テーマ : 防災対策

富士山など火山観測体制充実へ 改正法施行で防災対策強化

 政府は2024年度、富士山など全国の火山防災対策を強化する。改正活動火山対策特別措置法(活火山法)が24年4月1日に施行されるのに合わせ、火山調査研究推進本部(火山本部)の新設、国民への普及啓発といった改正法の趣旨に沿った取り組みを展開する。24年度予算案に、関係省庁が必要経費を盛り込んだ。
 改正法で定められた火山本部は4月1日から文部科学省に置かれ、調査研究を一元的に担う。同省は24年度予算案に12億円を付け、運営に充てる。火山防災で即戦力となる人材育成のプログラムも創設する。社会人や他分野の研究者、自治体の実務者を対象に火山調査研究の専門性の高い大学や研究機関が実施する教育カリキュラムを公募し、補助する形を想定している。
 同省は23年度補正予算で確保した43億円も活用し、富士山や伊豆東部火山群を含むすべての常時観測火山(50山)で陸域・海域の観測体制を充実させる。活動が活発化した火山で機動的な観測をするための資機材も整備する。精度の高いデータを取得し、火山本部での分析・評価につなげる。
 内閣府は24年度予算案の6600万円で、改正法により制定された「火山防災の日」(8月26日)などに合わせた各地域の訓練実施を後押しする。避難者を受け入れる山小屋や商業施設の避難確保計画の作成を市町村、火山防災協議会が適切に援助できるよう、課題や支援策も調査検討する。
 気象庁は23年度から、火山深部のマグマだまりの挙動をリアルタイムで監視するシステムの構築を進めていて、デジタル関係として23年度補正予算9億7700万円、24年度予算案1800万円を計上した。24年秋の運用開始を目指す。
 改正法は噴火災害発生前の予防的な体制整備を重視し、議員立法により今年の通常国会で成立した。本県など23都道県でつくる「火山防災強化推進都道県連盟」などが早期の改正を要望した。
 (東京支社・関本豪)

いい茶0

防災対策の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