社会部 中川琳
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静岡県の能登復興支援に「感謝」 穴水町長が知事に 「応急対策職員」派遣、5月で区切り
静岡県は23日、能登半島地震で大きな被害を受けた石川県穴水町で包括的な災害マネジメントや住家被害認定調査などを担う「応急対策職員」の派遣を5月6日で終了すると発表した。発災から間もなく4カ月を迎え、同町では仮設住宅建設が着々と進むなど復興の段階に入りつつある。23日には吉村光輝町長が静岡県庁に川勝平太知事を訪ね、感謝の意を伝えた。県は引き続き技術職員を中長期的に派遣し、復興を後押しする。 応急対策職員派遣は、2016年の熊本地震後に始まった総務省の制度。都道府県や政令市が担当する被災自治体を決めて一対一の「対口(こう)支援」を行う。本県の支援は1月3日に始まり、避難所運営や罹災(りさい)証
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専門家「防災対策見直し、臨時情報再確認を」 愛媛、高知で震度6弱
17日深夜に発生し高知県などで震度6弱を観測した地震。震源が南海トラフ地震の想定震源域内だったとして関連を心配する声がある中、専門家は「南海トラフ地震臨時情報」の再確認や、防災対策の見直しを呼びかける。 気象庁の南海トラフ地震に関する評価検討会の委員で東京大地震研究所の古村孝志教授は、今回の地震について「プレート内部で発生し、プレート境界地震とはメカニズムが違う」と説明。臨時情報については「地震の規模が大きいほど、南海トラフ地震との関連を検討する必要がある」ものの、今回はマグニチュード(M)6・6で調査の基準(M6・8)には達しなかった。その上で「臨時情報が発表される基準やどう行動するのか
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記者コラム「清流」 防災意識高まったのか
能登半島地震発生直後、静岡県内のホームセンターや生活雑貨店では携帯トイレなどの防災用品の問い合わせが殺到し、防災への関心の高まりがうかがえた。数字にも如実に現れた。県が実施している県民意識調査は、地震の前後で「南海トラフ」への関心が20ポイントも急上昇し、「非常に関心がある」が8割を超えた。 発生から3カ月余りが経過した。店舗では、徐々に防災用品の売り場面積も縮小されつつある。1991年度以降の調査を見ると、大規模災害の度に関心が高まっては、数年で低下していく変化がくっきりと現れている。防災に特効薬はないことを改めて実感した。 1年後の結果はどうか。啓発の継続や実災害を自分事と捉えてもら
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GW新幹線予約 上り5月6日、下り3日ピーク JR東海
JR東海は12日、ゴールデンウイーク期間(26日~5月6日)の東海道新幹線の予約状況を発表した。上りのピークは6日、下りは3日の見通しとなっている。 487万席の予約可能席に対し、4月11日現在、139万席の予約が入っている。2023年度比で123%、新型コロナウイルス禍前の18年度との比較では117%。静岡駅を発着する「ひかり」は下りで5月3日午前に混雑がみられる。上りは一部を除いて席に余裕がある。同社は混雑日を避けた利用や早めの予約を呼びかけている。
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9日昼前にかけて警報級大雨の恐れ 交通機関乱れる可能性
前線上に低気圧が発生し、日本の南を通過する影響で静岡県内は9日明け方から昼前にかけて雷を伴った激しい雨が降り、警報級の大雨となる恐れがある。雨のピークが通勤・通学時間帯と重なるとみられ、交通機関の乱れに注意が必要となる。 静岡地方気象台によると、9日に予想される1時間雨量は県内全域の多い所で60ミリ。同日午後6時までの24時間雨量は多い所で200ミリを見込んでいる。気象台は土砂災害や河川の増水、浸水、突風などへの注意を呼びかけている。
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中日本高速管内 GW渋滞ピーク予測 上り5月3~5日 下り3、4日
