社会部 瀬畠義孝
せはた・ぎこう 1971年、秋田県横手市生まれ。2012年入社。全国紙から中途採用で入社しました。本社社会部(防災担当)、湖西支局、浜松総局を経て社会部。ランニング、山歩きが趣味。
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力強いばちさばき、一糸乱れぬ演技 天城連峰太鼓ジュニア、静岡南幼稚園で披露
静岡市駿河区の静岡南幼稚園は3日、伊豆市を拠点とする和太鼓団体「天城連峰太鼓ジュニア」を招き、同園の園庭で演奏会を行った。園児や保護者、地域住民ら約400人が、力強いばちさばきやスピード感あふれる演奏を堪能した。 同団体は11月に開催された日本太鼓ジュニアコンクール県予選会で最優秀賞に輝き、来年3月の全国大会に出場する実力派。青島範明園長(65)がたまたまイベントで演奏を聞いて魅了されたことがきっかけで演奏を依頼し、1年越しで実現に至った。 この日は同団体の小中学生と高校生の計8人が法被にねじり鉢巻きの衣装で登場。静岡県の予選会でも演奏し、魚の群れを表現した曲「なぶら」など5曲を披露した
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昨秋台風被災の静岡市葵区油山 再発防止へ砂防ダム増設 静岡県が2カ所着工、来年5月完成目指す
静岡県はこのほど、昨年9月の台風15号で土石流が発生し旅館や民家が被災した静岡市葵区油山地区で再発防止のため、油山川の上流2カ所に砂防ダムを増設する工事に本格着手した。上流部の道路を埋め尽くした土砂や岩石の除去が難航し、発災から約1年2カ月たってやっと大規模工事にこぎ着けた。出水期前の来年5月末までに完成を目指す。 上流部には元々2カ所に治山ダム、3カ所に砂防ダムが設置されていた。だが昨年の台風15号では線状降水帯に伴う大雨で山崩れが起き、土石流が砂防ダムの容量を超えて押し寄せた。再発防止に向け、県は既設の砂防ダムにたまった土砂を掘削して機能を回復。その上で既設ダムの下流1カ所に幅約50
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静岡市、10年ぶりに津波マップ刷新 県の警戒区域指定受け 災害時の「基準水位」表示
静岡市は7日、県による今春の津波災害警戒区域指定を受け、約10年ぶりに刷新した津波ハザードマップの説明会を同市役所清水庁舎で開いた。新たなマップは各地域の浸水の深さに、津波が建物などに衝突した時のせり上がりの高さを加味した「基準水位」を表示し、避難時の安全な高さを明確にした。市の担当者は「自宅以外にいる場合も想定し、地震が起きたらどこに避難すればいいのか改めてチェックしてほしい」と呼びかける。 新マップは駿河区2地域、清水区4地域の計6種類を作成し、10月下旬に市ホームページで公表した。津波災害警戒区域の約6万5千世帯に全戸配布する。 2014年3月公表の旧マップは浸水の深さを5段階の色
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青年リーダー、51年ぶり再会 御殿場で研修した静岡県内外70代「全国に仲間、強い絆実感」
1972年1月に47都道府県の新成人102人が御殿場市で青年リーダーとしての心構えなどを学んだ「全国中堅青年研修会」の参加者有志8人が4、5の両日、51年ぶりに本県に集まり、会場だった同市の国立中央青少年交流の家(旧国立中央青年の家)を再訪するなどして旧交を温めた。 研修会は同青年の家などが主催。新成人の自覚を高めるため、全国の自治体から推薦された若者を招き、4泊5日で有識者が講義を行った。72年1月11日付の静岡新聞1面には「富士に誓う われら20歳」の見出しとともに、富士山を背景に両手を空にかざす新成人たちの写真が掲載された。 当時、神戸市の会社員として参加した西山(旧姓梶本)京子
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温泉旅館「油山苑」一部再開 常連客ら喜びの声 台風15号で被災
昨年9月の台風15号で厨房(ちゅうぼう)やロビーが濁流で床上浸水して休業を続けていた静岡市葵区の油山温泉の旅館「油山苑」が4日、約1年1カ月ぶりに一部営業を再開した。予約客限定で昼と夜にコース料理を提供する。初日から常連客らが訪れ、経営者一家とともに再開を喜んだ。 台風15号で土石流が発生した油山川上流部で今月から、県が砂防ダム整備を開始。来年度の出水期までに完成の予定となり、安全確保の見通しが立ったことで同旅館も改修を進め、一部再開にこぎ着けた。再建資金を募ったクラウドファンディングで393人から計565万円が寄せられるなど激励にも後押しされた。 以前は厨房と離れた広間が食事場所だった
