防災対策の記事一覧
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取り壊される保育園で消防実践訓練 伊豆の国・田方中署 建物内部の把握「瞬時に」
伊豆の国市の駿東伊豆消防本部田方中署は26日、近く取り壊される予定の同市の旧長岡保育園で実践的な訓練を行った。署員13人が建物内部の全容を分かっていない状況で、救助活動に取り組んだ。 建物を飲食店と見立て、2階から出火して2人が逃げ遅れたと想定。はしごを使って2階のベランダで助けを求める1人を救った。意識不明の重体で倒れた人と見立てた人形も地上に降ろし、担架で運んだ。 取り壊しを前に、市が訓練場所として準備した。同署の遠藤知広消防司令(59)は「瞬時に建物内を把握しなければならないため有意義な訓練だった」と振り返った。
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雑居ビルで火災、1人けが 静岡・葵区の繁華街
26日午前6時半ごろ、静岡市葵区常磐町1丁目の雑居ビルの飲食店関係者から「1階の厨房(ちゅうぼう)の天ぷら油から火が出た」と119番通報があった。市消防局が消火活動を行った。 消防によると、1人が手にやけどを負って救急搬送された。現場はJR静岡駅から西に約500メートルの繁華街。辺りには煙が立ちこめ、現場は騒然とした。
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子どもの防災教育普及へ体験・説明会 浜松・中央区
NPO法人「減災教育普及協会」(横浜市)が全国展開する子ども向け地域防災教育プログラム「こどもユレタキャラバン」を浜松市内に普及し、子どもの死者ゼロを目指そうと、同NPO浜松支部のイベント企画・運営会社「誠和企画」(中央区)は26日、教育関係者や企業担当者を対象にした体験・説明会を同区の市市民協働センターで開いた。約30人が参加し、講話やプログラムの体験を通じて防災意識を高めた。 予想される被害をイメージした上で地震の揺れを体験し、危険から命を守る力を身につけてもらうプログラムで、地域の企業や団体の協賛を受け、保育園や幼稚園、小学校は無料で開催できる。賛同企業やボランティアを募り、教育関係
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台風、地震複合想定 受援体制など確認 緊消隊関東ブロック 静岡県内で図上訓練
緊急消防援助隊関東ブロック合同訓練(総務省消防庁、県実行委主催)の図上訓練が25日、静岡県庁や県東部の各消防本部で行われた。風水害と地震の複合災害を想定。能登半島地震を踏まえて関係者が受援体制や部隊展開手順を確認した。情報の集約や関係機関との共有などが課題に挙がった。 台風による浸水害や土砂災害で各消防本部が災害対応している中、伊豆大島近海でマグニチュード(M)6・7の地震が発生したとの想定で実施。津波や建物倒壊、大規模火災など各地で甚大な被害が出ている状況への対応に取り組んだ。ヘリコプターによる偵察に加え、各消防本部が119番などの通報内容から地域の被害状況の把握に努めた。県は緊急消防援
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榛原総合病院が停電から復旧 13時間空調使えず、手術にも影響 コンデンサーの不具合原因か
牧之原市細江の榛原総合病院は24日、前日朝から続いた停電が全館で復旧したと発表した。外来や救急患者の受け入れ、手術を通常通り行った。 入院患者のいない東館を除き23日午後11時55分ごろまでに通電が回復、東館も24日午後2時に復旧した。 同病院によると、23日午前6時55分ごろから断続的に停電し、外来患者の約半数の診療を断ったほか、救急患者の受け入れや手術を中止した。空調設備が最長計13時間使用できず、院内は最高で31度に達した。 森田信敏院長は24日に記者会見し「患者に不快な思いをさせ申し訳ない」と陳謝した。熱中症などの健康被害を受けた患者は確認されていないという。 同病院は電気を
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脱炭素や災害対策 地域活性化で協定 小山町とカクイチ
小山町は24日、ガレージや倉庫の製造販売などを手がけるカクイチ(本部・東京都)とゼロカーボンシティの実現や災害に強いまちづくり、地域活性化に関する包括連携協定を結んだ。 同社は樹脂ホースの製造販売や太陽光発電、飲料水、農業支援など幅広い事業を展開し、同町でガレージ宿泊施設の計画も進めている。協定では町と双方の資源を有効活用し、エネルギーの地産地消や防災機能の強化、自然資源の保全、地域活性化などについて協力して推進するとした。 町役場で開かれた締結式で込山正秀町長は「脱炭素に向けた町のロードマップ作成へ指導いただきたい」と期待した。田中離有社長は「町民、県民にとって良い場所を作り上げたい」
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自衛官に人命救助術学ぶ 担架作りなど体験 湖西・新居高定時制
湖西市の新居高はこのほど、定時制課程の生徒を対象にした自衛隊による防災講座を同校で開いた。自衛隊静岡地方協力本部浜松出張所の自衛官7人が来校し、災害発生時の人命救助に役立つ技術を伝授した。 生徒約40人がグループに分かれ、物干しざおと毛布を使って担架を作る方法や、三角巾を使ったけがの手当ての方法などを体験した。体験に先立つ講話では、自衛官が阪神淡路大震災や東日本大震災などでの自衛隊の活動を紹介。災害発生後、生存率が大幅に下がる「72時間の壁」を解説し、自衛隊が駆けつけるまで自助や共助で命を守る重要性を伝えた。 防災講座は、同本部が本年度から静岡県内の高校を対象に実施している。
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「雨庭」普及へ 水害対策として グリーンインフラ推進 駿豆地区商工懇話会
静岡県東部・伊豆の経済団体で構成する駿豆地区商工振興懇話会(会長・紅野正裕沼津商工会議所会頭)は24日、定例会を三島市の三島商工会議所で開き、近年増加する水害対策として同市内の事業所が導入した「雨庭」の普及を図ることで一致した。穴を掘って雨水を緩やかに地中に浸透させる手法で、県東部・伊豆の事業所への普及を目指す。 紅野会長が2月の定例会で、人手不足や防災対策をはじめ共通の課題が地域に山積しているとして、単独ではなく連携して解決へ臨む方針を示していた。喫緊の課題に水害対策を挙げ、三島商議所のグリーンインフラ整備推進特別委員会による雨庭の設置を促すことにした。 昨年度設置した雨庭は縦3・6メ
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海外の災害時ケア学ぶ 静岡県立大でオンライン講義
静岡県立大は23日、大学間交流協定を結ぶタイのコンケン大、米オレゴン健康科学大と県立大草薙キャンパス(静岡市駿河区)をオンラインでつなぎ、合同講義を行った。同科学大のルース・タデッセ講師が「災害とメンタルヘルス」をテーマに講義した。 同キャンパスでは県立大の看護学部生や教職員ら約140人が聴講した。タデッセ氏は各国の災害の種類や、災害時に子どもや高齢者、障害者などの要配慮者が体調に影響が出やすいことを学生に質問しながら確認した。睡眠障害や記憶力低下など、症状は個人によって異なるとし、心のケアの重要性を説いた。猛暑の際、高齢者に対して看護師はどんな支援ができるかを学生同士で考え、話し合う時間
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伊豆山復興 新たな一歩 8月、初の「フェス」 イベント通じつながり創出 NPO企画【熱海土石流】
2021年7月に熱海市伊豆山で発生した大規模土石流の被災者支援に取り組むNPO法人テンカラセン(高橋一美代表)は8月、初の復興支援イベント「あいぞめフェスティバル」を伊豆山地区で開く。音楽や健康、食を題材にした催しを通じ、住民同士や住民と観光客のつながりの創出を図る。発災から3年が経過し、少しずつ歩を進める地区の復興を後押しする。 28人の犠牲者を出した惨事の悲しみは今も癒えず、市と静岡県が被災地で進める復旧復興事業は道半ばの状態が続く。それでも今年4月の伊豆山神社例大祭で、新型コロナウイルス禍や土石流発生の影響で自粛していた全4基の地元神輿(みこし)による練り歩きが復活するなど、一部で
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葬祭用品供給協力 松崎町と災害協定 静岡県葬祭業協組
松崎町はこのほど、災害時における葬祭用品供給などの協力に関する協定を、静岡県内葬祭業者で構成する県葬祭業協同組合と結んだ。地震などの大規模災害によって町内で多数の死者が発生した際、同組合が棺などの提供や遺体の搬送を支援する内容。 同組合は葬祭業務に取り組む人員の確保や遺体安置施設の提供も行い、緊急時の協力態勢を構築する。締結式が町環境改善センターで行われ、深沢準弥町長と熊沢正樹理事長が協定書に調印した。
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津波避難施設 全国550 内閣府調査 静岡県140で最多
巨大地震発生時に地域住民らが津波から緊急的に逃げ込むため、全国の自治体が設置した津波避難施設の数が昨年4月時点で550になったことが22日、内閣府の調査で分かった。前回調査(2021年時点)の502から1割増加した。高台などが近くになく、避難が難しい地域の解消を目指す動きが加速している。 550の内訳は、津波避難タワーが431基、「命山」などと呼ばれる盛り土が73カ所、人工地盤が43カ所、避難シェルターが3カ所。 都道府県別では、南海トラフ巨大地震で被害を受けると想定される静岡県が140と最多で、高知県123、三重県38、和歌山県37と続いた。 日本海溝・千島海溝の巨大地震対策の一環で
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給湯器転倒、温水使えず 水道復旧後も続く不便、能登地震
能登半島地震では、ヒートポンプ式給湯器「エコキュート」や電気温水器の貯湯タンクが倒れる被害が相次ぎ、水道が復旧しても、多くの世帯でお湯が使えない生活を余儀なくされた。構造的に倒れる恐れが高い上、設置時期が古く国の基準を満たさないケースもあるとみられる。国民生活センターは「倒れるリスクを踏まえた上で、まずは設置説明書通りに施工されているか確認を」と呼びかけている。 石川県輪島市の温泉施設「輪島カブーレ」では、地震から半年が過ぎた7月も、1日約200人が無料の入浴支援を利用する。 近くの会社員吉浦虎峰さん(26)は、自宅室内に設置していたエコキュートが倒れた。すぐ業者に修理を依頼したが、見積
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富士山の噴火警報想定 住民 避難行動確認 富士市
富士山の噴火警報発表を想定した静岡県などの情報伝達訓練が19日、富士市の勢子辻地区で行われた。市内で唯一、火口ができる可能性がある「第1次避難対象エリア」に指定されている同地区住民が初めて参加し、噴火の被害から逃れるための行動を確認した。 市は今年、富士山の噴火に備える火山避難計画を改定した。溶岩流や噴石の影響を受ける範囲などが見直され、同地区の噴火前避難先はこれまでより近い新環境クリーンセンターになった。 同地区は平均年齢72歳となる12世帯24人が暮らし、災害時の要支援者もいる。火口周辺の噴火警報が伝達された訓練では、自主防災会の役員らが各戸を回って住民を公会堂に集め、車に乗り合わせ
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安全な避難経路は? ハザードマップで防災学習 静岡・足久保小
静岡市葵区の足久保小4年生22人はこのほど、洪水や土砂崩れから身を守るため、ハザードマップを活用した「命を守る防災授業」に取り組んだ。国土交通省静岡河川事務所の職員を講師に招き、早期避難と危険区域確認の重要性を学んだ。 6月の大雨で足久保川の氾濫危険水位超過に伴う避難指示が学区に出されたことを受け、同小で初めて実施した。児童はハザードマップで自身の家や学校の浸水深を調べ、小学5年生の平均身長や天井の高さなどを実際の大きさで書いた紙を使って、浸水時にどの程度の高さまで水が来るかを確認した。避難経路に危険な箇所はないかをマップを見ながら話し合い、最適な避難経路を探した。 岩崎暁人さん(9)は
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津波避難訓練 観光客の訓練参加 来夏までに開始を 伊豆市長
伊豆市の菊地豊市長は19日の定例記者会見で、津波避難タワー「テラッセオレンジトイ」などでの津波避難訓練について「住民の参加率を可能な限り100%に近づけた上で、観光客にも参加してもらう必要がある」との認識を示した。 6月下旬に同タワーで実施した訓練については「200人が参加し、ほぼ全員が6分以内に避難できたので良い訓練だった」と振り返った。土肥海水浴場のオープンで夏場には大勢の観光客が訪れることから「旅館と協力し、観光客や海水浴客にも参加してもらうリアルな訓練を来夏までに始めたい」と述べた。 市によると、6月下旬の訓練では参加者の9割以上が、津波が到達するとされる地震発生から6分以内に浸
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静岡・愛知・愛媛 子育て支援団体 静岡県境越え連携 災害時に相互協力、平時も
静岡、愛知、愛媛各県の子育て支援団体が18日、災害時の相互協力に関する協定を結んだ。大規模災害が起きた際に子育て家庭の支援ニーズを共有したり、必要な物資を調達したりする。平時から防災活動などで協力し、県境を越えたネットワークを強化する。 協定を結んだのは、静岡県内34の子育て支援団体でつくる「しずおか子育て防災ネットワーク」、名古屋市に拠点を置く「こども女性ネット東海」、愛媛県宇和島市の「NPO法人うわじまグランマ」の3団体。能登半島地震の被災地支援などを通じ、子育て世代特有のニーズを知る団体同士の連携の機運が高まったという。 静岡県庁で締結式を行い、3団体の代表者が協定書に署名した。
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掛川で土砂崩れ 夜明け前の大雨の影響 けが人なし
16日午前4時半ごろ、掛川市千羽の男性(74)宅の裏にある山が崩れ、自宅間際まで土砂が迫った。排水路が土砂で埋まり、自宅の土間に水が流れ込んだ。男性を含む住人3人にけがはなかった。 男性によると、同日午前4時ごろに強い雨音で目を覚ました。「ガサゴソ」という土砂の草が壁に当たる音が聞こえ、裏山が崩れたことに気付いたという。裏山の斜面にひびが入っていたことから、約1年前からブルーシートで覆う対策を施していた。男性は「家の前で止まってよかった。梅雨末期、これで済めば良いが」と心配そうに土砂を見つめた。 市によると、近隣の住宅と同市上土方落合の寺院の敷地内でそれぞれ、同様の土砂崩れが発生した。市
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被災地の精神医療 指揮手法学ぶ 静岡で県災害派遣チーム研修会
大規模災害時に被災者らの心のケアに当たる静岡県災害派遣精神医療チーム「静岡DPAT」の研修会(県主催)が14日、県庁で始まった。15日までの2日間、同チームに協力する病院の精神科医や看護師ら計約70人が受講し、被災地での精神医療活動を指揮、調整する手法や関係機関との連携の在り方を学ぶ。 同チームは2017年に発足し、県内17病院が参加している。研修初日は能登半島地震の発災直後に現地に入った精神科医や作業療法士、看護師らがそれぞれの活動を報告した。 県立こころの医療センターの精神科医で静岡DPAT統括者の鈴木健一さん(46)は、石川県七尾市の公立能登総合病院に設けられたDPAT活動拠点本部
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【第4章】大震災の「悪夢」 家具の固定から再出発痛【いのち守る・防災しずおか 東海さん一家の防災日記 南海トラフ地震に備える 半割れ発生(後編)⑩完】
四国沖でマグニチュード(M)8.0の大地震が起き、気象庁が後発地震への警戒を呼びかける南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)を発表してから約1年半が経過した。津波浸水想定区域に住む要配慮者らに事前避難が呼びかけられた「地震発生から1週間」はとうに過ぎ、市民が自宅での通常生活に戻った中、「その日」は突然訪れた。 避難所が混み合い、車の中で過ごす時間が長くなっていた東海伊豆美さん(68)は、長く同じ姿勢でいると血の塊ができて血管に詰まるエコノミークラス症候群を発症し、意識を失った。 「しっかりしろ、伊豆美!」。ストレッチャー(車輪付きの担架)で病院内に運び込まれる伊豆美さんに、夫の駿河さん
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【提言・減災】避難の「決め手」検討を 阪本真由美/兵庫県立大大学院 減災復興政策研究科教授
愛媛県松山市で土砂災害が発生した。被害を受けた地域は土砂災害警戒区域ではあるものの、避難情報が発令されていないタイミングで被害が発生しており防災対策の難しさを感じる。豪雨により被害が発生する危険が高まった際に、市町村は避難情報を発令する。観測や解析技術の発達で予測精度が向上しているが、科学は万能ではなく、大雨が降り続き地盤が緩んでいる場合は注意が必要だ。 その一方で、避難情報が発令されているのに避難していない、という事例もある。なぜ、避難しない人がいるのだろうか。西日本豪雨後に広島市が行ったアンケートでは、災害時に「避難した理由」と「避難の決め手となった理由」を聞いた。結果はいずれも「雨
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伊豆半島沖地震50年シンポ 教訓や備え 南伊豆、住民ら確認
南伊豆町で30人が死亡した伊豆半島沖地震発生から50年の節目に当たり、静岡大と美しい伊豆創造センターは13日、防災に関するシンポジウムを町役場で開いた。同大の小山真人名誉教授ら3人が講演し、当時の被災状況を振り返った上で備えの重要性を説いた。 小山さんは被害の大きかった同町中木地区周辺の地滑りや倒壊した建物などの悲惨な状況を写真で紹介し、「教訓を後世に伝え、将来への備えを確認するべきだ」と強調した。同大防災総合センター長の北村晃寿さんと同特任教授の岩田孝仁さんも登壇し、能登半島地震から得られる教訓や南海トラフ地震への対策について説明した。 住民ら約100人が参加した。地震は1974年5月
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津波タワー「安心の観光拠点に」 複合施設、伊豆・土肥でオープン
伊豆市土肥の松原公園内に設置された全国初の観光機能を併せ持つ津波避難タワー「テラッセオレンジトイ」が12日、オープンした。「南海トラフ地震の死者ゼロ」へ向けて防災と観光を両立させ、「安心安全」を観光地への誘客ツールとして活用する。 式典には静岡県東部の首長や地元市議、国土交通省職員ら約150人が出席。菊地豊市長は「観光の拠点としつつ地元住民や観光客による避難訓練にも活用し、安心安全な土肥地区というのをアピールしたい」とあいさつした。土肥温泉旅館協同組合の野毛貴登代表理事は「99・9%が平時利用の施設で、観光客には地元の自然や風景、食べ物を楽しんでもらえる。海水浴客には万が一の時に利用して
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南海トラフで「断水1カ月以上」想定 静岡市が対策見直し
静岡市の難波喬司市長は12日の定例記者会見で、南海トラフ地震に伴い市内全域で1カ月以上の断水が発生する事態を想定し、対応策を見直していると明らかにした。静岡県の第4次被害想定では被災1週間後の上水道の断水率は県内全体で58%、1カ月後には7%としているが、難波市長は「想定が甘すぎる」と指摘した。 難波市長は、地震に伴う液状化被害で断水は広域に及び、復旧従事者も不足すると指摘した。水道管の耐震化を進めるとした一方、「液状化のように地形が大きく変形すると耐震化しても壊れる」との認識を示した。 一方、市が家庭や事業所に呼びかけている1週間分の飲料水(1人21リットル)の備蓄については「スペース
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食事、買い物できる津波避難タワー 伊豆・土肥にオープン 全国初の防災と観光両立施設
伊豆市土肥の松原公園内に設置された全国初の観光機能を併せ持つ津波避難タワー「テラッセオレンジトイ」が12日、オープンした。「南海トラフ地震の死者ゼロ」へ向けて防災と観光を両立させ、「安心安全」を観光地への誘客ツールとして活用する。 式典には県東部の首長や地元市議、国土交通省職員ら約150人が出席。菊地豊市長は「観光の拠点としつつ地元住民や観光客による避難訓練にも活用し、安心安全な土肥地区というのをアピールしたい」とあいさつした。土肥温泉旅館協同組合の野毛貴登代表理事は「99・9%が平時利用の施設で、観光客には地元の自然や風景、食べ物を楽しんでもらえる。海水浴客には万が一の時に利用してほしい
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「再稼働容認」2年連続優勢 浜岡原発近隣3市調査 慎重派増、能登地震影響か
中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)の再稼働の是非などを尋ねる市民意識調査で、掛川と菊川、牧之原の近隣3市の結果が10日、出そろった。全3市で「安全が確認できれば稼働した方がよい」と再稼働を容認する回答が「廃炉・停止」を上回った。3市とも容認が優勢になるのは2年連続。停止継続を求める慎重意見は各市で増加し、容認派との差が縮小した。1月の能登半島地震の発生に伴う不安の高まりが影響したとみられる。 掛川市が同日公表した調査結果は、容認が前年度と同水準の41・3%、廃炉・停止は前年度比0・7ポイント上昇の33・3%。10~30代の過半が再稼働を支持した。「どちらとも言えない」は前年度比2・1ポイント
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「盛り土へ水流入で土石流」 真相究明重視の新弁護団主張 熱海・伊豆山損賠訴訟で併合後初の公開審理 被告側は反論方針
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、遺族と被災者が盛り土の現旧土地所有者らと静岡県、市に損害賠償を求めた訴訟の併合後、初の公開審理となる口頭弁論が10日、静岡地裁沼津支部(寺本昌広裁判長)であった。原告の新弁護団は隣接流域の乱開発や不十分な管理によって、盛り土のあった逢初川に表流水が流れ込んで土石流が発生したと主張した。被告側の現旧所有者や県、市は次回期日の9月4日までに反論する方針で、この日は具体的な主張はしなかった。 原告側は早期和解と真相究明をそれぞれ重視する二つの弁護団に分かれていて、10日は真相究明を重視する新弁護団が口頭弁論に臨んだ。土石流発生には盛り土と同量以上の水が必要だった
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観光×防災タワーが住民向けプレオープン 地場産品直売所やカフェ充実 伊豆市
伊豆市土肥の松原公園内に設置された全国初の観光機能を併せ持つ津波避難タワー「テラッセオレンジトイ」が10日、地元住民を対象にプレオープンした。来場者は平常時は観光施設となるタワーを、買い物や食事、遊びなどの思い思いの楽しみ方で満喫した。 1階の地場産品直売所とカフェ、3階の食事処を一部商品に限るなどして営業し、来場者で朝からにぎわった。階段を使って4階の屋上まで上り、土肥海水浴場や土肥地区の街並みの景色を楽しむ住民もいた。子どもたちはタワーを見上げ、付近の新しい遊具で遊んだ。 子どもと一緒に訪れた飲食店経営和久田樹里さん(43)=同市土肥=は「いろんな種類の地場産品が多くてうれしい。観光
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災害時物資供給で協定 JAとぴあ浜松と遠州病院
浜松市中央区のJA静岡厚生連遠州病院とJAとぴあ浜松は8日、大規模災害発生時の物資供給に関する協定を結んだ。地震や大雨で物流が滞った際、JAとぴあが食材などを同病院に輸送する内容。 食材は野菜や穀物、肉類など多岐にわたり、集荷場などから輸送する。病院側の要請によってLPガスといった物資も提供する。約400人の入院患者や、医療従事者の食事の確保につなげる。 同区で調印式を行った。JAとぴあの渥美保広経営管理委員会長は「地域に根ざした組合として可能な限り食材や物資供給を支えたい」、大石強病院長は「生命維持のためには食が重要。協定は大変心強い」とそれぞれ話した。
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能登地震 「津波火災」18棟焼損 消火困難「対策の徹底を」
能登半島地震で津波が原因の「津波火災」が2件発生し、計18棟が焼損したとみられることが9日、日本火災学会などの調査で分かった。津波火災の発生は東日本大震災以来。今回、死傷者はなかったが、大量のがれきや海面の油で延焼すると消火が難しいとされる。専門家は「津波の規模によっては大きな被害となり得る。消火や避難の方法の検討など、あらためて対策を徹底すべきだ」と警鐘を鳴らす。 津波火災は、家屋や車が押し流されて集積し、燃料や可燃物に引火するなどして起こる。東日本大震災では火災の約4割に当たる159件が津波火災とみられる。 日本火災学会や消防庁によると、能登半島地震で津波が原因とみられる火災は、石川
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賀茂地域の災害対応検証 南海トラフ地震想定、静岡県が図上訓練 能登半島地震の教訓踏まえ
静岡県健康福祉部はこのほど、南海トラフ巨大地震を想定した防災訓練を県庁で実施した。道路の寸断が相次いだ能登半島地震の教訓を踏まえ、地理的特徴が似ている伊豆・賀茂地域の災害対応について図上訓練で検証した。 県内各地で震度6弱以上の揺れを観測し、沿岸部に津波が襲来したとの想定。県内市町や医療機関、高齢者施設なども参加し、有事の連携体制を確認した。 医療救護、障害者支援、感染症対策などのチームごとに賀茂地域の被害状況や対応策を確認し、課題を洗い出した。「救護病院が津波で浸水したため患者の受け入れが困難」「福祉施設から全県的に支援要請があった場合にトリアージ(優先度判定)をどうするかが課題」とい
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携帯トイレ備蓄 助成制度創設へ 藤枝市内の福祉、保育施設
藤枝市は本年度、大規模災害時の衛生対策を強化するため、市内の福祉、保育施設の携帯トイレの整備費に対する助成制度を創設する。北村正平市長が9日の市議会6月定例月議会一般質問で山本信行氏(公明党)に答えた。 施設を運営する各事業所などが策定した防災計画やBCP(事業継続計画)に、断水を想定したトイレ対策を盛り込むよう促す。計画に基づき対策に必要な携帯トイレや消毒剤、紙おむつといった対象の備蓄費用の半分を補助する予定。9月補正予算に関連費用を計上し、本年度中に助成を開始する。 市によると、市内の高齢者、障害者利用施設のうち、大規模災害に備えて携帯トイレを備蓄している施設は6割程度という。
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防災と町おこし 団体「絆」が講演会 13日 伊豆の国市
伊豆の国市三福で防災と町おこしに取り組む団体「絆」は13日午後7時から、防災講演会を同市の三福公民館で開く。「地域防災力の必要性」をテーマに、東日本大震災の際に被災地で活動した岩手県釜石市消防団の前川智克さんが講演する。現場経験を交え、災害時の心構えや防災対策などについて語る。定員100人で申し込み不要。問い合わせは同公民館<電0558(76)3410>へ。
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東日本大震災 避難の教訓 自分事に 釜石の防災学習施設職員が遠隔授業 静岡城北高
静岡市葵区の静岡城北高は5日、東日本大震災の教訓を伝える防災学習施設「いのちをつなぐ未来館」(岩手県釜石市)職員による遠隔授業を開いた。生徒719人が生々しい被災経験に耳を傾け、防災・減災へ意識を高めた。 中学2年で被災した同館職員の川崎杏樹さんが語り部として登壇し、震災当日の避難行動を振り返った。地震発生直後に、生徒が自主的に点呼を取り高所へ迅速に避難できた背景に、震災前から津波を想定した避難訓練の実施を挙げ、「遠い未来ではなく、今すぐ自分に災害が降りかかるかもしれない、という意識を持って」と強調した。 3年の鈴木優菜さん(17)は「日頃の防災訓練の重要性を改めて実感した」と話した。
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巴川治水の半世紀学ぶ 事前防災呼びかけ 静岡県がシンポジウム【七夕豪雨50年】
静岡県は6日、県内で死者44人、負傷者241人の犠牲を出した七夕豪雨から7日で50年を迎えるのに合わせ、治水対策について考えるシンポジウムを静岡市駿河区のグランシップで開いた。七夕豪雨の被害状況や半世紀にわたる治水の歩みを振り返るとともに、近年激甚化する水災害への対策として流域の住民と自治体、企業が一体となって取り組む「流域治水」の推進を打ち出した。 県の山田真史河川砂防局長は住民ができる対策として、自宅周辺の排水路の点検、清掃や事前の防災行動計画「マイタイムライン」の策定などを呼びかけた。行政としても巴川の河道掘削や麻機遊水地の整備拡大などハード面の対策に力を入れる方針を示し「これまで以
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七夕豪雨50年 静岡市長が治水対策紹介 7日、コミュニティFM2局
1974年7月の七夕豪雨から50年の節目に合わせ、静岡市のコミュニティFM2局が7日、難波喬司市長のインタビューを放送する。水害の被害軽減に向けた市の取り組みを紹介するほか、災害時の自助・共助の大切さを伝える。 市河川課によると、麻機遊水地など既存の貯留施設以外に、学校の校庭や民間の施設を活用して貯留機能を強化していることや、浸水被害が頻発している巴川の流域で実施する施策などを説明する。近年の気候変動で想定外の被害も起きうるとして、ハード整備だけでなく市民自身の意識向上も必要と訴えるという。 放送では七夕豪雨を経験した市民に当時の体験談も聞く。 葵区・駿河区はシティエフエム静岡で午前8
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南海トラフ備え 初動時シナリオ作成へ 伊豆半島市町、国、県が初会合
南海トラフ地震発生時の伊豆半島や沿岸の初動対応を定める「総合啓開初動時オペレーションシナリオ」作成に向けた国、県、市町の検討会が4日発足し、沼津市内で初会合を開いた。地形的特徴が似ている能登半島地震被災地の道路寸断を教訓に、航路と河川も組み合わせたシナリオをつくり、迅速な救助活動に生かす。 発災から24時間の対応を、優先順位を含めてまとめる。建物の復旧順序、陸路や海路が寸断された場合の情報収集連絡要員の派遣方法、行政庁舎が被災した場合の代替拠点の設置場所などを盛り込む方針。 初会合には国土交通省中部地方整備局と県、7市6町の担当者が出席。会長に就いた同局の富田直樹総括防災調整官は「顔の見
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【熱海土石流3年】「悲しみ、怒りは消えない…」 遺族、被災者の傷なお癒えず
「時がたっても悲しみ、怒りは消えない」「復旧復興が進まず、この先どうなるのか」。3日、大規模土石流から3年が経過した熱海市伊豆山の被災地。遺族や被災者の心の傷は今も癒えず、愛着のある郷土にいまだ帰還を果たせていない避難住民も多い。土石流の原因を究明し、一日も早く伊豆山の再生を―。就任後初めて被災地入りした鈴木康友知事に対し、遺族、被災者からは期待と注文の声が聞かれた。 土石流の発生時刻とされる午前10時28分、同報無線のサイレンが響く中、遺族や被災者は静かに手を合わせ祈りをささげた。 「発災当日の景色、亡くなった方の顔が浮かび、ブルーな気持ちになる。被災者にとって、きつい日」。 経営
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防災、減災に重点と予算を 中部5県期成同盟会連 伊豆で総会
国土交通省中部地方整備局管内5県の河川関係団体でつくる「中部直轄河川治水期成同盟会連合会」(会長・柴橋正直岐阜市長)は2日、伊豆市内で総会を開き、防災・減災、国土強靱化(きょうじんか)の対策を重点的に実施し、2025年度当初予算に必要十分な予算を確保することなどを国に提言した。近年激甚化、頻発化する豪雨災害や、能登半島地震での津波被害を受け、参加した首長からは災害を未然に防ぐ予防的治水の必要性を指摘する声が相次いだ。 柴橋会長は「線状降水帯が原因の被害は毎年出ている。どの地域でいつ水害があってもおかしくない」と治水の重要性を強調した。首長の意見交換で、長泉町の池田修町長は「近年は台風などに
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盛り土規制区域 15自治体が指定 熱海土石流から3年
斉藤鉄夫国土交通相は2日の閣議後会見で、熱海市の土石流災害を受けて2023年5月に施行された盛り土規制法に基づき、同日時点で15自治体が造成に許可が必要な規制区域を指定したと明らかにした。災害発生から3日で3年となることを踏まえ、「規制法の適切な運用によって災害発生の未然防止に努める」と強調した。 指定権限があるのは都道府県と政令指定都市、中核市の計129自治体。盛り土の崩落によって人家などに被害が及ぶと判断した区域を規制区域として指定する。全自治体が規制区域の指定に必要な基礎調査に着手している。静岡県と静岡、浜松両政令市は経過措置期間の終了する来年5月までに法規制を開始する方針。 斉藤
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【能登半島地震半年 静岡県の課題④】通所、訪問 維持に不安 介護施設の相互応援望めず
能登半島地震では多くの福祉施設が被災し、いまだ再開を見通すことができない。一方、4月に介護事業者の事業継続計画(BCP)策定が義務化され、静岡県内を含め、各事業所で被災時の対策は進む。だが、多様な形態の介護サービスに取り組む事業者には発災時、入所者や通所者への対応や職員の安全確保の必要性から、訪問介護まで手が回らなくなる恐れがある。関係者は「全利用者の支援を続けたいが、被災時の訪問介護は相当難しそうだ」と危機感を募らせる。 「体温を測るので深呼吸してくださいね」。6月28日、浜松市内の中山間地に拠点を置く介護老人福祉施設のホームヘルパー2人が高齢女性(80)宅を訪れ、入浴をサポートした。市
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【能登半島地震半年 静岡新聞社現地ルポ④】高齢入所者の広域避難 介護施設再開見えず
床は波打ってゆがみ、窓枠は外れて外側にせり出していた。石川県輪島市の中心部から車で10分ほどの高台にある介護老人保健施設「百寿苑」。能登半島地震で敷地の一部が崩れ、入所者の居住スペースがあった2階が大きく損壊した。6月下旬、建物は発災当時のままだった。96人の入所者は広域避難しているが、戻るめどは立っていない。 地震直後、2階はスプリンクラーが壊れ、水浸しになった。壁は亀裂が入り、ガラスが散乱。副施設長の船本貴宏さん(51)は約40人の職員と手分けして全入所者を1階に移動させた。8割が寝たきり。全員を移し終えたのは日付が変わった1月2日午前3時過ぎだった。 被災し、利用継続が困難な施設は
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”恐竜”着たまま防災学習 レースも白熱 浜松・葵西自治会
浜松市中央区の葵西自治会は30日、地域活性化を目的としたイベント「楽しんで防災が身に付くティラノサウルスレース葵西」を葵西小体育館で開いた。親子連れら約20人が、恐竜の着ぐるみを身に付けて競争したり、防災に関するクイズに答えたりして交流を深めた。 青や緑、ピンクなど色とりどりの〝恐竜〟たちが、小学生以下の「幼獣の部」と中学生以上の「成獣の部」に分かれ、約15メートルのコースを走る速さを競った。短い手足で必死に走るコミカルな様子に、会場から歓声が上がった。 着ぐるみ姿のまま、災害時の避難方法や必要な備蓄に関する「○×クイズ」にも挑戦。参加賞として簡易トイレやブランケットといった
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洪水に備え避難訓練 磐田・豊岡南地区の住民、地元の水害リスク再認識
磐田市は30日、天竜川の氾濫などを想定した洪水避難訓練を同市の豊岡南地区で実施した。全国各地で豪雨による甚大な被害が相次ぐ中、住民らは地元の水害リスクを認識しながら有事の際に適切な行動がとれるよう意識を高めた。 大雨で天竜川の水位が上昇して氾濫の恐れが生じ、周辺家屋への浸水被害や家屋倒壊の危険性が高まったとの想定で行われた。「高齢者等避難」「避難指示」と、警戒レベルに応じた避難情報を同報無線で確知した住民は、上階への垂直避難を行ったり、豊岡南小(同市上神増)に向かったりして身の安全を確保した。 市によると、同地区の訓練対象者は2049世帯5523人。豊岡南小には37世帯45人が集まった。
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島田市が総合防災訓練 新導入の災害情報共有システム活用
島田市は30日、総合防災訓練を同市役所で実施した。情報の共有や関係機関との連携など災害対策本部の運営方法を確認した。 本年度新たに導入した災害情報共有システムを活用した。最大震度7の南海トラフ巨大地震が発生し、発災から36時間が経過した想定で訓練を開始した。本部では地域の自主防災会長らから電話で寄せられた災害情報の優先度を確認し、各担当者に対応を振り分けた。パソコン内と実際の地図上にも情報を落とし込んだ。市職員をはじめ、警察や消防、県、自衛隊など関係機関から約150人が参加した。 今福博文危機管理部長は「職員にシステムに早く慣れてもらい、デジタルとアナログの効果的な両立を図りたい」と述べ
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【七夕豪雨50年】洪水痕跡表示 劣化受け静岡県が更新へ 巴川流域の清水区など
50年前の七夕豪雨を機に合併前の旧清水市と旧静岡市内の電柱に取り付けられた「洪水痕跡表示板」を県が設置以来初めて付け替えることが29日までに分かった。洪水の高さを示す表示板は、もともとのブルーの色がすっかり剥げ落ちている。電柱が新しくなり表示板そのものがなくなっている箇所も多くある。何割程度が残っているかも不明。まず現況把握から始め、年度内に復活させる方針。 静岡県が開示した資料によると、洪水痕跡表示板は被災直後に県が測量した結果を基に、1985年度までに静岡市内で113カ所設置された。縦15センチ、幅30センチ程度の金属製のプレートには「洪水痕跡 昭和49年7月7日」と書かれ、被災の深
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【能登半島地震半年 静岡県の課題②】半島寸断、伊豆も危機感 啓開へ備え 沿道建築対策急務
南海トラフ地震が発生すれば、伊豆半島では能登半島地震で相次いだ道路の寸断と同じ現象が想定される。幹線道路や付近の建物の整備は不十分で、道路網は脆弱(ぜいじゃく)だ。能登半島で道路啓開の進展を阻んだ要因とは別の課題もあり、官民、さらには住民とも連携した対応が求められる。 「南海トラフ地震は伊豆半島に想定以上の被害を及ぼすだろう」。伊豆での道路啓開で主導的な役割が期待される三島建設業協会の土屋龍太郎副会長(72)は懸念を示す。 南海トラフ地震発生時の伊豆半島の課題は、峠が多いため土砂崩れが発生しやすい▽幹線道路が少なく沿岸へのルートが限られる▽広域被災のため援助が期待できない―など山積する。
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【能登半島地震半年 静岡新聞社現地ルポ②】寸断された国道 復旧進む 崩落対策の効果顕著
能登半島地震による土砂崩れで寸断された石川県輪島、珠洲両市沿岸部を通る国道249号。トンネルの損壊もあって4区間で不通が続いているが、6月から沿岸2カ所で復旧工事が始まった。年内に4区間の一部を除いて通行が確保される見通し。国土交通省能登復興事務所の道路計画グループマネジャー田中義太郎さん(47)と建設業者が作業を急ぐ。「道路に寄せる住民の期待は大きいと感じる。少しでも早く道を通せるよう工事を進めたい」 >【能登半島地震半年 静岡県の課題②】半島寸断、伊豆も危機感 啓開へ備え 沿道建築対策急務 var linkElements = document.querySelecto
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住宅の耐震化 地域で差 県の補助方針 先行き不透明【能登半島地震半年 静岡県の課題①】
能登半島地震で重要性が浮き彫りになった住宅の耐震補強は本県でも関心が高まっているが、課題は少なくない。6月中旬、下田市の下田港近くの中心街。1級建築士矢田部広志さん(74)が店舗兼住宅の耐震診断に訪れた。「これは市の無料診断の対象外ですね」。矢田部さんの説明に所有者の女性(71)は「商売も厳しく、全て自費での補強は難しい」と肩を落とした。 矢田部さんによると、母屋は旧耐震基準時代の1965年に建てられたが、連結して増築された部分は81年の新耐震基準以降の建築。古い建物も一体で構造計算を行うため、計算上は補強されたこととなり、旧耐震の建物を対象とする補助事業の対象にならない。矢田部さんは「新
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最大津波高「25.2メートル」了承 浜岡原発審査会合で規制委
原子力規制委員会は28日、中部電力浜岡原発3、4号機(御前崎市佐倉)の新規制基準適合性審査会合を開き、同原発の敷地前面で想定される最大津波高を25・2メートルとする中電の評価を了承した。耐津波設計の目安となる「基準津波」の決定に向けて大きく前進した。津波を巡る主な論点は津波堆積物の評価を残すのみとなり、中電は次回会合で規制委から指摘を受けている事項に回答し、早期の基準津波決定を目指す。 25・2メートルは最も厳しい条件の南海トラフ地震の津波と遠州灘沖1地点の海底地滑りの津波が重なり合う場合の数値で、中電が4月12日の会合で提示していた。 28日の会合では、複数地点の海底地滑りの同時発生と
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政府 防災基本計画を改定 TKB(トイレ・キッチン・ベッド)の充実明記 関連死防止へ
政府の中央防災会議(会長・岸田文雄首相)は28日、国や自治体の災害対応の柱となる防災基本計画を改定した。能登半島地震の教訓を踏まえ、快適なトイレと温かい食事、ベッドを意味する「TKB(トイレ・キッチン・ベッド)」を災害発生直後から速やかに提供できるよう、市町村に求めた。災害関連死防止や避難生活の改善を強化する。 トイレカー、トイレトレーラーの設置、栄養バランスのとれた適温の食事提供を具体例として明記。段ボールベッドなど簡易ベッドは避難所開設当初から設置するよう強調した。「TKB」は、医師らでつくる避難所・避難生活学会が重要性を指摘している。 在宅避難者が利用しやすい支援拠点の設置、車中泊
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災害対策本部に女性10% 静岡は4.5%、11道府県ゼロ 内閣府調査
47都道府県が災害対策本部を立ち上げた際、本部会議に出席する女性職員の割合は、全国平均でわずか10・0%だったことが内閣府の調査で分かった。11道府県では、女性職員が1人もいなかった。災害が発生するたびに、避難所運営や物資提供など初動の段階から女性の視点が必要と繰り返し指摘されている。女性の参画が依然進んでいない実態が浮かんだ。 内閣府は2023年12月末時点の状況を調べた。 都道府県のうち、災害対策本部の女性比率が最も高かったのは群馬の38・1%。千葉が26・7%、滋賀が25・0%、広島と石川が23・5%、福岡が21・4%と続いた。静岡は4・5%。宮城、埼玉、大阪、香川、熊本などはゼロ
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首都地震対策 議論を再開 来年6月に報告書
首都直下地震の基本計画改定に向けて防災対策を検討する政府の作業部会(主査・増田寛也日本郵政社長)は24日、元日の能登半島地震で中断していた議論を約半年ぶりに再開した。当初、今年12月を目指していた報告書のとりまとめを来年6月とすることで合意。報告書を受けた基本計画の改定を来春から来秋とする政府方針を確認した。 24日に東京都内で開いた会合は首都中枢機能の維持が議題。国会や中央省庁、日本銀行などが業務を継続するために必要な対応を話し合った。部会の委員からは「中央省庁の職員が多数被災した場合、被災地以外から職員を派遣するような具体的な仕組みがないのは課題ではないか」といった指摘があった。 政
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社屋2階を避難所に 静岡の建設コンサルタント会社、若松町自治会と協定
静岡市葵区の建設コンサルタント会社「昭和設計」はこのほど、地元の若松町自治会(同区)と協定を締結し、災害時に同社本社2階の一部スペースを住民が避難所として使えるよう提供することを決めた。 災害発生後、市の指定避難所が開設されるまで時間がかかる場合や、指定避難所の避難者が定員を超えた場合などに、同社2階の会議室やカフェコーナーなどを一時的な避難所として提供する。避難者がプライバシーを守れるよう室内にテント10張りを設置し、2週間ほど受け入れる。 同社で開いた調印式で、荒山晃社長(62)は「これからも企業として地域に何ができるか考えていきたい」と協力を誓った。同自治会の中村敏六会長(75)は
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防災 楽しく学ぼう 親子向けにイベント 浜松市中央区
浜松市中央区の市防災学習センターはこのほど、ワークショップなどを通じ防災を学ぶ親子向けイベント「夏フェスタ2024」(静岡新聞社・静岡放送後援)を同所で開いた。市内企業でつくる災害支援団体「はままつnanet」のメンバーや学生スタッフらが、親子連れに備えの大切さや災害時の対応を紹介した。 減災が学べるトランプを活用したコーナーでは、災害の内容が示されたカードに、持ち札から適した行動や備えが書かれた札を用意した。参加者は「家族と連絡が取れなくなったら、周りの友達の家に行って助けを求める」などと考えを発表しながら、札を机に置いていった。段ボールやごみ袋を使った防災工作や地震体験車のほか、能登半
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災害時の遺体安置で連携協定 掛川市とセレモニーホール大浜
掛川市と同市大坂の葬儀場「セレモニーホール大浜」は24日、大規模災害時に遺体の収容と安置、資機材の提供などで協力する連携協定を締結した。式場施設で一時的に帰宅困難者も受け入れるほか、平常時には合同で防災訓練も行う。 久保田崇市長と鈴木晶彦社長が市役所で協定書を交わした。久保田市長は「協力はありがたく、心強い」と謝辞を述べた。鈴木社長は2021年7月に熱海市伊豆山で発生した土石流災害の被災地で活動した経験に触れ「避難所と遺体安置所は別々の場所が望ましい」と意義を強調した。 遺体収容などに関する掛川市との協定は全日本冠婚葬祭互助協会、イズモに次いで3例目。
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AIで歯解析、身元確認 南海トラフ想定、徳島大
南海トラフ巨大地震などを想定し、災害による死者の身元確認を迅速化しようと、徳島大などのチームが、遺体の歯の写真を人工知能(AI)で解析し、照合に必要となる歯の特徴を記した「デンタルチャート」を自動作成する研究を始めた。作成に必要な時間を大幅に短縮でき、医師はもちろん、行方不明者を捜す家族らの負担軽減にもつながりそうだ。 遺体に損傷があった場合にも歯は生前の状態で残りやすいといい、日本歯科医師会によると、東日本大震災で身元確認をした死者約1万6千人のうち約8%は歯の情報で特定。現在はチャート作成に30~40分がかかっているが、AIが作成すれば数分で終わるという。 研究を呼びかけたのは徳島大
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水難に備え「背浮き」習得 熱海で着衣水泳教室
熱海市のマリンスパあたみで23日、初の着衣水泳教室(STI熱海海浜公園グループ主催)が開かれた。市内の小学生を中心に12人が参加し、あおむけの状態で水面に浮かぶ「背浮き」の方法を習得した。 夏場に増える海や川での水難事故に備え、子どもに身を守るすべを体得してもらう狙い。参加者はTシャツとズボンを着用したまま入水し、大の字になって浮かぶ練習を繰り返した。保護者が投げ入れた空のペットボトルやクーラーボックスにつかまり、浮力として活用するこつも学んだ。 指導した水泳教室の担当者は「服はぬれると泳ぎにくくなる。海や川に落ちた場合は無理に泳がず、まずは浮いて助けを待つことが大切」と呼びかけた。
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迅速な水難救助へ訓練 浜名湖で湖西市消防と静岡県マリーナ協支部
夏のレジャーシーズンを前に、湖西市消防本部と静岡県マリーナ協会西部支部はこのほど、同市新居町の浜名湖で合同水難救助訓練を行った。水中に転落した人の救助を想定し、消防職員と市内3マリーナの関係者約30人が要救助者を迅速に救助する手順を確認した。 訓練では潜水隊員が水中から要救助者役を救出して担架に乗せ、水上バイクでマリーナの船に運んだ。岸壁付近に到着した船から消防車両のクレーンで担架をつり上げ、陸上に引き渡す訓練にも取り組んだ。山本浩人消防長は「高さや大きさなど特徴が異なる船を利用して訓練の経験を積むことはとても重要。訓練を機に連携体制を強化したい」と話した。 同本部と同支部は浜名湖で女子
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観光と防災の両立へ 全国初の津波避難複合施設で訓練 伊豆市土肥「テラッセオレンジトイ」
観光と防災の両立を目指す伊豆市は22日、沿岸の観光地でもある同市土肥地区で南海トラフ大地震を想定した津波避難訓練を行った。松原公園内に整備中の全国初となる観光機能を併せ持つ津波避難タワー「テラッセオレンジトイ」などを避難先に設定。地元住民だけでなく、観光客の命を守るための手段を検証した。 「一声かけて津波てんでんこ」をテーマに実施し、地域住民ら約200人が参加した。午前10時に大きな揺れが発生したと想定。公園内や海岸にいた参加者は揺れが収まったことを確認後、津波警報の発令を待たず「津波だ」「逃げろ」などと叫びながら避難。観光客役を務めた千葉大の学生らに声をかけ、同施設の階段を駆け上った。
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【提言・減災】臨時情報「備え」要確認 横田崇/愛知工業大地域防災研究センター長・教授
南海トラフ巨大地震の防災対策は、地震の予知が困難であるため、地震への事前対策と地震発生後の応急対応などが基本となっている。とはいえ巨大地震による被害はあまりにも甚大であることから、気象庁で「地震発生の可能性が相対的に高まっている」と評価された場合には「南海トラフ地震臨時情報」が発表され、日頃からの備えや避難路を確認し、必要な対策を講じるなど、防災対策の一層の充実・強化が図られることとされている。 この体制は5月で5年となるが、臨時情報はまだ一度も発表されていない。静岡県でも情報の認知度が低いと指摘されている。 臨時情報は三つのケースで発表される。①「半割れケース」。南海トラフでの過去の事
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【第4章】避難先で体調急変 車中生活続き、胸に激痛【いのち守る・防災しずおか 東海さん一家の防災日記 南海トラフ地震に備える 半割れ発生(後編)⑨】
四国沖でマグニチュード(M)8.0の大地震が起き、気象庁が後発地震への警戒を呼びかける南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)を発表してから約1年半が経過した。津波浸水想定区域に住む要配慮者らに事前避難が呼びかけられた「地震発生から1週間」はとうに過ぎ、市民が自宅での通常生活に戻った中、「その日」は突然訪れた。 一連の地震を振り返ると、南海トラフ巨大地震の想定震源域の東側に位置する遠州灘でM8・5の地震が起きたのは、西側の四国沖でM8・0の先発地震が発生して1年半後のことだった。気象庁は想定震源域の半分ずつで西から東に連鎖的に二つの大地震が発生し、その間の1年半は「半割れ」の状態が続いていた
