社会部 瀬畠義孝
せはた・ぎこう 1971年、秋田県横手市生まれ。2012年入社。全国紙から中途採用で入社しました。本社社会部(防災担当)、湖西支局、浜松総局を経て社会部。ランニング、山歩きが趣味。
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自宅駐車場で朝市 月1開催 好評15周年 地域の憩いの場「交流深まる」 静岡市葵区の海野さん
静岡市葵区末広町の食育指導士海野久美子さん(69)が、地域活性化のため自宅駐車場でほぼ毎月開いている「かねき朝市」が、7月で開始から丸15年を迎える。海野さんは知人が作った野菜や加工食品を販売。キッチンカーや音楽演奏などの出店者、出演者の輪も広がり、休日の憩いの場としてにぎわっている。 3月30日の朝市では同区梅ケ島で茶の生産に取り組む静岡大の学生が茶を販売。たこ焼きやおむすびなどの出店が並び、ダンスやギター演奏も披露された。 出店料無料のため、参加者は徐々に増えて活気づいている。同大の島田理暉さん(24)は「のんびりした雰囲気で、お客さんに自分たちの活動の話をゆっくり聞いてもらえる」と
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【川勝知事辞意表明】職業差別発言あくまで撤回せず リニア「一里塚超えた」能弁に
突然の辞職表明から丸一日。3日の臨時記者会見で決断理由を語った川勝平太知事は吹っ切れた表情で、懸案のリニア中央新幹線問題が「大きな区切りを迎えた」「一里塚を越えた」と能弁に持論を展開する〝川勝節〟を繰り返した。職業差別として批判を浴びた発言については陳謝する一方、撤回をかたくなに避けるなど、記者との質疑応答は十分かみ合わないままに終わった。 報道陣の質問に対していら立ちをあらわにする場面も見られた2日から一転し、この日の川勝知事は淡々とした口調で約1時間、辞職の決断に至った経緯などを明らかにした。 リニア中央新幹線についてはJR東海が品川ー名古屋間の2027年開業を断念し、工事に計10年
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地震への備えでも「土砂災害警戒区域」に注意をー 奥能登の建物・人的被害8割がエリア内で発生 静岡大教授調査
静岡大の牛山素行教授が能登半島地震の死者・安否不明者の被害状況を空中写真や現地調査などを基に個別に精査した結果、地震に伴う土砂災害により石川県奥能登地域で少なくとも37カ所の建物が倒壊・流失するなどし、うち5カ所で計26人が犠牲になったとみられることが分かった。これらの8割以上は大雨を想定して指定された土砂災害警戒区域で起きており、牛山教授は「地震に備える上でも土砂災害警戒区域という情報は重要」と強調する。 牛山教授は、同県が公表する死者・安否不明者情報や住宅地図、国土地理院などが同地震前後に被災地を撮影した空中写真やメディア報道、2月上旬と3月上旬に被災建物を自ら確認して回った現地調査な
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能登半島地震被災地 静岡県内技術系ボランティア走る 家財救出 生活再建に貢献
能登半島地震の被災地に通い、住民の要望を受けて被災住宅から車やスマホ、家財を回収したり、家を補修したりする静岡県内の「技術系災害ボランティア」が生活再建に貢献している。一般の災害ボランティアが入れない傷んだ家でも安全を確保して活動。南海トラフ地震に備え、県内に技術系ボランティアを増やそうと講習も行っている。 2月下旬、石川県輪島市の民家。車を覆っていたがれきを電動のこぎりで切り、車を“救出”すると、沈んだ表情だった住民男性に笑顔が戻った。「諦めていた車に乗れるなんて。皆さんはヒーローです」 感謝されたのは静岡県の技術系災害ボランティアチーム「しぞ~か・まめっ隊」代
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新型コロナ電話相談窓口、3月末終了 静岡県と静岡、浜松両市
静岡県と静岡、浜松両市は31日、新型コロナウイルス感染症が疑われる症状や受診などの電話相談窓口を終了する。新型コロナの感染症法上の位置付けがインフルエンザと同等の「5類」に引き下げられて10カ月以上経過し、国が本年度末で新型コロナ対策事業の多くを終了することに伴う措置。 閉鎖されるのは県発熱等受診相談センター〈電050(5371)0561〉、県ワクチン接種副反応相談窓口〈電050(5445)2369〉、静岡市発熱等受診相談センター〈電054(249)2221〉、浜松市新型コロナコールセンター〈フリーダイヤル(0120)368567〉。31日午後5時ごろで受け付けを終える。 県や両市は20
