富士山の記事一覧
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富士山噴火、情報提供円滑に 関係機関が富士宮で調査訓練
富士山の噴火による土砂災害情報を提供するための緊急調査訓練が4日、富士宮市の富士砂防事務所で行われ、国土交通省中部地方整備局など関係機関の担当者らが、静岡、山梨の両県などへの被害を念頭に連携体制を確認した。 広域に影響を及ぼす降灰を想定し、堆積した火山灰で土石流が発生する状況への対応を話し合った。中部、関東の両地方整備局と富士、富士川の両砂防事務所、国交省砂防計画課の担当者ら25人が参加し、自治体への通知や市民への周知で必要な調整事項や役割分担などに理解を深めた。 参加者は小グループに分かれ、噴煙の様子や各事務所の被害状況など示された条件に沿って対応を報告し合った。噴火の発生から調査の実
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富士山 登山者数や時間で規制視野 来夏へ山梨県側 条例は検討中
静岡、山梨両県の関係者でつくる富士山世界文化遺産協議会の作業部会が4日、山梨県富士吉田市で開かれ、山梨県は来季の開山に向けて、1日あたりの登山者数や登山開始時間に制限を設けて入山を規制することを視野に入れて対策を考えていると説明した。条例制定については必要性を検討中とした。 山梨県の説明によると、今季は登山者数が新型コロナウイルスまん延前の水準近くまで回復し、山頂付近の混雑が顕著だった。道中でのマナー違反も目立ったという。担当者は喫緊の課題として夏までに何らかの策を講じるとした。 一方で静岡県は、11月に発足した「安全快適な富士登山推進会議」で登山の短期と中長期的な課題解決策を官民で探る
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きょうの富士山 12月3日午後4時30分ごろ
夕日に照らされる、富士山がきれいに見えました。
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富士山⇄駿河湾 高低差「日本一」のコース料理 富士宮でイベント
静岡県は29日、有名店の料理人が県内産食材で腕を振るう初めての企画「美味らららダイニング」を富士宮市の富士山本宮浅間大社で実施した。旅先の食文化を楽しむ「ガストロノミーツーリズム」推進事業の一環として県内外の希望者30人を招き、日本一の高低差を誇る富士山から駿河湾までをテーマにしたコース料理を提供した。 同ダイニングは焼津市で鮮魚店を営む前田尚毅さんのプロデュースで、フレンチ「馳走西健一」(同市)の西健一さんと無国籍料理「シンプルズ」(静岡市駿河区)の井上靖彦さんのほか、新潟県の桑木野恵子さんと小林宏輔さんが厨房に立った。 4人は日本一の高低差をテーマに、コースの中で山を表した皿から海
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富士山観光公害 3月までに対策 適正利用推進協が方針
国や静岡、山梨両県、富士山周辺自治体、山小屋関係者でつくる「富士山における適正利用推進協議会」は29日、山梨県富士吉田市で会合を開き、富士登山のオーバーツーリズム(観光公害)対策を来年3月までに取りまとめる方針を確認した。登山者数が新型コロナ禍前の水準に回復した今夏に遭難事故やマナー違反が多発したことを背景に、入山規制などの抜本的な対策が必要との指摘が相次いだ。 対策の検討を進める前提として、事務局の環境省が富士登山の課題を示した。全体では特定の日や時間帯の混雑の偏り、弾丸・軽装登山、登山道・トイレ・山小屋でのマナー違反、登山道別では夜間下山時の二次交通の確保(本県側3ルート)、未明など混
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富士山を多角的に研究 学会が秋季学術大会
富士山とその周辺地域を研究対象とする学者らでつくる「富士学会」(渡辺定元会長)の秋季学術大会が26日、静岡市駿河区の静岡大とオンラインで開かれた。富士山大沢崩れの土石流発生要因や富士山信仰など、自然、人文、社会科学から多角的な研究成果の発表があった。 同大農学部の今泉文寿教授(砂防工学)は基調講演で、富士山の地盤凍結と土石流発生の関係性を説明した。地温や降水量の観測、地形解析などによって、凍結期には少ない降水量でも土石流が起きやすくなると明らかにした。 鳥羽法皇(1103~1156年)が建立した実相寺(富士市岩本)と信仰に関する研究発表もあった。 静岡大のグループは大井川上流部の支流悪
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静岡中央銀「富士山フォトコンテスト」 星陵高に特別奨励賞 富士宮市
静岡中央銀行は22日、同行が主催する「富士山フォトコンテスト」(静岡新聞社・静岡放送協力)で、特別奨励賞に選出された富士宮市の星陵高写真部への表彰式を同校で開いた。 同部の22人が計32点をコンテストに応募した。同行営業企画部の沢田武嗣部長が、写真部の岸野航河部長らに賞状と記念品を手渡した。 会場では静岡新聞社東部総局編集部のカメラマンが、星陵中・高の写真部員に向けた「写真の撮り方教室」も実施した。
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きょうの富士山 11月22日午前9時20分ごろ
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きょうの富士山 11月17日午後4時30分ごろ
午前中の大雨から一転して、富士山がきれいに見えました。 11月17日午後4時30分ごろ、静岡市駿河区登呂の静岡新聞社制作センターから撮影
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きょうの富士山 11月14日午後4時30分ごろ
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山小屋定員で入山規制を 富士宮・富士吉田市長が言及
富士山の世界文化遺産登録10周年を記念し、本県側山麓と構成資産を有する6市町(富士宮、富士、御殿場、裾野、小山、静岡)と山梨県富士吉田市の首長らが意見交換する「富士山世界遺産サミット」(富士宮市主催)が13日、同市の富丘交流センターで開かれた。多数の登山者を迎え入れる富士吉田市の堀内茂市長と富士宮市の須藤秀忠市長は「入山者数は山小屋の宿泊定員に限ってはどうか」と、規制に言及した。 今季の登山者は富士吉田、富士宮の両登山口で計約18万7千人と、コロナ禍前の水準にほぼ回復した。一方で山小屋は宿泊定員をコロナ禍と同程度に減らしたまま営業したため、両市長は弾丸登山など無謀な行程が増えたと指摘。その
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富士登山静岡県内3ルートの課題解決へ新会議 入山料・規制など、分科会で方向性議論
富士登山の短期と中長期的な課題解決策を静岡県内の官民で探る「県安全快適な富士登山推進会議」が発足した。9日、沼津市で初会合を開き、課題ごとに分科会を設置し、議論を深める案をおおむね了承した。短期的には、来夏に向けた対策を3月までにまとめる。 県内の登山道3ルートの関係者が登山者管理や入山規制などを巡って総合的な対策を議論する初の常設会議体。山小屋組合、環境省、県庁8部署、県警、富士宮、御殿場、小山の3市町の観光や消防、登山ガイド団体、交通事業者など約40団体が参画している。富士登山の課題を整理しながら共有し、静岡県側の意見集約を図る。分科会で具体策を議論し、具体的な対策の実施に結びつける。
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「毎日富士山が見える幸せ」 静清信金、ポスター配布へ
静清信用金庫は、大河ドラマ「どうする家康」にちなんで徳川家康とゆかりが深い静岡の魅力を募集し、寄せられたメッセージを掲載したポスターを10日に同金庫全店でお披露目する。飲食店や観光施設などで張り出しを希望する店舗に無料で提供する。 「毎日富士山が見える幸せ」「おいしいお茶と緑の絶景」―。2907件に上る“静岡愛”のメッセージを抜粋し、約7500文字を山盛りに詰め込んだ杯を武士が献上するデザインに仕上げた。同金庫ホームページでは専用コーナーも設け、「気候」「海の幸・山の幸」などジャンルごとに静岡の魅力と詳しいメッセージを紹介している。 ポスターは営業エリア(静岡市、
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富士山周辺3県道 11月10日から冬季閉鎖
静岡県は2日、富士山の須走口、御殿場口、富士宮口に通じる県道3ルートを10日午後2時に冬季閉鎖(全面通行止め)すると発表した。積雪や路面凍結の影響で安全な通行が困難になるため。 対象区間は須走口がふじあざみラインの約11・5キロ、御殿場口が富士公園太郎坊線の約1・7キロ、富士宮口が富士山スカイラインの13キロと富士宮口5合目から6合目までの登山道。県道路保全課は、今後の天候の影響で各区間の閉鎖を早める場合があるとしている。解除は来年4月下旬を予定している。
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雪化粧の富士山と紅葉 冬と秋の装い同時に【動画あり】
30日の県内は高気圧に覆われて晴れ渡り、各地で青空が広がった。冠雪した富士山も朝から姿を見せ、5合目付近まで真っ白に雪化粧した様子が静岡市内などからも確認できた。 本社ヘリ「ジェリコ1号」からは、富士宮市付近の富士山標高約2500メートル付近で、山肌を黄金色に染めるカラマツなどの紅葉が見られた。青空の下で雪化粧した冬の装いと、秋の装いを見せる富士山のコントラストが眼前に広がった。 須走口5合目で東富士山荘を営む米山千晴社長(72)によると、今年は例年に比べて冷え込みの時期が遅く、10日から2週間ほど紅葉の色づきの時期が遅れた。山荘周辺は現在、カラマツの黄色が広がり、風が吹かなければ10日
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きょうの富士山 10月30日午前8時40分ごろ
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緻密な計算で霊峰パチリ 「奇跡的」ショットも 富士市で写真展
富士山を撮影する静岡県内外の写真愛好家でつくる全日本富士写真連盟による「富嶽(ふがく)百景写真展」が11月5日まで、富士市の道の駅「富士川楽座」フジヤマギャラリーで開かれている。 富士山が望める名所や独自に見つけたポイントから撮影した作品など、会員約30人による41点が並ぶ。新月の夜に天の川と富士山を同時に収めるといった緻密な計算を踏まえた写真が多い。一方、会員が奈良県の山間部を訪れた際に気象条件や時間帯の妙から、偶然に富士山を捉えることができた作品もある。 同会の担当者は「年に数回しか見られないような奇跡的なショットもある」と話し、来場を呼びかけた。
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金原明善と富士山テーマにセミナー 11月23日 浜松市
第14回富士山世界遺産セミナー「富士山のふもとに生きる 金原明善と富士山麓の生業」(静岡県、浜松市など主催)が11月23日午後1時半から、同市中区成子町の市福祉交流センターで開かれる。 天竜川の治水に尽力した金原明善のやしゃごで明善記念館(同市東区)の金原利幸館長が「金原明善と富士山」と題して講演する。県立農林環境専門職大学の中山正典准教授も「里山としての富士山 特に用水に注目して」との演題で登壇する。定員100人。希望者は11月15日までに県富士山世界遺産センターのホームページから申し込む。 問い合わせは県富士山世界遺産センター<電0544(21)3776>へ。
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すごい富士山展、写真家・橋向さんが解説 静岡・駿府博物館
静岡市駿河区の駿府博物館で開催中の展覧会「すごい富士山~絵画と写真の共演~」のギャラリートークが22日、同館で開かれた。作品を出品した写真家の橋向真さん(46)が来場者を前に撮影時のエピソードや同展への思いなどを語った。 来館者約60人が参加した。橋向さんは「北斎の作品と自分の写真が並んで夢がかなった」として、江戸時代の浮世絵師葛飾北斎の代表作富嶽三十六景の「凱風快晴」と自身が撮影した赤富士作品の共通点などを解説した。撮影の際には気象条件などを細かく調べて理詰めで挑むという。一方で、偶然が生んだ「奇跡」のような作品もあるとして、湖と雲に映った影が織りなす三つの富士山が写りこんだような作品は
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軽装の富士登山 対策議論へ 環境省 自治体と協議
伊藤信太郎環境相は20日の記者会見で、軽装による無謀な富士登山を防止するための対策を、11月から関係自治体と議論すると明らかにした。「富士山における適正利用推進協議会」で年度中に方向性を示し、来年夏の登山シーズンに備える。 インターネットなどを使った普及啓発だけでなく、山梨、静岡両県にある登山口で、装備チェックやマナー違反の指導ができるような体制の強化も検討する。 伊藤氏は「国と関係自治体が一体となって取り組む」と強調した。 富士登山を巡っては、近年、訪日客らが旅行のついでに十分な準備をしないまま軽装で山に入り、寒さで動けなくなって助けを求めたり、山小屋に避難したりするケースが問題にな
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裾野・富士山麓 ソバの花見頃 畑一面白く
裾野市でソバの花が見頃を迎えた。小さくかれんな花がソバ畑を白く染め上げ、富士山麓に秋の訪れを告げている。 JAふじ伊豆なんすん地区本部(沼津市)と裾野市が協力し、2010年から遊休農地などを活用したそばの普及を始めた。寒暖差を生かした夏と秋の二期作が特徴。花が盛りを迎えているのは収穫間近の秋そばで、須山や下和田、深良地区などで観賞できる。秋晴れになった16日は雪化粧した富士山がその勇姿を現し、真っ白なソバ畑と共演する絶景が広がった。 同JAによると、秋の新そばは11月中旬ごろから提供を始めるという。
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富士山頂付近うっすら積雪 甲府気象台が初冠雪観測、平年より3日遅く【動画あり】
甲府地方気象台は5日、富士山で初冠雪を観測した。平年より3日遅く、昨年より5日遅い。静岡県側も、富士宮市内や上空から本社ヘリ「ジェリコ1号」で山頂付近にうっすらと積雪している様子が確認できた。 気象台によると、山頂付近では3日午後以降、大陸から冷たい空気が流れ込んだ影響で気温が氷点下に冷え込んでいた。山麓では4日未明から夜にかけて断続的に雨が降り、標高の高い場所では雪になっていたとみられる。山頂では5日午前3時半ごろ、氷点下3・2度が観測された。 富士宮市の朝霧高原や田貫湖では、うっすらと雪化粧した霊峰を撮影する人の姿が見られた。同市人穴の自宅から撮影した佐野雄一朗さん(48)は「昨日
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富士山 初冠雪の記録(2000年以降)
富士山の初冠雪は山梨県の甲府地方気象台で観測しています。「山の一部が雪等の固形降水により白くなった状態が初めて見えたとき」を初冠雪日として記録しています。最も早い記録は8月9日(2008年)、最も遅い記録は10月26日(1956年、2016年)です。 ※平年値は1991年から2020年の間で算出。 年 初冠雪観測日 2000年 9月4日 2001年 9月22日 2002年 9月27日 2003年 10月6日
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富士山須走口登山者、回復 2万7055人 コロナ前の9割弱 小山町
小山町は25日、今夏の富士山開山期間(7月10日~9月10日、63日間)における須走口の登山者数は2万7055人だったと発表した。昨年比で33・7%(6829人)の増加、新型コロナウイルス拡大前の2019年比で12・3%(3825人)の減少となった。 町当局によると、新型コロナウイルスの5類移行に伴ってインバウンドを中心に登山者数の回復が見られた。8月の盆時期や9月に入ってからの天候不順により、コロナ拡大前の9割弱に落ち着いたとした。 5合目駐車場へのマイクロバス乗り入れ台数は193台で、昨年比319・5%(147台)、19年比でも12・8%(22台)の大幅増だった。大型バスは121台で
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裾野市政カレンダーの写真審査会 富士山引き立つ作品など101点
2024年の裾野市政カレンダーに掲載する写真審査会が22日、市役所で開かれた。 市内外の写真愛好家ら39人から、21年1月1日以降に市内で撮影した計101点の応募があった。会場には季節の花々や星空、花火をアクセントに富士山を引き立てた作品などが並んだ。村田悠市長や広報特派員らが審査員を務め、表紙と各月に最適な写真を選んだ。 村田市長は「裾野市から見える富士山が一番。どれも迫力のある写真で素晴らしい」と総評した。 表紙写真は、田島信雄さん(裾野市)の赤く染まった雲を背景に富士山のシルエットが際立つ「赤雲4態」に決まった。
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今夏の患者増333人 コロナ下前同水準 富士山衛生センター
富士宮市は22日までに、富士山富士宮口8合目に開設した「富士山衛生センター」の診療実績をまとめた。今夏の患者数は333人(前年比152人増)で、新型コロナウイルスがまん延する前の2019年比107・4%と、コロナ下以前と同水準になった。 今夏は19、22の両年と同様に45日間開設した。高山病患者の割合が59・2%と22年と比較して11・5ポイント低下した一方で、外傷は7・8ポイント上がって15・0%だった。 市によると、その他(18・9%)に含まれる患者の中には低体温を訴えた人が多かったという。お盆前後は天候の不安定な日が続き、雨にぬれた多くの登山者が同センターを訪ねたとみられる。
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富士登山者数、コロナ禍前に回帰 宿泊も遭難も... 地元安堵と課題 絶えぬ無計画「入山料義務に」
2013年の世界遺産登録から10年の節目となった富士山の夏山シーズンは、新型コロナウイルス禍前の水準まで登山者数がほぼ回復した。山小屋や山麓の観光関係者は、宿泊や観光客の回帰を安堵(あんど)する。一方で、コロナ禍前と同様にマナー違反や無計画な登山は無くならず、関係者は頭を痛めている。 「7、8月は宿泊客が多くて好調だった。個人や団体、国籍を問わず特に外国人客が増えた」。富士宮市内でホテルを営む経営者は、4年ぶりに行動制限が解除された今季を振り返った。山梨側に比べると、本県側は元々外国人の来訪が少ない傾向にある中、別の山小屋関係者は「国籍の幅が広がった」と話した。須走口(小山町)では、豊か
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富士登山者、コロナ前回復 今夏4ルート22万人 協力金、静岡県側初の7割超
環境省は19日、今夏の富士山登山者数が静岡、山梨両県の4ルートで計22万1322人だったと発表した。前年比で38・2%増加し、新型コロナウイルスの影響が出る前の2019年比で93・9%となり、コロナ禍前の水準にほぼ回復した。世界遺産登録10年の節目の今季は、新型コロナの行動制限が4年ぶりに解除されたことも重なって登山者急増が懸念されたが、関係者の予想ほどは増えなかった。一方、県が同日公表した入山料(富士山保全協力金)は6130万6454円と過去最多を記録し、協力率は初めて7割を超えた。 静岡側の3ルート(富士宮、須走、御殿場)の合計は前年比27・1%増の8万4086人(19年比1・9%減
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富士山の遭難急増 水難事故、河川が大幅減 静岡県内夏季
静岡県警は14日、今年の夏季(7~8月)における県内の山岳遭難発生件数は76件と前年同期比で21件増加し、全体の約8割を富士山(61件)が占めたと発表した。態様別では病気や転倒、疲労が約7割に上り、遭難者の約4割が60代以上だった。水難事故の発生は同3件減の22件で、河川での発生が大幅に減った。 県警地域課によると、山岳遭難者数は85人(前年同期比28人増)で、うち富士山が64人(同16人増)で南アルプスが7人(同2人増)。死者は1人で、富士山で病気で亡くなった。 態様別では、病気の26人に次いで転倒が22人、疲労が13人と続いた。 富士山の遭難者64人は2012年以降で3番目の多さで
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音止の滝、富士山と待望の共演 新展望場完成 富士宮「白糸ノ滝」隣接
富士宮市は世界遺産富士山の構成資産「白糸ノ滝」に隣接する「音止の滝」に展望場を整備し、13日に一般開放した。長年の課題とされてきた、滝と富士山を一目で楽しめる環境が整備された。 新展望場は滝から下流に100メートルほど離れた公有地に建設した。鉄骨造りで高さは3・6メートル。足場の延べ床面積は約40平方メートルあり、約70人が同時に上れる。地上から高さ5メートル以上の視点を確保したことで滝の全貌が見渡せ、天候が良ければ、滝右側の林の奥から富士山の山頂部分が望める。市は今後、林を除去して霊峰の眺望をさらに改善するという。 音止の滝の展望場は元々、滝つぼ横と新展望場脇の2カ所にあった。草木が
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富士山世界遺産10周年 登山様式 考える転機に【東部 記者コラム 湧水】
富士山の本県側3登山道が10日に冬季閉鎖され、夏山シーズンが終わった。今季は新型コロナの行動制限が解除されて登山者数が回復した一方で、弾丸登山やマナー違反など歴年の問題は好転する兆しが見受けられなかった。事態を重く受け止めた静岡、山梨の両県知事は登山規制や入山料義務化の議論加速について言及した。世界遺産登録10周年の節目を、登山の新たな様式を考える転機にしたい。 富士山臨時支局を開設していた8月上旬、長崎幸太郎山梨県知事が混雑時に登山規制を検討しているというニュースが山小屋に届いた。吉田口8合目付近で登山者に待機を促す可能性が浮上し、山小屋経営者らは「山頂目前の足止めは暴動が起こる。現実的
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「ミスター富士山」実川さん 富士山登頂2230回達成 「奇跡起こせた」
富士山頂に長年登り続け、「ミスター富士山」の愛称で知られる実川欣伸さん(80)=沼津市=が10日、「ふじさん」の語呂にちなみ目標としていた2230回目の登頂を達成した。実川さんは「大勢の登山者からのエールが後押ししてくれた。奇跡を起こせてうれしい」と声を弾ませた。 記念すべき登頂の瞬間を見届けようと、実川さんの登山仲間が集まった。雲が少なく星が鮮明に見えた同日午前4時ごろ、一行は裾野市の須山口を出発。富士宮ルートから登って、午後2時ごろ山頂に到着した。実川さんは「夜明けの青空がきれいだった。気温的にも登りやすかった」と振り返った。仲間からは胴上げなどで祝福されたという。 実川さんの次の目
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富士山 静岡県内3登山道が閉鎖 夏山シーズン終了
富士山の静岡県側3ルートは閉山日の10日、山頂に向かう登山道が冬季閉鎖され、世界遺産登録から10周年の節目となる夏山シーズンを終えた。 富士宮口6合目、御殿場口新5合目、須走口5合目から山頂までの区間が来夏の開山日まで通行止めとなる。宝永火口に通じる富士宮口5~6合目は積雪状況を見ながら開通を継続する。富士宮口6合目では午後5時ごろ、関係者が登山道にバリケードを組み上げ、通行禁止を伝える看板を掲示した。富士宮口と須走口のマイカー規制は解除された。
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富士山の恵みに感謝 小山町で閉山式 登山者数はコロナ前の9割弱
富士山の夏山シーズン最終日の10日、須走口登山道の起点となる小山町須走の冨士浅間神社で閉山式(町観光協会主催)が行われた。町や観光、商工団体の関係者らが霊峰の恵みに感謝し、来夏の引き続きの盛況などを祈願した。 町によると、7月10日~9月5日の須走口の登山者数は約2万5千人(速報値)だった。2019年は同時期に約2万8千人で、新型コロナウイルス拡大前の9割弱までにぎわいが戻った。須走口では外国人登山者の増加が顕著だった。富士山世界文化遺産登録10周年の節目や、富士山須走口インフォメーションセンター新設の影響などもあったとみられる。 町観光協会の鈴木萬利子会長は式典後のあいさつで「インフォ
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大自在(9月10日)富士山閉山
アルピニストの野口健さんがエベレストでの清掃活動を始めたきっかけは、現地のシェルパに日本人登山家が残したごみの山を見せられ「ヒマラヤをマウントフジにするのか」と非難されたことだったという。かつて県内で開かれた講演会で語った 2000年からは富士山の清掃活動に取り組んでいるが、そのきっかけもエベレストで出会ったニュージーランドの登山家からの「富士山はごみの山だね」という一言だった。富士山のごみの多さが海外に知れ渡っていたことがよく分かる 100人で始めた富士山清掃は「富士山が変われば日本が変わる」をスローガンに続けた結果、数千人が参加するまでになった。野口さんは近年、5合目より上ではほとん