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災害時、位置情報提供の要件緩和 不明者名簿活用、自治体も対象
総務省は22日までに、大規模災害時に安否不明者を迅速に救助するため、消防などの機関が不明者の名簿を活用し、救助の対象者を絞り込んだ上で、携帯電話会社から位置情報を取得できるようにする方針を決めた。従来の警察や消防だけでなく、自治体の災害対策本部も位置情報の提供先に加えるなど要件を緩和する。1月の能登半島地震で不明者の捜索が課題となり、検討を進めていた。 携帯の電源が入っていない場合には、過去の位置情報も提供できるようにする。救助対象者の電話番号を特定する必要はなく、氏名や住所に基づき提供を要請できる。 現在、国のガイドラインは位置情報の提供について「警察、海上保安庁または消防その他これに
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スーパーで大地震、避難は?営業は? 買い物中など想定訓練 しずてつストア流通通り店
静岡市葵区のしずてつストア流通通り店でこのほど、災害避難誘導訓練が行われた。地域住民約30人と従業員約40人が参加し、営業時間中に大規模地震が発生したとの想定で取るべき対応を確認した。 地震発生で店内が消灯すると、従業員は買い物客役の住民に「姿勢を低くしてください」と声をかけ、買い物かごで頭を守るよう指示した。揺れが収まると「誘導班」「救護班」などに役割を分担し、住民を店外に避難させた。 地震で店舗内が被災して使用できない状況を想定し、食料品などを屋外で販売する訓練も実施。中嶋一雅店長(56)は「地域に根ざす会社として、地震発生時に利用客が安全に行動できるよう意識を高めていきたい」と話し
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円滑な避難所本部運営考える 御前崎のNPOが研修会
御前崎市のNPO法人御前崎災害支援ネットワークは22日、災害時の避難所本部運営に関する研修会を同市池新田の研修センターで開いた。市内の各町内会や自主防災会の役員ら約80人が参加し、図面を用いて避難所運営を模擬訓練した。 広域避難所に指定されている浜岡中の体育館の図面を使用した。次々と避難者が訪れて来るように被災者情報が書かれたカードを1枚ずつめくり、内容に応じて女性プライバシーや障害者に配慮した住民配置、動線を考えた。運営者側の役割分担も協議し、避難者の名簿などを管理する受付班や、トイレや医療機関と連携する保健衛生班などを設けた。 参加者はさまざまな議論を重ねながら円滑な避難所運営の最善策
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#被災地を支援する 能登半島地震 災害ボランティア【NEXTラボ】
能登半島地震は発生から間もなく半年を迎える。災害ボランティアは今、どんな活動をしているのか―。石川県輪島市に被災者らが設立し、受け入れ調整に当たる民間団体「のと復耕ラボ」の活動現場を訪ね、復旧支援に携わる人たちの思いを聞いた。 (生活報道部・伊藤さくら) 片付け、炊き出し、農作業… 全国の〝仲間〟と思い一つ 「私たちが必要ないと思った物でも被災者にとっては大切な物かもしれない。思いやりを持って活動してほしい」。5月末の朝、のどかな風景が広がる里山の古民家にボランティアが10人ほど集まり、リーダーが活動の心得を伝えた。 同市でも社会福祉協議会が災害ボランティアセンター(
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中高連携で防災訓練 横須賀高と大須賀中 災害時の即戦力に
掛川市の横須賀高と近隣の大須賀中は20日、南海トラフ地震の発生を想定した合同防災訓練を横須賀高で行った。中高連携で取り組む恒例行事。両校の生徒約300人が協力して、避難所運営や負傷者の応急処置などを実践した。 8グループに分かれて、間仕切りや仮設トイレの設置に汗を流した。こつが要る簡易テントの設営と収納では、高校生が中学生に手順や配置をアドバイスする姿が見られた。市の高校生ドローン防災航空隊のメンバーは、小型無人機の操縦を実演した。 地区や学校は、生徒を地域防災力の強化に向けた即戦力と位置付けて定期的に訓練を実施している。地区代表の住民も参加し、避難所運営の流れを確認した。
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「防災気象情報」 4段階16通りに 26年運用へ、検討会報告書 種別とレベルで整理
気象庁と国土交通省の有識者検討会は18日、災害の発生危険性を伝える「防災気象情報」の乱立を解消するため、見直し案をまとめた報告書を公表した。河川氾濫や土砂災害など4種類の災害ごとに、避難の目安となる大雨・洪水の警戒レベルと警報・注意報を併記して4段階に分け、16通りの名称に整理する。現在の大雨警報(土砂災害)は「レベル3土砂災害警報」に、氾濫危険情報は「レベル4氾濫危険警報」などとなる。 気象庁と国交省は報告書に基づき、2024年度中に新たな名称を正式決定し、26年梅雨期までの運用開始を目指す。情報ごとにばらばらだった名称や切迫性の表現をそろえ、自治体や住民にとって分かりやすい情報発信とす
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街守る砂防 模型で学ぶ 静岡・葵区でフェス 防災アプリも紹介
国土交通省と静岡県、静岡市は15日、梅雨や台風の時期に合わせて「砂防フェスティバル」を同市葵区の青葉シンボルロードで開いた。静岡県内六つの関係機関がパネル展示や実験などのブースを設置し、砂防事業の取り組みを発信した。 静岡河川事務所は、安倍川上流の大谷崩れの崩落を防止するために斜面に植樹をする「山腹工」などの砂防事業をパネル展示で紹介した。富士砂防事務所や沼津河川国道事務所などもブースを構え、土石流の模型実験を実施。土砂をせき止める「砂防えん堤」がある場合とない場合とで下流の被害が大きく変わることを伝えた。実験に参加した漆畑悠さん(11)は「砂防えん堤のことを初めて知った。街やみんなの生
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「能登教訓に」災害医療報告 長泉の池田病院で講演会
長泉町の池田病院はこのほど、能登半島地震を教訓にした災害医療講演会を同病院で開いた。富士山南東消防本部長泉消防署の消防司令補中村哲平さんが講師を務め、現地での活動や被災後の地元病院の様子を報告した。 中村さんは緊急消防援助隊として5日間、石川県珠洲市で活動した。被災者を受け入れた同市総合病院の待合室や廊下は傷病者であふれかえり、医師や看護師が病院に寝泊まりして対応していたと説明。同病院は災害対応訓練時に想定する10倍の傷病者を受け入れ、その対応は全職員の3分の1がしたとし、「災害の訓練想定が非常に難しい。連携を強固にして南海トラフ地震に備えたい」と強調した。 池田病院は災害対応病院のため
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避難所迅速設営へ訓練 富士宮市職員 能登混乱受け対策
災害発生時に指定避難所運営に配置される富士宮市職員がこのほど、避難所設営訓練を同市の東小で実施した。実際の避難所での訓練は初。1月の能登半島地震では避難者の受け入れで混乱したことを受け、参加者41人は早期に開設できるよう手順を確認した。 参加者は協力してテントトイレを組み、体育館内にはパーティションを設置した。避難者の受付窓口も用意して名前や人数などの記録方法も確認した。 例年の訓練は、市役所で資機材の動作確認などが中心だった。訓練を担当する市危機管理局の小林祐太さん(38)は石川県穴水町の避難所に派遣された際、避難者が正確に把握されていなかった実態に課題を感じたという。「対応が後手にな
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七夕豪雨 建設業者の教訓に 企業関係者セミナー 静岡市葵区
静岡建設業協会は13日、七夕豪雨から50年が経過するのに合わせたセミナーを静岡市葵区で開いた。会員企業の関係者らが当時の様子を振り返り、災害対応への意識を高めた。 水没した当時の市街地や行政対応、実際に豪雨を経験した関係者の証言を収めた映像を鑑賞した。国土交通省静岡河川事務所と県静岡土木事務所の幹部職員も登壇し、巴川流域の治水事業などを説明した。 市川照会長は「災害を忘れないように伝承していく。教科書の中のことではなく、現実に起きたことだということを意識してほしい」と呼びかけた。
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御殿場プレミアム・アウトレット ベンチや自販機、災害支援型設置
御殿場市の御殿場プレミアム・アウトレット内に11日、停電時に非常用電源ボックスから電力供給を受けて稼働する災害支援型自販機とスマートフォンなどの急速充電機能を備えたベンチが設置された。 災害への対応力や平時の利便性の向上を図り、アンカー・ジャパン、コカ・コーラボトラーズジャパン、三菱地所・サイモンが協力した。自販機は停電後、電源ボックスで最大4時間にわたり稼働し、飲料の無償提供も行える。2人掛けのベンチはポータブル電源を格納し、充電用に電源タップが備え付けられている。 ヒルサイドエリアとイーストゾーンエリアに各1台ずつ配置した。ベンチの充電機能は、来場者が平時に無料で利用できる。
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防災情報、楽しく勉強 静岡市葵区・七間町町内会 地図片手にロゲイニング
静岡市葵区の七間町町内会は9日、「おまちの防災フェスティバル」を同区の青葉シンボルロードで開いた。ゲーム感覚で地域の防災情報を学べる「防災ロゲイニング」などの企画に住民らが参加し、意識を高めた。 防災ロゲイニングは、制限時間内に防災に関連するスポットを巡り、得点を競う。チェックポイントとして七間町周辺の消火栓や防災倉庫、避難地案内板が設定された。親子連れなど10チーム約30人が参加し、地図を基にチェックポイントを回って点数を積み上げた。 会場には町内会が所有している発電機や大型充電器、車椅子、段ボールベッドなども展示され、来場者が体験した。 同町自主防災会で防災委員長を務める石川佳代子
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全国被災地支援、今後も息長く ボランティア連絡会「しずおか茶の国会議」 月例会節目の100回
全国の被災地で支援活動を行う静岡県内災害ボランティア有志の連絡会「しずおか茶の国会議」の月例会が、11日の開催で2016年5月の発足から通算100回に達した。熊本地震をきっかけに創設し、現在は能登半島地震の被災者支援を継続。メンバーは「限られた日数、人数で効率的に支援するには情報共有や連携が不可欠」と結束している。 「仮設住宅が建てられ、避難所の集約が進んでいる」「中高生が交流できるような居場所が少ない」。11日夜、静岡市葵区の県総合社会福祉会館で開かれた月例会には浜松市や富士市から約20人が集まった。オンラインでも数人が参加し、各自の活動や能登半島被災地の現状について情報共有を図った。
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南海トラフ対策 強化へ財源確保を 静岡など10県知事会議
南海トラフ巨大地震で大きな被害が予想される静岡など10県の知事会議は12日、対策の強化に向けた財源確保を求める提言書を松村祥史防災担当相に提出した。災害に強い道路網の整備に加え、住宅や水道施設などの耐震化を進めるための財政支援を要望した。 代表して高知県の浜田省司知事が内閣府で松村氏と面会し、提言書を手渡した。 提言書では、能登半島地震で主要な幹線道路が被災し、救助活動や物資輸送に大きな影響が出たと指摘。災害に備えて片側1車線区間の2車線化を進め、支援に入りやすくしておくことを求めた。
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水害備え 全国首長共有 都内でサミット 磐田、島田市長が参加
水害を経験した全国の自治体の首長が集まる「水害サミット」(実行委員会主催)が11日、都内で開かれた。被害を受けて講じた治水や防災対策の報告を通じ、被害低減のための備えや意識を共有した。県内から染谷絹代島田市長と草地博昭磐田市長が初めて参加した。 「公共と民間の共創で取り組む流域治水」がテーマ。改良した農業用ため池の治水への活用や、企業と連携して無人ヘリで山小屋に物資を輸送するプロジェクトが紹介された。2019年の東日本台風で甚大な被害を受けた宮城県丸森町の保科郷雄町長は「失敗を恐れず早めの対応が必要」と語り、ちゅうちょせず避難指示や避難勧告を出す大切さを強調した。 草地市長も、敷地川が決
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避難所運営ゲームで体験 小山中で防災講座
小山町は10日、「ふじのくにジュニア防災士」の養成講座を小山中で開いた。2年生約40人が避難所運営ゲーム(HUG)を体験し、避難における配慮や助け合いの重要性を学んだ。 8班に分かれ、学校体育館の避難所に次々と避難者が訪れる想定で割り振りを考えた。1歳児を連れている、妊婦がいる、病人がいる-など世帯によって異なる事情を考慮し、避難所に見立てた図上に配置した。仮設電話の設置場所、物資の荷降ろし場所なども議論した。「配慮が必要な人のためのスペースを事前に作っておけばよかった」などと刻々と変わる状況への対応に苦慮する班もあった。 生徒たちは今後、地域防災訓練への参加などを通じて災害時の自分たち
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災害備蓄の準備状況確認 避難所改善へ政府検討
政府は10日、能登半島地震を教訓に、簡易ベッドなど災害用備蓄の準備状況を国が確認し、公表する検討に入った。対象は全国の自治体で、避難所の環境改善が目的。能登地震発生が日没近く、被災状況の把握が難航したことから、赤外線カメラや衛星データの積極活用も進める。具体策は有識者作業部会を新設して議論する。同日開いた能登地震の復旧・復興支援本部で方針を確認した。 岸田文雄首相は本部会合で、復旧工事や建物の公費解体を加速させるため、2024年度予算の予備費からの追加支出を月内に決定する方針を示した。予備費支出は地震発生から第5弾となる。 会合では、関係省庁が能登地震での初期対応の検証結果を報告。避難所
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静岡市有建築物 耐震化95.9% 「倒壊危険性あり」は3施設
静岡市は10日、2024年5月31日現在の市有建築物の耐震化率が95・9%になったと発表した。23年度に蒲原中南校舎(清水区)の解体、中藁科小小布杉分校校舎(葵区)の使用停止などにより、前年度より0・2ポイント上昇した。 市は静岡県の判定基準に基づき、大規模地震に対する公共建築物の耐震性能を優れている順に1a、1b、2、3の4段階でランク付けしている。このうち、建築基準法で定める耐震性能より厳しい1bを基準に設定し、耐震化の状況を毎年公表している。 市有建築物のうち、一般公共施設の耐震化率は98・4%(前年度比0・2ポイント減)で、耐震対策が必要なのは12施設。このうち倒壊の危険性がある
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防災対策強靱化へ 条例案を追加上程 菊川市議会
菊川市議会6月定例会は10日、本会議を再開し、市防災対策強靱化(きょうじんか)事業分担金徴収条例案を追加上程した。条例案は、中部電力から大規模災害発生時に市の防災関連施設を使用したいとの申し出があったことを受け、事業費の一部を徴収するため提出された。事業費の2分の1以内の額を徴収する。 また、市子ども・子育て会議条例改正案など2議案をいずれも原案通り可決し、専決処分の4議案を承認した。
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御前崎市消防 静岡県大会V報告 ロープ応用登はん、全国大会へ
静岡市清水区の静岡県消防学校で開催された県消防救助技術大会で、ロープ応用登はんで優勝した御前崎市消防本部の救助隊員らがこのほど、市役所で下村勝市長に報告した。 ロープ応用登はんは、2人一組で地上から15メートルの到達点まで器具を使わずにロープのみで登り、安全性や確実性、所要時間を競う。コンビを組んだ高井健伍さんと斎藤侑哉さんは「相性が良かった」と振り返り、「全国大会ではミスのないように力を出し切りたい」と意気込みを語った。 同消防本部は引揚救助で準優勝し、関東大会に出場する。はしご登はんは、3位に入った。 下村市長は全国舞台でのさらなる活躍を激励した。
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静岡県消防大会「障害突破」V 湖西市本部、市長に報告
静岡市で開かれた静岡県消防救助技術大会の「障害突破」の種目で優勝した湖西市消防本部のチームがこのほど、市役所に影山剛士市長を訪ね、結果を報告した。チームは7月18日に千葉県で行われる関東地区大会に出場する。 メンバーは、リーダーで消防副士長の池田海等さん(26)と24~27歳の若手救助隊員の計5人。前年度の大会で4位に終わった悔しさをばねに訓練を重ね、同種目では5年ぶり6度目の優勝を果たした。 池田さんは「目標は全国大会なので、県大会は通過点。関東大会ではより洗練された試技を行う必要がある」と気を引き締めた。影山市長は「成果は市民にとって喜ばしいこと。安全安心の向上につながる」とねぎらっ
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農林防災施設を点検 静岡県西部事務所、梅雨に備え 浜松、湖西
静岡県西部農林事務所が10日まで、梅雨の時期に合わせた農林防災施設のパトロールを管内の浜松、湖西両市で行った。地すべりや山崩れを防ぐための設備の状況を確認した。 増田浩章所長ら職員が浜松市天竜区の芦窪、西藤平を訪問した。同事務所が施設の点検作業を委嘱する巡視員の説明を受けながら、水路の土砂堆積状況や倒木の有無などを見て回った。西藤平では水路の底面の腐食状況を確認した。 巡視員の畑谷幸光さん(72)=同区西藤平=は「災害が起きないよう、雨天後などの点検を続けていく」と話した。パトロールは山林や農地が多い天竜区や浜名区引佐町などを中心に行っている。
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ドローン測量解析 盛り土の変化比較 富士市対策会議
富士市は10日、違法盛り土など埋め立てに関する庁内対策会議を開き、事務局はドローンによる盛り土の測量解析を2023年度に市内20カ所で実施したと報告した。 04年度に国が実施した地形データと比較するための事業。20年間で新たに発生した盛り土や是正措置による土砂の搬出など、地形の変化を市の所有機で確認する。関連各課で構成する班を含むパトロールについては、23年度に177回の出動で累計1027カ所を監視したと説明した。 同市の条例違反に当たる盛り土は22カ所。事務局は「パトロールだけでは限界がある。多くの部署と関連法の視点で抑止し、取り組みを波及させたい」(土地埋立対策室)としている。
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無災害継続 3社を表彰 三島労働基準協会
全国安全週間(7月1~7日)を控え、三島労働基準協会はこのほど、全国安全週間説明会を伊豆市の修善寺総合会館で開き、無災害を続けた3社を表彰した。 20年間無災害は住起産業(三島市)、10年間無災害は山室組(伊豆の国市)、5年間無災害は国本組(西伊豆町)。説明会には三島労働基準監督署管内の約60社が出席し、労働安全コンサルタントによる特別講演などを聞いた。
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台風シーズン前に態勢強化 伊東、100人集い水防訓練
伊東市の土砂災害・水防訓練が8日、同市の八幡野コミュニティセンターと隣接の八幡野財産管理会広場で開かれた。地域住民や消防団、市、伊東建設業協同組合の関係者ら約100人が集い、台風や雨期のシーズンを前に態勢強化を図った。 参加者は水害に備え、広場で土のう作りに取り組んだ。2人一組になり、スコップで袋に土を入れて口を縛った。土のうを積み上げる作業も実践した。 講話では市担当者が土砂災害の種類や特徴、土砂災害警戒区域について説明した。「平時から防災資機材を点検する」「出どころの確かな情報を収集する」など災害への備えや対応を説いた。
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防災かるたで水害「自分ごとに」 静岡県、第3弾作製へ 「流域治水」推進 七夕豪雨50年機に
静岡県内約8万棟が床上・床下浸水した「七夕豪雨」から7月で50年になるのを機に、県は8日までに、県民向けの防災教材「しぞ~か防災かるた」の第3弾水害編(仮称)を作製する住民参加型ワークショップを始めた。行政・住民・企業が連携して減災を図る「流域治水」の取り組みの一環。初回の県中部に続いて今後、西部や東部、賀茂地域でも防災用語などを盛り込んだ読み札の句を考え、来年3月末までの製品化を目指す。 しぞ~か防災かるたは老若男女に楽しみながら防災意識を高めてもらう教材で、2012年発行の静岡市版と22年発行の県版が製品化されている。読み札の「上の句」は地域自慢の景観や名物など、「下の句」は防災の心得
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【提言・減災】地震を誘発 水の作用は 加藤尚之/東京大地震研究所教授
1月に発生した能登半島地震に先行して、能登半島では2020年ごろから地震活動が活発になっていた。この地震活動は、地下の水の影響により発生したとする説が有力である。水はどうして地震を起こすのだろうか。 水でぬれた道路が滑りやすいことを連想するかもしれない。これは道路の表面に水の膜ができることが原因だ。しかし、水が地震を引き起こすメカニズムは異なる。地震を起こすのは断層をずらす力(せん断力)だ。板の上に豆腐をおいて、豆腐の上の面に手を置いて横にずらそうとすると、豆腐はななめに変形する。これがせん断力だ。ずれを大きくしていけば、最後には豆腐は崩れるだろう。地下に水が存在すると、水の部分ではせん
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【第4章】半割れ発生(後編)⑧ 軟弱地盤で住宅倒壊 過疎地 企業が捜索支援【東海さん一家の防災日記 南海トラフ地震に備える/いのち守る・防災しずおか】
四国沖でマグニチュード(M)8.0の大地震が起き、気象庁が後発地震への警戒を呼びかける南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)を発表してから約1年半が経過した。津波浸水想定区域に住む要配慮者らに事前避難が呼びかけられた「地震発生から1週間」はとうに過ぎ、市民が自宅での通常生活に戻った中、「その日」は突然訪れた。 最大震度7の本震の後も震度5強以上の余震が続き、道路網の被害が拡大していた。人命救助や物資輸送の生命線となるべき道路には割れ目や段差が生じ、自動車の通行を妨げている。 発災から5日目、東海遠州さん(38)は勤務先である運送会社の本社まで愛用のマウンテンバイクで往来していた。自宅の
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災害時の孤立集落対策 全都道府県が再考 能登教訓
能登半島地震直後、道路の寸断などで被災地支援が滞ったことを受け、47都道府県全てが災害時に孤立が予想される集落への対策の見直しを検討していることが8日、共同通信の調査で分かった。検討内容は飲料水や食料などの備蓄強化、ドローンによる物資輸送や孤立状況把握、衛星インターネットを活用した通信確保が目立った。都道府県が把握している集落数は計約1万8700で、対策への国の関与強化を求める声が上がった。 対象となる孤立集落数について、2014年に国が全国調査を実施して以降、全体の約7割の33都道府県が更新していないことも判明。専門家は「効果的対策のため最新の実態を把握しておく必要がある」と指摘する。
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南海トラフ地震発生想定 磐田市が夜間参集訓練 緊急時の初動対応確認
磐田市は6日夜、南海トラフ巨大地震の発生を想定し、抜き打ちで職員参集訓練を行った。対象となった幹部職員ら75人中44人が、発生想定の1時間後に市防災センター(同市国府台)に駆けつけ、緊急時の初動対応を確認した。 午後7時に市内で最大震度7の地震を観測したとの想定で実施した。メールを受けた対象職員は、交通機関や道路寸断を見越して徒歩や自転車で次々と登庁。発災想定1時間後には災害対策本部会議を開始し、幹部職員が市内の被害状況を共有して対策を協議した。 草地博昭市長は「初動は人命救助が最優先。情報が得られないエリアこそ、助けが必要な場所かもしれない。迅速に情報を共有する必要がある」と強調した。
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南海トラフ沿い地殻活動 5月「変化なし」 評価検討会
気象庁は7日、南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会(会長・平田直東京大名誉教授)の定例会を開いた。主に5月の南海トラフ沿いの地震、地殻活動について「大規模地震の発生可能性が高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」とする南海トラフ地震関連解説情報を発表した。 目立った地震活動はなかった。紀伊半島中部から西部にかけて5月30日~6月2日、微少な揺れとわずかな地殻変動を観測した。いずれもプレート境界深部で発生した短期的ゆっくり滑りが原因と推定し、「従来、繰り返し観測されてきた現象」と評価した。
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地震観測システム復旧 御前崎沖 緊急速報への活用再開
気象庁は7日、御前崎沖から三重県沖にかけて敷設しているケーブル式常時海底地震観測システムの障害が復旧したと発表した。緊急地震速報が最大13秒遅れる可能性があったが、解消した。 気象庁によると、システムがつながっている御前崎市内の観測点にある衛星利用測位システム(GPS)装置のスイッチを入れ直したところ、正常に動いた。機器の不具合とみられる。 障害は5日午後2時50分ごろ発生し、観測した地震波に正確な時間を付与できない状態になっていた。7日午後4時に緊急地震速報への活用を再開した。
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安倍川で土砂災害多発 対応は 国交省など静岡で質疑応答型の訓練
国土交通省静岡河川事務所などは5日、大規模土砂災害の発生を想定した合同防災訓練を静岡市葵区の西部生涯学習センターで行った。同事務所や静岡地方気象台、静岡県、同市の防災担当者ら約40人が参加し、訓練の進行役が災害のシナリオに沿って参加者にどのような対応を取るか質問を投げかける「質疑応答型訓練」に取り組んだ。 「大型台風の接近に伴う豪雨により、安倍川流域で地滑りなどの大規模土砂災害が多発した」というシナリオを基に、参加者が場面ごとに回答し、取るべき対応を各機関で共有した。同事務所の阿部聡所長は「地質的に土砂災害が発生しやすい安倍川で、迅速な対応を取れる連携体制を構築していきたい」と話した。
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土砂災害から身を守れ 函南で豪雨想定し防災訓練
函南町はこのほど、土砂災害対応防災訓練を日守公民館などで行い、避難体制の強化や防災意識の向上を図った。 前日から累計雨量が200ミリを超え、今後も1時間当たり30ミリ以上の降雨が予想されるとの想定。午前9時ごろから、土砂災害の危険性が高い日守地区の住民に高齢者等避難や避難指示が相次いで発出されたとして、地元住民約40人が同公民館に避難した。土砂災害から身を守るための講座も受講した。 町職員によるドローンの操作訓練も見学し、同公民館や災害警戒本部が設置された町役場との通信環境を確認した。
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大井川の危険箇所 出水期に備え確認 国交省静岡河川事務所など
国土交通省静岡河川事務所は6日、台風などに伴う洪水に備え、県や静岡地方気象台、藤枝市、吉田町などと合同の河川点検を大井川の堤防で実施した。藤枝市善左衛門の左岸と吉田町大幡、同町川尻のそれぞれ右岸で出水期の危険箇所を確認し、水防への意識向上を図った。 各機関から15人が参加した。藤枝市善左衛門では、同事務所の担当者が洪水時に想定される浸水面積や被災人口など被害の大きさについて資料を基に説明。参加者は水害の危険性を共有した。 大井川の合同点検は出水期に備え毎年行っている。
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出水期備え情報伝達など訓練 三島市、関係者と連携
三島市は4日、市総合防災センターを拠点に出水期に備えた水防訓練を行った。行政や消防、警察などの関係者が連携し、水害や土砂災害を想定した状況確認や連絡方法、情報伝達などを確かめた。 前々日から前線の影響で降雨が続き、積算降水量が300ミリに達したと想定。今後は1時間当たり50ミリの雨が降るとの見通しで訓練を開始した。 同センターに設置された水防本部では、市内各地で発生した停電や崖崩れなどの報告が次々と寄せられ、職員が対応を協議。状況を確認しながら避難指示を発令したり、自衛隊の派遣を依頼したりする流れを確かめた。高齢者施設や病院、保育園など約100施設に対する避難情報の伝達も行った。
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御前崎沖の地震観測システムに障害 緊急速報最大13秒遅れる恐れ
気象庁は5日、南海トラフ沿いで起きる地震を早期検知するため、御前崎沖から三重県沖にかけて敷設しているケーブル式常時海底地震観測システムに障害が発生したと発表した。周辺を震源とする地震が起きた場合、緊急地震速報が最大13秒遅れる可能性がある。現段階で復旧の見通しは立っていないとしている。 同システムは2022年12月にも障害があり、24年2月に復旧したばかり。 気象庁によると、同日午後2時52分ごろから、地震や津波を観測した際の正確な時間が判断できない状態が続いている。ケーブルがつながっている御前崎市の陸上にある観測点の衛星利用測位システム(GPS)装置に不具合があるとみられる。22年の障
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土砂災害で地域の危険箇所は? 富士で図上対応訓練
富士市で土砂災害警戒のモデル地区になっている新町本町区でこのほど、災害対応訓練が行われ、地域住民らが区内の危険箇所を図上で確認した。 区民や自主防災会役員、消防団員ら約60人が区公会堂に集まり、土砂災害警戒情報の発表を想定して訓練を進めた。地区内にある崩れそうな崖や倒れそうな木などを地図上に明示し、被害防止に向けた態勢の運用方法を共有した。 富士川地区にある同区は、約2割の世帯が土砂災害警戒区域内に居住している。市担当者による講話では、大雨による崖崩れや土石流、地滑りの特徴について説明を聞いたほか、早い段階で危険区域を離れるなど対応の原則に理解を深めた。
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病院船活用へ 予算確保要望 首相に超党派議連
大規模災害時にけが人を海上で治療できる「病院船」の活用を掲げる超党派議員連盟(会長・加藤勝信元官房長官)は4日、岸田文雄首相と国会内で会い、運用体制の整備に必要な予算の確保を求める緊急提言を手渡した。 病院船の活用に向け、首相をトップとする推進本部の設置や、財政的な対応を国が行うよう定めた法律が1日に施行したことを踏まえた。
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地元を水害から守る 静岡市、市水防団 工法訓練で確認
静岡市と市水防団は2日、大雨や地震などによる水害に備えた水防演習を同市葵区の安倍川河川敷で行った。市水防団9分団や市消防団員ら約650人が参加し、災害から地元を守るための対応を確認した。 各分団が土のうや資材を利用した約10種類の伝統的な水防工法をそれぞれ実践した。安倍川第4分団の20人は松永明分団長(74)を中心に、噴出する漏水の拡大を防ぐ「月の輪工」の訓練を堤防ののり面で実施。声をかけ合って手順を確認しながら、テンポよく半円状に土のうを積み上げた。 市によると、水防団は団員の高齢化が課題。松永分団長は訓練を振り返り、「地域の安全を守るために、若者の力が必要不可欠と感じる」と話した。
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防災対策 決意新た 伊豆半島沖地震 50年で南伊豆町長
南伊豆町の岡部克仁町長は4日、町内に甚大な被害をもたらした伊豆半島沖地震の発生50年を受け、「自助と共助の重要性をこれまで以上に周知して防災対策を強化する」と述べた。同日開会した町議会6月定例会の行政報告で言及した。 地震は1974年5月9日に発生。町内では30人が亡くなり、特に中木地区では27人が土砂にのみこまれた。今年の慰霊祭では父と息子を失った萩原作之さん(79)があいさつし、岡部町長は「(あいさつを聞いて)未曽有の大災害を風化させてはならないと、後世に語り継ぐ責任を痛感した」と述べた。 一方、地元自治会主催で実施してきた同地区の慰霊祭は今春限りで終幕。町は節目として今回は共催した
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脱炭素、防災強化で協定 長泉町と東電PG
長泉町と東京電力パワーグリッド静岡総支社(沼津市)はこのほど、カーボンニュートラルの実現を目的に、循環型地域社会形成に向けた連携協力協定を結んだ。脱炭素や災害に強いまちづくりを目指し、エネルギーの地産地消や再生可能エネルギー活用などを推進する。 町役場で締結式を開き、池田修町長は「持続可能な生活を送るために、有効な協定になるはず」とあいさつした。市田雅之総支社長は「協定はあくまでスタート。活動を通して町民のみなさんの安全な生活につなげたい」と話した。 同社が静岡県内自治体と協定を結ぶのは4例目。
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防災意識高揚へ 展示や訓練 富士宮市 強化月間
富士宮市は3日、市が定める6月の防災強化月間の開始セレモニーを市役所で開いた。啓発品の展示や訓練を通じて市民の意識高揚を促す。 社会福祉士や保育士などでつくる静岡DWAT(災害派遣福祉チーム)の登録員が、避難所で使われる段ボールベッドや移送支援用具などの使い方を実演した。市役所1階ホールでは防災展を7日まで開き、非常食や家具の固定用品、携帯トイレなどを紹介している。日頃からの備えや家屋の耐震化に関するパネル展示もある。 期間中、学校や市役所での防災訓練、災害時地域リーダー研修会などを実施する。
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障害者ら配慮 大地震の備え学ぶ 三島市手をつなぐ育成会が講演会
障害者の保護者らでつくる「三島市手をつなぐ育成会」はこのほど、防災福祉講演会(静岡新聞社・静岡放送後援)を市民文化会館で開いた。福祉防災コミュニティ協会の鍵屋一代表理事を講師に迎え、会員らが高齢者や障害者に配慮した災害への備えを学んだ。 鍵屋代表理事は「もしも今大地震がおきたら あなたはどうする?」をテーマに講演。多くの人が大地震に遭遇するのは初体験となるため「急ぐと間違いやすい。イメージを膨らめておくことが大事」と備えの重要性を説いた。能登半島地震後の被災地の様子も伝え「トイレがないと水や食事を我慢し、体力が低下する。不機嫌にもなる。清潔なトイレほど大事なものはない」と簡易トイレを備える
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捜索や確認 ドローン活用さらに 下田消防が民間と災害時連携協定
下田地区消防組合はこのほど、ドローンによる測量や海洋調査を手がけるウインディーネットワーク(下田市)と災害時の連携協定を結んだ。情報収集力の向上と活動の効率化につなげる狙い。 組合によると、既にドローン3基を行方不明者の捜索や火災の状況把握に運用しているが、同社の水中ドローンなど高度技術の活用でさらなる効率化を目指す。同社社員の協力を受けることで、消防のドローン操作の人員を現場活動に充てられるともしている。 下田消防本部で調印式が開かれ、組合管理者の松木正一郎下田市長と杉本憲一社長が調印を交わした。
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大雨を想定 通行規制訓練 小山の国道 遮断機操作を確認
国土交通省沼津河川国道事務所はこのほど、小山町棚頭の国道246号で大雨を想定した通行規制訓練を実施した。職員16人が参加し、交通遮断機の操作方法に理解を深めた。 周辺エリアは大雨による土砂災害などの危険性があり、国道246号生土交差点-棚頭インターチェンジ間の6.2キロは連続雨量250ミリに達すると交通規制を行う。同事務所管内では唯一の事前通行規制区間で、訓練では職員が遮断機の電動操作と手動操作の両方を確認した。 村山貴紀道路管理第一課長は「事前通行規制は異常気象時の道路利用者の安全確保に重要。訓練により職員が気持ちに余裕を持ち、的確に操作できるようにしたい」とした。
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浜松市、5年ぶり水防演習 本格的出水期に備え 土のう手際よく
浜松市は本格的な出水期を前に2日、本年度の水防演習を中央区の天竜川河川敷で行った。市水防団の17分団569人が参加し、激甚化する風水害に備えて水防態勢の強化を図った。 新型コロナや豪雨災害の影響で5年ぶりの開催。台風の接近などによって記録的豪雨が予想され、天竜川氾濫の危険性が高まっている―との想定で行った。 各分団は袋に砂を素早く詰め込み、土のうを手際よく積み上げた。土のうを使って「月の輪工」や「釜築工」「せき板工」といった漏水、越水などに備える11種の工法にも取り組んだ。この日は台風2号による豪雨被害からちょうど1年とあって、参加者は緊張感を持って演習を進めた。 土のうを作る早さや積
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大規模災害の対策推進 細江署協議会、5~8月重点事項報告
細江署協議会の本年度第2回会合がこのほど、同署で開かれ、担当者が1~4月の業務推進重点事項の措置結果を報告した。5~8月は、大規模災害などの緊急事態対策の推進に取り組むと決めた。 生活安全課は、4カ月間に管内で不審者情報が7件(前年比6件減)あったと説明。子どもや女性への声かけなど、事件に至らない不審者の「予兆事案」の抑止として、幼稚園、保育園などで防犯講話や訓練を実施したことを紹介した。 地域交通課は、自転車利用者のマナー向上を図った交通指導や啓発活動などの実績を報告した。5~8月にも重点事項として継続的に取り組むほか、ヘルメットの着用推進に向けた活動も展開する。
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情報不足 悩む県外避難者 受け入れ側も支援に支障 能登地震
能登半島地震では、石川県を離れた人が多数に上った。避難者は地元情報の不足に悩む一方、避難先が分からないため受け入れ側も支援が難しい状態が続く。被災地を離れる広域避難は過去の災害でも繰り返され、南海トラフ巨大地震や首都直下地震が起きれば膨大な数になるのは必至だ。所在や避難者数の把握、受け入れ側の体制整備など課題は山積している。 「地元がどうなっているのか、今後どうすればいいのか、分からないので毎日心配だった」。石川県珠洲市の自宅が全壊した高野幸子さん(73)は、夫やほかの住民と富山市のホテルに避難した。珠洲市の仮設住宅へ入居できるようになり、4月に戻った。この間、地元の情報がなく、「不安ば
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車中泊スペース 自治体が事前指定 内閣府、指針策定へ
内閣府は、災害による避難者支援の一環として、自動車で寝泊まりする車中泊向けのスペースや在宅避難者の支援拠点を事前に指定するよう自治体に促す方針だ。避難所に行けなくても同等の支援を受けられる環境を整えるのが狙い。年内にも指針を策定する。有識者検討会が2日までに、対応を求める報告書を大筋でまとめた。 車中泊は、エコノミークラス症候群など健康管理や行政側の状況確認などの面で課題があり、推奨はしない。ただプライバシーの確保やペットの世話といった理由でやむを得ず選択する避難者が目立つ。 各避難者が自由に場所を選ぶと、支援が行き届かない可能性があることから、自治体が避難スペースを事前に公表し、誘導す
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防災テーマに函南でイベント ボイス・キュー開局記念
エフエムみしま・かんなみ「ボイス・キュー」は2日、開局記念イベント「ラジオと一緒に!防災チェック」を函南町の道の駅伊豆ゲートウェイ函南で開いた。 防災をテーマに、心肺蘇生のための自動体外式除細動器(AED)の使い方や、災害時の手ぬぐい活用法などの体験ブースを用意した。電力会社の社員や防災士らを招いた公開放送も行い、多くの家族連れでにぎわった。 同社は1997年6月1日に開局した。
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小山の住民が避難所運営実習 土砂災害、河川氾濫備え訓練
小山町は1日、豪雨による土砂災害や町内を流れる野沢川の氾濫に備えた住民避難訓練を同町の成美小体育館で行った。住民が避難所運営の方法を学び、行政と連携し安全を確保する災害時対応に理解を深めた。 2010年の台風9号で野沢川が氾濫し、大規模な土砂災害も発生した柳島、藤曲、中島、湯船の4区をモデル地区に設定して実施した。町からの避難指示を同報無線や広報車などで覚知した住民約70人は、体育館に次々と避難。受け付けの実践や段ボールのパーティション組み立て、簡易トイレの使用法学習など避難所運営実習に取り組んだ。 2日は水防訓練を行い、町内の自主防災会、消防団、防災士連絡会の関係者ら約110人が陸上自
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能登地震5カ月 ボランティアまだ足りない 炊き出し、片付け、補修…多様化するニーズ
能登半島地震は6月1日で発生から5カ月。倒壊家屋がいまだ多く残る石川県輪島市に5月31日入った。輪島中に開設された避難所では、静岡市駿河区の会社員友田伊織さん(28)と栗原亘輝さん(25)が炊き出しを手伝う姿があった。2人は現地に入り、復興の遅れとボランティアの不足を実感させられた。栗原さんは「またボランティアに来たいし、知人も動員したい」とつぶやいた。 この避難所にはまだ約130人が身を寄せる。日中は約半数が学校や仕事で出かけ昼食は70人分。翌日から仮設住宅に移る人も多いことから、特別に豪華なたい飯を準備した。2人はうろこ取りや野菜のカットなど調理を補佐した。炊き出しを続ける地元グループ
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被災者支援迅速化システム 静岡県内の導入16市町 メリット大きくも費用ネック
災害後に早期の生活再建を支える被災者生活再建支援システムの導入が2023年度末までに静岡県内の35市町中16市町と、半数弱にとどまっていることが県と各市町への取材で分かった。住家の被害認定調査や罹災(りさい)証明の発行、被災者台帳などを一元管理するシステムで、事務作業の迅速・効率化だけでなく、支援の進捗(しんちょく)を把握でき、申請忘れや支援の漏れを防ぐことができる。被災者にとってもメリットは大きいが、初期投資や維持費など財政負担がネックとなっている。 被害認定調査は、行政職員が現場で調べた結果をパソコンに入力し、住民基本台帳などと連携するため、作業に時間を要する。システムがあると、タブレ
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社説(5月31日)能登地震の関連死 支援態勢整え命を救え
能登半島地震による石川県内の災害関連死として奥能登地域3市町の計30人が認定された。能登地震で関連死の正式認定は初めて。今までは15人が「関連死疑い」として犠牲者に加えられていた。 避難所での生活や車中泊で心身に負担がかかったケースが多く、新型コロナウイルスやインフルエンザに感染して亡くなった人もいたという。能登地震の犠牲者は建物の倒壊などによる直接死230人を含めて260人になった。 地震や津波から生き延びた命なのに、その後の生活でなぜ失われてしまったのか。亡くなった経緯はそれぞれだろうが、細かく精査して被災者支援の態勢を整え、確実に命を救っていく必要がある。被災地は一部で応急復旧から
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南海トラフ臨時情報「運用丸投げ」 静岡県内自治体 国、県に要望多数「周知、対応具体化を」
静岡新聞社が県と35市町を対象に実施したアンケートで、ほぼ全ての自治体が「発表されたら混乱する」と答えた南海トラフ地震臨時情報。一方で情報の防災効果について7割を超える自治体が「住民が理解して行動すれば効果がある」と回答した。自治体からは、国に周知の徹底や取るべき対応の具体化を求める声が相次ぎ、県の積極的な関与が必要との意見もあった。理解の促進は制度自体の周知だけではなく、自治体や民間企業、個人が取るべき対応や行動の検討が不可欠だが、現状はほど遠い。 「運用が丸投げされている」。国や県に求めることを自由記述で聞くと、県を含め20自治体が回答を寄せた。うち半数以上の15自治体は周知方法や対応
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巨大地震警戒「混乱」97% 南海トラフ臨時情報運用5年「認知不十分」自治体7割
南海トラフ地震の想定震源域内でマグニチュード(M)8以上の地震が起き、気象庁から「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」が発表された場合、静岡県と35市町の防災担当部署の97・2%が「混乱する」と想定していることが、31日の臨時情報の運用開始5年に合わせ静岡新聞社が実施したアンケートで分かった。そもそも「情報の認知が進んでいない」とする自治体は7割超。複雑な制度が定着せず、発表時に混乱する可能性を鮮明に示す結果となった。 アンケートでは、藤枝市が「その他」を選んだのを除いて、県と34市町が巨大地震警戒が発表された際に「住民に何かしらの混乱が懸念される」を選択した。M7の地震が発生した場合
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南海トラフ地震臨時情報5年、課題は 専門家2氏に聞く【インタビュー】
運用開始から5年となった「南海トラフ地震臨時情報」。静岡新聞社が県と35市町に対して実施したアンケートでは、情報の発表で混乱が生じるとの回答が9割を超えた。複雑な情報を住民に周知する難しさや、予知や予測ではないという情報の性質が理解されていない状況が浮かび上がる。制度構築に携わった2人の専門家に課題を聞いた。(社会部・中川琳) 自主的な備え促す仕組み 平田直氏(南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会会長) ―9割以上の市町は情報が発表された場合に何かしらの混乱が生じると回答した。制度が浸透しない理由は。 「予知、予測の仕組みだと捉えられ、自治体職員にも正しく理解されていない。国も、私自
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災害など非常時に政府が自治体指示 改正案が衆院通過
大規模な災害や感染症の流行など、想定外の事態に国が自治体に対応を指示できるようにする地方自治法改正案は30日の衆院本会議で可決、通過した。自民、公明、日本維新の会、国民民主各党などの賛成多数。非常時に国主導による迅速な対応を可能にする狙い。指示が適切だったかどうか検証するため国会への事後報告を義務付ける修正を加えた。自治体との事前協議の仕組みは盛り込まなかった。立憲民主党、共産党、れいわ新選組は「時の内閣の恣意(しい)的な判断で指示できる」などと改正案に反対した。 国と地方の関係を「対等・協力」と定めた地方分権の原則は維持し、指示権は特例として位置付ける。行使の際は、全閣僚の同意が必要な閣
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土砂災害防止へ連携確認 治水砂防協静岡県支部 静岡で総会
静岡県内35市町の首長らでつくる全国治水砂防協会県支部は29日、静岡市葵区で通常総会を開いた。豪雨に伴う土砂災害や河川の氾濫が頻発する中、関係機関が連携して被害防止に取り組む方針を確認した。 県内では、2022年に全国最多の211件、23年に59件の土砂災害が発生した。支部長の須藤秀忠富士宮市長は「土砂災害の危険性や防災・減災対策の重要性を伝える支部の取り組みを一層発展させたい」と述べた。来賓の増井浩二副知事は、県内に土砂災害警戒区域が1万8千カ所余りあることを踏まえ「県民の生命と財産を守るため、国や市町と連携してハード・ソフトの両面で対策に取り組む」と強調した。 総会では、砂防や地すべ
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台湾テレビ局が静岡訪問 県内の防災を取材、市民や企業訪問
台湾のテレビ局「TVBS」の撮影班が28日から、静岡県内の防災対策を取り上げる番組制作のため、県民や企業、公共施設を取材している。台湾東部沖で4月初旬に発生したマグニチュード7・2の地震を受け、静岡県の防災活動に着目した。29日は防災アドバイザーの波多野友美さん(49)=浜松市浜名区=を取材した。 同テレビ局の王薏絜(オウ・ヨクケツ)記者らスタッフ2人と通訳が波多野さんの自宅を訪問した。波多野さんは自宅に常備する避難用のリュックやトイレ、飲料水などを紹介した。家屋の地震対策として、家具を金具で固定し、地震による落下を防ぐことができることを説明した。家の中を見た後、王記者は「大人が防災につい
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東海道新幹線運休の可能性 線状降水帯の半日前予測で
JR東海は28日、東海地方などに線状降水帯の半日前予測が出ているなどとして、夕方から夜にかけて東海道新幹線を運休する可能性があると発表した。
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能登で支援活動 中高生語る 御前崎のNPO 報告会 日頃から防災対策 重要性訴え
御前崎市のNPO法人御前崎災害支援ネットワークは25日、能登半島地震で被災した石川県珠洲市での支援活動の報告会を御前崎市の佐倉地区センターで開いた。活動に参加した中高生6人が現地で感じたことや教訓を語った。 同NPOは4月20日に「おまえざき屋台村」と題し、約30人態勢で炊き出しや子ども向けのレクリエーション、生活物資の配布を行った。常葉菊川高2年の石原剛太さんは「被災者を手助けしたかった。至る所で家屋が倒壊し、人が住める状況ではなかった」と振り返った。池新田高3年の松本穂乃香さんも被災地に足を踏み入れ「衝撃を受けた」と述べ、「災害が起きる前から防災グッズをそろえるべき」と日頃の防災対策の
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【提言・減災】スロー地震の活動注視 小原一成/東京大地震研究所
4月17日、四国と九州の間の豊後水道でマグニチュード(M)6・6の地震が発生し、最大震度6弱を観測した。いよいよ南海トラフ巨大地震が起きたと思われた方もいたかもしれない。この地震はプレートの沈み込みに伴う地震ではあるが、プレート境界ではなくプレート内部で起きた。巨大地震に何らかの影響を与えたのだろうか。 地震が発生すると、その震源断層にかかっていた力は解放されるが、周囲に新たな力を配分するため、二次的な地震を促進したり逆に抑制したりする。これは理論的に計算できる。今回の地震では、プレート境界で地震の発生を促進あるいは抑制する場所がまだら模様に現れた。しかし、いずれにしても再配分される力はご
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【第4章】半割れ発生(後編)⑦ 課題山積の避難所 被災者同士で心身ケア【東海さん一家の防災日記 南海トラフ地震に備える/いのち守る・防災しずおか】
四国沖でマグニチュード(M)8.0の大地震が起き、気象庁が後発地震への警戒を呼びかける南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)を発表してから約1年半が経過した。津波浸水想定区域に住む要配慮者らに事前避難が呼びかけられた「地震発生から1週間」はとうに過ぎ、市民が自宅での通常生活に戻った中、「その日」は突然訪れた。 1月の日曜未明に遠州灘で発生したM8・5の地震から5日目を迎えた。小学校教諭の東海富士子さん(35)は津波浸水区域のわずかに外側の高台にある勤務校まで、毎日約4キロ歩いて通った。ほとんどの地域でまだスマートフォンが通じず、何十人もの児童や教員が安否不明のままだ。 勤務先の小学校は
