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液状化広範囲、津波避難妨げ 能登地震、静岡理工科大調査 地盤沈下や噴砂…「静岡県も対策確認を」

 静岡理工科大理工学部(袋井市)の中沢博志教授(地盤防災工学)が2日までに、能登半島地震で発生した液状化の現地調査報告をまとめた。石川県内灘町をはじめ富山県内でも被害が確認され、一つの自治体内で複数の地区にまたがって広範囲に及んでいるのが特徴。中沢教授は「液状化による地盤沈下などが津波避難の妨げになる可能性がある」と指摘した。=関連記事26面へ

噴砂で埋もれる車や傾いた住宅=1月下旬、石川県内灘町(中沢博志教授提供)
噴砂で埋もれる車や傾いた住宅=1月下旬、石川県内灘町(中沢博志教授提供)

 中沢教授は高知大のチームと合同で、1月下旬に石川県七尾市、志賀町、内灘町、富山県氷見市を調査した。内灘町では鶴ケ丘と西荒屋の両地区にわたって顕著な被害が見られた。中沢教授によると、両地区は海沿いに砂丘が広がり、砂丘の一部を切り土した地域や、盛り土したり埋め立てたりした土地に民家が並ぶ。「液状化が発生しやすい地形条件がそろっていた」(中沢教授)。地盤沈下や、砂粒と水が噴き出す「噴砂」で埋もれる車などが確認された。上下水道管の破損などもあったという。
 発災後、沿岸部には津波警報が発表された。浸水区域がある西荒屋地区の住民への聞き取りでは「道路の段差で避難できる状況ではなかった」「砂が噴き出して移動が大変だった」などの声があった。中沢教授は「余震が継続して液状化被害が広がった。適切な避難行動が取れなかった可能性がある」とみる。
 静岡県の第4次地震被害想定では、県土の5%程度で液状化の発生可能性が高いと試算されている。津波浸水区域と重なっている場合もあり、中沢教授は「想定していた経路や時間では避難施設に逃げられないことも念頭に置く必要がある」と強調。「液状化は見落とされがち。津波と併せてハザードマップを確認してほしい」と呼びかける。
 本県では、東日本大震災が発生した3月11日を含む10日間を「津波対策推進旬間」と定めている。今年は2日から。期間中、沿岸21市町で、津波避難路の点検や避難時間の計測などの訓練を実施し、計約12万3千人が参加する見込み。
 (社会部・中川琳)

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