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遠隔接客ロボでお出迎え 外出困難者 自宅から操作 静岡ガス 就労支援へ試験導入
静岡ガスは障害者など外出困難者が遠隔操作で接客業務をできる就労支援ロボット「オリヒメ」を静岡市駿河区のエネリアショールーム静岡に設置し、来場者の接客に活用を始めた。12月下旬までの試験導入だが、オリヒメの開発会社「オリィ研究所」(東京都)によると、単発イベント以外で同ロボットの県内での継続的設置は初めて。 同ショールームで開いたイベント「つなぐアート展」に合わせ、入り口付近に高さ23センチのオリヒメを設置した。操作する「パイロット」として同研究所に雇用されている県外の障害者2人が自宅から接客。来場者に「いらっしゃいませ、ようこそ」と声をかけ、障害者作品展やハロウィーン工作などの催しを案内
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外出困難者、ICTで広がる就労 東京の接客ロボ、焼津で操作
テレワークや情報通信技術(ICT)の普及で、外出が不自由なために従来は就労が困難だった障害者や難病患者が在宅で働けるようになり始めた。焼津市の難病患者の女性は東京・日本橋のカフェに設置されたロボットを自宅から操作し、会話で接客する。保険薬局の静岡市内の事業所では通勤が難しい身体・精神・発達障害者12人が在宅勤務している。来年4月から企業の障害者法定雇用率が段階的に引き上げられるのを前に、テレワークの多様化が注目される。 ビジネスや買い物の男女が行き交う日本橋。カフェのテーブルに置かれた高さ23センチの白いロボットが首を動かし、薄緑色の目で客の顔を見渡すと、明るい声で接客を始めた。「ようこ
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体育館の冷房導入進まず 静岡県内公立小中、設置率1.9% 避難所使用時熱中症の懸念
静岡県内の公立小中学校の体育館の冷房設置率が1・9%(昨年9月現在)と進んでいない中、夏に災害が発生した場合に避難所となる体育館での熱中症多発を懸念する声が防災の専門家らから上がっている。各市町の教育委員会は冷房が未整備の特別教室への完備を優先し、体育館は当面先となりそうな見通しだ。設置工事が不要でエアコンより安価なスポットクーラー(可搬式冷風機)を活用する例もある。 2日午後、吉田町の吉田中。屋外の温度計が29・4度を指す中、窓を閉めた体育館内で生徒が体育の授業を行っていた。1階の武道場とアリーナに計12基、2階のアリーナに16基のエアコン室内機が設置され、25度に設定された室内で生徒は
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静岡・油山温泉2旅館 再開へ強い決意 宿泊客、寄付で激励 台風15号被災
昨年9月23日の台風15号で土石流が流れ込み、現在も休業している静岡市葵区の油山温泉の2旅館が、以前に宿泊した客らの激励で再開を目指し、準備に取り組んでいる。建物が全壊した「元湯館」は解体を終え、年度末に予定される砂防ダム完成を踏まえて旅館を建て直し、2025年再開を目指す。建物が無事だった「油山苑」は今年11月から食事、24年2月から宿泊を再開予定。温泉の名物だったホタルもこの夏、油山川に再び姿を見せ、「希望の光だ」と関係者に勇気を与えた。 「希望の光」名物ホタル再来 「被災直後は『全てを失った』と嘆いたが、今は『生きててよかった』と前向きに捉えている」。8月末で解体を終えた元湯館の跡
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人口密集度の高まりで危険増 帰宅困難者対策が課題に 武村雅之特任教授に聞く【伝える 関東大震災100年と静岡 番外編】
1日で発生から100年となった関東大震災。日本の自然災害史上最大の死者・行方不明者10万5千人余りを出した惨事が残した教訓とは何か。被災各地の揺れや被害、復興まで幅広く研究し、関東大震災研究の第一人者とされる名古屋大減災連携研究センターの武村雅之特任教授に聞いた。 -1924年に発行された静岡県大正震災誌によると、県内の死者・行方不明者は443人、建物被害は1万3千件と甚大だった。どんな地震だったのか。 「住宅の全壊率から推定すると、現在の震度階級で小山町の一部は最大震度7、熱海、伊東両市の一部は震度6強に達したとみられる。これらの地域は地震で動いた断層面の西端に近く、激しく揺れた。熱海
