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南海トラフ防災基本計画 5月 改定議論再開へ

 南海トラフ巨大地震の防災基本計画改定に向けた政府の作業部会が、5月に議論を再開することが21日、関係者への取材で分かった。今春の計画改定を予定していたが、能登半島地震への対応で作業が中断していた。今回の対応の教訓も反映させるため、秋以降になる公算が大きい。

南海トラフ地震対策の経過
南海トラフ地震対策の経過

 政府は2011年の東日本大震災を踏まえ、巨大地震対策の見直しに着手。南海トラフ地震については、12年に「最大32万3千人が死亡する」との被害想定を公表した。14年には、10年間で死者を8割減らすなどの「減災目標」を盛り込んだ基本計画を策定した。
 計画の期限は23年度末で、昨年から有識者らの作業部会が、被害想定の見直しを進めていた。津波避難タワーの整備など、この10年間の防災対策で死者数をどの程度減らせるのかが焦点。政府は想定を基に、新たな目標を盛り込んだ計画改定を目指していた。
 しかし、元日の能登半島地震で関係者が対応に追われ、予定されていた作業部会はすべて中止に。松村祥史防災担当相は2月に「今回の地震で得られた教訓や知見も議論の対象とすべきだ」として、改定時期を遅らせる方針を明らかにした。
 政府は、能登半島地震を踏まえた防災対策の課題を洗い出す有識者会議を立ち上げる方針。古い住宅の耐震化や孤立集落など検討は数カ月程度続く見通しで、南海トラフ地震の基本計画に反映させるまでには、一定の時間がかかりそうだ。
 最大27メートルの津波が予想される三重県の担当者は政府の方針に理解を示しつつ「防災対策事業に向けた県の予算編成にも影響するので、スケジュールをしっかりと示してほしい」と要望する。

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