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新潟中越地震20年 若者戻る施策紹介 まちづくりシンポ
68人が死亡した2004年の新潟県中越地震から10月で20年となるのを前に、人口減少下におけるまちづくりを考えるシンポジウムが25日、被災地の新潟県小千谷市で開かれた。宮崎悦男市長は、人口減少を見据えた上で若い世代が戻りたくなるような施策に力を入れていることを紹介した。 地域安全学会が主催した。宮崎氏によると、当時約4万1千人だった人口は現在、約3万3千人。宮崎氏は、50年には約2万人になるとの見通しを示し「若者を呼び戻し、産業を維持して、安定した歳入を確保する」と訴えた。そのために、地ビール販売に向けた後押しなどの地域振興策に取り組んでいると述べた。 当時、市の支援に当たった常葉大の重
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能登地震関連死、30人初認定 石川、避難生活や車中泊で負荷
石川県は23日、能登半島地震による災害関連死として3市町の計30人が認定されたと発表した。関連死の正式認定は初めて。避難所での生活や車中泊で心身に負荷がかかったケースが多く、避難所で新型コロナウイルスやインフルエンザに感染して亡くなった人もいた。地震の犠牲者は、建物倒壊などによる直接死230人を含め260人となった。 関連死に認定された人の遺族には、災害弔慰金支給法に基づき最大500万円が支給される。 家族が関連死に認定された輪島市の70代男性は取材に「ようやく気持ちの整理ができる。残された家族が少しでも前を向けるので、認定されたことはありがたい」とほっとした様子で話した。 認定は輪島
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関東地方知事会議 防災対策充実など13項目 国に要望へ
関東地方知事会議が23日、都内で開かれ、国への要望13項目を取りまとめた。能登半島地震で顕在化した課題を踏まえ、防災対策の充実を求める内容が多くを占めた。本県が提案した消防防災ヘリコプターの代替機体確保や孤立集落対策の推進も盛り込まれた。 本県の森貴志副知事は「消防防災ヘリの検査や修繕には数カ月かかることもある」として、点検期間などに運航可能な機体を国主体で確保する必要性を指摘した。2013年度に内閣府が実施した中山間地域の孤立集落発生可能性調査のフォローアップを全国的に行い、必要な備蓄の調達、物資輸送手段の確保を国が後押しすべきだと訴えた。 災害ボランティアセンター立ち上げの際、被災自
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コインランドリーで炊き出し 島田の六合中生ら訓練
東海ガス(焼津市)と島田市の六合中などは23日、同市の災害対策型コインランドリー「くりっぴーランドリー島田店」で防災訓練を行った。 地元の道悦島自治会員と同校生徒ら約30人が参加。同店に設置されているガス栓などを使用し、約170人分のアルファ米とカレーを調理した。 訓練は同店を建設した東海ガスと市が2022年に締結した「災害救助の応援に関する協定」に基づき実施した。同店には非常用発電機や調理器具が完備されていて、災害時は一時避難場所として利用できる。 同店での防災訓練は昨年に続き2回目。今回初めて同校と連携して実施した。同自治会の亀山昌仁会長(68)は「子どもたちに災害時に活用できる場
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9月総合防災訓練 能登課題盛り込み 伊東で全体会議
静岡県と熱海、伊東両市は23日、9月1日に両市を主会場に実施する2024年度県総合防災訓練の第1回全体会議を伊東市観光会館で開いた。重点の一つに能登半島地震の教訓への対応を盛り込み、各種訓練を展開する。約80団体の180人が集い、会場ごとの内容などを協議した。 能登半島地震では被害情報の把握や道路寸断、孤立地域への対応、避難所運営などさまざまな課題が浮き彫りになった。訓練ではドローンを使った情報収集や空路・海路を活用した人員・物資の輸送などを計画する。伊東市民運動場の駐車場では土砂埋没車両や倒壊家屋からの救出・救助訓練を行う。会議では関係する消防や警察、自衛隊の出席者らがそれぞれの役割など
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飼い主7割超「防災対策不十分」
アイペット損害保険(東京都江東区)が、犬猫の飼い主に防災に関する意識調査を行ったところ、自分の防災対策を不十分だと感じる人が7割超に上った。 2月、飼い主千人を対象に実施。 防災対策について、「全くしていない」は35・9%、「あまりしていない」は38・4%で、計74・3%が不十分だと感じていた。 実施している防災対策(複数回答)については、犬は「基本的なしつけ」「ケージなどに慣れさせている」、猫は「ペット用の防災グッズを備えている」「家具の固定など自宅の環境を整えている」が上位に並んだ。 環境省は、災害時に飼い主がペットを連れて安全な場所に逃げる「同行避難」を原則としている。しかし、
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伊豆など半島地域 防災強化へ国方針 能登地震教訓に
国土交通省は17日の有識者会議で、能登半島地震を教訓に、全国にある半島地域の防災対策を強化する方針を示した。災害に強いインフラの整備や、集落の孤立を防ぐ方策などを検討する。2025年度予算の概算要求や、25年3月末に期限を迎える半島振興法の見直し作業に反映させる。 インフラでは、道路や空港、港湾、農業関連施設などの防災力を高めたい意向だ。能登地震では道路の通行止めが多発したほか、港湾も損壊し、救助関係者らが半島の先にある被災地まで到達するのが難しかったことが背景にある。 集落の孤立防止に向けては、水と食料の備蓄や非常用通信設備の整備などが重要とした。平時も災害時も安心して生活できるように
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【地震の活動期】専門家「まだ続く、警戒を」 相次ぐ災害、9世紀と酷似
1月の能登半島地震以降、各地で強い地震が続いている。専門家が注目するのは平安時代の9世紀。三陸沖と南海トラフで巨大地震が迫る中、内陸地震や噴火が頻発した状況は現代とよく似ており、「活動期は次の南海トラフ地震まで続く。警戒を」と呼びかけている。 日本列島は1995年の阪神大震災以来、地震の活動期に入ったとされる。震度5弱以上は2022年に計13回、23年は8回だったが、今年は4月末で23回とハイペースで発生。4月17日に南海トラフ地震の想定震源域の豊後水道で震度6弱が観測されると、関係者に緊張が走った。 南海トラフ地震は約100~200年間隔で繰り返し、最古の記録は684年の白鳳地震。次
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災害時、認知症患者どう支援? 小山でサポーター向け防災講座
小山町は14日、認知症サポーターらを対象とした防災講座を町総合文化会館で開いた。町内のサポーターと地域包括支援センター職員ら計25人が参加し、災害時の役割に理解を深めた。 町危機管理局の永井利弘防災専門監が講師を務めた。災害時に認知症サポーターに期待することとして①避難所などで認知症について正しい理解を周知する②家族ら支援する人を温かく見守り応援する③専門的な見地から避難所運営の責任者らに助言する-の3点を強調。認知症患者を差別せず、避難所などとの橋渡し役を担ってくれるサポーターの存在は、支援者家族らにとって大きな支えになることを学んだ。 簡易トイレをはじめとした多彩な災害備蓄品や非常食
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防災対策「先進県」と言えず 耐震性ない住宅、2003年34万戸→2018年は15万戸【知事選2024 静岡の現在地⑤完】
1976年に発表された東海地震説以降、官民を挙げた防災対策で“防災先進県”として認知されるようになった本県。重点的に進めた対策の一つが建築物の耐震化だ。国の法改正に先立ってほぼ同等の耐震基準を定めた構造設計指針を策定。木造住宅の耐震補強補助も先駆けて行い、追随される立場だった。だが、他の自治体も対策を強化。もはや、「先行している」とは言えない状況がある。 静岡市葵区上足洗の無職男性(72)は昨年、2回目の補強工事を行った。リフォームを機に診断すると、現行の「2000年基準」に満たなかったためだ。国は1981年と2000年に耐震基準を改正。16年の熊本地震では81
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物資調達手段、避難所運営…災害時連携へ意見交換 市民団体など富士で交流会
富士市社会福祉協議会と富士市民活動センター、市はこのほど、被災者支援ネットワーク交流会を同市のコミュニティfで開いた。同市と周辺の福祉関係者や市民活動団体の46人がそれぞれ災害時にできそうなことを説明し、連携の可能性を探った。 参加者は物資調達手段の用意や避難所運営の経験など災害対応に直結する分野で意見を交わした。子どもの居場所づくりや困窮家庭向け食糧支援といった平時の取り組みを避難現場で活用できないかも話し合った。「活動を見学させてほしい」と、連携に向けて動き出す参加者もいた。 交流会は災害に備えて市民ボランティアらの結束を高めようと、市社協が1月に初開催した「被災者支援ネットワーク会
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【提言・減災】震源域M6・6 備え契機に 平田直/東京大名誉教授
4月17日深夜、豊後水道でマグニチュード(M)6・6の地震が起きた。私はすでに布団にくるまって寝始めていたが、スマートフォンアプリからの緊急地震速報の通知で目が覚めた。慌ててテレビをつけると、愛媛県と高知県で震度6弱の強い揺れが観測されたと報じられている。これはもしかすると大変なことになるかもしれない―。 この地震は内閣府の定めた南海トラフ地震の想定震源域の“中”で起きた。巨大地震の発生が頭をよぎった。正確な発生場所や地震の規模は…。M7を超えれば、巨大地震が発生する可能性が高まったと判断できる。未明に開かれた気象庁の記者会見を聞き、関係機関の情報を収
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災害時の行動 釜石に学ぶ みをつくし特支で講座 浜松市浜名区
浜松市浜名区細江町の浜松みをつくし特別支援学校で8日、防災講座が開かれた。高等部の生徒約60人が東日本大震災に関する映像を視聴して地震や津波の被害に理解を深め、自分の命を自分で守るための備えの大切さを学んだ。 2011年3月の震災当時、小中学校の児童生徒が避難して被害を免れた岩手県の「釜石の奇跡」について学習した。講師を務めた県西部地域局危機管理課の相羽佑一主査は、中学生が避難する様子を見て小学生が後に続いた状況に触れ、「緊急時に、まず避難する『率先避難者』になることが、周りの人の命を助けることにつながる」と呼びかけた。 同校は同日、全校児童生徒約250人を対象に、大地震を想定した避難訓
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社説(5月8日)「伊豆半島沖」50年 地震の記憶語り継いで
伊豆半島南端を震源域として発生した伊豆半島沖地震から9日で50年。地震の規模はマグニチュード(M)6・9で、南伊豆町石廊崎で震度5を観測した。同町中木地区で大規模な斜面崩壊が起きて集落をのみ込むなど、町内で30人が犠牲となった。 地震国日本では、いつどこで地震災害が起きても不思議はないといわれる。今年の元日にもM7・6、最大震度7を観測する能登半島地震が起きた。三方を海で囲まれて山地が多い地形など、能登半島と伊豆半島の類似点は多い。 能登地震は発生4カ月を経過したが、約4600人が避難所に身を寄せ、3700戸以上が断水したままだ。そして被災地からは人口が流出している。初動対応から応急復旧
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災害関連死審査備え進まず 静岡と浜松は設置条例規定あり 「規定なし」48%
被災後の心身の負担が原因で亡くなる「災害関連死」について、主要87市区のうち48%に当たる42市が、審査会の設置を条例に規定していないことが6日、共同通信の調査で分かった。正確で迅速な審査のための準備が「できていない」と回答したのは、規定のあるところも含め62市(71%)に上った。国は2019年、審査会設置を条例で定めるよう努力義務化したが、備えが進まない実態が浮き彫りになった。認定の遅れにより、生活再建に影響が生じる懸念がある。 関連死と認定されると災害弔慰金支給法に基づき、津波や家屋倒壊などによる直接死と同様に遺族に弔慰金が支給される。国は直接死の4倍を超える関連死が出た16年の熊本地
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河西訓導しのび献花 命の大切さ、災害への備え学ぶ 浜名区・都田小
浜松市浜名区の都田小は2日、97年前の昭和2年(1927年)5月に豪雨で増水した都田川に転落した児童を助け、自らは命を落とした河西哲英訓導(教諭)をしのぶ献花式を、同区都田町の「河西訓導殉職之碑」前で行った。全校児童約100人が命の大切さ、災害に備える重要さについて考えた。 同校では毎年、河西訓導の功績を伝え継いでいる。この日は6年生が河西訓導の紙芝居を披露した後に碑を訪れた。「自分も友達も大切にします」などと誓いの言葉を唱和し、それぞれが持参した花を手向けた。 6年の石田朝翔君(11)は「命を大切にするということを学んだ。河西先生への感謝の気持ちを忘れないようにしたい」と話した。
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静岡市役所清水庁舎 難波市長「大地震後は機能維持困難に」 24年度内に補強方法決定
静岡市の難波喬司市長は30日の定例記者会見で、老朽化に伴い改修する市役所清水庁舎について、2023年度に実施した耐震診断の結果を公表した。南海トラフ巨大地震級の大地震が発生した場合、建物が変形し、余震によって崩壊する危険性があるとして「庁舎機能の維持が困難になると予想される」と説明した。補強の規模や方法は24年度内に決める。 診断では、本震では崩壊しないが、建物の耐力に影響を受けるほどの変形が残る「中破」程度の被害が出るとされた。天井や椅子、棚なども被害を受けることから、被災前の庁舎機能を維持するのは難しいという。 難波市長は「これほどの変形が出るとは思わなかった。これだけ変形が出るとか
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伊豆半島沖地震の爪痕紹介 発災50年で企画展 沼津
5月9日に発災から50年を迎える伊豆半島沖地震の企画展が30日、沼津市の静岡県東部総合庁舎で始まった。南伊豆町に大きな被害をもたらした地震の被害を記録した写真などを展示している。5月17日まで。 全壊した家屋や大破した石廊埼灯台、地割れした道路などを収めた写真10枚を並べた。死者30人、家屋全壊134棟に上ったマグニチュード(M)6・9の地震の大きな爪痕が見て取れる。 発生当日の静岡新聞夕刊1面も展示した。「南伊豆町海岸地帯は壊滅状態」との見出しが目を引く。主催する県東部地域局の担当者は「地域で起きた災害を知り、家具の固定や食料備蓄など命を守る備えを考えるきっかけにしてほしい」と話す。
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【第4章】半割れ発生(後編)⑤ 避難所は大混雑、車中に長時間 体調悪化【東海さん一家の防災日記】
四国沖でマグニチュード(M)8.0の大地震が起き、気象庁が後発地震への警戒を呼びかける南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)を発表してから約1年半が経過した。津波浸水想定区域に住む要配慮者らに事前避難が呼びかけられた「地震発生から1週間」はとうに過ぎ、市民が自宅での通常生活に戻った中、「その日」は突然訪れた。 遠州灘を震源とするM8・5の地震発生から3日目。県内沿岸部は高さ10~15メートルの津波に襲われ、浸水区域から逃げてきた大勢の市民も同区域外の避難所に身を寄せていた。東海駿河さん(73)が自主防災会会長を務める地域の小学校体育館にも想定収容人数の2倍以上の人が殺到し、混雑が限界近く
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【提言・減災】過疎地耐震化、重点的に 福和伸夫/名古屋大名誉教授
元日に起きた能登半島地震では、古い木造家屋が多数倒壊し、多くの人が犠牲になった。全壊家屋棟数は8千棟を超え、2016年の熊本地震に匹敵する。能登と熊本で震度6強を観測した地域の人口差は6倍程度あるので、能登での被害の大きさが分かる。原因は強い揺れと被災地の耐震化率の低さにある。被害が大きかった奥能登の輪島、珠洲、能登、穴水の4市町の耐震化率は50%前後であり、全国平均87%と比べ極めて低い。 背景には高齢化と過疎化がある。4市町の高齢化率は50%前後で人口減少も著しい。このため、空き家率も20%を超えており、損壊家屋数は世帯数を上回っている。そもそも、耐震化率の向上には、建て替えの寄与が大
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南海トラフ備え防災教育、日常から 愛媛の小学校
17日深夜に震度6弱を記録した愛媛県愛南町の町立柏小学校は、南海トラフ巨大地震に備え防災教育に力を入れる。昨年度は町の防災教育研究校に指定され、防災マップ作りや日常的な避難訓練に1年間取り組んだ。地震の翌18日は児童全41人が無事出席し、防災教育会も実施。前田和美校長(54)は「今回の経験を生かし、地域のために動ける能力を身に付けてほしい」と話す。 南海トラフ地震発生時に最大17メートルの津波が想定される愛南町は、2011年に「防災教育プログラム」を策定。11年度より持ち回りで町内の各小中学校を、防災教育を重点的に実施する学校に指定し、地震・津波の知識や被災時の行動計画などを教える。柏小は
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大地震時の体制確認 浜松市が情報伝達・参集訓練
浜松市は26日、大規模地震の発生に備えた市職員情報伝達・参集訓練を実施した。職員が災害時の初動対応を確認した。 開庁時間外の午前6時40分、市内で最大震度7の地震が発生したとの想定。情報伝達訓練は教職員らを除く約5300人が対象で、安否や被災状況を回答するメールに対し、想定発災時刻から30分後の午前7時10分までに約3100人の職員が回答した。参集訓練は災害対策本部会議に出席する部長級や指定された職員317人が対象で、午前8時10分までに236人が参集した。 中野祐介市長は、能登半島地震の被災地では行政職員も被災者のため、登庁が困難だった点に触れ「初動対応は難しくともその後の対応の優劣を
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南海トラフ地震の新被害想定「夏までの公表困難」 国の検討会、能登検証踏まえ防災対策
内閣府は25日、策定を進める南海トラフ巨大地震の新たな被害想定について、夏までに公表するのは困難との見通しを示した。当初は2023年度内の公表を予定していたが、能登半島地震を受けて策定作業を中断していた。政府の能登半島地震の検証作業が6月ごろまでかかるため、それを踏まえて、被害想定とセットで防災対策に盛り込む手続きがあるのが理由。 同日の「南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会」(座長・平田直東京大名誉教授)の会合後、担当者が取材に対して明らかにした。 検討会は非公開で、昨年9月以来の開催。内閣府の担当者は「被害想定を算出する手法は了承された。現時点で被害想定と防災対策の公表のめど
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南海トラフ想定 静岡県職員参集訓練 初動態勢を確認
静岡県は25日、南海トラフ沿いで巨大地震が発生した際の初動態勢を確認するための職員参集訓練を県庁や各出先機関で行った。速やかな災害対策本部の立ち上げに加え、「南海トラフ地震臨時情報」が発表された際の対応も確認した。 訓練は実施日時を事前に知らせない抜き打ちで行った。午前6時45分ごろ、和歌山県南方沖の深さ約10キロでマグニチュード(M)9・1の南海トラフ巨大地震が発生したとの想定。訓練開始の連絡を受けた職員は徒歩や自転車などで県庁や地域局などの担当部署に参集した。情報、対策、支援調整などのグループごとに受け付けをし、災害対策本部と各方面本部との通信手段の確保や防災情報共有システムによる情報
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能登の教訓生かせ 抜き打ち参集訓練 長泉町
長泉町は能登半島地震を教訓に休日の21日夕、抜き打ちの職員参集訓練を行った。対象の65%が2時間以内に集まり、災害対応初動体制を確認した。 能登半島地震と同時刻の午後4時10分に、町内で最大震度6強の揺れを観測したとの想定。訓練では全職員が参集可否状況をシステムに入力。本部室職員46人のうち、30人が2時間以内に所定場所に駆けつけた。 町によると、能登半島地震発災当初の現地職員参集率は20~62%。椎田清隆地域防災課長は発災時に個人の被災状況やインフラへの影響を考慮する必要があるとした上で「訓練の参集率は高い方だと思う。休日の状況を検証することができた」と総括した。
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大地震の初動、情報伝達を実践 御前崎市が職員参集訓練
御前崎市は24日、大規模地震発生を想定した職員参集訓練を行った。新年度で庁内の人員配置が入れ替わったことを受け、初動対応や情報伝達を実践し、危機意識を高めた。 市職員378人を対象に実施した。午前6時50分、市災害対策本部会議の立ち上げと同時に参集メールが一斉に送信され、悪天候の条件で1時間以内に73・3%に当たる277人が市役所に駆け付けた。各部署ではそれぞれ災害発生直後に行う業務などを確認し、庁舎内の連携体制を強化した。 下村勝市長は「災害発生は防げなくても被害は最小限に抑えることができる。公的支援を提供する側として、日頃から備えを心がけてほしい」と訓示した。
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車中泊避難 支援せず84% 災害経験の558自治体調査
過去10年間に災害を経験した558市区町村の84%が、車中泊している避難者の支援に取り組んでいなかったことが内閣府の調査で23日判明した。車中泊は、エコノミークラス症候群の危険もあるため注意が必要だが、職員やノウハウの不足で手が回っていないという。 支援の必要性については、77%が「強く認識している」か「認識している」と答えた。「今のところ必要性はない」が12%、「検討したことがない」が8%。3%は「車中泊は望ましくないので認めていない」とした。 支援が進まない理由を複数回答で尋ねたところ「人員不足」が217自治体と最多で、「ノウハウ不足」が194自治体で続いた。車中泊避難が災害対策基本
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災害時、ドローンで活動協力 NPOと協定締結 川根本町
川根本町は22日、藤枝市のNPO法人「無人航空機(ドローン)活動支援協会」と災害時におけるドローンによる活動協力に関する協定を結んだ。 協定には、災害時に同法人がドローンで上空から被害状況を撮影・録画し、町に情報提供を行うことなどが盛り込まれた。同法人が所有するドローンには録画やスピーカー機能が備わっていて、避難を呼びかける広報などを放送することもできる。 同町役場で締結式が行われ、同法人の中村佳晴理事長と薗田靖邦町長が参加した。中村理事長は「災害時に人々の助けになるために活動を続けている。連絡をもらえれば、すぐに対応したい」とあいさつした。
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大規模地震想定し初動態勢確認 三島市で職員参集訓練
三島市は23日、突発型大規模地震を想定した職員参集訓練を行った。被害状況の把握や情報収集など初動態勢を確認した。 マグニチュード(M)9・1の地震が午前7時に発生し、市内で震度6弱を観測したとの想定で実施。訓練メールを受けた職員が徒歩や自転車、バイクで次々職場に駆け付けた。 発災想定45分後には市総合防災センターで災害対策本部会議を開始。幹部職員が市内の被害状況を共有し、対策を協議した。職員によるオフロードバイク隊が2隊に分かれて出動し、市内の被災状況を報告した。 豊岡武士市長は「初動が市民の命を救うために重要。災害時の役目をしっかりと確認してほしい」と指示した。
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地域の絆 救助の支えに 消防団員減 初動遅れ危惧【伊豆半島沖地震50年 教訓 後世へ㊥】
「誰かいないか!」。1974年5月9日。生まれ育った南伊豆町中木地区を埋め尽くした土砂に消防団の同僚と2人で立ち、萩原作之さん(79)は無我夢中で叫んでいた。父の清次さんとまだ2歳の息子の清之ちゃんがのみ込まれた土砂崩れの上で-。伊豆半島沖地震から50年を迎え、当時現場で活動した町民たちは郷里の防災力強化を願い、それぞれの教訓を通じて課題を今に伝える。 当時29歳の萩原さんは、崩壊現場近くの郵便局に勤務していた。かつてない揺れから屋外に避難し、中木地区の城畑山の崩壊を目撃した。一目散に駆け付けたが、当初は同僚と2人だけ。萩原さんは大けがを負った年配の男性を背負って土砂の山を登ったという。
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浸水被害認定受けやすい判定基準に緩和 沼津市が方針
沼津市は22日の市議会総務委員会で、本年度から見直した水災害で床上浸水した住家の被害認定調査の判定方法に関する基本方針を報告した。床下、柱、内壁といった目視で確認できない損傷箇所の判定基準を緩和するなど、被害認定を受けやすい基準に変更した。 調査員による判定のばらつきを防ぎ、公平で迅速な判定を行うため、基本方針を設けた。内壁面の取り外しが必要な工事などを想定。目視で確認できない箇所の被害認定は、他の部位の損傷程度からの推測を可能にするための基準を明文化した。 判定方法は基本方針を基に見直した。被害が重く判定される床下の汚泥堆積は現場確認が必要だったが、今後は浸水があれば、一律に堆積を認め
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「まちをどう守るか考えて」 湖西市消防、能登活動伝える市民講座
湖西市の表鷲津生涯学習推進懇談会は20日、能登半島地震の被災地に派遣された市消防本部職員による市民講座を、同市の表鷲津多目的ホールで開いた。約40人が緊急消防援助隊の役割や被災地での活動を学び、大規模災害に対する地域の備えを考えた。 同本部消防署の救急救命士宍井一滋さん(43)らが講師を務め、1月1日の発災から同21日まで、全国から延べ約5万9千人が派遣された緊急消防援助隊の動きを解説した。静岡県大隊の一員として被害が大きかった石川県珠洲市で活動した様子を紹介し、道路の隆起や土砂崩れのため現地へ入るまでに時間がかかったことや、厳しい寒さや雪の中での活動に苦労したことを振り返った。 宍井さ
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災害時の交番協力員に 元警察官17人 浜松、浜北署で委嘱式
浜北署はこのほど、浜松市浜名区の元警察官17人を大規模災害等交番協力員に委嘱した。同署で委嘱式を開き、成岡智署長が代表者の大串欽一さん(67)=同区新原=に委嘱状を手渡した。 大規模災害等交番協力員は、同署員が災害時などの応援で同署管内を離れているとき、代理で交番に常駐する。成岡署長は「身の安全を守りつつ交番のバックアップをしていただきたい」と呼びかけた。
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山崩壊 地区埋めた土砂 記憶つなぐ 遺族の決意【伊豆半島沖地震50年 教訓 後世へ㊤】
5月9日、南伊豆町に甚大な被害を及ぼした伊豆半島沖地震の発生から50年を迎える。静岡県では南海トラフ巨大地震の危険性が叫ばれ、年明けの能登半島地震を受けた「半島防災」の備えも大きな課題となっている。新たな地震の犠牲者を生まないために、何ができるのか。当時の被災者の経験と思いをたどり、防災への教訓を探る。 空にはどんよりとした雲が広がり、時折小雨がぱらつく朝だったと伝えられている。半世紀前に発生した伊豆半島沖地震。半島最南端の南伊豆町で祖母るやさんと母良子さんを失った山口柳二さん(55)、一実さん(53)兄弟は当時、5歳と3歳だった。生き抜いた最も若い世代として、悲劇を後世に伝えたいとの思い
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南海トラフ防災基本計画 5月 改定議論再開へ
南海トラフ巨大地震の防災基本計画改定に向けた政府の作業部会が、5月に議論を再開することが21日、関係者への取材で分かった。今春の計画改定を予定していたが、能登半島地震への対応で作業が中断していた。今回の対応の教訓も反映させるため、秋以降になる公算が大きい。 政府は2011年の東日本大震災を踏まえ、巨大地震対策の見直しに着手。南海トラフ地震については、12年に「最大32万3千人が死亡する」との被害想定を公表した。14年には、10年間で死者を8割減らすなどの「減災目標」を盛り込んだ基本計画を策定した。 計画の期限は23年度末で、昨年から有識者らの作業部会が、被害想定の見直しを進めていた。津波
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水害備え避難所運営訓練 伊東市職員ら 円滑な対応確認
伊東市はこのほど、出水期の風水害の発生に備えた避難所運営訓練を伊東小体育館で行った。開設時に関わる職員や市幹部ら約40人が集い、円滑な対応のために手順の習熟を図った。 通常の避難者と体調不良を訴える避難者の各パターンを想定し、避難所を訪れた市民を受け付ける流れを実践した。危機対策課の実演に続き、参加者がグループ別で訓練した。避難者役と受け付け役に分かれ、受け入れる際の動きや注意点を学んだ。 会場に設営する折りたたみ式の間仕切りの扱い方も確かめた。小野達也市長は「避難者の不安が少しでも解消されるよう、寄り添った運営に努めてほしい」と呼びかけた。
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牧之原市の新体育館が完成 原発事故時の避難所にも
牧之原市須々木の市多目的体育館「ガスワンアリーナ」の落成式が20日、同所で行われた。平時はスポーツ施設として、中部電力浜岡原発(御前崎市)での事故発生時には、要配慮者が避難する「放射線防護施設」として機能する。一般利用は5月1日から。 落成式ではテープカットや地元の太鼓団体による演奏で完成を祝った。杉本基久雄市長は「新たな防災拠点になる。市民の安心安全の向上につながる」とあいさつした。 体育館は地上2階建ての延べ面積約5600平方メートル。観覧席約520席が付くバスケットコート2面分のメインフロアや多目的ルーム、トレーニングルームなどを整備した。浜岡原発から半径5キロ圏内にいる要配慮者約
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臨時災害FM 開設ゼロ 奥能登4市町 人員不足で
能登半島地震で甚大な被害が出た石川県輪島、珠洲、能登、穴水の奥能登地域4市町で、自治体が住民向けに支援情報などを伝える「臨時災害放送局」(災害FM)が開設されていないことが20日、各自治体への取材で分かった。人員不足などが要因といい、断水の復旧や仮設住宅の手続きといった行政情報の伝え方に課題が残る実態が浮かび上がった。 災害FMは阪神大震災の経験を踏まえ1995年に制度化された。自治体が総務省に申請し、許可を得ると臨時に設置できる。2011年の東日本大震災では28市町が開設し運用。16年の熊本地震や18年の北海道胆振(いぶり)東部地震でも開設された。 災害FMはラジオを通し、住民の安否
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長時間津波警報、情報充実へ 気象庁、継続見通しや根拠提示
気象庁は、大規模地震で津波警報が長時間続いた場合の記者会見や報道発表での情報発信を見直す。住民の不安軽減のため、新たに、過去の地震を引用して「少なくとも半日から1日程度継続の見通し」と伝えたり、警報が続いている根拠を示したりする。19日、同庁の有識者検討会がまとめた報告書に沿って順次改善するとしている。 気象庁は、地震発生直後に津波から早めの避難を促す情報を重視してきた。一方、南海トラフや日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震では、警報が長引くと予想される。危険な場所に戻らず避難を続けてもらうことや、津波リスクの高い場所での人命救助などに当たる関係機関の判断に役立つ情報の出し方を充実させる必要が
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愛媛、高知震度6弱 南海トラフ「変化見られず」 政府地震本部臨時会
政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会(委員長・平田直東京大名誉教授)は18日、17日深夜に発生した豊後水道を震源とするマグニチュード(M)6・6の地震を受けて都内で臨時会を開いた。平田委員長は会合後の記者会見で、南海トラフ巨大地震との関連について「地震後の地殻変動に有意な変化は見られず、発生の可能性が平時と比べ高まったとは考えていない」との見解を示した。 同委によると、地震発生後に近傍のひずみ計の観測データや低周波地震活動に有意な変化はみられなかった。平田委員長は「南海トラフ地震がいつ起きてもおかしくないことに変わりはない。普段からの対策が重要」とした。 (東京支社・武田愛一郎)
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抜き打ち大地震訓練 御殿場市、初動対応など確認
御殿場市は18日、大規模地震の発生を想定した職員動員訓練を市役所で実施した。新年度に入り、危機管理体制の早期確立が目的。抜き打ち形式の訓練で緊急時の初動対応を確認した。 紀伊半島沖を震源とするマグニチュード(M)8の大規模地震が発生し、市内で震度6弱を観測した-との想定。午前7時に同報無線やメール、電話で連絡を受けた職員は市役所東館や各地の支所などに集まり、災害対策本部の会議に臨んだ。参集率は通知から1時間以内で58・7%を目標としていて、今回は達成できたという。勝又正美市長は「迅速な災害対策本部の設置が最重要で、訓練の積み重ねが大切」と強調した。 能登半島地震の教訓などに理解を深める職
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災害時の物資供給 富士宮市とオギノが協定締結
富士宮市と総合小売業のオギノ(甲府市)が18日、災害時の物資供給に関する協定を締結した。地震や豪雨など大規模災害時、富士宮市の要請に基づき物資を供給する。食品や衣類、日用品などを想定している。 同市役所で行った締結式で須藤秀忠市長と荻野寛二社長が協定書を交わした。荻野社長は「被災地でも需要は地域や時期によって変わる。企業としてできることを考えたい」と話した。
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【時評】防災の数値情報の捉え方 細かく読まず大まかに(牛山素行/静岡大防災総合センター教授・副センター長)
数値で表されるさまざまな情報は、それぞれ異なる正確さの度合いを持っている。これが「精度」と呼ばれ、数値のばらつきの幅(誤差と言うこともある)などで表される。ハザードマップなどで用いられる地図も実は数値情報の集合体であり、地図上にさまざまな形で表現されている記号や標高などの情報にもそれぞれ精度がある。 国土交通省が整備している「重ねるハザードマップ」の背景図として使われている地図は国土地理院が整備している「地理院地図」で、さまざまな地点の標高を表示できるが、この標高という数値の精度、すなわち実際の値に対するばらつきの大きさは場所によって異なる。「DEM5A」という高精度のデータが用いられて
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自宅避難ノウハウ紹介 講座も 三島で防災フェア
三島市の日清プラザで17日、地震防災フェアが始まった。21日まで、自宅避難生活やローリングストックの仕方を伝える展示をはじめ、多様な体験や情報を来店客に提供する。 能登半島地震を受け、市民の防災意識が高まる中、最新の考え方や方法を発信しようと初めて企画した。防災用品や備蓄食料品の展示販売コーナーでは、家族4人が1週間自宅で生活するために必要な用品を展示。電気自動車(EV)から給電して過ごす生活のイメージも紹介している。 親子向けの防災リュック作り講座や地震防災関連のパネル展も開催している。20日には子ども向けの防災お菓子リュックづくりや起震車の体験も予定されている。
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被災地珠洲で下水復旧工事へ出発 静岡の清水建設業協会が6人派遣
静岡市清水区の清水建設業協会(松浦真明会長)は16日、能登半島地震の被災地で下水道応急復旧工事を行う会員の出発式を開いた。 同市と石川県珠洲市、同協会が地震を受けて結んだ協定に基づく派遣で、協会所属の真殿建設から社員6人が車両4台で珠洲市へ出発した。出発式で松浦会長は「安全第一で作業し、被災地の暮らしを日常に近づけるため力添えを」とあいさつした。 現地に向かう真殿建設の真殿伸一社長は「持てる力を復旧復興に役立ててきたい」と意気込みを語った。6人は約10日間、車両の通行の妨げとなっている道路に飛び出したマンホールを切り出すなどの作業を行う。
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自衛隊の救援活動から防災学ぶ 静岡の常葉大橘中・高で講座 「自助・共助が重要」
静岡市葵区の常葉大橘中・高は16日、自衛隊静岡地方協力本部静岡募集案内所の伊藤通孝所長を講師に招き、防災講座を同校で開催した。 全校生徒約1400人が参加し、ウェブ会議アプリを用いて伊藤所長の講話を各学級で視聴した。伊藤所長は東日本大震災など災害時の自衛隊の救援活動を紹介し、公助には限界があると指摘した。「命を守るには、まずは自助・共助が重要。日頃からの備えで、いざという時に安心や自信を持って行動できるようにしてほしい」と強調した。 聴講した橘高3年の丸山遥士さん(17)は「普段から笛を持ち歩いたり、避難経路を確認したり、常に防災意識を持つことが重要だと感じた」と振り返った。
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大自在(4月16日)熊本地震8年
関連死も含めて276人が犠牲になった熊本地震の本震が起きて8年。今年も能登半島地震が発生するなど国内では地震災害が絶えない。改めて地震国に住む危険性を認識したい。 熊本地震は2016年4月14日午後9時26分にマグニチュード(M)6・5の前震が発生。熊本県益城町で震度7を観測した。28時間後となる16日午前1時25分にはM7・3の本震が発生。益城町と西原村で震度7を観測した。M7・3は阪神大震災(1995年)と同規模の地震。 二つの断層帯が連動して起きたとみられる。同じ地点で震度7観測が続いたのは史上初。激震が相次げば住宅へのダメージも大きかったはずだ。本震直後に被災地を訪れると阪神地域
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記者コラム「清流」 防災意識高まったのか
能登半島地震発生直後、静岡県内のホームセンターや生活雑貨店では携帯トイレなどの防災用品の問い合わせが殺到し、防災への関心の高まりがうかがえた。数字にも如実に現れた。県が実施している県民意識調査は、地震の前後で「南海トラフ」への関心が20ポイントも急上昇し、「非常に関心がある」が8割を超えた。 発生から3カ月余りが経過した。店舗では、徐々に防災用品の売り場面積も縮小されつつある。1991年度以降の調査を見ると、大規模災害の度に関心が高まっては、数年で低下していく変化がくっきりと現れている。防災に特効薬はないことを改めて実感した。 1年後の結果はどうか。啓発の継続や実災害を自分事と捉えてもら
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自助共助の心構え説く 静岡市駿河区で防災講演「全員が主役に」
静岡市駿河区の小鹿1丁目新町自治会は13日、静岡県立大非常勤講師の笠原英男さん(80)を招いた防災講演会を小鹿1丁目公民館で開いた。住民約60人が受講し、自助共助の心構えを学んだ。 笠原さんは災害時の安否確認の目的について、一人一人が近隣住民の状況に気を配ることで「誰が不明者になっているかを特定すること」と強調した。その上で、救助や消火活動に協力するなど、自ら行動する必要性を説いた。「誰かが何かしてくれるのを待つのではなく自分で生活を回すことが大事。全員が主役となって考えないと命も生活も財産も守れない」と訴えた。
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自衛隊指導で行進の動きチェック 伊東市消防団が訓練礼式研修
伊東市消防団(斎藤一彦団長)は14日、自衛隊員を迎えた訓練礼式研修会を伊東小で開いた。各分団や団本部の約190人が参加し、新年度のスタート時期に動作の習熟を図った。 陸上自衛隊板妻駐屯地(御殿場市)の隊員が指導し、団員が分列行進の際の動きを確認した。敬礼などの基本の所作も学んだ。ラッパの演奏に合わせて全体で行進を行い、研修を締めくくった。
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溶岩や噴火、実験とゲームで学習 長泉で子ども向けイベント
ながいずみ観光交流協会は13日、溶岩や噴火について学ぶイベント「長泉ジオの日」を長泉町のコミュニティながいずみで開いた。訪れた子どもたちが、実験やゲームを通して地形の成り立ちに理解を深めた。 来場者は、富士山や愛鷹山の溶岩を使い、磁石でくっつける「溶岩釣り」や積み上げて遊ぶ「タワーづくり」を楽しんだ。「富士山の溶岩はごつごつしていて丸っこい」「愛鷹山の溶岩は平たい」などと特徴を話す姿が見られた。斜面をつくった立体模型に、溶岩に見立てたチョコレートを流し、溶岩の流れ方や固まり方を観察した。 伊豆半島ユネスコ世界ジオパーク認定1周年から実施し、今回が6回目。
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「災害時、携帯トイレは自助の第一歩」 沼津で研修「7日分用意」呼びかけ
沼津市環境整備事業協同組合(浅沼直之理事長)は13日、災害時のトイレをテーマにした研修を同市のプラサヴェルデで行った。講師を務めたNPO法人日本トイレ研究所の加藤篤代表理事は「携帯トイレは自助の第一歩」として「最低3日分、できれば7日分」の用意を訴えた。 加藤氏は災害時に「水や食料よりトイレの準備が遅れることが多い」と強調。トイレを巡る混乱が起きると不衛生による集団感染や水分摂取抑制による関連死、心理的負担による不和の恐れが強まると指摘した。屋内用の携帯トイレと簡易トイレ、屋外のマンホールトイレと仮設トイレの4タイプを発災からの時間やトイレ充足率に応じて組み合わせて使うよう勧めた。
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【提言・減災】地形に見る地震の痕跡 古村孝志/東京大地震研究所所長・教授
2024年1月1日に能登半島北部で起きたマグニチュード(M)7・6の地震では、およそ150キロにわたって断層がずれ動き、輪島や珠洲で最大4メートル地面が隆起した。海底が露出した港は船が着岸できず、漁港の機能が失われる事態となった。地震直後に輪島や珠洲の津波計が振り切れ計測できなくなったのも、海岸線が隆起して検潮所が干上がってしまったためだ。 能登半島には、過去に繰り返し起きた大地震による隆起でできたと考えられる海岸段丘が少なくとも3段確認できる。そして、今回の地震で新たに4段目が形成されたことになる。 地震による断層のずれ動きは、M7級の地震では2メートル程度だが、M8級では6メートル、
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災害時の判断力試す 「クロスロード」に挑戦 磐田で防災×文化芸術イベント
磐田市壱貫地の豊岡中央交流センターで13日、防災について学び、文化芸術にも触れるイベント「Drrart IWATA(ドラート磐田)」(実行委主催)が初めて開かれた。市内外から多くの家族連れが集まり、災害時の判断力を学ぶゲーム「クロスロード」などで防災意識を高めつつ、日常でできる取り組みを考えた。 ゲームの参加者はグループに分かれ、決断に迷う災害時の行動について「イエス」「ノー」のカードを示しながら、判断理由を議論した。「津波の避難途中、近所に住む独居のおばあさんの様子を見に行く?」との問いに対し、「おばあさんはすでに逃げているかもしれない」「後悔すると思うから見に行く」などの意見が出た。
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記者コラム「清流」 水があるってすごい
能登半島地震の被災者が、三島市の源兵衛川で水遊びした後だった。「水があるってすごい」。11歳の女の子のつぶやきが心に突き刺さった。通常なら同市が誇る清流に感動したと受け取るが、この日は違った。ただ単に水を自由に使えるありがたみを実感しているように思えたからだ。 女の子は幼なじみ3人で参加。うち2人は新年度から家族とともに上下水道の復旧めどが立たない石川県珠洲市から避難し、3人は離れ離れになると聞いた。「水さえあれば」。心の奥にあるであろうそんな恨み節を我慢して言わないようにしているようだった。 水が当たり前にある環境で生きてきた。そのインフラの老朽化や災害対策が叫ばれて久しい。大切な人の
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浜岡原発新基準審査 中電、津波高最大25・2メートルの評価提示 規制委は追加検討指示
原子力規制委員会による中部電力浜岡原発3、4号機(御前崎市佐倉)の新規制基準適合性審査会合が12日、都内で開かれた。中電は南海トラフ地震と海底地滑りの連続発生で、敷地前面の津波高が最大25・2メートルとなる「組み合わせ評価」の結果を提示した。これまで最も高かった南海トラフ地震単独の22・7メートルから上振れし、防潮堤(22メートル)を3メートル余り上回る想定。規制委側は追加の検討を指示し、継続審議となった。 中電は「南海トラフ地震と海底地滑り」「南海トラフ地震と海域活断層地震」の2通りで組み合わせ評価を実施した。最も厳しい条件の南海トラフ地震の津波と遠州灘沖の海底地滑りの津波が重なり合う場
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盛り土 衛星データから検知 浜松市、市内企業など AI技術確立へ 秋まで実証実験
危険な盛り土による災害を防ぐため、浜松市と建設総合コンサルタントのフジヤマ(同市中央区)、人工衛星開発のシンスペクティブ(東京)が、衛星データと人工知能(AI)で盛り土などの土地改変箇所を検出するモニタリング技術の実証実験に取り組んでいる。月1~2回程度の衛星データを基に、地図上で地表の高度変位をカラーで表示し、形状などから人為的な改変が疑われる箇所を見つけ出す。 人工衛星からの電波(開口レーダー)を反射させ、植生の有無にかかわらず数ミリ単位で地表の高度を測れる「SAR衛星」のデータを活用する。地図に高度の変位があった場所を示し、地点を選択すると過去10年ほどの推移グラフや植生の変化が確認
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遺体の歯科記録照合、技術学ぶ 災害時などに備え医師会研修会 静岡市駿河区
静岡県歯科医師会は7日、大規模災害時などに遺体の身元確認技術を学ぶ研修会を静岡市駿河区の県歯科医師会館で開いた。同会所属の歯科医師や県警警察官が身元確認の重要性を再認識し、生前の歯科記録と遺体の情報を照合する技術習得のため実習に取り組んだ。 神奈川歯科大の教授や講師らの指導で、参加者は遺体に見立てたマネキンで、歯の記録であるデンタルチャートの記入やエックス線写真の撮影などを体験した。生前の記録の収集方法や、写真と照合する際の手順、注意点なども学んだ。 静岡県歯科医師会の栗原由紀夫幹事は「大規模災害に備え、全ての会員が身元確認の知識を身に付けないといけない」と述べた。
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東部の被災想定 受援体制を確認 7、11月に静岡県が合同訓練
静岡県は8日、緊急消防援助隊関東ブロック合同訓練(総務省消防庁、県実行委主催)を県東部や伊豆半島を中心に、7月25日と11月13、14の両日に行うと発表した。広域受援体制や、能登半島地震の教訓を踏まえて半島で災害が発生した場合の対応を検証する。 7月25日は図上訓練を行う。土石流や頻発化している風水害が県東部の複数の市町で同時に多発し、地震も発生する状況を想定。各消防本部が他県などから応援を受け入れる手順を確認する。11月13、14の両日は実働訓練を予定。土砂災害、建物倒壊などの現場を再現し、捜索や救助の技術向上を目指す。 元日の能登半島地震では、道路寸断により緊急消防援助隊の進出が遅れ
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災害対応へ訓練に精進 菊川市消防団が入退団式
菊川市消防団は7日、入退団式を同市東横地の市消防本部敷地内の防災ヘリポートで行った。新入団員41人が消火活動や災害対応、防災力向上への士気を高めた。 大石雄太さん(小笠北分団)が新入団員を代表して宣誓した。縣佑次団長は「激甚化する自然災害に備え訓練を日々重ね、安心安全を守っていこう」と語った。 退団者は39人。2024年度当初の団員数は271人で昨年度より10人増加した。同消防団によると、コロナ禍で中止していた地域の行事が再開、活動PRの機会が増えたことが増加につながったという。
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自衛官への第一歩踏み出す 御殿場・板妻駐屯地で候補生85人入隊
御殿場市の陸上自衛隊板妻駐屯地で6日、2024年度の自衛官候補生の入隊式が開かれた。85人が自衛官への一歩を踏み出した。 代表の曽根敬次郎さん(22)の発声に続き、「憲法および法令を順守し心身を鍛え、知識を涵養(かんよう)する」などと声をそろえた。候補生たちは約3カ月間の基礎教育を受けた後に自衛官に任官される。 第34普通科連隊長兼板妻駐屯地司令の兜智之1等陸佐は「自衛隊の仕事は決して容易なものでも、華やかなものでもない。3カ月後の修了式で家族に成長した姿を見せられるよう、仲間を大切にして頑張ってもらいたい」と呼びかけた。
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男女共同参画視点 静岡県防災ブック発行 留意点や先進事例紹介
静岡県はこのほど、男女共同参画の視点を取り入れた防災ブック(A4判カラー、8ページ)を1万部発行した。性別や立場に関係なく、誰もが避難所運営や自主防災活動に取り組めるよう、具体的な留意点や先進事例を紹介している。市町を通じて自主防災組織などに配布するほか、県ホームページで公開している。 県内の女性団体や自治会連合会などでつくる「ふじのくに男女共同参画防災ネットワーク会議」や市町と連携して作成し、静岡大グローバル共創科学部の池田恵子教授が監修した。 避難所に関しては、運営責任者だけでなく物資担当者にも男女を配置し、生理用品や下着などのニーズの把握や提供に配慮するよう助言。避難所のレイアウト
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日本海側の海域活断層 3県が揺れ被害想定せず 能登地震受け「見直し検討」6県 沿岸16道府県アンケート
能登半島地震で注目された日本海側の海域活断層で起きる地震がもたらす被害想定について、北海道から長崎県の沿岸16道府県に共同通信が2日までにアンケートした結果、福井、佐賀、長崎の3県は津波のみを想定し、揺れに伴う被害を想定していないと回答した。揺れも想定しているとした道府県の中でも富山など3県は、対象が一部の活断層だけだったり、20年以上前の古い想定だったりした。16道府県のうち6県は、能登半島地震を受け「想定の見直しを検討する」と回答した。 能登半島地震では発生直後に津波が襲っただけでなく、強い揺れによる建物倒壊や土砂崩れ、液状化といった甚大な被害が出た。専門家は「日本海の海域活断層は陸に
