テーマ : 防災対策

南海トラフ救援計画改定 新被害想定踏まえ

 内閣府は2024年度、南海トラフ地震防災対策推進基本計画の改定を踏まえ、発災直後の救援体制をまとめた応急対策活動計画を見直す。新たな被害想定を基に救援に必要な人員数や物資量などを再検討し、的確な被災地支援につなげる。
 22日に閣議決定された24年度予算案に、日本海溝・千島海溝地震の応急対策活動計画の改定費と合わせて2300万円を盛り込んだ。
 現行の計画は、12年8月公表の被害想定に基づき、消防、警察といった応援部隊の派遣や物資調達、インフラ供給などに関する具体的な対応を定めている。内閣府は24年春の南海トラフ地震防災対策推進基本計画改定に伴い、10年間の減災対策を反映させた被害想定を新たに公表する予定。最大30万人以上とされていた想定死者数は減少するとみられている。
 内閣府の担当者は「国家的な対応に全力を挙げるという方針は同じ。ただ、前提となっている防災対策や被害想定が変わるので、新たな視点の対応や人員の見直しが必要になる」と話した。
 (東京支社・山下奈津美)

 減災目標の達成状況確認 南海トラフWG
 内閣府は22日、南海トラフ地震防災対策推進基本計画の改定に向けた国のワーキンググループ(WG)会合で、10年間の防災対策を踏まえた現状の死者数と建物被害数の推計を示し、目標の達成状況を確認した。終了後の取材で福和伸夫主査(名古屋大名誉教授)が明らかにした。一方で、具体的な達成率は示さなかった。
 会合は非公開。現行計画の対策効果を比較するため、前回の被害想定とハザードは変えずに、人口分布や耐震化率の変化、津波避難意識の向上などを考慮して試算した。国は2012年8月、最大32万3千人が死亡するとした被害想定を公表し、10年間で死者数8割減を目標としている。
 福和主査は「変動する可能性もある」として、具体的な数値や目標を達成したかどうかは明言しなかった。一方で、「住宅の耐震化は十分ではない」などと例を挙げ、「想像通りの結果。なかなか難しい面がある」と所感を述べた。
 新たな被害想定は今回も議論に入れなかった。現行の基本計画は23年度末で期限となるため、計画の改定作業を進めている。

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