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南海トラフ想定犠牲者8割減 静岡県試算2万2000人 13年度策定の対策AP目標達成

 静岡県は13日、南海トラフ地震を見据えて2013年度に策定した地震・津波対策アクションプログラム(AP)の実績を公表した。県第4次地震被害想定で最大約10万5千人と推計した犠牲者は22年度末時点で目標とする8割に当たる約8万3千人減少し、約2万2千人と試算した。耐震化や津波避難施設の整備など189項目のアクションを実施。うち144項目は目標をおおむね達成したが、45項目は目標に届かなかった。

地震・津波対策アクションプログラムの推進による減災効果
地震・津波対策アクションプログラムの推進による減災効果


 原因別の内訳は、建物の倒壊や火災が約3100人減、津波が約7万9800人減、山崩れ・がけ崩れが11人減だった。2013年度のAPでは、東日本大震災を受けて津波対策を強化した。当初の津波犠牲者約9万6千人に対し、浜松市や吉田町の沿岸などで進む防潮堤の新設やかさ上げなどのハード整備による削減は約1万7800人。津波避難施設空白域の解消率98・1%に、3月の調査で把握した早期避難意識81%を反映した避難による効果は約6万2千人と見込んだ。
 早期避難意識は19年度末の68%から13ポイント上昇。県は、災害リスクに応じた避難計画を個人に作成してもらう「わたしの避難計画」事業を20年度から市町と協力して進めた成果とみる。
 一方で、個別のアクションでは45項目が未達成だった。このうち、家具の固定や備蓄、津波避難訓練の実施率、地域防災訓練への中高生の参加など、自助・共助に関わるのは15項目。緊急輸送路沿いのブロック塀の耐震化など公助については30項目だった。
 県危機管理部の山田勝彦危機報道官は、施設整備を継続する重要性を強調した上で「8割は安心できる数字ではない」と自助・共助の底上げを課題に挙げる。「津波避難では着実に逃げ切れるのかが重要で、避難の実効性を県民とともに高めて行きたい」と述べた。

 地震・津波対策アクションプログラム(AP) 1976年の東海地震説以来、県が進める地震や津波対策。5~10年程度の定期的な見直しや阪神大震災、東日本大震災などの災害を受けた対策項目の追加、修正を行っている。2013度策定のAPは想定犠牲者数の8割減を目標とする22年度末までの10カ年計画。23年度からは、新たなAPが始まった。想定犠牲者の9割減や被災後の避難生活の質向上を掲げ、ソフト対策に重点を置いた139項目に取り組んでいる。

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