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2級河川 津波防ぐ堤防改修 静岡県など工事未完 合意形成 重視

 都道府県が管理する全国の2級河川で、2011年の東日本大震災後に静岡など24都道府県は遡上(そじょう)津波や高潮を防ぐ堤防改修などが必要だと判明し、このうち静岡など20都道府県で工事を終えていないことが5日、共同通信の調査で分かった。手付かずの県もあり、予算確保が大きな課題になっている。

河川津波のイメージ
河川津波のイメージ
都道府県が管理する2級河川の津波対策
都道府県が管理する2級河川の津波対策
河川津波のイメージ
都道府県が管理する2級河川の津波対策

 大震災級の河川津波は堤防や水門だけでは防げないが、国は減災のため事業費を半額補助して対策を求めている。国管理の1級河川は、優先的に対策する堤防で総延長の7割以上が整備を終えており、2級の遅れが浮き彫りになった。
 調査は1~2月に都道府県を対象に実施し、能登半島地震の対応を優先する石川以外から回答を得た。
 改修が必要な2級河川がある24都道府県は、大半が太平洋に面していた。海のない県や中国地方の県など21県は、改修を要する河川は現時点では確認できていないとしており、新潟は必要性の有無を含め調査中とした。
 計画した改修を終えたと答えたのは青森、宮城、大阪、和歌山の4府県。残りの20都道府県はほぼ終えていたり、未着工だったりと差があった。進捗(しんちょく)率はそれぞれの自治体で算定基準が違うため比較できなかった。
 完了した県も含めて工事を進める上での課題を聞いたところ、19県が「予算の確保」など財政面を挙げた。未着工は5府県あり、このうち京都は「頻度が高い大雨対策のほうが優先度が高い」と説明した。
 また「漁業や観光利用との兼ね合いなど、改修内容を住民と協議しながら進めている」(静岡)と、関係地との合意形成に時間をかけているとする自治体もあった。
 1級、2級ともに、河川改修は①堤防のかさ上げや液状化対策②河口や支流に設置する水門などの耐震化-に大別される。津波の遡上範囲や地震による地盤沈下も考慮して必要な区間を決める。
 工事は主に数十~百数十年ごとに起きるレベル1(L1)津波を防御するのが目的で、東日本大震災で発生した数百~千年に1回のレベル2(L2)津波は防げない可能性がある。
 国土交通省は11年の都道府県通達などで、河川津波の被害が想定される区域を抽出し、堤防と水門を基本として対策を進めるよう要請。大震災級の津波は避難なども組み合わせて減災を目指すよう求めた。

 1級河川と2級河川 河川法に基づき指定される河川。1級は国土保全や経済的観点から重要な水系として国が指定する。全国に109水系あり、総延長は約8万8092キロ。このうち特に重要な幹川(かんせん)を国が管理し、一部区間は都道府県知事に委任している。2級は都道府県が指定、管理する。全国に2710水系あり、総延長は約3万5868キロ。2011年の東日本大震災では宮城県の1級河川・北上川や2級河川・砂押川を津波がさかのぼって氾濫し、内陸部にも被害が出た。

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