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記者コラム「清流」 命預かる責任とは
2月の休みに、東日本大震災で被災した宮城県石巻市の震災遺構大川小と女川町の七十七銀行女川支店跡地を訪ねた。いずれもすぐ裏に山があるが、児童も行員もそこに避難せず亡くなった。「なぜ1、2分で行ける山に行けなかったのか」。自分の足で登ってみても答えは分からなかった。 津波は想定を超えた場所や高さまで襲い、教員や支店長の判断の遅れや誤りが悲劇を招いた。同支店員の長男(享年25)を亡くした田村孝行さんは先日、浜松市での講演で「(従業員の)命を預かり管理する者の責務は大きい」と訴えた。 責任者不在時の発災など起こり得る事態を見据え、実効性のある避難計画を作っておくことは、南海トラフ地震に備える静岡
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避難の意味を遺構は問う 東日本大震災後、入社の本社記者ら宮城訪問【311メディアネット いのちと地域を守る2024】
静岡新聞社や河北新報社(仙台市)など全国の地方紙、放送局でつくる「311メディアネット」は17日、防災ワークショップ「むすび塾」の被災地視察を行った。加盟する地方メディアの若手記者が、東日本大震災で津波被害を受けた宮城県気仙沼市、石巻市、南三陸町で震災の教訓と、発生から間もなく13年となる被災地の現状を学んだ。 同ネットは「むすび塾」を共催した北海道新聞、東京新聞、神奈川新聞、新潟日報、福井新聞、静岡新聞、中日新聞、京都新聞、毎日放送、神戸新聞、中国新聞、高知新聞、宮崎日日新聞で構成。今回は2011年3月11日の東日本大震災発生後に入社した記者を対象とし、20年入社の静岡新聞社磐田支局の崎
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【能登地震】災害ボランティアの宿泊拠点着工へ 静岡県協会 半島北部への派遣、石川・穴水町から推進
静岡県ボランティア協会は、能登半島地震被災地の石川県穴水町にプレハブなどで設置予定の災害ボランティア約40人が宿泊できる活動拠点について、2月下旬にも、のと鉄道穴水駅近くの診療所跡地約660平方メートルに着工する方向で準備を進めている。同半島北部の被災地では宿泊可能な施設の不足から災害ボランティアの受け入れが進んでいないため、現状の改善を図ろうと同町などと交渉しながら準備を急いでいる。 同半島北部は依然として断水地域が多く、石川県は一般募集の災害ボランティアについては金沢市を拠点に日帰りで往復する方式などを取っている。片道3時間ほどかかり、現地での活動は4時間程度に限られるなど不便を強い
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静岡県ボランティア協 穴水に拠点 3月にも稼働へ準備 能登地震
能登半島地震被災地での災害ボランティア活動本格化に向け、静岡県ボランティア協会(小野田全宏理事長)が認定NPO法人レスキューストックヤード(名古屋市)と協力し、40人程度の災害ボランティアが宿泊できる活動拠点を石川県穴水町に設置、運営する方向で調整していることが31日までに、関係者への取材で分かった。3月ごろの稼働開始を想定し、同町などの避難所で被災者の心身を癒やすため、足湯サービスなどの活動を行う。 日本財団の助成金を活用し、穴水町社会福祉協議会の所有地を借りてプレハブ2階建ての拠点整備を目指す。1階に事務所と倉庫、2階に静岡県や愛知県などの災害ボランティアが宿泊滞在できる部屋を設ける。
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学生に100円朝食 静岡県大生が提供 管理栄養士目指す有志6人、レシピも考案
静岡県立大草薙キャンパス(静岡市駿河区)の食堂で23~26日、管理栄養士を目指す食品栄養科学部の2年生有志6人による「朝食を食べようプロジェクト」が行われた。普段朝食を取らない学生にも食べる習慣をつけてもらおうと、学生が調理したおにぎり2個と汁物のセットを1食100円で提供した。 学生は日替わりで健康テーマを設定し、レシピを考案。「免疫力向上」の日にはサケ、ワカメ入りのおにぎりとキノコのみそ汁、「貧血予防」の日は高菜とヒジキ入りのおにぎりとホウレンソウと卵のスープを提供した。午前8時から9時まで各日50食を用意し、いずれも完売で好評だった。友人と食べに来た同学部4年の光川晴香さん(22)は
