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清水区中心部「無堤防」解消へ 防潮堤、1月中にも本体着工 液状化防ぐ地盤改良

 静岡市清水区港町で昨秋から進められている防潮堤工事が、1月下旬にも本体工事に移行する。同区中心部の日の出・江尻エリアはこれまで“無堤防区間”だったが、港町を皮切りに海抜4メートルの高さで順次整備が進む予定。清水港の岸壁は埋め立てによって海側に拡大してきたため、現在は本体工事前の地盤改良を施す作業の真っ最中だ。

埋立地の土壌が軟弱なためセメントを噴射させながら地下をかき混ぜる地盤改良工事現場を案内する県清水港管理局の担当者=18日午後、静岡市清水区港町1丁目
埋立地の土壌が軟弱なためセメントを噴射させながら地下をかき混ぜる地盤改良工事現場を案内する県清水港管理局の担当者=18日午後、静岡市清水区港町1丁目
明治時代終わりごろとみられる埋め立て前の静岡市清水区港町1丁目付近(県発行の「清水港開港100年史」より)
明治時代終わりごろとみられる埋め立て前の静岡市清水区港町1丁目付近(県発行の「清水港開港100年史」より)
埋立地の土壌が軟弱なためセメントを噴射させながら地下をかき混ぜる地盤改良工事現場を案内する県清水港管理局の担当者=18日午後、静岡市清水区港町1丁目
明治時代終わりごろとみられる埋め立て前の静岡市清水区港町1丁目付近(県発行の「清水港開港100年史」より)

 「買い物客が多いので安全第一で行っている」。施工業者の鈴与建設の担当者は「パワーブレンダー」と呼ばれる特殊な重機を指さしながら説明した。海水が浸透する埋め立て地の地下にセメントを噴射させながら、深さ13メートルまでの土壌をかき混ぜる特殊な工法により、液状化しない地盤を作ってきた。県清水港管理局によると、地盤改良の困難克服のため高度な技術とされる方法を用いた。
 同区中心部は商業施設やJR駅が集中し、企業や住宅街も隣接する。ただ、景観や港湾の荷揚げ作業に支障を来す可能性があり、長らく防潮堤整備は進まなかった。
 風向きが変わったのは東日本大震災以降。住民や港湾利用者、有識者による会議で景観に配慮した防潮堤工事が決まった。
 港町の防潮堤は国と県が予算を折半し、今秋オープンするドリームプラザ新館棟と一体的に整備される予定。防潮堤の前面に約3メートル盛り土を行い、緑地工事を施すことで、非常時以外は親子連れらが富士山を真正面に見る芝生公園としても利用できる。
 同管理局によると、日の出エリアの1・8キロは2030年度までに完成予定。視界を遮らないように、透明なアクリル板を用いた防潮堤整備も行われる。

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