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家康×富士山ゆかりの地 東京メトロで巡ろう 静岡県、9月7日からスタンプラリー
静岡県と東京メトロは7日から、「東京メトロで巡る 富士山×家康 ゆかりの地スタンプラリー」を実施する。都内の銀座線・日比谷線上野駅、丸ノ内線東京駅、有楽町線護国寺駅の3カ所にスタンプを設置。すべて集めた人に達成賞として、富士山世界文化遺産登録10周年を記念したオリジナルボールペンとステッカーを贈る。10月1日まで。 専用台紙を4万枚配布し、東京メトロ主要駅で入手できる。達成賞は江東区のフードストアあおき東京豊洲店(アーバンドック ららぽーと豊洲内)に用意する。引き換えは10月2日まで。先着2500人分が無くなり次第、終了する。 県東京事務所の担当者は「富士山の世界遺産登録10
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三保松原の価値、再確認 富士山世界遺産10年 清水区でシンポジウム
静岡市はこのほど、同市清水区の東海大静岡キャンパスで富士山世界文化遺産登録10周年記念シンポジウムを開いた。講演や朗読劇を通じ、世界文化遺産富士山の構成資産である三保松原の価値の再認識や保全活動の活性化を図った。 元文化庁長官で三保松原文化創造センター「みほしるべ」の近藤誠一名誉館長らが講演し「富士山そのものだけでなく、鑑賞する人々がいてこそ世界文化遺産としての価値を発揮する」「写真で美しい風景を見るだけでなく、その場所に来て何を感じるかが大切」など、見る者の「感性」について多く言及。参加者が熱心に耳を傾けた。 近藤名誉館長は「地域の皆さんには『感性』を総動員して富士山や三保松原、自然と
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富士山3登山道 9月10日に冬季閉鎖
静岡県は1日、富士山登山道の静岡県側3ルートを、閉山日の10日午後5時から冬季閉鎖すると発表した。 富士宮ルート(県道富士公園太郎坊線)は6合目から、御殿場ルート(同)は新5合目から、須走ルート(県道足柄停車場富士公園線)は5合目から、それぞれ山頂までの登山道を来年7月まで全面通行止めとする。 富士宮口5~6合目は今後の積雪状況を踏まえて閉鎖時期を決める。
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9万株の花々と富士山の共演 山梨・富士河口湖で「虹の花まつり」
富士急グループによるフラワーイベント「2023虹の花まつり」が1日、山梨県富士河口湖町の富士本栖湖リゾートで始まった。花畑と富士山の共演が来園者を楽しませている。10月15日までの予定。 約4千平方メートルの敷地に、色鮮やかな花を咲かす「ジニア プロフュージョン」や、大輪の「ルドベキア」など15品種、約9万株を植えている。 絵本「ピーターラビット」の世界観を再現した英国式庭園でも約300種類の草木や花々を植栽し、穏やかな空間を演出している。 総支配人の中村州宏さん(47)は「見ごろのピークは9月後半の見込み。景色や、花一つ一つをいろんな角度から楽しんでほしい」と話した。
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富士の恵み、盛況に感謝 御殿場と裾野で閉山式
富士登山シーズンの最終盤を告げる閉山式が31日、御殿場、裾野両市で開かれた。新型コロナウイルスの行動制限解除やインバウンド(訪日客)回復により登山者が大幅に増えたことに感謝するとともに、来夏の引き続きの盛況を祈願した。登山道の開通期間は9月10日まで。 「来夏も多くの訪問を」 裾野市観光協会は須山浅間神社で閉山式を行い、観光業者や地元区長、氏子総代の関係者ら約50人が出席した。 須山地区には富士登山の拠点になる水ケ塚駐車場や構成資産の同神社があり、今夏は多くの登山者と観光客でにぎわった。神職が祝詞を上げた後、出席者が玉串を奉納。同協会の西島隆彦副会長は「来夏も多くの人が裾野市を訪れてくれ
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90歳三浦さん、富士山頂に到達 不自由な脚、仲間が車いす支援
日本最高峰・富士山(3776メートル)の登山に臨んだ90歳の冒険家三浦雄一郎さんが登山最終日の31日午前7時20分ごろ、山頂に到達した。不自由な脚をカバーする山岳用車いすを家族や仲間らがサポート。前日には名誉校長を務めるクラーク記念国際高登山部の生徒らも合流し、新たな足跡を刻む瞬間を見守った。 富士山には例年多くの登山客が訪れるが、90歳以上の山頂到達は少ない。三浦さんは晴れて冷たい風が時折吹き付ける中、行程を支えた家族や仲間に「おかげさまで長いこと念願だった山頂にたどり着けた。最高です」とうれしそうに話した。 三浦さんはこの日、静岡県側富士宮ルート9合目の山小屋(3460メートル)から
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不適切盛り土事例共有 富士山周辺市町連携対応 富士で会議
富士山麓周辺の6市3町でつくる土砂埋め立て問題対策担当者会議が30日、富士市役所で開かれた。地区内での不適切な盛り土に関する事例を共有し、対応への連携を確認した。 御殿場市の担当者が、3月から9月までの期間で実施している安全性把握調査について中間報告した。対象箇所は6月の大雨でのり面が崩壊するなど早急な対策が求められ、測量やボーリング調査で地質の強度と安全性を確かめている。報告では、調査結果に基づく今後の対応パターンなどを示した。県警の担当者は違反の抑止策などについて説明した。 会議に参加する沼津、三島、富士宮、御殿場、裾野、富士の各市と函南、長泉、小山各町は、首都圏に近い条件などを背景
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富士山で救助要請3件 29日
富士山で29日、登山者の救助要請が3件あった。 同日午前6時40分ごろ、三重県四日市市の男性会社員(25)が頭痛を訴え、富士宮口8合目の衛生センターが富士宮署に通報した。男性は県警山岳遭難救助隊と下山した。 同日午後1時35分ごろ、富士宮口8合目付近で神奈川県小田原市の無職女性(65)が胸の締め付けを訴え、同センターが同署に通報した。女性は県消防防災航空隊ヘリで病院に搬送され、命に別条はないという。 同日午前8時15分ごろ、須走口下山道の砂払5合目付近で米国籍の女性(28)が足首を痛め、御殿場署山岳遭難救助隊などが救助した。
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富士山噴火想定、御殿場で総合防災訓練 市の避難計画作成に活用
御殿場市は29日、富士山噴火を想定した初の総合防災訓練を市内で実施した。実動訓練によって市災害対策本部機能の向上や各支部・区災害対策本部、防災関係機関との連携強化を図りつつ、現場の課題を洗い出し、地域防災計画の修正や市の富士山火山避難計画の作成に生かすことが狙い。 市や陸上自衛隊、御殿場署、消防の関係者ら約850人が参加した。想定は▽7月13日に紀伊半島を震源とする巨大地震が起きて以降、富士山の火山活動が活発化▽気象庁は8月29日に噴火警戒レベル4(高齢者等避難)を発表▽同31日の午前9時35分に噴火が確認され、同レベル5(避難)が出された―などとした。 最新のハザードマップでは、市内は
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富士山麓で「吉田の火祭り」 巨大たいまつ100本
世界文化遺産の富士山の麓、山梨県富士吉田市で26日夜、夏の登山シーズンの終わりを告げる「吉田の火祭り」が開かれた。約100本の巨大なたいまつにともされた炎が晩夏の夜空を赤く染め、見物客を魅了した。 午後6時半過ぎ、北口本宮冨士浅間神社に続く道に並んだ高さ約3メートルのたいまつに火が付くと、見物客から歓声や拍手がわき起こった。 「日本三大奇祭」の一つとされる吉田の火祭りは、富士山の噴火を鎮めるために行われてきた。400年以上の歴史があり、国の重要無形民俗文化財に指定されている。 静岡県清水町から初めて訪れたという会社員青木均さん(60)は「夜にともるたくさんのたいまつは幻想的。神事も見た
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富士山の資料と史跡を後世に 須山「御師住宅」保存 裾野市が検討
明治時代まで富士登山の主要な道の一つだった「須山口登山道」の起点の裾野市須山地区で、富士山に関する資料と史跡の保存活用が課題になっている。市立富士山資料館が2022年度から休館し、歴史的な「御師(おし)住宅」の仕様が残る旧渡辺家住宅は長年にわたって未整備のまま。市は活用方法が未定だった旧渡辺家住宅を保存復元する方針を決め、周辺に資料館機能を持った新しい公園を整備して複合的に公開する案を検討している。 「現在の保全協力金のような登山料が江戸時代にもあったことが分かった」。8月14日、期間限定で特別公開された富士山資料館を訪れた御殿場市の男性(83)は、興味深そうな様子で館内を見学していた。
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大自在(8月25日)富士山のトイレ
参拝客でにぎわう江戸・不忍池の弁天さまのご開帳。ある男がひらめいて有料トイレを開業したところ、大もうけとなった。ならば俺も、と別の男。二番煎じはおよしなさいと女房は止めるが、聞き入れない。 いざ隣に開業すると、まねた方の貸し雪隠[せっちん]に列ができ、先行の雪隠はひとりの利用もない。不思議がる女房に、亭主は鼻高々。「それもそうさ。隣の雪隠には俺が一日中入っているから」 江戸の滑稽咄[こっけいばなし]ならいいが、舞台が令和の富士山となればそうはいかない。世界文化遺産登録10年と新型コロナ感染症5類移行が重なって人出が増えた今夏の霊峰。マナー違反が大きな問題になった 山小屋の予約を取れなか
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富士山入山料 義務化へ議論加速、来夏までに方向性 知事会見
川勝平太知事は22日の定例記者会見で、現在は任意で徴収している富士山保全協力金(入山料)について、登山者から漏れなく徴収できる条件が整うことを前提に、「義務化するのが義務だ。次の夏までに料金や義務化に関わることの方向性を出さねばならない」と述べ、議論を加速させる考えを示した。 同協力金の義務化については、静岡県や山梨県などでつくる「富士山世界遺産協議会」に設置された専門委員会で法定外目的税としての義務化が検討されたが、入山可能ルートが複数存在する中、徴収漏れを防ぐ対策がネックとなり、当面の導入が見送られた経緯がある。 今季の富士山は、新型コロナウイルスの5類移行で登山者数が回復するととも
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海抜0⇄標高3776メートル 富士山頂往復マラニック支え20年 呼びかけ人の萩田さん(掛川)
掛川市各和の市民ランナー萩田博さん(75)の呼びかけで2003年に始まった富士山頂往復マラニックが、20回目の節目を迎えた。海抜0メートルの田子の浦港(富士市)から標高3776メートルの頂上を24時間以内に往復する大会。仲間15人で始まったイベントは600人以上が申し込むほどの規模になり「ゼロ富士」との愛称が定着した。萩田さんは「大会が育ち、全国にファンが増えた。頑張って続けていく」と感慨を深めている。 マラニックはマラソンとピクニックを組み合わせたスポーツ。ゼロ富士は新型コロナウイルス禍で登山ルートが全面閉鎖された20年を除き、毎年夏に開催してきた。23年大会は7月28、29の両日に開
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峯入り修行、無事祈願 富士宮 山伏ら富士山登頂へ
京都市左京区の本山修験宗総本山聖護院門跡は23日までの3泊4日の行程で「第10回富士山峯入り修行」を実施している。21日は富士宮市の村山浅間神社を出発し、全国から集まった山伏ら30人が村山古道を行脚した。 村山浅間神社に境内にかつて存在した興法寺を拠点とした富士山信仰「村山修験」は戦前まで、25日ほどかけて行われたとされる。今回の峯入り修行は20日に富士市の鈴川海岸で体を清めて出発し、山頂を経て御殿場口に下りて神社仏閣を巡る。 一行は21日午前4時半ごろ、村山浅間神社境内の大日堂を訪れた。聖護院門跡の草分俊顕庶務主事を先頭に読経して修行の無事を祈念した。同日は札打場や天照教本社などを巡っ
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世界の名山と交流復活 日本富士山協会 訪問団歓迎へ
富士山と世界の名山の交流が復活する。富士山周辺の自治体や観光団体などでつくる日本富士山協会と「友好山提携」を結ぶ中国と台湾の訪問団が今月、相次いで来日する。協会はそれぞれ歓迎レセプションを開き、コロナ禍で途絶えていた往来の再開を喜ぶ。 上野裕吉事務局長(74)は「顔を合わせて親しくなれば踏み込んだ交流ができる。富士山のあり方を考えるヒントも得たい」と期待を込める。 文化と自然の要素を併せ持つ世界遺産、複合遺産の泰山(たいざん)を有する中国・泰安市の訪問団は20日に富士山麓に入る。協会の訪問団が訪中した2017年以来の往来。同日夜に山梨県富士吉田市で開くレセプションでは、情報発信強化や交流
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須走口、コロナ前超え 富士登山者増 ごみも大幅増 マナー周知課題
小山町は16日までに、富士山須走口で7月10日の開山日から同31日までに1万75人(速報値)の登山者を確認したと発表した。新型コロナウイルス拡大前の2019年の同時期の人数(8817人)を上回った。一方、登山者の増加に比例してごみの不法投棄も大幅に増え、マナー周知の課題が浮き彫りになっている。 須走口5合目で保全協力金の任意徴収業務に当たるスタッフらが人数を数えた。夜間は不在の時間もあり実際の登山者数はさらに多い可能性がある。22年度の同時期は6349人。今夏は新型コロナの制限解除やインバウンド(訪日客)の回復も含めた観光登山者の増加、富士山世界文化遺産登録10周年の記念イヤー、好天候など
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お盆の富士山「無計画」 荒天構わず外国人続々と 台風接近、事故懸念
お盆の富士山は、国内在住の外国人とみられる登山者が悪天候に構わず訪れている。軽装で雨にぬれ、深夜に山小屋を訪ねたり危険な場所で火をたいたりと、無計画さやマナー違反が散見される。15日は台風7号の接近に伴い富士山は荒天の予報で、関係者は「命に関わる事故が起きないか」と危機感を募らせる。 富士宮口8合目の池田館では雨が降った13日夜、消灯後の午後9時以降に何人もの宿泊予約していない登山者が扉をたたいた。同館は予約キャンセルの枠を活用して約70人の希望者を山小屋の中に入れた。大半が外国人だったという。着替えを持たない人が多く、貸し出した寝袋は水浸しになり、従業員たちは乾燥を急ぐ。池田裕之代表は「
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富士山頂に灯籠を 浅間大社へ169万円 田子の月が寄付 富士市
富士市の菓子メーカー「田子の月」は11日、富士宮市の富士山本宮浅間大社に169万4千円を寄付した。寄付金で富士山頂上浅間大社奥宮に灯籠を設置する。 寄付金は同社の菓子「富士山御陰(おかげ)餅」の売り上げの一部を充てた。灯籠2基を来夏までに設置する予定。 牧田桂輔社長らが同大社を訪ねて奉納の神事を受け、甲田吉孝宮司に目録を手渡した。 牧田社長は「(富士山御陰餅は)富士山の恵みに敬意を込めて改名した歴史がある。末永く美しい山であってほしいと願いを込めた」と、寄付の理由を語った。
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富士山麓の自然満喫 「山の日」親子登山開催 日本山岳会静岡支部
静岡県内の登山愛好者らでつくる日本山岳会静岡支部は11日、「山の日」を記念した親子登山を裾野、御殿場両市の富士山麓で実施した。県内を中心に約20人が参加し、涼しさを感じながら美しい樹林帯を探訪した。 参加者は裾野市の水ケ塚公園駐車場を起点に、「幕岩」と呼ばれる溶岩岩壁や富士山の側火山「腰切塚」などを巡る約8・5キロを歩いた。コースは標高1450~1650メートルで、ブナやヒメシャラなどが並ぶ森の中を通る。 遠くにシカの群れを見つけると、子どもたちは歓声を上げて見入った。道中ではガイド役の同支部会員が富士山の地形や火山活動、動植物について解説した。 裾野市から訪れた勝又将さん(36)と結
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富士山世界遺産10年 登山者アンケート詳報 静岡新聞・山梨日日新聞合同調査
世界遺産登録10年の富士山で、静岡新聞社と山梨日日新聞社が7月28、29日、8月1日の3日間に実施した登山者アンケートでは、富士山のどのようなところに価値を感じるかや登山の目的、新型コロナウイルス感染対策への意識などを計250人に尋ねた。「富士山の価値」に関する設問への回答では、世界的な知名度や特有の自然環境に魅力を感じている人が多く、世界遺産に登録された根拠の一つである「信仰の対象」としての価値を認識している人も一定数いることが分かった。(政治部・尾原崇也、池谷遥子) 知名度や自然環境 魅力 富士山が誇るべき価値を複数回答で尋ねたところ、「世界的な知名度」が最多
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行ってみたい山 富士山 断トツ
11日の山の日に合わせてB&G財団(東京)が全国の男女に「コロナが落ち着いた今、行ってみたい山」を尋ねたアンケートで、富士山(静岡、山梨県)と回答した人が24.4%を占め、断トツの1位だった。 アンケートは5月下旬~7月初旬、はがきとインターネットによる自由記入方式で実施した。有効回答数は2214件だった。 20代以下から70代以上までの全年代で、富士山を挙げた人が最も多かった。選んだ理由には「体力があるうちに人生で一度は登ってみたい」(京都府の40代男性)、「山梨県出身だがコロナでなかなか行けなかった」(東京都の20代女性)などの声があった。 2位以下は高尾山(東京都、5.2%)、大
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8月11日は山の日 「富士山」染色、自宅で手軽に 体験キット発売 浜松・武藤染工
浜松伝統の注染(ちゅうせん)そめや服地の染色加工を手がける武藤染工(浜松市中区)は、自宅で手軽に楽しめる子供向け染色体験キット「はさんで染める△(さんかく)ふじさん」を開発した。手ぬぐいとハンカチ版の2種類を用意し、11日の「山の日」に発売する。遠州織物の工程の一つ、染色業界から地場産業を発信する。 キットは白布や染料とソーダ灰、透明アクリル板、ビニール手袋、入れ物と作業を兼ねるプラスチック容器など8点。「赤富士」「青富士」をイメージし、手ぬぐいをピンク色に、ハンカチを青色に絞り染めする。 特徴は、三角に折った白布を挟んだアクリル板を介し、染め上がる過程を楽しめる点だ。上部を残して布地が
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山梨県、富士山5合目から登山規制も 滞留多数の場合
山梨県は9日、富士山の山梨側登山道「吉田ルート」で多くの登山者が滞留して危険だと判断した場合、車でたどり着ける5合目から山頂までのどこかで登山人数を規制すると発表した。当初は8合目での規制を検討していた。具体的な方法は決まっていない。周知が進まないまま実施すれば混乱も起きそうだ。 県によると、「登山の安全の確保に関する条例」に基づく対応で、県警と連携して行う。対象は11日から今年の開山期間の9月10日まで。基準となる人数について県は「吉田ルートで1日当たりの登山者数が4千人を超えた場合」を目安に挙げたが、状況に応じて判断する。 県の委託を受けた安全誘導員らが登山道を巡回し、登山者が過密に
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日本一過酷なレースに97チーム挑む 御殿場発着・富士登山駅伝
富士山の麓と頂上を往復する秩父宮記念第48回富士登山駅伝競走大会(御殿場市、静岡陸上競技協会主催、静岡新聞社・静岡放送後援)が6日、富士山御殿場ルートなどで開かれた。静岡県内外の97チームが「日本一過酷」と称されるレースに挑み、健脚を競った。 コースは市陸上競技場をスタートして富士山山頂で折り返し、競技場に戻る全長48・19キロ、標高差3199メートル。全11区間を6人でたすきをつないだ。スタート地点と富士山頂の気温差は20度以上。一般と自衛隊の2部門で競い、選手たちは任された区間の走路の特徴や気象状況に対応しながら必死にゴールを目指した。 登山区間では、勾配のきつい未舗装路を歯を食いし
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幻想的夜の影富士 満月の明かりで浮かぶ
2日未明、御来光を待つ富士山頂の闇夜に浮かぶ満月。明るい光が山頂を照らし、登山者を迎える。午前3時ごろ、沈み始めた月が剣が峰の背後に近づくと月明かりの影で東の富士山麓に夜の〝影富士〟が浮かび上がった。山頂を目指す登山者のヘッドライトや夜明けを待つ市街地の明かりと共演し幻想的な光景に包まれた。 3日の夜の影富士は、1時間ほど遅くなった月の入りと白み始めた空の影響を受け、午前4時ごろから10分間だけ現れた。山頂は御来光のときを迎え、月は剣が峰の背後に静かに沈んでいった。
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バイオトイレ 利用制限頻発 維持管理厳しく 容量超え懸念【富士山臨時支局】
今夏の富士山では、山体の環境保全と快適な登山に欠かせない山小屋のバイオトイレに、利用制限がかかる事態が頻発している。登山者増加と山小屋従業員の人手不足により、維持管理が行き詰まっている。関係機関は体調に余裕があるうちにトイレを済ませるよう呼びかけているが、根本的な解決策は見いだせていない。 1日午後3時ごろ、富士宮口8合目の池田館のトイレ10基中2基に「使用禁止」の張り紙がされていた。休憩に立ち寄る登山者たちは使える8基を順番に使い回していた。 池田館は例年、微生物を用いるバイオトイレの処理能力が許容量に迫った時に一時的に利用を制限した。しかし今夏、池田裕之代表は日中の早い時間から制限
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親子の思い出【富士山臨時支局/雲上日誌】
コロナ5類移行後初の富士山の夏山シーズン。制限がない山小屋での様子をどんな写真で伝えようかと頭を悩ませていると、夕食を楽しむ親子の仲むつまじい雰囲気に引き寄せられた。そっとカメラを向け、自然な姿を撮影させてもらった後に声をかけた。 親子は大阪からの富士登山で、息子が小学生の頃以来の、2回目の挑戦という。間もなく就職する息子さん。父は息子が働き始める前に、もう一度一緒に富士山に登りたいと願い、再度登頂を目指していた。 自分自身も小学生の娘と息子がいるが、とても一緒に登山に連れていく自信はない。同じことはできないが、大きくなった娘や息子にとって記憶に残る思い出を刻んでいきたい。 親子で一緒
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「富士講」教え 実践 神道扶桑教 40人が信仰登山
「富士講」の教えを説く宗教法人神道扶桑教が今夏、富士山を信仰登山した。登頂前日に山梨県富士吉田市の御師(おし)の家に宿泊し、8合目で神事を行うなどの教えを今も実践する。信仰の対象となった富士山は今年、世界文化遺産登録から10年。宍野史生管長は「形として残し、今後も伝え続けることが大切」と語る。 「六根清浄、六根清浄」。7月16日、同市上吉田にある御師の家「大国屋」に扶桑教の一行がかけ声とともに到着すると、女将らが丁重に出迎えた。今回は8~79歳の約40人が参加。都内を出発し、富士講の開祖である長谷川角行が修行した富士宮市の人穴富士講遺跡をお参りした後、山梨県内に入った。 江戸時代後期に最
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“世界一高い”「ガチャ」山頂に出現 富士宮市が今夏設置 登頂の記念、土産にも【富士山臨時支局】
富士山頂に今夏、標高が“世界一高い”カプセル玩具販売機「ガチャガチャ」がお目見えした。富士宮市公認の「宮ガチャ」で、富士山をあしらった特製キーホルダーが手に入る。多くの登山者が登頂の記念にと、中身を楽しみにガチャを回している。 市は開山日の7月10日から、山頂の山小屋「頂上富士館」の土産コーナーの一画にガチャガチャを設置した。カプセルは山小屋の物資用ブルドーザーに載せて逐次補充する。 1回500円で、キーホルダーは全100種類。表面は4種類で市公認キャラクター「さくやちゃん」と頂上富士館の「ぐうすけ」が「富士山の山頂に行ってきました」と証明してくれる。裏面は25
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富士山御殿場口 登山道140周年 歴史に思いはせる写真展