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大地震のたびに発生 能登でも広域に影響 液状化 遅れる対策 避難妨げにも
大規模地震が発生するたび、液状化による被害が繰り返されている。1月の能登半島地震でも震源となった石川県だけでなく、近県でも道路がうねり、家屋が傾いた光景が見られた。広域でライフラインを破壊し、避難の妨げにもなる。影響は大きいが、地震の揺れや津波と比べ対策が遅れているのが現状だ。 液状化は、支え合っていた砂粒子が強い揺れによってばらばらになり液体のようになる現象。地表に水や砂が噴出して地盤が変形し、重い建物は沈み、中が空洞で軽いマンホールは浮き上がる。地下水位が高く、締まりがゆるい砂質で起きやすく、地形としては埋め立て地や干拓地、かつて川や沼だった場所が当てはまる。 国土交通省によると、液
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防災、安保… 「女性」視点目立つ 前半国会予算審議
通常国会の前半戦が終わった。衆参両院の予算委員会では、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡るやりとりが多くを占めた一方、女性が関連する課題を取り上げる場面も目立った。安全保障や防災分野での女性登用や、選択的夫婦別姓の導入などテーマは幅広い。衆参両院に占める女性議員の割合は約16%で低水準だが、質問者や閣僚に女性が増えることで質疑に変化が生まれている。 「防災危機管理部局における女性の登用を加速してほしい」。公明党の竹谷とし子氏は、能登半島地震を踏まえ、政府に改善を求めた。加藤鮎子男女共同参画担当相は「災害対応では男性起用が優先されてきた」と問題意識を共有。「固定的な性別役割分担意識が
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災害時のガス供給 円滑化へ覚書締結 小山町とLP協会地区会
小山町はこのほど、県LPガス協会御殿場地区会と災害援助に必要なLPガスの供給に関する覚書を結んだ。 県と同協会は2018年、避難所へのLPガス供給を円滑に行うための災害援助協定を締結した。各地域の事情に応じて支援内容や方法を具体化するため、災害援助を直接的に実行する市町と各地区会が覚書を結んでいる。今回の覚書では町と同地区会が情報共有し、避難所など優先的に支援を受ける「特定施設」と支援する「支援事業所」を対応させたリストを作成すことなどが盛り込まれた。 町役場で開かれた締結式で、込山正秀町長と中川好大地区長が覚書に署名した。込山町長は「災害時の一層の支援をお願いし、平素から知見をいただい
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LPガス協会 発電機を寄贈 災害時備え静岡県に
静岡県LPガス協会(勝又敏雄会長)はこのほど、災害援助協定を結ぶ静岡県との関係強化を目的に、災害時に活用するLPガス仕様の発電機5台を県に寄贈した。 県庁で行われた寄贈式で、勝又会長が「地震や風水害などが頻発している近年、あらゆる災害への対策が急務だ」と話し、黒田健嗣危機管理監に目録を手渡した。黒田危機管理監は「小規模分散型エネルギーのLPガスは災害時に有効。今後も連携を強めて県の防災対策を進めていきたい」と感謝した。 県と同協会は2018年、避難所へLPガスを円滑に供給するための災害援助協定を締結した。寄贈された発電機は使い方に慣れるため、災害時だけでなく平時の訓練やイベントで活用して
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被災地の自殺や暴力課題 「“心の防災”広めて」 心理士の平松さん 浜松市職員に講話
浜松市出身の心理士でフォトジャーナリストの平松利枝子さんがこのほど、同市西行政センターで市職員向けの防災講話を行い、過去の災害被災地で発生した自殺や暴力の事例を説明しながら「“心の防災”を広めてほしい」と呼びかけた。 平松さんは各地の災害で被災者のカウンセリングに従事してきた。特に東日本大震災の際は、津波の音や悲鳴を聞いた人が長期にわたって恐怖感を訴える傾向があり、ストレスから自死に至った人が少なくなかったという。その後の震災でも被災者に同様の傾向がみられたことから、平松さんはストレスを正しく理解し向き合う方法を身につける重要性を提唱している。 「助かったはずなの
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富士山噴火備え避難マップ 富士宮市、配布開始
富士宮市は27日までに、富士山噴火時を想定した避難行動マップの市内全戸配布を始めた。噴火警戒レベルが引き上げられた場合にとるべき行動を、地区ごとに分類して掲載した。 マップは3月付で改めた市富士山火山避難計画に基づく。地図上に火砕流と噴石の到達範囲を記したほか、第1~6次の避難対象エリアを色分けした。1、2次エリア全員と3次の要支援者は噴火前から警戒レベルに応じて車での避難が必要で、その他は噴火後に状況を見て徒歩で避難することを記した。 噴火時の避難に関する基本的な考え方も盛り込んだ。溶岩が流入しやすい川沿いは避けて直交方向に逃げることや、避難情報の入手方法を載せた。 同市は溶岩流が1
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こども救命士 防災イベントでトリアージ体験 浜松市中央区
浜松市などで救命講座を展開する「こども救命士になろうプロジェクト」(近藤誠人代表)と浜松こども館(浜松市中央区)は25日、小学生を対象に災害時の対応を学ぶ防災イベントを同館で開いた。市内の小学生ら約20人と同館のボランティアキッズ約10人が参加し、看護師や消防職員らから緊急時の対応を学んだ。 児童らは患者の重症度に応じて治療の優先順位を判定する「トリアージ」やエコノミークラス症候群など四つのブースを順番に回った。呼吸やけがの状態を確認し、実際にトリアージタッグを記入したり、血流を良くする足の体操を実践したりした。看護師は「災害時にトイレの回数を減らそうと水を飲むのを我慢しないこと」と助言し
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災害想定 簡易水槽に給水 浜松市天竜区で体験会
浜松市はこのほど、自家用車に簡易的な水槽を設置し、給水活動を行う体験会を浜松市天竜区で開いた。災害時を想定し、給水体制の効率性を高める手段として紹介した。 同区横川自治会館に集まった住民らは折りたたみ式の簡易水槽「フジコン」を組み立てて小型トラックに積載し、消火栓に移動して給水した。1台あたり350リットルの水を積んで自治会館に戻り、蛇口を取り付けて水をビニール袋に詰めていった。 市は中山間地の災害時給水について、各地の拠点に設ける仮設水槽で住民に対して給水する体制を想定している。支援を広域にくまなく行き届かせるための手段として、住民側が市による給水を待たずに水を運ぶ仕組みを検討しており
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「浜岡審査 重要データ得た」 原子力規制委の石渡委員 中電の津波試料 視察
原子力規制委員会の石渡明委員が25日、再稼働を目指す中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)を訪れ、過去に襲来した津波の高さを分析するために中電が実施したボーリング試料を視察した。「審査を進めるに当たって非常に重要なデータを得られた」と述べた。 津波堆積物に関する評価は、新規制基準適合性審査で「基準津波(想定される津波の高さ)」の策定に必要な調査項目。中電は原発敷地内とその周辺の計39地点で地盤を掘削調査し、堆積物などから過去に高さ5~10メートルの津波が襲来したとの分析を示している。 石渡委員は中電社員の説明を受けながら体育館に並んだ全地点の試料を見て回り、堆積物の厚さなどを確認した。視察後、
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石川・珠洲で漏水調査 静岡県企業局職員報告 人材育成の必要性指摘
能登半島地震の被災地で水道管の漏水調査に当たった県企業局の職員がこのほど、県庁で活動を報告した。断水の早期解消に向け、上下水道が連携した復旧作業やマネジメントを担う人材育成の重要性を指摘した。 企業局は2月22日から、断水が長期化する石川県珠洲市に3班計9人を派遣した。報告会には第1陣として現地入りした水道企画課の山内保典さんと河原有希さん、地域整備課の望月正一さんが参加し、木野雅弘局長らに具体的な支援内容や課題を伝えた。 山内さんは現地のライフラインの状況や通水作業の手順などを説明。「水道管の応急復旧は日々着実に進捗(しんちょく)しているが、下水道施設の復旧と足並みをそろえなければ断水
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土砂災害警戒区域 静岡県内候補9047カ所
静岡県は21日、土砂災害警戒区域に新たに指定される可能性がある場所が、県内で9047カ所に上ることが判明したと発表した。県砂防課ホームページで、具体的な候補箇所を示す地図を公表した。同区域に指定されると、市町に土砂災害への警戒態勢を整える義務が生じる。県は今後、詳細調査を行い範囲を明確にした上で、指定作業を進める。 国が土砂災害防止対策基本指針を変更したことを受け、県は3次元点群データを活用して、30度以上の傾斜がある高さ5メートル以上の急傾斜地など、区域指定の要件に当てはまる場所を改めて調査した。その結果、土石流が発生する恐れがある場所が2862カ所、崖崩れの恐れがある急傾斜地が6185
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静岡県警 全部署で災害対策 能登地震踏まえ見直し チーム発足
能登半島地震の災害支援部隊を各部門から派遣している静岡県警は21日までに、災害対応を根底から見直すための「緊急検討チーム」を立ち上げた。道路寸断による孤立地域への救出救助部隊の早期投入に向け、移動用バスの提供協力を各署の地元旅館・ホテルに依頼するなど、早急に対応強化が必要な分野で民間や県、市町との連携を加速させる。 チームは、警備部を中心に全部門から担当者を集め、組織横断的な検討を進める。現地の被災状況を視察し、石川県警から聞き取り調査をした幹部の報告も踏まえ、現在までに2回会合を開き、通信インフラ途絶下での情報収集・共有▽道路寸断時の部隊の早期投入▽長期のライフライン途絶下での警察業務継
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能登の教訓 知事、自衛隊、消防、警察で共有 静岡県指揮官会議
川勝平太知事と静岡県内の自衛隊や消防、警察の幹部が災害対応などについて意見交換する「県指揮官会議」が21日、小山町の陸上自衛隊富士駐屯地で開かれ、各機関が能登半島地震の対応状況を共有した。会議後、川勝知事は「道路が寸断された場合のヘリコプターの重要性を再確認した。どう活用できるかを考えていく必要がある」と述べた。 会議は陸、空、海自の地方組織代表者や県消防長会、県警、海上保安庁の関係者らが出席し、非公開で進められた。関係者によると、能登半島地震での災害派遣活動や南海トラフ地震への備えとして、本県でも検討すべき課題などについて意見を交わした。 川勝知事は伊豆半島が能登半島と地形が似ているこ
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浜岡原発避難計画 「実効性向上図る」 静岡県、市民団体に回答
静岡県は21日、中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)半径31キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)の市民団体でつくる「UPZ市民団体交流会」から1月に提出された原子力災害時の広域避難計画の質問に回答した。原子力安全対策課の担当者が県庁を訪れた交流会メンバーに回答書を手渡し、「国などによる能登半島地震の検証を踏まえて浜岡地域の避難計画の実効性向上を図る」と説明した。 質問は地震と原発事故の複合災害時の対応に関する内容で、家屋倒壊時の屋内退避▽安定ヨウ素剤の配布▽道路が寸断した場合の避難路の確保―など5項目。同課の神村典浩課長は、屋内退避の実施期間や避難に切り替える判断基準などについて国が検討してい
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32都道府県が防災強化 能登地震教訓 24年度予算案 静岡県「孤立対策」ドローン配備
全都道府県の約7割に当たる静岡など32都道府県が、能登半島地震を受けた防災対策事業を2024年度当初予算案に盛り込んだことが20日、分かった。多数の家屋倒壊を受けた耐震改修の促進や、不足したトイレの確保などが目立つ。南海トラフ巨大地震や首都直下地震など今後も大災害が想定され、被災者が同じ問題で苦しまないよう教訓を生かし、対応を強化する。 共同通信が「能登地震を踏まえた防災関連の新規事業や既存事業の拡充があるか」と質問。32都道府県が事業内容を答えた。 能登地震では道路の寸断や土砂災害で孤立集落の発生が相次ぎ、住宅2万棟超が全半壊した。静岡は孤立集落対策として空から物資を運ぶ災害対策用ドロ
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都道府県「明日はわが身」 能登地震受け防災対策強化 専門家は一過性懸念
能登半島地震は、全国どこでも大災害が起きうることを再認識させた。各都道府県は「明日はわが身」と危機感を募らせており、2024年度予算案で防災対策を強化する動きが相次いだ。専門家は意識の高まりが一過性に終わるのを懸念、対策の積み重ねを訴えている。 点検 高知県は2月、南海トラフ地震対策推進本部の会合を開いた。能登地震では多数の建物が倒壊したほか、孤立地域が発生しており、従来の対策が十分かどうか点検する必要があると判断した。 南海トラフ巨大地震が発生した場合、最大30メートル超の津波が予想され、さまざまな対策を練ってきた。それでも能登地震で新たに見えたものがある。陸路寸断が物資輸送や救助
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静岡県健康支援チーム 能登地震での被災地活動を報告 災害対応強化へ
静岡県はこのほど、能登半島地震を受けて石川県輪島市に派遣した災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)の活動報告会を県庁で開いた。静岡県DHEATの派遣は初めて。現地で浮かんだ課題を共有し、災害対応力の強化を図った。 DHEATは東日本大震災をきっかけに創設され、被災地の保健所などが担う総合調整や指揮機能を支援する。2月12~29日に医師や保健師ら3チーム計12人が輪島市門前地区に入り、被災者の健康に関する課題の把握や避難所の環境改善などに取り組んだ。 全国からさまざまな医療、福祉チームが支援に入る中、第1陣として派遣された県感染症管理センターの後藤幹生センター長は「支援チームが働きやす
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運送業者 BCP策定を 静岡県トラック協 防災セミナー開催 静岡市
静岡県トラック協会はこのほど、京都大の鎌田浩毅名誉教授を講師に招いた防災セミナーを静岡市駿河区の県トラック会館で開いた。運送業者など会員ら約200人が出席し、南海トラフ巨大地震や富士山噴火をテーマに災害対策を学んだ。 鎌田名誉教授は南海トラフ巨大地震について、想定被害額が東日本大震災のおよそ10倍となる220兆円に及ぶと説明。同地震が富士山噴火を誘発する可能性にも触れ、火山灰や溶岩流によって新幹線や高速道路が寸断された際の物流への影響を指摘した。 各会員事業者らに対し、社内に防災担当者を置き、事業継続計画(BCP)を策定することも促し、「今から備えることで皆さん一人一人が助かり、家族や従
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災害備え、足元の水源「大切」 被災者招待ツアー計画 GW三島が現地の状況報告 能登半島地震
能登半島地震で被災した子どもや家族を招くツアーを計画するNPO法人グラウンドワーク三島(三島市)が16日、事前調整のために訪れた被災地の状況を伝える報告会を市民文化会館で開いた。関係者が大規模地震発生を想定した日頃の備えの重要性を伝えた。 4日に石川県珠洲市を訪ねた渡辺豊博専務理事は、現地で配備されていた揚水ポンプや自家発電機について住民が使い方を知らず稼働できなかったといい、井戸や湧水も生かせなかったと説明した。三島市に残る水源の存在を把握して活用できるよう準備する重要性を訴え「足元にある大事な物を大切にしないといけない」と話した。 同行した市福祉応援大使の河合孝彦さんは、高齢者や子ど
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能登の教訓「伊豆に生かす」 下田で防災シンポ 半島のリスク考察
下田市は16日、伊豆半島の防災対策と振興を考えるシンポジウムを市民文化会館で開いた。能登半島地震を受け、「半島の魅力とリスクを考える」を主題に、市都市計画審議会の伊藤光造会長の現地報告とパネル討論を実施した。 石川県内で避難所の炊き出し支援や住宅相談の需要把握などに取り組んできた伊藤会長は、現地の被災状況を紹介。半島地域で発生した災害の初動体制構築の困難さを痛感したとし、「伊豆の急峻(きゅうしゅん)な地形を考慮すると、よりひどい状況を想定しておくべき」と警鐘を鳴らした。その上で能登半島地震の復興過程を注視し、伊豆における防災対策に生かすよう呼びかけた。 パネル討論には行政学が専門の辻琢
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能登復興へ中長期支援 静岡県など9県1市方針決定
静岡県など中部9県1市による災害時応援協定に基づく連絡会議が15日、オンラインで開かれた。能登半島地震で被災した石川県や富山県への支援について、復旧・復興を見据えた中長期的な応援をしていく方針を決定した。今後の災害対応に生かすため、支援の課題についても意見交換していく。 会議に出席した川勝平太知事は、対口(たいこう)支援先の石川県穴水町で住家被害の2次調査が進んでいることなどを報告した。「仮設住宅の完成は5月の見込みだと聞いている。被災者の生活再建が進むよう、寄り添った支援を全力で行う」と述べた。 石川県の馳浩知事は、「3月末に断水はおおむね復旧するものの、避難所生活が長期化している」と
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災害時のトイレ 消防士ら講演 4月13日、沼津市で
沼津市環境整備事業協同組合は4月13日午後2時から、災害時のトイレに関する研修会「過去の災害から学ぶ~とても大事なトイレのおはなし」を同市のプラサヴェルデで開く。 能登半島地震で派遣された駿東伊豆消防本部の西尾崇さん、熊本地震で現地調査した同組合の山本真太郎理事らが講師を務め、被災地や避難所でのトイレの課題について語る。受講無料で定員は250人。ファクスかインターネットの専用フォームで申し込む。問い合わせは同組合<電055(939)5601>へ。
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中部電力 津波高評価25.2メートル公表 規制委、手法妥当性を審査へ
中部電力は14日、原子力規制委員会による浜岡原発3、4号機(御前崎市佐倉)の新規制基準適合性審査での「基準津波」(想定される最大津波高)策定に向けて、南海トラフ地震と海底地滑りが連続発生した場合の敷地前面の津波高を最大25・2メートルとする最終評価結果を御前崎市や県に伝えた。次回の審査会合に提示する。今後、規制委側が評価手法の妥当性を審査し、了承されれば25・2メートルが基準津波の値となる。 中電は南海トラフ地震が単独発生した際の津波高を22・7メートルに設定した上で、南海トラフ地震に伴って海域活断層地震や海底地滑りが起きることを想定した「組み合わせ評価」を行った。その結果、最も厳しい条件
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#防災力を高めよう 家にある物使い災害用トイレ 段ボールで手作り【NEXTラボ】
水や食料、カセットボンベ-。能登半島地震を受け、家庭の備蓄を見直した人も多いが、トイレの備えはどうだろうか。静岡県によると、家庭で携帯トイレを備える目安は「1日5回分×1週間×家族の人数」。5人家族では計175個必要になるが、用意できるのか。日常生活で無理せずできる「トイレ備蓄」の工夫や心構えを探った。 2月下旬、藤枝市内で開かれた防災講座。同市で活動する藤枝災害支援ネットワークが主催し、10人が参加した。テーマは、家庭やスーパーにある段ボールを使ったトイレ作りだ。 災害用トイレはさまざまな種類の製品が市販されている。代表の吉田令子さん(68)は手作りの段ボール
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浜岡原発 津波高、最終評価25.2メートル 南海トラフと海底地滑り連続発生想定
原子力規制委員会による中部電力浜岡原発3、4号機(御前崎市佐倉)の新規制基準適合性審査で焦点の一つになっている「基準津波」(想定される最大津波高)の策定に関し、中電は13日までに、南海トラフ地震と海底地滑りが連続して発生した場合の敷地前面の津波高が、最大25・2メートルとなる評価結果を固めた。次回の審査会合に提示する。これまでの評価で最も高かった南海トラフ単独発生の22・7メートルから上振れする。規制委のヒアリング資料や中電への取材で分かった。 中電、規制委に提示へ 今後は規制委側が評価手法の妥当性を確認する。規制委が了承すれば、25・2メートルが基準津波に採用される。中電は基準津波決
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災害関連死対策を充実 静岡県、避難所運営マニュアル改定
静岡県はこのほど、避難所運営マニュアルと避難生活の手引きを改定し、県の公式ウェブサイトに公開した。避難生活での体調悪化などによる災害関連死を防ぐための内容を充実させた。マニュアルでは避難所で良好な環境を確保し円滑な運営を実現するために、「平時からの準備」の章を新設した。手引きには、被災者の個別課題に寄り添い伴走しながら生活再建を目指す「災害ケースマネジメント」の紹介を盛り込んだ。 県第4次地震被害想定では、南海トラフ巨大地震の発生時、県内では最大130万人の避難者が見込まれるため、要配慮者の対応や運営のルール化などが重要な課題となっている。一方で、県内の避難所運営訓練の実施率は50%に届い
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南海トラフ地震想定し避難訓練 駿河湾沼津SA
中日本高速道路東京支社は13日、南海トラフ地震などの大規模災害を想定した総合防災訓練を沼津市根古屋の新東名高速道駿河湾沼津サービスエリア(SA)上りで実施した。同社員やテナント従業員、利用者約50人が避難順序などを確認した。 震度7の地震で高速道が全線通行止めになり、利用者や近隣住民がSAに一時的に避難する事態を想定して行った。建物内からの避難誘導や、屋外の一時避難場所での救護用テントや仮設トイレの組み立て、放水など一連の流れを確認した。 同社によると、能登半島地震発生時は、北陸道のSAに利用者や住民が一時避難した。駿河湾沼津SA上りは標高132メートル地点で津波の恐れはないが、道路の通
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「静岡方式」津波対策 賀茂6市町進捗確認 下田で会合
静岡県は13日、地域の特性や実情に合わせた「静岡方式」で進める津波対策の検討会を下田市の県下田総合庁舎で開いた。県や賀茂6市町の職員が出席し、津波対策の進捗(しんちょく)状況などを確認した。 各市町の状況報告の後、南伊豆町の竹麻地区と松崎町の松崎、三浦両地区の5カ所における津波対策の方針を報告した。観光業が盛んな特性を配慮した防潮堤整備などの対策を盛り込んだ。県によると、各箇所の方針は3月までの公表を目指すという。 賀茂6市町の検討会は2014年から不定期で開催し、今回で9回目。市町と共同で施設整備と避難対策を組み合わせた防災や減災に取り組んでいる。
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災害支援ナース、国が養成 4月法制化で活動環境整備
大地震の被災地などで看護業務をする「災害支援ナース」について、厚生労働省は、改正医療法の4月施行に合わせ「災害・感染症医療業務従事者」とする。現在は日本看護協会(日看協)などが研修や派遣をしているが、法制化によって国が養成や登録管理を担い、現場で安定的に活動できる環境を整備。派遣費用は都道府県などの公的負担になる。 過去の災害や、今年の能登半島地震でも12日までに延べ約3千人が派遣されているものの、法的根拠がないのが活動の課題となっていた。4月から法律に基づく業務となることで、事故補償などの面がより改善されるほか、派遣調整の円滑化が期待される。 日看協によると、災害支援ナースは、被災した
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南海トラフ地震 静岡県民「非常に関心ある」8割超 能登地震で意識高まる
東海沖から九州沖にかけて発生が想定される南海トラフ地震について「非常に関心がある」とする県民が8割を超え、過去最高になったことが12日までに、県の県民意識調査で分かった。元日の能登半島地震の前後で約20㌽上昇する変化が見られ、関心度が一段と高まった様子が顕著に表れた。津波の即時避難など、他の調査項目でも意識の向上や対策の改善がみられた。一方、南海トラフ沿いで大地震が通常よりも発生しやすくなった場合に出される「南海トラフ地震臨時情報」の認知度は初めて3割を超えたものの、依然低調な状態が続いている。 調査は2023年11月下旬~24年1月末にインターネットで実施した。能登半島地震前は1139
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夜の津波、地域皆で助かるには 牧之原で避難訓練
東日本大震災から13年を迎えた11日夜、牧之原市で地震・津波夜間避難訓練が行われた。静岡県津波対策推進旬間の一環で、市民6427人が参加した。 沿岸部の片浜地区では、単独での避難が難しい高齢者などの要配慮者に対し、自宅の外までの退避を促す「軒先避難訓練」を重点的に実施した。サイレンが鳴った後、大石茂生区長(69)らが要配慮者の自宅を訪ね、状況を確認した上で避難行動を呼びかけた。 大石区長は「自助の気持ちがなければ共助にはつながらない。住民が密接な関係にある地域の特性を生かした訓練を今後も実践していきたい」と話した。
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島田商業高 東北被災地訪問 生徒2人が報告【東日本大震災13年】
島田市の島田商業高は11日、静岡県教委が実施する「ふじのくに防災人材育成事業」に参加した2年生2人による報告会を同校で開いた。 報告したのは桑原由依さんと春日藍沙さんの2人。12月下旬に1泊2日で東日本大震災の被災地を訪問した。津波で多くの児童が犠牲になった宮城県石巻市の大川小跡地や大川震災伝承館などを訪れ、震災経験者から聞いた体験談などを紹介した。震災後に完成した岩手県釜石市の水門に自動閉鎖システムが設けられ安全性が確保されていることや、被災生活では止血や腹巻き、かっぱ代わりとしてラップが役に立ったことなども説明した。 桑原さんは「私たちが主軸となって学校防災に取り組み、高校生の意識を
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島田市社協 継続的な支援 考えるカフェ【東日本大震災13年】
島田市社会福祉協議会は11日、東日本大震災の発生から13年に合わせ、地域のつながりを考える「3.11つながりカフェ」を同協議会で開いた。市民ら約20人が参加し、身近にできる継続的な被災地支援を考えた。 市社協の担当者が、市民と収集したベルマークを岩手県山田町の小学校に贈る活動を長年続けていることを紹介した。これまでに計約105万円分のベルマークが集まり、毎年学用品の購入などに充てられているという。 活動に協力している母親グループ「島ママDream」前代表の杉本真美さんがこれまでの活動を振り返り、「現地に確実に届く目に見える支援を続けてきた。日常生活の延長に防災を考えて」と呼びかけた。
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“ダンゴムシ”で身を守れ 三島で一斉安全行動訓練【東日本大震災13年】
三島市は東日本大震災から13年となった11日、市内全域で一斉に安全行動を実践するシェイクアウト訓練を行った。市内約160団体約1万7千人が参加し、大規模地震発生時に身を守る手段を確認した。 午前10時に市内の同報無線などから訓練を告げる放送が流れた。市立南幼稚園では合図とともに、園児42人が机の下に素早く避難。机の脚を握り、体を丸めて身を隠した。揺れが収まったことが確認されると、防災頭巾をかぶって園庭に避難した。年長の鈴木秀典ちゃん(6)は「地震から命を守るために、ダンゴムシのポーズを取ることができた」と話した。 シェイクアウト訓練は地震発生時、約1分間「まず低く、頭を守り、動かない」と
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地域防災計画を修正 函南町防災会議
函南町防災会議が11日、町役場で開かれた。国や県、消防、警察など関係機関の代表者が出席し、町地域防災計画修正案を承認した。 国の防災基本計画の修正を踏まえ、ボランティア団体と被災自治体のニーズを調整する「災害中間支援組織」の育成など多様な主体と連携した被災者支援の記載を充実させた。ペットと同行避難した際の避難所での配慮事項や町水災害対策プランの策定に伴う記述も追加した。 町は、2013年度に策定した「町地震対策アクションプログラム」について、94の地震対策に資する取り組みのうち79%がおおむね目標を達成したと紹介。本年度中に更新し、持続が必要な対策を含め109の取り組みを設定するとの方針
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住宅耐震化率 天竜区低め 戸別訪問などの勧奨強化 浜松市議会
浜松市議会2月定例会は11日、久米丈二(自民党浜松)、倉田清一(同)、神間郁子(同)、馬塚彩矢香(市民サポート浜松)、花井洋介(市民クラブ)の5氏が一般質問を行った。井熊久人都市整備部長は2022年度末時点の住宅耐震化率を区別に推計したところ、中央92・6%、浜名92・5%、天竜79・6%と顕著な差があり、特に遅れている地域で戸別訪問などの勧奨を強化する考えを示した。倉田氏への答弁。 市は市内住宅約30万9300棟を建築時期、構造、耐震診断の利用歴などで分析。「耐震性あり」は約28万5100棟(92・2%)で、「耐震性不足」は約2万4200棟(7・8%)と推計した。 耐震性不足の区別棟数
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バトン いずれは地元へ DWAT 出口戦略に苦慮 復興見据えた調整力 鍵に【つなぐ 災害福祉 東日本大震災13年㊦】
2月下旬、能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町では、静岡県災害派遣福祉チーム(DWAT)を地域リーダーに、北海道、愛知、滋賀のチームが活動していた。避難所の町文化ホールの一角にはDWATの相談コーナーがある。避難者の加藤富美子さん(86)がいつものように血圧を測りに来た。前日よりも少し下がっていた。「昨日は眠れましたか」。静岡DWATの梶裕一郎さん(32)がそう声をかけると、「3時間寝られたから良かった」と笑顔を見せた。 地震後から不眠が続き、足がもつれて歩きにくいと感じることもあるという。自宅の応急修理が完了し、2月末で退所することが決まっていた。「このまま地域に戻って大丈夫か」。
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津波避難「要配慮者」対応に課題 到達時間に間に合わず/資機材不足 静岡県内各地で訓練
静岡県の津波対策推進旬間(2~11日)に合わせた津波避難訓練が10日、沿岸市町で行われた。12市町で約2万6千人が参加し、夜間の発災想定や避難所要時間の計測などの訓練を繰り広げた。津波到達時間までに避難が間に合わなかったり、高齢者が多い地域で要配慮者の避難に必要な資機材の不足が判明したりするなど、各地で課題が浮き彫りになった。 西伊豆町仁科の沢田地区。午前7時50分、地震発生と津波警報を知らせる同報無線が鳴り響いた。町は事前に詳細な訓練時間を告知せずに訓練を実施。約40人が放送や町からのメールを合図に地区内4カ所の津波避難タワーなどに向かった。津波到達予想時間は5分。近くのタワーに逃げた鈴
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1800人の避難所、細る福祉「専門職を早期に」 岩手の窮状、派遣チームの教訓に【つなぐ災害福祉 東日本大震災13年㊤】
2011年3月11日に発生した東日本大震災で死者・行方不明者が1800人を超え、岩手県内でも最も被害が大きかった陸前高田市。16メートルの大津波に市街地のほとんどがのみ込まれ、甚大な被害となった。高台にあった市立第一中は津波被害を免れたが、落成したばかりの体育館は沿岸部からの避難者で埋め尽くされた。3月末には避難者は約1800人に膨れ上がり、県内最大となっていた。 1階視聴覚室に設けられた福祉支援室。認知症や視覚障害、四肢にまひがある高齢者とその家族計約30人が生活していた。柔道場から運んできた畳の上で寝泊まりし、トイレの介助などが必要な被災者もいた。当時、隣接する一関市の市社会福祉協議会
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【東日本大震災13年】道路寸断恐れ109市町村 原発30キロ圏、静岡県内9市町
建設中を含む国内19原発の30キロ圏にある自治体のうち18道府県計109市町村で、地震など災害時の緊急輸送道路が土砂崩れなどにより寸断される恐れがあることが8日、分かった。30キロ圏に含まれる21道府県計138市町村の79%に当たり、原発事故時の避難に支障が出る恐れがある。東京電力福島第1原発事故から13年。国土交通省が公開している地理情報データを基に、道路が土砂災害警戒区域を横断しているかどうかを共同通信が分析した。 静岡県内で寸断の恐れがあるのは、藤枝市、島田市、牧之原市、掛川市、菊川市、御前崎市、袋井市、磐田市、森町の9市町の高速道路や国道、県道など。1月の能登半島地震でも土砂災害が
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福島「再生」と「爪痕」混在 上向く漁業、産業基盤構築の動きも【東日本大震災13年】
2011年3月の東日本大震災で地震、津波、原発事故を一度に経験し、風評被害にも苦しんだ福島県。沿岸部の浜通り地域では復興が着実に前進し、さまざまな分野で地元の人たちがふるさとの活力を取り戻そうと奮闘する。一方で、事故を起こした東京電力福島第1原発の廃炉以外にも、除染で発生した土壌の最終処分や避難を続ける住民の帰還、その後の生活再建など、将来への課題が横たわる。11日で震災から13年。まちの風景には「再生」と「爪痕」が混在する。 2月下旬、競りがにぎわいをみせていた浜通り北部の相馬双葉漁協(相馬市)。原釜地区青壮年部長の石橋正裕さんは「ここに至るまでのプロセスは、相当ハードルが高かった」と
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原発30キロ圏、土砂崩れで道路寸断の恐れ「事前に迂回路検討を」 浜岡周辺の住民指摘
中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)から30キロ圏内では9市町の計27路線が、土砂崩れなどにより寸断の恐れがある緊急輸送道路に該当した。能登半島地震では石川県が定めた北陸電力志賀原発の重大事故時の避難経路11路線中7路線が一時通行止めになった。静岡県の関係自治体の間には「能登半島とは地理的条件が異なり、複数の道路があるため孤立は考えにくい」と冷静な受け止めが広がるが、住民からは「迂回(うかい)路の組み合わせを事前に検討していくべき」との意見が上がる。 「主要道路が使えなければ、住民はどの道で避難すれば良いか分からず、混乱するだろう」。御前崎市町内会長連合会の水野克尚会長(69)は災害時の不安を
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発災直後の情報整理重要 浜松赤十字病院DMAT報告 能登地震
浜松市浜名区の浜松赤十字病院は7日、能登半島地震の支援に携わった災害派遣医療チーム(DMAT)などの報告会を同院で開いた。避難所や医療災害本部で活動した医師らが活動を振り返り、組織を超えた連携や発災直後の情報整理の重要性など今後の課題を共有した。 同病院は1月4日から2月20日まで、DMAT、日本赤十字災害コーディネートチーム(CoT)、日赤救護班の医師や看護師らを各2回計6回にわたって派遣した。医師らは口をそろえて下水が使用できない状況に危機感を訴え「ストレスの要因になっていた」と話した。 DMATの一員として活動した伊藤圭介脳神経外科部長は、本来の仕事である患者を治療する医師の仕事が
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静岡県外の大規模災害時「川勝知事は自覚と行動を」 県議会総務委が決議案可決
静岡県議会総務委員会は8日、川勝平太知事に対し、県外での大規模災害発生時の責任を持った行動を促し、対応方針の明確化を求める決議案を全会一致で可決した。18日の2月定例会最終本会議でも同様の決議案が提出され、可決される見通し。副知事人事案も同意される見通しとなった。 決議は、南海トラフ地震の発生が懸念される静岡県で、能登半島地震発生後の知事の対応に一部の県民から不安の声が寄せられていると前書きした。その上で、知事は、県民の生命と財産を預かる最高責任者であることを自覚し、責任ある行動をとること▽県当局は危機管理が重要施策であることを再認識し、知事に適切に助言すること▽近隣県で大規模災害が発生し
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大災害、遺体安置の手順確認 4年ぶり設営訓練 磐田市と磐田署
磐田市と磐田署は8日、大規模災害を想定した遺体安置所設営訓練を同市南島の福田南島体育館で行った。新型コロナの影響で、実践的な設営訓練は市として4年ぶり。市職員や署員ら約50人が参加し、遺体の検視から身元確認、安置までの流れを確認した。 遺体に見立てた人形が安置所に運び込まれると、市職員や署員が連携して身体特徴や所持品などを記録し、検視や身元確認、遺族に引き渡すまでの手順を確かめた。対応した市職員は、葬祭業者を交えて遺体処置の細かな作法や遺族への対応の仕方に理解を深めた。 訓練後の講評で同署の梶田利充刑事課長は「今回の訓練は最後ではなく、災害に備えて訓練を重ねていく」と述べ、関係機関との連
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妊産婦や乳幼児の避難生活日用品、備蓄不十分 静岡県内市町 静岡新聞社アンケート【国際女性デー2024】
地震などの災害時に女性や妊産婦、乳幼児が避難生活を送る上で必要になる日用品が、静岡県内の市町で十分に備蓄されていない実態が明らかになった。静岡新聞社が8日の「国際女性デー」に合わせて県内35市町に実施したアンケートで、1日時点で離乳食を備蓄しているのは4市町、赤ちゃん用おしり拭きは7市町にとどまった。調査した9品目中5品目で2割以下の市町にしか備蓄がなく、全市町に備蓄のない品目もあった。 調査品目は、内閣府が男女共同参画の視点を盛り込んで自治体向けにまとめた「防災・復興ガイドライン」で例示した備蓄品から抜粋した。最も浸透していたのは生理用ナプキンで27市町に備蓄があった。一方、女性用下着
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「落ち着いて高い場所に」 袋井の園児と警察官が津波避難訓練
東日本大震災を教訓に静岡県が定めた津波対策推進旬間(2~11日)に合わせて、県警緊急事態対策課と袋井署は7日、袋井市沿岸部の浅羽南幼稚園で津波避難訓練を行った。署員の誘導で全園児約40人が津波避難施設へ避難し、津波への備えを学んだ。 南海トラフ巨大地震が発生し、県内全域に津波警報が発令されたとの想定で実施した。平松明子園長が放送で地震発生を伝えると、園児たちはしゃがんで頭を守り、身の安全を確保した。揺れが収まると、付近をパトロール中だった同署員が、園児たちを園の向かいにある高さ6・5メートルの津波避難タワーに誘導。防災ずきんをかぶった園児らが階段を落ち着いて上った。 屋上では同課の警察官
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松崎、水窪分庁舎に衛星通信設備整備 静岡県警、孤立集落対策
静岡県警は2024年度、災害時の孤立集落対策として、下田署松崎分庁舎と天竜署水窪分庁舎に衛星通信設備(スターリンク)を1基ずつ整備する。7日の県議会2月定例会文教警察委員会で明らかにした。 スターリンクは、人工衛星によるインターネット接続サービスで、高度550キロ前後の低軌道上にある数千機の小型衛星ネットワークを活用するため、通信速度が速い上、大規模な地上設備も不要とされている。 県警は能登半島地震の被災地支援で、延べ約3千人の警察官を2月末時点で派遣している。現地での活動経験も教訓に、警察機能が孤立化される可能性がある分庁舎への整備を決めた。 両分庁舎には、バッテリー駆動の救出用電動
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能登地震被災5市町 防災無線 一時停止相次ぐ 停電長期化で蓄電池切れ 行政避難情報発信に課題
元日の能登半島地震発生後、被害が大きかった石川県珠洲(すず)市などの6市町のうち5市町で防災行政無線の屋外スピーカーの多くが一時使用できなくなっていたことが7日、各自治体への取材で分かった。停電が長期化したことにより非常用のバッテリーが切れたことが主な原因。余震とみられる揺れが続き、再び大きな津波が起きる恐れもある中で、行政発信の避難情報が十分伝わらない可能性があった実態が浮き彫りとなった。 防災行政無線は各市町村が「地域防災計画」に基づき整備し、国の全国瞬時警報システム(Jアラート)が発信した緊急地震速報や大津波警報、避難指示などを屋外放送を通じ広く住民に伝達する仕組み。東日本大震災でも
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他県災害発生時参集基準作成へ 静岡県方針
静岡県は7日、県外で大規模災害が発生した際の県職員の参集基準を新たに策定する方針を示した。川勝平太知事と2人の副知事を含めた職員の参集や待機の基準を設ける。県議会危機管理くらし環境委員会で明らかにした。 県によると、他県で発災した場合の参集ルールはなく、被害情報の収集や全国知事会からの応援要請の有無などを考慮して必要な体制を取っている。県危機政策課の高部真吾課長は、能登半島地震の対応について「被災地支援の体制を、休日を含めて迅速かつ適切に整え、支援に支障はなかった」と述べた。一方で風水害が激甚化・頻発化していることを踏まえて「今後、支援を求められるケースが増えることが見込まれるため、一定の
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感震ブレーカー設置 補助に関心高まる 問い合わせ増 静岡市
静岡市の窪田貢介危機管理総室次長は7日の市議会総務委員会で、石川県の能登半島地震の発生以降、住宅への感震ブレーカー設置に関する市への問い合わせが増加していると明らかにした。発災前は週2~3回程度だったが、1月中旬ごろから1日10件程度の問い合わせが継続的にあるという。山梨渉氏(公明)への答弁。 感震ブレーカーは揺れを感知して自動的にブレーカーを落とすため、通電火災の防止に効果があるとされる。市は2017年度から住宅への感震ブレーカーの設置費を補助する事業を始め、24年3月5日までに2704件に支給した。24年度は既存住宅への補助額を上限2万5千円から3万円に拡充する方針で、新築住宅に設置す
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災害時健康支援マニュアル改定 清水町、議会答弁
清水町は7日の町議会3月定例会で、被災者の健康維持へ保健師や管理栄養士の動きを示した災害時健康支援マニュアルの改定作業を進めていると明らかにした。4月中にまとめる見通し。平井重徳健幸づくり課長が、森野夏歩氏(日本共産党議員団)の一般質問に答えた。 現行マニュアルは2018年度に作成。外部からの支援を想定して保健師らの派遣先の決め方などを示すほか、2月下旬に石川県白山市で能登半島地震の被災者の健康支援にあたった同町保健師のノウハウも反映させる。改定マニュアルを使った訓練実施や、HPでの公開も検討するという。 平井課長は「不慣れな避難生活においても、できる限り衛生的な環境で過ごすことができる
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自宅被害“かるた”で想定 長岡南小で防災出前授業 伊豆の国市
伊豆の国市の長岡南小でこのほど、同市などで防災の普及活動に取り組む市民有志団体「チーム防災いずのくに」を招いた出前講座が開かれた。5年生約90人が防災の基本を学んだ。 ハザードマップを基に、河川や浸水域など、それぞれの自宅周辺で想定される自然災害や被害の範囲について確認した。同団体が作った防災かるたを使い、グループに分かれて避難の際に必要なものをチェックした。撥水(はっすい)加工された防災風呂敷で簡易的なバケツを作ったり、かるたで学んだ知識を生かして「○×クイズ」を行ったりもした。 吉川七苗代表は「家に帰ったら、家族とともにハザードマップを見てほしい。下級生の手本となれるよう
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聴覚障害者が防災学ぶ 「みみの日大会」 浜松市浜名区
静岡県聴覚障害福祉を考える連絡協議会はこのほど、愛の援聴週間(3~9日)に合わせたイベント「みみの日大会 防災エンスショー」を浜松市浜名区の三ケ日文化ホールで開いた。ろう者や家族、手話通訳者、地域住民ら約360人が参加し、防災をテーマにした科学実験を楽しんだ。 サイエンスインストラクターで防災士の阿部清人氏が講演した。停電について考えてもらうため、白熱電球とLED電球の違いや手回し発電機の仕組みなどを解説。泥に振動を与えることで液状化現象を再現する実験なども行った。「『自分だけは大丈夫』という備えの緩みに気をつけて」と呼びかけた。 「みみの日大会」は、聴覚障害への理解促進を図る目的で19
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2級河川 津波防ぐ堤防改修 静岡県など工事未完 合意形成 重視
都道府県が管理する全国の2級河川で、2011年の東日本大震災後に静岡など24都道府県は遡上(そじょう)津波や高潮を防ぐ堤防改修などが必要だと判明し、このうち静岡など20都道府県で工事を終えていないことが5日、共同通信の調査で分かった。手付かずの県もあり、予算確保が大きな課題になっている。 大震災級の河川津波は堤防や水門だけでは防げないが、国は減災のため事業費を半額補助して対策を求めている。国管理の1級河川は、優先的に対策する堤防で総延長の7割以上が整備を終えており、2級の遅れが浮き彫りになった。 調査は1~2月に都道府県を対象に実施し、能登半島地震の対応を優先する石川以外から回答を得た。
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津波災害警戒区域 掛川の沿岸部指定 静岡県
静岡県は5日、津波防災地域づくり法に基づき、掛川市の沿岸部で津波による浸水が想定される区域約550ヘクタールを「津波災害警戒区域(イエローゾーン)」に指定したと発表した。区域の詳細は県河川砂防局ホームページなどで確認できる。 同区域に指定されると、想定される浸水深に建物の立地状況などを加味した精度の高い「基準水位」が示され、より実効性の高い避難対策が可能になる。県は、市のハザードマップの作成や周知、要配慮者利用施設の避難確保計画作成などを支援する。 今回で県内の沿岸21市町のうち14市町が指定済みとなった。残りの7市町は、整備中の防潮堤や避難施設の減災効果が被害想定に反映されていないため
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石川での現地活動を教訓に 孤立集落 救助訓練 静岡県警など
能登半島地震の現地派遣で得た教訓を今後の災害出動対応に生かそうと、静岡県警機動隊などは4日、孤立集落発生を想定した緊急訓練を焼津市小浜で行った。孤立地域に関する情報収集と必要資機材の搬送から陸上での救出救助に加え、ドローンや救命ボートを活用した海上訓練も展開した。 多くの隊員が能登の被災地での活動を経験する中、静岡県内で同様の災害が起きた際に備えて急きょ計画した。機動隊に加え、緊急事態対策課や警備課航空隊、焼津署などから約50人が参加し、焼津市は最新鋭のドローンで協力した。 道路の寸断で海岸沿いの約20世帯が孤立したと想定し、マウンテンバイクの隊員や池田忠雄機動隊長を大隊長とした指揮支援
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伊豆半島の課題 共有 能登地震受け オンライン首長会議
伊豆半島の7市6町首長会議(会長・斉藤栄熱海市長)は4日、能登半島地震を踏まえた伊豆半島の課題を共有する臨時会合をオンラインで開いた。巨大地震の発生時は連携して被災対応に当たることを確認したほか、国、県、医療消防の関係機関も交えて地震防災の在り方を協議する場を設ける方針を決めた。 首長会議は非公開。道路網強化、防災拠点の整備、海・空からの救助を議題とし、終了後に斉藤市長が記者団に概要を説明した。伊豆半島も沿岸部を中心に道路寸断や津波被害の恐れがあり、内陸部の首長からはバックヤード機能と津波被災者の住居確保を名乗り出る声が上がったという。 伊豆半島で「命の道」といわれる国道の伊豆縦貫道が全
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自主防の機材購入補助 拡充 藤枝市
藤枝市は2024年度、地域の災害対応力を強化するため、自主防災会の資機材購入や防災倉庫の整備に必要な費用の補助を拡充する。北村正平市長が4日の市議会2月定例月議会で、多田晃氏(藤新会)の代表質問に答えた。 市地域防災課によると、昨年9月に行った夜間防災訓練と今年1月の能登半島地震を受け、投光器や発電機などの更新、追加購入、簡易トイレや携帯トイレといった備蓄が必要と判断した。補助率を従来の2分の1から3分の2まで引き上げ、24年度一般会計当初予算案に23年度1・5倍の3000万円を計上した。 補助率の拡大は、能登半島地震の状況や、25年度に藤枝、焼津両市を会場に開催される県の総合防災訓練を
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災害への備え 重要性説く 東北被災地訪問など報告 清水桜が丘高 静岡市
静岡市清水区の清水桜が丘高はこのほど、静岡県が実施する「ふじのくに防災人材育成事業」に参加した2年の生徒2人による報告会を開いた。 報告したのは室伏健成さんと杉村健太さん。2人はハザードマップの作成やローリングストックについて説明し、災害への備えの重要性を強調した。室伏さんは昨年12月に東日本大震災の被災地である岩手県釜石市や宮城県気仙沼市などを訪問した際の経験を踏まえ高校生が防災に果たす役割の重要性なども伝えた。 報告会に参加した生徒は、同じ学校に通う仲間の力のこもった言葉に真剣に耳を傾けた。
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道路冠水即時感知 センサー試験導入 沼津市
沼津市は2024年度、頻発する豪雨災害に備え、道路の冠水や住宅地の浸水をリアルタイムで観測する小型センサーを試験導入する。 設置するのは1台3900円と安価で小型の「ワンコイン浸水センサ」。近年の大雨で浸水被害があった原、大平の両地区や、道路が頻繁に冠水する箇所など計36カ所に整備する。リアルタイムで把握することで、道路の通行止めや住宅地への避難誘導など対策の迅速化につなげる。 国土交通省の実証実験の一環で、1年間は設置費用と通信費を国が負担する。本年度は磐田市と函南町で実施していて、24年度は沼津市のほか三島、浜松、牧之原の各市と川根本町も加わる。 沼津市では2019年以降、豪雨によ
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能登半島地震が問うもの この痛み 記憶しながら【焦点/争点】
元日に発生した能登半島地震。論壇各誌では科学的見地からの解説や今後の防災対策の提言が目を引いた。また、阪神大震災から今に連なる社会のありようを描き出そうとする論考も読ませた。 日本海側の防災 京都大名誉教授の鎌田浩毅は「中央公論」3月号に「能登半島地震から何を学ぶべきか」を寄せ、今回の地震が「能登地方では記録が残る1885年以降、最大」で「能登半島北部のほぼ全域が震源断層の真上に位置していたため大きな被害が出た」と説明。 太平洋側に災害警戒の比重が置かれてきたことに触れ、「災害規模が小さいとされた日本海側での防災意識は、これまで決して高くはなかった」と振り返る。その上で、南海トラフ巨
