裁判しずおかの記事一覧

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「袴田事件」もし裁判員裁判なら? 市民目線で多角的に議論 大阪で模擬評議【最後の砦 刑事司法と再審】
もし「袴田事件」が裁判員裁判だったとしたら―。こんなテーマの模擬評議が2日、大阪市であった。裁判官役を務めたのは、2014年に静岡地裁の裁判長として袴田巌さん(87)の再審開始を認めて釈放し、現在は弁護士の村山浩昭さん(66)。裁判員経験者らが「犯行着衣」をはじめとする証拠の評価などについて率直に意見を交わした。 裁判員役の市民3人は、袴田さんを死刑とした一審静岡地裁判決を読んだ上で模擬評議に参加した。議論を目的としたため、有罪・無罪の結論を出すことはしなかった。 袴田事件は1966年に発生。みそ製造会社の専務宅から出火し、焼け跡から一家4人の遺体が見つかった。住み込み従業員の袴田さん
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袴田さん再審公判「5点の衣類」法廷へ 弁護団、展示の方針
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は30日、確定判決が袴田さんの犯行着衣と認定した半袖シャツやズボン、ステテコなど「5点の衣類」について法廷で展示する意向を明らかにした。 同日、静岡地裁で法曹三者による非公開の打ち合わせがあった。終了後に取材に応じた弁護団によると、5点の衣類の状態などを直接確認した上で、裁判官らと展示方法について話し合ったという。12月11日の第4回公判で展示する方針。 5点の衣類は事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかり、血痕には赤みがあった。袴田さんの再審開始
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スルガ銀行と元役員1人和解 不正融資損賠訴訟
シェアハウス向けの不正融資問題を巡り、スルガ銀行は29日、旧経営陣の責任を追及して損害賠償を求めた訴訟で、麻生治雄元専務執行役員と静岡地裁で和解が成立したと発表した。麻生氏が責任を認め、1千万円を支払う。 同銀行は岡野光喜元会長や営業担当だった麻生氏ら9人(相続人を含む)に、総額35億円の損害賠償を求めて提訴した。和解成立は9人の中で初めてという。 不正融資に関わったとして懲戒解雇された麻生氏は、同銀行に地位確認と未払い給与など計約2400万円の支払いを求めて東京高裁で係争中だが、今回の和解を受けて訴訟を取り下げるという。一審の東京地裁判決は「解雇は合理的な理由を欠き無効」と判断し、解雇
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美人局事件、男女を起訴 静岡地検、恐喝や傷害
静岡市内で10~20代の男女5人がマッチングアプリで誘い出した男性に美人局(つつもたせ)の手口で因縁を付けて現金を脅し取るなどしたとされる事件で、静岡地検は29日、恐喝や傷害などの罪で清水町柿田、専門学生の女(20)と住所不定無職の男=犯行当時(19)=を静岡地裁に起訴した。 起訴状などによると2人は他の仲間3人と共謀し、18日午前2時55分ごろから同3時半ごろまでの間、マッチングアプリで誘い出した男性会社員3人に、未成年を装う被告を深夜に連れ回したとして因縁を付け、同市駿河区内の駐車場や海岸で「一緒にいた女の子の姉が三島連合の上の方の人で、君たちが連れ回したことを怒っている」と言って、投
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所有権移転求め掛川市が反訴へ 水利施設用地誤登記
掛川市による農業用水利施設の用地誤登記で地権者の男性(66)が市に損害賠償などを求めた訴訟で、市は29日までに、施設が立地する土地の所有権移転登記手続きを求めて反訴する方針を固めた。開会中の市議会11月定例会に関連議案を提出した。 市は1970年に用地買収して水利施設を設置したが、85年に登記する際、誤って近隣の農地を登記した。男性は、登記上は掛川市が所有する土地で茶業を営んでいて、取得時効を主張して市に所有権移転登記手続きを求めている。市は登記前の70年時点の売買に基づく所有権移転を求める。 訴訟は静岡地裁掛川支部で係争中。
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沼津市が山下市議を提訴 駐車場利益返還求め、静岡地裁支部に
沼津市は28日、自宅敷地に隣接する市有地を有料駐車場として貸した利益として、利息も含めて204万円の返還を山下富美子市議(70)に求める訴訟を静岡地裁沼津支部に起こした。市が現職市議を訴える異例の展開は、司法の判断に委ねられる。 訴状などによると、有料駐車場は山下氏の父親(故人)が1994年ごろから自身の土地と市有地を一体として運営を始め、2018年に山下氏が相続した。市は法律上の時効や、隣接する橋の工事で使用しなかった期間を除き、発覚した昨年9月までの計9年6カ月、2台分の駐車場代と利息を合算して請求した。 頼重秀一市長は「昨年12月以降、解決策を伝えてきたが応じてもらえず、やむなく提
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動物愛護法違反罪 親子を略式起訴 沼津区検、衰弱の猫遺棄
衰弱した複数の猫を沼津市内の住宅前に遺棄したとして、沼津区検は27日、動物愛護法違反の罪で同市の女性(41)と母親(65)を沼津簡裁に略式起訴した。 起訴状などによると、女性は2月16日早朝、住宅前に手提げバッグに入れた猫8匹を置き去りにし、6月7日夜には母親と共謀して別の住宅前にケージに入れた猫17匹を置き去りにしたとされる。
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戻らぬ娘、せめて真相を 重ねた面談、尽きぬ「なぜ」【届かぬ声/牧之原バス置き去り在宅起訴 ㊤遺族の思い】
法律って何なんだろう―。9月下旬、静岡地裁の202号法廷。傍聴席の中央後方に座った河本千奈ちゃんの父(39)は、柵の向こうで交わされる法曹三者のやりとりにぼうぜんと耳を傾けていた。 傍聴したのは乗用車を無免許運転し男性をはねて死亡させ、そのまま逃走したとして、自動車運転処罰法違反(無免許過失致死)などの罪に問われた男の論告求刑公判。いずれ自分も被害者遺族として臨む裁判の流れを知るため、牧之原市から足を運んだ。 亡くなった被害男性の妻は意見陳述で、残された幼い2人の子どもとの日々を声を震わせながら語った。悲しみに暮れる自身の境遇と重なり、涙をこらえきれなかった。ところが、検察官の求刑を聞い
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政府「解決済み」堅持 ソウル高裁 慰安婦判決 日韓関係、影響危惧
政府は、23日のソウル高裁の慰安婦問題日本政府敗訴の判決を巡り、賠償には一切応じない意向だ。個人の請求権問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みであり、判決は慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年の政府間合意に反するとの立場。一方、日本政府筋は取材に対し、尹錫悦[ユンソンニョル]政権下で改善が進んだ日韓関係への影響を避けたいとの認識を示した。判決を受けた韓国世論の動向も注視する。=関連記事4面へ 高裁判決を巡り、日本外務省関係者は、外国の裁判権に国家は服さないとされる「主権免除」の原則を否定したことを問題視。「極めて遺憾だ」と強調した。 外務省筋は、韓国の司法関係者の
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袴田さん再審第3回公判 「犯行着衣」の捏造否定 検察「非現実的で不可能」
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審第3回公判が20日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかった「5点の衣類」を巡り、検察側が袴田さんの犯行着衣だと改めて主張した。弁護団が捜査機関によって捏造(ねつぞう)されたと指摘していることについては「非現実的で実行は不可能」と強く否定した。 袴田さんの再審開始を認めた2014年の静岡地裁決定は、血痕がついたシャツやズボン、ステテコといった5点の衣類を捜査機関が捏造した疑いがあると指摘。検察側の即時抗告を棄却した今年3月の東
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映画助成金不交付「違法」 出演俳優逮捕巡り 製作会社、逆転勝訴 最高裁
