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避難生活で命と健康守るには? 水分不足、体の冷えに注意 予防につま先立ち運動も【能登地震】

 甚大な被害が出た能登半島地震で、多くの人が避難所で不安な日々を過ごしている。過去の災害では避難生活で体調を崩したり、悪化したりすることも問題となった。不便な暮らしの中で、命と健康を守るためのポイントを専門家に聞いた。
石川県輪島市の避難所に身を寄せる大勢の人たち=3日
 危機管理アドバイザーの国崎信江さんは、避難生活の注意点として「こまめな水分補給を心がけて」と話す。水分を取らないと、頭痛や便秘などの体調不良が起きやすくなる。「断水していてトイレが心配でも、水を飲む方が優先。流す水がないときは、便座にごみ袋などを敷いて用を足すという方法もあります」
避難生活の注意点
 体育館など硬く冷たい床の上で長時間過ごすのも可能な限り避けてほしいという。「疲れやストレスがたまり、体も冷えてしまう」。布団や毛布、段ボールを床に敷くなどし、体を休めるのが重要だ。
 新潟大特任教授の榛沢和彦医師は、水分不足や体の冷えによって「エコノミークラス症候群のリスクも高まる」と警鐘を鳴らす。狭い場所に長時間、同じ姿勢でいると、脚の静脈に血の塊である血栓ができ、この血栓が肺などに移動して血管を詰まらせると命に関わることもある。新潟県中越地震や熊本地震などでも度々問題となってきた。
 「発症予防には段ボールベッドの活用が最も効果的」と話す。過去の被災地では早い段階で段ボールベッドを使った方が発症率が低かったとのデータもあり、今回も早期の配備を求める。
 歩行やふくらはぎのマッサージなども一定の予防につながる。「つま先立ちをし、かかとを下ろすことを繰り返し、ふくらはぎに力を入れる運動もすぐにできる取り組みです」。狭い車内での連泊は発症リスクが上がるため「なるべく手足が伸ばせる場所で過ごす時間をつくってほしい」。
 集団生活が続くと、新型コロナウイルスやインフルエンザ、胃腸炎などの感染症も広がりやすくなる。厚生労働省はホームページで、食事の前やトイレの後などは手洗いをするよう心がけ、水がない場合はアルコール消毒液を使用するなど、手を清潔に保つよう呼びかけている。
 水が不足すると歯磨きを控えてしまう人も多いが、口の中の雑菌が増殖すると、肺炎などにかかりやすくなる。厚労省などは歯ブラシがない場合は、食後に少量の水やお茶で口をゆすぐ、清潔なペーパータオルなどをぬらして歯や入れ歯の汚れを取るといったケアの方法を紹介している。

 静岡県、家庭での備蓄呼びかけ
 南海トラフ巨大地震などの被害が想定される静岡県でも、大規模災害時には多くの人が避難生活を送る事態になるかもしれない。避難所で過ごすことをあらかじめ考えた備えが重要になる。
 避難した時にまず必要になるのが、飲料水、食料、トイレ。避難所に必ずしも十分な準備があるとは限らず、県は各家庭に対し、携帯トイレも含めて7日分の備蓄を呼びかけている。
 避難生活の手引きや避難所運営のマニュアルは、スマートフォンアプリ「静岡県防災」などで参照できる。県危機管理部の担当者は「事前の備えの大切さを改めて意識してほしい」と話す。

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