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津波、4m超まで浸水 能登の大規模被害地区 静岡大准教授ら実測
静岡大防災総合センターの原田賢治准教授(津波工学)と同センター長の北村晃寿教授(地質学)は20~22日、能登半島地震の被災地で津波が浸水した高さの測量調査を行った。低地の集落一帯が大規模な被害を受けた能登町白丸地区では、立ち木に付着した海藻などの高さを実測し、地盤からの浸水深で2・67メートル、海抜で4・15メートルの高さまで浸水したことを確認した。 木に付着していた海藻の高さを測る静岡大の原田賢治准教授。すぐ左の屋根瓦もほぼ同じ高さまで流失している=22日、石川県能登町(北村晃寿教授提供) 原田准教授らは珠洲市4カ所と能登町3カ所で測量を実施。このう
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地震防災対策や研究成果紹介 静岡県立大がシンポ 災害情報活用法も議論
静岡県立大グローバル地域センター(静岡市葵区)は13日、南海トラフ地震を想定した国の防災対策や同大の研究成果などを市民に紹介するシンポジウム「みんなでつくる地震津波防災」を静岡市清水区で開いた。県内の自治会や企業関係者ら約120人が参加した。 同大が文部科学省の委託事業「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」に参加していることから企画した。静岡地方気象台の石川聡南海トラフ地震防災官は、大地震発生の可能性が通常より高まった時に発表する南海トラフ地震臨時情報について解説。「臨時情報は予知情報ではない」と強調し、発表後1、2週間たっても何も起きない場合もある一方、発表前に大地震が起
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被災時の安否不明者氏名公表進む 家族の同意不要、捜索活動を加速 静岡県、能登地震対応注視【いのち守る・防災しずおか】
多数の住宅が倒壊し、今もなお被害の全体像が見えない能登半島地震。石川県は発生翌々日の3日夜から安否不明者の氏名を公表し、一時は300人以上の規模となった。安否不明者を公表することで捜索活動の効率化が期待されるため、政府は2023年3月、「家族の同意取得は不要」と指針で明示。都道府県ごとに異なっていた対応の統一化が進んだ。南海トラフ地震に備える静岡県も石川県の対応を注視している。 安否不明者の公表が進んだきっかけの一つは、18年の西日本豪雨。広島、愛媛両県は個人情報保護を重視して安否不明者を基本的に非公表としたのに対し、岡山県は早期に氏名の公表に踏み切った。各自治体の個人情報保護条例が「生
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生活困窮脱却へ ロボで就労支援 静岡県が体験事業 県庁内喫茶店
メンタル面や障害などで就労に困難を抱える生活困窮者の自立支援のため、静岡県はこのほど、県庁の喫茶店に遠隔操作ロボット「オリヒメ」を設置し、リモートで接客する就労体験事業を始めた。人とのコミュニケーションが苦手な人などに就労への自信を得てもらうのが狙い。県内でもひきこもりなどの生活困窮者は新型コロナウイルス禍を経て倍以上に増加。生活保護を受けずに済むよう、県は多様な支援策に取り組む。 遠隔操作、対面の恐怖少なく 「おなかすいてませんか。今日のおすすめはカニクリームのオムライスです」 ランチタイムを迎えた県庁東館2階の「喫茶ぴあ~」。プリンやバッグなどの授産品が並ぶ店頭で、高さ23センチのオ
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歌や寸劇 園児と楽しく 静岡英和学院大生がXマス音楽会 学習成果生かし地域貢献
静岡英和学院大(静岡市駿河区)で保育士や幼稚園教諭を目指して学んでいる3、4年生4人が21日、授業で学んだ成果で地域に貢献しようと、同区池田のつくしんぼ保育園でクリスマスコンサートを行った。 4人は同大人間社会学部コミュニティ福祉学科でミュージカルの選択科目を履修。学んできた表現技術やコミュニケーションを実践するため同園を訪ねた。 参加した0~5歳児約70人に手作りの鈴をプレゼントし、一緒に鈴を鳴らしながら「ジングルベル」を歌った。ボードに絵人形を貼っていく寸劇「パネルシアター」を演じると、園児は夢中になって見入った。 3年の石田未来音さん(21)は「子どもたちも楽しい音楽に触れ、クリスマス