薬物使用事件で有罪が確定した俳優の出演を理由に、映画への助成金を交付しなかった文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」(芸文振)の処分の妥当性が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(尾島明裁判長)は17日、不交付処分を違法と判断した。処分を適法とした二審判決を破棄し、原告の映画製作会社側の逆転勝訴が確定した。芸術文化作品への公的な助成金の在り方に関する最高裁の初判断で、4人の裁判官全員一致の結論。 映画は製作会社「スターサンズ」が手がけて2019年9月に公開された「宮本から君へ」。芸文振は出演俳優の有罪確定に伴い、内定していた助成金1千万円を交付しない決定をした。訴訟では国の
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袴田さん支援団体「傍聴機会拡大を」 静岡地裁に再要請
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、袴田さんの支援団体が16日、傍聴機会の拡大を静岡地裁に要請した。 10月の初公判では一般傍聴席26席に対して傍聴整理券が280枚、今月10日の第2回公判でも26席に対して89枚が配られ、ともに抽選になった。支援団体は1人でも多くの市民が傍聴できるよう柔軟な対応を訴えてきたが、20日の第3回公判を前に改めて要請した。 要請書では、空き法廷を利用しビデオリンク方式で傍聴できるようにすることなどを要望。「設備面、技術面ともに問題ないと思われる。にもかかわらず、実行しないのであれば『開かれた
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袴田さん姉・ひで子さん「無実勝ち取れると確信」 和歌山で講演
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定後、裁判のやり直しが決まり再審公判中の袴田巌さん(87)の姉ひで子さん(90)が15日、和歌山市で講演し「絶対に無実を勝ち取れると確信しています」と強調した。 静岡地裁で10月から始まった再審公判には、拘禁症状が残る袴田さんに代わり、補佐人のひで子さんが出廷している。初公判の罪状認否で「巌に真の自由をお与えください」などと述べた内容を紹介すると、会場から拍手が湧き起こった。 支援者の山崎俊樹さん(69)は、再審開始決定に道筋をつけた血痕の赤みの変化を調べる「みそ漬け実験」の取り組みを紹介。弁護団の小川秀世
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「新証拠でアリバイ成立」 旧天竜林高事件の元市長弁護人
浜松市天竜区の旧天竜林高を舞台にした調査書改ざん・贈収賄事件で、贈賄罪で罰金刑が確定し、再審請求中の元天竜市長(91)の代理人を務める杉尾健太郎弁護士が13日、同市中区で記者会見した。元市長のアリバイを巡る新証拠を盛り込んだ補充意見書を10月下旬に東京高裁に提出したことについて「新証拠によってアリバイが成立する」と強調し、「高裁は訴訟指揮をしてまずは3者協議を入れる。その上で再審開始決定を出してもらいたい」と求めた。 新証拠は元市長が元校長(75)=加重収賄罪などで有罪確定、再審請求中=に2回目の現金を渡したとされる日に訪れた銀行の伝票で、保険契約金の振込が完了したとみられる「12・26(
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袴田さん再審第2回、弁護団が反証「外部の複数犯」 「凶器」展示、取り調べ録音再生も
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定後、裁判のやり直しが決まった袴田巌さん(87)の再審第2回公判が10日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。犯人はみそ工場関係者であり、犯人の行動を袴田さんが取ることができたとする検察側の主張に対し、弁護団が「到底認められない」と反証をスタート。証拠調べでは、確定判決が凶器とした「くり小刀」などが展示され、取り調べの録音テープの一部も再生された。 公判の冒頭、検察側は起訴状に記載した専務の年齢を「42」から「41」に訂正した。その後、再審公判の大きな論点のうち、犯人がみそ工場関係者と強く推認され、その犯人
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くり小刀、雨がっぱ…実物証拠、何語る 袴田さん再審第2回、弁護団が展示 見入る傍聴者
実物は何を語るのか―。静岡地裁で10日に開かれた袴田巌さん(87)の再審第2回公判で、弁護団は確定判決で凶器とされた「くり小刀」や事件現場に落ちていた雨がっぱなどを展示した。事件の鍵を握るとされる重要な証拠の数々。傍聴者は身を乗り出すようにして、柵の向こうの実物やモニターに見入った。 みそ製造会社の専務一家4人の殺害に使われたとされる「凶器」が法廷に現れたのは同日午後1時半ごろ。弁護団の田中薫弁護士がガラスケースに入ったくり小刀を検察官から受け取り、証言台隣の投影機に慎重に据えた。約12センチの刀身はさび付いていた。 他に展示した実物は、雨がっぱのポケットから発見されたとされるくり小刀
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袴田さん再審第2回、記事証拠不採用に異議 弁護団「虚偽リーク明らか」 静岡地裁は棄却
袴田巌さんの第2回再審公判で、弁護団は、事件直後の新聞記事を静岡地裁が証拠として採用しなかったことに異議を申し立てた。 採用されなかったのは、「従業員『H』浮かぶ」「血ぞめのシャツ発見」の見出しが躍る1966年7月4日付の記事など。弁護団は、袴田さんのパジャマに付着していたとされる血痕は肉眼で分からないほどだったのに「警察が事実に反する虚偽の内容をリークしたことが明らか。事件から4、5日の段階で袴田さんを捜査対象にし、世論を作ろうとした。われわれの主張に関連する重要な証拠」と訴えた。検察側は「リークというのは全くの臆測。裁判の事実認定に影響を与えるものではなく、異議には理由がない」と反論し
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熱海刺殺事件 被告、捜査の不当性訴え 地裁沼津支部公判
熱海市渚町のアパートで男性を刃物で刺して殺害したとして、殺人の罪に問われた同町、無職の男(25)の第3回裁判員裁判が8日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれた。被告は被告人質問で「熱海署での聴取で、被害者に4カ所の傷が付いた理由を説明させてもらえなかった」などと取り調べの不当性を訴えた。 正当防衛での無罪を訴える被告は、もみ合いの最中にバランスを崩して被害者の飲食店従業員の男性=当時(36)、三島市=に抱きつき、刃物が刺さったとした。逮捕直後の取り調べでは、捜査官から「もみ合いで付く傷ではない」と説明機会を設けられなかったと強調。「もみ合い以外の理由で説明しないと(被告の部屋にいた
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「事業説明ない」男性3人が提訴 掛川市公社を相手取り
掛川市は8日、袋井市の男性と静岡市の男性2人の計3人が掛川市土地開発公社を相手取り、約1680万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁浜松支部に起こしたと発表した。3人は南西郷工業用地造成事業に関して、必要な用地取得交渉と土地売買契約を得られず損害を被ったとしている。公社は適切な対応をとったとし応訴する方針。 市によると、3人はいずれも兄弟。相続処理をしていなかった母親の土地で事業を行う可能性があったことを、公社は登記上の住所に住んでいた別の兄弟の男性(掛川市)だけでなく3人にも説明するべきだったと主張している。
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磐田東中 卒業生 運営法人を提訴 「不適切ないじめ対応」
磐田市の磐田東中を2020年に卒業した女性が7日までに、ほかの生徒からいじめを受け、学校が適切な対応をとらなかったことで精神的な苦痛を受けたとして、同校を運営する学校法人磐田東学園に200万円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁浜松支部に起こした。10月2日付。 訴状によると、女性は中学2~3年時、授業中に裏声でからかわれる▽クラスのSNSグループ上で人格を非難される▽栽培していた鉢植えに小枝を刺される-などといったいじめを受けたと主張。長期にわたって不登校や別室登校を余儀なくされたとしている。女性が不登校になったり、校内で自殺しようとする行動をとったりしたことから、いじめ防止対策推進法に基づ
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「死刑廃止すべき」 袴田ひで子さんら 静岡・清水区で研修会
