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袴田さん再審日程決まらず 静岡地裁、3者協議継続へ

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判に向け、静岡地裁(国井恒志裁判長)は19日、弁護団と静岡地検との4回目の3者協議を地裁で行った。弁護団は9月の次回協議を初公判期日に切り替えるよう求めていたが、国井裁判長は警備上の対応や他の裁判との調整などに時間が必要との考えを説明。次回も3者協議を続けることになった。

3者協議の内容を説明する袴田巌さんの弁護団と姉ひで子さん(中央)=19日午後、静岡市内
3者協議の内容を説明する袴田巌さんの弁護団と姉ひで子さん(中央)=19日午後、静岡市内

 協議は非公開。終了後に記者会見した弁護団によると、地裁は袴田さんの再審公判を開く日は他の裁判を行わないことを想定しているという。国井裁判長はその調整をはじめ、傍聴希望者の整理や警備体制についても準備が必要との見解を示し、次回の協議期日を初公判に変更することは「できない」と返答。一方、袴田さんの再審請求審に長い時間がかかったことに対し裁判所としても責任を感じているとして「できるだけ迅速に進めたい」とした。
 弁護団の小川秀世事務局長は「やむを得ないかなと思っている。裁判所は集中審理を考えているはずなので審理自体は年内に終わらせたい」と期待を込めた。
 この日の協議では、有罪立証方針の地検が、取り調べを請求予定の証拠245点を提示した。このうち約15点は再審開始確定後に作成した新証拠。弁護団も既に請求予定の証拠269点を明らかにしている。国井裁判長は弁護団と地検の双方に対し、互いの証拠への意見を8月末までに提出するよう要請した。

 審理計画策定 進展には 検察新証拠の採否鍵に
 袴田巌さんの再審公判日程や審理計画を策定する上で重要な意味を持つのが、再審開始確定後に静岡地検が用意した法医学者7人による共同鑑定書といった新証拠の採否。犯行着衣とされた「5点の衣類」に付着した血痕の色に関する証拠とされ、弁護団は「再審請求審の蒸し返しであり、不要」として静岡地裁に却下するよう求めていく方針。
 新証拠が却下されず、弁護団が不同意とした場合、地検は法医学者らの証人尋問を求めるとみられる。間光洋弁護士は「極端な話、裁判所が却下してくれれば判決まで最短ルートの流れになる。却下しない方向となれば、今後の進行に大きな影響を与える」と話す。
 地検の新証拠に対する地裁の姿勢が明らかにならなければ審理計画を立てられないと伝えたところ、地裁は「次回期日とまでは言わないが、打ち合わせ(3者協議)の中で意向を示そうと思う」と答えたという。間弁護士は「遅くとも次々回(9月27日)までには示してほしい」と要望した。

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