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記者コラム「清流」 「残された時間」の活用
静岡市葵区の県地震防災センターで月1回、市民向けに開かれている「ふじのくにDIG(災害図上訓練)セミナー」に参加した。講師でDIG考案者の小村隆史常葉大准教授と参加者の双方とも熱意にあふれ、活発な議論が交わされた。 11月は「次の南海トラフ地震まで10年残されているとしたら市民は何をすべきか」を考えた。防災士や災害ボランティア、企業関係者ら約30人の参加者は「要支援者が短時間で津波から避難するのは無理」「施設や住居の移転を進め、避難を要しないまちづくりに転換を」と避難ありきの対策の見直しなどを訴えた。 セミナー開始から11年たつが「まだ議論の成果を社会に実装できてない」と小村准教授。災害
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力強いばちさばき、一糸乱れぬ演技 天城連峰太鼓ジュニア、静岡南幼稚園で披露
静岡市駿河区の静岡南幼稚園は3日、伊豆市を拠点とする和太鼓団体「天城連峰太鼓ジュニア」を招き、同園の園庭で演奏会を行った。園児や保護者、地域住民ら約400人が、力強いばちさばきやスピード感あふれる演奏を堪能した。 同団体は11月に開催された日本太鼓ジュニアコンクール県予選会で最優秀賞に輝き、来年3月の全国大会に出場する実力派。青島範明園長(65)がたまたまイベントで演奏を聞いて魅了されたことがきっかけで演奏を依頼し、1年越しで実現に至った。 この日は同団体の小中学生と高校生の計8人が法被にねじり鉢巻きの衣装で登場。静岡県の予選会でも演奏し、魚の群れを表現した曲「なぶら」など5曲を披露した
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昨秋台風被災の静岡市葵区油山 再発防止へ砂防ダム増設 静岡県が2カ所着工、来年5月完成目指す
静岡県はこのほど、昨年9月の台風15号で土石流が発生し旅館や民家が被災した静岡市葵区油山地区で再発防止のため、油山川の上流2カ所に砂防ダムを増設する工事に本格着手した。上流部の道路を埋め尽くした土砂や岩石の除去が難航し、発災から約1年2カ月たってやっと大規模工事にこぎ着けた。出水期前の来年5月末までに完成を目指す。 上流部には元々2カ所に治山ダム、3カ所に砂防ダムが設置されていた。だが昨年の台風15号では線状降水帯に伴う大雨で山崩れが起き、土石流が砂防ダムの容量を超えて押し寄せた。再発防止に向け、県は既設の砂防ダムにたまった土砂を掘削して機能を回復。その上で既設ダムの下流1カ所に幅約50
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静岡市、10年ぶりに津波マップ刷新 県の警戒区域指定受け 災害時の「基準水位」表示
静岡市は7日、県による今春の津波災害警戒区域指定を受け、約10年ぶりに刷新した津波ハザードマップの説明会を同市役所清水庁舎で開いた。新たなマップは各地域の浸水の深さに、津波が建物などに衝突した時のせり上がりの高さを加味した「基準水位」を表示し、避難時の安全な高さを明確にした。市の担当者は「自宅以外にいる場合も想定し、地震が起きたらどこに避難すればいいのか改めてチェックしてほしい」と呼びかける。 新マップは駿河区2地域、清水区4地域の計6種類を作成し、10月下旬に市ホームページで公表した。津波災害警戒区域の約6万5千世帯に全戸配布する。 2014年3月公表の旧マップは浸水の深さを5段階の色
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青年リーダー、51年ぶり再会 御殿場で研修した静岡県内外70代「全国に仲間、強い絆実感」
1972年1月に47都道府県の新成人102人が御殿場市で青年リーダーとしての心構えなどを学んだ「全国中堅青年研修会」の参加者有志8人が4、5の両日、51年ぶりに本県に集まり、会場だった同市の国立中央青少年交流の家(旧国立中央青年の家)を再訪するなどして旧交を温めた。 研修会は同青年の家などが主催。新成人の自覚を高めるため、全国の自治体から推薦された若者を招き、4泊5日で有識者が講義を行った。72年1月11日付の静岡新聞1面には「富士に誓う われら20歳」の見出しとともに、富士山を背景に両手を空にかざす新成人たちの写真が掲載された。 当時、神戸市の会社員として参加した西山(旧姓梶本)京子