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定し、今年10月に静岡地裁でやり直しの裁判(再審)が始まった袴田巌さん(87)の姉ひで子さん(90)が4日、同区で開かれた研修会で講演した。事件の発生直後から再審初公判までを振り返り「巌は絶対に無実だと思っている。(国内外の)皆さんから支援をいただいて巌は幸せ者だ」と述べた。 研修会は「袴田事件を通して死刑廃止を考える」と題して、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル日本(東京)が企画した。袴田さんの弁護団事務局長を務める小川秀世弁護士も登壇し、死刑事件でさえ、ずさんな捜査や誤判があり得ることを強調。「人は不完全な存在で
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袴田さん再審 証人尋問で検察側、3人撤回意向 3月実施で調整
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)のやり直しの裁判(再審)で、静岡地検が証人尋問を巡り、請求した証人5人のうちの3人を撤回する意向であることが1日、分かった。審理計画などを話し合う協議が同日、静岡地裁で開かれ、終了後に弁護団が明らかにした。=関連記事2面へ 証人尋問は当初、来年1月と2月に行われる予定だったが、書証の取り調べに時間がかかり、ずれ込む見通し。3月に実施する方向で調整しているという。3人の証人尋問が撤回されることで尋問自体は同月で終わるとみられるが、結審は早くても4月以降になる。 確定判決が袴田さんの犯行
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辺野古代執行 即日結審 高裁那覇 実質審理見送り
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、軟弱地盤改良工事の設計変更の承認を玉城デニー知事に命じるよう国が求めた代執行訴訟の第1回口頭弁論が30日、福岡高裁那覇支部で開かれ、即日結審した。三浦隆志裁判長は判決期日を追って指定する。出廷した玉城知事は「民意こそ公益だ」と強調し、訴えを退けるよう求めた。 承認を巡っては、県が国を訴えた訴訟で、県の敗訴が9月に確定。その後も知事が承認しないことは違法だと主張した国側に対し、県側は辺野古移設の問題点を挙げ、対話による解決が必要だと反論していた。即日結審により、移設の是非に関する法廷での実質的な審理は見送られた。県側は厳しい状況が続
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袴田さん再審公判の展望語る 弁護団の西沢弁護士登壇 浜松【刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、静岡地裁で再審公判が始まった袴田巌さん(87)の支援集会(JR東海労働組合主催)が29日、浜松市中区で開かれた。弁護団の西沢美和子弁護士が再審の展望などを語った。 西沢弁護士は27日に開かれた再審初公判について「いまだに有罪立証できると思っている層が検察に一定数いることがあらためて分かった」とし、「弁護側としては逐一反論し、早期の無罪確定へ頑張りたい」と声に力を込めた。出廷が免除された袴田さんの代わりに意見陳述した姉ひで子さんが「裁判所、弁護人、検察の方々には大変お世話になりました」と述べたことについて、「検察にも
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子の利益侵害 単独親権 法制審 家裁判断時の修正案提示
離婚後の共同親権導入を検討する法制審議会(法相の諮問機関)部会の、要綱案取りまとめに向けた「たたき台」修正案の概要が29日、関係者への取材で分かった。離婚後に父母双方の「共同親権」を可能とし、父母が合意できなければ家裁が判断する枠組みは維持。その上で、家裁の判断時に、共同親権なら「子の利益を害する」場合、家裁は父母どちらかの単独親権と定めなければならないと新たに記す。 共同親権には、離婚後に父母とも養育に関われるなど、家族関係の多様化に対応できるとの意見がある一方で、ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の被害が続くとの懸念が強い。修正案では、子どもの利益が侵害されるような場合、共同親権は
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法改正、市民の力が国会動かす 再審開始など決めた元地裁裁判長・村山浩昭弁護士 袴田さん再審初公判
袴田巌さんの再審を社会はどう受け止めるべきか。2014年に静岡地裁の裁判長として袴田さんの再審開始と死刑・拘置の執行停止を決めた村山浩昭弁護士に尋ねた。 ―再審公判が始まり、再審法制そのものへの関心も高まっている。 「近年、再審開始決定が出たり取り消されたりする中、社会的にクローズアップされてきた。でも、救済されるべき事件は今起こったのではなく、当事者にとっては、ずっと存在していたという認識が正しい」 ―1980年代に死刑囚の再審無罪が4例続いた。当時も再審法の改正を求める声が上がっていたが、なぜ実現しなかったのか。 「当時は刑事関係の法改正がほとんど行われていない時代だった。再審は
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信じた57年、今度こそ 初出廷の姉、力強く主張 袴田さん再審開始
「弟、巌に代わりまして無実を主張いたします」「真の自由をお与えくださいますようお願い申し上げます」。57年にわたり訴え続けた言葉が、静岡地裁の202号法廷に響き渡った。27日に同地裁で始まった袴田巌さん(87)の再審公判。袴田さんの姉ひで子さん(90)は補佐人として証言台に立ち、3人の裁判官に向かって弟の潔白を力強く主張した。今度こそ訴えは実るのか―。無罪判決を勝ち取る闘いのゴングが鳴った。 検察官と弁護団は午前11時の開廷直後から火花を散らした。検察官が袴田さんに関する住居侵入、強盗殺人、放火の罪の起訴状を読み上げた後、弁護団は専務を除く家族3人の殺害現場とした「居間」が具体的にどの部屋
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「真実知りたい」傍聴希望者続々 「席拡大せず」に不満も 袴田さん再審初公判
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定後、今年3月に裁判のやり直しが決まった元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審初公判が開かれた静岡地裁では27日、午前8時ごろから傍聴希望者が続々と訪れ、整理券を求める行列ができた。地裁によると、一般傍聴席26席に対し、傍聴整理券を280枚配布した。 抽選に当たり、廷内で袴田さんの姉ひで子さんの意見陳述に心を動かされた傍聴者がいた一方、落選した傍聴希望者からは不満の声が漏れた。傍聴席を巡っては袴田さんの支援団体などが傍聴機会の確保を求めて地裁に席数の拡大を要望したが、実現しなかった。 同9時45分に地裁前の
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「弟は無実、真の自由を」姉ひで子さん訴え 袴田さん再審初公判、検察は有罪主張
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定後、今年3月に裁判のやり直しが決まった元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審初公判が27日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。袴田さんは心神喪失状態にあるとして出廷を免除された。罪状認否で、姉ひで子さん(90)が補佐人として「弟に代わって無実を主張します。真の自由をお与えください」と述べ、弁護団も無罪を訴えた。一方、検察側は有罪の立証に入った。 検察は有罪主張 事件の1年2カ月後に現場近くのみそタンクで赤みが残る血染めのシャツやズボンなど「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた。しかし再審
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袴田さん、普段と変わらぬ日常 浜松の自宅周辺で過ごす 静岡地裁で再審初公判
静岡地裁で再審の初公判が開かれた27日、出廷を免除された袴田巌さん(87)は浜松市中区の自宅でテレビを見たり、ドライブに出かけたりと普段と変わらない1日を過ごした。 袴田さんは午前9時45分ごろに起床すると、朝食の果物盛り合わせを味わったり、テレビを見たりして過ごした。午後2時過ぎに支援者の運転する車で日課のドライブに出発。天竜川の堤防など同市周辺を巡り、JR浜松駅でウナギを食べてから午後7時過ぎに帰宅した。 ドライブに同行した「袴田さん支援クラブ」の清水一人さん(74)によると、袴田さんは問いかけに対して反応するなど「相手を意識した言動をする時がある」と良い兆候を見せる場面が増えている
