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安倍派議員ら10人立件 会計責任者の公判 注目 

 東京地検特捜部による自民党裏金事件の捜査では安倍派議員ら10人が立件された。来月10日には事件のキーマンとされる安倍派会計責任者松本淳一郎被告(76)の初公判を控える。立件されなかった安倍派幹部の関与や資金還流の起源が明らかになるか注目が集まる。一方、安倍派幹部らを立件しなかった特捜部の判断の是非は今後、検察審査会で吟味される見通しで、決着にはまだ相当な時間がかかりそうだ。
 一連の捜査は、自民党派閥の政治資金パーティーに収入の過少記載があるとして、大学教授が断続的に告発状を提出したことがきっかけとされる。特捜部は水面下で関係者の事情聴取を進め、昨年12月19日、虚偽記載の規模が大きかった安倍派と二階派の事務所への家宅捜索に踏み切った。
 今年1月7日には安倍派の池田佳隆衆院議員と秘書を逮捕。同19日、岸田派を含めた3派閥の会計責任者経験者のほか、二階俊博元幹事長の秘書ら計8人を一斉に立件した。うち4人は既に罰金刑が確定している。
 特捜部は2022年の還流中止、再開に着目して安倍派幹部議員の関与を捜査。安倍晋三元首相の指示で中止を決めたが、急逝後に幹部らが協議して中止が撤回された。
 しかし、松本被告との共謀を示す客観証拠は見つからず、幹部議員らの立件は見送られた。政治倫理審査会でも還流再開を決めた人物は明らかにならなかった。
 それぞれが還流金を自身の政治団体の政治資金収支報告書に記載しなかったことも立件対象とならず、市民団体は一連の判断を不服として検審に審査を申し立てた。「不起訴不当」か「起訴相当」の判断が下れば再捜査が始まる。大学教授も議員への告発を順次進めている。

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