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関東大震災の恐怖、若山牧水が随筆「地震日記」に残す 晩年過ごした沼津で被災
晩年を過ごした沼津市で関東大震災を体験した歌人若山牧水(1885~1928年)の随筆「地震日記」を収録した短歌雑誌「創作 十月号」が、同市の若山牧水記念館に所蔵されている。津波を警戒して避難する住民や、神奈川県小田原市から九死に一生を得て避難した人々の様子などを生々しく描いている。 「創作 十月号」は関東大震災翌月の1923年10月に出版された。地震日記は1万2千字以上の長文で震災発生当日、牧水は伊豆半島西岸の古宇村(現沼津市西浦古宇)で宿泊していた旅館で昼食を食べ、横になっていた際に激しい揺れを感じた場面で始まる。 ゴオーッという音が空に響き、対岸の岬が土煙を上げて海へ崩れた。道路脇
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災害備えにICT活用 静大、フィンランドの学生ら研さん 静岡市葵区で25日グループ発表
持続可能な開発目標(SDGs)の達成度3年連続世界1位のフィンランドに学ぼうと、静岡大は26日まで、同国のオウル大などの学生を招いた「SDGsサマープログラム」を静岡市内などで行っている。「気候変動や自然災害のリスク低減へのICT活用」がテーマで、県内各所を視察してグループ発表を行う。 プログラムにはオウル大大学院生2人、横浜国立大の留学生2人(インド人、アフガニスタン人)と静岡大生7人が参加。22日は同市葵区の県地震防災センターを訪れ、本県で南海トラフ沿いの地震や富士山噴火が繰り返されてきた歴史と防災の備えなどを学んだ。 参加者は21日に静岡大静岡キャンパス(同市駿河区)で初めて対面。
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車椅子ソフトボール メンバー確保へ「静岡REX」9月体験会
2028年ロサンゼルスパラリンピックで正式種目を目指す車椅子ソフトボールチームの競技者を増やそうと、県内在住者でつくるチーム「静岡REX」は9月2日午後1時から、同競技の体験会を静岡市駿河区の東静岡2号調整池で開く。メンバーはこのほど、会場整備のため県や同市の職員と草むしりや小石の除去を行った。 車椅子ソフトボールは1チーム10人で行うが、同チームは現在9人。他県のチームとまだ試合ができないため体験会を企画した。 同競技は車椅子が走りやすいよう、土のグラウンドではなく舗装された敷地で行う。同調整池はグランシップ(同区)の東側にあり、大雨の時に雨水をためる市施設で敷地面積は約6千平方メート
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てんかん啓発 ゆるキャラ愛称「えっぴー」に
てんかん患者でユーチューバーとして活動する浜松市西区の会社員中村真二さん(33)は7日までに、てんかんへの理解を広める「ゆるキャラ」の名前を公募した結果、117件の応募の中から「えっぴー」に決定したと発表した。てんかんの英語「エピレプシー」を基に、子どもでも呼びやすく親しみを持てる響きにした名前だという。 応募があった「てんてん」「てんちゃん」「てんくん」などの候補の中から中村さんが選定した。既にえっぴーのSNSアカウントもインスタグラム(eppii_tenkan)とX(旧ツイッター、tenkan_yuru)に作り、周知を図っている。 中村さんは4月以降、クラウドファンディング(CF)で
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静岡食材ムダなく おかき「輪乃菓」好評 静岡市葵区・障害者支援施設で手作り
静岡市葵区薬師の障害者就労支援施設「アトリエ・ポルト」が持続可能な開発目標(SDGs)に貢献しようと手作りしている米菓「輪乃菓(わのか)」が8月末まで、同区のセブン-イレブン7店舗で販売されている。通常は廃棄されることが多い海藻アカモクやサクラエビのヒゲなど市内産の食材を有効活用した。市内のセブン-イレブンで授産製品を販売するのは初という。 輪乃菓は粒状のおかきで、「アカモク」「海老(えび)」「焼塩」の3種類を販売。障害者の収入増のため授産製品の品質向上を支援する市の「授産品開発・改良アドバイザー派遣事業」に、ポルトを運営する社会福祉法人愛誠会が申請し、静岡伊勢丹と鈴木学園中央調理製菓専