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袴田さん再審初公判 冒頭陳述の要旨
【検察側】 袴田巌さんの27日の再審初公判での検察側冒頭陳述要旨は次の通り。 事件概要と争点 昭和41年6月30日夜、当時の清水市で発生した住居侵入、強盗殺人、放火事件。被告人が深夜、商店の専務取締役であるAさん方に金品を手に入れる目的で侵入した。家人に発見されたことをきっかけに、最初にAさん、妻Bさん、次女のDさん、長男のCさんを相次いでくり小刀で突き刺した。Aさんが自宅に持ち帰っていた商店の売上金の一部を奪い取るとともに、犯行を隠ぺいするために被害者の身体に混合油をまいて火を点け4人を殺害し、Aさん方を焼損させた事件。争点は被告人が犯人であるか否か。 事件当時の行動 被告人が犯人
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被害者年齢に誤り 静岡地検、起訴状記載訂正へ 袴田さん再審
静岡地検は27日、袴田巌さん(87)の起訴状に記載され、同日の再審初公判でも読み上げた被害者年齢のうち、みそ製造会社の専務について「42歳」ではなく「41歳」だったとの認識を示した。閉廷後、記者からの指摘で確認し直した奥田洋平次席検事は「41歳が正しい。再度計算するが、起訴状を訂正することになるかもしれない」と述べた。 1966年9月の起訴当時も専務の年齢は42歳と記されていて、当初から誤っていた可能性が出てきた。奥田氏は再審初公判を終えた記者への説明の場で「もともとの起訴状に(今回)むやみに従ってしまったかもしれない」と釈明した。 初公判を前に、記者が年齢に誤りがないか問い合わせても広
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社説(10月28日)袴田さん再審開始 審理尽くし早期結審を
現在の静岡市清水区で1966年6月に起きた、みそ製造会社専務の一家4人が殺された事件で、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判やり直し(再審)が静岡地裁で始まった。 初公判では、検察側が改めて袴田さんの犯行だとして有罪を求め、弁護団は有罪立証を放棄すべきと訴えた。罪状認否では、出廷を免除された袴田さんに代わって姉ひで子さん(90)が補佐人として法廷に立ち、無罪を主張するとともに「弟に真の自由を与えてほしい」と訴えた。 事件発生から約57年。最高裁での死刑確定からも約43年が経過し、あまりにも年月がかかりすぎた。長期の収容によって袴田さんには意思疎通が十分にできない拘禁反応
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袴田巌さん再審 初公判タイムライン速報
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審初公判が27日午前11時から静岡地裁で始まりました。現場で取材する静岡新聞の記者が、タイムライン形式でお伝えします。(※更新終了) 時系列 ▶ 午前8時 支援者集合 ▶ 8時15分 整理券の配布を待つ傍聴希望者 ▶ 8時30分 整理券の配布始まる ▶ 8時50分ごろ ひで子さん出発「やっと始まる」 ▶ 足利事件の菅家さん「警察、検察は袴田さんに謝罪を」 ▶ 9時45分 抽選結果発表 ▶ 10時15分 ひで子さん、静岡地裁に到着 ▶
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袴田さん再審 きょう27日初公判【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定後、今年3月に裁判のやり直しが決まった元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判が27日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で始まる。死刑囚の再審は5例目。先の4例は全て無罪が確定している。 弁護団は、再審公判について「第一の目的は速やかな無罪判決。そして、裁かれるべきは警察、検察の捜査・公判活動の過ちだ。裁く側の裁判所も裁かれる立場にある」と位置づける。 捜査機関の証拠捏造(ねつぞう)によって袴田さんは犯人に仕立て上げられたと弁護団が主張する一方、検察側は改めて有罪を立証する。再審請求審と同様、真っ向から対立す
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旧天竜林高事件の元市長弁護人 アリバイ巡る新証拠提出 東京高裁へ
浜松市天竜区の旧天竜林高を舞台にした調査書改ざん・贈収賄事件で、贈賄罪で罰金刑が確定し、再審請求中の元天竜市長(91)の代理人弁護士は25日、元市長のアリバイを巡る新証拠を盛り込んだ補充意見書を東京高裁に提出した。関係者への取材で分かった。 新証拠は、元市長が元校長(75)=加重収賄罪などで有罪確定、再審請求中=に2回目の現金を渡したとされる日に訪れた銀行の伝票。保険契約金の振込が完了したとみられる「12・26(午後0時26分)」の時刻が印字されている。確定判決などでは元市長は同日、銀行を退店後、午前11時ごろに同校を訪れて現金を渡したとされ、弁護側は「アリバイ成立の公算が高まった」と注目
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姉ひで子さん「代わりに無実訴える」 袴田さん 静岡地裁出廷免除受け
現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審を巡り、静岡地裁が袴田さんの出廷を免除したことを受け、姉のひで子さん(90)が25日、取材に応じた。罪状認否で陳述することになり「緊張は全然しない。代わりに無実を訴えるだけ」と心境を述べた。 今回の判断について、これまでも免除を求めてきた経緯から「書類を出したり、診断書を出したりしてくれて。良かったと思っている」と弁護団への感謝を口にした。一方で、結審が新年度にずれ込むことが不可避な情勢となったことについては「裁判だから長くなることもある。まあ来年中には結審すると思う」と淡々と受け止めた。
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静岡地裁、袴田さんの出廷免除 27日に再審初公判 弁護団「年度内結審は厳しい」
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)のやり直しの裁判(再審)を巡り、静岡地裁(国井恒志裁判長)は24日、袴田さんの出廷を免除する考えを示した。同日、法曹3者による非公式の協議が地裁であり、国井裁判長が「(袴田さんは)心神喪失の状態にあると考えているため、強制は求めない」と述べたという。協議終了後、弁護団が会見で明らかにした。 一方、書証の取り調べに想定以上の時間を要することが決定的で、結審が新年度にずれ込むことが不可避な情勢という。年明けから予定していた証人尋問は早くても2月以降となり、論告や最終弁論は4月
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那覇で再審見直し、機運を「袴田事件契機に」 元静岡県弁護士会の坂田さん、弁護団招きシンポ
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定したものの静岡地裁でやり直しの裁判(再審)が始まる袴田巌さん(87)を事例に、再審や死刑制度について考えるシンポジウムが21日、那覇市で開かれた。弁護団の小川秀世事務局長、2014年に地裁で袴田さんの再審開始決定を手がけた村山浩昭元裁判長に講師を依頼したのは、かつて静岡県弁護士会に所属していた坂田吉加弁護士(沖縄弁護士会)。再審を巡る法制度の充実を求める声が高まる中、坂田さんは「冤罪(えんざい)は誰にでも起こりうる。袴田事件を通じ関心を持ってもらい、行動に移すきっかけになれば」と期待する。 坂田さんは兵庫県
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「私はやっていない」裁判所に信頼と期待 袴田さん、当初は楽観視【最後の砦 刑事司法と再審⑬/第4章 我れ敗くることなし①】
「私はやっていません」「全然やらなかったです」―。1966年11月の静岡地裁での初公判。現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして強盗殺人などの罪に問われた袴田巌さん(87)は起訴内容を全面的に否認した。以来57年もの歳月を闘い続け、ようやくやり直しの裁判(再審)を勝ち取った。戦後5例目の死刑再審。しかし、精神に不調を来しているとして弁護団は袴田さんの出廷免除を求める。なぜ再審の実現はこれほどまでに時間がかかるのか。袴田さんが発してきた言葉に問題の本質を見る。 事件の発生は66年6月30日未明。専務=当時(41)=の自宅から出火し、焼け跡から専務と妻=同(39)=、長
