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応急修理制度申請 仮設入居後も可に 能登地震で特例措置、自宅再建に光

 内閣府は、能登半島地震の被災者支援に関し、賃貸型応急住宅(みなし仮設)への入居を先に申し込んだ場合でも、自宅の修理に公費が充てられる「応急修理制度」の利用を認める方向で最終調整に入った。珠洲市や輪島市など被害が甚大だった石川県能登地方に限定した特例措置。現地では罹災(りさい)証明の交付が遅れ、応急修理を申請したくてもできずに避難生活を余儀なくされている被災者がいる。こうした課題の解消を図る。2日までに関係者への取材で分かった。
 応急修理は災害救助法に基づく制度。罹災証明で準半壊以上が対象で、最大約70万円の助成を受けられる。みなし仮設との併用が認められるが、応急修理を先に申請する必要がある。
 同県によると、能登地方の多くの自治体で罹災証明の交付が滞っている上、応急修理ができる業者が不足している。応急修理の申請には時間を要し、現状で被災者が応急修理を利用しようとすると、避難生活が長期化して災害関連死のリスクが高まる可能性がある。一方、応急修理の利用を諦め、みなし仮設への入居を優先すれば、住み慣れた自宅再建の道を閉ざすことにもつながる。ホテルや旅館など2次避難所はみなし仮設ではないため、利用後に応急修理を申請することは可能。ただ、避難生活が長引く課題は変わらない。
 支援の対象は、断水などによるライフラインの途絶や、家屋の応急危険度判定で「危険」と判定された被災者を想定している。液状化被害が発生した同県羽咋(はくい)市では、危険度判定で「危険」と判定された26世帯を既にみなし仮設に移した。
 内閣府の担当者は「みなし仮設への入居を『長期避難』と捉えることで、制度の整合性を図りたいと考えている。詳細について地元と調整したい」と話した。
 (社会部・武田愛一郎)

 応急修理制度 災害救助法に基づき、日常生活が再開できるよう必要最低限の住家修理を認めた制度。屋根やトイレ、台所などが対象。罹災証明で半壊以上と判定されると1世帯当たり70万6千円、準半壊で34万3千円の助成が受けられる。現行の制度では、半壊以上の被害で修理完了まで1カ月以上を要する場合、「みなし仮設」への入居が認められている。入居より先に応急修理を申し込む必要がある。工事後は退去しなければならない。

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