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熱海土石流 静岡県、20年前の土砂崩れ箇所 不鮮明な白黒文書で開示

 1日までの静岡県への取材で確認された、熱海市伊豆山の大規模土石流の起点で20年前に起きた土砂崩れ箇所やその写真は、不鮮明に加工された疑いのある県の行政文書(D55やD64)に掲載されていた。元の文書がカラーだったのに県は当初、白黒化して開示していた。D64の地図上に示された土砂崩れの範囲は元の文書に赤い枠線があったが、白黒文書では目立たず、「崩壊箇所」と書かれた文字も判読しにくくなっていた。

県が土石流後の2021年10月に白黒化して開示した文書(D64の一部を抜粋)。不鮮明になっている
県が土石流後の2021年10月に白黒化して開示した文書(D64の一部を抜粋)。不鮮明になっている
県が保管していた元のカラー行政文書(D64の一部を抜粋)。「崩壊箇所」と読み取り可能で、その範囲は赤く明記されていた
県が保管していた元のカラー行政文書(D64の一部を抜粋)。「崩壊箇所」と読み取り可能で、その範囲は赤く明記されていた
県が土石流後の2021年10月に白黒化して開示した文書(D64の一部を抜粋)。不鮮明になっている
県が保管していた元のカラー行政文書(D64の一部を抜粋)。「崩壊箇所」と読み取り可能で、その範囲は赤く明記されていた

 D55やD64の白黒文書に添付され、「雨水流出部」「崩壊箇所」などと説明が付いた無許可開発区域の写真は黒く塗りつぶされたような状態で何が写っているか分からなくなっていた。
 県は行政対応検証委員会(第三者委員会)の検証対象を2006年以降に限定したため、これらの03年の文書を委員に提供していなかった。遺族や被災者が県などを相手取った損害賠償請求訴訟で静岡地裁沼津支部から「逢初川源頭部の公文書」の提出を求められた際も提出していない。
 遺族や被災者を支援している土木設計エンジニアの清水浩さんは「情報の出し方がおかしい」と県の対応を批判した。
 (社会部・大橋弘典)

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