御殿場市の御殿場口新5合目が現在の起点となっている「御殿場口登山道」は今年、開設140周年。山小屋関係者らは開削の中心人物である伴野佐吉(1839~1905年)や登山道の歴史に思いをはせる。 富士登山の4ルートで最も新しい同登山道は、開設年やいきさつがはっきりしている唯一の道でもある。ルート上の山小屋などでつくる山内組合の福島邦彦組合長(71)は伴野佐吉について「富士山を観光資源として捉え、御殿場に人を呼ぶ方策を考え、実行に移した」とたたえる。 毎年7月1日に市内で行う開山式には、佐吉の子孫にあたる伴野琢也さん(東京)が列席する。新型コロナ禍で途絶えていた慣例が今年、4年ぶりに復活した。
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ハチワレを相棒に【富士山臨時支局/雲上日誌】
人生初の富士登山直前、5合目の売店に入ると、人気漫画「ちいかわ」に登場する「ハチワレ」と富士山がコラボレーションしたキーホルダーが売られていた。不安を紛らわそうと、お守り代わりに衝動買い。保全協力金を支払った際に入手した木札とともに、早速ザックにくくり付けた。 登山の様子は富士山臨時支局のX(旧ツイッター)アカウントで逐一更新している。投稿用の撮影にハチワレを紛れ込ませると、これが案外楽しい。雨の気配が漂う中、ほぼ休憩なしで上った8合目から9合目までのつらい道中も、ハチワレが必死にがけをよじ登る作中場面を思い出すと、不思議と力が湧いた。 山頂では、御来光を背景にぬいぐるみをうれしそうに撮
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外国人の富士登山急増 多言語対応急務に 山小屋スタッフら AI翻訳機器やアプリ活用
富士山で今夏、急増する外国人登山客への対応が急務になっている。ボランティアガイドや山小屋スタッフは人工知能(AI)で翻訳する機器「ポケトーク」やスマートフォンアプリを活用するなど工夫を凝らすが、混雑時の使用やマナー周知の難しさなど、課題も浮かぶ。 2日午前5時前、富士山頂には御来光を待つ大勢の姿があった。特に外国人客が目立ち、さまざまな言語が飛び交った。静岡県は開山日の7月10日と15~17日の3連休、県内各登山道5合目で外国人登山者の比率を目視で調査。富士宮口は14・4%、御殿場口は7・2%、須走口は23・1%、全体は14・6%だった。 外国人ツアー客が多い須走口5合目に7月開設した富
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富士山御来光 笑顔輝く頂 雷雨の夜から一転、登山者歓喜【動画あり】
富士山頂は2日朝、前夜の雷雨から一転して快晴に恵まれ、一日の始まりを告げる御来光が見られた。地平線から昇る太陽に照らされた登山者からは笑みがこぼれた。 静岡県側の富士宮口9合目付近では午前2時半ごろ、登山者のヘッドライトの光の線が山頂に向かって伸びていた。徐々に東の空が白み始め、同4時半過ぎに赤みがかった陽光が霊峰を照らした。 雲海は湖の一帯だけにたまり、この日の山頂は見晴らしが良かった。地平線のはるか遠くから太陽が姿を見せると、登山者はスマートフォンを構えたり手を合わせたりと、街に光が届く神秘的な景色に浸った。
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山梨の89歳女性 富士山登頂 最高齢記録95歳目指す
山梨県富士吉田市上吉田の上小沢静江さん(89)が今夏、富士山に登った。女性最高齢となる95歳での登頂を目指していて、「来年はお鉢巡りに挑みたい」と意気込んでいる。 7月10日に2泊3日の日程で60~70代の友人4人を連れて登山を開始。1日目は吉田口5合目から8合目の山小屋「太子館」を目指した。2日目は夜明けとともに歩き出し、午前9時ごろ山頂に到着。数えで70歳以上の登頂者が対象となる山頂の高齢者記帳所で名前を記した。記帳の記録によると、女性の最高齢登頂者は95歳だという。 天候にも恵まれ、夜には半月と星空を楽しんだといい、「御来光だけではないな」と新たな魅力を見つけた。今年は世界文化遺産
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行動制限明け、富士山に登山者続々 9合目「万年雪山荘」に臨時支局、取材拠点開設
静岡新聞社は1日、富士山臨時支局を富士宮口9合目に開設した。記者とカメラマン計4人が3日まで常駐し、世界文化遺産登録10周年を迎え、新型コロナウイルス禍の行動制限が明けた今夏の霊峰の様子を発信する。 拠点となる万年雪山荘は標高3460メートルに位置し、江戸時代から登山者を迎えてきたとされる。山小屋北側に見られる万年雪が名前の由来。臨時支局員は5合目から登り、6時間ほどで到着した。同日夕の到着と同時に大雨が降り始め、山小屋には登山者が続々と雨宿りに駆け込んできた。 行動制限が解除されて初めての登山シーズンとなり、万年雪山荘の予約は大半が埋まっている。特に外国人が例年より多いという。渡辺和将
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富士山山頂への人数規制 山梨県が検討
山梨県は1日、富士山の同県側の登山道「吉田ルート」で1日当たりの登山者数が4000人を超えた場合、8合目から山頂へ登る人数の規制を検討すると発表した。お盆休み中の登山者数の増加が見込まれるため、登山道の混雑回避と事故防止が目的。県警と連携し、態勢整備を進める。 県によると、開山後の7月1~30日に6合目を通過した登山者数は計6万3778人。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の同時期に比べ、約9300人増えた。深夜の時間帯は、日の出を見る目的で登山する人が多く、山頂付近の登山道が混み合うという。
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活況の山小屋、続く警戒 コロナ5類移行後初のシーズン、値上げも予約殺到/受け入れ制限【富士山臨時支局】
新型コロナウイルスの5類移行後、初の富士登山シーズンを迎え、利用者の登山スタイルがコロナ禍以前に戻りつつある。開山1カ月前から各山小屋に予約が殺到し、週末は満室に近い状態が続く。一方、宿泊者数をコロナ禍前の6~8割に減らすなど、山小屋ごとに感染防止策を模索している。 テーブルを相席し、会話を楽しみながら温かいカレーをほおばる-。そんな光景が4年ぶりに戻ってきた。富士宮口9合目の万年雪山荘は、テーブルに配置していたパーティションを今夏撤廃し、スタッフも増員した。 渡辺和将社長は「やっとお客さんが戻ってきた。7月は天気にも恵まれたのでありがたい」と胸をなでおろす。十数年ぶりに、長男とともに
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富士山保全協力金 木札が“切り札” 新返礼品好評「自然感じる」 静岡県、主要3登山道5合目などで配布【富士山臨時支局】
静岡県は今年、世界遺産富士山の環境保全管理に用いる「富士山保全協力金」の協力者証を、これまでの缶バッジから木札ストラップ=写真=に変更した。新装した“返礼品”への登山者の評価は上々で、県の担当者は協力率の最高更新に期待を込める。 新しい協力者証は富士山麓周辺が原産のブランド木材「富士ヒノキ」が素材。縦6・5センチ、横3・5センチで、富士山世界文化遺産協議会が制定した世界遺産登録10周年記念のロゴマークをレーザー加工で彫り込んだ。県内では主要3登山道の富士宮口5合目、御殿場口新5合目、須走口5合目、水ケ塚駐車場の計4カ所で、保全協力金(1人千円)を支払った人に配布して
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本格コーヒーでホッと一息 富士山吉田口5合目 カフェスペース新設(山梨日日新聞)
山梨県の富士山吉田口5合目の売店「富士山みはらし」の店内に、自家焙煎(ばいせん)の本格コーヒーを提供するカフェスペースがオープンした。担当者は「景色の良い5合目で、ゆったりと入れたてのコーヒーを楽しんでもらいたい」と話している。 土産物が並ぶ1階の売店スペースの一角に、電気式の焙煎機とエスプレッソマシンを置いた。深いりのオリジナルブレンドコーヒー(800円)を提供していて、カフェラテ(900円)、抹茶ラテ(900円)とともにアイスとホットを用意している。 コーヒー好きの井出雄貴専務(31)の発案で実現。売店の改修に合わせ、売り場の約3分の1をカフェスペースにし、10年前に富士山の世界遺産
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気まぐれな空模様【富士山臨時支局/雲上日誌】
赤、影、ダイヤモンド-。どれも富士山の景色を表した言葉だ。10年前、芸術の源泉との評価で世界文化遺産に登録された。麓で日々過ごす記者として、名だたる芸術家が霊峰と空が織りなす美を求めた歴史を学んできた。今回の登山では眼前眼下にどんな景色が広がるか、胸が躍る。 臨時支局1日目の登山。荒天の天気予報をよそに、5合目以上は晴れ。真っ青な空に白い雲海のじゅうたんが広がり、時折、麓の街並みが雲間からのぞいた。快適な気温に心地よい風が吹き、道中は順調だった。 一転、宿泊の山小屋を目前に雨粒が。到着してすぐ、大雨にぬれ冷気に凍えた登山者が雨宿りに続々と駆け込んできた。 御来光を拝むのも初めて。天候が
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大自在(8月2日)富士山5合目
富士登山といえば、今はバスなどで5合目まで行って、そこから自分の足でというのが一般的。そうはせず、富士市の海抜0メートル付近から山頂を目指す「富士山登山ルート3776」の達成感は格別だと、先日の本紙「しずおかアウトドアファン」にあった。 富士山信仰が盛んだった江戸時代はどうだったか。ものの本で「富士講」の行程を知った。新宿大木戸~八王子~高尾山参り~小仏峠~大月~富士吉田。ここまで3日。 登り始めて山中の岩室に1泊。山頂で礼拝して須走口に下山~箱根足柄峠~大山参り。過酷なアップダウン。藤沢で精進落としをして品川へ。全行程8日の道中でも参詣登山とは、健脚がうらやましい。 古典落語の「富士
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台湾で4年ぶり、静岡県が富士山セミナー 定員の5倍応募
静岡県台湾事務所が7月中旬に台北市内で4年ぶりに富士山セミナーを企画したところ、100人の募集定員に対し5倍近い475人の応募があった。過去最多の応募で、新型コロナウイルス禍前の2019年当時の257人を大幅に上回った。同事務所の職員は「本県への関心や富士山人気が高まっている表れ。好機を生かしたい」と意気込み、県内でのトレッキングやキャンプスポットなどの情報発信を強化する。 同事務所によると、現地では日本と同様、4年ぶりに渡航制限が解除されて海外旅行できる環境になったことに加え、アウトドアブームに拍車がかかり、以前から高かった富士登山に注目が集まっているという。 セミナーは7月15日に開
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富士山5合目以下 麓歩きの勧め 富士宮市が初親子向けツアー「気軽に親しんで」
富士山で登山者が体調不良や負傷で救助される事案が相次ぐ中、5合目より下の自然と触れ合う軽めのトレッキングを推奨する取り組みが動き始めている。富士宮市は25日、親子向けの日帰りツアーを初開催し、小学生の親子らが麓に広がる大自然に触れた。世界文化遺産登録10周年の節目で注目が集まる今季に市担当者は「体力に自信のない人でも無理なく霊峰に親しめることを広めたい」と話す。 日帰りツアーではかつて多くの修験者が通ったとされる村山口登山道をたどった。こけが深くむして一面緑色の山道を進み、札打場(ふだうちば)や中宮八幡堂などを巡った。5合目より下を専門とするガイド岩崎仁さんの案内で植生に理解を深めた。
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琵琶湖の水 富士山頂へ 夫婦都市近江八幡(滋賀)の訪問団 富士宮到着
富士宮市と夫婦(めおと)都市提携を結ぶ滋賀県近江八幡市の「富士と琵琶湖を結ぶ会」が30日、富士宮市に到着した。4年ぶりに琵琶湖の水を富士山頂に届けるため、富士山本宮浅間大社で登山の安全を祈願した。 同会の約30人は富士登山と山麓周遊の二手に分かれた。登山班は同日8合目に宿泊し31日に山頂剣ケ峰で琵琶湖の水をささげる。 同大社では富士宮市の関係者が一行を出迎えて共に参拝し、登山班の出発を見送った。周遊班は富士宮市街地や朝霧地区を観光して市民と親睦を深める。 巨人だいだらぼっちが近江の土を掘り、琵琶湖と富士山をつくったという伝説にちなみ、両市は1968年に全国で初めて夫婦都市提携を結んだ。
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富士山噴火の兆候時 登山者避難 誘導や安否確認方法は 役割増す山小屋
富士山の火山避難基本計画が今春、改定された。一般住民の避難よりも早い、噴火の兆候が確認された段階で5合目よりも上にいる登山者は下山が求められる。山小屋関係者が避難誘導しながら一緒に下山するが、誘導の方法や登山者の安否確認など課題が山積する。ピーク時には約8千人が登る富士山。安全で円滑な避難へ、普段から富士山で活動し、山を熟知する山小屋関係者の役割は増している。 7月中旬の富士宮口6合目。気象庁から噴火警戒レベル2に相当する「火山の状況に関する解説情報(臨時)」が発表された想定で、情報伝達訓練が行われた。山小屋従業員が拡声器を手に下山を呼びかけた。訓練冒頭には登山者にどう伝えるべきか分からず
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富士山世界遺産10周年展 構成資産の出土品紹介 富士宮
富士宮市民文化会館内の市立郷土資料館で10月15日まで、富士山世界文化遺産登録10周年の記念展「構成資産整備のあゆみ」が開かれている。市内にある六つの構成資産を整備するにあたって行った発掘調査の出土品などを展示している。 各構成資産の整備事業をパネルで解説している。富士山本宮浅間大社周辺の神田川ふれあい広場を整備した際に見つかった茶わんや、村山浅間神社境内にあった大日堂の改修で解体時に採集したくぎなどが並ぶ。復元時の参考にした古文書も紹介している。 7月29日は市学芸員が午前午後1回ずつ展示を解説する。担当者は「整備された場所の下に遺跡があることを知ってほしい」と話した。
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富士登山者2倍 1~17日 静岡、山梨8合目 混雑緩和協力呼びかけ
環境省は20日、富士山の17日時点の登山者数を発表した。静岡、山梨両県の8合目地点の登山者数は計4万1518人で、前年同期比113・4%増だった。新型コロナウイルス感染拡大前の19年同期と比べても40・3%増えた。同省は過去10年で一、二を争う登山者数だとし、週末を避けて登山するなど山頂付近の混雑緩和に協力するよう求めている。 山梨県側は1日、静岡県側は10日に開山してから、各登山ルートの8合目付近に設置した赤外線カウンターで登山者数を集計した。登山ルート別では、吉田口が3万83人(22年同期比112・0%増)、富士宮口が6451人(78・0%増)、須走口が3026人(388・0%増)、御
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富士山8合目様子 5合目で配信 御殿場市とKDDI 弾丸・軽装登山対策
御殿場市とKDDIは、富士山御殿場口新5合目のマウントフジトレイルステーション(通称トレステ)で、8合目の登山道の様子をライブ配信する取り組みを行っている。登山者が8合目の気象状況を事前に把握できるようにし、弾丸登山や軽装登山の防止につなげる。映像はトレステの公式サイトでも配信される。 8合目付近の山小屋に衛星ブロードバンド(高速大容量)インターネット「スターリンク」の通信アンテナやネットワークカメラ、気象センサーを設置した。トレステに置かれたモニターで8合目登山道の視界状況や気温、湿度、風速などをリアルタイムで確認することができ、登山装備の啓発などと合わせて安全登山を呼びかける。 KD
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避難計画改定後 初の訓練 富士山噴火想定で下山指示
静岡県や周辺市町、山小屋関係者は19日、富士山の噴火を想定した火山防災情報伝達訓練を富士宮市の富士宮口5、6合目付近などで行った。コロナ禍や天候の影響などで実動訓練は2年ぶり。今年3月の富士山火山避難基本計画改定後では初めて。新たな計画にのっとり、気象庁が噴火警戒レベル2に相当する「火山の状況に関する解説情報(臨時)」を発表したとして、模擬登山者らに下山指示を伝達した。 新計画では一般住民の避難と重ならないよう、臨時の火山情報が発表された時点で周辺首長が下山指示を発令し、噴火警戒レベル3(入山規制)のうちに登山者の下山を完了させなければならない。 訓練は周辺市町や山小屋関係者など30組織
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富士山宝永火口の草本類 変化する荒原でたくましく【しずおかに生きる植物 夏③】
富士山の南斜面中腹で、316年前の宝永4(1707)年、旧暦の11月23日、空前の大爆発が起こった。宝永大噴火である。山麓はもとより江戸の街まで火山灰が降った。かつて緑に覆われていた南東斜面は、瞬時にして火山砂礫[されき]が厚く降り積もり死の世界。生き物は全て姿を消した。 富士宮口5合目から歩いて約30分。シラビソの森を抜けるとそこは宝永第一火口壁。火口の大きさに驚かされる。直径は約1200メートルと山頂火口より大きい。 火口底に目を移すと緑が点在し、斑紋状に、さらにじゅうたん状に広がる。300年以上の時が植物の侵入を許したのである。そこに生えるのはフジアザミ、コタヌキラン、イワオウギ、
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富士山全面開通 行動制限明け初の夏 国内外から登山者続々
富士山の本県側3ルート(富士宮、須走、御殿場)が10日、山頂までを全面開通し本格的な夏の登山シーズンが始まった。新型コロナウイルス下の行動制限が解除されて初の山開きとなり、晴天に恵まれた富士宮口には、国内外の登山者が世界遺産登録10周年を迎えた霊峰の頂を目指した。 富士宮口6合目に設置されていたバリケードが午前9時前に撤去され、開通を待ちわびていた登山者が続々と頂上に向かった。富士山初登山の静岡市葵区の百瀬友幸さん(39)は「体力に注意しながら休み休み登りたい。明朝は御来光を期待できそう」と軽快に歩を進めた。 御殿場市上空から富士山を捉えると、梅雨の合間の強い日差しが山体を照りつけ、赤茶
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シーズン本番へ安全祈願 静岡県側3ルート開通、富士宮で開山式
富士山の本県側登山道3ルートが10日、山頂まで開通し、山麓各地で開山式などが行われた。関係者が世界遺産登録10周年の夏山シーズン到来を祝い、事故のない夏にしようと安全祈願した。 富士宮市の富士山本宮浅間大社では登山バスの出迎えやパレード、開山祭などを行った。大鳥居の前で地元関係者が登山客を拍手で迎えた。市観光協会の石田寛二副会長は「万全の体調や装備で登山して」と呼びかけた。地元の旅館などでつくる組合の有志が、参道を大金剛杖を担いでパレードし本殿に向かった。 同市の村山浅間神社では、山伏や富士根北中生が水ごり場で冷水に打たれ心身を清めた。村山口登山道で開いたお山開き式では、須藤秀忠市長が「
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観光、安全登山の拠点 須走口と御殿場口に開所 富士山静岡側開通
富士山の本県側3登山ルートが開通した10日、小山町の須走口5合目に富士山須走口インフォメーションセンターが開所した。御殿場市の御殿場口5合目では開設10周年を迎えるマウントフジトレイルステーション(通称トレステ)もオープン。富士山世界文化遺産登録10周年で国内外の登山者の増加が予想される中、富士山の魅力発信や安全登山啓発の重要拠点となる。 インフォメーションセンターは鉄筋コンクート造1階建て、延べ床面積117平方メートル。情報発信を行う案内所、一時避難場所にもなる休憩室、バスのチケット販売所などの機能を有す。 案内所では多言語で各登山ルートや動植物の特徴などをパネルで解説。登山計画の立て
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【写真特集】富士山山開き 国内外から登山者続々
静岡県側の3登山道が開通し、夏山シーズンを迎えた富士山=10日午前、御殿場市上空(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から/写真部・久保田竜平) 静岡県側の3ルートが開通し夏の登山シーズンを迎えた富士山=10日午前9時24分(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から/写真部・久保田竜平) 静岡県側の3ルートが開通し夏の登山シーズンを迎えた富士山=10日午前9時32分(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から/写真部・久保田竜平) 富士山富士宮口6合目のバリケードが撤去され山頂を目指す登山者=10日午前9時1分(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から/写真部・久保田竜平) 静岡県側の3登山道が開通し
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【D自在】科学者も目指す富士山頂
一歩一歩、頂上を目指す。登るにつれて気圧が低下し、血中酸素濃度が低くなる。個人差はあるが頭痛、吐き気、だるさ…。葛飾北斎「富嶽三十六景 諸人登山」の人々の疲れ果てた表情が想起される。 きのう静岡県側の3登山道が開通した富士山の標高は3776メートル。明治時代に参謀本部が科学的に測量した。それ以前は、江戸後期に全国を歩き精緻な地図を作成した伊能忠敬が箱根、三島など37カ所以上から測量し、平均3900メートルと算出。220年前のことだ。 その後の1828年、ドイツ人医師シーボルトは日本人の弟子に気圧計を持って登頂させ3794メートルと出した。高度と気圧の原理を応用、富士山に科学
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富士登山「安全第一に」 山麓の宿泊施設が啓発 静岡県側10日山開き
富士山の静岡県側3登山ルートの全面開通(10日)が間近に迫り、富士宮市内には9日午後、国内外の登山客が続々と集まった。今季の富士山は混雑が予想され、市内の宿泊施設などでスタッフが登山予定者に安全と健康の確保を呼びかけている。 同市の富嶽温泉花の湯ではチェックイン開始の午後4時以降、大きなリュックを携えた宿泊客の姿が増え始めた。フロントスタッフは入館手続きの最後にチラシを示し、「登山中とても混雑するかもしれないので注意を」と無理のない計画的な登山を促した。 弾丸登山への注意も訴える。花の湯には例年、深夜に来て入浴と小休止した後に未明から富士山に向かう客が一定数いるといい、古市大三支配人は「
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富士山 静岡県側 10日山開き 混雑回避呼びかけ
富士山の静岡県側3登山ルート(富士宮、須走、御殿場)は10日に山頂まで通行可能となり、既に山開きした山梨県側の吉田ルートと合わせて富士山頂に通じる全登山道が開通する。富士山世界遺産登録10年の今年は、新型コロナウイルス下の行動制限がなくなってから初めての夏山シーズン。外国人を含めて多くの登山者の来訪が予想され、静岡県などは山小屋の事前予約や混雑日の回避を呼びかけている。 県は富士宮口で10日から、須走口では14日からマイカー規制を開始する。富士宮口では水ケ塚駐車場(裾野市)に、須走口では道の駅すばしり隣接地(小山町)に5合目行きのシャトルバス・タクシーの乗り換え駐車場を開設する。両ルートと
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富士登山 山梨県側、5日間で9000人 「弾丸登山は控えて」
山梨県富士吉田市は6日、富士山の登山者数が開山後の1~5日で計9019人となり、過去10年間で2番目に多かったと明らかにした。今夏は新型コロナウイルス禍で減った登山客の回復が見込まれ、同市の担当者は「(夜間に寝ずに山頂を目指す)弾丸登山は事故のリスクが高まるので控えてほしい」と呼びかけている。 山梨県側の登山道「吉田ルート」の1日の開通以降、6合目にある同市の富士山安全指導センターが目視でカウントした。市によると、過去10年間の同期間で最多は2016年の9931人。 市や県は、山小屋に予約が殺到し、予約が取れなかった人の弾丸登山が懸念されるとして、吉田口5合目と麓を結ぶ有料道路「富士スバ
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御殿場市富士山基金に28万円寄付 ネッツトヨタ静岡
ネッツトヨタ静岡(沼津市、梨本幸博社長)はこのほど、御殿場市富士山基金に28万円を寄付した。 同社は緑化推進や富士山保全を目的に2002年から静岡県グリーンバンク(旧県緑化推進協議会)に、15年からは活動の輪を広げて同市と富士宮市にも寄付を行っている。同基金は富士山の自然環境の維持保全、学術文化の振興などの資金として活用されている。 同社の弘中貴幸取締役らが御殿場市役所に勝又正美市長を訪ね、目録を手渡した。勝又市長からは感謝状が贈られた。
