時間は5分。近くのタワーに逃げた鈴木宮子さん(82)は到着が目標よりも2分ほど遅れた。「階段を上って息が上がり、思ったよりも時間がかかった」と振り返った。
 区長の大津宜樹さん(69)は「海が近く、高齢者が多い地域なので少しでも早く避難を始めたい。参加率が1割程度だったため、防災意識を高める必要がある」と気を引き締めた。
 浜松市中央区舞阪町の長池自主防災隊は、津波避難タワーや老人ホームの屋上など地区内3カ所を避難場所に指定し、117人が経路や所要時間を確認した。家族と一緒に避難した名倉ちづこさん(90)は、防災委員の付き添いで階段を上り「足腰が弱いので助かった」と胸をなで下ろした。息子の宏明さん(55)は「良いシミュレーションになった。あらためて母と避難方法を確認したい」と話した。訓練後の会合では防災委員から「要配慮者を運ぶリヤカーなどが不足している」などの指摘が上がった。
 磐田市は夜間の地震を想定し、9日夜に訓練を展開した。福田地区では豊浜小に約100人が避難した。住民らは自宅からの道のりを確認しながら、懐中電灯などの明かりを頼りに高さ11・3メートルの屋上に速やかに集まった。市危機管理課によると、豊浜小周辺では、太田川を遡上(そじょう)した津波が堤防を越水する可能性がある。草地博昭市長は「津波避難場所に、災害備蓄品を保管することを検討したい」と述べた。
 11日までに21市町で約13万4千人が参加する予定。

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