中日本高速道路は27日、ゴールデンウイーク期間(4月26日~5月6日)の高速道路の渋滞予測を発表した。上下ともに前年より渋滞発生回数が増加する見込み。ピークは上りが3~5日、下りが3、4の両日と予想した。 同社によると、10キロ以上の渋滞は上下計171回(前年比67回増)、うち30キロ以上は上下計9回(同3回増)となっている。昨年は荒天のため、高速道路の利用が少なかったという。静岡県内区間が関係する渋滞は東名高速道で上下計6回、東富士五湖道路の下りで1回を見込んでいる。
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災害関連死対策を充実 静岡県、避難所運営マニュアル改定
静岡県はこのほど、避難所運営マニュアルと避難生活の手引きを改定し、県の公式ウェブサイトに公開した。避難生活での体調悪化などによる災害関連死を防ぐための内容を充実させた。マニュアルでは避難所で良好な環境を確保し円滑な運営を実現するために、「平時からの準備」の章を新設した。手引きには、被災者の個別課題に寄り添い伴走しながら生活再建を目指す「災害ケースマネジメント」の紹介を盛り込んだ。 県第4次地震被害想定では、南海トラフ巨大地震の発生時、県内では最大130万人の避難者が見込まれるため、要配慮者の対応や運営のルール化などが重要な課題となっている。一方で、県内の避難所運営訓練の実施率は50%に届い
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南海トラフ地震 静岡県民「非常に関心ある」8割超 能登地震で意識高まる
東海沖から九州沖にかけて発生が想定される南海トラフ地震について「非常に関心がある」とする県民が8割を超え、過去最高になったことが12日までに、県の県民意識調査で分かった。元日の能登半島地震の前後で約20㌽上昇する変化が見られ、関心度が一段と高まった様子が顕著に表れた。津波の即時避難など、他の調査項目でも意識の向上や対策の改善がみられた。一方、南海トラフ沿いで大地震が通常よりも発生しやすくなった場合に出される「南海トラフ地震臨時情報」の認知度は初めて3割を超えたものの、依然低調な状態が続いている。 調査は2023年11月下旬~24年1月末にインターネットで実施した。能登半島地震前は1139
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バトン いずれは地元へ DWAT 出口戦略に苦慮 復興見据えた調整力 鍵に【つなぐ 災害福祉 東日本大震災13年㊦】
2月下旬、能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町では、静岡県災害派遣福祉チーム(DWAT)を地域リーダーに、北海道、愛知、滋賀のチームが活動していた。避難所の町文化ホールの一角にはDWATの相談コーナーがある。避難者の加藤富美子さん(86)がいつものように血圧を測りに来た。前日よりも少し下がっていた。「昨日は眠れましたか」。静岡DWATの梶裕一郎さん(32)がそう声をかけると、「3時間寝られたから良かった」と笑顔を見せた。 地震後から不眠が続き、足がもつれて歩きにくいと感じることもあるという。自宅の応急修理が完了し、2月末で退所することが決まっていた。「このまま地域に戻って大丈夫か」。
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液状化広範囲、津波避難妨げ 能登地震、静岡理工科大調査 地盤沈下や噴砂…「静岡県も対策確認を」
静岡理工科大理工学部(袋井市)の中沢博志教授(地盤防災工学)が2日までに、能登半島地震で発生した液状化の現地調査報告をまとめた。石川県内灘町をはじめ富山県内でも被害が確認され、一つの自治体内で複数の地区にまたがって広範囲に及んでいるのが特徴。中沢教授は「液状化による地盤沈下などが津波避難の妨げになる可能性がある」と指摘した。=関連記事26面へ 中沢教授は高知大のチームと合同で、1月下旬に石川県七尾市、志賀町、内灘町、富山県氷見市を調査した。内灘町では鶴ケ丘と西荒屋の両地区にわたって顕著な被害が見られた。中沢教授によると、両地区は海沿いに砂丘が広がり、砂丘の一部を切り土した地域や、盛り土した
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被災者支援 調整役に理解を 市町、社協職員向け 県が実例紹介