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富士山3登山道 10日に全面開通 静岡県側 マイカー規制実施
静岡県は3日、富士山の静岡県側登山道3ルートの冬季閉鎖を10日午前9時に解除すると発表した。1日に山開きした山梨県側の吉田ルートと併せ、富士山頂に通じる4登山ルートが全て開通する。 通行可能になるのは須走ルートが5合目から、御殿場ルートが新5合目から、富士宮ルートが6合目からそれぞれ山頂まで。いずれも積雪のため全面通行止めにしていた。県道路保全課によると、案内標識の設置や誘導ロープの補修といった安全確保対策の見通しが立った。 富士山5合目につながる富士宮口の富士山スカイラインと須走口のふじあざみラインではマイカー規制を実施する。富士宮口は7月10日~9月10日の計63日間、須走口は7月1
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「聖なる山」「対話する存在」富士山世界遺産10年、富士でシンポ
富士山世界遺産登録10周年記念国際シンポジウム「世界の聖なる山と富士山」(県富士山世界遺産センター主催、静岡新聞社・静岡放送後援)は2日目の2日、富士市のロゼシアターでパネル討論などを行い、山の保全や文化や歴史について意見を交わした。 メヒティルド・ロスラー元ユネスコ世界遺産センター長や松島仁県富士山世界遺産センター教授らが登壇した。各国の山が育む自然や景観、芸術に関する多角的な研究の事例を共有し「富士山は生きていて、常に対話を続ける存在」「文化や歴史を深く学び、聖なる山を愛してほしい」などとメッセージを述べた。 世界遺産に登録された山に関する講演は、現地の特徴的な保全の姿に焦点を当てた
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大わらじに入魂 富士登山の安全祈願 御殿場・新橋浅間神社で神事
富士山御殿場口登山道の起点である御殿場市の新橋浅間神社で1日、登山者の安全を願って制作された大わらじに魂を入れる「大わらじ奉納神事」(市観光協会主催)が執り行われた。 大わらじは高さ約3メートル、幅約1・2メートルの1足で、御殿場わらじ祭り保存会を中心に作った。神事には行政や祭り関係者ら約80人が参列し、玉串を供えた。宮司の祝詞奏上や地元の子どもたちによる稚児舞の奉納も行い、健脚や良縁、疫病退散なども祈願した。 8月6日の祭り本番で女性たちが大わらじを担ぎ、市中心部を練り歩く。同協会の山内剛会長は「御殿場の夏の一大イベントであるわらじ祭りを多くの市民や観光客に楽しんでもらいたい」とあいさ
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「それぞれの富士山展」始まる 静岡県内作家の力作36点 フェルケール博物館
静岡市清水区のフェルケール博物館で1日、静岡県文化協会所属の作家が手がけた「それぞれの富士山展」(同博物館、県、県文化協会主催、静岡新聞社・静岡放送など後援)が始まった。仰ぎ見る霊峰富士からインスピレーションを受けた作品の数々を楽しむことができる。8月6日まで。 展示しているのは34人が制作した版画や油彩画、革工芸など36点で本展覧会のために制作した新作がほとんど。水彩画家太田昭さん(87)の「港街の錦富士」は形や大きさが微妙に異なる数十の富士山を描いた。太田さんは「それぞれの人の心にあるさまざまな富士山を描いた」と話した。 ほかにも、太古からの富士の成り立ちなどを油彩で表現した「イマジ
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富士山の自然と文化、共に維持 世界遺産登録の意義解説 富士で国際シンポ
富士山世界遺産登録10周年記念国際シンポジウム「世界の聖なる山と富士山」(県富士山世界遺産センター主催、静岡新聞社・静岡放送後援)が1日、富士市のロゼシアターで始まり、各分野の学者ら6氏が登壇した。世界文化遺産登録によって、富士山の自然環境と文化を共に維持し、管理する施策につながったとの意見が聞かれた。 世界遺産登録された山の多くが、周辺地域での象徴的な特性が登録の決め手になっている中、メヒティルド・ロスラー元ユネスコ世界遺産センター長は、葛飾北斎らの富士山画が西洋から見た日本文化に大きく影響を与えたとし、「世界的に価値を認められている霊峰だ」と改めて強調した。 文化遺産登録だった意義に
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富士山 山梨側が山開き 節目の霊峰登頂 達成感 御来光は望めず
富士山の山梨県側の登山道「吉田ルート」が1日、静岡県側の3ルートに先行して開通した。世界文化遺産登録から10年の節目となる山開きに多くの登山者が訪れたが、頂上付近は悪天候となり御来光は拝めなかった。登山客は「次こそ見たい」と再挑戦を誓い下山した。 日の出予定時刻の午前4時20分ごろ、頂上には強風と激しい雨が吹き付けた。登山客は山小屋などで雨風をしのいでから山を下りた。岐阜県から訪れた鈴木祐二さん(35)は「残念だが登頂した達成感は大きい。来年もう一度登りたい」と意気込んだ。 吉田ルート8合目の山小屋「太子館」は、感染症対策で減らしていた宿泊定員を今年も維持する。一方、客足は回復傾向で閉山
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富士山「未知の噴火」確認 5000~4000年前 山中湖地下に火山灰
東京大と山梨県富士山科学研究所のチームは30日、これまで活動の空白期と考えられていた5千~4千年前に富士山が少なくとも6回噴火していたことを確かめたと発表した。山梨県側の麓にある山中湖の湖底で、未知の噴火による火山灰を確認した。研究成果は国際科学誌で報告した。 100~200年置きという高い頻度で噴火したとみられ、横山祐典東京大教授(地球システム学)は「過小評価できない活動があったと言える。今後の防災計画や避難経路策定に活用できるのではないか」としている。 チームは湖底や周辺の陸上で地下の地層8千年間分を調査し、年代測定に利用できる、ごく弱い放射線を出す炭素を採取して分析した。1998年
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富士山 山梨側で山開き 県「混雑予想カレンダー活用を」
富士山は1日、山梨県側の吉田ルートが山頂まで全面開通する。静岡県側の富士宮、須走、御殿場の3ルートの開通は10日。富士山世界遺産登録10年の今年の夏山シーズンは新型コロナウイルス下の行動制限がなくなり、昨年と比べて登山者の大幅な増加が予想される。山小屋によっては感染対策を継続する。 県は山頂付近での混雑をできるだけ避けるために「混雑予想カレンダー」を参考に登山計画を立てるよう呼びかけている。静岡、山梨両県などで構成する富士山世界文化遺産協議会が2017年夏から、週末や祝日に集中しがちな登山者を平日に誘導する平準化対策として運用を始めた。 今夏は金、土、日曜のほか、お盆期間を含む8月第2、
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富士山入山料義務化6割反対 登山者負担増を懸念【富士山世界遺産10年 山小屋アンケートから㊦】
静岡、山梨両県が富士山世界遺産登録後の2014年から登山者を対象に本格導入した入山料(保全協力金、1人1000円)。現状は任意徴収だが、両県は公平性確保の観点から、自治体が独自に課税する「法定外目的税」として義務化を検討している。富士宮、須走、御殿場の静岡県側の山小屋経営者を対象に静岡新聞社が行ったアンケートでは、回答した20事業所のうち6割に当たる12事業所が税徴収に反対した。賛成したのは1事業所だけだった。 反対の主な理由は「(コロナ下の宿泊定員減に伴い)料金を値上げした山小屋が多く、さらに登山者の負担が増すことになる」(富士宮)、「登山者の減少につながる」(須走)など登山者の負担増
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富士山頂付近の安全誘導員増 静岡県議会
村松スポーツ・文化観光部長は、新型コロナウイルス下の行動制限がなくなり登山者の増加が予想される今年の夏山シーズンの富士登山について、山頂付近で誘導員を増やすなどの安全対策を進めると説明した。木内氏への答弁。 村松部長は、登山者の大幅な増加に伴い「弾丸登山による遭難事故の発生が懸念される」と指摘し、対策として静岡県側の登山道の8合目から上の区間に安全誘導員を5人配置し、コロナ下前の2019年の3人から増員するとした。 啓発動画や登山道の当日の気象状況をSNSで発信するほか、旅行業者やスポーツ用品店に啓発用のチラシを配り、「弾丸登山や日帰りの軽装登山の危険性に関する情報を重点的に発信する」と
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「コロナ下の宿泊定員維持」半数 来訪者管理、進展の可能性【富士山世界遺産10年 静岡新聞社 山小屋アンケートから㊤】
静岡県側の富士登山ルートにある山小屋の約半数が、新型コロナウイルスの影響で2022年までに減らした宿泊定員を今年も維持することが、28日までに静岡新聞社が県内の山小屋経営者を対象に行ったアンケートで分かった。回答を寄せた23軒のうち、定員をコロナ前の19年の水準に戻すと回答したのは1軒にとどまった。富士山は13年の世界遺産登録時に「過剰利用」が指摘され、来訪者管理の対策は依然、足踏み状態。山小屋の収容人数の変化を契機に課題解消に向けた議論が進展するか、関係者は注目している。 アンケートは6月上中旬に行い、電話やメールで回答を受けた。富士宮、須走、御殿場の各登山ルート5合目以上にある25軒の
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記念横断幕で盛り上げ 小山・須走、登山道周辺の清掃も
小山町須走地区の須走まちづくり推進協議会などはこのほど、富士山世界遺産登録10周年を記念した横断幕や街灯フラッグを地区に飾り付けた。富士山の構成資産である東口本宮冨士浅間神社や須走口登山道入り口の美化活動も行い、節目の年に登山者や観光客を気持ちよく迎える準備を進めた。 「祝 富士山世界文化遺産10周年」と書かれた横断幕は縦90センチ、横10メートルで、冨士浅間神社付近の歩道橋に掲げた。縦120センチ、横40センチのフラッグは冨士浅間神社と富士山、桜が共演した鮮やかなデザインで、同地区の須走本通りの街灯41本に掲示。 同協議会の外川利光会長は「地区の盛り上がりも増している。富士山世界遺産登
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富士山世界遺産10年 壮大、優雅 四季の霊峰【写真特集/動画】
日本のシンボル、富士山が世界遺産に登録されてから10年を迎えた。天高くそびえる霊峰は、信仰の対象として、芸術を生み出す源として、また季節の移ろいを感じさせてくれる故郷の風景として静岡県民に寄り添う。四季折々で見せてくれるさまざまな表情を県内各地から切り取った。(写真部・小糸恵介、杉山英一、久保田竜平)
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価値継承へ決意新たに 富士山世界遺産登録10年 静岡、山梨両県が式典
静岡、山梨両県などは22日、富士山の世界遺産登録10年を記念する式典を東京都内で開いた。静岡の川勝平太、山梨の長崎幸太郎両知事が「富士山の普遍的価値を守り伝えながら、世界に冠たる地域への発展を目指す」との共同宣言を発表し、関係者約350人と共に環境保全や価値継承への決意を新たにした。 川勝知事は2013年6月の登録決定の瞬間を「感動的だった」と振り返り、今後に向けて「日本の自然と文化の顔として恥ずかしくないよう具体的課題を地道に解決する」と述べた。長崎知事は7月1日からの富士山夏山シーズンで多くの登山者の来訪が見込まれることを念頭に「(過剰な数の観光客が訪れる)オーバーツーリズムを解消し、
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富士山の山小屋など無料Wi―Fi 山開きの7月10日から28カ所
静岡県と通信事業者ワイヤ・アンド・ワイヤレス(東京)は富士登山者の通信環境整備のため、無料の「富士山Wi-Fi(ワイファイ)」を提供する。山小屋など28カ所にアクセスポイントを設置する。期間は開山期に合わせた7月10日~9月10日。 2017年度に両者が結んだ連携協定に基づき、富士宮、御殿場、須走の各登山ルートの5合目以上にある山小屋と関連施設でサービスを提供する。利用できるのは登山口別で富士宮10カ所、御殿場6カ所、須走12カ所。
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ももクロ・百田さんらお祝い動画「見ると頑張ろうと思える存在」【富士山世界遺産10周年】
22日に東京都内で開かれた富士山世界遺産登録10年記念式典の会場で、静岡、山梨両県ゆかりの著名人によるお祝い動画が放送され、節目の日に彩りを加えた。 メッセージを寄せたのはアイドルグループ「ももいろクローバーZ」の百田夏菜子さん(浜松市出身)、タレント勝俣州和さん(御殿場市出身)、漫談家綾小路きみまろさん(山梨県富士河口湖町在住)、落語家三遊亭小遊三さん(同県大月市出身)の4人。 百田さんは浜松市から仕事で都内へ向かう新幹線の車窓から富士山を眺め、「見ると頑張ろうと思える存在だった」と振り返った。御殿場市で富士山を身近に感じながら育った勝俣さんは「富士山はおやじのような厳しさとおふくろの
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弾丸登山抑止など課題 記念式典で知事や有識者言及【富士山世界遺産10周年】
東京都内で22日に開かれた富士山世界遺産登録10周年の記念式典では、静岡、山梨の両県知事や有識者らが保全管理を巡る今後の課題に言及した。十分な休息を取らずに夜通し山頂を目指す「弾丸登山」の抑止や、入山者数の管理、財源の確保などが必要だとの認識を示した。 今夏は新型コロナウイルスの規制解除の影響で登山者の大幅な増加が見込まれている。報道陣の取材に応じた静岡県の川勝平太知事と山梨県の長崎幸太郎知事は、山小屋が満室状態になることで弾丸登山が増えると懸念した。 川勝知事は、登山口に向かう最終バスの時間を繰り上げるといった対策を説明した。その上で「今後、どのような工夫が必要か。今年の状況に応じて検
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文化庁調査官として登録事務に携わった 本中真氏(奈良文化財研究所長)インタビュー【富士山世界遺産10年】
文化庁の主任文化財調査官として富士山をはじめとする国内の世界遺産登録事務に携わってきた本中真氏(68)=奈良文化財研究所長=に、富士山世界遺産登録の意義や今後の保全管理に向けた課題を聞いた。 -登録10年の歩みをどうみるか。 「国連教育科学文化機関(ユネスコ)から指摘された課題を一つ一つ乗り越える中で、一番の成果は静岡、山梨両県の努力によって世界遺産としての顕著な普遍的価値(OUV)が受ける影響を予測・評価する『遺産影響評価(HIA)』の仕組みができたことではないだろうか。景観関連の条例制定などの取り組みを経て、2021年度からはHIAのマニュアル運用が始まった。事業者らが法律の範囲内だ
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富士山世界遺産登録10年 十大ニュース 静岡新聞社×山梨日日新聞社
富士山の世界遺産登録10年の節目に静岡新聞社と山梨日日新聞社は合同で、この間の富士山に関する十大ニュースを選んだ。元号が平成から令和に変わる中、保全や景観改善、文化的な価値を伝える取り組みがなされた。新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の事態は、霊峰に携わる人々の営みにも影響を及ぼし、東京五輪・パラリンピック自転車競技など世界的なスポーツの祭典も山麓で繰り広げられた。 夏山期間の登山道閉鎖(2020年7~9月) 5合目から頂上に向かう全ルートが史上初の閉鎖となった富士山。山頂の富士山本宮浅間大社奥宮周辺も人影はなく、荒々しい山肌が目立った=2020年8月9日、富士宮市上空(静岡新聞
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無二の山 魅力伝える 富士山世界遺産登録から10年 「使命」「愛情」住民地道に
信仰と芸術の源として日本人の心に無二の存在としてそびえる富士山。22日の世界遺産登録10年の節目に再び関心が向けられる中、地元には文化的価値と魅力を継承しようと地道に取り組む人たちがいる。 構成資産になった村山浅間神社(富士宮市)の責任総代寺田数夫さん(73)は、信仰の歴史を広める活動に汗を流す。かつて境内にあった冨士山興法寺は平安末期から江戸期に富士修験の一大拠点として栄えたとされ、開閉山や「峯入(みねい)り」の儀式が今も残る。 「数ある構成資産の中でも特に深い歴史を、正しく継承する使命がある」。朽ちつつあった寺の大日堂はこの10年間で修理され、来訪者を受け入れる施設は急速に充実した。
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登山者の噴火避難 多様な想定で検討必要【富士山世界遺産10年 未来への宿題④完】
6月中旬の富士山須走口5合目。横浜市旭区の会社員伊藤恭子さん(50)は友人らと3人で8月上旬に予定する初の富士登山を前に、山小屋や登山道の下見をした。3人とも噴火に備えた富士山火山避難基本計画の存在は知っていたが、詳しい内容は確認していないという。富士山はピーク時に1日当たり約8千人が登る。伊藤さんは噴火の危険性が高まった場合について「もし8合目や山頂付近にいたら、慌てずに下山できるだろうか」と不安を口にした。 最初から読む ▶︎メガソーラー懸念今も 山麓開発制御、市町で差異【富士山世界遺産10年 未来への宿題①】 避難計画は静岡、山梨、神奈川の3県などでつくる富士山火山防災対策協議
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大自在(6月22日)富士山ナンバー
マイナンバーのトラブルが続き政府は対策本部を設置した。先週の共同通信世論調査で、7割超が保険証一体化などマイナカード活用拡大に不安を感じるとした。 郵便、スマホ、預貯金…。身の回りにはいろいろな番号がある。車にはナンバープレートが付いていて、有料道路の料金収受、納税や自賠責、警察業務などに使われている。 管轄する運輸支局等の名称ではなく、なじみ深く地域の一体感があるご当地ナンバー。「富士山」(2県の12市町村)は2008年秋に登場。交付初年度は2万台だったが、富士山世界遺産登録の13年度までに17万台、今年3月で27万台(静岡側22万台強、山梨側5万台弱)と置き換えが進んだ
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富士山世界遺産10年記念 切手セット限定販売 静岡県内郵便局
日本郵便東海支社は富士山の世界遺産登録10年を記念した切手セットを22日から、静岡県内の郵便局で限定販売する。根岸一行支社長ら関係者が21日、県庁に川勝平太知事を訪ね、報告するとともに切手セット1部を贈呈した。 84円のフレーム切手10枚組で、A4判の台紙付き。山麓の県内市町から写真の提供を受け、裾野市のコスモス畑や富士市大淵笹場に広がる茶園越しの富士山、同市の富士川水管橋と逆さ富士など、四季折々の富士山の景観をデザインした。 根岸支社長は「海外の人へのお土産に最適。多くの人が富士山に来てもらうきっかけになれば」と話し、川勝知事に切手セットを手渡した。知事は「世界遺産登録10周年にふさわ
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外国人登山者に「やさしい日本語」 静岡県が観光事業者ら向け講座
静岡県は19日、富士山開山を前に、観光、交通事業者ら14人を対象に、外国人登山者と会話を円滑にするための「やさしい日本語」講座を沼津市の県東部総合庁舎で開いた。 東京都五輪・パラリンピック準備局で多言語担当を手がけた「サステナブルタウン」萩元直樹代表が講師を務めた。萩元代表によると、表示はピクトグラム、日本語、やさしい日本語、英語のセットが原則。小学校低学年の語彙(ごい)の日本語と自動翻訳を組み合わせると、最も効率的な多言語対応になるという。 参加者は一文を短くする、オノマトペに頼らないなどのこつを意識し、富士山で使う発言の言い換えに挑戦した。萩元代表は「相手の立場になって伝えようとする
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構成資産は今 保全の担い手どう確保【富士山世界遺産10年 未来への宿題③】
世界遺産富士山の構成資産の一つ、静岡市清水区の三保松原。梅雨の晴れ間が広がった17日、ボランティアが枯れ落ちた松葉を拾い集める作業に精を出した。「松葉かき交流会」と題した200人規模の清掃活動。松葉はかつて焚(た)き付けの材料として住民が日常的に収集していたが、現代では“不用物”。松葉の堆積による腐葉土は雑草や他の樹木が生い茂る原因となる。松の生育に悪影響を及ぼすため、定期的な松葉かきが欠かせない。 松葉かき交流会を主催したのは、一般社団法人三保松原3ringsプロジェクト。「三保松原の美しい景観を千年先に」を合言葉に、市民や企業経営者、学生らが集まって週1回の活動
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富士山を追った写真家・清水緑を紹介 富士で展示会
昭和期に富士山を追った写真家清水緑(1884~1971年、東京)の作品を集めた展示会「冨嶽(ふがく)真景」が7月2日まで、富士市の富士山かぐや姫ミュージアムで開かれている。26~30日は休館。 清水緑は、歌川広重などの浮世絵から影響を受け、富士山を撮り始めた。合成や着色をしない「ありのままの山」を捉えることに熱意を注ぎ、連日のように富士山周辺に通いフィルムカメラで撮影した。アマチュア写真家ながら出版社や政府などから多くの評価を受けたとされる。 展示では、同館が家族から寄贈を受けた昭和初期の23点を紹介している。箱根の山や松崎町の海岸から撮影した写真など、富士山の手前に置く景色にこだわった
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富士山型のクリップ製作 イベントで配布へ 世界遺産10年記念
日本富士山協会はこのほど、富士山の世界遺産登録10周年を記念し、富士山型のクリップを製作した。静岡、山梨両県と富士山周辺市町村に提供した。各地のイベントなどで配る。 雲海がかかる霊峰をデザインした。赤、黄、白、青、黒の5個セット。台紙の裏面に、世界遺産の構成資産を紹介する冊子「富士山への道」と冊子「富士山自然の魅力」を閲覧できるQRコードを印字した。 過去に作ったことがなく、誰でも気軽に使えるグッズとしてクリップを選んだ。担当者は「手元に置いて使いながら富士山に関心を寄せてほしい」と話した。
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「著しい混雑」コロナで解消 登山者管理 再考の契機【富士山世界遺産10年 未来への宿題②】
6月上旬、山梨県の富士山吉田口5合目は国内外の観光客でにぎわっていた。5合目観光を含めた富士山への来訪者は2020~22年、新型コロナウイルスの影響で減少したが、今年はコロナ前の状況に戻りつつある。「外国人客が戻ってきているのが大きい」と富士山五合目観光協会の小佐野昇一会長。静岡、山梨両県側とも5合目以上の山小屋の予約も好調で、7月に始まる登山シーズンを前に富士山観光は「V字回復」の兆候を見せる。 半面、富士山世界遺産登録時、ユネスコ世界遺産委員会に過剰利用で阻害されていると指摘された「富士山の神聖さ」は再び脅かされることになる。コロナ前は開山の7~9月、おおむね20万~30万人が押し寄せ
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メガソーラー懸念今も 山麓開発制御、市町で差異【富士山世界遺産10年 未来への宿題①】
「信仰の対象と芸術の源泉」として2013年6月22日に富士山が世界遺産登録されてから10年を迎える。10年間の歩みを振り返りつつ、霊峰の価値を次世代につなぐための課題を考える。 富士山麓に広がる富士市大淵の南富士カントリークラブゴルフ場。世界遺産富士山の景観を守るため開発を制限する地域として設けられた「緩衝地帯」に隣接する。ここ数年、このゴルフ場を大規模太陽光発電施設(メガソーラー)に転用したいとの相談が同市に複数件寄せられていた。「景観保全の観点から望ましい活用方法とは言えない」。事態を重くみた市は2022年、ゴルフ場の敷地約38ヘクタールを3億1500万円で取得する決断を下した。
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富士山世界遺産10年 節目の年、霊峰と祝う 富士宮で記念祭
富士山世界遺産登録10周年記念祭(富士宮市、富士宮商工会議所青年部主催)が18日、同市の富士山本宮浅間大社大鳥居前で開かれ、記念標柱やラッピングバスを披露した。周辺の商店街のイベントも連動して多くの家族連れでにぎわい、全貌を現した霊峰とともに節目の年を祝った。 標柱はステンレス製で台形。富士山の湧水の恵みを受ける神田川広場に設置した。市によると、世界文化遺産登録を示す標柱は市内で初めてという。 ラッピングバスは側面いっぱいに山体が描かれ、「祝10周年」の赤い文字が目立つ。来年6月までの1年間、市内を循環する。 式典では、世界遺産のあるまちとして地元の活性化に取り組む市内の6団体をたたえ