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静岡人インタビュー「この人」 家族を世話する子どもの支援団体「ヤングケアラー協会」理事 高垣内文也さん(浜松市中区)
家族の介護や世話を日常的に担っている子どもや若者が、夢を諦めずに自分らしく生きられるよう、行政や民間団体と連携して支援策を模索している。県の委託事業で開催したオンラインや対面形式の交流会では司会を務めた。自身も元ケアラー。神戸市出身。37歳。 ―自身のケアラー体験とは。 「認知症だった祖母の世話を20歳から約10年間続けた。18歳以上はヤングケアラーではなく、若者ケアラーと呼ばれる。祖母は体が元気でも脳が次第に衰え、料理や買い物、通院がうまくできなくなり、自分が代わりに行ったり付き添ったりした」 ―東京にあるヤングケアラー協会で働き始めたきっかけは。 「大学卒業後、認知症に向き合う人
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静岡県内連日の猛暑日 今年初の「熱中症警戒アラート」発表
高気圧に覆われた静岡県内は11日、各地で気温が上昇し、静岡市駿河区で今年の県内最高気温となる36・9度を観測するなど4地点で35度以上の猛暑日を記録した。県内の猛暑日は2日連続。気象庁と環境省は同日未明、県内に今年初の「熱中症警戒アラート」を発表した。同日夕には12日を対象とする同アラートも発表し、なるべく外出や運動を避けるよう呼びかけた。 気象庁の観測によると、浜松市天竜区船明で35・4度、同区佐久間で35・1度、川根本町で35・2度まで上昇した。連日の厳しい暑さとなった静岡市の中心街では、信号を待つ人や歩道を歩く人たちが、強い日差しを避けて日陰で暑さをしのいでいた。JR静岡駅北口では、
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静岡市駿河区と川根本町で猛暑日 静岡県内8地点で今年最高
静岡県内は10日、高気圧に覆われ、各地で気温が上昇した。最高気温は静岡市駿河区で35・5度、川根本町で35・0度の猛暑日を記録するなど県内19観測地点のうち16地点で30度を超え、蒸し暑い日となった。8地点で今年の最高を更新した。 静岡市葵区の市中心街では、市役所前に設置した温度計が37度を示す厳しい暑さの中、日傘を差す人や、手やタオルで日差しを遮る人の姿が見られた。 県内では同日、熱中症とみられる症状で少なくとも17人が救急搬送された。中等症が12人、軽症が5人という。静岡地方気象台によると、11日も高気圧に覆われておおむね晴れ、猛暑日になる所もある見込み。
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災害対応、教えて理解 静岡大が独自プログラム 大学生→高校生→園児【いのち守る・防災しずおか】
災害時に受け身にならず自ら行動できる市民を増やそうと、静岡大教育学部の藤井基貴准教授(47)の研究室は県内の高校と連携し、独自の「BOSAIユースアンバサダープログラム」に取り組んでいる。大学生が防災の基礎知識を高校生に教え、さらに高校生が幼稚園児や保育園児に広める―という試み。園児が学んだ内容を思い出しやすいよう、クイズや遊びなどで楽しさを取り入れている。 「停電になると、エアコンや冷蔵庫などが使えなくなったりするんだ。真っ暗だと怖いし、心細いよね」 「じゃあ、停電になる前に準備しておかないとね。食べ物と飲み物…。あっ、懐中電灯や電池も!」 島田市の島田学園付属幼稚園で
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防災アプリで避難先を確認 静大准教授ら開発 付属浜松小で初授業
静岡大教育学部の藤井基貴准教授の研究室はこのほど、企業と共同開発した防災アプリ「クロスゼロ」を使った授業を浜松市中区の静岡大付属浜松小で行った。アプリの地図上に洪水や津波の際に想定される浸水の深さや避難所の位置が表示され、災害時にどこに避難すべきかを考えた。 富士市のIT企業「建設システム」と開発したアプリで、学校の授業に使ったのは初めて。この日は藤井研究室の大学院生2人がクイズを交え、5年生約70人を指導した。児童はタブレット端末を使い、防災情報の種類や活用法を学んだ。 大学院生は避難所と避難場所のピクトグラム(絵文字)が違うことを説明。アプリの地図に表示されるピクトグラムなどから、浜