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「有罪立証放棄を」 袴田さん再審巡り ネット署名4.6万人

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地検に対して有罪立証の放棄を求める声が広がっている。弁護団が始めたネット署名の賛同者は4万6千人を突破。弁護団と支援団体は14日、地検の主張は再審請求審の「許されざる蒸し返し」だとして、速やかに有罪立証を放棄するよう改めて申し入れた。

有罪立証の放棄を申し入れるため、静岡地検に向かう支援者と弁護人=14日午前、静岡市葵区
有罪立証の放棄を申し入れるため、静岡地検に向かう支援者と弁護人=14日午前、静岡市葵区

 事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかったシャツなど「5点の衣類」について、確定判決は袴田さんの犯行着衣と認定した。しかし、第2次再審請求審で最高裁の判事2人は「5点の衣類が長期間みそ漬けされたことは当然視されたが、かかる推定の明確な根拠は示されなかった」と評価している。
 弁護団は申し入れ書で、検察官に求められているのは5点の衣類について袴田さんの犯行着衣と証明することだと指摘。その上で地検の主張を見る限り、その立証は「できる見込みがないことは明らか」とした。
 支援団体は、有罪立証を続けて裁判を長引かせることは「検察の信頼を自らかなぐり捨てる蛮行だ」と批判。静岡地裁に対しては、再審公判を多くの市民が傍聴できるよう特別傍聴室を設けてほしいと要望した。
 袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会の山崎俊樹事務局長は取材に、5点の衣類を捏造(ねつぞう)した可能性が極めて高いと指摘された当時の捜査こそ「検証すべき」と話した。

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