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災害時のケア連携、半数が未検討 都道府県の応援受け入れ態勢 厚労省調査
避難所で高齢者や障害者らをケアする「災害派遣福祉チーム」(DWAT)を巡り、都道府県の約半数は他県から入る応援組の受け入れ手順など、連携方法を具体的に検討していないことが昨年1月末時点での厚生労働省の調査で分かった。自治体職員やノウハウの不足が理由とみられる。大災害時は広域応援が欠かせず、事前の準備が不十分なままでは効果的な人員配置や円滑な活動に支障が出る恐れがある。 避難所などでは環境の変化が心身の負担となり、食欲や身体機能が衰え、病気や転倒で命を落とす場合がある。こうしたケースを含む災害関連死は東日本大震災で約3800人、熊本地震では死者の約8割を占めた。 福祉チームは東日本大震災で
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能登の経験検証不可欠 災害ケア、被災地との連携巡り 活動円滑化に時間も
災害派遣福祉チーム(DWAT)は東日本大震災を教訓に設置が進み、災害関連死の犠牲を食い止める役割を担う。能登半島地震では各地から人員が集結、長期の避難を強いられる被災者を支える。全都道府県のチームが活動する初のケースとなる見込みだが、被災地側との連携体制には課題もあり、専門家は検証が必要と指摘する。 お互いさま 「静岡でもいつ災害が起きるか分からない。お互いさまの気持ち」。菊川市の障害者施設の相談支援専門員、長坂智香子さんは静岡DWATの一員として1月10~13日、石川県七尾市の避難所で活動。衛生環境の改善や、エコノミークラス症候群を防ぐための体調確認、家族の介護をしながら避難する被災
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要配慮者 想定した対策を 静岡 障害者協会が防災シンポ
静岡市障害者協会は2日、災害時に自助が難しい要配慮者への支援を考える「福祉防災シンポジウム」を葵区の県地震防災センターで開いた。オンラインも含め県内外の約110人が参加し、対応策や事例を学んだ。 1月に能登半島地震の被災地でボランティア活動を行った同協会の松山文紀さんは、地元住民が地域に住む障害者の存在を把握していたため、自衛隊が開設した仮設風呂での入浴時に見守りなどの配慮ができた事例を紹介した。周囲の人の理解や少しの気配りが、さまざまな事情を抱えた要配慮者を助け、避難生活を支えることにつながると話した。 県の黒田健嗣危機管理監は、県の避難所運営マニュアルには要配慮者への対応が明記されて
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原子力災害に対応 静岡大で放射線実習 6大学連携し人材育成
静岡大は3日、原子力災害への対応で即戦力となる人材を育成するため、2023年度に原子力規制庁から採択を受けた事業の放射線測定実習を静岡市駿河区の同大で実施した。同大を含む全国5大学から13人の学生が参加し、放射線の正しい取り扱いや線量の測定方法を学んだ。 原子力を学んだり、放射線技師を目指したりしている各分野の学生が、同大の大矢恭久准教授の指導の下、ガンマ線を照射する機械を使って放射線量を安全に測る実験に真剣な表情で取り組んだ。 今回の実習は5日まで3日間の日程で、岐阜薬科大との合同プログラムで実施する。学生は両大学で異なる内容の実習を受けるほか、中部電力浜岡原発や浜岡原子力規制事務所も
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液状化広範囲、津波避難妨げ 能登地震、静岡理工科大調査 地盤沈下や噴砂…「静岡県も対策確認を」
静岡理工科大理工学部(袋井市)の中沢博志教授(地盤防災工学)が2日までに、能登半島地震で発生した液状化の現地調査報告をまとめた。石川県内灘町をはじめ富山県内でも被害が確認され、一つの自治体内で複数の地区にまたがって広範囲に及んでいるのが特徴。中沢教授は「液状化による地盤沈下などが津波避難の妨げになる可能性がある」と指摘した。=関連記事26面へ 中沢教授は高知大のチームと合同で、1月下旬に石川県七尾市、志賀町、内灘町、富山県氷見市を調査した。内灘町では鶴ケ丘と西荒屋の両地区にわたって顕著な被害が見られた。中沢教授によると、両地区は海沿いに砂丘が広がり、砂丘の一部を切り土した地域や、盛り土した
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「故郷で経験伝えたい」 大震災で福島から富士へ 堀川さん夫妻講演
東日本大震災から間もなく13年。福島県浪江町で被災し、東京電力福島第1原発事故の影響で富士市へ移住した堀川文夫さん(69)と妻の貴子さん(70)が2日、伊豆の国市の韮山時代劇場で講演した。震災体験と故郷への思いを語った。 同町で学習塾を経営していた夫妻は自宅から約10キロの距離にあった原発事故で町を離れ、富士市に避難してきた。ひきこもる時期もあったが、震災体験を語る経験や元塾生との交流で再起し、2012年に市内で塾を再開。17年に「震災と原発事故でふるさとを奪われた人々の思いを記録に残したい」と体験を絵本にまとめ、思いを伝えている。 2人は被災直後の体験に触れながら「車が弾むほどの感覚。
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緊急時にも役立つワイドFM
FM電波でAM放送が聴けるワイドFM(FM補完放送)をご存じだろうか。いつものラジオ番組がもっと聴きやすくなるのだ。 ラジオのAMとFMは、周波数などの違いにより電波の届く範囲が異なる。AMは障害物に強く広範囲に届くが、ノイズや混信が起きることも。音質もFMに比べて劣るため、ニュースやトーク番組が多い傾向にある。一方、FMは遠くまで伝わりづらいもののクリアな音のため、音楽番組が多めだ。 そこで、災害など緊急時にも役立つのがワイドFM。雑音に強く、山間部やマンションでも受信しやすい特徴がある。ワイドFMは、90.0~94.9メガヘルツの周波数に対応しているラジオで聴ける。
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【東日本大震災13年】1級河川 津波対策7割超え 国交省 堤防や水門強化 巨大地震対応 課題
地震後に川をさかのぼる津波や高潮の被害を防ぐため、2011年3月の東日本大震災後に国が優先的に強化工事を進めている全国の1級河川で、堤防の約74%(昨年3月時点)、水門などの約80%(同)が整備を終えたことが28日、国土交通省への取材で分かった。1級河川対策の全国的な状況が判明するのは初めて。 一定程度は進んだ形だが、工事は主に数十~百数十年ごとに起きるレベル1(L1)津波を防御するのが目的で、東日本大震災で発生した数百~千年に1回のレベル2(L2)津波は防げない可能性がある。早期避難などと複合した対策強化が大きな課題だ。整備率には地域差も浮かんだ。河川津波は能登半島地震でも発生し、新潟
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能登半島地震 大仁北小で派遣消防隊員が講話 津波の怖さ再確認 伊豆の国市
伊豆の国市の大仁北小でこのほど、県緊急消防援助隊に加わって能登半島地震被災地の石川県珠洲市で活動した駿東伊豆消防本部予防課の大石明宏さんが、3年生と5年生を対象に講話した。現地の写真や動画を見せながら、地震、津波の恐ろしさや消防隊の活動内容などを紹介した。 大石さんは1月7~11日、第3次隊の一員として現地に赴いた。講話では、道路寸断や積雪などにより到着までに27時間かかったことや、地震の揺れや津波で多くの家屋が被害に遭ったことを語った。 3年生は31人が耳を傾けた。倒壊した建物の写真や動画を見て「ひどい」「これほどとは思わなかった」などと声を上げた。大石さんは「地震や津波の怖さを再確認
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伊豆半島首長会議 3月4日に開催 地震防災の課題共有へ 熱海市
熱海市の斉藤栄市長は26日の定例記者会見で、能登半島地震を踏まえた伊豆半島の課題を共有するため、自身が会長を務める伊豆半島7市6町首長会議を3月4日にオンラインで開催すると明らかにした。道路網の強化、防災拠点の整備、海と空からの救助のあり方などを議題にする予定。 能登半島地震の発生後、伊豆半島でも改めて地震防災の意識が高まり、複数の首長から臨時の会議を開催したいとの申し出があったという。斉藤市長は「(首長会議で)意見を交換、集約し、認識の共有を図りたい」と話した。
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災害ボランティア 沼津で3月講座 「技術系」作業体験
沼津市社会福祉協議会は3月24日午後1時から、被災家屋で床下作業などを行う「技術系災害ボランティア」を知る講座と体験会を同市のサンウェルぬまづで開く。参加無料。 講師は県中部の有志でつくり、昨年6月の大雨時に沼津市内で活動した「しぞ~か・まめっ隊」が務める。活動内容を学び、工具を使った作業を体験する。 定員は先着30人、3月16日締め切り。問い合わせ、申し込みは市社協<電055(922)1500>へ。
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ウェブ版ハザードマップ 4月公開へ 多言語も視野 三島市
三島市議会2月定例会は26日、4会派による代表質問を行った。市はウェブ版ハザードマップを4月に公開する方針を示した。多言語対応も視野に入れ、今後研究を進める。野村諒子氏(緑水会)への答弁。 ハザードマップの冊子は2020年に全戸配布済み。市のホームページでも公開しているが、拡大すると画像が粗く見にくいという。スマホでも閲覧しやすいウェブ版の公開で利便性を向上するほか、情報更新の迅速化も図り、市民の適切な避難行動を促す。 このほか、市は三島駅南口広場の整備計画案に関し、現在降車専用となっている一般車両について「乗車と降車を同じ場所で対応するスペースは確保しがたい」と理解を求めた。従来のタク
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地域で避難所運営考える 沼津市大岡地区で講演会
沼津市の大岡連合自治会(上田素行会長)は25日、防災講演会を同市の大岡地区センターで開いた。地域防災活動への女性参画などを呼びかける「女性も担う静岡の地域防災」共同代表の落合美恵子さんを迎え、地域住民ら約50人が災害時に向けた連携について理解を深めた。 落合さんは、避難所で女性が性的被害に遭ったり、生理用品の配布を求めたところ「わがまま」と言われたりした東日本大震災などの事例を説明。大勢が1カ所に雑魚寝する現在の避難所運営では、被災者がニーズに応じた支援を受けられないと強調した。 被災後の心身の負担が原因で亡くなる災害関連死を防ぐために、性別や立場に関係なく地域住民が参画し、避難所運営に
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「組織と人命」企業防災考える 銀行員の長男 宮城で被災 田村さん「教訓生かして」 浜松市中央区
浜松市防災学習センターは25日、企業防災について学ぶ講座(静岡新聞社・静岡放送後援)を浜松市中央区の同センターで開いた。東日本大震災による津波で長男健太さん=当時(25)=を亡くした田村孝行さん(63)が「組織と人命」と題して話した。 健太さんは2011年3月11日、宮城県の七十七銀行女川支店で勤務中に被災した。支店は海から100メートルほどの場所にあった。徒歩約3分の距離に高台があったが、支店の屋上への避難を指示した支店長の言葉を受けて屋上にとどまり、犠牲になった。 田村さんは、立地条件などに合わせて事業所ごとに知恵を絞って訓練を重ねることや、部下の意見を聞き入れる柔軟な環境づくりが必
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災害に備えストック【カンタンおいしい 健康レシピ⑨】
災害を想定した食品の備蓄は、救援や炊き出しまでの間をつなぐために、最低でも3日分、できれば1週間分ぐらいを家庭で準備しておく必要があるとされています。 特に災害直後はエネルギー摂取を優先することが推奨されており、乾パンや、お湯や水で戻して食べるご飯「アルファ化米」などの主食が大切です。これまでの災害でも、炭水化物の栄養素が中心のおにぎりやパンが避難所で支給されています。 災害時には、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養素も不足すると報告されています。中でもビタミンB1やB2は、炭水化物をエネルギーとして利用するために必要不可欠です。 たんぱく質やビタミンB群の補給源として、魚類や肉
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能登地震復興に1千億円追加支出 首相、若者世代も生活再建金
岸田文雄首相は24日、能登半島地震の復興に向け、2023年度予算の予備費から1千億円規模を追加支出すると表明した。被災者の生活再建支援として最大600万円を支給する交付金について、若者・子育て世代に拡大すると説明。輪島塗など伝統産業支援では、臨時の作業場となる仮設工房を4月に全額国費で開設すると明らかにした。石川県輪島市での被災地視察後、記者団に述べた。 予備費は近く閣議決定し、支援金の財源などに充てる。能登半島地震対応のための予備費支出は3回目で、計2600億円超となる。 新たに交付金支給の対象となるのは、住宅半壊以上の被害を受け、資金の借り入れや返済が容易でない世帯。首相は具体例とし
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食べた分だけ買い足す「備蓄食」 定額利用サービスも
能登半島地震の発生を受け、災害に対する意識が高まっている。食べた分だけ買い足し備蓄する“ローリングストック”という方法に、非常食を日常に取り入れる定額利用サービスなどが登場。即席麺やレトルト総菜、缶詰などを扱っている。 日清食品が2019年に始めた定額利用の「カップヌードル ローリングストックセット」の利用者が増えている。電気やガス、水道が使えない時でも、温かい食事ができる防災備蓄セットだ。 1人分3日間を想定したカップ麺やライス計9食や保存水に加え、カセットこんろとボンベ、片手鍋、フォーク、ライトなどを用意。専用箱は腰かけにもなり、肩バンド付きで持ち運びできる。
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地域で話し合う時間大切 長岡技術科学大教授/上村靖司さん【能登地震 研究者や経験者 被災地へメッセージ】
甚大な被害をもたらした能登半島地震。直面する課題にどう対応すればいいのか。これまでの国内災害で、長い間奮闘してきた研究者や市民らが、それぞれの教訓や今回の被災地へのメッセージを語った。 能登半島地震と同様、2004年の新潟県中越地震は、中山間地を襲った災害だった。人口減少や高齢化が進む中越の集落の持続可能性を住民と考えてきた上村靖司・長岡技術科学大学教授は今回、「地域ごとにじっくりと話し合う時間が必要」と提言している。 ◇ 震度7を記録した新潟県川口町(現長岡市)が実家で、両親は無事でしたが、被災しました。地震の前から過疎が進み、衰退しつつあった中山間地の集落を中越地震は襲いま
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関連死防ぐ広域避難必要 弁護士/津久井進さん【能登地震 研究者や経験者 被災地へメッセージ】
甚大な被害をもたらした能登半島地震。直面する課題にどう対応すればいいのか。これまでの国内災害で、長い間奮闘してきた研究者や市民らが、それぞれの教訓や今回の被災地へのメッセージを語った。 能登半島地震では、避難生活による体調悪化などで亡くなる「災害関連死」が懸念されている。この概念が生まれたのが1995年の阪神大震災だった。兵庫県弁護士会の津久井進弁護士は今回、早い段階から関連死防止に向け広域避難の必要性を提言した。建物の損壊状況を唯一の指標とする罹災(りさい)証明についても抜本的な見直しを迫る。 ◇ 阪神大震災の当初は関連死という言葉こそありませんでしたが「地震がなければ、この
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難しい日本海の津波対応 東北大教授/今村文彦さん【能登地震 研究者や経験者 被災地へメッセージ】
甚大な被害をもたらした能登半島地震。直面する課題にどう対応すればいいのか。これまでの国内災害で、長い間奮闘してきた研究者や市民らが、それぞれの教訓や今回の被災地へのメッセージを語った。 能登半島地震では大津波警報が発表され、沿岸で甚大な津波の被害が出た。2011年の東日本大震災の被災地で、津波対策に向き合ってきた今村文彦・東北大教授は、日本海では地震直後に来襲する津波対応の難しさを指摘する。一方、「迅速な避難など平時の備えが生きた地域もあった」と評価した。 ◇ 能登半島地震では津波の初動が、地震後わずか1分で石川県珠洲市の沿岸に到達していたことが分かりました。地震の原因の海底活
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放射線防護 6施設に損傷 志賀原発30キロ圏 一部閉鎖 能登地震
北陸電力志賀原発(停止中、石川県志賀町)30キロ圏にあり、事故時に高齢者らが一時避難する21の放射線防護施設のうち、能登半島地震で6施設に損傷や異常が起きたことが21日、自治体などへの取材で分かった。うち2施設は使えずに閉鎖し、病院など別の2施設は患者らを移した。断水は全21施設で起きた。緊急時に支援が要る住民を守るという役割を果たせなかった恐れがある。 全国の避難計画 影響も 閉鎖した一つは被ばくを防ぐ機能を維持できず、残る5施設も地震後長期間、機能の確認ができなかった。内閣府によると、全国の原発周辺には計約300の防護施設がある。屋内退避の在り方を定めた指針の見直しを始めた原子力規制委
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中学生、親元に戻す工夫を 「ネットワーク三宅島」代表/宮下加奈さん 【能登地震 研究者や経験者 被災地へメッセージ】
甚大な被害をもたらした能登半島地震。直面する課題にどう対応すればいいのか。これまでの国内災害で、長い間奮闘してきた研究者や市民らが、それぞれの教訓や今回の被災地へのメッセージを語った。 能登半島地震で、学習機会確保のため中学生の集団避難が行われた。2000年の火山噴火で全島避難になった伊豆諸島・三宅島でも、小中高生が集団生活を送った。当時社会人で、自身も避難生活を送った「ネットワーク三宅島」代表の宮下加奈さんは「できるだけ子どもが親元から通う工夫が必要」と提言する。 ◇ 先日、能登半島の被災地を回りました。厳しい状況です。中3は受験を控えていますし、学習に集中できるように、保護
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【能登地震 長期断水】井戸活用8市町未整備 事前登録必要性高まる
能登半島地震から1カ月の間に4万戸超の断水が続いた石川県輪島市や珠洲市など8市町で、災害時に井戸水を使う計画が事前に整備されていなかったことが19日、各市町への取材で分かった。過去の災害での教訓から、災害時に使用する井戸は各自治体で事前登録などが進んでいる。8市町も地域防災計画では「緊急用の水源として井戸水の確保に努める」「比較的汚染の少ない井戸を水源に選定する」などとしていたが、具体的な制度づくりには至っていなかった。 被災地では住民の声がけなどにより井戸が自発的に開放され、共用された地域もあった。計画が整備されていればよりスムーズに活用できた可能性があり、制度づくりの必要性が高まってい
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防災報道の課題、若手記者議論 教訓「読者 自分事に」 仙台、11社参加
静岡新聞社や河北新報社など全国の地方紙、放送局でつくる「311メディアネット」の防災ワークショップ「むすび塾」は最終日の18日、加盟社の若手記者による意見交換会を仙台市青葉区の河北新報社で開いた。17、18両日に行った東日本大震災の被災地視察の成果を踏まえ、防災報道の課題について議論した。 各記者は震災遺構と語り部から学んだことや、防災報道のアイデアなどを話し合い、「(地元の読者が災害の教訓を)自分事にできるように、似ている地域の災害のニュースを届ける」などと地方メディアの役割について意見を述べた。静岡新聞社磐田支局の崎山美穂記者(26)は「静岡県内で想定される南海トラフ地震に備え、過去の
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石川・珠洲市「二重被災」住宅3000棟か 国に財政措置要求へ【能登地震】
1月の能登半島地震で甚大な被害が出た石川県珠洲市で、昨年5月の震度6強の地震でも被害を受けた「二重被災」の住宅が3千棟超に上るとみられることが17日、市への取材で分かった。修理や再建に取り組む中で再び被災したケースもあり、多重の経済的負担が復興のハードルになる可能性がある。市は被災者に財政的な支援をするため、国に大規模な特別交付税措置を求める考えだ。 市によると、昨年5月の地震では、住宅だけで全壊40棟、大規模・中規模半壊313棟、準半壊と一部損壊が3027棟の被害があった。他市町では一部損壊が計30棟ほどで、珠洲市の被害が群を抜いていた。 行政からの支援金で住宅を修理・再建した人もいる
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防災マップ参考に地域の危険を確認 御殿場で講座
御殿場市はこのほど、ファミリー・サポート・センターの会員を対象とした防災講座を同市の市民交流センターふじざくらで開いた。同市と小山町の計26人が参加し、災害図上訓練(DIG)を体験した。 参加者は直近の大災害として能登半島地震について説明を受け、家屋をはじめとした建物や道路の被害状況を写真で確認。日ごろから避難経路や地域の防災上の危険などについて想定しておくことの必要性に理解を深めた。少人数のグループごとに両市町の防災マップを参考にしながら大地震などで予想される被害について意見交換し、避難所までの安全な経路を探った。 同市危機管理課の担当者は家庭内での話し合いの大切さも強調し、家の中や周
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伊豆市土肥、目指せ「観光と防災」の両立 能登半島と地形類似
南海トラフ地震が起きると最短6分で最大10メートルの津波が襲うと想定される伊豆市の土肥地区は「観光と防災の両立」を進めてきた。市は今夏、土産物店なども入った津波避難の複合施設を海岸に開業する。地区は伊豆半島の西側にあり、道路が寸断された能登半島地震と地理的条件が似ている。地元は備えを再強化しながら「災害でも安全な地域」を目指す。 2023年11月、土肥地区の約50人が波打ち際から施設建設地まで歩く避難訓練があった。飲食店従業員桜井よし江さん(65)は「住民は近くのホテル、観光客は新しくできる施設に避難する。海が近くても安心感がある」と笑顔を見せた。 市によると、地区の人口は23年4月現在
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静岡市、トイレトラック購入や住宅耐震強化 災害対応力強化に重点 24年度予算案
静岡市は災害対応力の強化を2024年度の重点政策に掲げ、当初予算案に主要事業の関連費として計132億7000万円を計上した。道路や河川の改修とともに、断水や停電が発生した場合に使用できるトイレトラックや乳児用の紙おむつ、生理用品など女性や子どもに配慮した備蓄物資の購入を拡充し、ハードとソフトの両面から防災力向上を図る。 トイレトラックの購入費は1900万円。男性用2室、女性用2室、多目的1室の5室(洋式、水洗式)を備え、手洗い場も設置する。タンクの容量は980リットルで、1200~1500回使用できる。発災直後にすみやかに稼働するほか、市外で災害が発生した場合の被災地への派遣、イベントや観
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原発事故 屋内退避を議論 能登地震受け 規制委、指針見直し
原子力規制委員会は14日、原発事故時の住民避難や被ばく防護策をまとめた原子力災害対策指針を見直す議論を始めた。能登半島地震で北陸電力志賀原発(石川県)周辺で家屋倒壊や道路の寸断が多発したことから、屋内退避の実施期間や避難に切り替える判断基準などを論点とする。自治体や外部専門家、内閣府などを交えた検討チームを設置し、来年3月までに結果を取りまとめる。 東京電力福島第1原発事故を教訓に規制委が策定した指針では、大量の放射性物質が放出される場合、原則として原発の5キロ圏内の住民は避難、5~30キロ圏内は屋内退避としている。 14日の規制委会合では、こうした指針の基本方針は変更する必要がないと確
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現行耐震基準検証 能登で現地調査へ 国交省有識者委
能登半島地震の建物被害を分析し、現在の耐震基準や改修方法に課題がないかどうかを検討する国土交通省の有識者委員会が14日、初会合を開いた。建物に大きな被害が出た石川県珠洲市や輪島市で、月内にも現地調査する方針を確認した。結果を踏まえ、秋にも報告をまとめる。 対象は、1981年の建築基準法の厳格化以降に建てられ「震度6強程度の地震でも倒壊しない」とされる新耐震基準の建物が中心。被害の有無や建築時期、過去にあった大きな地震の後に修繕工事を行ったかどうかを整理して分析する。
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災害時、訪問介護維持 浜松市内10事業所が協定
浜松市内の訪問介護事業所10社が13日、災害時に職員の被災などによりサービス提供が困難になった場合に備え、事業所間で職員を派遣してカバーし合う相互応援システム協定を締結した。平常時からサービスに関する情報を共有し、切れ目のない支援を目指す。静岡県内では初めての取り組み。県は同市と三島市をモデル地区とし、今後全県に広げていく方針。 訪問介護では食事や入浴など最低限のサポートが必要な利用者が多く、サービスが途切れることで身体機能の低下や健康被害が生じる可能性がある。地震などの直接被害を免れても災害関連死に至る懸念があり、継続が重要となる。県は2021年度に県ホームヘルパー連絡協議会に事業委託し
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空き家、倒壊で避難救助妨げに 能登地震で危険浮き彫り 静岡県内も増加
建物被害が5万8千棟に上る能登半島地震では、一定数の空き家の倒壊が見られた。空き家は直接的な人的被害にはならない場合もあるが、倒壊で避難路がふさがれて逃げ遅れの原因になり得る。救出、救助の妨げや火災の延焼につながる懸念もある。静岡県内でも人口減少や高齢化で空き家は増加傾向にあり、防災の観点からの対策が急務の課題。ただ、所有者の問題意識の希薄さなどから、停滞しているのが現状だ。 震度6強を観測した石川県穴水町。1月中旬、静岡県の応援職員が応急危険度判定を行った。同町で危険と判断された建物は全体の約4割。県建築安全推進課の担当者は「壊れたり、朽ちたりして管理不全の空き家とみられる建物が散見し
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震度7想定の応急処置や搬送訓練 浜松市と医師会 救護活動を確認
南海トラフ地震をはじめとする大規模災害に備えようと、浜松市と市医師会は11日、医療救護訓練を中央区の浜松医療センターなどで行った。医療関係者や市職員、地元住民ら約200人が参加し、傷病者の判別から応急処置、搬送までの流れを確認した。 訓練は前日朝に同市内で震度7の地震が発生し、負傷者が多数発生したとの想定。患者の殺到に伴う病院の機能や対応力の低下を見込み、市と連携して病院前救護所を設置した。医師が運び込まれる負傷者役の学生ボランティア、地域住民らの症状を確認し、重症度によって治療の優先順位を決めた。担当ごとに業務の引き継ぎや、終了後の振り返りも行い、参加者が課題を共有した。 医療関係機関
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【科学する人】山梨県富士山科学研究所長 藤井敏嗣さん㊦火山専門 家育成に注力
「ここ100年ほど、日本社会は国土の広範囲に被害が及ぶような大規模な噴火を経験していない。対策を怠れば必ずしっぺ返しを食らう」。藤井敏嗣さんは危機感をあらわにする。 2014年9月、長野・岐阜両県にまたがる御嶽山(3067メートル)で、マグマの熱で水が熱せられて爆発する「水蒸気噴火」が発生。登山客ら58人が死亡し、5人が行方不明となった。当時、火山噴火予知連絡会の会長だった藤井さんは「水蒸気噴火を予測する難しさを感じた」と振り返る。 活火山の観測や研究をどう進めていけばよいのか。これまでは気象庁や大学がそれぞれ独自に取り組み、連携不足が指摘されてきた。国立大学の法人化に伴う予算削減などが
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障害者の災害関連死2割超 東日本と熊本、支援や対策急務
被災後の心身の負担が原因で亡くなる「災害関連死」のうち、発災時に障害者手帳を持っていた人の割合が、2011年の東日本大震災で21%、16年の熊本地震で28%だったことが10日、自治体への共同通信の調査で分かった。国の推計によると、障害者は人口の9%ほどとされ、リスクが際立つ。関連死は適切な支援があれば防げると言われる。能登半島地震の被災地でも障害者関係施設の被災や断水が起きており、支援が途絶えないよう対策が求められる。 3月11日で東日本大震災から13年。調査は震災から20年7月豪雨までの五つの「特定非常災害」で、関連死認定があった静岡など16都県延べ149自治体(関連死計4千人超)を対象
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浜松市天竜区の盛り土崩落 市の第三者委、検証漏れ 無届け関係条文、論点にせず
浜松市天竜区緑恵台で2022年9月に無届けの盛り土が崩落して住民3人が負傷した災害を巡り、市が設置した第三者委員会(行政対応検証会)が、無届け盛り土への対応を定めた関係法令の条文を検証の論点としていなかったことが10日までの静岡新聞社の取材で分かった。規制する権限を持つ市職員が盛り土の違法性の確認を怠った可能性があるのに、関係条文に基づく検証が漏れていた。 行政文書などによると、崩落盛り土は14年度に県土採取等規制条例で規制される規模(面積1000平方メートル以上か土砂量2000立方メートル以上)に該当し違法状態だったとみられる。市は盛り土を把握済みで、違法性の確認が十分だったのか、崩落
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能登教訓に対策確認を 横田崇/愛知工業大地域防災研究センター長・教授【提言・減災】
1月1日に発生した能登半島地震により、能登半島を中心に石川県、富山県、新潟県など広い範囲で大きな被害が発生し、240人(2月2日現在)の方が亡くなられている。犠牲になられた方に哀悼の意をささげるとともに、被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げたい。 地震による被害は甚大で、被災場所が半島という地理的制約もあり、救援物資もすぐには届かず、被害の実態が明らかになるのにも時間を要した。震災から1カ月を経た現在も多くの方の避難生活が続いており、被災地を離れた2次避難(広域避難)も行われている。応急仮設住宅の建設や復旧に向けた取り組みは、ボランティアの方の支援も含め、精力的に行われているものの、被災地
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悲痛な救援依頼、諦めず活動 能登地震初日から現地入りの県警機動隊員、教訓語る
能登半島地震の発生初日から石川県珠洲市内で捜索活動に当たった静岡県警広域緊急援助隊警備部隊員2人が8日、静岡市駿河区の県警機動隊グラウンドで報道陣の取材に応じた。倒壊した家屋から心肺停止状態の行方不明者を発見した当時の様子を振り返り、被災地の活動から見えた教訓として陸路確保や家庭備蓄の重要性を訴えた。 取材に応じたのは機動隊の佐藤邦洋警部補(44)と鈴木綾巡査部長(28)。ともに地震が発生した1月1~5日に珠洲市に入った。 救助活動では「警察の救助隊です」と声をかけながら市内を巡回した。3日午後には、住民から「倒壊家屋の中に家族がいる。出してあげてください」と涙ながらに呼び止められた。全
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耐震シェルター設置費用助成 非耐震の高齢者木造住宅 短期間で整備完了 焼津市
焼津市は2024年度、高齢者のみが居住する耐震性が確保されていない木造住宅を対象に、地震発生時に住宅の倒壊から人命を守る耐震シェルターなどの設置費用を助成する。耐震改修に比べて整備が短期間で完了し、工事費も抑えられることから、住宅の強度化を迅速に進める狙い。 関係者によると、対象は1981年5月以前の旧耐震基準で建てられ、65歳以上の高齢者のみが居住する木造住宅約500棟。家屋が倒壊しても、壊れにくい小部屋を設置する。整備する場所は高齢者が逃げにくい就寝時の地震発生に備え、寝室を想定している。 助成額は最大41万円。高齢者が耐震工事をためらう理由に資金面を挙げる声が多かったことから、市で
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清水区の松山さん 避難所運営で助言 西伊豆で研修会
西伊豆町社会福祉協議会と同町仁科の浮島地区の地域住民は4日、災害時に備え、民宿「大屋荘」で避難所運営研修会を行った。約50人が参加し、住民主体で開設する自主避難所の運営方法について学んだ。 能登半島地震で被災した石川県珠洲市の支援を行う町災害対応アドバイザーの松山文紀さん(51)=静岡市清水区=を講師に招いた。 夏の観光シーズンに地震が発生し、土砂崩れで同地区が孤立したことを想定。参加者は住民や観光客らの避難者情報を把握したり、物資の受け入れ手順を確認したりした。 松山さんは「伊豆も能登と同様に主要道が少なく孤立の懸念があるなど人ごとではない。訓練を通じ、自ら何が必要なのか気付くのが重
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能登3市町、基準強化前住宅6割 高齢世帯の耐震化課題 静岡県内は下田44%熱海35%
輪島市は2日、被災者向け応急仮設住宅を報道公開。地震後の完成は初めてで、3日から18世帯55人が入居を始める予定。6日には珠洲市でも40戸が完成する見通し。 分析したのは2018年実施の住宅・土地統計調査。全市区と人口1万5千人以上の町村が対象だった。最新版の調査は23年秋に行い、結果は今後公表される。 18年調査で全1086市区町村の住宅総数に占める80年以前の建設割合は22%だった。能登町は61%となり全体で2番目に高く、次いで熊本県山都町の59%、高知県室戸市の56%、輪島市は5番目。最も低いのは、つくばエクスプレス沿線で、子育て世帯の転入も多い茨城県守谷市の6%。 上位20市町
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液状化地域の家屋再建、軽微では対象外? 能登地震2000棟影響 静岡県も南海トラフは液状化想定
能登半島の付け根に位置する石川県羽咋市。能登半島地震で揺れや津波の被害は小さかった一方、深刻な液状化被害が発生した。住家被害約2千棟(2日現在)の大半が液状化の影響を受け、町内一帯が地盤沈下した地域もあり、被災者は途方に暮れている。静岡県内でも南海トラフ巨大地震の発生時、各地で液状化被害が想定されている。 「コミュニティーが維持できるか…」。1月下旬の羽咋市大川町。町会長の庵修さん(68)は肩を落とした。町内では、最大50センチほど沈下し、傾いた家屋があちこちでみられる。新築で被害を受けた人や、既に町内を離れると決めた人もいるという。上下水道は1月下旬に復旧したが、下水道は仮
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能登地震被害全容把握 3次元点群データで遠隔支援 静岡県と東京都
被害状況の全容把握に難航する能登半島地震の被災地や自治体を遠隔で支援しようと、静岡県と東京都は2日、石川県が被災前に取得していた3次元点群データの公開を代行し、被災前後の地形などを比較できる画像データを、本県と都が共同運用するプラットフォーム上に掲載した。被災前後の画像比較により、一部地域の沿岸部隆起や、確認が困難な山間地などの被害状況、リスクの把握が可能になり、復旧作業時の安全確保などに役立つという。 静岡県によると、石川県は2020年と22年に能登半島のほぼ全域の3次元点群データを取得していたが、外部でも活用できるオープンデータ化はしていなかった。静岡県と都は自治体間の遠隔支援として、
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応急修理制度申請 仮設入居後も可に 能登地震で特例措置、自宅再建に光
内閣府は、能登半島地震の被災者支援に関し、賃貸型応急住宅(みなし仮設)への入居を先に申し込んだ場合でも、自宅の修理に公費が充てられる「応急修理制度」の利用を認める方向で最終調整に入った。珠洲市や輪島市など被害が甚大だった石川県能登地方に限定した特例措置。現地では罹災(りさい)証明の交付が遅れ、応急修理を申請したくてもできずに避難生活を余儀なくされている被災者がいる。こうした課題の解消を図る。2日までに関係者への取材で分かった。 応急修理は災害救助法に基づく制度。罹災証明で準半壊以上が対象で、最大約70万円の助成を受けられる。みなし仮設との併用が認められるが、応急修理を先に申請する必要がある
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静岡市導入消防ヘリ、川重製 高山での活動重視
静岡市は新しい消防ヘリとして川崎重工業製の中型双発機「BK117D―3」(D―3)を導入する方針を固めた。1日までの関係者への取材で分かった。8日開会予定の市議会2月定例会に関連議案を提出する。 関係者によると、市消防局が2023年12月、3千メートル級の高山岳帯である南アルプスを管内に持つことを踏まえ、3200メートルの高度でも救助活動を安定して行うことができることなどを条件に一般競争入札を行い、複数の応札の中からD―3を提案した川崎重工業が落札した。 同社のホームページによると、D―3は最大定員12人、航続距離722キロ、航続時間3時間52分。現行の静岡市の消防ヘリ「ベル式412EP
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耐震診断の枠拡大 能登地震受け需要増 浜松市
中野祐介浜松市長は31日の定例記者会見で、能登半島地震を受けて市が実施している住宅の耐震無料診断の希望者が増加したため、本年度の受け付け枠を拡大したと明らかにした。当初予定の450件を480件に修正し、既決予算内の流用で経費を確保した。 1981年5月以前に建築された木造住宅の所有者が1度限り受けられるサービス。耐震性不足と診断され補強工事をする場合、市は最大135万円の助成制度を設けている。中野市長は来年度当初予算案でも無料診断の需要増を見込んで増額する意向を示し、「今回の被災状況を説明しながら、個々の家庭で耐震化を進めてもらえるよう働きかけたい」と強調した。 また、対口(たいこう)支
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帰省中に能登地震経験「孤立は伊豆でも」 停電、断水の空港で2泊 観光客対応、物資空輸の必要性訴え
能登半島地震の発生から2月1日で1カ月。石川県能登町出身で沼津市在住の会社員仙座夏子さん(33)は1月1日に高速バスで帰省中、能登空港の近くで被災した。能登半島は各地で道路が寸断されて身動きがとれず、同空港に3日夕方まで身を寄せた。親族は現在も工務店の倉庫での避難生活を続けているという。仙座さんは伊豆半島に10年ほど住んだ経験があり、「伊豆も被災すれば同じように孤立する地域が必ず出てくる。観光客への対応や物資の空輸の対策が必要になる」と危機感を語る。 「怖い。何が起こったのか」―。元日の午後4時10分ごろだった。仙座さんが乗った金沢発の高速バスは能登空港から3キロほど珠洲市方面に向かった能
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「災害対応力強化」テーマ 9月の総合防災訓練の概要説明 熱海
静岡県と熱海市、伊東市は30日、9月1日に両市を主会場に共催する総合防災訓練の全体説明会を熱海市のMOA美術館で開いた。行政や訓練に協力する機関の関係者ら約170人が集い、予定する訓練内容などを確認した。 訓練テーマは「もしもの時にどう動く?自分と家族と地域を守ろう―自助、共助、公助による災害対応力の強化」とし、午前8時から正午に実施する。県内で震度7を観測する大規模地震が発生し、建物倒壊や津波浸水、土砂災害、火災などの大きな被害が起きた想定で行う。 説明会では、それぞれの担当者が訓練概要や内容を説明した。伊東市は市民運動場をメイン会場に訓練を実施する。能登半島地震の土砂崩れや家屋倒壊で
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社説(1月28日)地震と原発 非常時対応に万全期せ
能登半島地震で最大震度7を観測した石川県志賀町内にある北陸電力志賀原発(停止中)に大きな被害はなかったが、一部の設備が故障するなどのトラブルがあった。能登半島では地震で道路が寸断されて通信も途絶した場所もあった。このような地域で複合災害が起きた場合の住民保護に課題を残したといえる。 志賀原発は沸騰水型原子炉(BWR)を2基備える。観測された揺れは1号機地下で震度5強だったが、一部の周期で加速度が設計時の想定を上回ったという。原発の安全性に影響はなかったとされるが、「想定外」の事象はなくしておくべきだ。 地震の震源域は長さ150キロを超え、複数の断層が連動したとみられる。政府の地震調査研究
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水道管の耐震化進まず、静岡県43% 財政難や人手不足が課題、災害復旧に影響
能登半島地震では水道施設が甚大な被害を受け、断水の長期化が課題となっている。南海トラフ巨大地震が想定される静岡県でも対策は急務だが、主要な水道管の耐震化率は自治体の財政難や人手不足もあって4割強にとどまる。被災地で復旧や給水に当たった自治体職員らはインフラ整備の重要性を指摘する。 「復旧作業がいつ終わるのか見通せない。長期戦を覚悟しなければ」 石川県珠洲市で水道施設の被災状況を調査した浜松市水道工事課の河村栄二技監(49)は現地の深刻な状況を語った。道路があちこちで陥没し、損傷箇所の特定も容易ではなかったという。「効率的に耐震化を進める必要がある」と教訓を口にした。 被災地では全国の
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活断層活動 予測難しく 加藤尚之/東京大地震研究所教授【提言・減災】
1月1日に能登半島でマグニチュード(M)7・6の大地震が発生し、大きな被害をもたらした。能登半島では2020年から活発な地震活動が続いており、その推移に注意が払われていた。しかし、今回の大地震を正確に予測した地震学者はいないだろう。地震の研究にはまだ多くの課題がある。 地震というと、南海トラフ沿いの巨大地震や大正関東地震(関東大震災)、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)のような、隣り合う二つのプレートの境界で発生するプレート境界地震を思い浮かべることが多いかもしれない。しかし、日本海沿岸でも多くの大地震が発生している。今回の地震の震源域付近でも、2007年に能登半島地震(M6
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【第3章】半割れ発生(前編)③ 臨時情報で自主避難 渋滞、買い占めで焦燥【東海さん一家の防災日記 南海トラフ地震に備える/いのち守る 防災しずおか】
最大でマグニチュード(M)9級の巨大災害が想定される南海トラフ地震で最も懸念されるケースの一つは、M8級の大地震が続けざまに起こる「半割れケース」だ。同ケースが発生すると社会はどのような状況になるのか。自主防災会会長の東海駿河さん(71)や長男で会社員の遠州さん(36)一家をモデルに、住民が直面する課題を考える。 M8・0の大地震が四国沖で発生し、気象庁は2019年の運用開始後初となる「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」を発表した。想定震源域の西側から、駿河湾や遠州灘を含む東側に連鎖して大地震が起こる危険性が高まった―という情報だ。浸水想定区域に住む東海遠州さん(36)、妻三保さん
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避難所のペット受け入れ 設営キットで空間づくり体験 富士宮で勉強会
避難所でのペット飼育管理に関する勉強会が27日、富士宮市役所で開かれた。市内の指定避難所に配備しているペットスペース設営キットを使い、飼い主と災害時動物愛護ボランティアリーダー計約40人が、避難者に同行するペットの受け入れ体制構築を体験した。 市は2023年7月、全44の指定避難所にキットを設けた。雨風をしのぐブルーシートや軍手、ごみ袋、名前を識別するための筆記用具などが入っている。 ペットスペースは避難者の居住区域や動線から離れた場所が原則で、主に校庭などの屋外を想定する。市の担当者はサッカーゴールを使った簡易屋根の作り方や、個別空間の仕切り方を伝えた。 避難の受け入れ訓練では受付簿
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能登地震、9割が倒壊死 高齢化と古い木造家屋が要因
能登半島地震で石川県が27日までに氏名を公表した死者129人のうち、9割近くの111人が家屋倒壊で死亡したことが判明した。多くは圧死や窒息死とみられる。被害の大きい地域は、高齢化率が高くて古い木造家屋が多く、資金難などで耐震工事が進まなかった背景が浮かんだ。一方で津波による死者は珠洲市の2人。海岸付近などの地盤が隆起して防波堤の役割を果たし、津波の被害が軽減された結果、倒壊死の割合が相対的に高くなった可能性がある。 県内の住宅被害は一部破損から全壊まで4万3千棟超に上った。県幹部は「倒壊したのは旧耐震基準で建てられた住宅が多いようだ。耐震化を進めるためどのような施策が打てるのか、国や市町と
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熱海土石流で被災の岸谷2号線 復旧改良工事が本格化 秋完成目指す
熱海市は26日、同市伊豆山の大規模土石流で被災した市道「岸谷2号線」の改良復旧工事を本格的に始めた。被災地の住民から早期整備の待望論が上がっている伊豆山の生活道路で、今秋の完成を目指す。 岸谷2号線は2021年7月に大規模土石流が発生した逢初(あいぞめ)川の中流部に位置する。改良復旧の工事延長は45メートルで、路線の形状を一部変更する。道路の幅員は被災前と比べて2倍の4・5メートルを確保する。工事費2600万円。市の担当者は「一日でも早く整備を完了させたい」と話した。 岸谷2号線は土石流の影響で破損、流失し、通行不能になった。被災前は地元住民が東西交通の主要ルートとして利用していたが、現
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台湾の高校生ら 静岡県で防災学ぶ 27日まで滞在
台湾教育部主催の「防災青年国際リーダーキャンプ」で静岡県を視察している台湾の高校生らが26日、県庁を訪れ、県の危機管理体制や防災対策、能登半島地震での支援活動について学んだ。 来訪した高校生23人と大学生3人は、27日まで県内に滞在し、御殿場市で火山防災を学んだり、島田市内でフィールドワークに取り組んだりする。 県の危機管理センターでは、能登半島地震の被災地で住家被害調査の支援に入った県危機管理部職員が現地の様子を説明。津波、大規模火災、住宅倒壊、道路寸断など多様な事象が発生し、支援も困難な状況にあると話した。静岡県の地震・津波対策アクションプランや家屋耐震化、防潮堤整備などの施策も紹介
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議員が災害情報投稿、ウェブ上で一括集約 静岡市、25年1月運用開始
静岡市は、2025年1月に運用開始予定の「災害時総合情報サイト」に、市議が被害情報を投稿する専用ページ「災害時議員ボード」を組み込む方針を固めた。災害発生時に市議に寄せられる市民からの情報をウェブ上で一元的に集約することで、職員の負担軽減や円滑な対応につなげる。26日までの関係者への取材で分かった。 「ボード」の構築は市議会の提案を受けて市が設ける。台風などの災害があった際、市議には地元住民から多くの情報や相談が寄せられるが、現在は市議がそれぞれ市に情報提供している。災害発生直後は市は市民からの問い合わせや被害状況の確認、各部局の活動調整でひっ迫していて、市議の情報により混乱が生じる可能性
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静岡県、揺れや火災対策強化へ関連予算 感震ブレーカー設置補助、「TOUKAI―0」増額 24年度当初予算案
最大震度7を観測した能登半島地震を受け、静岡県は2024年度、地震の揺れと火災の対策強化に乗り出す。2月に発表予定の当初予算案に関連予算を盛り込む方針を固めた。停電復旧後の「通電火災」を防ぐため、住宅などへの「感震ブレーカー」の設置を促進する。約70項目を対象とする地震・津波対策等減災交付金(23億円)の新メニューに新たに追加する。木造住宅耐震化プロジェクト「TOUKAI(東海・倒壊)―0」の予算も増額する方針。24日までの関係者への取材で分かった。 消防庁によると、能登半島地震では、石川県輪島市中心部の大規模火災を含めて3県で計17件の火災が発生した。いずれも出火原因は特定されておらず調
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木造住宅耐震化「TOUKAI-0」問い合わせ増加 静岡県、市町の連携プロジェクト 25年度末終了「早めに相談を」
能登半島地震を受け、静岡県と市町が連携して実施している木造住宅耐震化プロジェクト「TOUKAI(東海・倒壊)-0」に関する県民の問い合わせが増えている。能登半島地震の犠牲者の多くが家屋倒壊による圧死で亡くなったとみられることが、県民の危機意識に影響している状況がうかがえる。2025年度末にプロジェクトが終了するため、県の担当者は「未対応の人は早めに相談を」と呼びかけている。 プロジェクトは1981年以前の旧耐震基準で立てられた木造住宅を対象に、市町が窓口となって無料で耐震診断を行い、耐震補強工事費も助成する。県によると、2001年度の開始から22年度末までの耐震補強助成件数は累計2万654
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地域で連携、防災力向上を 浜松中央区・住吉自治会などが学習会 避難所備蓄や運営法確認
能登半島地震を受けて、浜松市中央区の住吉自治会(下村哲生会長)などは22日、地域防災力の向上に向けた学習会を住吉地区内で開いた。同自治会の役員や地域の民生委員、同所周辺に立地する浜松学院中・高などの関係者ら約25人が参加し、避難所の備蓄品や資機材、運営方法などを確認するとともに、地域連携強化の必要性を再認識した。 参加者は、市中央区振興課職員の説明を受けながら、災害時の避難所に指定されている城北小と高台中を訪問。城北小では校舎1階の教室や体育館の器具庫、屋外の防災倉庫に飲料水やアルファ米、段ボールパーティション、毛布、発電機などが備えられていることや、避難所開設に向けた施設の安全確認の方法
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防災用品の需要、静岡県内伸長 能登地震で関心 共助型商品問い合わせ多く
能登半島地震を受け、静岡県内の消費者や企業の間で防災用品への関心が改めて高まっている。被災地では避難所トイレの衛生環境が悪化したり、陸路の寸断により救援物資搬送が難航したりする事態が浮き彫りになった。南海トラフ巨大地震で広範囲の被災が想定される静岡県でも、こうした課題に備える顧客の需要を踏まえ、小売やメーカーの各事業者が対応を強化する。 ハンズ静岡店(静岡市葵区)では初売りの2日から、防災グッズを買い求める客が後を絶たない。缶詰食品や水を使わない洗髪料、簡易トイレの需要が高く、第1週の売上高は前年の約8倍に上った。 一部で在庫の少ない商品はあるが、1月上旬時点で入荷状況に混乱はないという
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大地震想定し避難所運営訓練 浜松・中央区堤町と卸本町自主防 区画整理など手順確認