静岡県は16日、被災者の多様なニーズに対応するために支援団体間の調整を担う「被災者支援コーディネーター」育成研修の理解促進編を静岡市内で開いた。行政や市町社会福祉協議会の職員が対象。調整役の必要性や連携方法について理解してもらうため、県内での活動の実例を紹介した。 能登半島地震で石川県珠洲市の対口(たいこう)支援に入っている浜松市は、市内の民間団体と市の日頃のつながりが作用して、被災地のニーズを踏まえた子育て世帯向けの支援物資を届けた事例を紹介した。松崎町と同町社協は2022年の台風8号で防災アドバイザーと連携した活動を振り返った。 富士市と同市社協は、被災者支援コーディネーターとの今後の連
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高齢化集落の災害時孤立 福祉支援の体制強化を【検証 24年度 静岡県予算案㊥】
災害発生時、下田市で孤立が予想される須原二区。大半は土砂災害警戒区域で、特別警戒区域もある。「数年前に比べて動けない高齢者が増えた」。区長の土屋紀元さん(66)は大雨で崩落を繰り返し、土のうが積まれた斜面を見つめ、南海トラフ地震などの大規模災害に不安を募らせた。地区内2集落で計30世帯が孤立する可能性がある。人口構成は70~90代が中心で、50代以下が極端に少ない。避難行動要支援者は15人。介護サービスを受けている人もいる。「昔からの連帯感でどこまで助け合えるのか」 能登半島地震では道路の寸断や土砂災害などによる孤立が一時、24地区3千人に上った。能登半島の高齢化率は50%前後と高く、孤立
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空き家、倒壊で避難救助妨げに 能登地震で危険浮き彫り 静岡県内も増加
建物被害が5万8千棟に上る能登半島地震では、一定数の空き家の倒壊が見られた。空き家は直接的な人的被害にはならない場合もあるが、倒壊で避難路がふさがれて逃げ遅れの原因になり得る。救出、救助の妨げや火災の延焼につながる懸念もある。静岡県内でも人口減少や高齢化で空き家は増加傾向にあり、防災の観点からの対策が急務の課題。ただ、所有者の問題意識の希薄さなどから、停滞しているのが現状だ。 震度6強を観測した石川県穴水町。1月中旬、静岡県の応援職員が応急危険度判定を行った。同町で危険と判断された建物は全体の約4割。県建築安全推進課の担当者は「壊れたり、朽ちたりして管理不全の空き家とみられる建物が散見し
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要配慮者搬送 DMAT続ける 能登派遣静岡県チーム 活動長期化 「地域に受け皿つくる」
能登半島地震は発災から1カ月余りが経過し、災害医療のフェーズは慢性期に入りつつある。ただ、要配慮者の搬送ニーズはなおあり、静岡県から派遣された災害派遣医療チーム(DMAT)も搬送調整などで活動が長期化している。一方、避難所で体調を崩した高齢者を被災した地域の福祉施設で再び受け入れようとする動きも出てきた。 浜松市中央区の聖隷三方原病院の看護師山根康裕さん(44)ら3人は1月25~28日、輪島市保健医療福祉調整本部で福祉施設の入所者の搬送調整に当たった。同市の福祉施設では、建物の損壊やスタッフの被災でマンパワーが不足し、入所者のケアが十分できなくなった。市は全施設から入所者の避難を進めていて
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【動画あり】御殿場で3センチ積雪 静岡県東部、スリップ事故も
南岸低気圧の影響で静岡県内は6日朝にかけて雪が降った。静岡地方気象台のまとめによると、御殿場市で3センチの積雪があった。県東部を中心にスリップ事故が相次いだ。南岸低気圧は5日夜に静岡県を通過したが、山間地では日中も雪が降った所があり、道路の通行止めや電車の運休などの影響が6日昼頃まで続いた。 静岡県警交通企画課によると、5日午前7時から6日午前7時までに人身・物損事故が計37件発生した。人身事故はいずれも御殿場署管内で、スリップによる追突事故だった。4件とも軽傷という。物損事故は同署管内で19件、裾野署管内10件、伊豆中央署管内3件、三島署管内1件だった。 東名、新東名高速道と東富士五湖
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防げ災害関連死 口腔ケア需要高まる 静岡県歯科医師会、石川県珠洲市に応援派遣