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袴田さん支援団体が学習会 27日再審初公判、姉ひで子さん「やっと決着つく」
現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、再審開始が決まった袴田巌さん(87)の支援団体は21日、再審公判の進み方を確認する学習会を浜松市中区で開いた。袴田さんの姉ひで子さん(90)も出席し、27日の再審初公判に向けて「57年闘ってきて、やっと決着がつく。ひと安心。無罪以外にないと思っている」と声に力を込めた。 弁護団の西沢美和子弁護士がこれまでの地裁、地検との3者協議の概要や検察の立証方針、再審制度の問題点などについて解説した。西沢弁護士は「事件のあった57年前の証拠をいまさら持ち出して立証しようとし、さらに時間をかけるのはとんでもないこと」としつつも、
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袴田さん再審初公判、傍聴席拡大実施せず 静岡地裁【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審初公判を巡り、支援団体などが求めた傍聴席の拡大について、静岡地裁が実施しない方針であることが19日、分かった。地裁は静岡新聞社の取材に「(担当裁判官3人で構成する)裁判体の判断を踏まえ、庁として判断した」と説明している。 再審初公判は27日に開かれる。傍聴希望者には整理券を配り、抽せんする。配布場所は地裁だが、抽せん結果が出るまでの待機場所として地裁前にある同市葵区の駿府城公園も使う。 当日は多数の傍聴希望者が地裁を訪れることが予想される。近隣裁判所から応援職員の派遣を受けるかどうかについては、
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「用地誤登記で損害」地権者が掛川市を提訴 農業用水利施設
掛川市による農業用水利施設の用地誤登記で損害を被ったとして、地権者の農家の男性(66)が19日までに、市に200万円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁掛川支部に起こした。市が同日の市議会全員協議会で報告した。 市と男性によると、市は1970年に水利施設を設置する用地を買収したが、85年に登記する際、誤って施設がある場所とは別の農地を登記した。男性は、誤登記に伴う賃料相当額や市の対応で被った精神的損害などの支払いを求めている。市は争う姿勢を示している。
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「風雪に耐える捜査」を/伊藤鉄男 元最高検次長検事【最後の砦 刑事司法と再審 番外編 公判直前インタビュー㊥】
1983年、無実を訴え続けた死刑囚がやり直しの裁判(再審)で初めて無罪となった「免田事件」。元最高検次長検事の伊藤鉄男氏(75)は、熊本地検時代に再審公判で主任検事を務めた。有罪立証を維持し、免田栄さん=2020年に95歳で死去=に改めて死刑を求刑。無罪判決が言い渡されると、その場で免田さんの釈放を指揮した。事件の教訓として「風雪に耐える捜査」の重要性を説く。一方、袴田巌さん(87)の再審公判で検察が有罪立証することには理解を示す。 ―免田事件の再審公判で有罪立証を続けた理由は。 「最高裁で死刑が確定した事件であり、再審開始決定の内容も本質を突いているように思えなかった。証拠は少ないけれ
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袴田さんに無罪の心証/熊田俊博 元裁判官【最後の砦 刑事司法と再審 番外編 公判直前インタビュー㊤】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判が27日、静岡地裁で始まる。死刑囚の再審は5例目で、89年に同地裁が無罪判決を言い渡した「島田事件」以来となる。島田事件の再審開始決定に主任裁判官として関わった熊田俊博氏(74)が静岡新聞社の取材に応じ、袴田さんの第1次再審請求審にも携わったと明らかにした上で「記録を読み、無罪だと思った」と当時の心証を振り返った。弁護士に転身後、県公安委員長も歴任。経験を踏まえて伝えたい教訓とは何か。 ―島田事件の第4次再審請求審と袴田さんの第1次請求審が、同じ時期に静岡地裁に係属していた。
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袴田ひで子さん、仙台で市民集会参加 再審向け「頑張る」【刑事司法と再審】
1966年に静岡市清水区で起きた一家4人殺害事件で死刑確定後、再審開始が決まった袴田巌さん(87)の姉ひで子さん(90)が14日、仙台市で「袴田事件を考える市民集会」に参加した。ひで子さんは「再審に興味を持ってくださることが私たちの励みになっている。頑張っていきたい」と力強く語った。 再審裁判は初公判が27日に静岡地裁で開かれ、来年3月までに結審する見込み。 集会では、弁護団事務局長の小川秀世弁護士が事件の経緯や再審公判の争点を解説した。確定判決で犯行着衣とされた「5点の衣類」について「捜査機関の捏造(ねつぞう)の可能性を否定できず、むしろ強く疑われる」と強調した。 巌さんを50年以上
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「僕には当たり前のこと」 性別変更の手術要件「違憲」、申立人の鈴木さん(浜松市)会見で喜び
「僕にとって、当たり前のこと」。性同一性障害と診断された人が戸籍上の性別を変えるには生殖能力をなくす手術が必要、とした法律規定は憲法違反とした静岡家裁浜松支部の決定を受け、申立人の鈴木げんさん(48)=浜松市天竜区=は13日、同市中区で記者会見し、「男として生きてきた僕の戸籍が男になっただけ」と心境を語った。 幼少期から女性として扱われることに違和感があり、40歳で性同一性障害と診断された鈴木さん。今回の決定について「弁護団をはじめ、さまざまな仲間たちの努力のおかげ」と喜び、周囲への感謝の言葉を述べた。 家裁決定は、性別変更の審判が可能になる五つの要件を定めた「性同一性障害特例法」のう
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混乱の沼津市議会 駐車場問題、現職市議相手に市が提訴案 週明け審議 深夜まで?【ニュースBOX】
市が現職市議を訴えるという異例の議案審議に、沼津市議会が揺れている。市有地を駐車場として貸した利益の返還を求め、市から提訴案を出されたのは、山下富美子市議(70)=5期=。質疑中に同じ会派の議員の不適切発言を招き、懲罰動議が出される事態にもなった。最終日を迎える16日の市議会9月定例会本会議は、状況次第で深夜に及ぶことも予想され、波乱含みの展開となっている。 発端は昨年8月、市議会に届いた「山下氏が自宅に隣接する黒瀬橋の下に私物を置いている」という匿名の投書だった。市が橋周辺を調査すると、山下氏が自身の土地と合わせ、市有地を有料駐車場として運営していることが判明した。市は今年6月に2台分、
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初公判27日午前11時 袴田さん再審 静岡地裁、年内の公判期日指定
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)のやり直しの裁判(再審)に向け、静岡地裁(国井恒志裁判長)は13日、年内の公判期日を正式に指定した。初公判は27日午前11時に開廷する。 その他の指定期日は11月10日、同20日、12月11日、同20日。地裁で2番目に広い法廷を使用する。地裁は年度内に結審したい意向を示し、来年3月末までの期日は追って指定する。 一方、弁護団が訴えている袴田さんの出廷免除については現時点で可否を判断していない。弁護団は今月10日、出廷が難しいことを伝える追加資料として、袴田さんが釈放後に書き連ねたノー
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「手術せず性別変更」認めた家裁判断 浜松の鈴木さん笑顔「みんなで勝ち取った」
生殖能力をなくす手術をせずに、性同一性障害と診断された人の戸籍上の性別変更を認めた静岡家裁浜松支部の判断を受け、女性から男性への変更が認められた申立人の鈴木げんさん(48)=浜松市天竜区=が13日、同市役所で取材に応じ、「関係者みんなで勝ち取った」と笑顔を見せた。 家裁判断は11日付。鈴木さんに一報が届いたのは12日昼過ぎだったという。一夜明け、鈴木さんは「もしかしたらもう性別が変更されているかも」との期待を込めて窓口で住民票を取得したが、表記はまだ「女」のまま。市区民生活課によると、家裁からの通知を受けた後、法務局に判断を仰いだ上で戸籍を変更する流れになるという。 鈴木さんは「自認する
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「手術せず性別変更」認める、全国初の違憲判断 浜松の鈴木さん申し立て 静岡家裁浜松支部