浜松市中央区の堤町と卸本町自主防災隊は21日、大規模地震の発生を想定した避難所運営訓練を同区の新津協働センターで行った。避難者が生活する区画の整理や簡易テントの設置方法などの手順を確認した。 新津地区自主防災隊連絡会、消防団員、新津中の生徒ら約150人が参加し、各班に分かれて炊き出しなどを行った。 同連絡会の宇野雅彦会長(69)は受付での避難者カードの配布に課題が残ったと指摘し、「反省を生かしてより連携を深めたい」と強調した。新津中2年の生徒会長江川与瑠さん(14)は、多くの高齢者がいる同地区の現状に触れ「まずは自分の命を守ってから避難所に行き、地域のために積極的に手伝えれば」と話した。
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底冷えの体育館に宿泊、避難所生活体験 親子7組対応力学ぶ 静岡県立短大
静岡県立大短期大学部の福祉防災ゼミは19日夜から20日朝にかけて、災害発生時の避難所生活を疑似体験できる宿泊会を静岡市駿河区の同大小鹿キャンパスの体育館で開いた。市内から親子7組が参加し、底冷えする冬の体育館での生活体験を通して避難時の対応力を学んだ。 参加者はゼミ生6人のサポートを受けながら、ガスや電気が使えない状況を想定して夕食作りに挑んだ。カセットこんろで沸かした湯を使い、米をポリ袋に入れて炊き、レトルトカレーを温めた。牛乳パックを細く切ってスプーンの代わりにしたり、再利用できるよう紙皿にラップを巻き付けたりする工夫を凝らした。 就寝用のベッドは複数の段ボール箱をつなぎ合わせて作っ
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水災害「新たなステージ」 河川審議会で県リポート案 流域治水の必要性強調
静岡県河川審議会(会長・大石哲神戸大教授)が19日、静岡市葵区の県地震防災センターで開かれた。県は2022年の台風15号、23年の台風2号で被災した教訓を踏まえ「新たなステージに入った水災害に対する取り組み」のリポート案を示し、氾濫防止や被害対象の減少などに向けて県河川砂防局が取り組む29項目の重点対策や工程を提示した。 22年の台風15号は、県中部で24時間最大雨量が400~500ミリに達し、5700戸以上で床上浸水した。23年の台風2号でも複数箇所で同500ミリ超を観測し、広域で浸水被害に見舞われた。 リポート案では、県内で時間雨量50ミリ以上の降雨が30年前に比べ1・4倍に増え、水
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災害時、どうやって避難する!? 日本語教室生が防災訓練 浜松市中央区
浜松市外国人学習支援センターは16日、同センターの日本語教室に通う外国人生徒らを対象にした防災訓練を中央区の同センターで行った。生徒と日本語ボランティア養成講座を受講する日本人計約30人が、互いに協力しながら災害時の心得や避難方法を学んだ。 参加者は能登半島地震の被災状況を学んだ後、屋外避難訓練に取り組んだ。訓練の緊急地震速報が流れると、机の下に隠れて身の安全を確保し、しばらくすると安全な屋外駐車場に避難した。同センターのスタッフや日本人ボランティアがやさしい日本語とジェスチャーを交え、緊急時の行動を説明した。 スマートフォンを使い災害用伝言ダイヤルの利用の実践や、大規模災害時に国籍や日
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静大と静岡県「フェロー養成講座」 防災実務者 専門知識さらに
静岡大防災総合センターは22日まで、静岡県と連携して実施する「ふじのくに防災フェロー養成講座」の2024年度受講生を募集している。自治体や企業、学校などで防災業務に従事している担当者などが対象。災害に関する情報を科学的に読み解き、予防や実務の中核となる人材育成を目指す。 受講は4月から1年間(最大2年間)で、地震学や火山学、津波工学、防災気象情報論など25の科目から10科目以上を履修する。原則土曜が開講日で、実習科目など一部を除きオンライン形式で行う。講義とは別に、受講生は研究テーマを決めて、教員の指導で調査研究を行う。 定員は若干名。書類審査や面接で選抜する。受講料12万円。検定料と入
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降下訓練中、米兵5人が演習場外に不時着 御殿場と裾野
16日午後2時ごろ、東富士演習場でパラシュート降下訓練を行っていた米兵5人が、御殿場市と裾野市の演習場域外に不時着した。けが人や物損被害はなかった。演習場周辺では12月に米軍ドローンが行方不明になり、場外で発見される事故が起きたばかり。相次ぐ訓練不備に、周辺住民から不安の声が上がっている。 防衛省南関東防衛局によると、同演習場上空で飛行機からのパラシュート降下訓練を実施中、強風にあおられるなど何らかの原因で降下位置がずれたとみられる。裾野市運動公園と御殿場市の時之栖スポーツセンターうさぎ島グラウンドに各2人が不時着した。残り1人の降下先は「相手方との話し合いで公表を控える」としたが、本紙取
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“海底隆起”漁に打撃 南海トラフでも可能性 津波、一時的に観測不能の地点も【能登半島 最大震度7 静岡新聞社現地ルポ④】
「地面が盛り上がるなんて誰が予想できたか」。石川県輪島市の輪島港。漁師の池澄隆守さん(64)=同市=は、異変が起きた港を見て悲痛な声を上げた。一帯の地盤が隆起したことで海面が相対的に低下し、地震前は高さ約1メートルのはしごを登らないと乗り込めなかった漁船が岸壁から見下ろせる位置に並んでいた。 同港周辺では地震に伴って地盤が2メートルほど隆起したとみられる。海底や岸壁が持ち上がり、水深が浅くなって座礁した船も見られた。池澄さんの船も船底が海底につかえ、出航できなくなった。「漁師は沖に出られないと生活できない」。このまま放置されれば船体のさらなる損傷が避けられない。漁師歴約50年のベテランが
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大災害備え、藤枝市が新伝達手段運用検討 通信アプリ「ラインワークス」活用、医療救護の本部と現場で迅速な情報共有
藤枝市は、大規模災害時の医療救護本部と各主要救護所との間で迅速かつ正確な情報共有をするために、スマートフォンなどの通信アプリ「ラインワークス」を活用した新たな情報伝達手段の運用の検討を進めている。市内のモバイル回線基地局の被災や通信制限、回線が混雑した場合に備え、安定したインターネット環境の維持を目的に、ソフトウエア開発を手がける松久産業(福井市)が無償で貸し出す衛星データ通信「スターリンク」の活用も想定する。 2023年12月中旬、実証実験が医療救護本部と主要救護所を置く藤枝市内の4カ所で行われた。市保健センターでは志太医師会と藤枝歯科医師会、藤枝薬剤師会を含めた関係者約15人が参加。
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被災時の安否不明者氏名公表進む 家族の同意不要、捜索活動を加速 静岡県、能登地震対応注視【いのち守る・防災しずおか】
多数の住宅が倒壊し、今もなお被害の全体像が見えない能登半島地震。石川県は発生翌々日の3日夜から安否不明者の氏名を公表し、一時は300人以上の規模となった。安否不明者を公表することで捜索活動の効率化が期待されるため、政府は2023年3月、「家族の同意取得は不要」と指針で明示。都道府県ごとに異なっていた対応の統一化が進んだ。南海トラフ地震に備える静岡県も石川県の対応を注視している。 安否不明者の公表が進んだきっかけの一つは、18年の西日本豪雨。広島、愛媛両県は個人情報保護を重視して安否不明者を基本的に非公表としたのに対し、岡山県は早期に氏名の公表に踏み切った。各自治体の個人情報保護条例が「生
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能登半島地震 群発領域の拡大謎多く 小原一成/東京大地震研究所教授【提言・減災】
1月1日、能登半島を含む北陸地方をマグニチュード(M)7・6の大地震が襲った。令和6年能登半島地震である。この地震により建物倒壊、斜面崩壊、火災、津波等で甚大な被害が生じた。この災害により犠牲になられた皆さまに心より哀悼の意をささげるとともに、すべての被災者の皆さまに心よりお見舞い申し上げたい。 能登半島では、昨年5月5日にもM6・5の地震が発生したほか、20年12月より群発地震活動が継続していた。この群発活動は、震源が移動したり、顕著な地殻変動を伴いつつ地下には電気を通しやすい物質の存在が推定されたりしたことから、流体の影響で生じたと考えられている。 群発地震の場合、火山地域等で中小規
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大地震備え「万全の対策を」 静岡県警、年頭の県下署長会議
静岡県警は12日、年頭の県下署長会議を県警本部で開いた。大原光博本部長が対面で集った全28署長に対し、能登半島地震を踏まえ「南海トラフ地震などに迅速、的確に対応するため、いま一度態勢や装備資機材などを具体的に点検し、対策に万全を期して」と指示。能登半島地震の被災地には今後も各部門からの派遣が見込まれるとして、職員の任務遂行に向けた体調管理と士気高揚の支援も求めた。 警戒の空白を生じさせない組織運営▽サイバー空間の脅威への対策推進▽SNSで特殊詐欺などの実行犯を募る「匿名・流動型犯罪グループ」を含む組織的犯罪の徹底摘発▽自転車を中心とした総合的交通事故対策-など7点の重要課題を示し、「部下と
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静岡県1、2月の防災訓練中止 能登地震被災地支援継続のため
静岡県は12日、1、2月に予定していた各種の防災訓練を中止すると発表した。能登半島地震の被災地支援で、県や各市町だけでなく消防、警察、自衛隊などの防災関係機関も継続して応援要員を派遣することが見込まれるため、実施困難と判断した。 中止するのは、大規模図上訓練、原子力防災訓練、風水害対処訓練。3月の津波対策訓練は実施の可否が決まっていない。県危機管理部によると、訓練自体は中止するが、各部で災害対応の手順確認などの研修を随時行う。
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避難生活で命と健康守るには? 水分不足、体の冷えに注意 予防につま先立ち運動も【能登地震】
甚大な被害が出た能登半島地震で、多くの人が避難所で不安な日々を過ごしている。過去の災害では避難生活で体調を崩したり、悪化したりすることも問題となった。不便な暮らしの中で、命と健康を守るためのポイントを専門家に聞いた。 危機管理アドバイザーの国崎信江さんは、避難生活の注意点として「こまめな水分補給を心がけて」と話す。水分を取らないと、頭痛や便秘などの体調不良が起きやすくなる。「断水していてトイレが心配でも、水を飲む方が優先。流す水がないときは、便座にごみ袋などを敷いて用を足すという方法もあります」 体育館など硬く冷たい床の上で長時間過ごすのも可能な限り避けてほしいという。「疲れやストレ
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すごろくで防災知識を NPOが高齢者に講座 浜松市中央区
浜松市のNPO法人「みらいネット浜松」(河原みち代理事長)は9日、防災すごろくを伝える出前講座を中央区の三新町公民館で開いた。地域の高齢者約25人がゲームを通じて防災の知識を深めた。 防災すごろくはさいころを振り、避難場所や危険箇所の確認を呼びかけたり、火災や安否確認の電話番号を問いかけたりするマスを進める。途中で震度6強の地震が発生した想定でゲームは進み、後半は「エコノミークラス症候群に気をつけよう」「余震が収まっても気を緩めないで」などと注意を呼びかけるマスが続く。防災の知識を深める目的で同法人が制作した。 参加者はマスに書かれた質問に答えたり、グループで議論したりしながらゴールを目
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能登空港内に静岡県の応援活動拠点 穴水町の被害認定支援に追派遣
静岡県は5日、能登半島地震での静岡県の応援活動拠点を能登空港(石川県輪島市)内に設置すると発表した。空港ターミナルビル内の石川県総合庁舎の一角。今後、県や市町職員が同拠点から穴水町の支援に入る。活動拠点が決まることで、長期的な支援体制が整う。 穴水町にいる先遣隊から県に入った報告によると、町内は液状化による道路の陥没が複数発生。のと鉄道穴水駅の北側は家屋の倒壊被害が特に顕著だという。人口約7200人に対して半数以上の約3800人が避難を継続していて、指定避難所以外の施設にも住民が身を寄せている。 同町の災害対策本部は、被害状況などの情報共有や町民などへの情報発信に混乱も生じている。家屋被
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災害関連死防止へ、支援人材育成 内閣府が島田などでモデル研修 避難所生活改善、心情理解も
避難生活の長期化などによる災害関連死を防ぐため、内閣府が避難所での生活環境改善を支援する人材「避難生活支援リーダー・サポーター」の育成を進めている。2023年度は島田市など全国10市町でモデル研修を行った。居住空間やトイレなどの物理的な環境を向上するだけでなく、被災者の心情を理解し、課題を把握するスキルも学ぶ。24年度以降は、実施主体を都道府県や市町村へと拡大する方針だが、講師を担う人材の確保などに課題もある。 12月中旬、島田市の初倉小で行われた研修に、自主防災組織役員や防災に関心が高い女性ら約40人が参加した。発災から約1カ月たった想定で、体育館に食事スペースや寝床などを再現。参加者
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東日本大震災伝承 釜石から津波避難学ぶ 1月20日、静岡で講座
静岡県としずおか防災コンソーシアムは2024年1月20日午前10時半から、「ふじのくに防災学講座」を静岡市葵区駒形通の県地震防災センターで開く。東日本大震災の伝承活動に取り組む岩手県釜石市の菊池のどかさんが、津波からの避難や学校での防災教育について経験を語る。 菊池さんは2011年当時、釜石東中3年だった。同中の生徒らは発災後、率先して津波から避難し、全員無事だった。迅速な避難行動は「釜石の奇跡」とも呼ばれている。当時の避難の様子や印象に残っている防災教育などを紹介する。 受講無料。ビデオ会議システム「Zoom」でも受講できる。希望者は1月18日までに申し込む。問い合わせは同センター<電
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富士山など火山観測体制充実へ 改正法施行で防災対策強化
政府は2024年度、富士山など全国の火山防災対策を強化する。改正活動火山対策特別措置法(活火山法)が24年4月1日に施行されるのに合わせ、火山調査研究推進本部(火山本部)の新設、国民への普及啓発といった改正法の趣旨に沿った取り組みを展開する。24年度予算案に、関係省庁が必要経費を盛り込んだ。 改正法で定められた火山本部は4月1日から文部科学省に置かれ、調査研究を一元的に担う。同省は24年度予算案に12億円を付け、運営に充てる。火山防災で即戦力となる人材育成のプログラムも創設する。社会人や他分野の研究者、自治体の実務者を対象に火山調査研究の専門性の高い大学や研究機関が実施する教育カリキュラム
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南海トラフ救援計画改定 新被害想定踏まえ
内閣府は2024年度、南海トラフ地震防災対策推進基本計画の改定を踏まえ、発災直後の救援体制をまとめた応急対策活動計画を見直す。新たな被害想定を基に救援に必要な人員数や物資量などを再検討し、的確な被災地支援につなげる。 22日に閣議決定された24年度予算案に、日本海溝・千島海溝地震の応急対策活動計画の改定費と合わせて2300万円を盛り込んだ。 現行の計画は、12年8月公表の被害想定に基づき、消防、警察といった応援部隊の派遣や物資調達、インフラ供給などに関する具体的な対応を定めている。内閣府は24年春の南海トラフ地震防災対策推進基本計画改定に伴い、10年間の減災対策を反映させた被害想定を新た
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高校施設、災害時初動拠点に 自衛隊、静岡県教委に協力依頼文書
自衛隊静岡地方協力本部は20日、災害時活動拠点として県立高校活用の協力を求める文書を県教委に提出した。同本部は南海トラフ巨大地震に備え、初動で最適な活動拠点となる高校施設の確保を進める。 武田恭一本部長らが県庁を訪れ、池上重弘教育長に依頼理由を説明した。大型車両を止められる駐車場や簡易指揮所が設置できるグラウンド、隊員が休息を取れる体育館がある学校は初動の活動拠点として最適と指摘した。県立高校は県内全域にあり、耐震設備も整っているため、即時救援活動の効率化を期待できるとした。 今後、依頼に応じられる高校で調査を進めてリストップし、県の防災計画への反映を求める方針。自衛隊の初動訓練や防災教
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不適切盛り土160カ所 静岡県内11月末時点 住民通報、新たに9件
静岡県内で、県盛り土規制条例などの法令に違反したり、防災設備の不備などが確認されたりした不適切盛り土が11月末時点で160カ所に上ることが20日までの県への取材で分かった。4月に公表した163カ所のうち、12カ所で是正工事が完了する一方、住民の通報などで新たに9カ所を把握した。県は緊急性の高い盛り土から地質調査や安定性の解析を進め、造成業者などに是正を求めていく。 県盛土対策課によると、160カ所の不適切盛り土のうち、21カ所は地質調査や応急対策工事を進めている。このうち菊川市西方で無許可造成された盛り土については、行政指導に従わない施工主らに対し、同条例に基づく措置命令を出した。現在は施
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高校生ドローン防災隊 2期生へ引継ぎ 掛川市、8人に委嘱状
掛川市は17日、市内の高校から有志を募って2022年度に発足させた「高校生ドローン防災航空隊」の2期生8人に委嘱状を授与した。新隊員はそれぞれ「訓練に励んで防災に尽くしたい」「率先して動けるよう意識を高めていく」などと決意を述べ、1期生からベストを引き継いだ。 同隊は、災害時に被災場所や広域避難所周辺の状況を小型無人機ドローンで空撮し、災害対策本部に報告するのが主な任務。2期生は市内4校から選ばれた1年生で、8月から訓練を重ねて飛行許可申請に必要な10時間の操縦訓練を修了した。 掛川工業高の松井斗優悟さん(16)は「いざという時に市民を守る側になった。覚悟を持って頑張りたい」と話した。委
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避難時リュックに何を入れる? 科技高生が講師、静岡でゲーム感覚のワークショップ
静岡市葵区の市番町市民活動センターは17日、科学技術高(同区)の生徒が講師を務める防災ワークショップを同センター内の番町複合施設体育館で開いた。 課題研究の授業で防災を学ぶ都市基盤工学科の3年生7人が、段ボールを使った簡易トイレの製作や4択クイズを通じて市民約30人に防災の知識を紹介した。 避難時に自宅から持ち出す物を考えるゲーム「防災リュックづくり」では、限られた容量のリュックに水や衣類など何を入れるべきかを5人一組で話し合った。体育館のカーテンを閉めて照明を消し、夜間に停電した状況で避難した際の暗さも体感した。 ワークショップ企画の班長を務めた劔持晴哉さん(18)は「静岡は大地震が
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ドローンで医薬品輸送、オンライン診療も 西伊豆町で実証実験
西伊豆町などは10日、ドローンを活用した医薬品配送と遠隔医療提供の実証実験を同町宇久須で実施した。医師によるオンライン診療の後、処方された薬をドローンで患者宅近くに届ける一連の流れを確認した。ドライバー不足や災害時に備え、新たな物流サービスの構築や遠隔医療の体制確立を目指す。 池田医院(同町宇久須)の池田正見院長(69)が患者の体調を確認し、薬局の薬剤師も画面越しで服薬法を説明。薬入りの箱を付けたドローンがひまわり薬局―神田公民館の間(片道約2キロ)を往復した。 高齢化や過疎化が進む同町では2021年にも、災害時を想定してドローンによる輸送実験を行った。池田院長は「クリアすべき課題は多い
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移動仮設薬局を活用 藤枝市とアルフレッサが災害支援協定 医療救護体制の強化へ
藤枝市と、同市岡部町に物流センターを構える医薬品卸会社のアルフレッサ(東京)はこのほど、災害支援に関する協定を締結した。災害時に薬局機能を被災者に届ける同社の移動仮設薬局「災害支援コンテナファーマシー」を活用し、医療救護体制の強化につなげる。 同社によると、移動仮設薬局の開発は全国初の取り組み。東日本大震災時に被災地などで慢性疾患薬などが不足した事態を受け、災害時の安定的な医薬品の供給を目的に、免震機能を備える岡部町の静岡物流センターに設置した。 コンテナは幅と高さ約2・5メートル、奥行き約6メートル、重さ6・5トン。大規模災害の発生時に市の要請を受けた後、物流センターから必要な医薬品を
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災害とインターネット データ量抑えつながりやすく【ライフセミナー】
インターネットを通じたさまざまなサービスが生活に浸透しているが、災害時はどうすればいいか。中央大教授の岡嶋裕史さんに注意点などを聞いた。 Q 災害時にインターネットは使えますか。 A 注意すべき点はいくつかありますが、通信手段が確保できれば、必要な情報を収集したり、連絡を取ったりするための有用な手段として利用できます。 電話は回線交換方式といって高品質な通信ができますが、同時に並行して行える通信数が決まっています。災害で通話要求が殺到すると、つながらなくなるでしょう。 一方、インターネットは蓄積交換方式といい、通信要求が集中してもある程度それを蓄積して順次さばいていくことが可能です
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東南海地震から79年 静岡県内最大の被災地だった袋井 犠牲者追悼、児童に体験談
太平洋戦争中の1944年に発生した昭和東南海地震から79年を経た7日、140人以上が犠牲になり、県内最大の被災地だった袋井市の各地で、犠牲者追悼や災害伝承の行事が行われた。児童20人が校舎などの下敷きになって亡くなった袋井西小では5年生81人が当時児童だった85~90歳の語り部6人から体験談を聞き、地震の恐ろしさや命を守る行動に理解を深めた。 同校では地震発生時間とほぼ同じ午後1時半ごろ、全校児童約490人が黙とうをささげた。語り部は2人ずつ5年生の3クラスに分かれ、同校の被災状況をまとめた紙芝居を使って体験を伝えた。 木野晃さん(90)と梶本はま子さん(87)は校舎2棟が倒壊した被害や
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災害時の土木相互応援確認 静岡、山梨、神奈川県が図上訓練
静岡県は7日、山梨、神奈川の両県と合同で、土木部局間の相互応援を想定した初の図上訓練を県庁で開いた。3県の職員約40人が実際に集まり、過去に行った実働訓練などの課題を洗い出して今後実施する訓練方式を検討した。 3県は1997~98年に取り交わした「災害相互応援に関する確認書」に基づき、職員派遣や資機材提供などの実動訓練を毎年行っている。3県間ではこれまでに実際の災害で支援した事例がないため、確認書の見直しが必要な部分や過去の訓練の問題点を踏まえ、有事により効果的な支援につなげようと図上訓練を企画した。 訓練では3県の職員で混成されたグループに分かれ、「他県の組織を知らず、もっと顔を合わせ
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台風2号の住家被害認定 沼津市、判定見直し検討 市議会
沼津市は6日の市議会11月定例会で、6月の台風2号による大雨での住家被害の判定方法について、他市町との違いを検証し、見直しを検討する方針を示した。 6月は市西部を中心に浸水被害が起き、一部損壊115件、準半壊1件の被害が認定された。頼重秀一市長は「内閣府の指針に沿って判定した」と答弁した。同様の浸水被害で半壊認定もあった磐田市に比べ、厳しい判定がされたとする点について岩瀬宗一財務部長は「写真だけでは判定が難しいケースがある他、降水量や地形の違いにより、市町で結果が異なる」と述べた。 市資産税課は、他市町との判定の違いについて、被害が重く判定される床下の汚泥堆積に、量による基準がないことや
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富士山噴火、情報提供円滑に 関係機関が富士宮で調査訓練
富士山の噴火による土砂災害情報を提供するための緊急調査訓練が4日、富士宮市の富士砂防事務所で行われ、国土交通省中部地方整備局など関係機関の担当者らが、静岡、山梨の両県などへの被害を念頭に連携体制を確認した。 広域に影響を及ぼす降灰を想定し、堆積した火山灰で土石流が発生する状況への対応を話し合った。中部、関東の両地方整備局と富士、富士川の両砂防事務所、国交省砂防計画課の担当者ら25人が参加し、自治体への通知や市民への周知で必要な調整事項や役割分担などに理解を深めた。 参加者は小グループに分かれ、噴煙の様子や各事務所の被害状況など示された条件に沿って対応を報告し合った。噴火の発生から調査の実
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「地域防災の日」 静岡県内各地で訓練 津波注意報で中止の市町も
静岡県が定める「地域防災の日」の3日、県内各地で地域防災訓練が行われた。新型コロナウイルス感染症の「5類」移行に伴い自主防災組織の活動も活性化の兆しが見えつつあったが、前日深夜にフィリピン付近で発生した地震と津波注意報の影響で、沿岸16市町が急きょ訓練を全面中止した。南海トラフ巨大地震や富士山噴火、風水害など地域特性を踏まえた想定の下、住民は自助や地域で支え合う共助の底上げを図った。 静岡市駿河区の有東高層団地自治会の訓練には、8階建ての集合住宅に暮らす住民ら約50人が参加した。「イチ、ニー、イチ、ニー」「ゆっくりでいいよ」。地震の揺れでエレベーターが停止した状況を想定し、負傷者を2階から
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先進技術で防災模索 内閣府と静岡県
内閣府と静岡県は1日、激甚化する災害に対し、先進技術を活用して解決する「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム(PF)」のマッチングセミナーを静岡市駿河区のグランシップで開いた。県内外から自治体職員や企業の担当者計約470人が参加し、防災課題の解決策を模索した。 10自治体がブースを設け個別相談に応じた。地域防災無線の設備更新に合わせた新たな通信手段の確立や災害対策本部に集まる情報の効率的な分類、発信など、事前に自治体が提示した課題に対し、企業担当者が各ブースを訪問して自社商品や技術をアピールした。 浜松市のブースでは、非常用電源の一つである小型風力発電機についての説明や
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12月3日、地域防災訓練 静岡県内各地 自助共助、底上げへ
南海トラフ地震などの大規模災害を想定した地域防災訓練が「地域防災の日」の12月3日、静岡県内各地で開かれる。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが「5類」に移行し、自主防災組織の活動も復調の兆しが見え始めている。訓練ができなかった空白期間で低下が懸念される自助・共助の底上げが課題となっている。 県によると、3日を中心に約4400団体、約58万5千人が参加する見込み。コロナ禍は中止や縮小で安否確認にとどまることが多かったが、今回は会場型訓練が増加傾向。資機材の点検操作や応急救護などの基本的な手順確認や多様性、住環境の改善を考慮した避難所運営訓練に取り組む地域がある。富士山噴火を想定
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商業施設で火災想定した訓練 従業員が避難経路など確認 三島市
三島市の日清プラザ・イトーヨーカドー三島店で29日、富士山南東消防本部の協力を受けた防災訓練が行われた。社歴の浅い従業員約100人が、来店客の誘導方法や避難経路などを確認した。 3階の社員食堂で出火した想定で、従業員が非常階段を使って避難した。同本部の隊員が逃げ遅れた4人を3階部分にある機械搬入口からはしご車で救出した。 同店では、地震と火災を想定した訓練を年3回実施している。はしご車が出動した訓練は5年ぶりという。
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日本災害情報学会 新会長に静岡大・岩田氏
日本災害情報学会は25日に東京都内で開いた総会で、新会長に静岡大防災総合センター特任教授で元県危機管理監の岩田孝仁氏(68)=写真=を選任した。任期は2年間。1999年4月に設立された同学会では7人目の会長で、地方自治体出身者が務めるのは初めて。 同学会は防災や減災に効果的な災害情報のあり方を調査・研究し、社会に提言する団体。現会員は研究者や行政、企業、報道関係者など950人と29法人。 岩田氏は1979年に県庁に入庁し、防災部門に約35年間勤めた。2015年から母校・静岡大で同センターの教授となり、現在は特任教授を務める。 岩田氏は「緊急時でも『分かりやすい』『判断に迷わない』災害情
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南海トラフ被害 新想定作業に遅れ 国のWG「議論入れず」
南海トラフ地震防災対策推進基本計画の見直しを進めている国のワーキンググループ(WG)の福和伸夫主査(名古屋大名誉教授)は27日、新たな被害想定の推計作業が遅れていることを明らかにした。当初は11月の会合で事務局の内閣府から提示される見通しを示していたが、同日の第13回会合後の取材に「議論に入れていない」と説明した。 被害想定は、WGとは別の「南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会」が9月までに議論した手法を基に推計している。内閣府担当者は「いろいろ確認をしながら進めなくてはならず、計算結果が出ていない」とした。今後の見通しは示さなかった。会合は非公開で、被害想定の一般への公表時期も未
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【提言・減災】首都直下ガス 対策急務 長尾年恭/静岡県立大客員教授
今年は関東大震災から100年という節目の年だった。この地震で旧陸軍被服廠[ひふくしょう]跡では3万8千人を超える犠牲が出たが、その主因は火災旋風の発生というのが定説である。ところが、この火災で東京市(当時)内のあちこちで洋釘などの鉄製品が溶解した。鉄の融点は1500度を超えており、木材では最高でも1200度程度までしか到達しない事から、なぜ鉄が溶けているのかは謎であった。 近年、信州大学の榎本祐嗣名誉教授が南関東ガス田由来のメタン火焔[かえん]の噴出が火災旋風発生の大きな原因であったという激甚火災を裏付ける資料や証言を多数発見した。1855年の安政江戸地震は、発生が夜中だったため大地の割れ
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【第2章】学校の防災④完 保護者引き渡し模索 「安全確保」の判断難しく【東海さん一家の防災日記 南海トラフ地震に備える/いのち守る 防災しずおか】
南海トラフ地震が起きれば、多くの小中学校体育館が避難所になる。空調やトイレなどの設備は十分か。南海トラフ地震臨時情報が発表された場合、学校活動は休止するのか。第2章では自主防災会会長の東海駿河さん(71)やその家族と共に、学校の防災課題を点検していく。 「避難場所まで落ち着いていましたし、待っている間も静かでしたよ」。竜洋君(7)の小学校で南海トラフ地震を想定して行われた引き渡し訓練。迎えに来た遠州さん(36)と三保さん(34)は訓練中の様子を聞き、「頑張ったじゃん」と竜洋君をほめた。竜洋君の学校は校庭の南半分までが津波浸水区域に入っている。昨年度までは校舎の3階以上を津波の避難場所とし
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台風や大雨...災害時の児童引き渡し、より安全に 浜松の小学校で改善模索
台風や大雨などの災害時に児童を学校から家庭へ安全に引き渡すには―。浜松市内の教育現場で、自然災害時の児童の引き渡し方法について見直しが進んでいる。市教委は4月に学区内のハザードマップ提出を各校に義務付けるなど「防災対策基準」を改定した。学校側はアプリを活用した連絡体制や独自マニュアルの作成によって、保護者や教職員の安全にも配慮した引き渡し方法を模索する。 浜松市では昨年9月に警戒レベル5に相当する「緊急安全確保」の避難情報が初めて出され、家屋への浸水が広範囲に及ぶなど風水害が多発した。学校では児童の引き渡しのタイミングや車での迎えの可否など多くの課題が浮上。市教委は防災対策基準を見直し、大
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地震臨時情報などテーマ 静岡で地域安全学会 研究発表
研究者や防災関係団体でつくる地域安全学会の秋季研究発表会が18日、静岡市葵区の県地震防災センターで始まった。南海トラフ地震の想定震源域の半分でマグニチュード(M)8以上の大地震が発生した「半割れ」ケースの場合の対応や、避難行動要支援者の避難など幅広いテーマについての研究報告があった。発表会は19日まで。 南海トラフ沿いでは時間差で大地震が連続発生する可能性がある。2019年には後発地震の発生が高まった場合などに「南海トラフ地震臨時情報」が発表される制度の運用が始まった。事前避難などの対応が市民に求められるようになったが、制度の認知度の低さや対応の複雑さが課題となっている。 愛知県豊橋市防
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地震避難誘導 手順確認 道の駅「朝霧高原」で訓練 富士宮
災害対応の広域拠点「防災道の駅」に指定されている富士宮市根原の道の駅「朝霧高原」で15日、地震避難訓練が行われた。従業員らが来訪者を避難誘導し、市など関係機関に被害状況を伝達した。 訓練は震度5弱の地震が発生した想定で、事業継続計画(BCP)にのっとった対応を確認した。従業員は「ここは危険です。私についてきてください」と多言語で記されたビブスを着用するなどして来訪者を屋外に誘導し、持ち場の被害状況を確認した。 防災道の駅は物資供給の拠点になるため、電気設備などの点検と報告の手順も確かめた。駐車場では災害用トイレの設営方法も確認した。トイレ用の水路が詰まっていることが分かり、関係者は対策を
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チーム防災いずのくに 地域防災活動貢献で知事褒賞
伊豆の国市などで防災の普及活動に取り組む市民有志団体「チーム防災いずのくに」が本年度静岡県地域防災活動知事褒賞を受けた。17日、メンバー6人が同市役所を訪れ、山下正行市長から褒状が伝達された。 同団体は2020年4月に発足した。市内に甚大な浸水被害をもたらした19年の台風19号を教訓に、日ごろから出前講座などで啓発に取り組んでいる。災害による一時避難時に必要な持ち出し品を記した防災かるたや防災風呂敷を作った。 吉川七苗代表は「これまでに約千人が講座に参加してくれた。小さいことだが防災への意識が広がってくれて良かった」と話した。山下市長は「今後も市内外へ取り組みが普及されるよう頑張ってほし
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原子力災害時の安全守れ 浜岡原発想定、放射線防護テント訓練 中電や御前崎市
御前崎市で16日、中部電力浜岡原発(同市佐倉)の原子力災害を想定した訓練が行われた。同市や中部電力など計5機関が参加し、空気で膨らませる放射線防護テント「エアシェルター」を新野地区センター内の体育館に設営するなど緊急時の連携態勢を確認した。 エアシェルターは、放射線除去フィルターを通して外の空気を取り込むことで展張する。天井は高さ約3メートルで、126人まで収容可能。自家用車で広域避難できない高齢者などが一時的に逃げ込むために設ける。 訓練には地域住民らも参加し、シェルターの送風機の設置手順などを確認した。空気を取り込み始めてから約30分で体育館の床一面に放射線物質から汚染を防ぐための
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災害時に命守る行動確認 御殿場・原里中で防災・減災講座
御殿場市立原里中はこのほど、あいおいニッセイ同和損害保険の職員を講師に招いた「命を守る防災・減災出前講座」を同校で開いた。1、3年生の約240人が災害時の警戒レベルや避難の仕方などを学んだ。 生徒たちは地震で建物倒壊、火災、土砂崩れなどさまざまな危険が発生することを復習。住宅耐震化や家具の転倒防止に加え、家族と安否確認の方法を決めておくことや避難ルートを下見することなど事前の備えが重要であることを確認した。災害時避難における自助、共助、公助の考えや警戒レベルに応じた行動などについても理解を深めた。 3年の稲遥菜さんは「地震が起きた際は、自分がいる場所に合わせた行動が大切だと知った。学びを
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災害時の最適な行動、対策は 御前崎・浜岡北小6年 スタンプラリーで確認
東日本大震災の教訓を踏まえた東北大の減災教育「結(ゆい)」プロジェクトが13日、御前崎市の浜岡北小で行われた。6年生約20人が参加し、災害時に自らの命を守り被害をいかに最小限に抑えるべきか、問題回答形式のスタンプラリーで最適な対策や行動を考えた。 同大災害科学国際研究所講師の保田真理さんから、地震発生メカニズムや大雨リスクなどを学び、スタンプラリーを実施した。用意された設問は「緊急時に離ればなれになった家族と出会うには」「夜間に避難所まで安全に行くにはどうすればよいか」-など6問。設問ごとに五つの行動が選択肢として示され、子どもたちは当てはまる回答スタンプをワークシートに押していった。
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被災者の個別課題支援へ 取り組み事例紹介 内閣府と静岡県
内閣府と静岡県は13日、被災者の個別課題に合わせた支援を行う「災害ケースマネジメント」について理解を深める自治体、民間団体向けの説明会を静岡市葵区のもくせい会館で開いた。関係者が登壇し、取り組みの必要性や県内の事例を紹介した。 災害ケースマネジメントは、個別の訪問や相談によって被災者個々の被災状況、課題を把握し、行政や専門の民間団体などが連携して早期の生活再建を目指す新しい支援手法。内閣府防災担当の新井大地参事官補佐は鳥取県や岡山県の事例を説明しながら「被災者が自立するまで伴走して支援することが大切」と述べた。行政内の実施体制と関係機関との連携体制を平時から構築する重要性も強調した。 熱
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静岡県総合防災訓練 熱海、伊東会場 9月1日実施
静岡県は13日、2024年度の県総合防災訓練の実動訓練を9月1日に熱海、伊東の両市で行うと発表した。南海トラフ巨大地震などの大規模地震の発生を想定する。来年1月31日に熱海市で自主防災組織や防災関係団体などを対象にした全体説明会を開く。 県総合防災訓練は1979年度に始まった。本年度は浜松、湖西の両市を会場に実施し、防災週間を中心に約4100団体、約58万7千人が参加した。
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【提言・減災】突然の津波も警戒必要 古村孝志 東京大地震研究所所長・教授
10月9日の早朝、房総半島から沖縄に到達した津波の詳細な原因はいまだ不明だが、通常の地震断層運動に伴う海底変動による津波ではなく、海底火山活動による海面変動で起きた津波の可能性が高い。周辺の海域では、以前より活発な火山活動が続いており、20日には鳥島近海で噴火を示唆する軽石の漂流も確認されている。 今回と似た津波は1605年の慶長地震でも起きた。江戸幕府の創成期の地震であり史料は少ないが、千葉県銚子市の犬吠埼から九州の広範囲に津波が押し寄せ、5千人が犠牲となった。一方、揺れと被害は報告されていない。これまで、南海トラフ沿いで起きた「ゆっくり地震」の可能性が議論されてきた。プレートが数分かけ
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東日本大震災被災 元保育所長が講演 静岡・清水一中
静岡市清水区宮代町の清水一中でこのほど、東日本大震災で被災した宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)保育所元所長佐竹悦子さんによる講演会が1年生を対象に開かれた。 震災発生後、津波で地区全体が壊滅的な被害を受ける中、保育所の園児全員が無事だったことについて佐竹さんは「1歳や2歳の子をどう避難させるか。事前に何度もシミュレーションし打ち合わせを重ねて車による避難を決めていた」と振り返った。 震災前後の町や保育所を写真で見せながら、地震や津波、火災、寒さが数時間の間に次々と襲いかかった当時の様子も話した。亡くなった教え子の小中学生や消防士について「守れなかった命。くやしい。どうすれば守れたのだろうか
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「世界津波の日」 全国各地で訓練 命守る「行動」 再確認
国連が定める「世界津波の日」の5日、全国各地で、巨大地震での津波発生を想定した避難訓練が実施された。今年は関東大震災から100年となる節目の年でもあり、地域の防災力を高めるため、避難経路や住民同士の声かけなど、命を守る方法を再確認した。 和歌山県広川町では南海トラフ巨大地震によって列車が停止したと想定した、JR西日本と町共催の津波避難訓練が行われた。地元の小学生ら約250人が、運転士の誘導で列車を降りて、高台へ走って避難した。 訓練は、マグニチュード9・1の地震の発生を想定。踏切付近で緊急停止した列車のドアが開くと、子どもらは車外に出て、高台を目指して一斉に走り出した。乗務員は「早く逃げ
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親子で挑戦 災害食作り 三ケ日東小「防災活動」 浜松市
浜松市北区三ケ日町の三ケ日地区社会福祉協議会と三ケ日赤十字奉仕団はこのほど、同町の三ケ日東小で「親子防災活動」を実施した。同校5年生と保護者の計約60人が災害食の作り方を学び、防災への関心を深めた。 児童と保護者は「災害時にも日常にも生かせる災害食づくり」をテーマに、洋風の炊き込みご飯と豆乳プリンの調理に挑戦した。耐熱性のポリ袋に食材を入れて大釜でゆで、完成した料理を試食した。井口継太君(10)は「思ったより簡単だった。災害が起こった時にすぐに作れるのは便利だと思う」と話した。
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道の駅に防災拠点 小山町で運用訓練、車両移動も 国交省
南海トラフ地震などの大規模災害に備えて国土交通省沼津河川国道事務所は2日、小山町の道の駅すばしりで広域災害応急対策拠点の運用訓練を行った。同施設は「防災拠点自動車駐車場」に指定されていることから、一般車両の駐車場利用制限や移動に関する訓練も県内で初めて盛り込み、迅速な拠点開設に向け関係機関との連携を確認した。 2021年の道路法改正により、全国約500カ所の道の駅やサービスエリア、パーキングエリアが同駐車場に指定されている。県内は6カ所。災害時に駐車場の一般利用を禁止、制限することで、災害応急対策拠点として円滑な利用を図る。 訓練には同事務所のほか町や施設管理者、警察、消防、建設業界など
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障害者施設利用者ら150人 県防災の日に訓練 浜松市北区
静岡県の「社会福祉施設防災の日」の1日、浜松市北区細江町の障害者支援施設「聖隷厚生園信生寮」は、県や市、市消防局北消防署などと連携した総合防災訓練を同施設で実施した。 巨大地震が発生し、1階東側のリネン室から出火したという想定で行った。職員は利用者を屋外や建物西側のバルコニーに避難させた後、屋外で立ち上げた防災本部で安否や負傷者に関する情報を集約。職員と利用者ら約150人の避難完了を確認し、救急隊の到着を待った。 職員を対象にした煙体験も行われた。村田孝弘施設長(46)は「普段通りに訓練できていた。災害時は慌てず、消防や救急隊に冷静に状況を伝達できるよう対応していく」と話した。
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風水害備え 意見交換 三遠南信の女性29団体 浜松市北区
浜松、豊橋、長野県飯田市の女性団体が意見交換する「三遠南信地域女性交流会」が31日、浜松市北区引佐町の引佐多目的研修センターで開かれた。29団体の42人が参加し、風水害をテーマにしたグループワークなどで交流を図った。 浜松河川国道事務所の職員が「治水の歴史と河川氾濫の現状について」と題して講演した。職員は、かつて「暴れ天竜」と恐れられた天竜川が引き起こした水害や、治水に尽力した実業家金原明善などについて説明。同事務所の流域治水の取り組みも紹介した。 参加者は、7グループに分かれて風水害の備えについて話し合った。「地域の災害の歴史や地形の状況などを移住者に伝えることは大事」「避難所の運営
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災害予防訓練の重要性指摘 防災システム研究所 山村氏が講演 小山
小山町自主防災会連合会などはこのほど、防災講演会を同町の町総合文化会館で開いた。防災・危機管理のシンクタンク「防災システム研究所」の山村武彦所長が「防災隣組-備えは日頃から」と題して講演した。 山村所長は2020年7月の熊本豪雨や千曲川の堤防が決壊して大規模な被害が出た19年の台風19号などの被害を紹介し、命を守る備えについて語った。避難、消火、救助訓練は「災害後対処訓練」として重要であるとした一方、状況別の命を守る訓練、火を出さない準備訓練、閉じ込められない訓練などの「災害予防訓練」が非常に大切であることを説明した。 富士山噴火への備えについても言及し、発災後に車で逃げることは困難であ
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台風被害 磐田・一雲済川の「流域治水」推進 静岡県と市が協議会設立
静岡県と磐田市は23日、昨年9月の台風15号で周辺地域が甚大な浸水被害に見舞われた一雲済川の流域治水対策推進協議会を設立した。温暖化に伴って高まる豪雨リスクを踏まえ、ハード・ソフト両面の取り組みを盛り込んだ水災害対策プランを来年2月下旬までに策定する。 一雲済川流域では台風15号に伴う豪雨で、200戸を超える浸水被害が発生。今年6月の台風2号の際も、支流の上野部川沿いで11戸が浸水した。協議会は、河川改修だけでなく、流域全体で効果的に防災・減災を図る流域治水対策を検討する。 袋井市山名町の県袋井土木事務所で開かれた第1回会合では、堤防のかさ上げや雨水貯留浸透施設の設置などのハード整備に加
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地震なしの津波警戒を 藤井敏嗣/東京大名誉教授【提言・減災】
今月9日、突然、太平洋沿岸に津波注意報が発せられた。「小笠原近くの鳥島近海での地震により津波が発生したと思われる」という、なんとも奇妙な発信が気象庁からあった。地震ではあるがマグニチュードも震源も決めることはできないというのである。 同様の事象が2018年12月にインドネシアで起こった。地震が起こらないのに、津波がスマトラ島とジャワ島の沿岸部を襲い、数百人の犠牲者が発生した。津波の原因は小さな火山島で噴火の最中に山体の一部が崩壊し、海中に土砂がなだれ込んだことである。土砂流入に伴う、わずかな地震動は捉えられたが、津波を発生させるような地震ではなかった。このため津波警報は発せられないまま、津
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【第2章】学校の防災② 災害知識 講座で習得 小中高生、地域の“戦力”に【東海さん一家の防災日記 南海トラフ地震に備える/いのち守る 防災しずおか】
南海トラフ地震が起きれば、多くの小中学校体育館が避難所になる。空調やトイレなどの設備は十分か。南海トラフ地震臨時情報が発表された場合、学校活動は休止するのか。第2章では自主防災会会長の東海駿河さん(71)やその家族と共に、学校の防災課題を点検していく。 「地震が起きたらどうする? 例えば、学校にいるとき、自宅にいるとき、この瞬間…」。東海さんの長女で小学校教諭の富士子さん(33)のクラスで開かれた「ふじのくにジュニア防災士」の養成講座。講師を務めた自主防災会副会長の大池将斗さん(70)の問いかけに、クラスの児童たちは「机の下に隠れる」「揺れが収まったら逃げる」などと元気よく
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水害の危機!どう逃げる? 防災行動計画作成、児童が挑戦 沼津
沼津市は19日、大雨で河川の水位が上昇した時に、住民が計画的に避難するための防災行動計画「マイ・タイムライン」の作り方講座を同市の加藤学園暁秀小で開いた。市が小学生向けに作成について講座を開くのは初めて。 市危機管理課職員が4年生39人に、県や市のウェブサイト、アプリ、テレビデータ放送など災害発生時に情報を調べるためのツールの使い方を紹介。自分の住む地区の危険度や避難に必要なもの、避難のタイミングなど情報収集の方法を伝えた。児童は調べた情報を基に、台風発生時から避難に備えた3日間の具体的な行動を時系列で書き込み、計画をまとめた。 同校が社会科の授業の一環で市に講座を依頼した。市の担当者は
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「後悔しないよう 地震への備えをして」 ⚽J3アスルクラロ・菅井選手 沼津・金岡小で震災体験語る
サッカーJ3アスルクラロ沼津の菅井拓也選手(32)=仙台市出身=がこのほど、沼津市の金岡小で防災講話を行った。対象の6年生に、2011年の東日本大震災で被災、父を津波で亡くした経験を語り、「後悔しないよう、家族との時間や会話を大切にし、地震への備えをしてほしい」と訴えた。 当時、菅井選手は仙台大1年生。地震発生時、サッカーの練習終わりで部室におり、揺れを感じてグラウンドに避難した。立ってはいられないほどの揺れで、グラウンドの照明がしなっていて、「自然と四つんばいになった。ものすごい恐怖を味わった」という。公共交通機関が止まり家に帰れず、ベンチコートにくるまって部室で一夜を明かした。「明か
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水害時の行動計画作ろう 沼津市が初の児童向け講座 加藤学園暁秀小
沼津市は19日、大雨で河川の水位が上昇した時に、住民が計画的に避難するための防災行動計画「マイ・タイムライン」の作り方講座を同市の加藤学園暁秀小で開いた。市が小学生向けに作成について講座を開くのは初めて。 市危機管理課職員が4年生39人に、県や市のウェブサイト、アプリ、テレビデータ放送など災害発生時に情報を調べるためのツールの使い方を紹介。自分の住む地区の危険度や避難に必要なもの、避難のタイミングなど情報収集の方法を伝えた。児童は調べた情報を基に、台風発生時から避難に備えた3日間の具体的な行動を時系列で書き込み、計画をまとめた。 同校が社会科の授業の一環で市に講座を依頼した。市の担当者は
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天竜中で防災学習 避難所運営や誘導…役立つ新聞製作も 浜松市
浜松市東区の天竜中は19日、防災学習を同校で行った。1年生216人が避難所の運営や救護活動、防災新聞の発行などの体験を通じて、有事に役立つ知識や技能を習得した。 体育館では地域の防災士を講師に、簡易ベッドとトイレの組み立てに取り組んだ。マットやコーンを障害物に見立て、車椅子を必要とする身体障害者の適切な誘導も学んだ。 防災新聞のグループは、災害時に避けるべき行動や防災バッグの中身、子どもに対する接し方などをテーマに取材した新聞を地域住民に発表した。 太田千陽さん(13)は「協力する大切さを学べた。有事の際はボランティアと声をかけ合い率先して行動したい」と話した。
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東北被災地の学び 静岡県内高校生が発表 静岡市で報告会
