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「地域防災の日」 静岡県内各地で訓練 津波注意報で中止の市町も

 静岡県が定める「地域防災の日」の3日、県内各地で地域防災訓練が行われた。新型コロナウイルス感染症の「5類」移行に伴い自主防災組織の活動も活性化の兆しが見えつつあったが、前日深夜にフィリピン付近で発生した地震と津波注意報の影響で、沿岸16市町が急きょ訓練を全面中止した。南海トラフ巨大地震や富士山噴火、風水害など地域特性を踏まえた想定の下、住民は自助や地域で支え合う共助の底上げを図った。

担架による搬送訓練を行う地元中学生と住民=3日午前、静岡市駿河区の有東高層団地(写真部・宮崎隆男)
担架による搬送訓練を行う地元中学生と住民=3日午前、静岡市駿河区の有東高層団地(写真部・宮崎隆男)
住民に負傷者の搬送方法を説明する地元中学生=3日午前、静岡市駿河区の有東高層団地(写真部・宮崎隆男)
住民に負傷者の搬送方法を説明する地元中学生=3日午前、静岡市駿河区の有東高層団地(写真部・宮崎隆男)
担架による搬送訓練を行う地元中学生と住民=3日午前、静岡市駿河区の有東高層団地(写真部・宮崎隆男)
住民に負傷者の搬送方法を説明する地元中学生=3日午前、静岡市駿河区の有東高層団地(写真部・宮崎隆男)

 静岡市駿河区の有東高層団地自治会の訓練には、8階建ての集合住宅に暮らす住民ら約50人が参加した。「イチ、ニー、イチ、ニー」「ゆっくりでいいよ」。地震の揺れでエレベーターが停止した状況を想定し、負傷者を2階から担架で降ろすなど、実践的な訓練を企画した。防災学習に取り組む地元の豊田中3年の3人も訓練に参加し、担架を担いだり、バケツリレーの消火活動に加わったりした。
 生徒は学習成果の発表で、液状化が懸念される団地周辺地域での安全な避難経路や負傷者の搬送法も住民に紹介した。自身も同地域に暮らす村松奏さん(15)は「ここは高齢者も多く、自分たちが積極的に訓練に参加していきたい。顔を知ってもらえるよう日ごろからコミュニケーションを大事にする」と力を込めた。
 同自治会の山田勝久会長(71)は前日深夜の津波注意報発表を踏まえ、「津波や地震は突然来る。4階以上のフロアは横揺れが大きく、驚いて動けなくなってしまう人もいるかもしれない。団地は一つの建物だからこそ、共助の強みもあると思う」と語った。
 県の速報値によると、訓練は19市町で実施され、2941団体、約33万8530人が参加。事前に見込んだ約4400団体、約58万5千人を大きく下回る形となった。2019年に運用が始まった南海トラフ地震臨時情報の発表を想定した訓練は今年もなかった。

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