生殖機能をなくす性別適合手術をせずに、戸籍上の性別変更を申し立てた浜松市天竜区の鈴木げんさん(48)の家事審判で、静岡家裁浜松支部は12日までに、性別を変えるためには生殖腺の除去手術を必要とする「性同一性障害特例法」の要件は「憲法違反で無効」だとする判断を示した。鈴木さんの性別を女性から男性に変更することも認めた。判断は11日付。弁護団によると、違憲判断は全国初。 審判理由で関口剛弘裁判長は「性別は個人の人格的存在と密接不可分で、性同一性障害者にとって性別の変更は社会生活上の不利益を解消する」と指摘。身体に重い負担がある生殖腺除去手術を受けざるを得ない状況は違憲であるとした。 別の人によ
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最高裁「性別変更に手術要件」で近く憲法判断 静岡家裁浜松支部が初の「違憲」
戸籍上は女性で性自認が男性の当事者が性別適合手術をしないまま、戸籍上の性別変更を求めた静岡家裁浜松支部への申し立てで、同支部は12日、手術を求める現行法の規定は「憲法違反で無効」との判断を示し性別変更を認めた。性別変更に関して性同一性障害特例法が規定する手術要件を巡っては、今回と別の当事者が違憲性を訴えている同種の家事審判で最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)が近く憲法判断を示す見通しになっている。最高裁は2019年に「現時点では合憲」としながら、社会状況が将来的に変化した場合などは判断が変わる可能性を指摘しており、結論に注目が集まる。 最高裁大法廷での審判は9月に弁論が開かれている。当事
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「法の現場」市民ら見学 静岡地裁などツアー 模擬裁判を体験
静岡地裁と静岡家裁、静岡地検、県弁護士会はこのほど、「しずおか『法の現場』見学ツアー」を静岡市葵区の静岡地裁などで開いた。市民ら約20人が参加し、模擬の裁判員裁判などを通じて司法の世界に理解を深めた。 模擬裁判では参加者のうち8人が裁判員役を務めた。男性が交際相手の女性を包丁で刺した殺人事件を想定し、証拠に基づいて男性の殺意の有無を評議した。同地裁の岡部紗奈子裁判官の進行で、刺し傷の深さなどを理由に殺意があると指摘したり、女性宅にあった包丁を衝動的に使ったことから計画性を否定したりと、盛んに意見を出し合った。 藤枝市の会社員松浦弘昌さん(49)は「自分の意見が有罪、無罪に関わってくる。意見を
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出廷免除求め資料提出 日記内容、袴田さん再審
1966年の静岡県清水市(現静岡市)の一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を前に、出廷免除を求める弁護団が、袴田さんのノートのコピーなど出廷が困難な状況を示す追加の資料を静岡地裁に提出したことが11日、分かった。提出は10日付。 弁護団によると、資料は、袴田さんが拘置所で書いた手紙や日記の内容をまとめた書籍、釈放後に袴田さんが書き続けたノートのコピー、今年3月に再審開始を認める決定をした東京高裁の裁判長らと袴田さんが面会した際の記録。 面会記録には、袴田さんが高裁の裁判長に「事件はない」「無罪になっている」などと語ったことがまとめられている。 弁護団は、長期の収
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袴田さん姉・ひで子さん「あと半年で決着」 名古屋で講演
1966年の静岡県清水市(現静岡市清水区)の一家4人殺害事件で死刑確定後、裁判のやり直しが決まった袴田巌さん(87)の姉ひで子さん(90)は8日、名古屋市で講演し「57年間闘って、やっと再審開始となった。あと半年で決着がつく」と述べた。再審初公判が27日に開かれ、来年3月に結審する見通し。 弁護団事務局長の小川秀世弁護士も登壇し、確定判決で犯行着衣とされた「5点の衣類」について写真を交え解説。「裁判所は再審請求審ではっきりと捜査機関の捏造の可能性を指摘し、合理的な疑いが生じていると言っている。(再審で)それを変えることはできない。無罪は確実だ」と話した。 先月29日には、静岡地裁の裁判長
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旧天竜林高事件 元校長が第2次再審請求 弁護団「決定的な新証拠示せた」
浜松市天竜区の旧天竜林高を舞台にした大学推薦入試を巡る調査書改ざん・贈収賄事件で、加重収賄罪などで有罪が確定した元校長(75)は6日、静岡地裁浜松支部に第2次再審請求を申し立てた。弁護団と共に浜松市内で記者会見した元校長は、現金を渡したとされる元天竜市長(91)=贈賄罪で罰金刑確定、再審請求中=のアリバイの可能性を示すデータが新たに開示されたことから、「再審開始に向けて決定的な新証拠を提出できた。今度こそ無罪を獲得できると信じている」と語った。 再審請求を巡っては、9月下旬、元校長に現金を渡したとされる日の元市長のアリバイ成立を示唆する振込伝票の記録について、銀行から開示を受けた。弁護団は
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裁判長、袴田さんと面会 再審公判の出廷免除可否判断か【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地裁の国井恒志裁判長が9月に袴田さんと面会していたことが5日、関係者への取材で分かった。27日に初公判を控える中、袴田さんの出廷を免除するかどうかを判断するためとみられる。 関係者によると、9月29日に静岡地裁浜松支部で面会した。検察官と袴田さんの姉ひで子さん(90)、弁護団が立ち会った。袴田さんは年齢を問われ「23歳」と答え、ひで子さんは普段の様子を説明したという。 弁護団は袴田さんの出廷免除を求めている。拘禁反応により、訴訟能力が認められないと
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静岡の無許可盛り土 処分会社の前社長に懲役1年6月求刑 地裁公判
静岡市葵区の藁科川上流域に無許可で盛り土が造成された事件で、静岡県砂防指定地管理条例違反と森林法違反の罪に問われた同市の残土処分会社「富田建材」と同社社長(41)=同市=、父親の前社長(84)=同市=の論告求刑公判が2日、静岡地裁(国井恒志裁判官)で開かれた。検察側は会社に罰金250万円、社長に懲役8月、前社長に懲役1年6月をそれぞれ求めた。 検察側は論告で、同区日向、杉尾両地区の砂防指定地など約7万平方メートルにわたり違法に開発行為をしたとして、「原状回復はもはや困難で被害結果は重大」と指摘。前社長については日向地区で開発行為が始まったとされる2005年当時から一貫して犯行を主導する立場
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窃盗の元白バイ隊員 懲役1年6月求刑 地裁浜松支部公判
公務中に一般人の車から現金や身分証などが入ったバッグを盗んだとして、窃盗の罪に問われた浜松市中区、元県警交通機動隊の巡査部長(41)=懲戒免職処分=の論告求刑公判が29日、静岡地裁浜松支部(杵渕花絵裁判官)で開かれた。検察側は懲役1年6月を求刑し、結審した。 被告は当時、同市内で取り締まり業務に従事し、白バイで違反車両を追跡していた。論告で検察側は違反車両と逃走した人物の確認が不十分で、仮に見つけても摘発できない状況だった点を踏まえ、「違反事実を追及する際に利用する目的で、バッグを持ちだした行為は職務から逸脱した不当なもので、警察の信頼を失墜させる悪質な犯行」と指摘した。 弁護側は示談が
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市議提訴案を可決 沼津市議会建設水道委 市有地貸し出し問題で
沼津市の市有地を山下富美子市議(70)が有料駐車場として貸していた問題で、市議会建設水道委員会は29日、委員会付託された市が山下氏に駐車場利益の返還を求める提訴案を審査、採決し、全会一致で可決した。市は発覚当初、山下氏側が問題の土地の払い下げを求めた経緯などから、山下氏側に「市の土地との認識があった」との見解を改めて示した。 長嶋晃令道路建設課長は、昨年9月に現地の状況を双方で確認した際、市有地との境にある敷地境界くいを確認したことや、山下氏側から市の土地が存在しているとの認識があるとの発言があったと述べた。その上で、同年11月にも山下氏側が問題の土地の払い下げを求めたことからも、市有地と
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部下のパワハラ否定 静岡病院職員自殺訴訟判決 地裁、請求を棄却