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富士山世界遺産10年 節目を祝う感謝祭 地元中高生パフォーマンス 静岡・三保松原
三保松原を構成資産の一つとする富士山世界遺産の登録10周年を祝おうと17日、「三保松原特別感謝祭」が静岡市清水区三保の三保松原文化創造センターみほしるべで始まった。18日まで。 同センター前に出店が並んだほか、地元中高吹奏楽部らが屋外パフォーマンスを披露した。東海大静岡翔洋高吹奏楽部による演目では、部員約120人が音楽とともに踊ったり小芝居を演じたりする吹奏楽ショー形式で、ディープ・パープルメドレーやかっぽれFUNKなどの曲を約40分に渡って演奏した。祭りの一環で行われた三保松原フォトコンテンストの表彰式では地元静岡市清水区に関連する有名楽曲をモチーフにしたオリジナルファンファーレ「Dre
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強く優しく、思い新たに 富士市記念式典 高校生がメッセージ 富士山世界遺産10年
富士市は17日、富士山世界文化遺産登録10周年記念イベントを同市の交流プラザで開いた。高校生が節目を祝うメッセージを発表し、来場者ら約300人が強さと優しさをたたえた富士山への思いを新たにした。 富士市立高の3年生3人が「母に重なる」「富士山のような男に」「ずっと美しい存在」などと語った。ステージ上では、市民から募った富士山の写真2千枚を貼り合わせたモザイクアートを掲示。田子の浦から望む構図の大作に大きな拍手が送られた。 記念講演では、富士山の撮影で知られる写真家の橋向真さん(45)=静岡市=が「時代と共に変わる表現力」の演題で話した。迫力の霊峰を捉える活動を通じて、寒さや眠気と戦う苦労
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富士山世界遺産10年 静岡、山梨で共同宣言 22日、両県知事 価値継承を誓う
静岡、山梨両県は22日に都内で開催する富士山世界遺産登録10年を記念した式典で、静岡の川勝平太、山梨の長崎幸太郎両知事による共同宣言を行う。世界遺産登録10年の節目に合わせ、両県が連携し、富士山が持つ普遍的な価値を次世代に継承することを確認する。両県が16日に発表した。 関係者によると、共同宣言は、山梨県が富士五湖地域で「自然首都圏構想」を推進し、静岡県は日中韓文化交流事業「東アジア文化都市」の2023年日本代表都市に選ばれたことに触れた上で、富士山の価値を共に継承、発信し、世界に誇る地域を目指すとうたう。 式典は両県などの主催で、国会議員や地元首長ら関係者のほか、一般参加者も合わせて約
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富士山富士宮口 20日、6合目まで冬季閉鎖を解除
静岡県は15日、富士山富士宮口5~6合目の冬季閉鎖(全面通行止め)を20日午前9時に解除すると発表した。登山道の積雪がなくなり、案内標識の設置や誘導ロープの補修といった安全対策が整った。 県道路保全課によると、規制解除日時は昨年と同じで、例年並み。5合目周辺を巡るハイキングコースの散策や宝永山へのアクセスが可能になる。6合目から山頂までの登山道は冬季閉鎖を継続する。
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富士山「弾丸登山」やめて 客数制限求め、地元が要望書
富士山周辺の山梨県側自治体が12日、登山客数の制限を求める要望書を県に提出した。自治体側によると、今夏は新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを5類に移行して初めての登山シーズンで、山小屋に宿泊予約が殺到。自治体側は予約を取れなかった人の「弾丸登山」による事故増加を懸念している。 富士吉田市の堀内茂市長らが県庁を訪れ、長田公副知事に手渡した。堀内市長は「過去に例を見ない予約の多さだ。狭い登山道に人が押し寄せれば、高山病や低体温症になる人がさらに増えてしまう。一時的に入山規制してもらわないと安全を守れない」と強調した。長田副知事は、自治体と意見交換の場を設け、対応を検討すると述べた。 要
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ウイスキー製造用大型蒸留器で「水のまち」PR 御殿場駅前に設置
御殿場市とキリンディスティラリー(押田明成社長)は10日、今年で50周年を迎えた同社の富士御殿場蒸溜所が操業開始以来ウイスキー製造に使用してきた大型のポットスチル(蒸留器)を、JR御殿場駅箱根乙女口ロータリーに設置した。富士山の伏流水を生かした市の魅力ある産業を市民や観光客に伝える新たなシンボルとして活用する。 同市は2021年12月に御殿場の魅力を市民や市外在住者に問う投票を実施。「御殿場の水」が上位に入ったことを受け、「水が育む御殿場の魅力PR事業」を展開している。同社から蒸留器の更新にあたり、思い出が詰まった産業遺産の寄贈の提案を受け、駅前への移設が実現したという。 蒸留器は銅製で
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広重VS北斎 富士山画頂上決戦 静岡市清水区の美術館で企画展
富士山世界文化遺産登録10周年を記念し静岡市清水区由比の東海道広重美術館でこのほど、共に風景版画で名をはせた江戸期の浮世絵師歌川広重と葛飾北斎の富士山画を紹介する企画展「広重か北斎か 二人が描いた富士の景」が始まった。7月9日までのパート1と同月11日~8月13日までのパート2で作品を入れ替えながら展示する。 北斎の「冨嶽三十六景」と広重の「不二三十六景」「冨士三十六景」の3シリーズを中心に並べ、芸術的で大胆な画面構成が光る北斎と、各地固有の景観を季節感や気候を取り入れながら描き出す広重のそれぞれの特長が表れた展示内容に仕上げた。広重の描く富士山が、北斎の影響を思わせる山頂に向かって細まっ
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富士山開山まで1カ月 山小屋、早くも満員続出 「弾丸」増に懸念
新型コロナウイルスの感染症法の位置付けが5類に移行し、初めての夏の登山シーズンを迎える富士山の山小屋に、宿泊予約が殺到している。開山1カ月前にもかかわらず、既に多くの日が満員になる異例の速さで推移する。水際対策の緩和で海外からの需要も増し、登山者はコロナ禍前を上回るとの見方もある。一方、山小屋の多くは感染対策に配慮した新たな様式を維持し、コロナ禍で減らした宿泊定員を若干の増加にとどめる方針。受け入れの容量を超えれば弾丸登山の増加やトイレ処理の問題が生じる恐れもあり、関係者は懸念を募らせる。 富士宮口の元祖7合目山口山荘は、今夏の宿泊客の受け入れ予定をコロナ禍前の3分の2に当たる1日120人
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「大わらじ」御殿場駅に 祭り保存会が設置
富士登山の最盛期に合わせて登山者の安全を祈願する8月の「御殿場わらじ祭り」に向けて、祭り保存会のメンバーらが製作した大わらじが3日、JR御殿場駅構内にお目見えした。市民や観光客らが御殿場の夏のシンボルを前に、記念撮影を楽しんでいる。9月上旬まで展示される予定。 大わらじは高さ約3メートル、幅約1.2メートルの1足。保存会メンバーやボランティアらが、木枠にわらの縄を巻き付けて形づくった後、わらをより合わせて鼻緒などを作った。迫力ある大わらじの横には由来を紹介した木製の看板も設置。杉山和広会長(64)は「外国人観光客なども興味を持って写真を撮っていく。多くの方に見てもらい、祭りにも来ていただけ
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吉野保五郎選、梅寿写 「吉原宿田子之浦絵図」(文政年間)/静岡県富士山世界遺産センター【コレクションから⑤】
富士山参詣 多くの楽しみ スマートフォンが広く普及した現在でも登山の必需品とされる紙の地図。その重要性は、江戸時代に富士山に参詣した人々にとっても同様で、彼らの便に供するために、麓から山頂までのルートや施設を描いた登山案内図が数多く作られている。 本図はその一つで、現在の富士・富士宮市域のほぼ全域を収めた肉筆のもの。当時の大宮・村山口登山道やその派生経路、東海道などの街道を朱線で示し、建造物などのアイコンとともに、集落名や施設名が記される。 また、「浮島沼のウナギ」「本(元)市場の白酒」「芝川の富士海苔[のり]」といった名物や、「東海道左富士」「狩宿の下馬桜」などの名所も記載され、富
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富士山保全の協力者証を刷新 地元材使用 木札ストラップに
静岡県は富士山世界文化遺産登録10年を記念し、今年から「富士山保全協力金」(1人千円)を払った人に配布する協力者証をリニューアルする。これまでの缶バッジから、富士地域のブランド木材「富士ヒノキ」を使った木札ストラップに変更する。 縦6・5センチ、横3・5センチの大きさで、世界遺産登録10年の記念ロゴを印字した今年限定デザイン。ストラップの色は道間違い防止に役立つように富士宮口で配布するのは青、須走口は赤、御殿場口は緑と各登山道の標識の色に合わせた。 静岡県富士山世界遺産課の担当者は「富士山麓の木材を身に着けて富士山を登ることで、環境保全に関する意識を高めてもらえればうれしい」と話した。
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山梨の消防団で「富士山隊」発足 噴火時、登山客の避難誘導 富士吉田
山梨県富士吉田市は30日、市消防団内に、富士山噴火時の登山客の避難誘導に特化した「富士山隊」を結成した。団員は富士山の地形や気候に精通した、山小屋や5合目にある施設のオーナーら20~70代の18人。市などによると噴火対策に特化した消防団組織は全国初とみられる。 市によると、噴火警戒レベルが上がったり噴火したりした場合の迅速な避難誘導を担う。 各施設は具体的な避難方法を定めており、隊を結成して連携することでよりスムーズな安全確保を目指す。 隊長に就任した5合目の売店オーナー小佐野昇一さん(56)は「これから登山シーズンになるので、一丸となって安心安全に努めたい」と意気込んだ。 富士山は今夏、新
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富士登山 コロナ禍で変化は 入山激減 来訪者の満足度向上、山小屋は苦境【ニュースを追う】
6月に世界文化遺産登録10周年を迎える富士山。新型コロナ禍により2020年に史上初めて夏山閉鎖となり、2年ぶりに開山した21年は、おおむね20万~30万人で推移してきた登山者数が山小屋の定員縮小などで7万8千人に激減し、22年も16万人にとどまった。ユネスコ世界遺産委員会の勧告に基づき静岡、山梨両県が混雑緩和や適正な来訪者管理を模索する中、予期せず実現した“人の少ない富士山”は、登山者や山小屋関係者にどのような変化をもたらしたのか。両県などで組織する富士山世界文化遺産協議会が今後の富士登山の在り方を考えるために実施した影響調査から読み解く。(東京支社・関本豪、中村綾子
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富士山と権威 歴史背景解説 富士宮、世界遺産センターで講座
富士宮市の県富士山世界遺産センターはこのほど、富士山の世界文化遺産登録10周年の記念企画展に係る講座「徳川将軍と富士山」を同センターで開いた。富士山が日本の象徴として国内に浸透した歴史背景を松島仁教授がひもといた。 松島教授は歴代将軍が多くの時間を過ごしたとされる江戸城本丸御殿中奥休息の間には、霊峰が将軍の真後ろになるよう描かれていたことを紹介し、権威を象徴する将軍と富士山の一体化を表しているとの見解を示した。1860年代に遣欧使節団が贈答品に用いた掛け軸10幅のうち1幅は必ず富士山が描かれていて、世界に誇れる名山として国内で認識されていたと分析した。 富士山の権威を示す作品として、狩野
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北斎が描いた風景、看板に「茶園ノ不二」を紹介 富士市で除幕式
富士市は25日、江戸時代の浮世絵師葛飾北斎が描いた同市の風景をPRする看板の除幕式を、同市の富士総合運動公園西側駐車場で行った。 富士市の風景が3点含まれるとされる「富嶽(ふがく)三十六景」のうち、広大な茶園での茶摘みや運搬の様子を題材にした「駿州片倉茶園ノ不二」を紹介する看板。設置場所近くには片倉の地名が残り、現在も富士山と茶園を一望できる。地域で活動する「富士市に残る北斎の足跡を辿(たど)る会」からの要望を受けて設置した。 除幕式では、同作が教材にも取り上げられている意義を市の担当者が説明し、地域の協力に謝意を述べた。同会発起人の木内陽子さん(77)は「作品の景色を身近に感じて共有す
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富士山麓、初夏の訪れ アシタカツツジ見頃 牧野富太郎氏命名の花
富士山麓に自生する落葉低木「アシタカツツジ」の花が見頃を迎えた。裾野市須山の原生群落では紅紫色のかれんな花が咲き誇り、市街地より一足遅い初夏の訪れを告げている。 標高800~1500メートルに分布する珍しいツツジで、連続テレビ小説「らんまん」のモデルとして話題の植物分類学者、牧野富太郎氏(1862~1957年)が命名した。市によると、春先から温暖な日が続いた今年は例年より開花が1週間から10日ほど早く、原生群落の見頃は今月26日ごろまでという。 原生群落は私有地の別荘地内にあり、市は摘み取りや指定区域外への立ち入り禁止など観賞マナーの徹底を呼びかけている。
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富士山麓歩いて楽しもう 小山町でスタンプラリー
小山町は12月21日まで、富士山麓と箱根外輪山を結ぶトレッキングコース「富士箱根トレイル」のスタンプラリーを行っている。春から初夏は季候が良く、コースが多くの花々に彩られるとして同町の担当者が参加を呼びかけている。 富士山5合目から西丹沢と呼ばれる三国山稜、湯船山、不老山を経て足柄山系の金時山までを縦走する全長43キロのコース。5月中旬から6月にかけ、富士山麓周辺に自生するサンショウバラの群生を観察できる。 スタンプラリーは専用アプリ「ヤマスタ」で参加する。コース上の12カ所のチェックポイントでデジタルスタンプを獲得する。足柄峠では同町ゆかりの金太郎と熊が相撲を取る場面が描かれているなど
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富士山頂の活用継続を 鴨川仁/静岡県立大特任教授【提言・減災】
富士山における防災や科学というと火山噴火の監視が最初に思い浮かぶであろう。しかし、日本最高峰のみならず孤立峰であるその特徴的な形状から、現在のような技術発展がなされるはるか前から富士山は科学利用されてきた。古くは江戸時代までさかのぼり、初めて実測による日本地図を完成させた伊能忠敬は、測量で富士山を利用していた。 幕末には、国内外の人々が富士山から気象観測を行っていた。高所での気象観測は気象予報の精度を向上させる。1895年には野中到夫妻が高所での世界初の山頂越冬気象観測を試みたが、高山病などのため約3カ月で下山せざるを得なかった。その後、中央気象台(現・気象庁)の職員などで越冬観測を試み、
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「逆さ富士」水田に 裾野市深良地区、撮影スポット
裾野市深良地区で田植えが始まり、晴れた日には水をはった田んぼに「逆さ富士」がお目見えしている。 同地区は水田のすぐ横をJR御殿場線が通る「電車と逆さ富士」の撮影スポットとして知られる。朝から快晴が広がった10日は、山頂付近に雪化粧の残る富士山が出現。早苗田に霊峰の逆三角形と電車が走る姿が映し出され、この季節ならではの光景が広がった。
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今国会で活火山法改正を 静岡県など推進連盟、決起大会 都内
火山災害警戒地域に指定されている静岡県など23都道県で組織する火山防災強化推進都道県連盟と、全国167市町村でつくる火山防災強化市町村ネットワークは8日、都内で総決起大会を開いた。決議を採択し、火山調査研究推進本部の新設や火山現象に関する専門人材の育成を柱とする活動火山対策特別措置法(活火山法)の改正を、今国会で実現するよう求めた。 法改正に向けては自民党の火山噴火予知・対策推進議員連盟が3月、改正案の骨子を取りまとめた。骨子では、推進本部を文部科学省内に設置し、火山の観測、測量、調査および研究を一元的に行うと規定。情報通信技術を活用して住民に迅速かつ的確に避難情報を伝えたり、国民の関心・
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人馬一体、4年ぶり勇壮に流鏑馬 富士宮・浅間大社
富士宮市の富士山本宮浅間大社は6日までの3日間、伝統の流鏑馬(やぶさめ)祭を4年ぶりに通常開催している。ハイライトとなった5日の神事流鏑馬式では、駆ける馬上から射手が次々と矢を放ち、人馬一体の妙技で観衆を沸かせた。 狩り衣装をまとった小笠原流の射手たちが馬にまたがり、楼門前の馬場を次々に駆け抜けた。途中2カ所の約50センチ四方の的をめがけて矢を放った。4年ぶりの神事を見ようと集まった多くの観客が馬場の両脇を埋め尽くし、カメラを構えた。的が射抜かれる度に「おぉー」と歓声を上げ、拍手を送った。 同祭は1193年に源頼朝が富士の巻狩りを行った際に武運長久と天下太平を祈って流鏑馬を同大社に奉納し
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富士山×茶畑 絶景パチリ 富士・大淵笹場「お茶まつり」盛況
富士市大淵の大淵笹場で3日、地元特産の茶をPRする「おおぶちお茶まつり」(大淵地区まちづくり協議会主催)が開かれた。富士山直下の茶畑に地元小中高校生らが扮(ふん)する茶娘が登場して撮影会を行った。本県を象徴する絶景を求め、県内外の写真愛好家が詰めかけた。 約2.8平方キロの茶畑が広がる大淵笹場は、人工物がほとんどない人気の撮影スポット。カメラマンは青空の下、くっきりと姿を見せた富士山と新芽輝く茶畑のバランスに気を配り、最高の1枚を求めて盛んにシャッターを切った。 写真クラブの仲間と訪れた大竹三代治さん(76)=御前崎市佐倉=は「素晴らしい景色。心が落ち着く」と笑顔を見せた。まつりは4年ぶ
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富士山麓 自転車で1周 富士宮市、スルガ銀など企画
スルガ銀行と富士宮市、東京電力パワーグリッド主催の自転車で富士山を1周するイベントが3日、同市役所発着で開かれ、県内外の自転車愛好家約40人が山麓の自然を堪能した。 コースは富士山を反時計回りに121キロを走り、道の駅すばしり(小山町)や、道の駅富士吉田(山梨県富士吉田市)など5カ所のチェックポイントを巡る。参加者は各所で自転車と写真を撮り「#宮ぽた」などのハッシュタグを付けてSNSで発信した。 最初のチェックポイントに指定された富士宮市の村山浅間神社では、鳥居と自転車を1枚に収めた。旅の安全を祈願して手を合わせる参加者の姿もあった。 イベントは昨年4回実施したのに続き開催した。好評を
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神秘的な「まぼろしの滝」出現 富士山須走口5合目付近 雪解けのせせらぎ
富士山の雪解けがピークとなる時期に見られる「まぼろしの滝」が須走口5合目付近に出現している。山肌に数時間だけ「川」が現れる神秘的な光景で、澄んだ水の流れる音が初夏の訪れを告げている。 山頂付近の雪解け水が溶岩流の跡を流れ落ちる現象で、例年は5月初旬から6月初旬ごろに現れるとされている。条件は富士山に積雪が十分に残っていて、気温が上がっていること。2日は午後1時ごろに水が流れ始め、県内外から訪れたハイカーたちがしきりにカメラのシャッターを切った。 須走口5合目駐車場から片道25分ほどの登山道が整備されている。山小屋の関係者によると、水量は午後2時前後に増すことが多い。今年は積雪量が少なく、
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霊峰背に 桜色まぶし 静岡・蒲原の河川敷 サクラエビ天日干し【動画あり】
駿河湾で春漁が続くサクラエビの天日干しの光景が28日早朝、静岡市清水区蒲原の富士川河川敷に広がった。富士山も姿を見せる青空の下、地元の加工業者がサクラエビを敷き詰め、干し場を桜色に染め上げた。 27日夜の漁では約28トンを水揚げしていた。河川敷には風物詩をカメラに捉えようとする写真愛好家や、干し場の間を散歩する観光客の姿も多く見られた。
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霊峰 土佐派と狩野派並ぶ 世界遺産センター登録10周年で記念企画展
富士宮市の県富士山世界遺産センターは29日から、富士山の世界文化遺産登録10周年記念企画展「美と祈りの霊峰(やま)富士山」を始める。7月3日までの前後期制で、前期は土佐派と狩野派の江戸時代の絵師二大流派による富士山の描き方などを見比べられる。 朝廷に仕えた土佐派からは、土佐光孚[みつざね]の「富士旭日図」を同センター初公開する。峰の横に赤色の丸い太陽を描いた構図は、現代人が思い浮かべる富士山の絵の源流に近いとされる。江戸幕府御用絵師の狩野派からは、狩野常信の「秋景富士三保清見寺図」を飾る。霊峰の広大な麓に三保松原と清見寺(静岡市清水区)が描かれ、紅葉や山頂の雪が秋の様子を表している。 山
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輝くダイヤモンド富士 富士宮・田貫湖、水面もキラリ
世界遺産富士山の山頂から太陽が昇る「ダイヤモンド富士」が27日早朝、富士宮市の田貫湖で見られた。 午前6時ごろに太陽が見え始め、キラキラとした光が少しずつこぼれる神秘的な光景が広がった。県内外から集まった写真愛好家らがシャッターを押した。ダイヤモンド富士は富士山山麓の一定範囲内で年2回、好天時に観賞できる。湖畔から眺める朝日が最も山頂中央付近を通るのは毎年4、8月の20日ごろと言われる。 横浜市から訪れた富士山写真愛好家の前川俊春さん(71)は「2日前にも来た時は天気に恵まれず撮影できなかったが、今回は強烈に輝く太陽光を撮影できて良かった」と話した。
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富士山火山避難基本計画改定 観光客は「帰宅」、複合災害も想定を 藤井敏嗣/検討委員長【インタビュー】
噴火に備えて改定された富士山火山避難基本計画。登山者や観光客の避難対策や降灰からの避難の考え方も新たに追加された。富士山火山広域避難計画検討委員会の藤井敏嗣委員長に改定のポイントと今後の課題を聞いた。 ―登山者や観光客は避難ではなく早期の「帰宅」となった。 「避難というと、近くの避難所に行くというイメージがあるためだ。避難所や避難路は地元住民に優先的に使ってもらう。観光客は噴火警戒レベル3に引き上げられるまでに帰宅し、5合目以上の登山者はそれよりも前のレベル2に相当する臨時の火山解説情報で下山する。要支援者や住民の避難と重ならないようにした。混雑の緩和には5合目以下の林道を整備し、複数
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富士山5合目への3県道、4月28日再開 冬季閉鎖解除
静岡県は21日、富士山5合目に通じる県道3ルートの冬季閉鎖(全面通行止め)を28日午前11時に解除すると発表した。除雪作業が完了する見通しが立ったため。 対象は富士宮口の富士山スカイライン(全長13キロ)、御殿場口の富士公園太郎坊線(同1・7キロ)、須走口のふじあざみライン(同11・5キロ)。富士山スカイラインは夜間に路面が凍結する恐れがあるため、当面は午後5時から翌日午前8時まで通行止めにする。 3ルートとも5合目より上の登山道は積雪で危険なため冬季閉鎖を継続する。
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田子の浦港に初の外国客船 乗客が自転車で富士周遊
富士市の田子の浦港に17日、外国客船「スターブリーズ」(1万2969トン)が寄港した。米国のタンデム自転車メーカーが愛好家向けに手がけたチャータークルーズで、同港に外国客船が来るのは1961年の開港以来初めて。乗客約300人は下船後、市内をサイクリングした。 午前9時ごろ、船からサイクルウエアを着た客が続々と港に降り立った。同市の観光大使「第37代かぐや姫クイーン」の山本怜奈さん(20)らが出迎え「良い一日を富士で過ごして」と英語で語りかけた。 乗客は自国から持ち込んだ自転車に乗り、海沿いや飲食店などを巡った。米ワシントンから訪れたシェリル・ダログさん(59)は「日本の自転車旅を紹介する
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富士山噴火避難、備え見直し 病院や学校、静岡県内230施設が計画作成へ
