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「津波、自分事と認識を」 大震災語り部・高橋さん(静岡大3年)参加 全国の若者が防災課題共有

 静岡新聞社や河北新報社(仙台市)など全国の地方紙や放送局でつくる「311メディアネット」は11日、オンラインで各地をつなぎ、防災ワークショップ「むすび塾」を開催した。各社の地元で防災活動に取り組む10~20代の11人が参加し、東日本大震災の被災地で活動する語り部と意見交換したほか、地域防災の課題について話し合った。本県からは静岡大地域創造学環3年の高橋奈那さん(21)が参加した。

東日本大震災の「語り部」として、今後の抱負の言葉を掲げる高橋奈那さん=11日午後、静岡市駿河区の静岡新聞放送会館
東日本大震災の「語り部」として、今後の抱負の言葉を掲げる高橋奈那さん=11日午後、静岡市駿河区の静岡新聞放送会館


 高橋さんは岩手県釜石市出身で、小学3年の時に東日本大震災を経験。防災に関心を抱き、大学1年の時に同市の研修を受けて「大震災かまいしの伝承者」に認定され、自身も語り部となった。南海トラフ巨大地震で大きな被害が予想される静岡県でも東日本大震災の教訓を伝えようと、県内の小学校などで語り部活動に取り組んできたことを紹介した。
 東日本大震災を知らない児童らに「津波はいつか自分の身にも起こりうること」と伝えているが、「昔のことと思われ、自分事としての認識が乏しい。危機感を覚えている」と伝承の難しさを課題に挙げた。
 被災地の語り部は、けせんぬま震災伝承ネットワーク(宮城県気仙沼市)の熊谷樹さん(20)が参加。被災した高校校舎を保存した同市東日本大震災遺構・伝承館から中継し、津波浸水や住民避難の様子を説明した。熊谷さんは「災害に関して『想定外』という言葉はあり得ない。想定より大きな災害が来るかもしれないし、避難場所も複数考えておくべきだ」と呼びかけた。
 むすび塾のオンライン開催は今年で3年目。全国で近年発生した災害や今後懸念される災害の知識と防災課題を共有し、若い世代の防災意識向上を図るのが狙い。京都大防災研究所の矢守克也教授が助言役を務めた。

 <メモ>311メディアネット 河北新報社の防災ワークショップ「むすび塾」の趣旨に賛同し、共催経験がある静岡新聞、北海道新聞、東京新聞、神奈川新聞、福井新聞、中日新聞、京都新聞、毎日放送、神戸新聞、中国新聞、高知新聞、宮崎日日新聞で構成する報道機関のネットワーク。東日本大震災発生の3月11日に向けて、合同企画を毎年展開している。

 

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