静岡人インタビュー「この人」 県危機対策課危機調整官に就任した陸上自衛隊OB 梶恒一郎さん(静岡市葵区)

 1990年に陸上自衛隊に入隊。イラク復興支援や東日本大震災対応に携わり、第20普通科連隊長、自衛隊栃木地方協力本部長を務めた。最終階級は陸将補。静岡県内の勤務は3回目。広島県出身。56歳。

梶恒一郎さん
梶恒一郎さん

 ―8月に就任。抱負を。
 「連隊長時代、部下に訓練でできないことは実戦では絶対にできない、と指導してきた。危機管理の要諦は備え。あらゆる事態を想定し訓練することが大事だ。東日本大震災などの経験を生かし、微力ながらも県民の安心安全に寄与したい」
 ―印象に残っている仕事は。
 「イラクの復興支援で班長として8カ月、バグダッドで勤務した。現地の多国籍軍司令部入り口の銘板に、支援に携わる各国の人数が載っていた。日本は当時、隣国クウェートにイラク派遣輸送航空隊約200人が駐在し、物資輸送などの任務に就いていたが、その銘板にはイラク現地で勤務する5人しか記載されていなかった。現地に足を着け汗を流して活動する人しか、仲間として認めないという。諸外国との考えの違いを強く感じた」
 ―東日本大震災での任務は。
 「幕僚として福島第1原発の原子力災害派遣に従事した。具体的には、水素爆発した原発への放水・給水活動や避難する住民の誘導、除染などの計画と実行を担った。想定外のことばかり。放射線という見えない恐怖の中で、隊員の安全に配慮しながら任務を遂行した」
 ―教訓は。
 「災害現場で対応に関わる機関は行政、警察、消防、自衛隊などさまざま。各機関の考えを一つにまとめなければ任務の遂行は困難。改めて調整の重要性を認識した。反省であり、教訓でもある」
 (社会部・中川琳)

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