3月に公表された富士山の噴火に備える避難基本計画。ハザードマップの改定を受けて、旧計画を見直し、病院や福祉施設の避難、学校などの休校、児童生徒の引き渡しなど対策を強化した。市町から避難促進施設に指定された場合、施設は迅速で円滑な避難のため、避難確保計画の作成が求められる。県内では新たに約230施設が計画を作る見込みとなっている。富士山火山防災対策協議会は施設ごとの計画作りの検討事項を詳しく示した。 基本計画によると、避難確保施設に指定されるのは、第3次避難対象エリアより内側の入院、入所型の医療機関、福祉施設と、第4次避難対象エリアより内側の教育関連施設。県のまとめでは、保育園や学校が83
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富士山入山料 任意徴収の継続を報告 協議会
静岡、山梨両県や両県市町の代表者でつくる富士山世界文化遺産協議会は6日までに書面開催し、富士山の入山料について、当面は現行の「富士山保全協力金」1人千円の任意徴収を続ける方針を報告した。 3月に富士市で開いた同協議会作業部会の会合で、入山料の義務化はコストや登山客管理の面から課題が多く、すぐに実現するのは困難との検討結果を報告していた。 協議会ではこのほか、おおむね5年ごとに内容を見直している富士山来訪者管理計画第3期(2025~29年)の策定スケジュール案や、同協議会の23年度事業計画案を全会一致で承認した。同年度予算額は2千万円で、富士山世界文化遺産登録10周年記念式典を6月22日に
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霊峰望む「黄色いじゅうたん」 裾野・パノラマロード
裾野市の「パノラマロード」で菜の花と桜が見頃を迎えた。3月以降に気温が急上昇した今年は例年より1週間ほど開花が早く、雄大にそびえる富士山との共演を楽しむことができる。 同市今里から須山にかけての市道で、富士山に向かって延びる2・3キロ間に約170本の桜並木が続く。無料駐車場のある中間地点の公園「梅の里」周辺には菜の花の「黄色いじゅうたん」が広がり、園内の桜も満開を迎えた。抜けるような青空が広がった3日は雪化粧した富士山が全身を現し、写真愛好家や家族連れらでにぎわった。 パノラマロードは菜の花と桜のほか、アジサイやコスモスなど四季折々の花が沿道を彩る景勝地。市民有志らが植え替えている。
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富士山火山基本計画で対策追加 教育、福祉の現場に戸惑い 「逃げ遅れゼロ」へ入所者輸送、避難先確保
静岡、山梨、神奈川の3県などでつくる富士山火山防災対策協議会が29日に示した富士山火山避難基本計画は「逃げ遅れゼロ」を目指すため、対象エリア内の高齢者施設や病院、学校での避難対策が追加された。入所者の輸送手段や避難先確保、休校措置、引き渡しなどの検討が求められる。「人員確保が課題」「学校の事情に応じた助言を」-。山麓の福祉施設や学校からは戸惑いと地元自治体に支援を求める声が目立った。 溶岩流が3時間以内に到達する第3次避難対象エリアに市街地の大部分が含まれる富士宮市。避難確保計画の作成が見込まれる施設も多い。中心部に位置する市立大宮小の水村裕子校長は児童の引き渡しについて「溶岩流の到達時間
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富士山火山対策協 新基本計画を策定 溶岩流避難、自市町内が原則
静岡、山梨、神奈川の3県などでつくる富士山火山防災対策協議会は29日、会合を開き、噴火に伴う新たな避難方針をまとめた富士山火山避難基本計画を策定した。旧計画で火山災害警戒区域(3県27市町村)外への広域避難としていた方針を見直し、溶岩流からの避難は自市町内や隣接市町を原則とする。学校など教育関連施設の休校や病院、福祉施設の対策を詳しく定めた。新計画を基に県、市町は地域防災計画の改定を進める。 避難先の考え方を改めたのは2021年に詳細なハザードマップが示されたため。溶岩流の流下状況を見ながら、到達が予想されない場合は、火山災害警戒区域内であっても、自市町内や隣接市町への避難を検討する。近隣
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富士山マイカー規制 富士宮口63日間、須走口は51日間
静岡県は10日、富士山5合目につながる富士宮口の富士山スカイラインと、須走口のふじあざみラインのマイカー規制期間を発表した。富士宮口は想定される開山期間と同じ7月10日~9月10日の計63日間、須走口は7月14日~8月27日と9月1~3日、同8~10日の計51日間とした。 地元自治体や警察、交通事業者、山小屋関係者らでつくる各協議会が方針を決めた。 規制期間中に各5合目に向かうには、乗り換え駐車場にマイカーを止めてシャトルバスやタクシーを使用する。
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富士山富士宮口の新施設 事業費3億円増の39億円 静岡県見通し
静岡県は1日の県議会文化観光委員会で、富士山富士宮口5合目に整備する新来訪者施設の総事業費について基本計画見直しや物価高騰の影響で当初の予定から3億円増えて39億3千万円になるとの見通しを示した。 建設予定地の地質調査で、地下に強固な溶岩層があることが分かり、くいを打つ基礎工事に変更したことなどで約9億円の増額を、物価高騰の影響で約3億円の増額をそれぞれ見込んだ。一方で、延べ床面積を約1800平方メートルから約1600平方メートルに縮小するなど事業費を約9億円分圧縮した。 基本設計の見直しや、設計段階から施工業者の意見を取り入れる工事手法「ECI方式」の導入に伴い設計業務に遅れが生じてい
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富士山の日 2時23分に児童が採火 裾野陸上教室
裾野市の裾野陸上教室は23日、「富士山の日」を記念して同市運動公園で採火式を開いた。午後2時23分に合わせ、レンズを使って日光から種火を取った。 練習日だった強化指定選手の小学3~6年生40人が参加。油をしみ込ませた紙にレンズ越しの光を当て、火がともるとみんなで喜んだ。 同陸上教室は本県で富士山の日が制定された2009年に初めて採火し、令和への改元、夏の五輪開催などの記念イヤーに集めた火を合わせて保管している。2023年の語呂合わせで、再び富士山の日に採火した。 企画したコーチの江森甲二さん(66)は「子供たちの思い出として残り、将来は結婚式のキャンドルサービスに提供できれば」と話した
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富士山の日晴れ晴れ 山麓から世界平和の願い 富士宮・人穴 キッズゲルニカ26枚
富士宮市立人穴小関係者らでつくるキッズゲルニカ人穴実行委員会は23日、児童や保護者、地域住民で制作したキッズゲルニカ作品を、国内外で制作された他25枚とともに同市人穴の草原に並べた。ロシアのウクライナ侵攻から1年を迎えるのを前に、富士山の日に富士山麓から世界の平和を願った。 児童の発案で制作が始まった。各地で制作に関わる市内在住渡辺実さんの協力で、ウクライナやガザ、ゲルニカ、上海、福島、長崎、広島など国内外の子どもたちが手がけた作品を一堂に集めた。会場には児童や保護者、地元住民、他地域の関係者らが集まり記念撮影をしたり、平和への願いごとをボードに記したりした。 実行委の村沢宏樹委員長は「
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時代超え信望集める富士山 家康、霊峰と貴重な共演/甲斐の信玄、娘の平安願う/静岡・山梨両知事インタビュー【2月23日 富士山の日】
信仰の対象と芸術の源泉としての普遍的な価値が認められ、富士山が2013年6月に世界文化遺産に登録されてから今年で10年を迎える。 静岡、山梨両県を中心とした関係者はこの間、富士山の価値を後世に引き継ぐために登山者数の管理や災害の対応などさまざまな取り組みを進めてきた。 年明けに始まった大河ドラマで再注目される徳川家康も、富士山に高い信仰心を寄せた。県内各地に残るその事績は、時代を超えてあつい信望を集める富士山の存在をあらためて認識させる。 両県が定める富士山憲章や富士山基本条例は、私たち一人一人にも主体的な関わりを求める。きょうも雄大な姿を見せる富士山と、これからも共に歩んでいくために
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富士山富士宮口5合目新施設 2029年以降に供用開始か
静岡県が富士山富士宮口5合目に整備する来訪者施設の供用開始時期が、当初予定していた2028年から29年以降にずれ込む可能性が高いことが22日までに分かった。標高2400メートルと高地での作業であることに加え、噴石から登山者らの身を守るシェルター機能を施設に備えるのに「想像以上に高い施工技術が求められる」(県建築工事課)ためだという。県は設計段階から施工者の意見を取り入れる「ECI方式」の導入を念頭に、国内でも有数の技術力を持つ複数の施工業者から意見聴取を始めた。 県は造成工事を23年度から始める予定だったが、基本・実施設計の策定が24年度にずれ込む可能性が高まり、着工も1、2年遅れる見通し
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2月23日は富士山の日 華やかな春の共演 宗清寺【動画あり】
23日は富士山の日。富士市中之郷の宗清寺の梅園で紅白の梅が満開となり、世界遺産登録から10年を迎える霊峰と華やかに共演している。 高台に位置し、富士山から駿河湾まで見渡せる梅園では約80本が花盛り。22日は参拝者が「きれいだね」と愛らしい花を楽しんだ。メジロが蜜を求めて飛び交う様子も見られた。 同寺によると、見頃は3月上旬ぐらいまで。
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「富士山の日」記念乗車券 伊豆箱根鉄道 修善寺駅で23日販売
三島市の伊豆箱根鉄道は富士山の日(23日)に合わせ、駿豆線の記念乗車券を伊豆市の修善寺駅で販売する。 三島―修善寺の往復乗車券を1枚に収め、走行する列車と撮影した富士山の写真も掲載している。2023年と2月23日がいずれも「ふじさん」の語呂並びとなる上、世界文化遺産登録から10周年も記念して発売する。実際に乗車しても、降車の際に改札の窓口で無効印を押せば乗車券を記念に持ち帰ることもできる。 税込み価格は1040円。乗車期間は3月末までで、往路利用から2日間まで有効。23日は修善寺駅のコンコースに販売ブースを設置し、限定223枚が売り切れ次第終了とする。問い合わせは修善寺駅<電0558(7
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世界遺産登録10年祝う 霊峰を後世へ、継承の思い新た 沼津でフェスタ
静岡、山梨両県が条例で「富士山の日」と定める23日、世界文化遺産富士山を顕彰する「『富士山の日』フェスタ2023」(両県主催)が沼津市で開かれた。関係者約350人が参加し、今年の世界遺産登録10年を祝うとともに、富士山の環境保全や普遍的な価値の継承に思いを新たにした。 静岡県の川勝平太知事は、今年の日中韓文化交流事業で県が日本代表都市に選ばれたことや、山梨県が富士五湖地域で取り組む「自然首都圏構想」を取り上げ、「(富士山の顕彰に)追い風が吹いている」と期待した。「富士山の普遍的な価値を確実に後世につなぐ」と決意を述べた。 山梨県の長崎幸太郎知事は、富士山麓の自然と都市機能の融合を目指す同
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「じいじの富士山」闘病支えた写真群 沼津出身の実業家高木さん 亡き祖父の作品展示 都内で23日から
「じいじが遺した写真を多くの人に見てほしい」。沼津市出身の実業家高木龍さん(28)=川崎市=が23~26日、4年前に82歳で亡くなった祖父市野道弘さんが捉えた富士山の写真展を都内で初開催する。難病で闘病していた高木さんの心のよりどころだった祖父が、35年にわたりフィルムカメラで四季折々の霊峰を撮影した約40点を展示する。 高木さんは幼少時代、御殿場市に住む祖父の撮影に何度も付いていった。そこで見たのは、天候に左右され思い通りに撮影できなくても、愚痴一つこぼさず富士山を撮り続ける祖父の姿だった。 沼津高専入学半年後に難病を発症した高木さんは3カ月強の入院で、毎週のように手術を強いられた。
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富士山周辺の自然 特徴や歴史紹介本 日本富士山協会
静岡、山梨両県の自治体や観光団体でつくる日本富士山協会はこのほど、富士山と周辺の自然を紹介するガイドブック「富士山 自然の魅力」を作成した。 B5判28ページ。富士山や麓の滝、湖、湧水などの写真を掲載し、特徴や歴史を紹介。「どうして均整のとれた姿なの?」「どうしてたくさんの湖ができたの?」など八つの項目に分けて富士山の魅力をつづった。 上野裕吉事務局長(73)は「富士登山の時に注目されづらい洞穴や高原についても載せた。初めて作成したシリーズなので、登山者以外も手にとってほしい」と話した。 2万部を発行。静岡、山梨両県の富士山周辺13市町村の道の駅や観光案内所に置く。
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富士山来訪者管理計画 コロナ影響考慮し見直しへ 学術委、検討体制など承認
有識者でつくる富士山世界文化遺産学術委員会の会合が14日、都内で開かれ、富士山の来訪者管理計画の見直しに向けた検討体制とスケジュールを承認した。事務局の静岡県担当者は、新型コロナ禍が富士登山に与えた影響も考慮して指標の評価や新たな数値設定をする方針を示した。 見直しは静岡、山梨両県などによる富士山世界文化遺産協議会が取り組む。学術委は小委員会を設置し、学術的見地から助言に当たる。2023年度と24年度の夏山シーズンのモニタリング(監視)結果も踏まえて議論を重ね、24年度末の見直し案決定を目指す。 来訪者管理計画は世界遺産登録時の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会からの勧告を受
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富士山麓包む 炎と煙 東富士演習場 野焼き計画通り終了
富士山麓に広がる陸上自衛隊東富士演習場(御殿場市、裾野市、小山町)の野焼き作業が4日、行われた。主催団体によると、計画通り作業を終えた。演習場全体の約3分の1に当たる約2745ヘクタールの下草やカヤを焼いた。 過去に積雪などの影響で延期になることが多かったため、天候の影響を受けないよう日程を例年より1週間前倒しし、当初の予定日に実施した。 地元関係者と自衛隊員の計約910人が4作業区39班に分かれて作業を進めた。午前9時半に着火すると瞬く間に燃え広がり、富士山麓は炎と煙に包まれた。 各作業区と統括本部で30分ごとに風速や湿度を測るなど、作業員3人が焼死した2010年の事故後に取り入れた
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富士山世界遺産登録10年 掛け軸「富士飛鶴図」など都内で初公開
静岡県富士山世界遺産センター(富士宮市)は4、5日、富士山の世界文化遺産登録10周年を記念した企画展「富士山 芸術の源泉」として、富士山の文化や歴史を象徴する収蔵品を都内で初めて展示する。首都圏での同センターの認知度向上や、世界文化遺産としての価値を再認識する機会につなげる。 会場の東京美術倶楽部(東京都港区)では3日、職員が掛け軸や屏風(びょうぶ)13点を飾った。同センターでも一堂に会すことのない名品ばかりで、12点はセンター以外で初めて展示する。 江戸幕府14代将軍徳川家茂が米国大統領に向けて贈った掛け軸「富士飛鶴図」が目玉。初代将軍徳川家康とみられる人物が清見寺(静岡市清水区)を訪
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富士・岩本山、春運ぶ天狗登場 4月までキャンペーン
富士市の岩本山公園で1日、富士山の眺望を楽しんでもらうキャンペーン「絶景★富士山まるごと岩本山」(市、富士山観光交流ビューロー主催)が始まった。開幕イベントでは天狗(てんぐ)伝説になぞらえて梅の苗木を運び、新型コロナウイルス収束を願って園内の梅園に植えた。 天狗は地元にある実相寺の守護神としてまつられている妙心、法心の兄弟。健脚で知られる手足の神で、天然痘がまん延した時には疫病退散を求めて信仰を集めたという。 イベントは市の職員らが兄弟天狗にふんし、実相寺で祈とうを受けた苗木を運ぶ趣向でハイキングコースや公園内を歩いた。植樹した同ビューローの牧田一郎理事長は「コロナの影響を長く受けてきた
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「環境と経済を両立」共生圏認定3市町首長 富士山麓を先進地域に
静岡県の「ふじのくにのフロンティアを拓(ひら)く取り組み」第3期の「ふじのくにフロンティア地域循環共生圏」に認定された北駿3市町(御殿場、裾野、小山)の首長が30日、御殿場市役所で記者会見し、申請を主導した勝又正美御殿場市長は「環境と経済が両立する先進都市というブランドを構築し、市民町民が古里を誇りに思えるようになる」と認定の意義を語った。 勝又市長は「富士山の麓で連携して持続可能なまちづくりを実現し、環境を世界に発信する」と意気込みを示した。村田悠裾野市長は「持続可能な未来に向け、より良い土俵をつくろうという方向性の表れ」と語った。池谷晴一小山町長は「協力すればアイデアが浮かび情報が入る
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「富士山の日フェスタ」参加者募集 沼津で2月23日 記念講演や演劇など
静岡、山梨両県は「富士山の日」の2月23日午後2時から、沼津市大手町のプラサヴェルデで「富士山の日フェスタ2023」を開催する。一般参加者100人を募集する。参加無料。 富士山はことし、世界遺産登録10周年を迎える。フェスタはその普遍的価値への理解を深め、保全に向けた意識を継承する目的で、2015年から開催している。今回は本県が幹事を務める。 橋本聖子元東京五輪・パラリンピック組織委員会会長による記念講演「富士の国からスポーツ文化を世界に」や、県舞台芸術センター(SPAC)の演劇「羽衣」などを予定。10周年イヤーの開幕セレモニーも実施する。 郵送やメール、ファクスで受け付ける。詳細は県
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「しずおか元気旅大使」セクゾ松島聡さん 静岡県内巡る新動画公開決定 全国から反響、第2弾
静岡県は23日、県の観光促進事業をPRする「しずおか元気旅大使」を務めるアイドルグループ「Sexy Zone(セクシーゾーン)」の松島聡さん(25)=島田市出身=が県内各地の観光スポットを巡る動画を、新たに動画配信サイトで公開すると発表した。昨年秋にウェブで公開した動画に全国から大きな反響があり、第2弾の制作が決まった。2月中に計3本を順次配信し、3月中旬ごろまで公開する。 新たな動画は、県内民放テレビ局が制作した番組を「YouTube(ユーチューブ)」の県公式チャンネル用に再編集した。初回は1月26日の番組放送から約1週間後に公開予定で、県東部編として松島さんが駿河湾フェリーに乗り、伊豆
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絶景の富士山 褒めてはいけない 「世界でいちばんきれいに見える」宣言の松崎・雲見地区【わたしの街から】
伊豆半島西海岸に位置する松崎町。雲見地区では駿河湾越しの美しい富士山が望める。2012年に町民らでつくる実行委員会が「世界でいちばん富士山がきれいに見える町」を宣言。同地区には、雲見浅間神社祭神の磐長姫(いわながひめ)と富士山本宮浅間大社(富士宮市)祭神の木花咲耶姫(このはなさくやひめ)姉妹にまつわる伝説が残る。住民らは「世界一」と称する風景を見ながら、今も伝わる姉妹の物語に思いをはせている。 仲たがい姉妹の神話由来… 毎年2月23日「仲直り」の神事 松崎町 雲見地区 伊豆半島西海岸沿いの道を南下すると、山と海に囲まれた温泉街・雲見地区に着く。急勾配の岩山「烏帽子(えぼ
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2023年幕開け 富士山照らす初日の出 世界遺産登録から10年
2023年の元日、午前6時50分ごろ。雲の上に姿を現した初日の出が世界遺産登録から10年を迎える霊峰を浮かび上がらせた。富士宮市と山梨県境付近の上空約4000メートルで静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から撮影した。 東の空をオレンジ色に染めて昇る今年初めての太陽が眼下にそびえる富士山の山頂から顔を出すと、幻想的な光景が広がった。
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川勝平太・静岡県知事 新春インタビュー 浜松新球場2万2千人規模ドームを/富士山中心に「文化の首都」世界に発信
静岡県の川勝平太知事は31日までに静岡新聞社のインタビューに応じ、県が浜松市西区の遠州灘海浜公園篠原地区に整備する新野球場について、2万2千人規模のドーム型が望ましいとの認識を明らかにした。市や経済界などでつくる建設促進期成同盟会の要望を踏まえ、「地元の希望を県議会も無視できないはずだ」と述べた。球場の構造と規模に対する考え方を知事が明示したのは初めて。 野球場を巡っては、照明によるアカウミガメへの影響を避けるため、事実上、構造は屋根で覆われたドームか照明設備のない野外球場に絞られた一方、規模の方針はまとまっていない。県は2023年の県議会2月定例会での絞り込みを目指すが、概算事業費370
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富士山「丸わかり」パンフ集 静岡、山梨の団体 全11種まとめ
静岡、山梨両県の自治体や観光団体などでつくる日本富士山協会は、これまで作成した全11種類のパンフレットのQRコードを載せた「富士山丸わかりパンフレット集」を作成した。 富士山周辺に点在する神社仏閣をまとめた「富士山巡礼 神社仏閣」や、協会が選定した絶景を集めた「富士山絶景スポット50選」などのQRコードを一覧で掲載する。スマートフォンで読み取り、パンフレットと同じ内容を画面上で見ることができる。 A4判(折り畳み式)で2万部作成。富士山周辺の道の駅や観光案内所で無料配布している。担当者は「欠品して手に入らないパンフレットもデジタルでの情報収集が可能になる。富士山周辺のお出かけに役立てても
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富士登頂 通算千回 けが病気超え「達成ほっと」 静岡の有元さん
元高校教諭の有元利通さん(73)=静岡市葵区=が、通算千回の富士山登頂を遂げた。初めて富士山登頂を果たしてから約半世紀。「千回登頂はここ数年の目標だった。けがや病気もしたが、達成できてほっとしている」と感慨深げに語る。今後は高知や北海道の名山制覇を目指す。 大学2年の1970年、兵庫、鳥取両県境の氷ノ山に友人と登った際、山で迎えた朝の新鮮な空気と地上とは異なる世界に魅了された。73年に初めて富士山に登頂して以降、日本の名山とされる山をはじめ、キリマンジャロやチョモランマなど世界の高峰を巡った。 その間、滑落で顔を6針縫ったり、がんを発症したりする苦難も経験した。闘病や新型コロナウイルス禍
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企画展「博士の愛した富士山」 スタール氏の生涯たどる 富士宮・世界遺産センター、2月5日まで
富士宮市の県富士山世界遺産センターは23日から、開館5周年を記念した企画展「博士の愛した富士山」を同センターで開催する。富士山を愛した米国の人類学者フレデリック・スタール博士と、その助手兼通訳を務めた九十九黄人(豊勝)氏が集めた富士山関連資料などを紹介する。 スタール博士は1933年に他界するまでに10回以上来日し、日本の研究に没頭。富士山研究にも取り組み、登山は5回経験したという。企画展は黄人氏の息子で東洋民俗博物館(奈良県)の九十九弓彦理事長から寄託された資料など計140点を用意し、博士の生涯や黄人氏との交流を振り返る。 「お札博士」とも呼ばれたスタール博士自身の「千社札」や書のほか
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富士山の価値、次世代に 世界遺産センター5周年で式典
23日に開館5周年を迎える富士宮市の県富士山世界遺産センターは13日、記念式典とコンサートを同センターで開いた。地元関係者らが出席し、世界遺産富士山の普遍的価値を次世代に継承する拠点施設の節目を祝った。 これまでに国内外から115万人を超える来館者を迎えてきた同センター。1階に5年間の歩みをまとめたパネルを1月9日まで展示している。遠山敦子館長は「早くも5年がたち、非常に多くの方に楽しんでもらった。さまざまな形で文化を盛り上げ、日本の中心として静岡がさらに輝くよう協力していきたい。今後も前進していきたい」と見据えた。 コンサートは前東京芸術大学長の国際的バイオリニスト沢和樹氏(同大・英国
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富士山噴火で埋没 集落の暮らしどうだった? 小山・須走地区の日向遺跡学ぶ
