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「有罪立証 通用せず」 袴田さん再審巡り 弁護団が地検に反論

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は26日、静岡地検の主張に対する反論書を静岡地裁に提出した。証拠として無価値と評価されてきたささいな事情を、あたかも重要な間接事実であるかのように主張していると指摘。「検察官自身、有罪立証として通用するはずがないのは十分理解しているはずだ」と批判している。
 27日には地裁と弁護団、地検による3者協議が開かれ、再審の公判日程などが話し合われるとみられる。
 弁護団によると、地検は再審公判で、袴田さんの自白調書45通のうち確定審で証拠能力が認められた起訴当日付の1通についても犯人性の立証に用いない考えを示している。その上で8月、立証方針を詳しく説明した意見書を出していた。
 弁護団は反論書で、事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかった「5点の衣類」について、従業員の袴田さんにとって、みその出荷時などに発見される危険を容易に認識できるとして「(袴田さんが)隠匿場所に選択すること自体、常識的には到底想定できない」と主張。袴田さんが犯人であることの整合する事情として地検が挙げている点についても逐一否定し、自白調書の不使用によって「被害金品について説明ができなくなり、検察官の主張に大きな穴が開く」とも指摘している。

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