能登半島地震の発生から1カ月が経過し、現地では誤嚥(ごえん)性肺炎などによる災害関連死のリスクが高まっている。過去の災害では関連死の約3割が肺炎などの呼吸器系の疾患だった。避難所で暮らす被災者の口腔(こうくう)ケアを担うため、静岡県歯科医師会は4日から歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士らを石川県珠洲市に派遣する。 誤嚥性肺炎は、口の中の雑菌が食べ物や唾液と一緒に誤って気管支に入ることで発症する。東日本大震災では関連死の31%、熊本地震では28%が呼吸器疾患だった。能登半島地震では依然4万戸以上が断水し、歯磨きなど適切な口腔ケアができていない避難者が多い。 県歯科医師会の平野明弘会長(67)
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静岡市駿河区で21・7度 県内、一足早い春の陽気
低気圧の通過後、天気が回復した静岡県内は1日、気温が上昇し、静岡市駿河区では午後1時すぎに最高気温21・7度を観測した。県内全18の観測地点で最高気温が15度を超え、3月中旬から4月下旬並みの暖かさとなった。 気象庁の観測によると、三島市と富士市で18・7度、川根本町で18・0度、松崎町で17・7度など。静岡市清水区の清水清見潟公園では寒桜が八分咲きとなり、陽気に誘われ家族連れや近隣住民が散歩に訪れ写真を撮ったり、スケッチをしたりして一足早い春の風景を楽しんだ。 静岡地方気象台によると、前日に通過した低気圧の暖かい空気が残り、日照時間が長かったため県内の平野部を中心に気温が上がった。2日
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災害関連死防止へ、支援人材育成 内閣府が島田などでモデル研修 避難所生活改善、心情理解も
避難生活の長期化などによる災害関連死を防ぐため、内閣府が避難所での生活環境改善を支援する人材「避難生活支援リーダー・サポーター」の育成を進めている。2023年度は島田市など全国10市町でモデル研修を行った。居住空間やトイレなどの物理的な環境を向上するだけでなく、被災者の心情を理解し、課題を把握するスキルも学ぶ。24年度以降は、実施主体を都道府県や市町村へと拡大する方針だが、講師を担う人材の確保などに課題もある。 12月中旬、島田市の初倉小で行われた研修に、自主防災組織役員や防災に関心が高い女性ら約40人が参加した。発災から約1カ月たった想定で、体育館に食事スペースや寝床などを再現。参加者
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夜間「ひかり」停車増、静岡駅午後7時台 浜松駅は午後8時台 新幹線3月ダイヤ改正
JR東海は15日、来春のダイヤ改正の詳細を発表した。東海道新幹線は下りの「ひかり」の停車本数が、午後7時台に静岡駅で、同8時台に浜松駅でそれぞれ1本ずつ増加する。停車間隔も調整し、夜間に少ない待ち時間で「ひかり」が利用できるようになり、利便性の向上が見込まれる。下りの「こだま」の始発時間を前倒しするなど、県内から関西方面へのアクセスも改善を図る。2024年3月16日から適用になる。 同社によると、「ひかり」の657号(午後6時33分東京発)を静岡(同7時29分着)に、661号(同7時半東京発)を浜松(同8時46分着)に停車させる。これにより1日当たりの「ひかり」停車本数は静岡で19本、浜松
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歌やダンス軽快に パーキンソン病友の会静岡県支部 静岡でXマス発表会
全国パーキンソン病友の会県支部はこのほど、クリスマス発表会を静岡市清水区のはーとぴあ清水で開いた。会員が趣味や支部のサークル活動で練習した歌、ダンスなどの成果をお披露目した。 琴の合奏、手品、落語など幅広いジャンルのステージを繰り広げた。ロシア民謡やクリスマスにちなんだ「赤鼻のトナカイ」のアコーディオン演奏では、軽快なリズムに合わせて観客が手拍子で盛り上げた。 ピアノの連弾とサックスの合奏もあり、ディズニー映画「リトル・マーメイド」の「パート・オブ・ユア・ワールド」を披露した。発表会は年に1回開いている。 (社会部・中川琳)