江戸時代の富士山宝永噴火で火山灰に埋まった遺構や遺物が発見された小山町須走地区の日向(ひなた)遺跡について学ぶ講座がこのほど、同地区で開かれた。地元住民らが出土した片口や鉄鍋を手に取り、当時の暮らしや地区の歴史に思いをはせた。 2019年と22年の試掘調査を担当した町生涯学習課の金子節郎さんが講師を務めた。建造物の柱や畑の畝、すり鉢や急須などが見つかった調査現場2カ所を訪ね、調査の経過や発掘時の状況を紹介した。 1707年の宝永噴火では集落全体が火山灰に埋まり、その上に街が形成されたと考えられている。金子さんは遺構が見つかった場所などから、噴火当時と現在の表通りの位置は変わらないことが判
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白糸ノ滝 紅葉と共演 ライトアップで幻想的な雰囲気に 富士宮
富士宮市の世界遺産富士山構成資産の一つ白糸ノ滝で26日、ライトアップが始まった。紅葉が彩る白糸ノ滝周辺が色鮮やかに照らし出されている。ライトアップは27日まで。 「白糸の滝観光組合」が主催した。音止の滝上流付近や白糸ノ滝の滝つぼ、岩壁などを柔らかな光が照らし、幻想的な雰囲気を演出している。好天日には展望台から富士山と白糸ノ滝の共演が楽しめる。点灯時間は午後5~8時。白糸ノ滝周辺のライトアップの写真にハッシュタグ「#白糸ライトアップ」を付けたSNSでの投稿を呼びかけている。
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小山町須走地区 江戸時代は「富士講」拠点、自衛隊の街として活気
富士山の東麓に位置する小山町須走地区。江戸時代には信仰の対象として登山する「富士講」の拠点となり、大いににぎわった。当時、登山の世話をしたのが「御師(おし)」と呼ばれる人々。宿舎や食事の提供だけでなく、道具の準備や馬の手配まで担う、いわばトータルコーディネーターだった。子孫は現在も旅館を営み、変わらぬ「おもてなしの心」で人々を迎えている。 御師(おし)の心宿す旅館 登山者支えた「おもてなし」今も 「ただいま」「お帰り」―。登山道の起点、冨士浅間神社近くの旅館「大申学(だいしんがく)」に常連客との掛け合いが響く。鎌倉時代から続き、須走の御師の草分けとされる。19
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富士山写真家、筒井さん 伊東で来年カレンダーの写真展示
伊東市の富士山写真家筒井章さん(59)が撮影した作品の展示会が13日まで、同市玖須美元和田の商業施設「伊東ショッピングプラザデュオ」で開かれている。 富士山の写真を撮り続けて23年になる筒井さん。近年は毎年、カレンダーの刊行を続けている。会場には来年のカレンダーに使用した、静岡・山梨両県で撮影した作品13枚をA1サイズで展示している。 南アルプスの北岳に登って撮った1枚や季節の花と写した作品などがそろう。筒井さんは「全体の色のバランスに配慮して作品を選んだ」と話した。12月13~23日には伊東市役所でも展示を予定している。 カレンダーは1冊千円(税込み)。伊東市の「本のサガミヤ」をはじ
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野口健さんと富士山清掃 富士宮で県内企業有志ら
世界遺産富士山周辺の清掃活動に取り組む「富士山クリーンプロジェクト」が30日、富士宮市根原の山林で3年ぶりに開かれた。アルピニストの野口健さんを迎え、15社の協賛企業有志や親子連れなど約60人が参加し、不法投棄されたごみを撤去した。 開会式で野口さんが富士山の清掃活動を始めた当時の状況やプロジェクト立ち上げの経緯に触れ「最後までやりきりたい」と力を込めた。参加者は野口さんと国道139号沿いの山林に入った。タイヤなど大きなごみを撤去し、拾い集めた瓶や蛍光灯、割れた陶器などはバケツリレーで運び出した。少なくとも3~4トンのごみを撤去したという。認定NPO法人富士山クラブが運営に協力した。 同
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富士山観光「負のイメージ」懸念 小山バス事故1週間 紅葉シーズンに影響
小山町須走の県道でツアー中の観光バスが横転し、乗客1人が死亡、26人が重軽傷を負った事故は20日、発生から1週間を迎えた。現場は国内有数の観光資源、富士山の麓。観光需要喚起策の全国旅行支援が始まったばかりでの惨事に、新型コロナウイルス禍の影響で落ち込んだ団体客の回復を期待していた観光関係者は、誘客への影響を懸念している。 「事故の影響はないと信じたい」。富士山須走口の山小屋関係者の1人は慎重な口ぶりだった。「一切話したくない」とする関係者もいた。事故後、ツアーキャンセルなどの影響が出ているという。 事故現場は富士山須走口5合目と麓を結ぶ通称・ふじあざみライン。富士山の登山ルートは既に閉鎖
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傘と富士山と茶畑 心晴れやか♪ 大淵笹場でアンブレラスカイ
富士青年会議所(JC、稲葉大輝理事長)は11月5日まで、色とりどりの傘で茶畑と富士山の景勝地「大淵笹場」(富士市大淵)を彩る取り組み「フジアンブレラスカイ」を行っている。 青や赤、黄色などカラフルな約170本のビニール傘が雄大な富士山と緑色の茶畑を背に飾られている。訪れた人たちはカメラやスマートフォンを手に、写真撮影を楽しんでいた。 同JCの創立65周年を記念して実施した。企画を担当した杉沢大地さん(33)は「気持ちが沈んでいる人たちに、上を向いてもらいたい」と話した。
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富士山と武家の関係ひもとく 清見寺の宝物一堂 富士宮・世界遺産センターで特別展
富士宮市の県富士山世界遺産センターは1日から「士(サムライ)たちの富士山」と題し、富士山と武家の文化的関係を2部構成でひもとく特別展を開催する。第1部(30日まで)は「清見寺と武家政権」がテーマ。富士山や三保松原ゆかりの名刹(めいさつ)、静岡市清水区の清見寺の宝物などを一堂に並べて、足利将軍や豊臣秀吉、徳川家康らと同寺の関わりを紹介している。 足利尊氏によって再興された清見寺。会場入り口では尊氏の実際の容姿に近いとされる「木造足利尊氏坐像」が出迎える。同寺仏殿背部の開山堂に安置されている僧の木像2体を用意。このうち中興開山の大輝祥暹禅師は豊臣秀吉や徳川家康ら天下人と交遊を持ち、戦国時代の混
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富士山登山者数 7割回復を報告 富士宮の関係者
富士山の夏山閉山を受けて富士宮市と表富士宮口登山組合の代表者らが28日、県庁を訪れ、川勝平太知事に今夏の登山者数が新型コロナウイルス感染拡大前の7割まで回復したことを報告した。 山口芳正組合長は「行動制限もなく登山者が戻った。検温の体制を含め県の支援でクラスターは発生せず、大きな事故もなかった」と感謝した。 同市担当者によると、富士宮口6合目のカウンターで計測した登山者数(7月10日~9月10日)は約4万人で平年の7割。平年の5割弱だった2021年から回復傾向を示した。同8合目の富士山衛生センターの受診者数(7月22日~9月4日)は181人で平年の6割だった。 今夏は21年3月に放火で
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富士山衛生センター 今夏患者増181人
富士宮市は26日、富士山富士宮口8合目に開設した夏季限定診療所「富士山衛生センター」の診療実績を発表した。今夏の患者数は2021年夏(56人)と比べ大きく増加し181人だった。うち7割が高山病とされた。 今夏は7月22日~9月4日までの45日間開設した。300~400人台が続いたコロナ禍前と比べると患者数は約半数減の水準。患者の住所地別は住所不明を除いて、愛知県が27人と最も多く神奈川県22人、東京都20人、静岡県17人と続いた。年齢別は21~30歳が37人と最多で、11~20歳が30人、31~40歳が26人だった。日別では開設期間の最初の土曜日に当たる7月23日と30日が最も多く10人の
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富士山環境美化 官民組織に寄付 静岡新聞社・静岡放送から10万円
静岡新聞社・静岡放送は14日、富士山の環境美化に取り込む官民組織「富士山をいつまでも美しくする会」に10万円を寄付した。新聞、テレビ、ラジオの3媒体で展開した広告企画「富士山クリーンキャンペーン」の協賛金の一部を充てた。 海野俊也東部総局長が同会会長の池谷晴一小山町長を町役場に訪ね、目録を手渡した。池谷町長は「有効に使わせていただく。世界遺産をしっかり守りたい」と話した。 同会は富士山周辺の県内5市町と企業、団体で構成する。8月の富士山一斉清掃や夏山シーズン中の登山道清掃を続けている。
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富士山夏山シーズン終了 小山町須走口・冨士浅間神社で閉山式
富士山の夏山シーズン最終日の10日、須走口登山道の起点となる小山町須走の冨士浅間神社で閉山式(町観光協会主催)が開かれた。今年の須走口は誘客策が奏功し登山者数は昨年より増えたが、新型コロナウイルス禍前の2019年の7割程度にとどまったとみられる。関係者が霊峰に感謝し、来夏の盛況を祈願した。 町の計測によると、7月10日~8月24日の登山者数は1万4293人で、前年同期に比べ5929人増えた。マイカー規制を例年の63日間から48日間に短縮し、規制中に設ける麓の駐車場を無料化したことが効果を発揮したとみている。一方、お盆時期の台風襲来やツアー客の減少が響き、コロナ禍前の19年比は1万90人減だ
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夏の締め わらじ供養祭 祝詞唱え玉串供える 御殿場高原時之栖
御殿場の夏を締めくくる「わらじ供養祭」が10日、御殿場市神山の御殿場高原時之栖で開かれた。市観光協会や市の関係者らが夏のシンボルの大わらじを供養した。御殿場わらじ祭りをはじめ多くの恒例行事が復活した夏の終わりを惜しんだ。 かつて富士登山者が脱ぎ捨てたわらじを富士山御殿場口新5合目で燃やし供養したことに由来する行事。7月1日の富士山開山式で入魂した全長3メートルの大わらじの前で神事を行い、魂を抜いた。新橋浅間神社の内海守宮司が祝詞を唱え、出席者が玉串を供えた。 物まねシンガー松浦航大さんや歌手麻倉未稀さんらのステージもあり、多くの人が詰め掛けた。神事終了後には打ち上げ花火が夜空を彩り、フィ
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富士山「ありがとう」 御殿場、裾野で閉山式
世界遺産富士山の閉山式が31日、御殿場市と裾野市で開かれた。行政や観光関係者らが、多くの登山客に感動をもたらした霊峰に感謝し、来夏の盛況を祈願した。登山道の開通期間は9月10日まで。 ■御殿場 波及効果の創出期待 御殿場市観光協会は、御殿場口登山道の起点の新橋浅間神社(同市新橋)で神事を行った。あいさつに立った中川一樹会長(68)は、登頂を目的とせず御殿場口新5合目周辺を楽しむ来訪者の数がコロナ禍前を上回っていると紹介。「登っても登らなくてもよしの御殿場が定着し、うれしく思っている」と述べ、波及効果の創出を誓った。 勝又正美市長は遭難事故の多発を受け、来夏は安全登山の啓発を一層強化す
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宝永噴火で埋没、生活の跡 小山・須走地区、すり鉢や急須など30点出土
小山町須走地区で、富士山の宝永噴火(1707年)で埋まったすり鉢や青銅器の急須などの遺物が30日までに出土した。公的な調査で当時の遺物が見つかるのは初めて。町は「噴火直前の人々の生活が分かる」と意義を語る。 現場は、世界遺産富士山の構成資産の冨士浅間神社に近いホテル米山館の東側の空き地。深さ約1・8メートル、人が生活して硬くなった面の上から、釜や片口など30点が出土した。深さ1・5メートルの土中からは屋根材のカヤや垂木が見つかった。 すり鉢は1600年代後半に作られた品で、宝永噴火の時期と合致する。片口や釜はふたが器にはまった状態。町の担当者は「噴火直前に食べていた煮物が残っているかもし
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独立記念日に登頂「ウクライナに明るい日を」 在日大使館員、富士山頂で国旗掲げ誓う
ウクライナの独立記念日で、ロシアによる侵攻開始から半年に当たる24日、在日大使館員が富士山に登頂した。登山を支援した町国際友好協会によると、登頂した大使館員は「戦争が始まって初めての独立記念日は特別」と、この日を選んだ意義を語った。御来光を拝み「ウクライナに明るい日が来ると信じている」と思いを強くしたという。 大使館員と家族が23日昼に須走口5合目を出発した。本8合目の山小屋に宿泊し、24日早朝に山頂に到達して御来光を拝んだ。同協会の会員や町職員が同行した。 同協会役員が6月に寄付金を届けるため大使館を訪問し、セルギー・コルスンスキー大使と面会した際、富士山の話題になった。その後、大使館
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富士山信仰の遺構「御師の家」 復元に官民連携 裾野市、パークPFI検討 周辺一帯で公園整備構想
裾野市が富士山麓の須山地区で計画する「御師(おし)公園」(仮称)の整備に、「パークPFI」(民間事業者による公園施設の設置・管理)の導入を検討している。同地区は明治時代まで静岡県側の主要道の一つだった須山口登山道の起点地域。富士山信仰の歴史を伝える本県側で唯一の「御師の家」を復元するとともに、特産品などを販売し、官民連携で地域振興と交流人口拡大を目指す。 「須山地区は富士山と箱根を結ぶ観光ルートの間に位置する。御師公園を建設して誘客に力を入れたい」。村田悠市長は7月、市内で巡回開催した住民懇談会で、未着工のままになっている公園整備を前に進める意向を明らかにした。 同地区では江戸から明治に
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御殿場の鈴木さん 富士山を定点撮影 伊東で写真展
グラフィックアーティストの鈴木安一郎さん(58)=御殿場市=による富士山写真の作品展「大島を眺めながら富士山を想う」が29日まで、伊東市八幡野のブックカフェ「壺中天(こちゅうてん)の本と珈琲」で開かれている。 鈴木さんは15年ほど前から自宅近くの同一の場所で、定点的に富士山の撮影を続けてきた。会場には、山体に雲がかからない「そのままの姿」を捉えた四季折々の写真を展示した。朝の時間帯に撮影した作品を中心に約30点が並ぶ。 鈴木さんは「四季により表情が変わり、見る人によっても受け止め方が変わる。そこにある富士山を定点で撮り続けることで、対峙(たいじ)する関係が浮き彫りになる」と語った。
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登山者の拠点建設進む 富士山須走口5合目に情報センター 小山町「誘客好機」
小山町の富士山須走口5合目で、インフォメーションセンター(仮称)の建設が進んでいる。来年、オープンする予定。長年設置を求めてきた町は「須走口にとって大きなチャンス。有効活用し、誘客につなげたい」と期待を込める。 環境省が平屋建て117平方メートルの建物を建設している。今年11月に完成予定。町が管理運営を担い、周辺の見どころや登山情報を伝える。 町によると、構想が浮上したのは2016年ごろ。富士山の世界遺産登録を受け、登山者の拠点となる「ビジターセンター」設置を国に要望した。当初は東京五輪・パラリンピックに合わせ20年のオープンを見込んだ。 だが、国立公園内に位置するため関係機関の調整に
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落石注意!ヘルメット 富士宮市が無料貸し出し 安全登山定着図る【静岡新聞社 富士山臨時支局】
富士山の登山者の安全確保と意識啓発に向け、富士宮市が夏山シーズンの間、富士宮口5合目で登山ヘルメットの無料貸し出しを行っている。市の担当者は「登山イコール『ヘルメットを着けるスタイル』を定着させたい」と狙いを語る。登山口への配備は噴火の際の対応など、防災面でも期待できる。 2019年に山梨県側登山道で、落石で登山者が亡くなる事故が発生したことを踏まえて無償貸与を始めた。富士山では突然の風雨に襲われたり岩場では落石の危険性があったりすることから、20年度にクラウドファンディングを活用するなどしてヘルメットを購入した。大人用と子供用を計50個配備し、21年夏から富士宮口5合目の富士山総合指導
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富士登山観光拠点、代替も便利に 焼失の5合目旧レストハウス
静岡県と富士宮市は2021年に発生した火災の影響で解体された富士宮口5合目の来訪者施設「レストハウス」の代替施設について、ことしの夏山シーズンに合わせて機能を強化した。新型コロナウイルス感染症対策も兼ねて休憩所のスペースを拡充したほか、水分補給用の自動販売機を新設した。本県側を代表する登山、観光拠点として、国内外の来訪者を受け入れている。 代替施設の開設は昨夏に続き2度目。富士宮市が設置し、県が設置費用の3分の2を負担した。今夏は休憩スペースや土産物販売に使用するプレハブ小屋を、昨夏と比べて1基増の6基体制にした。要望の多かった自販機を2台設置し、熱中症や高山病の対策につなげる。トイレは
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富士登山ルート 変遷楽しむ特別展 富士のミュージアム
富士市の富士山かぐや姫ミュージアムの特別展示「富士登山絵図展」が9月4日まで、同所で開かれている。江戸から大正時代までの富士登山ルートの変遷などが楽しめる。 富士山の開山期間に合わせ、同館所蔵の18点を並べた。初展示となる「三国第一富士山禅定図」は村山興法寺別当三坊の一つ「大鏡坊」が江戸中期に発行したとされる。大宮(富士山本宮浅間大社)を経由せずに村山に向かうルートが描かれ、三坊合同の絵図との違いを見比べることができる。 御殿場口を中心に表記された大正時代の扇子「富士登山案内図」は、当時の東海道本線御殿場駅や電車が登場。富士駅近くには「曽我兄弟墓」が描かれ、曽我兄弟の史跡が当時の観光資源
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富士山開山 今夏の盛況願う 須走口で開通式
小山町観光協会は、須走口5合目で開通式を開いた。行政関係者や山小屋経営者らが夏山の盛況を祈願した。 大森康弘副町長はあいさつで、登山初心者の増加と新型コロナウイルス禍を踏まえた安全配慮の必要性を指摘した。「登山者や関係者の安全を祈念する」と述べた。 観光案内所から古御嶽神社まで、冨士浅間神社の石橋良好宮司が登山道をおはらいしながら歩き、出席者が後に続いた。同神社前でテープカットした。
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富士山の安全祈願 三島で開山式
静岡県側では10日に行われる富士山の山開きを前に、9日からJR三島駅南口と富士宮口五合目を往復する路線バスの運行が始まる三島市の三嶋大社で8日、シーズンの安全を祈願する「富士登山道開山式」が行われた。 バスは富士急シティバスが運行し、9月4日まで三島と富士宮口を片道約2時間で結ぶ。開山式は同市観光協会が主催し、関係者が三嶋大社の本殿で営まれた神事で期間中の無事を祈った。稲田精治会長は「市外からも期待され、多くの人が楽しみにしている」と述べ、コロナの感染対策も含めた安全対策と夏のにぎわい創出への思いを語った。
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富士山御殿場口「登りやすく」 新6合目の山小屋20年ぶり復活
富士山御殿場口新6合目の山小屋が20年ぶりに復活する。登山の起点となる新5合目から6時間にわたり休憩場所のない状況が解消される。玄人向けとされる御殿場ルートが「一気に登りやすくなる」と関係者は期待する。 標高2590メートルに位置する山小屋「半蔵坊」は約40平方メートル、宿泊定員12人。7合4勺(しゃく)の山小屋「わらじ館」を営む元警察官の橋都彰夫さん(63)=御殿場市=が運営する。 2011年からわらじ館を運営する橋都さんは、御殿場ルートを登りやすく環境に優しい道にしようと模索していた。4年前に「半蔵坊」の建物所有者が受け継ぎ手を探していると聞き、名乗りを上げた。20年間で建物を覆った
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223個の「夢風船」空へ 富士山世界遺産9周年、3年ぶり記念祭
富士山世界遺産登録9周年記念祭(富士宮市、富士宮商工会議所青年部主催)が19日、同市の富士山本宮浅間大社の大鳥居前で開催された。飲食ブースや演奏会、「夢風船」などの企画のほか、会場周辺の商店街でもイベントが開催され、大勢の家族連れで中心市街地に活気があふれた。 記念祭は3年ぶり。“ドレスコード”は富士山カラーとし、白や青の服装で訪れた来場者に富士山グッズをプレゼント。セレモニーではリーチェル幼稚園園児が合唱を披露した後、来場者で富士山憲章を唱和した。須藤秀忠市長は「来年は登録10周年。世界文化遺産富士山にふさわしいまちづくりを一層進める」と力を込めた。 会場には富
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“デジタル展示”で富士山発信 世界遺産センター、自宅で疑似観覧も
富士宮市の県富士山世界遺産センターがこのほど、館内の音声ガイドシステムやホームページを拡充した。ウィズコロナ時代に合わせ“デジタル展示”を広げ、来館時だけでなく自宅からも楽しめるコンテンツを導入。今年で開館5年の節目を迎える同センターが世界遺産富士山の研究発信拠点として新たな楽しみ方を提案する。 音声ガイドシステムは館内に掲示されたQRコードを読み込み、来場者のスマートフォンから専用サイトに入り利用できる。これまではフロアの概要説明のみだったが、展示内容や見どころの解説音声を充実させたほか、火山噴火の空振、マグマ噴出音、富士参りの歌など貴重な音声資料や映像を新たに盛
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20日午前9時に冬季閉鎖解除 富士宮口6合目まで
静岡県は16日、富士山富士宮口5~6合目の冬季閉鎖(通行止め)を20日午前9時に解除すると発表した。登山道の積雪がなくなり、案内標識の設置や誘導ロープの補修など安全対策が整った。 県道路保全課によると閉鎖解除は昨年より11日早い。5合目周辺を巡るハイキングコースの散策や宝永山へのアクセスが可能になる。6合目から山頂までの登山道は冬季閉鎖を継続する。
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初夏の富士山、自転車で1周 富士宮市やスルガ銀など企画
スルガ銀行と富士宮市、東京電力パワーグリッドがこのほど、同市役所を発着に自転車で富士山を1周するイベントを開いた。静岡県内外から自転車愛好家ら30人が参加し、山麓の景色とともにサイクリングを満喫した。 同市とコラボした富士山1周イベントは初めて。参加者は同市役所を午前6時半ごろから順次出発し、計117キロのコースに向かった。村山浅間神社や道の駅すばしり、えいちのむらファーマーズキッチンなど8カ所のチェックポイントに立ち寄り、写真や地域情報を「#宮ぽた」「#スルガサイクリング」のハッシュタグを付けてSNS(交流サイト)で発信した。参加者全員が完走した。 アテネ五輪自転車ロードレースに出場経
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富士山麓の森林 再生へ包括協定 裾野市と住友不動産
裾野市と住友不動産はこのほど、森づくりに関する包括連携協定を結んだ。同社が保有する市内の森林約185万平方メートルを中心に、温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現や水源養成などにつながる整備活動に連携して取り組む。 本年度から5カ年の森林整備計画がスタートしたのに合わせ、市役所で締結式を開き、村田悠市長と同社の尾台賀幸副社長が協定書を交わした。尾台副社長は「健全な再生を図り、森林機能を更新していきたい」とあいさつした。 同社の保有林では植林から50年前後が経過した伐採適齢期のヒノキなどが多く、主伐とその後の植林、間伐を進めて再造林する。伐採した木は建築材として活用す
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田んぼに「逆さ富士」、御殿場線も水面に 裾野市深良地区
富士山の周辺市町で田植えが終わり、水をはった田んぼに「逆さ富士」がお目見えしている。 抜けるような青空が広がった29日、裾野市深良地区では山肌に雪化粧の残る富士山がその雄姿を現した。早苗田にはJR御殿場線の車両も映し出され、水面を電車が「走行」するこの季節ならではの景観を撮影しようと、写真愛好家らが集まった。
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もえぎ色薫る新緑 茶畑×富士山×雲海...静岡県内スポット巡り【写真・動画特集】
春から夏にかけて若葉が芽吹き、深まっていく緑がまぶしい季節だ。静岡県内各地には新緑を楽しめるスポットがいくつもある。 山あいの茶畑で朝日を浴びて輝く新芽が霊峰や流れる雲海と共演する光景、水面に映り込む鮮やかな青葉モミジ。この時期ならではの景色を求めて各所を巡った。 静岡市清水区吉原 山あいの茶畑で摘採を待つ新芽。朝日を浴びて輝き、富士山、雲海と共演した=4月25日、静岡市清水区吉原 森町一宮 雨の翌日、小国神社の敷地内を流れる宮川の河原の水たまりには色鮮やかな青葉モミジが映り込んだ=4月25日、森町一宮 島田市川根町
