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大災害備え住民の命守れ 「地域防災の日」静岡県西部各地で訓練

「地域防災の日」の4日、静岡県西部の各市町では自主防災組織や行政、消防などが人命救助や津波避難の訓練を実施した。小型無人機ドローンによる情報収集や電気自動車(EV)での電源確保も検討し、大規模災害に備えた。

ドローンを操縦する隊員=掛川市南西郷の掛川東高
ドローンを操縦する隊員=掛川市南西郷の掛川東高
ペットを伴う避難者の受け入れを実践する訓練参加者=御前崎市の白羽小
ペットを伴う避難者の受け入れを実践する訓練参加者=御前崎市の白羽小
電気自動車による外部給電のデモンストレーション=袋井市の浅羽北小
電気自動車による外部給電のデモンストレーション=袋井市の浅羽北小
県総合防災アプリ「県防災」を試験活用した避難所の受け付け訓練=磐田市見付の磐田北小
県総合防災アプリ「県防災」を試験活用した避難所の受け付け訓練=磐田市見付の磐田北小
ドローンを操縦する隊員=掛川市南西郷の掛川東高
ペットを伴う避難者の受け入れを実践する訓練参加者=御前崎市の白羽小
電気自動車による外部給電のデモンストレーション=袋井市の浅羽北小
県総合防災アプリ「県防災」を試験活用した避難所の受け付け訓練=磐田市見付の磐田北小


掛川・高校生ドローン隊が初任務
 掛川市では市が市内4高校に呼びかけて結成した高校生ドローン防災航空隊がデビューした。訓練を積んだ隊員が掛川東高を拠点にドローンを操り、土砂災害警戒区域の上空画像を市災害対策本部に転送した。
 隊名は市の花キキョウの英訳から命名した「カケガワ・バルーン・フラワーズ」。隊員の同校2年榑林幸助さん(17)は「多くの命を助けられるよう、今できることをしっかりやって成長していきたい」と話した。
 訓練に先立ち、隊の結成式を行った。久保田崇市長は「それぞれが防災への思いを持って参加してくれた。上空からの情報を共有することで、早期の対応と避難が可能になる」と期待を込め、隊員に委嘱書とベストを手渡した。

御前崎・ペットとの避難対応を確認
 御前崎市の白羽小では犬や猫などのペットを伴う避難者の対応について、避難所を運営する自主防災関係者や飼い主らが確認した。
 校庭のサッカーゴールにブルーシートをかぶせて小型犬のケージ置き場を設けたほか、大型犬のリードをつなぐためにペグ(くい)を地面に打ち込んだ。ペットを連れた避難者に書類を記入してもらう避難所の受け付け作業も実践した。
 市動物保護協会の大竹麻希会長(47)は「ペットをケージに入れる練習など、飼い主は日頃から災害時に備えることが大事」と話した。

袋井・EV活用 外部給電デモンストレーション
 袋井市では市内19カ所の指定避難所などで避難所設営訓練が行われ、市民主体で開設の手順を確認した。
 浅羽北小では中学生を含む浅羽北地区の住民ら21人が参加。避難所の受け付けをはじめ、パーティションやトイレテント、簡易ベッドなどを組み立てて体育館に配置した。市は初の試みとして、電気自動車(EV)を活用した外部給電のデモンストレーションも行った。
 浅羽中3年の白鳥希華さん(14)は「地域の人との訓練で勉強になった。学んだことを災害時に生かしたい」と話した。

磐田・県の防災アプリ活用で受け付け練習
 磐田市見付の磐田北小では、県総合防災アプリ「県防災」を初めて活用し、避難所の受け付け訓練を行った。県や市の職員、見付地区地域づくり協議会のメンバーら約140人が、避難所運営を円滑に進める仕組みを理解した。
 アプリを使い性別や年代、健康状態などを事前登録することで、受付時間の短縮や混雑の回避が期待される。参加者は避難所に貼られた2次元コードをスマートフォンで読み取るなどし、どれだけ迅速化できるかを体験した。
 同協議会の林浩巳会長(74)は「手書きで記入することもなくスムーズ。使ってみると簡単にできたとの声が聞かれたので、広く利用されるように周知していく」と話した。

浜松市東区・自主防と消防団 救出の連携強化
 浜松市東区の5地区の自主防災隊と市消防団東区支団は、同区中野町の天竜川河川敷のグラウンドで巨大地震により倒壊した家屋からの負傷者の救出訓練に取り組み、連携を確認した。
 消防団員が模擬の被災家屋からチェーンソーやジャッキを使って負傷者に見立てたダミー人形を救出すると、搬送役の自主防災隊に引き渡した。自主防災隊の住民は「大丈夫ですか」と負傷者に声をかけながら、担架で応急救護エリアまで運んだ。

浜松市天竜区・火災発生時の初動対応を共有
 浜松市天竜区水窪町では自治会ごとに防災訓練を実施し、火災発生時の初期対応などを確認した。
 同町中心部の小畑自治会では住民が午前9時に集合し、消火栓のふたを開けて設備を確認するなどして使用方法を共有した。防災用のリュックも持参し、備品の種類や賞味期限などを調べた。
 新型コロナウイルスの影響に伴い、自主防災隊員の出初め式は3年連続で中止した。水窪町自治会連合会の河合宏会長(67)は「火災発生時の初期対応ができるよう、毎年実施しないといけない」と述べた。

湖西市・津波避難経路を把握
湖西市の表鷲津地区では津波被害を想定し、住民が地元の富士機工本社(同市鷲津)屋上に避難する訓練が初めて実施された。同社近くの約100人が参加し、避難経路を確認した。
 同社は地域貢献の一環で10月、津波発生時の避難場所として本社テクニカルセンターを提供する協定を表鷲津自治会と交わした。センターは3階建てで、約14メートルの高さがある。
 地震発生を知らせる訓練の同報無線が午前8時に響くと、自宅から避難した住民らが建物内の階段を上がり、浜名湖を見渡せる屋上に出た。訓練を見守った同社総務人事部の内藤修さん(57)は「いざという時に備え、今後も訓練に活用してもらえたら」と話した。

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