2014年12月に静岡市立静岡病院の男性職員=当時(57)=が自殺したのは長時間労働や部下によるハラスメント行為への対応を怠ったことが原因として、遺族が市と地方独立行政法人静岡市立静岡病院を相手取り、約6200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は28日、請求を棄却した。原告の代理人弁護士は「控訴する方向で考えている」としている。 判決理由で菊池絵理裁判長は、男性がうつ病を発症する直近6カ月の時間外勤務について、いずれの月も「過労死ライン」とされる80時間を超えていなかったと判断。原告側は手帳の記載を根拠に毎月100時間以上の時間外勤務があったと主張していたが、パソコンのログオフ時
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未成年者誘拐 男に有罪判決 地裁浜松支部
10代の少女を未成年と知りながら誘拐し、3カ月にわたり自宅に連れ込んだとして、未成年者誘拐の罪に問われた愛知県東浦町石浜南ケ丘、会社員の男(41)の判決公判で、静岡地裁浜松支部(杵渕花絵裁判官)は28日、懲役2年、執行猶予5年(求刑懲役2年)を言い渡した。 杵渕裁判官は判決理由で、被告がSNS上で「殺してくれる人募集」などと投稿していた少女に対して、少女の要望に応えるかのようなメッセージを送って誘い出し、警察の捜査を逃れるために家出をするとの置き手紙を残すように指示した一連の行為は「周到な準備によるもの」と指摘した。 判決などによると、被告は2月25日午前8時ごろ、浜松市内の路上で少女と
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伊豆山被災地住宅 窃盗の男に有罪 地裁沼津支部判決
熱海市伊豆山の土石流被災地の住宅に侵入し、女性用下着などを盗んだとして窃盗と住居侵入の罪に問われた静岡市清水区、無職の男(26)の判決公判で、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判官)は28日、懲役1年8月、保護観察付き執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。 野沢裁判官は判決理由で「侵入盗自体が軽視できず、避難中の被災者の住宅を狙った犯行は卑劣で悪質」と指摘した。常習性についても触れた一方で、被害が高額ではなく、示談が成立していることなどを考慮し、保護観察付き執行猶予判決が妥当とした。 判決によると、被告は2021年8月上旬、熱海市の住宅に窓や玄関から侵入し、下着など26点(計約1万3800
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「アリバイ」銀行記録さらなる開示を 元天竜市長支援団体要望
浜松市天竜区の旧天竜林高を舞台にした調査書改ざん・贈収賄事件で、贈賄罪で罰金刑が確定した元天竜市長(91)=再審請求中=の支援団体は28日、元市長のアリバイに関する記録のさらなる開示を求める嘆願書をスルガ銀行天竜支店(同区)に提出した。嘆願書は同区の住民を中心に530人が署名した。 「天竜林業高校事件を考える市民の会」のメンバーらが同支店の職員に手渡した。事件を巡っては、元市長が元校長(75)=加重収賄罪などで有罪確定=に2回目の現金を渡したとされる日のアリバイが焦点になっている。確定判決では、現金授受の時間は午前11時ごろとされる。一方、同行が元校長の弁護団の要請に応じて開示した振込伝票
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妻の首絞め殺害、熱海の男起訴 地検沼津支部
熱海市伊豆山のマンションで妻の首を絞めて殺害したとして、静岡地検沼津支部は28日、殺人罪で同市伊豆山、無職佐藤均容疑者(71)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、佐藤被告は7日夜、自宅マンションで同居する妻のてる美さん=当時(69)=の首をタオルで絞め、殺害したとされる。てる美さんは翌日、搬送先の病院で死亡が確認された。司法解剖の結果、死因は頸部(けいぶ)圧迫による低酸素脳症だった。 熱海署は佐藤被告を7日に殺人未遂容疑で逮捕し、その後、殺人に容疑を切り替えて送検した。地検は認否を明らかにしていないが、同署によると、佐藤被告自らが「妻を殺した」と110番したという。
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運送業社長に有罪 焼津カツオ窃盗事件で静岡地裁判決
焼津市の焼津漁港に水揚げされた冷凍カツオの窃盗事件を巡り、窃盗の罪に問われた市内の運送会社「堀住運送」社長(62)=同市北新田=の判決公判で、静岡地裁は28日、懲役2年6月、執行猶予3年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。 判決理由で国井恒志裁判長は「組織的、常習的な犯行の一環」と指摘。自らトラックにカツオを積み込むなど「主体的に関与し、重要な役割を担った。厳しい非難を免れない」とした。一方、共犯者を含めて被害法人3社に弁償し、反省していることなどを踏まえて執行猶予が相当とした。 判決によると、被告は市内の水産加工会社「マルテ小林商店」元役員(45)らと共謀して2021年3月11日、焼津漁
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袴田さん再審、初公判10月27日 出廷可否判断は保留 静岡地裁
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判に向けた静岡地裁(国井恒志裁判長)と静岡地検、弁護団による6回目の3者協議が27日、地裁であった。初公判を10月27日に開くことが事実上、決まった。終了後に弁護団が明らかにした。 地裁が前回の協議で提示した来年3月27日まで12回の公判候補日を、地検と弁護団の双方が受け入れた。地裁は年内の5期日について、10月中旬に正式に指定する。袴田さんの出廷免除については弁護団に資料の追加提出を求めた上で可否を判断する考えを示した。 静岡市葵区で記者会見した袴田さんの姉ひで子さん(90
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年明けから証人尋問 袴田さん再審 審理計画
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判はどのように進められていくのか。静岡地裁で開かれた27日の3者協議で、その大枠が少しずつ見えてきた。 10月27日の初公判では、罪状認否で袴田さんの姉ひで子さん(90)が保佐人として意見を述べる予定という。その後、静岡地検と弁護団の双方が冒頭陳述を行い、証拠調べに入る。年内で書証などの取り調べを終わらせ、年明けからは証人尋問が実施される見通しだ。 初公判を含めた年内5期日のうち前半の3回で、犯人がみそ会社関係者と推認されるかどうか▽事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタン
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「交渉解決のめど立たず」 有料駐車場の問題で沼津市 市議提訴議案巡り説明
沼津市有地を山下富美子市議(70)が有料駐車場として貸していた問題で、市議会9月定例会は27日に本会議を開き、山下氏に返還を求めて提訴する議案の質疑を行った。市は山下氏側が当初、問題の土地の払い下げを申し出ていたと明らかにし、「途中で変節した。交渉で解決を目指したが、めどが立たないことから裁判所に判断を委ねることにした」と経緯を説明した。 質疑には3氏が登壇した。杉山泰彦建設部長は昨年10月の発覚後、11月に山下氏側から土地の払い下げ申し出があり、駐車場利益の扱いを市で協議した上で12月に山下氏の弁護士を通じて最初の請求をしたと述べた。その後、今年7月になって弁護士が交代し、請求に応じない
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「有罪立証 通用せず」 袴田さん再審巡り 弁護団が地検に反論
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は26日、静岡地検の主張に対する反論書を静岡地裁に提出した。証拠として無価値と評価されてきたささいな事情を、あたかも重要な間接事実であるかのように主張していると指摘。「検察官自身、有罪立証として通用するはずがないのは十分理解しているはずだ」と批判している。 27日には地裁と弁護団、地検による3者協議が開かれ、再審の公判日程などが話し合われるとみられる。 弁護団によると、地検は再審公判で、袴田さんの自白調書45通のうち確定審で証拠能力が認められた起訴当日付の1通
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控訴審の初弁論 12月5日に変更 静岡の旧優生保護法訴訟
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、聴覚に障害のある県内の女性が国に3300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は25日、第1回口頭弁論の期日を12月5日に指定した。 弁護団が取材に明らかにした。当初は12月1日の予定だったが、差し支えが生じたとして取り消し、改めて期日を指定し直した。 2月の一審静岡地裁判決は旧法を違憲と判断し、国に1650万円の支払いを命じた。弁護団は控訴審の第1回口頭弁論で意見陳述を予定しているという。