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富士山5合目に「まぼろしの滝」出現 小山町の須走口
富士山の雪解けがピークとなる時期に現れる「まぼろしの滝」が小山町の須走口5合目付近に出現した。川のない富士山で、澄んだ水が音を立て流れる神秘的な光景が見られ、10日、県内外から訪れたハイカーたちを喜ばせた。 山頂付近の雪解け水が集まり山肌に露出した溶岩上を流れ落ちる現象で、例年は5月中旬から6月中旬の気温の高い日に現れることが多い。須走口5合目の山荘「菊家」店主の渡辺昇さん(72)によると、今月4日に初めて滝の流れが確認された。今後の気候にもよるが、月末までは見られそうという。 まぼろしの滝までは、須走口5合目駐車場から片道20分ほどのハイキングコースが整備されている。
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富士山と茶畑 絶景パチリ♪ 富士の大淵笹場、新芽鮮やか
快晴となった23日、新茶シーズンを迎えた富士市大淵の茶畑と富士山の景勝地「大淵笹場」では、朝から多くのカメラマンが絶景を収めに訪れた。 同日は朝からすそ野までくっきりと霊峰が姿を現し、昼すぎまで雲がかからない好天に恵まれた。5月15日から茶摘みを予定している茶畑には、新芽が伸び、広大な茶畑を黄緑色に染めている。 来訪者は、冠雪した富士山のすそ野に広がる茶畑の畝の複雑な模様と、青空のコントラストを撮影した。カメラを手に訪れた都内の20代の女性は「友人に誘われて初めて来た。とてもすがすがしい場所」と喜んだ。 大淵笹場は約2万3000平方メートルの茶園。地元の大淵二丁目ささば景観保存会が耕作
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鳥、走る女性、くわ持つ男性…富士山の山肌アートをグッズ化 裾野の辻さん
富士山の山肌に現れる鳥や人の横顔-。裾野市深良の辻朋子さん(65)は、市内から望む霊峰に現れる模様に魅了され、15年以上にわたって撮影を続けている。写真展やホームページを通じた魅力の発信に取り組み、オリジナル商品の製作も手掛ける。辻さんは「日本一の山の織り成す芸術にもっと注目してほしい」と思いを話す。 模様に気付いたのは2006年。写真が趣味の辻さんは自宅付近で電車と富士山の写真を撮影した際に、宝永山下部の山肌に浮かぶ鳥を見つけたという。山梨県で見られる「農鳥(のうとり)」とコントラストが逆で、雪部分ではなく、黒い山肌部分が鳥の形になっていた。 写真展で紹介したところ、来場者から「大きな
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富士山に幻の氷池 側火山・腰切塚火口 地形、天候…偶然重なる
富士山の側火山「腰切塚」(裾野市須山)の噴火口に2月下旬、楕円(だえん)形の氷の池が出現した。地盤の透水性が高い富士山で、側火山の火口に水がたまるのは珍しく、専門家は「偶然が重なって生まれた“幻の氷池”」と強調する。 氷の池は富士山2合目に当たる標高約1500メートルにある腰切塚で、富士山の雪崩などを研究する帝京平成大の小森次郎准教授(自然災害科学)が発見した。すり鉢状の火口の底に南北7メートル、東西4メートル、厚さ数十センチで出現。小森准教授によると、富士山の地盤は空隙(くうげき)の多い火山噴出物で形成され、水が染み込むため中腹に池ができるのは貴重だという。 冬
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富士山信仰の研究発表 日本山岳修験学会が学術大会 富士
国内の山岳信仰と修験道を研究する「日本山岳修験学会」の富士山学術大会が5日、富士市内で始まった。同学会が静岡県内で学術大会を開くのは初めて。初日は中世の富士山周辺の信仰を読み解く記念講演を会員にオンラインで配信した。 記念講演は富士山の登山口各地で信仰集団が形成され、どの集団も時代や地域性で性格が異なっているとして、「富士山信仰の多様性・地域性」と題して行われた。上智大の西岡芳文教授、鶴見大の近藤祐介准教授、北陸大の福江充教授が登壇した。西岡教授は富士山が伊豆、箱根、三島を拠点とする広域な信仰に含まれ、その一帯は鎌倉時代に源頼朝の縁で幕府の守護神として重視されて信仰圏を関東内陸まで拡大した
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富士の恵みに感謝 富知六所浅間神社で祭典 富士山の日
富士山御蔭祭(おかげまつり)実行委は富士山の日の23日、「富士山御蔭の儀」を富士市の富知六所浅間神社で行った。実行委が富士山の恵みに感謝し、新型コロナウイルスの早期収束を祈願した。 御蔭祭は1年に1度、富士山の恩恵に感謝する行事として2020年に始まった。有志中心に地域住民が一体感を持てる伝統行事になることを目指す。新型コロナの影響で2年連続で出店や太鼓奉納などは中止し、実行委が神事に臨んだ。富士山絵画コンクールはオンライン開催とし、市内の子どもが寄せた457点の応募作品を公式ホームページ上に掲載した。海野幸男実行委員長は「富士市に住んでいると存在が当たり前過ぎて有り難みに気付かない。祭り
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ウィズコロナ 新たな交流時代へ【2・23富士山の日特集】
新型コロナウイルスの感染対応は3年目に入った。人々の生活様式や社会経済活動に影響をもたらし、富士山とともに日々の営みを紡ぐ人たちも変化を余儀なくされている。 2021年夏、富士登山が2年ぶりに再開された。安全で安心な登山をいかに確保するか、関係者の懸命な追究と努力が続く。コロナ禍でダメージを受けた観光業や外食産業の回復は途上だ。 一方、富士山を囲む交通インフラの整備が進み、21年は中部横断自動車道の静岡-山梨間の全面開通や、国道138号須走道路・御殿場バイパスの供用開始のニュースが入ってきた。県境をまたぐ新たな人と物の流れができつつある。 ウィズコロナの時代、雄大な富士山の麓でいかに
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富士山、ちゃんと見えます 浜松城からの目印ヤマハ 眺望考慮し新社屋建設へ
23日は「富士山の日」。日本一の名峰は100キロ以上離れた浜松市からも雄姿を仰ぎ見ることができる。代表的な眺望地点が中区の浜松城富士見櫓(やぐら)跡だ。天守閣北東側の櫓跡に立ち、富士山を探す目印になるのがヤマハ本社(同区)の看板。同社は現建物の約1・6倍の高さという新社屋の建設を計画するが、「完成後も富士山の眺望に影響はないと思われる」と説明する。 富士山は櫓跡の北東方向に位置し、同社イメージカラーの紫色に白文字で「YAMAHA」と書かれた屋上看板を見つけると、背後に7合目付近から上の山肌が姿を現す。 同社によると、現在のランドマークになっている屋上看板のある建物は、看板を含めて高さ38
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海抜0メートルからの富士登山PR 富士市 高画質動画公開
富士市は海抜0メートルから山頂を目指す「富士山登山ルート3776」のPR動画を制作し、1月中旬から動画投稿サイト「ユーチューブ」の公式チャンネルで公開している。新型コロナウイルス感染収束後の外国人の誘客を見据え、外国人監督を採用し、英語のナレーションを付けた。山麓の絶景と共に標高差3776メートルを登る醍醐味(だいごみ)を国内外に発信する。 動画は、外国人女性が登頂する過程を追ったドキュメンタリーの本編と、ガイドらへのインタビュー、道中のVR動画。日本語、英語の両字幕版を合わせて計12本に上る。 本編では、海岸から山頂まで約42キロの過酷な道のりを「己と闘う旅」と位置付け、同市の鈴川海岸
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御朱印集めて浅間神社巡り 御殿場市観光協会「富士山御朱印帳」
御殿場市観光協会がオリジナルの「富士山御朱印帳」を販売している。富士山頂上浅間大社奥宮と山麓の六つの浅間神社を紹介するページがあり、それぞれ隣に御朱印を受けられる。担当者は「これを持って富士山周辺の浅間神社を巡ってみては」と勧める。 同協会が展開する地域ブランド「FUJISAN BRAND御(おん)」の新商品。表紙と裏表紙はブランドのイメージカラーの藍色を基調に、富士山の等高線と4登山ルートをデザインした。 地域ブランドは2021年2月にスタート。複数事業者の商品を組み合わせ専用化粧箱に入れて販売するほか、風呂敷やお茶を独自商品として売り出した。御朱印ブームを追い風に山麓市町の観光振興に
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陸・海・空で富士山堪能 FDA/駿河湾フェリー/大鉄周遊ツアー 西伊豆や奥大井の魅力再発見
チャーター便を使った富士山遊覧飛行を目玉とするフジドリームエアラインズ(FDA)と大井川鉄道(島田市)、富士山静岡空港株式会社の3社連携ツアーが、多彩な乗り物を1日で楽しむプランとして人気を集めている。コロナ禍で団体向けツアーが低迷する中、開始3年目で参加者は2千人を突破した。ことしは駿河湾フェリーに乗るコースも加わり、陸・海・空で富士山の絶景を堪能できるようになった。11月末に行われたツアーに同行した。 遊覧飛行は定期便運航前の早朝。空港で出迎えてくれた紺色のFDA13号機と対面し、早くも胸が高鳴った。午前7時30分過ぎに離陸し、通常1万メートルほどの高度を約5千メートルに下げ、旋回しな
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スカイツリー 「日本一」輝き共演【富士山 from 東京⑤完】
全高634メートルを誇る日本一高い建造物「東京スカイツリー」=東京都墨田区=と、日本一高い富士山の共演は、首都ならではの風景。 江戸川を挟んで対岸の千葉県市川市の高台は、知る人ぞ知る富士山の眺望スポット。2月4日夕刻には、日没時の太陽と富士山頂が重なる「ダイヤモンド富士」を確認できた。 コロナ禍が影を落とす社会にあっても、変わらぬ姿を見せる富士山。人々が寄せる思いもまた普遍。その存在が薄れることはない。
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富士山火山れき走行実験 砂防事務所、噴火時の活動を想定
国土交通省中部地方整備局富士砂防事務所は19日、富士山のスコリア(火山れき)と鹿児島県・桜島の火山灰上を車両で走行して比較する実験を富士宮市上井出の大沢川扇状地で行った。本県側の富士山麓自治体や警察関係者が参加し、富士山噴火時の緊急車両による活動に備えた。火山噴出物の走行実験は県内では初めての試み。 実験では、スコリアと火山灰の違いを確認するため、桜島から火山灰を調達した。林道を想定した勾配12%の坂道に、富士山のスコリアと桜島の火山灰をそれぞれ深さ5センチと10センチに分けて敷いた。 自治体職員や警察官が四輪駆動車やワンボックス車、パトカーなどで走行し、火山噴出物の違いのほか、深さや水
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国立競技場 見守る祝祭の行方【富士山 from 東京④】
開幕まで約半年に迫った東京五輪・パラリンピック。首都上空からメインスタジアムとなる国立競技場=東京都新宿区=を静岡新聞社ヘリで捉えた。カメラを構えると、はるか望む富士山と一緒に納まった。 隣接する東京体育館は、静岡県勢選手の活躍が期待される卓球競技を予定。五輪自転車ロードレースは都内をスタートし、ゴールの富士山麓を目指す。 五輪・パラのアスリートが競い、観客が集う日は来るか。新型コロナの影響で開催の行方は混沌(こんとん)としている。
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ビルのはざま 時を超え いつもそこに【富士山 from 東京③】
JR目黒駅から徒歩約5分、マンションや飲食店、ホテルが混在する街中に「東京富士見坂」=東京都品川区=と呼ばれる坂道がある。国土交通省が定めた「関東の富士見百景」の一つ。都心のビルや電線の切れ目から富士山を望むことができる。 「今日は富士山がきれいに見られるね」。買い物袋を提げた主婦が話し掛けてきた。 静岡県内だけでなく都内にも古くから「富士見」の名が付く地名や坂がある。霊峰は、時と場所を超えて親しまれている。
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国会議事堂 “禍”の論戦舞台を抱く【富士山 from 東京②】
新型コロナウイルス対応の改正特別措置法と改正感染症法が国会で成立した今月3日。御影石の国会議事堂と首都の高層ビル群を抱くように、富士山が丹沢山地の背後から白い頂をのぞかせた。JR東京駅近くに立地する地上高約180メートルの丸ビル=東京都千代田区=の35階からの景色だ。 国内初の新型コロナ感染者が発見されてから1年が経過した。静岡県内でも収束の見通しが立たない中、国会では連日、日常を取り戻すための審議が続く。
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羽田空港 にぎわい共に待つ【富士山 from 東京①】
首都の「空の玄関口」の機能を担う羽田空港=東京都大田区=。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の延長が決まった2月上旬、稼働が激減した国際線のターミナル越しに、雄大な富士山のシルエットが夕闇に浮かび上がった。 コロナ感染防止に伴う渡航制限で国際線のターミナルは閑散とし、インバウンド需要による以前のようなにぎわいは無い。フライト情報を掲示する空港内のボードには、欠航の文字が並んだ。 緊急事態宣言発令中の都府県へは不要不急の訪問自粛が求められ、静岡県内も往来を控える動きが続く。首都東京に暮らす人々の生活も大きく変化する中、富士山は変わらぬ雄姿を見せる。 ◇ 2月23日の「富
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晴天の冬至 巨大「影富士」 静岡県内、今季一番の寒さ
21日は二十四節気の冬至。1年で最も太陽の高度が低く、映し出す影は長くなる日。静岡県内は高気圧に覆われ、晴天が広がった。ただし、気温は低め。静岡地方気象台によると、各地の最低気温は川根本町氷点下5・9度、三島同2・3度、静岡同1・1度、浜松0・1度を記録するなど、県内18観測地点のうち11地点でこの冬一番の寒さになった。 冠雪が少ない状況が続いている富士山ではこの日、朝の日差しが山体を照らした。上空約5500メートルからは、霊峰の山梨県側に長大な影富士を確認できた。
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霊峰 半身の雪化粧 御殿場側のみ白く
半身だけ雪化粧した富士山の姿が15日、裾野市で見られた。裾野市街地から霊峰を仰ぐと、御殿場市側だけが白く染まり、白と黒のコントラストが際立った。 富士山では冠雪が少ない状況が続いているが、この日は東側斜面の一部だけに雪が積もった。強風によって山頂付近で雪煙が舞う様子も見られた。 富士山の自然の研究者でつくる富士山自然誌研究会の菅原久夫会長は「富士山では時折見られる現象。強い西風の影響で東側に雪が積もったのでは。森林のない地帯なので雪がはっきりと見える」と説明した。
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#あなふじ 暮らしの中の富士山写真を紹介 富士宮市役所
富士宮市が今夏に富士山に関連する写真をSNSで募集した企画「#あなふじなつ2020」で市民らが投稿した作品を一堂に集めた写真展が19日まで市役所1階で開催されている。職員手作りの富士山を模した展示台には、市民らが何げない暮らしの中で見つけた富士山が並んでいる。 新型コロナウイルスの影響で富士山登山道が一斉閉鎖されるなど異例の今夏に合わせ、富士山の違った魅力に気付いてもらおうと企画した。7月1日~9月4日の期間に約100点の作品がSNS上に集まった。 写真展では寄せられた全作品を印刷して展示台に掲げた。田園風景から撮影した実際の富士山のほか、かき氷で作った富士山やトーストに描いた富士山など
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「新しい富士登山」検討で初会議 来夏の再開向け
県は28日、来夏の富士登山再開に向けて新型コロナウイルス感染防止に対応した「新しい富士登山のあり方」を考える検討会議の初会合を沼津市の県東部総合庁舎で開いた。本年度中に有識者からの意見聴取や登山者アンケートなどを実施し新たな登山ルールや感染防止策を策定する。 同会議は富士登山ルートがある富士宮、御殿場、小山の3市町と地元山小屋組合、登山ガイド団体、交通事業者などで構成した。今回は約30人が出席した。県は富士登山再開に当たって(1)山小屋でのマニュアル(2)登山者に対する新ルール(3)登山道の感染防止策(4)行政による入山管理の研究-が必要と指摘した。 具体的な国内外の取り組み事例として、
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富士山 「合目」の意味は? 1合目はどこ?【NEXT特捜隊】
「静岡県側の富士山の『1合目』って、どの辺りなのかな」。静岡新聞社「NEXT特捜隊」に、沼津市の40代女性から声が寄せられた。富士宮市出身。霊峰の麓に育ったが、長年疑問だったそう。 そもそも「合目」とは? 素朴な疑問を抱えて、富士宮市の県富士山世界遺産センターを訪ねた。富士山の歴史を研究する大高康正准教授によると、富士山を10合枡(ます)として捉え、頂上までの位置(目安)を示しているという。 富士山裾野ガイド協会の鈴木博己代表にも聞いた。「(山中で修行を積む)山伏は山登りを生涯に例えて山頂到達で一生、(10合に当たる)一升と解釈する」との説もあるのだとか。「実は、その位置は時につれ変わっ
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富士山が初冠雪 平年より2日早く【動画あり】
富士山が28日、初冠雪した。平年より2日早く、昨年より24日早い。静岡県内側の上空を飛んだ静岡新聞社ヘリからも、山頂から麓に向かってうっすらと積雪した様子を確認できた。 甲府地方気象台が28日、発表した。前日は雨が降っていたが、上空の寒気の影響で富士山頂では気温が氷点下になり、雪となった。気象庁のアメダス(地域気象観測システム)によると、標高3775メートルにある観測点では、28日午前0時に氷点下5・1度まで下がり、晴れたことで冠雪が確認できた。御殿場市の担当者は「市内からは宝永火口の下まで雪に覆われている姿がはっきり見えた」と話した。 21日には麓の山梨県富士吉田市が、山頂付近の冠雪
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富士山「初雪化粧」 山梨・富士吉田市が宣言【動画あり】
富士山頂の山梨県側がうっすらと雪化粧した様子が21日午前、静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から確認された。山梨県富士吉田市は同日、「初雪化粧」を宣言した。昨年より32日早い。 宣言は2006年から市が独自に発表している。市によると、職員が午前6時半ごろに山頂付近の雪を目視で確認した。富士山の初冠雪は甲府地方気象台(甲府市)が観測して公表するが、今季はまだ発表がない。 気象庁の地域気象観測システム(アメダス)によると、富士山頂付近は20日朝から気温が氷点下で推移。同日は本州南側に停滞した秋雨前線の影響などで降雨が見られ、山頂では雪が降り積もった可能性があるという。
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キラリ☆ダイヤモンド富士 富士宮・田貫湖、霊峰と朝日の絶景
富士宮市の田貫湖で20日早朝、世界遺産富士山の山頂から朝日が昇る「ダイヤモンド富士」が見られた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で富士山の登山道が閉鎖された中、地上から見る霊峰と朝日の織り成す絶景を、マスク姿で楽しむ人たちが見られた。 夜明け前から写真愛好家や家族連れらが集まった。午前6時すぎに山頂付近から徐々に陽光がこぼれ、金色の太陽が顔を出すと感嘆の声が上がった。湖面にも霊峰とまばゆい輝きが映し出され、“ダブルダイヤモンド”の情景が広がった。 ダイヤモンド富士は富士山麓の一定範囲内で年2回、好天時に観賞できる。湖畔では毎年4月と8月の20日前後に見られる。
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霊峰上空をきらり ペルセウス座流星群、富士宮でも観測
各地で星座ファンを魅了しているペルセウス座流星群。新型コロナウイルスの影響で史上初めて登山道が閉鎖された富士山の上空でも、13日夜から14日未明にかけ観測された。 カメラを構えたのは富士宮市の田貫湖畔。北東の空に午後9時すぎから見え始めた。時折雲に覆われる時間帯もあったが、未明にかけての間、多い時には1時間に15個ほどを確認できた。
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夏の富士山、空から堪能 静岡空港発着、FDA遊覧飛行
富士山静岡空港株式会社などは「山の日」の10日、夏の霊峰を上空から楽しむ「富士山遊覧飛行」を開いた。新型コロナウイルスの影響で登山ルートが閉鎖される中、静岡県内を中心に約60人が参加し、絶景を堪能した。 静岡空港を発着地に、フジドリームエアラインズのチャーター便で約1時間の周遊フライトを行った。富士山が間近に迫ると、参加者は「すごい」「大きい」などと歓声を上げながら、夏ならではのリアルな山肌を写真に収めた。家族で参加した児童(10)=島田市=は「笠雲(かさぐも)が近くでよりきれいに見えた」と声を弾ませた。 フライト後には川根温泉周辺観光も楽しむツアー商品。例年は冠雪シーズンに催行している
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富士山信仰息づく洞穴「人穴」 富士宮市、PR注力
静岡、山梨の両県で富士山の山頂に向かう登山道が一斉閉鎖された異例の夏。富士宮市は富士山観光として市内の世界遺産構成資産のPRに力を入れている。その一つ人穴富士講遺跡の溶岩洞穴「人穴」では2013年の世界遺産登録を機に着手した安全対策工事がこのほど完了。31日までに、新型コロナウイルス収束後に予定する一般公開解禁を前に洞穴内を取材した。 人穴は富士山の民間信仰「富士講」の開祖長谷川角行が修行し、入滅した聖地として知られる。周辺には富士講信者が建てた先達の供養碑や記念碑など232基の碑塔が並び、信仰の隆盛ぶりを物語る。現在も全国から富士講の信者が人穴を訪れるという。 洞穴への階段を下ると富士
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E-BIKEで朝霧高原走ろう 50台レンタル事業スタート、新たな富士山観光に 富士宮
「風を感じながら富士山麓をぐる~り」。富士宮市がこのほど、朝霧高原など北部地域で電動アシスト付き自転車「E―BIKE」のレンタル事業をスタートした。計50台を各地に配備し、観光客の呼び込みと回遊性向上を目指す。 24日にはレンタル施設の一つ、あさぎりフードパークでオープニングセレモニーが開かれた。市関係者や市民がグループに分かれて各レンタル施設から出発し、E―BIKEを体験しながら会場のフードパークに集った。 セレモニーで須藤秀忠市長が「日本一のE―BIKEの町を目指す。将来的に200台まで増やしていく」と語り、関係者で事業開始を祝うテープカットをした。関係者は富士登山ができない今夏、新
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富士山宝永噴火で埋没の集落か 焼けた家屋の柱発見 小山町須走
小山町須走地区で、1707年の富士山宝永噴火の火山灰で埋没した家屋の一部が初めて発見された。7日までの町への取材で分かった。町に伝わる古文書には、当時の須走村全体が埋まったとの記述が残る。町の担当者は「1軒だけ埋まっていることはありえない。集落が埋まっている」とみている。 町などが昨年6月に実施した埋蔵文化財の試掘調査で、地下約2メートル地点に焼けて黒くなった家屋の柱2本が見つかった。かやぶき屋根の一部とみられる炭化物、家屋の礎石か階段だった可能性がある石列、畑の畝も発見された。 町生涯学習課によると、噴火によって家屋が焼失したことと、堆積した火山灰の上に町がつくられたことが裏付けられた
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観光地巡ってカードコレクション! 第1弾、7月3日から全国配布へ 静岡県内は4種
全国の観光スポットをデザインしたコレクションカード「LOGet!CARD(ロゲットカード)」第1弾の配布が7月3日に始まる。静岡県内でも4種類が配布される。新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受ける観光施設はカードが新たな来訪目的となることに期待する。 ロゲットカードは、マンホールカードの企画会社が全国の観光地の管理者である自治体や企業と共同制作した。第1弾は全国で厳選された観光スポット52種類が発行される。初回発行数は計15万枚。地域別や種類別などで収集が楽しめる。 静岡県内では、航空自衛隊浜松広報館(浜松市西区)と三保松原(静岡市清水区)、2種類の富士山(富士市)の計4種類のカードを配