静岡県ボランティア協会はこのほど、静岡県内の高校生が東日本大震災の被災地を訪問した「東北スタディツアー」の体験報告会を静岡市葵区の県地震防災センターで開いた。約20人のツアー参加者が8班に分かれ、班ごとに設定したテーマに基づいて意見交換した。 「震災の教訓を静岡の災害対策にどう生かすか」について発表した班は、被災地は対策をしていたにもかかわらず想定を超える津波の襲来により甚大な被害が出た-と説明。静岡県民も南海トラフ地震などへの意識を改め、既存の対策を見直す必要性を指摘した。 ツアーは次世代に東日本大震災を学んでもらうことを目的に2021年から開催。今回の参加者は8月に岩手県内を2日間訪
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自然壊し大災害「人災」 吉田明夫/静岡大防災総合センター客員教授【提言・減災】
今年の夏、友人から届く便りのほとんどは、暑いですねという言葉から始まっていました。暑かったのは日本だけでなく、国連の世界気象機関によれば、今年6月~8月の世界の平均気温は観測史上最高を記録したそうです。今夏の日本の暑さの要因として赤道域の海洋やその上空の大気の状態との関わりが気象庁によって推定されていますが、気がかりなのは、60年に1度といわれる今夏のようなまれな高温は地球が温暖化していなければ生じなかったと、気候モデルの専門家が指摘していることです。 地球温暖化が進むと、猛暑や豪雨に見舞われる回数が増える一方で、乾燥地帯では大干ばつや山火事が頻発するというシミュレーション結果も報告されて
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共助死に警鐘「自身の安全確保最優先に」 災害時の避難誘導 静岡県内でも犠牲
多発する風水害などで近年、避難誘導や地域の見回りなど共助の行動に伴う人的被害「共助死」が一定数、発生している。昨秋の台風15号でも、川根本町で道路の確認に出た元副区長の男性=当時(70)=が亡くなった。風水害による犠牲者の調査を行う静岡大防災総合センターの牛山素行教授は「数は多くはないが共助死とみられるケースは近年、ほぼ毎年のようにある」と警鐘を鳴らし、自身の安全確保を最優先する重要性を指摘する。 昨秋の台風15号では、川根本町下泉区で、地区の安全確認のために軽トラックで見回りに出た元副区長の男性が、陥没した道路に車ごと転落し、死亡した。同区では、慣例で災害時に区長と副区長が危険箇所がない
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「わたしの避難計画」 普及8割の見込み 25年度静岡県
静岡県は5日、個々の災害リスクに合わせて作成する「わたしの避難計画」の県内全域への普及について、目標としていた2025年度までには8割の地区にとどまる見込みだと明らかにした。目標では25年度までに、県内35市町の全世帯に計画作成ガイドを配布する予定だったが、一部の市町で普及計画が未定となっているという。県は引き続き、必要性を説明して作成を促す。同日の県議会くらし環境・危機管理委員会で説明した。 県によると、全5161地区のうち、4171地区でガイドの配布の見通しが立っている。一方で、4市町で普及計画が決まっていないため、2割に当たる990地区で配布が完了しない可能性がある。 「わたしの避
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静岡県砂防条例罰則強化 懲役2年以下、罰金100万円以下
静岡市日向、杉尾地区の砂防指定地に造成された全国最大級の無許可盛り土問題を受けて、県は4日、砂防指定地管理条例を来年4月に改正し、条例としては最も厳しい「懲役2年以下または罰金100万円以下」に罰則を強化する方針を明らかにした。業者に対する行政処分の命令内容を公表する規定も明文化する。 県議会建設委員会で鍋田航平河川砂防管理課長が明らかにした。 同条例は砂防法の盛り土規制区域「砂防指定地」内の制限行為や行政手続きなどを定めているが、現行の罰則は「懲役1年以下または罰金2万円以下」。川勝平太知事は2月の記者会見で「(業者が)逮捕されるような案件になったので(罰則強化を)検討する余地はある」
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ドローンで被災地情報収集 その名も「バーチャル物見櫓」 御殿場市など産官学連携し開発
御殿場市と一般社団法人「先端空間情報技術評価支援センター」(同市)、千葉大が共同開発しているドローンを使った情報収集・共有システム「バーチャル物見櫓(やぐら)」が29日までに、ドローン関連の優れた技術や製品、サービスを顕彰する「ジャパンドローン&AAMアワード2023」のソフトウエア・アプリケーション部門で最優秀賞に選ばれた。災害時の被災地の情報収集を想定したシステムで、実用化に向け研究を進めている。 バーチャル物見櫓は、災害時に広範囲の位置情報を安全かつ迅速に観測するために開発された。上空に飛ばしたドローンで対象地域の写真を2方向から撮影すると、物体や地形などが計測されたデータ「3次元点
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静岡・諸子沢地滑り 国の防止事業に採択
8月に静岡市葵区諸子沢の山間部で発生した大規模な地滑りに関し、県は29日、現地の応急対策工事を実施するために林野庁に申請していた「災害関連緊急地滑り防止事業」が同日付で採択されたと発表した。 大久保沢や下流部の市道、林道などに滑り落ちた大量の倒木、土砂の撤去工事に直ちに着手するほか、現場のすべり面や地質の調査、恒久的な対策工事に向けた設計を行う。 県砂防課によると調査や設計には2~3カ月を要するとみられる。県は恒久的な対策工事の工法を選定した上で、国に同事業の本申請を行う。採択されると、事業費の3分の2を国が補助する。
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静岡人インタビュー「この人」 菊川市危機管理課専門監に就任した自衛隊OB 藤本啓一さん(菊川市)
静岡県危機対策課危機調整官を退任後、菊川市が防災体制強化に向けて新設したポストを任された。単身赴任中で、菊川市へは17回目の引っ越し。防衛大卒。宮城県利府町出身。60歳。 -菊川市の災害特性は。 「主に警戒が必要なのは地震と風水害。南海トラフ地震の被害想定では市内のほとんどが震度7の揺れに見舞われる。1級河川の菊川や牛淵川などへの備えも、赴任前から強く意識している。現行のマニュアルをしっかり検証したい」 -役割をどう捉えているか。 「災害対応を指揮する市長を補佐していく。県職員として対応に当たった昨秋の台風15号を振り返ると、静岡市で山間部の被害が相次ぎ、手の打ちようがなかった。情報
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浜松市 全国初多言語化システム構築 外国人市民に災害情報“速報”
浜松市はこのほど、外国人市民に正確な災害情報を迅速に提供するため、定型作業を自動化するデジタル技術「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」を活用し、災害時の緊急情報を多言語化するシステムを全国の自治体で初めて構築した。日本語からの翻訳を正確、迅速に行うため、多言語版防災メールの配信までの時間が大幅に短縮し、外国人市民に正確な情報をリアルタイムで提供できるようになる。 自動で正確翻訳→メール配信 日本語との時差解消 同システムは日本語で作成した災害情報を、RPAがデータベース上のテンプレートから自動的に多言語に翻訳する仕組み。全国自治体で行われている職員や自動翻訳機能
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伊豆の残土処分場で土砂災害対応訓練 悪路の重機操作体験 消防や建設業団体など
静岡県警機動隊、駿東伊豆消防本部、静岡市消防局と田方地区の建設業各団体などは27日、伊豆市上白岩の土屋建設残土処分場で土砂災害対応訓練を実施した。消防、警察関係者らが災害現場を想定した悪路の移動や道路啓開のための崩土除去、積載など重機の操作訓練に取り組んだ。 頻発する土砂災害への対応力と関係機関の連携の強化が狙い。警察、消防関係者ら約200人が参加し、民間の重機オペレーターから傾斜地では「アームの力を使って車体を引き寄せる」、水たまりでは「バケットで深さを測ってから進行する」といったアドバイスを受けた。 体験した駿東伊豆消防本部田方北署(函南町)の城山拓摩さん(29)は「悪路を走行するの
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伊豆で建設中の津波避難タワー 工事現場や遊具など見学
伊豆市は25日、土肥地区で建設中の松原公園津波避難複合施設のプレイベントを開いた。地元住民が工事現場や付近の遊具を見学し、オープン後の盛り上がりを思い描いた。 同施設は現在、鉄柱の取り付けなど基礎部の工事が進められている。住民は建設工事担当者から施設の内装・外観や津波が到達した場合の避難想定、工事の進捗(しんちょく)状況を聞いた。同地区に住む70代女性は「津波の不安はあるので完成が待ち遠しい。いろいろな店舗も入るので地区のシンボルになると思う」と期待を寄せた。 同施設付近には子ども用の遊具も設置している最中で、同施設のオープンと同時に利用可能となる。昇降用ステップを取り払い、両側が斜面と
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ハザードマップ更新 年度内、対象地域全戸に配布 沼津市
沼津市は25日、2023年度中に、災害時の津波避難ビルを記した地震・津波避難ハザードマップを更新し、対象地域の全戸に配布する方針を示した。市議会9月定例会一般質問での小沢隆氏(志政会)への答弁。 真野正実危機管理監は現時点で市内226棟を津波避難ビルに指定しているとし、最新の状況を反映したハザードマップに更新するとした。 市危機管理課によると、全面改訂は14年以来。今回の改訂では今年3月に県が指定した「津波災害警戒区域(イエローゾーン)」の区域や、新たに指定された津波避難ビルなどを盛り込む。ホームページに掲載しているマップは、必要に応じて更新しているという。 市議会9月定例会は同日、一
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地震訓練、風水害に応用 吉野篤人/浜松医科大救急災害医学講座教授【提言・減災】
地球温暖化の影響なのか、最近、風水害に見舞われることが増えています。多くの医療機関は大規模地震に備えた医療訓練を行っていますが、これは風水害時にも役立ちます。 災害医療で重要なのは三つのTと言われています。傷病者に優先順位をつける(Triage)、処置を行う(Treatment)、適切な場所に運ぶ(Transport)―です。これらがうまくいくためには、まずCSCAを確立することが必要です。CSCAは指揮命令系統(Command & Control)、安全確保(Safety)、情報伝達(Communication)、状況評価(Assessment)の頭文字を並べたものです。大地震に対する訓
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【第1章】危機意識の低下⑥完 「どこに」「いつまでに」作ろう、わたしの避難計画【東海さん一家の防災日記 南海トラフ地震に備える/いのち守る 防災しずおか】
いつ起きるか分からない南海トラフ地震に市民はどう備えるべきか。自治会・自主防災会会長の東海駿河さん(71)と妻の伊豆美さん(66)、長男の遠州さん(36)親子、長女の富士子さん(33)の3世代をモデルに、自助、共助の取り組みを考える。 静岡新聞を読んでいた東海駿河さんは維持管理が行き届いていない津波避難施設の記事に目がとまった。県内は東海地震対策で長年、避難路や高台への避難階段などの整備に取り組んできたが、過去に設置された施設は雑草が生い茂るなど使えない状態のものもある。「いざという時に困るな」。津波浸水想定区域に暮らす遠州さん家族が心配になり、防災ベテラン家族「わたひな家」に相談した。
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浸水センサー 10カ所設置 豪雨災害に迅速対応 磐田市
磐田市は21日、激甚化・頻発化する豪雨災害に備え、道路冠水や内水氾濫の危険性を検知する小型センサーの設置作業を始めた。10月上旬までに、市内10カ所に設置する。冠水などの状況をリアルタイムで把握し、早めの避難情報の発信や道路の通行止めなど、迅速な災害対応につなげる。 国土交通省の浸水センサー実証実験のモデル地区として試験導入した。センサーは冠水や水位が一定の高さになると浮きが浮上して作動し、市役所で確認できる。昨年9月の台風15号に伴う豪雨で冠水や浸水被害が相次いだ豊岡、見付、今之浦各地区などの道路や排水路に設置している。 台風15号に伴う豪雨は夜間の発生だったため、市は被害情報の収集が
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巴川治水対策、推進を 難波静岡市長 県予算編成に要望
静岡市の難波喬司市長は20日、静岡県庁に川勝平太知事を訪ね、県の2024年度予算編成に対する要望書を提出した。重要事項として、県が管理する2級河川巴川の流域治水対策の推進と、政令市が対象外になっている市町向けの県単独助成事業の取り扱いの見直しを求めた。市によると、市長が県に対して予算の要望活動を行うのは05年に政令市に移行して以来初めて。 巴川については、22年9月の台風15号に伴う豪雨で、流域で甚大な浸水被害が発生したことを踏まえ、麻機遊水地(静岡市葵区)第2工区や河口水門の早期整備を求めた。巴川の浸水被害を軽減するために県が整備を進めている麻機遊水地は全4工区のうち第1、3、4区の計約
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Jアラート試験 藤枝で不具合
静岡県は20日、全国一斉で実施された全国瞬時警報システム(Jアラート)の情報伝達試験で、藤枝市で不具合が発生したと発表した。Jアラートと連携している登録制メールとLINE(ライン)で情報が配信されなかった。市などが原因を調べている。 県によると、防災行政無線による伝達は全35市町で正常に完了した。Jアラートは緊急地震速報や弾道ミサイル発射などの情報が国から発信された際に、人工衛星や各自治体の防災行政無線が連動して瞬時に国民に伝えるシステム。
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「避難計画」住民作成へ学習会 浜松市西区が記入用紙製作 自主防災隊役員対象
浜松市西区は自宅の災害リスクと災害別の避難行動を日頃から考えてもらうため、「わたしの避難計画」記入用紙を製作した。区内8地区の自主防災隊役員を対象に10月までに4回、常葉大の阿部郁男副学長を迎えて計画作成の学習会を行う。このほど区役所で初回を開いた。 西区は沿岸の津波浸水想定区域、河川が入り組む水害頻発地域、山間部の土砂災害警戒区域といった異なるリスクを抱える地区で構成されている。地域差の大きさゆえ、市から住民への避難情報の伝え方が難しく、建物の倒壊が相次いだ6月の豪雨時も緊急避難場所の利用はゼロだった。 計画用紙は河川氾濫、土砂災害、台風といった災害別にリスクの有無を整理し、取るべき行
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目指せ!防災リーダー 吉田中学校で養成講座
吉田町は20日、吉田中の1年生を対象に県の「ふじのくにジュニア防災士」の養成講座を開いた。有事を想定した図上訓練などを通じて、259人が地域の防災リーダーとして活躍するための知識を学んだ。 オンラインで各クラスに配信する形式で実施し、日本防災士会県支部のメンバーらが講師を務めた。避難所運営訓練では、阪神淡路大震災や新潟中越地震など過去の地震発生時に開設された避難所の様子を写真で確認し、運営面での課題を共有した。その上で吉田中が避難所として活用される場合、中学生としてできることを書き出した。 同校では毎年、1年生が防災学習に取り組んでいる。今後、学習の成果をまとめたリポートを提出し、ジュニ
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災害ボランティア本部開設手順学ぶ 静岡でコーディネーター養成講座
災害時の情報収集やボランティア本部の開設手順などを学ぶ災害ボランティアコーディネーターの養成講座が17日、静岡市葵区の県地震防災センターで開かれた。防災啓発事業などに取り組むNPO法人「Knot(ノット)」(同市駿河区)と災害ボランティアコーディネーター静岡が主催し、市内五つのライオンズクラブ会員や自治会役員ら約40人が受講した。 同NPO法人の笠原英男理事長がコーディネーターの役割や本部運営のポイントなどを解説し、「災害時は不特定多数の人と一緒に活動する。目的や目標を明確に示すことが大切」と呼びかけた。受講者は地図を見ながら、ボランティアの支援が必要な被災者などの情報をまとめるグループワ
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空き缶こんろで炊飯体験 富士市民が災害時に備え
富士市の新環境クリーンセンター循環啓発棟「ふじさんエコトピア」で16日、空き缶こんろ作りと炊飯の体験会が行われた。 エコと防災を考え、被災時の備えに役立てる企画。市民約10人が参加し、市災害ボランティア連絡会の渡辺雅子さんが趣旨や手順を指導した。 空き缶こんろは、カップ状に切ったアルミ缶にサラダオイルを入れ、アルミホイルを折って作った台にティッシュペーパーの芯を取り付けた。別のアルミ缶で鍋を置く五徳を用意し、簡易的なこんろに仕上げた。鍋を使って炊飯したほか、ツナ缶や焼き鳥缶を使った味付けご飯も調理した。 渡辺さんは「備蓄を使って定期的に調理する習慣を身につけてほしい。経験があればいざと
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災害時に役立つ情報満載 浜松で防災フェス 相談会やキャンプ用品販売
災害時に役立つガスや電気のシステムを提案するサーラグループの防災フェスが16日、浜松市東区のサーラプラザ浜松で始まった。17日まで。 停電時にガスで発電して電気を供給できるエネファームの紹介や台風や地震による窓の破損を防ぐリフォームの相談会などを展開した。スポーツ用品販売会社なども出展し、災害時に活用できるキャンプ用品を展示販売した。バルーンパフォーマンスやクイズラリー企画なども行い、家族連れらでにぎわった。 最終日は午前10時から午後4時まで。午後1時から市消防局の消防車が登場し、子ども向けイベントを行う。
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防災功労 総理大臣表彰 静岡大・小山教授らたたえる
本年の防災功労者内閣総理大臣表彰の表彰式が15日、首相官邸で開かれた。岸田文雄首相が静岡大の小山真人教授や磐田市消防団、島田市消防団など全国11個人・37団体の功績に謝辞を述べ、「それぞれの分野で活躍し、災害に強い国づくりに尽力してほしい」と呼びかけた。 小山教授は1980年ごろから静岡県と周辺地域の大地の成り立ち、地震・火山噴火の歴史、発生機構を研究。成果を基に富士山火山防災対策協議会や火山噴火予知連絡会の場で防災対策の導入に力を注いだ。伊豆半島の世界ジオパーク認定への貢献、本紙への100回以上のコラム寄稿などを通じた地震・火山災害の普及啓発活動も評価された。 小山教授は式典後の取材に
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トンネル内事故 訓練で連携確認 東名高速日本坂
中日本高速道路は14日、静岡市駿河区と焼津市にまたがる東名高速道日本坂トンネル上り左ルートで、人身事故と車両火災を想定した防災訓練を実施した。県警や消防関係者ら約100人が参加し、関係機関が緊密に連携を取りながら初動対応の流れを確認した。 訓練は、2車線のトンネル内で追い越し車線を走行していた大型バスが前方の軽乗用車に追突、反動で軽乗用車が前方の乗用車に追突し計3台が絡む事故が発生、うち1台から出火して負傷者が出た―との想定で行った。中日本高速道路管制センターから事故発生の連絡を受けた県警高速隊などが現場に向かい、両車線の通行止めと避難誘導を実施した。消防が車両内に閉じ込められた人の救出や
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安全確保し復旧作業を 静岡市防災対策委 諸子沢地滑りで初会合
静岡市葵区諸子沢の大久保沢上流部で発生した大規模な地滑りに関し、今後の効果的な対策を検討する市の防災対策委員会の初会合が11日、市役所静岡庁舎で開かれた。市と県による現場付近の復旧作業に対し、委員は土砂の動きを察知する土石流センサーの増設など、近隣住民や作業員の十分な安全確保を求めた。 市は地滑り発生後から一部を通行止めにしている市道日向諸子沢線の復旧に向け、上流部の土砂や流水の動きを注視しながら流木や土砂の撤去を行うなどと説明した。委員は、流木の除去により上部の土砂が流れ落ちてくる可能性があるとし、慎重に作業するよう注意を呼びかけた。 市が大久保沢と諸子沢川の合流地点をはじめ川沿いに設
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親子で防災カルタ 起震車体験など災害学ぶ 静岡・清水区
静岡市清水区のNPO法人AYUドリームは10日、防災について楽しみながら体験して学ぶイベント「防災パーティー」を同区の興津小と興津生涯学習交流館で行った。 昨年に続き2回目の開催。来場者は防災カルタや防災グッズの紹介、起震車体験などを通じ、水害や地震などの災害について学んだ。地元の中学生が道路上に障害物が倒れたり落ちてきたりするといった、地域の避難経路に潜む危険をまとめた資料も展示し、大人が足を止めて真剣に見入っていた。 同法人の雨宮令子理事長は「逃げるだけが防災じゃない。机上ではなく体験して防災を学んで、みんなで助け合える地域にしたい」と話した。
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自助共助の備え確認 熱海で総合防災訓練
熱海市は10日、2023年度の総合防災訓練を市内各地で実施した。南海トラフ巨大地震の影響で土砂災害や津波被害、家屋倒壊などが発生したとの想定。市や県、自主防災会など22団体2千人が参加し、自助・共助による防災力の向上を図った。 同市泉の建設会社資材置き場では、市消防本部が21年7月に同市伊豆山で発生した大規模土石流を踏まえた土砂災害対応訓練に取り組んだ。鉄パイプと板を使って「土留め」を施工した後、スコップで慎重に土を掘り、要救助者を捜索する流れを確認した。土砂崩れに巻き込まれた車両から運転者を救出する技術の習得にも励んだ。 メイン会場の第二小では、ペットの同行避難訓練を初めて行った。ペッ
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【提言・減災】災害時に備え国際連携 阪本真由美/兵庫県立大大学院減災復興政策研究科教授
今年2月にトルコ南東部を震源とする地震が発生した。被災地には世界からたくさんの支援が提供され、国際連合が支援調整を行った。いつ頃から、このような国際機関による支援調整が行われていたのかを調べたところ、関東大震災が世界初の事例であることが分かった。 関東大震災で被害を受けた日本には、世界30カ国から約2211万円(約100億円)の支援が提供された。米国や英国政府からの支援に加え、国際連盟(国際連合の前身)の支援もあった。国際連盟は、第1次世界大戦からの復興のために1920年に設立された。関東大震災が起きたのは、第4回国際連盟総会がジュネーブで開催される直前であった。9月3日に開始した総会では
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松崎で遺体収容所の運営訓練 有事備え自治体職員ら参加
松崎町と下田署は9日、遺体収容所の運営訓練を町勤労者体育センターで開いた。現時点では有事の遺体収容所に定められていない施設だが、危機意識を高めようと初めて開催。約70人が大規模災害に備えて対応を確認した。 静岡県や近隣自治体の職員、歯科医師会も参加した。参加者は署員の指導を受けながら、テーブルを活用して検視や遺体処置などを行う区画と遺体の安置場所に体育館内を二分。人形を使って収容所内での作業手順を確認したほか、歯型の符合で身元を特定する「歯牙鑑定」や納棺の流れを学んだ。迅速な対応に向けて、葬儀会社との事前協定の重要性にも理解を深めた。 深沢準弥町長は「眼を背けたくなるような事態になるかも
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停電の建物で救護所開設 菊川市が初の夜間訓練、職員30人参加
菊川市は8日夜、夜間の大規模地震発生を想定した救護所開設訓練を同市半済の市総合保健福祉センタープラザけやきで実施した。夜間の訓練は初めて。福祉・子育て関連部局の職員約30人が参加し、ヘッドライトの明かりを頼りに対応に当たった。 震度7の地震が発生し、一帯が停電に見舞われたとの想定。自家発電と太陽光発電による電力供給がない部屋や廊下は、電気を消して臨んだ。参集した職員はグループに分かれて、外壁のひび割れやガス漏れの有無、通信環境などを確認した。薄暗いフロアで「誘導」や「処置・待機」、治療の優先順位を決める「トリアージ」など各ブースに必要な物品を点検し、一連の流れを確かめた。 転倒した家具に
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防災意識高める報道を 地方紙フォーラム 分科会で意見交換
日本地方紙ネットワーク主催の「第20回地方紙フォーラムin静岡」は8日、分科会を静岡市駿河区の静岡 新聞放送会館で開いた。12社の記者が二つの分科会に分かれて被災情報の収集や発信、防災意識を高めるための報道の在り方などについて意見交換した。 「現場から伝える、課題を問う」の分科会では、SNSを活用した被害情報の随時発信や取材時の記者の安全性などが課題に挙がった。取材記者とデジタル担当の情報共有や連携の在り方などの共通課題が浮かび上がった。一方で「地元紙として現場にこだわった取材が大事」「地域の課題やニーズを深掘りする必要がある」などの意見が出た。 「記憶を引き継ぐ、備える」の分科会は、遺
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オクシズのハザードマップ作成へ 大河内小中・中学部が実地調査
静岡市葵区の大河内小中の中学部生徒が7日、地域の災害危険箇所などを確認する実地調査を行った。地域のハザードマップ作りに向けた活動で、4人の生徒が教諭や市職員にアドバイスを受けながら大河内地区内の各所を巡った。 「防災」をテーマにした総合的な学習の一環。生徒たちは、同地区内の蕨(わらび)野、横山、平野、有東木で調査を行った。モルタルで固めた山ののり面や沢に整備された砂防ダム、昨年の大雨などで崩れた山肌の様子などを写真に収めた。また住宅が多い集落では、塀や石段などの建築物や排水設備を確認。地震や土石流、火災などさまざまな災害が起こった時の安全な避難ルートについて考えた。 2年の福嶋瑠香さん
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災害報道の課題 各社報告 「生活再建に資する情報も重要」 地方紙フォーラム
「自然災害と報道」をテーマに7日開幕した「第20回地方紙フォーラムin静岡」。12社の記者が被災状況の報じ方や災害の歴史や経験を伝え続ける難しさを報告した。静岡新聞社社会部の武田愛一郎記者は、昨秋の台風15号後に掲載した特集面「被災者支援Q&A」の事例紹介を通じ、被災者の生活再建に資する報道の重要性を指摘した。 発災直後から給水場所や災害ごみの収集場所などの情報を整理した「生活情報掲示板」を紙面とウェブサイトを通じて発信した。一方で「罹災(りさい)証明の判定に疑問がある」「高齢だが住宅ローンを組むのは難しいか」など、生活再建に関わる相談が県災害対策士業連絡会などに多く寄せられたことから、被
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女性視点の防災組織、10月めどに発足 市職員が意見交換 菊川市
菊川市の長谷川寛彦市長は7日の市議会9月定例会一般質問で、女性の視点を防災に組み込むための庁内組織「防災女子の会」(仮称)を10月をめどに発足させる考えを明らかにした。女性職員を中心メンバーとし、女性が防災に関心を持ちやすい環境づくりについて話し合う。倉部光世氏(市民ネット)に答えた。 市によると、9月中に多部局からメンバーを選ぶ。どうすれば女性が防災イベントや訓練、講演会などに参加しやすいかなどの意見を出し合う場と位置付け、月に1回の開催を検討している。 市は避難所運営や自主防災活動に女性の視点を取り入れるために、各防災組織に女性役員の選出を呼びかけてきた。一方、市内の避難所に設置し
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大雨発生時の行動を確認 児童、園児ら参加 浜松市天竜区佐久間町
浜松市天竜区佐久間町の佐久間小と佐久間幼稚園は6日、合同避難訓練を実施した。約30人が参加し、大雨発生時から避難までの行動を確認した。 訓練は大雨の影響で天竜川が氾濫し、川沿いにある校舎の3階部分まで浸水する想定で取り組んだ。 雨が降る中、教職員と児童らは校舎から約500メートル離れた高台に歩いて移動した。児童全員の到着を確認した後、校舎へ戻った。袴田稔校長は「大雨で校舎が浸水する可能性があるので、水害が起こる前にしっかり避難の準備をすることが大事」と児童へ呼びかけた。 同小と同園は大雨を想定した訓練を毎年実施している。
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水害発生想定 救命ボート訓練 沼津市消防団 浮島、原方面隊
沼津市消防団の浮島、原の各方面隊は3日、水害時を想定した救命ボートの操作訓練を同市の浮島小プールで初開催した。 消防団員や地元自治会関係者など約40人が参加。団員複数人がボートに乗り、ほかの団員が水難救助用ロープで引っ張るなどして、操作方法を確認した。元市消防本部の水難救助隊長で、浮島地区連合自治会長の栗田武彦さん(69)は「緊急性の低い救助事案は消防団対応になる。使用機会は今後確実に訪れるため、使い方を共有したい」と話した。 浮島、原の両地区はたびたび洪水被害が発生するため、本年度各地区に救命ボートが1隻ずつ配備された。今年6月にも豪雨で一帯が浸水し、車の中に人が取り残される事案があり
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【写真特集】自助・共助 地域の力 底上げ 浜松、湖西で静岡県総合防災訓練
発生から100年が経過した関東大震災にちなみ制定された「防災の日」(1日)に合わせ、静岡県総合防災訓練が9月3日、浜松、湖西両市を主会場に行われました。各会場の様子を写真でまとめました。 ■湖西運動公園(湖西市) 陸自ヘリで負傷者を搬送する訓練を行う参加者=3日午前、湖西市の湖西運動公園 ▶湖西運動公園の様子 詳細はこちら ■浜松中部学園(浜松市中区) レスキュー訓練に参加する自主防災隊員ら=3日午前、浜松市中区の浜松中部学園 ▶浜松中部学園の様子 詳細はこちら ■鷲津幼稚園(湖西市) 防災ずきんをかぶって園庭に避難する子どもたち=3日午前10
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【写真特集】静岡県総合防災訓練/空から見た総合防災訓練訓練
河川敷の孤立者をつり上げ救助訓練を行う名古屋市消防ヘリ=3日午前、浜松市東区の天竜川緑地公園(本社ヘリ「ジェリコ1号」から) 倒壊家屋からの救出訓練に取り組む県警の隊員や災害救助犬=3日午前、湖西市の湖西運動公園(本社ヘリ「ジェリコ1号」から) 漂流者の救出・救助訓練のため湖上を走る消防や静岡県水上オートバイレスキュー連合体の水上バイク=3日午前、湖西市の浜名湖(本社ヘリ「ジェリコ1号」から) 漂流者の救出・救助訓練のため湖上を走る消防や県水上オートバイレスキュー連合体の水上バイク=3日午前、湖西市の浜名湖(本社ヘリ「ジェリコ1号」から) (写真部・久保田竜平)
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【写真特集】静岡県総合防災訓練/鷲津幼稚園(湖西市)
地震発生時の対応を絵本の読み聞かせで学ぶ子どもたち=3日午前9時40分ごろ、湖西市の鷲津幼稚園 長期保存が可能なパンを試食する園児=3日午前10時ごろ、湖西市の鷲津幼稚園 机の下に隠れて落下物から頭を守る姿勢を訓練する子どもたち=3日午前9時50分ごろ、湖西市の鷲津幼稚園 防災ずきんをかぶって園庭に避難する子どもたち=3日午前10時40分ごろ、湖西市の鷲津幼稚園 命山へ避難する新居幼稚園の園児ら=3日午前、湖西市 保護者に園児を引き渡す手順を確認した訓練=3日午前11時ごろ、湖西市の鷲津幼稚園 保護者に園児を引き渡す手順を確認した訓練=3日午前11時ごろ、湖西市の鷲津幼稚園 突
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【写真特集】静岡県総合防災訓練/浜松中部学園(浜松市中区)
レスキュー訓練に参加する自主防災隊員ら=3日午前、浜松市中区の浜松中部学園 がれきに挟まれた負傷者を想定し救出に挑戦する参加者=3日午前、浜松市中区の浜松中部学園 避難所運営訓練の受付で避難者役の参加者の体温を測る自主防災隊員=3日午前、浜松市中区の浜松中部学園 避難所運営訓練の受付で避難者の区分けや誘導を行う自主防災隊員ら=3日午前、浜松市中区の浜松中部学園 避難所の体育館で段ボールベッドの設営に挑戦する自主防災隊員ら=3日午前、浜松市中区の浜松中部学園 避難所の体育館で段ボールベッドの設
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【写真特集】静岡県総合防災訓練/湖西運動公園ほか(湖西市)
倒壊家屋からの救出訓練に取り組む自衛隊員=3日午前、湖西市の湖西運動公園 倒壊家屋からの救出訓練に取り組む警察官=3日午前、湖西市の湖西運動公園 倒壊家屋からの救出訓練で要救助者を捜索する災害救助犬=3日午前、湖西市の湖西運動公園 放水訓練に励む消防団員=3日午前、湖西市の湖西運動公園 放水訓練に励む消防団員=3日午前、湖西市の湖西運動公園 被災者を車両から救出する訓練に臨む消防隊員=3日午前、湖西市の湖西運動公園 被災者を車両から救出する訓練に臨む消防隊員=3日午前、湖
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救命、物資配送 迅速確実に 静岡県総合防災訓練 浜松の関係団体が協力構築
浜松、湖西の両市で3日に行われた静岡県総合防災訓練。救助救出や物資輸送など各種訓練を展開し、住民や防災関係機関が連携の重要性を再確認した。 患者続々 30秒で選別、処置 トリアージ訓練 災害拠点病院の浜松赤十字病院(浜松市浜北区)では、病院敷地内に屋外救護所を設置し、地元医師会や市職員ら約80人が治療の優先順位を決める「トリアージ」の訓練を行った。災害発生から24時間の経過を想定し、続々と集まった患者役の市民を選別し、救護所で軽症患者の応急処置を行った。 医師が1人30秒を目安に呼吸数や脈拍などから重症度を評価し、看護師らが手首や腕にトリアージタッグを付けた。重症患者は院内の重症エリア
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静岡県総合防災訓練 湖西で園児引き渡し確認 「お迎え可否」判断難しく 保護者の安全確保も課題
浜松、湖西の両市で3日に行われた静岡県総合防災訓練。救助救出や物資輸送など各種訓練を展開し、住民や防災関係機関が連携の重要性を再確認した。湖西市では園児の引き渡し訓練を実施。園児らの安全確保だけでなく、保護者が来園できるタイミングをどう判断するのか、課題も浮かび上がった。 「慌てないでゆっくりね」。湖西市の新居幼稚園で行われた引き渡し訓練。教諭の引率で園児約90人がクラスごとに、園舎裏に昨年度完成した命山を目指した。園からの連絡を受けた保護者が命山で、子どもを引き取り帰宅した。 東日本大震災では園児を迎えに来た保護者やきょうだいが津波に巻き込まれて亡くなるケースがあった。県教育委員会は震
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浜松・湖西で静岡県総合防災訓練 南海トラフ巨大地震想定、連携検証
発生から100年が経過した関東大震災にちなみ制定された「防災の日」(1日)に合わせ、静岡県総合防災訓練が3日、浜松、湖西両市を主会場に行われた。南海トラフ巨大地震の発生を想定して住民主体の避難所開設訓練を展開したほか、物資輸送、救護所・救護病院の開設訓練などを繰り広げ、住民や行政、関係機関との連携態勢の検証に取り組んだ。 浜松市中心部の市立小中一貫校「浜松中部学園」(中区)には16町の自主防災隊代表者や市職員ら約170人が集まり、避難所の開設運営訓練を行った。体育館出入り口で次々と訪れる避難者の体温や健康状態を同隊員が確認し、地区ごとに体育館内に案内した。避難所の運営訓練は初めてという同
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東部各地で総合防災訓練 地域と命守る、意識新た
「防災週間」期間中の3日、県東部の各市町で大地震の発生を想定した防災訓練が実施された。関東大震災の発生から100年の節目に、参加者は防災、減災への思いを新たにした。 裾野、アプリで避難所名簿 裾野市は同市の裾野高で総合防災訓練を行った。体育館に開設した避難所の受け付けでは携帯電話の防災アプリと、手書きによる名簿作成の時間を比較した。 アプリは事前登録が必要だが、QRコードを読み込むだけで手書きより早く受け付けが完了した。杉山美智江さん(63)は「避難所などに関する情報も受け取れるので便利」と話した。 会場型の本格的な訓練は4年ぶり。約300人が参加した。 沼津、会場と本部を中継 沼
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総合防災訓練始まる 浜松、湖西で2万人超参加
関東大震災にちなみ制定された「防災の日」(1日)に合わせ、静岡県と浜松市、湖西市の総合防災訓練が3日朝、両市で始まった。両市の会場では257団体計約2万2千人が参加する見込み。住民と行政、関係機関の連携態勢を再確認するほか、各地で住民主体での避難所開設、運営訓練を展開し、地域のつながりや防災意識を見直す。 訓練は3日午前8時ごろ南海トラフ巨大地震が発生し、県内の広範囲で震度7を観測、沿岸部に大津波が襲来する想定で開始した。県広域受援計画に位置付けられる代替拠点での訓練に初めて臨む。拠点の一つ、西濃運輸浜松支店トラックターミナルでは実際に避難所とつないで物資輸送や受け入れの代替機能を検証する
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アウトドアの知識、防災に生かそう 富士であんどうりすさん講演
富士市は2日、家庭内での防災意識向上を目的にした「わが子を守る防災セミナー」を同市の市消防防災庁舎で開いた。阪神大震災での被災経験を基に全国で講演を展開するあんどうりすさんがアウトドアの知識を生かした災害対策を説明した。 あんどうさんは「アウトドアグッズは日常使いしながら災害時にも使用できる」と強調し、役に立つアイテムを紹介した。風水害時には水にぬれて低体温症になる危険性を指摘し、耐水圧の高いレインウエアの備えを勧めた。防災用品を詰めるリュックの使用法も解説。背負う際の負担を軽減させる荷物の詰め方や持ち方を伝えた。 市防災危機管理課の職員は、洪水や土砂災害で被災のリスクがある市内のエリア
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伊東の津波犠牲者 住民が供養 「災害忘れず備える」決意 関東大震災100年
関東大震災の発生から100年が過ぎた2日、伊東市物見が丘の仏現寺で地元住民による供養祭が営まれた。相模トラフ沿いで想定される最大クラスの地震で、沿岸部各地に十数メートルの津波が襲来する可能性がある同市。関係者は「過去の災害を忘れずに、日頃から震災に備える」と決意を強くした。 「九月一日ヲ忘レルナ」。同寺境内に建つ関東大震災供養塔の1基には、上部に大きな文字が刻まれている。震災で津波被害を受けた旧伊東町では84人が犠牲になったとされる。塔は震災翌年の1924年に別の場所に建立され、2度の移設で現在地に置かれた。 供養祭は今年で44回を数え、地元の玖須美区がコロナ禍でも絶やすことなく続けて
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高さ15メートルはしご車“シャワー” 放水にも挑戦 磐田で消防体験イベント
消防の仕事や防災に理解を深めてもらうイベント「消防体験クールサマー」(磐田市消防署主催)が2日、同市の今之浦公園で開かれた。はしご車の放水による水浴びや消防士の体験などを楽しむ親子連れでにぎわった。 防災の日(1日)と救急の日(9日)に合わせた企画。噴水広場には、はしご車の放水で水浴びするコーナーが設けられた。子どもたちは高さ15メートルからの“シャワー”に大はしゃぎだった。防火衣や救助服を身に着け、消防車に乗車したり、ホースで放水を体験したりするコーナーも人気を集めた。ほかにも、放水銃の実演や煙体験、地震体験車、救急車の展示など多彩な催しが繰り広げられた。 (磐
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大雨想定、浜松・都田川流域で警報サイレン訓練 西部農林事務所
静岡県西部農林事務所は1日、台風や大雨などで都田川ダム(浜松市北区引佐町)の水が越流する恐れがある際に、川沿いの住民に増水の危険を知らせる警報サイレンの吹鳴訓練を同川流域で実施した。 同町の都田川ダム管理事務所で職員が警報装置のパネルを操作し、同事務所と下流にかけて位置する警報局の計7カ所でサイレンを鳴らした。広報車は、冠水する危険性が高い道路を避けながら流域を巡回した。 訓練は、警報サイレンの作動テストを兼ねて毎年実施している。ことし6月上旬の大雨では、ダムの水位がかつてないほど上昇し、1986年の同ダムの完成以降で初めてサイレンを吹鳴したという。 同事務所の担当者は「気象条件は以前
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3日に総合防災訓練 静岡県と浜松、湖西市 連携を再確認
関東大震災にちなみ制定された「防災の日」に合わせて、静岡県と浜松市、湖西市の総合防災訓練が3日、両市で開かれる。新型コロナウイルス5類移行後は初めてで、3年ぶりの開催だった昨年よりも今年はさらに住民の参加が増える見込み。住民と行政、関係機関の連携態勢を改めて確認し、地域のつながりや防災意識を見直す機会になる。 訓練は「自分を守る 家族を守る 地域を守る」がテーマ。3日午前8時ごろ南海トラフ巨大地震が発生し、県内の広範囲で震度7を観測、沿岸部に大津波が襲来する想定で実施する。浜松、湖西両市の会場では257団体計約2万2千人が参加する予定。 浜松市は行政区単位で地域の自主防災隊が集まり、住民
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静岡県外からの避難者救援に力 広域連携、受け入れ迅速に【伝える 関東大震災100年と静岡⑤完】
「静岡県は被災地でありながら県外からの避難者受け入れに努めました。東京や横浜などに拠点を設け、被災者救済に尽力したことはあまり知られてません」 7月下旬、三島市錦田公民館で開かれた市民講座で講師を務めた錦田郷土研究会の神山明久さん(60)=同市=は熱弁をふるった。 神山さんが調べた1924年の文献「静岡県大正震災誌」によると、関東大震災が起きた23年9月1日、県は午後8時に被災者の救護方針を決め、徹夜で準備。2日未明には県東部の被災地に派遣する救護班などを編成した。まだラジオ放送すらなく、家庭に電話さえ普及していない時代。「鉄道など交通網が寸断され、被害の全体像を把握するまで時間を要した
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関東大震災の恐怖、若山牧水が随筆「地震日記」に残す 晩年過ごした沼津で被災
晩年を過ごした沼津市で関東大震災を体験した歌人若山牧水(1885~1928年)の随筆「地震日記」を収録した短歌雑誌「創作 十月号」が、同市の若山牧水記念館に所蔵されている。津波を警戒して避難する住民や、神奈川県小田原市から九死に一生を得て避難した人々の様子などを生々しく描いている。 「創作 十月号」は関東大震災翌月の1923年10月に出版された。地震日記は1万2千字以上の長文で震災発生当日、牧水は伊豆半島西岸の古宇村(現沼津市西浦古宇)で宿泊していた旅館で昼食を食べ、横になっていた際に激しい揺れを感じた場面で始まる。 ゴオーッという音が空に響き、対岸の岬が土煙を上げて海へ崩れた。道路脇
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【写真特集】関東大震災100年 被災直後の静岡県内の様子は
日本の自然災害史上最大の死者・行方不明者10万5千人余りを出した関東大震災の発生から1日で100年。熱海、伊東両市は大きな津波被害を受け、小山町でも工場の全半壊と火災で人的被害が生じるなど、静岡県内の死者・行方不明者は443人に上った。深刻な爪痕が残された被災直後の各地の様子を、県立中央図書館が所蔵する「大正十二年静岡県被害状況写真帳」の写真14点で伝える(地名はいずれも現在の地名)。 屋外で一夜を明かす被災者ら=沼津駅 清水波止場に上陸する首都圏からの避難者ら=静岡市清水区 軍艦から物資を陸揚げする様子=東京都港区芝浦 プラットホームに並び、列車を待つ避
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崩落の歴史変わらず 熱海・伊豆山に残る慰霊碑 【伝える 関東大震災100年と静岡④】
青々とした海面が眼下に広がる熱海市伊豆山。国道135号を小田原方面に進むと、右手の道路沿いに石碑が現れる。雑木に覆われ、正面部分が大きく剥落し、風雪にさらされてきたことをうかがわせる。 万霊塔。1923年の関東大震災当時、現地には蒸気機関車の軽便鉄道(小田原-熱海間)が通っていた。土砂崩れが発生し、道路や鉄道工事関係者7人が犠牲になったとされる。碑は慰霊のために建てられた。25年には東海道線が熱海駅まで開通し、軽便鉄道はそのまま廃線となった。 「線路は海まで押し流され、犠牲者の中に身内がいたと義母から聞いた」。伊豆山の中田春子さん(78)は振り返る。義母が他界する25年ほど前まで毎年、供
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南海トラフ地震に備える 福和・名大名誉教授講演 静岡県立大で9月6日
静岡県地震防災センターは9月6日午前10時40分から、南海トラフ地震をテーマにした公開講座を静岡市駿河区の県立大で開く。国の中央防災会議で南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ主査などを務める福和伸夫名古屋大名誉教授(建築耐震工学)が講師を務める。 「温故知新と居安思危(きょあんしき)で南海トラフ地震を乗り越える」と題して講演する。巨大地震など過去の自然災害の歴史を踏まえ、今後発生する地震への備えについて考える。公開講座は「ふじのくに防災士」養成講座の開講に合わせて開く。 参加無料。定員200人で、希望者は9月2日午後4時までに、同センターのウェブサイトから電子申請する。問い合わせ
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「浜堤」減災に一定効果 伊東の津波被害から学ぶ【伝える 関東大震災100年と静岡③】
伊東市中心部を流れる伊東大川(松川)右岸の玖須美地区。「ここは伊東の中でも津波による死者や家屋の流失が一番多く、壊滅的だった」。8月上旬、伊東港に面し住宅が密集する地区内を歩きながら、市文化財管理センターの主任学芸員金子浩之さん(63)が当時の被害状況を説明した。 津波に押し流された家屋のがれきや、川を遡上(そじょう)した津波で橋の欄干に乗り上げた漁船。玖須美地区を含む旧伊東町の惨状が同センターや県立中央図書館所蔵の写真に生々しく残る。市によると、旧伊東町の犠牲者84人のうち、37人は玖須美地区。流された家屋も361戸のうち204戸と、突出していた。しかし、玖須美の住民が迅速な避難行動を取
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社説(8月30日)防災週間 共助と自助確かめよう
関東大震災に由来する「防災の日」(9月1日)を挟みきょうから5日まで防災週間となる。今年で100年を迎える関東大震災の教訓をしっかり引き継ぐとともに、地震災害だけでなく気象災害も含めて、防災・減災を向上させていかねばならない。 静岡県の総合防災訓練が3日、浜松・湖西両市を舞台に開かれるほか、県内各地で行政や自主防災組織による訓練が繰り広げられる。可能な範囲で訓練に加わり、共助となる地域連携を確認したい。同時にわが家の耐震化や家具の固定、水や食料の備蓄、携帯トイレの用意など、自助の備えも確かめておきたい。 今年は新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類」となり、ようやく行動制限のない訓練
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1年に2度決壊の敷地川 中小河川の危険性説明を【西部記者コラム 風紋】
6月の台風2号による記録的豪雨で再び決壊した磐田市北部の敷地川。昨年9月の台風15号の際にも決壊し、静岡県は土のうを積むなどして“仮堤防”を築いていた場所だ。近年、局所的に豪雨をもたらす「線状降水帯」が頻発し、全国各地で豪雨による自然災害が多発している。従来の想定を超える規模で激甚化する状況を踏まえ、県などの関係機関は、これまで以上に迅速に復旧工事を進める必要がある。 同市によると、台風2号による豪雨で、仮堤防が決壊した敷地川周辺の家屋50件が床上・床下浸水の被害を受けた。このうち、昨年の台風15号と連続して自宅が被害を受けた世帯は21件に上った。 1年足らずで2
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広域受援計画を検証 災害対策本部の運営訓練 静岡県
関東大震災にちなんで制定された9月1日の「防災の日」を前に、静岡県は29日、県総合防災訓練の一環で南海トラフ巨大地震を想定した災害対策本部の運営訓練を県庁などで行った。関係機関と連携し、県広域受援計画の実効性を検証した。 県や県警、各市町、国、消防本部、自衛隊など30機関から約7千人が参加し、地震発生から24時間後の設定で訓練を開始した。県内で震度7~6弱を観測し、建物倒壊や地盤液状化、火災が発生したほか、大津波が襲来して沿岸部で著しい被害を受けると想定した。 県は県庁に設置した災害対策本部で、各地の方面本部を通じて市町から集まる被害状況を集約。会議を重ねる中で関係機関と情報を共有し、応
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富士山噴火の研究共有 溶岩流避難、地形の特性が鍵 富士宮で報告
静岡県立大グローバル地域センター主催の研究会「富士山の火山防災・環境研究の最前線」が29日、富士宮市の県富士山世界遺産センターで開かれ、専門家6人が研究内容を報告した。世界遺産センターの小林淳教授(火山地質学)は溶岩流からの避難経路について、地域ごとに地形の特性を整理することが重要と説明した。 小林教授は過去5600年間の噴火実績に基づく火口範囲や溶岩流が流れ込む場所の想定を示した。溶岩流が河川に沿って流れる予測から、川を離れるような基本的な避難の考え方を説明した。噴火場所によって溶岩流の経路が大きく変わることを前提に、大沢崩れや潤井川沿いで噴火した場合、富士、富士宮両市の市街地に溶岩流が
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巨大地震想定し情報集約を訓練 長泉町総合防災訓練
長泉町は27日、巨大地震発生を想定した総合防災訓練を町内で開いた。41の自主防災会から広域避難場所を通じて、火災や建物倒壊、土砂崩れなどの被害状況や被災者の安否確認に関する情報を集約し、対応策を検討する訓練を実施した。 平日の午前中、震度6強の揺れを観測と想定。県東部地域防災局の職員がコントローラー役となり、町防災センターに設置する災害対策本部で情報を共有、選別し、本部長を中心に対応策を練る流れを確認した。長泉小では町医師クラブに所属する医師や薬剤師が参加し、重症、中等症、軽症患者の振り分けをするなど救護所運営訓練を行った。
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「津波だ」高台へ無我夢中 避難、元禄の教訓根付く 伊東・宇佐美小作文集【伝える 関東大震災100年と静岡②】
「津波が来るぞ、逃げろ」。伊東市宇佐美の海岸に避難を呼びかける声が響いた。相模トラフ沿いの最大クラスの地震で13メートルの津波が押し寄せるとされる同地区。27日、地元のNPO法人「宇佐美城山・街づくりプロジェクト」による訓練が行われた。住民やサーファー約50人が、海岸からすぐの高台にあるキャンプ場に急いだ。 訓練の発起人は同NPO法人理事の源久政男さん(84)。「津波から命を守るには、とにかく安全な高さまで逃げること。そのためには避難場所を知ってもらわなくては」と強調する。思いの背景には、関東大震災当時の宇佐美尋常高等小(現・宇佐美小)の児童が体験を書いた作文集がある。 同地区には当時、
