テーマ : 防災対策

「組織と人命」企業防災考える 銀行員の長男 宮城で被災 田村さん「教訓生かして」 浜松市中央区

 浜松市防災学習センターは25日、企業防災について学ぶ講座(静岡新聞社・静岡放送後援)を浜松市中央区の同センターで開いた。東日本大震災による津波で長男健太さん=当時(25)=を亡くした田村孝行さん(63)が「組織と人命」と題して話した。

企業防災の在り方について語る田村さん=浜松市中央区の市防災学習センター
企業防災の在り方について語る田村さん=浜松市中央区の市防災学習センター

 健太さんは2011年3月11日、宮城県の七十七銀行女川支店で勤務中に被災した。支店は海から100メートルほどの場所にあった。徒歩約3分の距離に高台があったが、支店の屋上への避難を指示した支店長の言葉を受けて屋上にとどまり、犠牲になった。
 田村さんは、立地条件などに合わせて事業所ごとに知恵を絞って訓練を重ねることや、部下の意見を聞き入れる柔軟な環境づくりが必要だと指摘した。「高台に逃げれば助かっていた。災害を想定外にせず、教訓として生かしてほしい」と強調した。
 田村さんの妻弘美さん(61)もリモートで講話し、写真を交えて健太さんとの思い出を語った。弘美さんは「何げない日々がどれだけ幸せなことか気付かされた。最悪の事態を考えて対策してほしい」と呼びかけた。
 (浜松総局・岩下勝哉)

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