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能登地震被災5市町 防災無線 一時停止相次ぐ 停電長期化で蓄電池切れ 行政避難情報発信に課題

 元日の能登半島地震発生後、被害が大きかった石川県珠洲(すず)市などの6市町のうち5市町で防災行政無線の屋外スピーカーの多くが一時使用できなくなっていたことが7日、各自治体への取材で分かった。停電が長期化したことにより非常用のバッテリーが切れたことが主な原因。余震とみられる揺れが続き、再び大きな津波が起きる恐れもある中で、行政発信の避難情報が十分伝わらない可能性があった実態が浮き彫りとなった。

6市町の防災無線スピーカーの被害状況
6市町の防災無線スピーカーの被害状況

 防災行政無線は各市町村が「地域防災計画」に基づき整備し、国の全国瞬時警報システム(Jアラート)が発信した緊急地震速報や大津波警報、避難指示などを屋外放送を通じ広く住民に伝達する仕組み。東日本大震災でも無線が使えなくなったケースが相次いだが教訓は生かされなかった。
 甚大な被害が出た珠洲市では市内に設置された76基のスピーカーのうち、2基が津波による損壊で使えなくなった。また、市内3カ所にある無線中継局のうち、自家発電ができない2カ所で非常用バッテリーが切れ、この中継局がカバーする地域にあるスピーカーに情報が届かなくなった。揺れが続いていた1月6日ごろ、正常な作動を確認できたスピーカーは76基中、約10基だった。
 珠洲市の防災無線を管理する情報通信システム整備会社「ほくつう」(金沢市)によると、各スピーカーには災害時に備え非常用バッテリーが付いている。毎時間5分ずつ放送した場合、3日分持つ容量となっているが、停電の長期化で中継局だけでなく、多くのスピーカーがバッテリー切れを起こしたという。
 最大で約1万3千戸が停電した輪島市でも、1月3日以降、213基あるスピーカーの大半がバッテリー切れしたほか、七尾市でも一部稼働できないケースがあった。
 穴水町では1月3~5日に町内46基のスピーカーのほぼ全てが稼働停止になった。町の担当者は「道路状況が悪く、バッテリーの補充作業は難航した」と振り返る。有線回線を活用する能登町でも土砂崩れによる断線などが相まって、170基のうち少なくとも約50基が使えなくなった。

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