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土砂搬出や土のう作り実践 巨大地震想定し訓練 熱海署
9月1日の「防災の日」を前に、熱海署は29日、土砂災害対策訓練を熱海市内の建設会社資材置き場で実施した。本年度総合防災訓練の一環。若手署員を中心に10人が参加し、土砂搬出と土のう設置の訓練に取り組んだ。 巨大地震の影響で家屋が土砂崩れに巻き込まれ、安否不明者が出たとの想定で行った。署員らは山盛りの土砂に向かって列をつくると、スコップを手に土砂をかき出した。家屋への土砂流入を防ぐための土のうを手作りし、隙間なく積み上げる作業も実践した。同市伊豆山の大規模土石流で活動した同署の災害訓練指導員が手ほどきした。 訓練を見守った石津谷良広副署長は「大規模災害の発生は多方面からの救助が滞り、現場の署
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富士山噴火想定、御殿場で総合防災訓練 市の避難計画作成に活用
御殿場市は29日、富士山噴火を想定した初の総合防災訓練を市内で実施した。実動訓練によって市災害対策本部機能の向上や各支部・区災害対策本部、防災関係機関との連携強化を図りつつ、現場の課題を洗い出し、地域防災計画の修正や市の富士山火山避難計画の作成に生かすことが狙い。 市や陸上自衛隊、御殿場署、消防の関係者ら約850人が参加した。想定は▽7月13日に紀伊半島を震源とする巨大地震が起きて以降、富士山の火山活動が活発化▽気象庁は8月29日に噴火警戒レベル4(高齢者等避難)を発表▽同31日の午前9時35分に噴火が確認され、同レベル5(避難)が出された―などとした。 最新のハザードマップでは、市内は
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かるたで防災知識学ぶ 小中高生と大人43人対戦 清水区有度地区
静岡市清水区の有度生涯学習交流館で27日、同館と有度地区まちづくり推進委員会に所属する各種団体が協力して実施する「楽しく学ぼう防災教室 有度地区の防災を考える1年」の第2回が開かれた。同地区の住民らがかるたを通じて防災知識を身に付けた。 しぞ~か防災かるた県版を活用し、小中高生と大人計43人が取り札を敷き詰めた卓を囲んで対戦した。静岡サレジオ高「ぼくらの防災会議」の生徒4人が読み手となって県内の地理的特徴や災害時の注意点などを盛り込んだ句を読み、各卓では札を取り合いながら防災知識を身に付けた。 昨年の台風15号で有度地区にも浸水被害が発生したことや、関東大震災から100年の節目を迎えたこ
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富士の中高生、災害時の行動や備えを学ぶ 防災士養成講座
将来の防災リーダーを育てる「ふじのくにジュニア防災士養成講座」(富士市社会福祉協議会主催)が27日、同市の市フィランセで開かれた。市内の中高生18人が災害時に取るべき行動や日頃からの備えについて理解を深めた。 県地震防災センターの深沢良子講師が映像を交えながら、阪神淡路大震災や東日本大震災など過去の災害を紹介した。南海トラフ地震で想定される被害も説明。家具の固定やハザードマップの確認など必要な備えを取り上げ、「家庭や地域の防災を率先して考えるリーダーになろう」と呼びかけた。 生徒は避難所運営ゲームも体験し、「ペット同伴者が来たら」「体調不良の人がいたら」など避難所生活で起こり得る課題や対
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介護や福祉職員ら、災害時のリスク学ぶ 伊豆の国市で研修会
伊豆の国市内の医療、介護、福祉関係者らで構成する「災害時に誰一人取り残さない地域づくりの会」は28日、災害時のリスクマネジメント研修を同市の韮山福祉・保健センターで開いた。 県介護支援専門員協会の深沢康久理事が講師を務め、約30人が聴講した。深沢理事は南海トラフ地震で土砂崩れや斜面の崩壊が起こることを想定し、「安否確認が必要な福祉事業所利用者を確認しておくことが重要」と伝えた。 県が南海トラフ地震を見据えて2013年度に策定した地震・津波対策アクションプログラムで、個別項目で未達成だった「家具の固定や備蓄」にも言及しながら、「市民に、早めに取りかかるように呼びかけてほしい」と協力を求めた
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清水町が総合防災訓練 地震発生想定し避難所開設確認
清水町は27日、地震発生を想定した会場型の総合防災訓練を町立西小で開いた。長沢、本長沢、柿田、八幡の4地区の町民約480人が、避難時の作業を確認して防災意識を高めた。 参加者は町職員や消防団の指示を受けて、避難所の開設や可搬ポンプによる消火活動などに取り組んだ。体育館での避難所開設では、避難者のスペースを区切るパーティションを組み立てた。会場には、ペット同行避難の注意点を示したパネルも展示された。 避難所開設に参加した秋山智一さん(54)は「結構簡単に組み立てることができた。災害に備えて、地域のつながりが大切だと感じた」と話した。会場型の訓練は、新型コロナウイルスの影響で4年ぶりの開催。
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親子で楽しく防災学習 富士市、無線通信やトイレ作り
体験を交えて防災について学ぶイベント「あそBOUSAI」が26日、富士市の静岡ガスショールームエネリア富士で開かれた。親子連れらが訪れ、楽しみながら災害時の行動について理解を深めた。 市内のボランティアなど8団体が出展し、耐熱のポリ袋を使いオムレツを作るパッククッキングや段ボールを利用したトイレ作りなどのブースを用意した。無線通信の体験では、子どもたちが無線機の使い方を学び「避難所で困っていることはありますか」「水と食料がありません」などと地震発生時を想定した会話に挑戦した。 主催した富士女性災害支援ネットの杉山文香代表(32)は「若年層が防災意識を高めるきっかけにしてほしい」と話した。
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気象と災害への備え 気象台職員から学ぶ 沼津で9月7日
沼津市は9月7日午後1時半から、環境問題を学ぶ「ぬまづ環境教室」を市民文化センターで開く。静岡地方気象台気象情報基準評価係長の森野克彦さんが「静岡の気象特性と災害への備え」と題して講演する。聴講無料。 森野さんが気温上昇と地球温暖化、近年の災害や、災害への備えなどについて解説する。 対象は市内在住、在学、在勤者で定員50人。希望者は電話、ファクス、メールで受け付ける。締め切りは4日で応募者多数の場合は抽選。申し込み、問い合わせは市環境政策課ゼロカーボン推進室<電055(934)4741>へ。
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「防災の日」前に訓練 函南町 観光客の避難誘導、護所の開設検証
9月1日の防災の日を前に、函南町は27日、総合防災訓練を町内で行い、大規模地震発生時の避難所や救護所の開設や運営、観光客の避難誘導などの流れを確認した。 南海トラフ巨大地震が発生して町内全域で震度6弱以上の揺れを観測、甚大な被害が出ているとの想定で行われた。函南小では避難所の開設運営訓練を実施。同校周辺5地区の自主防災組織に所属する約30人が参加し、町職員の指導を受けながら避難所の開設方法や受け入れの手順を検証した。防災倉庫の資機材についても確認した。
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被災情報、デジタルで整理 島田市が災害対策本部運営訓練
島田市は27日、災害対策本部運営訓練を同市のプラザおおるりで行った。今回初めて被災情報をインターネット上の共有ソフトに入力してまとめるなど、デジタル技術を活用した情報の伝達、共有を訓練した。 駿河湾沿岸を震源とする最大震度7の地震が発生したとの想定で実施した。発災後36時間が経過した状態で、市民役の職員が電話で断水や停電、家屋倒壊などの被災情報を伝え、情報班の担当者が整理した。 これまでは紙の受付簿に記入していたが、今回はパソコンからグーグルのアンケートフォームに災害の日時や場所、概要などを入力。表計算ができるスプレッドシートに集約して全職員が一覧で見られるようにした。災害の全体像を把握
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夜間避難 どこが危険? 焼津市、総合防災訓練 多目的車 現地展開も
焼津市は26日夜、総合防災訓練を市内で実施した。地域住民が夜間でも避難所まで安全にたどり着けるか確認したり、市職員が本年度導入した防災多目的車を現地に展開させたりした。 利右衛門地区の避難訓練には約450人が参加した。午後6時50分に大規模地震が発生したという想定で実施。住民らは避難経路上での危険箇所や注意すべきことなどを確認しながら、大井川南小の屋上など地区内で決められた避難場所に集まった。市独自の「わが家の安否確認カード」を使って、住民の安否を確認した。 同地区で行った訓練の総括本部長の伊藤昇一さん(同市利右衛門)は「昼間と全く景色が違い、注意すべきことが浮き彫りになった」と夜間訓練
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【第1章】危機意識の低下④ 「南海トラフ臨時情報」どう運用?【東海さん一家の防災日記 南海トラフ地震に備える/いのち守る 防災しずおか】
いつ起きるか分からない南海トラフ地震に市民はどう備えるべきか。自治会・自主防災会会長の東海駿河[とうかいするが]さん(71)と妻の伊豆美[いずみ]さん(66)、長男の遠州[えんしゅう]さん(36)親子、長女の富士子[ふじこ]さん(33)の3世代をモデルに、自助、共助の取り組みを考える。 静岡県内で開催された南海トラフ地震対策の講演会。自主防災会の代表として参加した東海駿河さんは2019年5月に運用が始まった「南海トラフ地震臨時情報」の説明に疑問が膨らんだ。「運用が始まってしばらくたつけど詳しくは知らないし、何やら複雑だな…」。講演会終了後、気象庁の「南海トラフ沿いの地震に関
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【提言・減災】生活継続計画のすすめ/横田崇 愛知工業大地域防災研究センター長・教授
地震による死因の主たるものとして、①建物の倒壊・家具転倒による圧死②火災による焼死③津波による水死が挙げられる。このため、建物の耐震化と家具の固定、シェイクアウト、感震ブレーカーの設置、津波避難路と避難場所の整備が推進されている。 一方、災害を生き抜いた後、④災害による負傷の悪化や避難生活における身体的負担等により亡くなる「災害関連死」があり、阪神・淡路大震災の死者約6400人のうち約900人、東日本大震災の死者約2万2200人のうち約3800人もの方が災害関連死で亡くなっている。 このため、避難所の運営力の向上、被災者の生活環境の改善、応急的な住まいの確保、生活復興支援などがうたわれて
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「釜石の奇跡」に防災学ぶ 静岡銀行、9月にセミナー
静岡銀行は9月7日午前9時半から、静岡市清水区草薙北の同行本部研修センターで、東日本大震災での津波からの迅速な避難行動が「釜石の奇跡」とたたえられた当事者を招いた防災セミナーを開催する。7月に内閣府から採択された「災害への備え」コラボレーション事業の第1弾で、今後、地域の防災力を高める活動を展開する。聴講無料。 防災の日に合わせた催し。岩手県釜石市で被災体験の伝承活動をする菊池のどかさんを講師に招く。釜石東中3年だった菊池さんら生徒たちは、率先した避難行動を取り全員無事だった。日本弁護士連合会災害復興支援委員会副委員長の永野海弁護士(静岡市清水区)との対談も予定する。オンラインでの参加もで
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浜松市、豪雨対策と復旧に重点 9月補正総額90億円
浜松市が本年度9月補正予算案の大枠について、一般会計と特別、企業会計を合わせた総額で、当初予算に約90億円を追加する方針を固めたことが21日までの関係者への取材で分かった。6月の台風2号接近に伴う大雨被害の災害復旧費や今後予想される豪雨災害に備えるための対策費として計50億円近くを充て、災害に強い安心・安全のまちづくりを推進する。 一般会計は八十数億円の増額となる見通し。6月の大雨被害の災害復旧費には、5月補正で50億円を急きょ追加したが、9月補正ではさらに40億円を計上し、通行規制などによって市民生活に影響が出ている道路などの復旧を急ぐ。さらに、今後も異常気象による豪雨災害が懸念されるこ
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豪雨災害復旧など94項目 24年度予算 静岡県、国への要望まとめ
静岡県はこのほど、国の2024年度予算の概算要求前に提出する6分野94項目の要望・提案事項をまとめた。共通事項として物価高騰対策の強化を求めたほか、22年9月の台風15号災害、23年6月の豪雨災害からの復旧・復興や、長期間放置された産業廃棄物処理への支援、民生・児童委員の担い手確保なども新たに盛り込んだ。 物価高騰対策では、医療機関への臨時的な診療報酬改定、介護事業所の介護報酬引き上げ、子育て世帯への経済的負担軽減策などを求める。災害対策では、漁場の流沈木処理への財政支援などを要請する。 産廃については、行為者の不明や死亡、資力不足などで長期間放置された産廃のリスクが問題となる中、排出業
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ジーアクト 新社屋のテラスを災害時避難場所に 浜松市浜北区
光学部品の切削加工などを手がける「ジーアクト」(浜松市浜北区根堅)はこのほど、同区尾野に新本社工場を完成させた。2階のテラスは大雨、洪水などの災害時に地元住民が避難できるように提供する。 新本社工場は鉄骨造り2階建てで延べ床面積は約2450平方メートル。東に約1キロの旧本社工場が手狭になったため、移転することにした。2階のテラスは約110平方メートル。樹脂系の素材を使った擬木ウッドデッキになっていて、普段は従業員約30人の食事や休憩のために使うという。新本社工場は9月4日から稼働する。 堀内康博社長(41)は浜北商工会青年部に加わっていて、若手事業主の仲間と地域貢献活動に従事してきた。こ
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台風15号被災1年 静岡大がシンポ 復旧支援、洪水予測…研究者が提言
静岡大は20日、昨年9月の台風15号による被災をテーマにしたシンポジウムを静岡市清水区の清水テルサで開いた。当日の気象や被災状況に関する学術データのほか、復旧に向けた息の長い支援の重要性について同大の研究者らが発表し、被災1年を前に市民ら約150人が防災意識を高めた。 冒頭に登壇した静岡地方気象台の北田繁樹台長は被災時に県内で予想を上回る降水量を記録したことを挙げ、「防災関係機関向けの説明会を行った上で、最悪のシナリオを想定し、注意・警戒を呼びかけるべきだった」と振り返った。 台風15号と七夕豪雨被害の比較と題して講演した同大の北村晃寿教授は、「1974年7月の七夕豪雨から約半世紀が経
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独居高齢者の災害対策考える 浜松・天竜でセミナー
浜松市天竜区佐久間町の医療関係者や地元住民らでつくる「佐久間ネットワークあんじゃないネ」はこのほど、介護支援セミナー「ほっと安心 さくまde介護」を同町の佐久間協働センターで開いた。参加者は、家族と離れて過ごす独居の高齢者ができる災害対策について考えた。 川が街中を通り、山に囲まれた佐久間地区は、洪水や土砂崩れのリスクが高い。家族と離れて地元に住む高齢者は、家族の連絡先の確認や食料の調達など避難計画を事前に決める必要がある。参加者は、避難の準備を時系列で整理する「マイ・タイムライン」の作成に取り組み、台風が来る3日前の想定で考えた。 マイ・タイムラインの作成後、参加者に災害発生時のイメー
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静岡市 新消防ヘリ導入へ 高山岳地帯 救助可能に
静岡市は16日までに、新しい消防ヘリを導入する方針を固めた。導入を検討する新機体は、高度3200メートル以上の高山岳地帯での救助活動が可能で、現行機で設けている救助活動時の高度制限がなくなる。関係者への取材で分かった。 関係者によると、現行機が稼働20年を迎える2026年3月までに新機への更新を検討している。導入検討中の機種は、高山岳地帯で少なくとも2人以上の救出、搬送が可能な性能を持つという。 購入費は30億円規模。市は財源について国の緊急防災・減災事業債を活用する考え。9月13日開会予定の市議会9月定例会に関連予算案を提出する方向で調整に入った。 市消防局が運用する消防ヘリを巡って
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【提言・減災】研究進む地震の仕組み 加藤尚之/東京大地震研究所教授
9月1日で大正関東地震(関東大震災)から100年が経過する。大正関東地震は、南海トラフ巨大地震と同じように日本列島の下に沈み込むフィリピン海プレートの境界面で発生したと考えられている。南海トラフ沿いでは、1944年の東南海地震や46年の南海地震からは約80年がたっている。政府の地震調査研究推進本部によると、今後30年間にマグニチュード(M)8クラスの巨大地震が発生する確率は70~80%。一方、大正関東地震が発生した相模トラフ沿いでは、だいぶ低いとの評価だ。 同じプレートの沈み込みによって発生する現象にもかかわらず、なぜ発生確率の評価が違ってくるのか。フィリピン海プレートが日本列島の下に沈み
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【第1章】危機意識の低下③ 旧耐震基準の老朽住宅 住んでいても補強可能【東海さん一家の防災日記 南海トラフ地震に備える/いのち守る 防災しずおか】
いつ起きるか分からない南海トラフ地震に市民はどう備えるべきか。自治会・自主防災会会長の東海駿河[とうかいするが]さん(71)と妻の伊豆美[いずみ]さん(66)、長男の遠州[えんしゅう]さん(36)親子、長女の富士子[ふじこ]さん(33)の3世代をモデルに、自助、共助の取り組みを考える。 地域の公民館で開かれた自主防災会の会合後、東海駿河さんは副会長の大池将斗さん(70)から相談を受けた。築50年で老朽化した自宅の木造住宅を耐震補強したいが、費用や効果などがよく分からないという。 「高齢者世帯なので『家にお金をかけても』と思ってきたが、熊本地震などで住宅が倒壊した姿を見て心配で」と大池さ
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台風7号 盆休み後半から静岡県内に影響か JR運休の可能性
本州の南の海上にある台風7号が北西に進み、静岡県内では12日ごろから波がうねりを伴ってしけり、14日から15日にかけて大雨や暴風になるとみられる。お盆休み後半は、台風の接近で交通機関への影響が出る可能性がある。静岡地方気象台は、接近前の対策を呼びかけている。 気象台によると、台風7号は暴風域を伴って強い勢力を保ったまま、15日ごろに本県に最接近するとみられる。雨は13日から断続的に降り、14、15の両日は警報級の大雨となる恐れがある。風も13日から次第に強まる。海上は14日から15日にかけて、6メートル以上の大しけとなる地域もあると予想される。 10日に県庁で台風に関する説明会を開いた気
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興津川承元寺取水口にふた 断水対策で応急措置 静岡市
2022年9月の台風15号により発生した大規模な断水を受け、同市清水区承元寺町の興津川承元寺取水口上部を覆う鋼製の網のふたの設置工事を行ってきた静岡市は10日、工事が完了した、と発表した。 流木が詰まり取水できなくなったことが断水の原因とされた。同市は専門の業者に業務委託し、応急対策などを検討してきた結果、施設上部の開口部から土砂や流木が流入し、取水口が閉塞(へいそく)したことが取水停止の主な要因と判明した。今年6月以降、設置工事を進めてきた。 同市は断水対策のため、清水地区水源検討部会を設置、清水区南部の新たな水源を検討するなど本格的な断水対策を進めている。
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災害時の過ごし方学ぶ 天竜区水窪で防災キャンプ
浜松市天竜区水窪町のNPO法人「まちづくりネットワーク『WILL』」は9、10の両日、同町の「よつばの杜キャンプ場」で防災キャンプを実施した。地元の小学生や中高校生、大人のスタッフ約40人が参加し、キャンプを通じて野外の過ごし方を学んだ。 防災キャンプは、野外で宿泊することで、災害時のように物資が制限された環境を体験してもらう狙い。新型コロナウイルスの感染が広がる前の2019年以来の開催で、約10年実施している。 最初はテント設営に取り組んだ。子どもたちは、ボランティアの中高校生やスタッフに協力してもらい、テントを組み立てた。 この後、ピザ作りや学生考案の川で拾ったカードに書かれた食べ
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6月の台風2号 県に適用求めたものの… 浜松など4市「救助法」見送りに
6月2日の台風2号による豪雨時、浜松や磐田など県内5市が災害救助法の適用を県に求めたものの、適用されたのは磐田のみで、他の4市は見送られていたことが、9日までに分かった。県は「磐田以外は適用の要件を満たさなかった」とするが、「要件は満たしていた」と反論する自治体もあり、救助法の運用に課題を残している。磐田とそれ以外の市とで被災者支援に差も生じている。 「市民への危険は切迫していた。救助法は適用できたのではないか」。浜松市の小林正人危機管理監代理は、発生から2カ月以上が経過した今もそんな思いが消えない。 救助法は、一定規模以上の災害発生時のほか、災害が迫り多数の人の生命、身体に危険が及ぶ恐
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台風15号の行政対応再検証 前静岡市長初動の問題指摘「災害対応最優先すべき」
静岡市は9日までに、昨年9月に発生した台風15号に関する行政対応の再検証結果をまとめた。当時の災害対策本部長だった田辺信宏前市長が発災当初に災害対応以外の公務に当たっていたことについて、今年3月に公表した最終報告では「災害対応と通常公務のバランスの適切性に問題があった」としていた記述を、「初動時は災害対応を最優先で行うべきだった」と修正し、市長の行動をより厳しく評した。関係者への取材で分かった。 田辺前市長は発災当初の昨年9月25日、公務で市内の祭りや敬老会に出席していた。地域行事への参加に関し、3月公表の最終報告は「慎重に判断する必要があった」としたが、再検証では「参加は見送るべきだった
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被災者支援 寄り添って 静岡県 調整役(コーディネーター)養成
多様化する被災者の要望に寄り添い、支援の漏れや偏りをなくすために支援団体間の調整を行う「被災者支援コーディネーション」の重要性が増している。静岡県は本年度、調整役となるコーディネーターの養成に乗り出した。早期の生活再建や災害関連死防止へ被災者のニーズを把握し、行政や社会福祉協議会、NPO、企業など支援に関わる団体をつなぎ、課題を解決する。南海トラフ地震に備え、全35市町で各1人以上の人材を育成することを目標としている。 被災者の要望は多様化し、行政が一手に対応を引き受けるのは難しい。民間の力が不可欠だが、各団体がそれぞれの専門分野で活動するだけでは支援の漏れが生じる。東日本大震災では全国か
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鈴与の従業員家族 防災学ぶ 静岡市清水区の本社 雲や竜巻 実験で再現
鈴与(鈴木健一郎社長)は6日、同社グループの従業員とその家族を対象にした防災教室を静岡市清水区入船町の本社で開いた。昨年、同区で台風15号による大規模な風水害が発生したことを受けて防災知識を身に付けて備えてもらおうと企画した。 防災教室では気象予報士による講演と、子ども向けの実験体験をそれぞれ実施した。講演ではクイズ形式で同区に影響を及ぼした過去の気象などについて学んだ後、定期的に非常食を食べて不足分を買い足し常に新しいものを用意する「ローリングストック法」など食料品の備え方や、停電時に便利なLEDライトとペットボトルを組み合わせた即席ランタンを紹介した。 気象実験では雲や竜巻を再現する
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南海トラフ沿いの地震評価 7月は特段の変化なし 気象庁
気象庁は7日、南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会(会長・平田直東京大名誉教授)の定例会を開いた。南海トラフ沿いの主に7月の地震、地殻活動について「大規模地震の発生可能性が高まったと考えられる特段の変化は観測されていない」とする南海トラフ地震関連解説情報を発表した。 22日午後に日向灘で最大震度4を観測したマグニチュード(M)5・0の地震は、フィリピン海プレート内部で発生したと説明。規模を踏まえて「南海トラフ沿いのプレート間の固着状態に特段の変化を示すものではない」と分析した。 このほか、微少な揺れと地殻変動を四国東部から四国中部で6月18日~7月10日に、紀伊半島北部から紀伊半島中部
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避難所生活体験 防寒具作りやAED操作学ぶ 御前崎の小中学生、1泊2日の防災キャンプ
御前崎市の小中学生20人が4、5の両日、1泊2日で災害時に役立つ知識を身に付ける「防災キャンプ」に取り組んだ。避難所生活を想定し、電気やガスを使用しない簡易防災グッズを作ったり、同市比木の体育館で段ボールベッドに寝て一夜を過ごしたりして災害に備える大切さを体験した。 簡易グッズは、新聞紙を使ったスリッパやごみ袋を用いた防寒具にもなるレインコート、長ズボンをひもで縛って作るリュックサックなどで、講師から作り方を教わった。災害時は停電や断水が起こる可能性があり、避難所生活を送る上で明かりや寒さ対策の代用品は欠かせない。静岡大学生防災ネットワークの学生も参加し、ゲームを通して日頃から用意すべき生
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防災キャンプで一夜 御前崎の小中学生 簡易グッズで避難所生活体験
御前崎市の小中学生20人が4、5の両日、1泊2日で災害時に役立つ知識を身に付ける「防災キャンプ」に取り組んだ。避難所生活を想定し、電気やガスを使用しない簡易防災グッズを作ったり、同市比木の体育館で段ボールベッドに寝て一夜を過ごしたりして災害に備える大切さを体験した。 簡易グッズは、新聞紙を使ったスリッパやごみ袋を用いた防寒具にもなるレインコート、長ズボンをひもで縛って作るリュックサックなどで、講師から作り方を教わった。災害時は停電や断水が起こる可能性があり、避難所生活を送る上で明かりや寒さ対策の代用品は欠かせない。静岡大学生防災ネットワークの学生も参加し、ゲームを通して日頃から用意すべき生
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災害拠点病院の対応検証 浜松、湖西の県総合防災訓練 9月
静岡県と浜松市、湖西市が9月3日に開催する県総合防災訓練で、多数の災害傷病者に対応する災害拠点病院の運営シミュレーションが行われる。傷病者数が膨らむ人口密集地域の大規模災害では限られた医療従事者のマンパワーを有効活用するため、処置の効率化が求められる。病院と医師会、行政などが連携して、トリアージや治療の流れを確認する。 災害拠点病院の浜松赤十字病院(浜北区)は、災害派遣医療チームDMATの活動拠点本部と支援指揮所を立ち上げて、医師の必要数の算定や県調整本部との連絡、搬送調整などに当たる。地域のマンパワーを集中させるため、救護所を病院敷地内に開設し、地元医師会がトリアージを担う。軽症者は救護
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富士山噴火の兆候時 登山者避難 誘導や安否確認方法は 役割増す山小屋
富士山の火山避難基本計画が今春、改定された。一般住民の避難よりも早い、噴火の兆候が確認された段階で5合目よりも上にいる登山者は下山が求められる。山小屋関係者が避難誘導しながら一緒に下山するが、誘導の方法や登山者の安否確認など課題が山積する。ピーク時には約8千人が登る富士山。安全で円滑な避難へ、普段から富士山で活動し、山を熟知する山小屋関係者の役割は増している。 7月中旬の富士宮口6合目。気象庁から噴火警戒レベル2に相当する「火山の状況に関する解説情報(臨時)」が発表された想定で、情報伝達訓練が行われた。山小屋従業員が拡声器を手に下山を呼びかけた。訓練冒頭には登山者にどう伝えるべきか分からず
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災害対策車の操作 行政職員らが訓練 浜松市東区の天竜川河川敷
台風シーズンに備え、国土交通省浜松河川国道事務所は27日、県西部の建設業者や県、市町職員を対象に、照明、排水ポンプ車など災害対策用機械の操縦訓練を浜松市東区の天竜川河川敷で行った。コロナ禍の影響で4年ぶりの開催。約100人が参加し、機械の使用方法を学んだ。 同事務所が所有する対策本部車1台と照明車、排水ポンプ車各2台の計5台で実施した。参加者は4班に分かれて説明を受け、装置の動かし方やポンプの設置方法などを確かめた。 同事務所は、災害時などに、自治体の要請に応じて配水ポンプ車などを貸し出している。管内の建設業協会とは、災害対策車両の操作などを依頼する応急復旧の協定を結んでいる。
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【第1章】危機意識の低下② 転倒すれば「凶器」にも 始めよう家具の固定を【東海さん一家の防災日記 南海トラフ地震に備える/いのち守る 防災しずおか】
いつ起きるか分からない南海トラフ地震に市民はどう備えるべきか。自治会・自主防災会会長の東海駿河[とうかいするが]さん(71)と妻の伊豆美[いずみ]さん(66)、長男の遠州[えんしゅう]さん(36)親子、長女の富士子[ふじこ]さん(33)の3世代をモデルに、自助、共助の取り組みを考える。 ある日曜、東海駿河さんの自宅に長男遠州さんの一家が遊びに来た。リビングで遊んでいた孫の小学1年竜洋君(7)は、あることに気付いた。 「おじいちゃんの家のテレビは、どうして壁とつながってるの」。壁に取り付けた金具とテレビの背面との間にワイヤが張られていた。「地震の時に落ちないようにしてるんだよ」と東海さん
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関東大震災 発生から100年 三島に残る被災児の声「夢中で逃げた」錦田郷土研究会所有の雑誌
「逃げて間もなく火が家についた。(弟が)あの中で焼けて居るのかと思い、ぞっとした」「『津波だ』と言われ夢中で逃げた」。9月に発生100年を迎える関東大震災で被災した県東部や神奈川県西部の子どもたちの生の声が集まった雑誌が三島市に残っている。震災から1カ月後に発行された「子供之(の)世界 震災慰問号」。数年前に存在を見つけて手に入れ、当時の様子を分析した錦田郷土研究会(同市)の神山明久さん(60)は「読み込めばいろんなことが分かる貴重な証言史料。専門家が研究したら新たな発見につながるかもしれない」と話す。 「この一冊を地震のためになくなられた読者諸君の霊前にささげます」。この文章で始まる表紙
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浜松・中沢町自治会と中村建設が災害協定 井戸水を供給
浜松市中区中沢町の中村建設と同町自治会が18日、災害支援に関する協定を締結した。同社で野田宗義専務取締役と鈴木秀夫自治会長が協定書を交わした。 地域が断水した場合、同社敷地内でくみ上げる井戸水を提供するほか、住民が必要とする生活物資の備蓄に協力する。会社がある周辺地域(中沢町3部)の住民を優先的に支援するが、被害が大きい場合は可能な限り広範囲の住民に水や物資を供給する。 同社はこの地で創業して69年目。野田専務は「地元のおかげで会社が成長できた。各地で災害が頻発する中、地域防災に貢献したいと考えた」と話し、鈴木会長は「特に水の備蓄は難しいので大変ありがたい」と謝辞を述べた。
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避難計画改定後 初の訓練 富士山噴火想定で下山指示
静岡県や周辺市町、山小屋関係者は19日、富士山の噴火を想定した火山防災情報伝達訓練を富士宮市の富士宮口5、6合目付近などで行った。コロナ禍や天候の影響などで実動訓練は2年ぶり。今年3月の富士山火山避難基本計画改定後では初めて。新たな計画にのっとり、気象庁が噴火警戒レベル2に相当する「火山の状況に関する解説情報(臨時)」を発表したとして、模擬登山者らに下山指示を伝達した。 新計画では一般住民の避難と重ならないよう、臨時の火山情報が発表された時点で周辺首長が下山指示を発令し、噴火警戒レベル3(入山規制)のうちに登山者の下山を完了させなければならない。 訓練は周辺市町や山小屋関係者など30組織
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道の駅に防災機能 裾野市、拠点施設整備方針
裾野市はこのほど、市内に整備する「(仮称)道の駅ふじさんすその」の基本コンセプトを公表した。「休憩」「情報発信」「地域連携」に「防災」を加えた四つの機能を併せ持つ地域のにぎわい創出と交流の場として整備。安心な道路交通環境を提供する。 防災は同市ならではの機能として、市民と来訪者の災害時の拠点として施設を活用する。市は道の駅の大まかなデザインとなる基本構想を2023年度中にまとめ、24~25年度に基本計画を策定して国に認可を申請する方針。開設場所は国道246号や同469号など主要幹線道路沿いの富士山の景観が楽しめる地点を候補地に選定する。 村田悠市長は「裾野市は交通量が多いが、多くの道路利
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駐車場を避難場所に MV東海と浜松市災害協定
浜松市はこのほど、マックスバリュ東海と災害時の支援協力に関する協定を結んだ。同社は地震や水害の発生時に市内13店舗の駐車場や施設を住民らの一時避難場所にし、トイレや水道水、自動体外式除細動器(AED)を提供する。 中野祐介市長と作道政昭社長がマックスバリュ浜松助信店(中区)で協定を締結した。中野市長は「災害が頻発している。共助、自助、公助を組み合わせて対策を進めたい」と述べ、作道社長は「事業を通じて地域の発展に尽くす」とあいさつした。同社が災害協定を結ぶ県内の自治体は16市6町になった。 同店は28日にリニューアルオープン予定で式後に開店前イベントを行った。キッチンカーや地場野菜の販売ブ
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草生い茂り避難路使えない...南海トラフ想定犠牲者「8割減」に疑問符 高齢化も加速、実効性に課題 静岡県地震・津波対策AP推計
静岡県第4次地震被害想定で推計される南海トラフ巨大地震の犠牲者約10万5千人のうち津波による犠牲は約9万6千人に上る。静岡県は地震・津波対策アクションプログラム(AP)の2022年度までの10年間の取り組みで、防潮堤整備や早期避難意識の向上が進み、想定犠牲者の「8割減」を達成したとする。一方で、高齢化が加速し、過去に整備した津波避難施設の維持管理や改修などの課題が浮かび上がる。専門家は「人口構成の変化を踏まえた検証や点検が必要」と避難の実効性に疑問を呈する。 6月下旬の沼津市戸田大浦地区。傾斜地に設置された非常階段を上るとさらに高台へと避難する通路があった。草木が生い茂り、手すりの上部だ
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東日本大震災の経験を継承 取るべき行動考える 吉原北中で減災教育 富士
東日本大震災の経験を踏まえた東北大の減災教育「結(ゆい)プロジェクト」が11日、富士市の吉原北中で開かれた。1年生約130人が地震発生時に取るべき行動について考えた。 生徒は「避難所で周りの人と仲良く過ごすには」「離ればなれになった家族との連絡方法は」などの質問に五つの選択肢から選ぶワークに取り組んだ。「災害時の集合場所を家族で話し合いたい」「水や食べ物を備えておきたい」などの感想が出た。 同大災害科学国際研究所講師の保田真理さん(67)から地震が起こるメカニズムや日本が地震多発地帯であることなども学んだ。 同プロジェクトは震災の経験を継承しようと2014年から全国の学校で展開している
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【第1章】危機意識の低下① コロナで訓練停滞 自主防 何から始める?【東海さん一家の防災日記 南海トラフ地震に備える/いのち守る 防災しずおか】
災害時には静岡県民一人一人が自分や家族の身を守る自助と、地域で助け合う共助の意識が不可欠だ。いざという時にどう行動すべきか。自治会・自主防災会会長の東海駿河[とうかいするが]さん(71)と妻の伊豆美[いずみ]さん(66)、長男の会社員遠州[えんしゅう]さん(36)親子、長女の小学校教諭富士子[ふじこ]さん(33)の3世代の親族をモデルに、地域や家庭での備えを紹介していく。 長女・富士子さん(33)小学校教諭/妻・伊豆美さん(66)専業主婦/すんぴー 愛犬/東海駿河さん(71)自治会・自主防災会会長 長女・かのちゃん(5)保育園年長/東海遠州さん(36)会社員/妻・三保さん(34)パ
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松崎町長「平時の連携強化重要」 下田で防災力向上会議
防災関係機関や自治体が防災力向上を図る賀茂指揮官会議が6日、下田市の静岡県賀茂危機管理庁舎で開かれた。講師から災害対応を学ぶとともに、各機関が活動を報告した。 断水被害が続くなど昨年8月の台風8号で被災した松崎町の深沢準弥町長は周囲の支援に謝意を示すとともに、「日頃から複数機関が連携して対策を重ねることの大切さを実感した」と語った。下田署の田代圭吾署長は継続的な訓練と連携の必要性を強調。災害時の不足物資の想定や、電源と水道確保の確認を平時から徹底するよう呼びかけた。 同年9月の台風15号で大きな被害を受けた川根本町の山田貴之総務課長による講演も行った。山田課長は特に山間地においては道路が
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防災クイズで意識向上へ JTと駿東伊豆消防 J3沼津ホーム戦でイベント
静岡市の日本たばこ産業(JT)静岡支社は1日、サッカーJ3アスルクラロ沼津のホーム戦に合わせ、駿東伊豆消防本部と連携した防災イベントを同市の愛鷹広域公園で開いた。 同社とクラブが締結した社会連携活動に関するパートナー契約に基づいて企画した。「災害時に水や食料は何日分あればよいか」「災害用伝言ダイヤルの番号は171でよいか」などのクイズを来場者に出題し、防災への意識向上を呼びかけた。 同消防本部は住宅用火災警報器の設置に関するアンケートを行った。
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災害時停電復旧 迅速対応へ連携 藤枝市と中部電力が協定
藤枝市は29日、中部電力パワーグリッドと災害時の停電の早期復旧に向けた連携協定を締結した。南海トラフ巨大地震や風水害で大規模停電が起きた場合に備え、災害時の迅速な対応と平時の連携体制を強化する。 平時には倒木による道路の通行支障や停電を未然に防ぐために樹木を伐採することや、電力の復旧を優先すべき病院など重要施設の情報共有を進める。災害時は停電情報や復旧状況の情報発信、緊急輸送路の障害物除去や停電復旧のための土砂撤去など道路の通行確保について協力し合う。 市役所で締結式が行われ、北村正平市長と同社藤枝営業所の遠藤達哉所長が協定書に署名した。遠藤所長は協定が2018年の台風24号に伴う大規模
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災害時の情報収集 ドローンで迅速に 磐田市と企業組合協定
磐田市は28日、企業組合フジヤマドローン(富士市、望月紀志代表理事)と災害時の支援協定を結んだ。ドローンを活用して迅速に被災状況の情報収集などを進めることで、早期の救助・復旧につなげる。 災害時には協定に基づき磐田市から要請を受けた会員がドローンで被災地域を空撮し、被害状況を調査する。映像を3次元解析し、崩れた土砂の流出量などを推定することも可能という。ドローンで孤立地域に医薬品や食料などの応急物資を運搬することも支援内容に盛り込んだ。 協定締結式で望月代表理事は「被災状況を撮影した映像を救助や復旧に役立ててもらいたい。災害時だけでなく、市のPRにも貢献できれば」と話した。草地博昭市長は
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災害復旧時に活用 資機材倉庫を設置 県社協など6団体
静岡県社会福祉協議会や特別養護老人ホーム「小鹿苑」(静岡市駿河区小鹿)など6団体は28日、災害ボランティア活動用機器に関する覚書の締結式を同施設で行った。資機材の収納倉庫を同施設の敷地内に設置し、県内で発生した災害の復旧時に活用する。 ほかに締結した団体は同市社協、西豊田学区自治会連合会、西豊田地区民生委員児童委員協議会、県ボランティア協会。赤い羽根共同募金の助成金を活用し、一輪車や発電機など約370点を用意した。東名高速道日本平久能山スマートインターチェンジに近く、県内各地にアクセスしやすいことから、同施設の敷地内を選定した。収納倉庫の設置は県内7カ所目。 締結式では6団体の代表者が覚
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「サイポスレーダー」周知に力 洪水危険度リアルタイム表示 沼津土木事務所
静岡県沼津土木事務所は、川の水位や洪水危険度を伝える気象・防災サイト「サイポスレーダー」の周知に力を入れている。水害が頻発、激甚化する中、いざという時に身を守るために活用を呼びかける。 県が作製したチラシを配布し、ホームページでもアピール。4月に着任した曽根裕介所長はサイトにつながるQRコードを貼った名刺を配る。 県が運営するサイポスレーダーは国と県が管理する川の水位をリアルタイムで表示し、洪水の危険度を色で示す。「県内の川や雨の情報は、このサイトが最も分かる」と担当者。関係者の水防活動のために作り、2003年に一般公開した。 同事務所によると、管内で国や県が管理する河川が氾濫した事例
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防災に役立つアウトドアグッズは? あんどうりすさん講師 浜松で講座
NPO法人はままつ子育てネットワークぴっぴは24日、一般向け学習講座「知っておきたい!アウトドア防災術 スキルと道具で災害を乗り越える」(静岡新聞社・静岡放送後援)を浜松市中区の防災学習センターで開いた。 阪神淡路大震災の被災経験から、アウトドアスキルを使った防災情報の発信活動を続ける、あんどうりすさんが講師を務めた。参加者約50人に役立つグッズを紹介した。 アウトドア防災グッズのポイントとして「邪魔にならず日常生活に取り入れられること」と強調した。吸水力が高く、ぬれた体を拭くことなどに便利なコンパクトタオルや、小さく収納できる撥水(はっすい)ジャケットなどの備えを勧めた。寒さ対策の重要
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巨大地震でリニアは? 石橋氏「乗客の安全見直せ」 静岡
地震学者の石橋克彦神戸大名誉教授の講演会「南海トラフ巨大地震でリニアはどうなる?」が24日、静岡市葵区の静岡労政会館で開かれた。石橋氏は、リニア中央新幹線は南海トラフ巨大地震で新たな災害を生み出す可能性があると指摘し、乗客の安全確保に向けて国の防災基本計画の内容を抜本的に見直すべきだと主張した。 石橋氏は、リニア路線は多くの活断層を横切っているため、南海トラフ地震と連動すれば、リニアは東海道新幹線とともに大きな被害を受けると予想した。県内で事故が発生すれば、同時に被災している県民の救援活動にも支障を及ぼすとした。 JR東海は、リニアと東海道新幹線による東京―大阪間輸送の二重系化は大規模災
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地震保険料 地域で違うのはなぜ? 価格設定の基準は【NEXT特捜隊】
日常生活の身近な疑問に答える静岡新聞「NEXT特捜隊」に、藤枝市の50代女性から「静岡県の地震保険料が高くて驚いた。価格設定の基準や見直しのタイミングはどのように決まっているの?」との質問が届いた。南海トラフ巨大地震などが危惧される静岡県の保険料が高いのは知られているが、5月に石川県で観測した震度6強など全国各地で続く地震活動は保険料にどの程度反映されるのか。地震保険料を決める際の基礎となる基準料率は、損害保険各社が法律に基づいてつくる「損害保険料率算出機構」(東京)が算出している。考え方を聞いた。 所在地と建築構造 地震保険の基本的な料率は、契約の対象となる建物の所在地と建築構造によっ
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記者コラム「清流」 災害時のアプリ活用
2日の活発な梅雨前線と台風2号による記録的な大雨。情報を集める中で、市のLINE(ライン)公式アカウントでの情報発信に注目した。 伊豆市では、朝は大雨警報発令に伴う注意喚起、昼は自主避難所等の開設などを発信。内容には市危機管理課の電話番号のほか、気象庁による土砂災害の危険度分布のサイトと県防災アプリに切り替えられるようにURLが記されていた。土砂災害警戒情報は静岡地方気象台の発表と同時に通知があり、即時性もあった。3日未明の市内の停電やバスの運休情報も早かった。 何よりも被災者に沿った内容だった。自治体の情報発信はさらなる展開が待たれる上に、既存のメディアも今まで以上にSNSを活用して情
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津波防ぐ装置 科学技術高生が見学 防災意識高める 静岡・用宗
静岡市葵区の「伸栄建設」はこのほど、同市駿河区の用宗漁港で行う津波対策の現場見学会を開き、科学技術高生が参加した。インフラ整備などを学ぶ都市基盤工学科3年生40人が防災意識を高めた。 生徒は同港に設置されている津波を防ぐ装置「フラップゲート式陸閘(りくこう)」の試運転を見学した。同装置は津波が発生した際に、水の浮力でゲートが自動的に立ち上がる仕組み。同社の職員がゲート前に囲いを作り水をためると、ゲートがゆっくりと立ち上がり生徒からは歓声が上がった。故障しにくく、津波発生時に装置を操作しに行く危険がないなど利点を学んだ。 牛首翔さん(17)は「最新技術ではなく、単純な動力で優れた性能を発揮
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ゲームで楽しく防災学ぶ 浜松・中区で親子向けイベント
浜松市中区の市防災学習センターはこのほど、まちづくりをテーマに、ワークショップなどを通して防災を学ぶ親子向けイベント「夏フェスタ2023」(静岡新聞社・静岡放送後援)を同所で開いた。 災害支援団体「はままつnanet」の10団体がブースを設け、地震の被災時に足を守ることができる新聞紙製スリッパの作り方や避難所などを表すピクトグラムを紹介した。「災害に強いまち」を考えるゲームでは「海沿い」「山沿い」「川沿い」の3種類の地形を模したジオラマを使い、学校などの建物を配置して安全確保について学んだ。 親子連れを中心に約130人が参加した。地震体験車で、東日本大震災の被災地の揺れ(震度4~7)を体
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黄色ハンカチ「無事」確認 浜松・東区の市野町北自治会が訓練
浜松市東区の市野町北自治会(鈴木博会長)と同自主防災隊(内藤健行隊長)はこのほど、災害時に住民の安否を確認し、被災状況を把握するためのタオル訓練を初めて実施した。 各世帯は自治会が用意した「無事です」と書かれた黄色いハンカチを軒先やベランダに掲げ、家族の無事を示した。約60人の班長らがそれぞれの受け持ち区域を巡回して安否を確認した後、組長が公会堂に設置した訓練本部に報告した。 同地区ではこれまで、消火訓練に重点を置いて防災訓練を進めてきたが、近年の想定外の地震や台風、集中豪雨などの被害に備えようとの今回の訓練目標を立てた。鈴木会長は「万が一に備え、安全確認が取れない家庭の情報を収集するこ
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避難所運営学ぶ 12月訓練に向け 静岡・西豊田小で講座
災害時の避難所の運営や生活について学ぶ講座「どうする防災」がこのほど、静岡市駿河区の西豊田小で開かれた。同学区地域支え合い体制づくり実行委員会が主催し、地域住民ら約100人が参加した。 前半は駿河区地域防災係の職員が講師を務めた。避難所では受け身にならず避難者が主体的に運営に関わることが重要と解説した。避難所は収容人数が限られていることも説明し、できる限り自宅で生活することが望ましいとした。後半は昨年同小で行われた防災訓練を地域住民がそれぞれ振り返り、課題を共有した。 12月に行われる避難所運営訓練に向けた事前研修の一環。車いすで参加した大川速巳さん(54)は「福祉避難所の開設や避難所へ
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堤防決壊の対応確認 国交省浜松河川国道事務所で訓練
国土交通省浜松河川国道事務所は20日、大雨による天竜川と菊川の堤防決壊を想定した緊急対策シミュレーション訓練を浜松市中区の同事務所で行った。同省中部地方整備局管内の職員と地元建設業者約30人が参加し、緊急復旧と応急復旧の工程作成を練習した。 天竜川は磐田市内の左岸で漏水破堤が、菊川は菊川市内の左岸で越水破堤が起きたと仮定。速やかに住宅地への水の流入を止め、次の出水に備えた仮堤防を14日程度で築くため、作業手順、資材の調達、排水ポンプ車の配置、概算費用などをそれぞれ検討して資料にまとめた。 特に最初の破堤箇所の緊急復旧が最も難しく、職員たちは根固めブロックや土砂をどう積み上げるか、現場の地
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七夕豪雨や治水学ぶ 駿河総合高生がフィールドワーク
静岡市駿河区の駿河総合高2年生は20日、市内の水災害について学ぶフィールドワークを同区の市治水交流資料館「かわなび」で行った。 行政や教育機関の協力を得て1年かけて取り組む「地域防災コミュニティプロジェクト学習」の一環。生徒10人が動画やパネル展示を見ながら七夕豪雨や治水対策について学んだ。千歳心琴さん(17)は「大雨などの災害対策や意識の持ち方を自分も知りたいし、他の人にも伝えたい」と意気込みを語った。 協働した静岡大教育学部の学生も参加。同大大学院教育学研究科の竹下琴里さん(修士2年)は「高校生の学びを先導するのではなく、伴走していきたい」と話した。 同プロジェクトでは他にも12カ
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浜松・天竜区の地滑り 国の対策事業に採択
静岡県は20日、台風2号による記録的な大雨で発生した浜松市天竜区長沢の地滑りについて、国土交通省の災害関連緊急対策事業に採択されたと発表した。事業費は2億800万円で国が3分の2を補助する。 現時点で人的被害はないが、県道天竜東栄線の路面が陥没した。地盤が崩落した場合、人家や西阿多古川に被害が及ぶ可能性がある。応急対策として水抜きや仮排水路の工事を進めるほか、本格的な対策を講じるための調査を実施する。県砂防課は「7月上旬までに国に災害関連緊急対策事業の本申請を行う」としている。
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洪水と土砂災害、同時対応へ訓練 焼津市 新システムで情報共有
焼津市は18日、総合水防訓練を市内で行った。出水期に備え、洪水と土砂災害の同時発生を想定し、対応する訓練を2カ所に分かれて実施。本年度から導入した災害情報共有システムも取り入れ、災害対応を実践した。 大雨で大井川の水位が上昇し、周辺で氾濫の恐れが生じ、東益津地区では土砂災害の危険性が高まった―との想定で実施。消防団や水防団、志太消防本部、建設業界や自衛隊など約1000人が参加した。 同市西島の大井川左岸河川敷では参加者は決壊を防ぐための土のうを作ったり、堤防を強化するためのシートを張ったりして、水防活動に取り組んだ。中野弘道市長や市幹部は、モニター画面に映し出される東益津地区の上空から