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法の現場 見学しよう 静岡地裁・地検 10月3日にツアー
静岡地裁と静岡地検は10月3日午後1時15分から同4時半まで、裁判所や検察庁の仕事や役割を伝えるイベント「しずおか『法の現場』見学ツアー」を実施する。 静岡県弁護士会などとの共催で、法の日(10月1日)に合わせて企画。参加者は静岡市葵区の地裁本庁で架空の事件を題材にした裁判員裁判の模擬評議を行う。近くの地検に移動した後は庁舎内を見たり、職員や弁護士から話を聞いたりする。 定員20人(予約制、先着順)。無料。誰でも参加できる。申し込みはメール<dc.shizuoka.koho@wm.courts.jp>、問い合わせは静岡地裁広報係<電054(251)6241>へ。
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男性に無罪判決「犯罪証明ない」 伊豆の国市の暴行死亡事件、静岡地裁・差し戻し審判決
2019年9月に伊豆の国市内の工事現場で同僚に暴行したとして、暴行の罪に問われた男性の差し戻し審の判決で、静岡地裁は20日、無罪(求刑懲役6月)を言い渡した。国井恒志裁判長は判決理由で「犯罪の証明がない」と述べた。 無罪となったのは建設作業員の男性(35)。当初、防水工の同僚男性=当時(56)=の左顎に暴行を加え、傷害を負わせて死亡させたとして傷害致死の罪に問われ、21年3月に静岡地裁沼津支部の裁判員裁判で懲役5年の実刑判決を受けた。東京高裁は22年3月の控訴審判決で、一審判決を破棄して審理を静岡地裁に差し戻した。その後、暴行罪に訴因変更された。 事件を巡り、同じ現場で働いていた別の同僚
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12月1日に控訴審初弁論 静岡の旧優生保護法訴訟 東京高裁で
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反として、聴覚に障害のある県内の女性が国に3300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が、12月に東京高裁で開かれることになった。20日、弁護団への取材で分かった。 2月の一審静岡地裁判決は、旧法を違憲と判断して国に1650万円の支払いを命じた。焦点となった不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の扱いについて「国が全国的かつ組織的な施策によって優生手術を強いられた事実を知り得ない状況を殊更に作出し、そのために原告がその事実を知ることができなかった」と指摘。除斥期間の効果を制限するのが相当だと判断して
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熱海土石流 静岡県、開発行為の文書提出 地裁沼津支部に 黒塗り一部解除
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り遺族や被災者が土石流起点の土地の現旧所有者や静岡県、市に損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが20日、静岡地裁沼津支部であった。協議は非公開。関係者の話を総合すると、原告側が2003年前後の起点部分の開発行為に関する行政文書の提出を県に改めて要請し、県は協議後、ホームページ(HP)に掲載済みの文書の黒塗り部分を一部解除して同支部に提出した。原告側はHP掲載分以外の文書の提出も県に求めている。 県が提出したのは、逢初(あいぞめ)川源頭部の無許可開発区域や03年に発生した土砂崩れ、業者が倒木を谷に集めたとされる写真などを掲載した文書。 これらの文書は県職員が複
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袴田さん弁護団も証人尋問請求へ 法医学の専門家想定【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は19日、静岡地裁に証人尋問を請求する方針だと明らかにした。法医学の専門家を想定しているという。 事件では、1年2カ月後に現場近くのみそタンクからシャツやズボンなど「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣だと認定された。一方、袴田さんの再審開始を認めた今年3月の東京高裁決定は、長期間みそに漬かった衣類の血痕に赤みは残らないと結論づけた弁護団の鑑定書などを重視。衣類は捜査機関によって捏造(ねつぞう)された可能性が極めて高いと言及した。 静岡地検
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袴田さん姉・ひで子さん 再審へ「もうしばらく支援を」浜松で集会
現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直しが認められた袴田巌さん(87)の支援団体は16日、袴田さんの再審の展望などを考える集会を浜松市中区の浜松復興記念館で開いた。姉のひで子さん(90)は、10月27日にも再審の初公判が開かれる見通しとなったことを受けて「もうしばらくの支援をお願いしたい」と呼びかけた。 ひで子さんは出席した支援者ら約40人を前に「いよいよあと半年ほどで結審する。いい結果が出ると思う」と話した。袴田さんが長期にわたって収監され、事件から57年が経過したことにも触れ「とにかく長かった。刑務所にいた巌は、特に大変だったはずだとつ
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旧天竜林高事件 2次再審請求、10月6日に 元校長弁護団が方針
浜松市天竜区の旧天竜林高を舞台にした大学推薦入試を巡る調査書改ざん・贈収賄事件で、加重収賄罪などで有罪が確定した元校長(75)の弁護団は15日、第2次再審請求を10月6日に静岡地裁浜松支部に申し立てる方針を固めた。元天竜市長(91)=贈賄罪で罰金刑確定、再審請求中=が元校長に現金を渡したとされる日の、元市長のアリバイに関する新たな事実などを新証拠の柱にする。関係者への取材で分かった。 事件を巡っては、元市長が2回目に現金を渡したとされる2007年12月10日の行動履歴が焦点になっている。確定判決などでは、元市長は同日、スルガ銀行天竜支店で保険契約手続きなどをした後、午前11時ごろに同校を訪
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「私の土地」と主張 提訴取り下げ要求 山下沼津市議
沼津市が14日、市有地を有料駐車場として貸していたとして、不当利得の返還を求めて山下富美子市議(70)=5期=を提訴する議案を市議会9月定例会に提出したのを受け、山下氏が同日、市内で記者会見した。問題の土地について、1993年に市と山下氏の父(故人)が交渉していたとする書面を示し、「市に提訴される土地は私の土地。提訴を取り下げてほしい」と述べた。取り下げない場合は所有権を確認する訴訟を起こす考えも示した。 山下氏は問題が発覚した昨年9月の時点では「父が買い受けた土地だとの認識だったが、証拠もなく、確証は持てなかった」とし、市側の指導を受け入れ、駐車場としての利用も中止したと説明した。 そ
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「巌にいい結果 期待」袴田さん再審公判日提示 姉ひで子さん、声弾ませる
「巌は無罪ですから」「いい結果が出ることを期待しています」―。12日に静岡地裁から袴田巌さん(87)の再審公判の候補日が示されたことを受け、弁護団とともに静岡市葵区で記者会見した姉のひで子さん(90)は思わず声を弾ませた。弁護団も地裁の提示を歓迎し、迅速な審理の実現へ決意を新たにした。 弁護団によると、同日開かれた3者協議では地裁から候補日程を記した1枚の書面が示されたという。「びっくりした。衝撃を受けた」と笹森学弁護士は想定外だったことを明かした。ただ、地裁は地検の補充捜査に基づく有罪立証を許容する方針で、間光洋弁護士は「この期に及んで(有罪立証を)許すのは受け入れられず、納得できない」
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山下市議提訴方針 沼津市議会6会派が理解示す
沼津市が7日、自宅隣接地の市有地を有料駐車場として貸し出していたとして山下富美子市議(70)=5期、未来の風=に不当利得の返還を求めて提訴する方針を受け、市議会7会派のうち、6会派の代表は市の方針に理解を示した。また、所管の建設水道委員会や本会議での議案審議の中で、市に丁寧な説明を求めるとの姿勢も強調した。 最大会派の沼津志帥会(植松恭一代表)と志政会(浅原和美代表)は、共に提訴に賛成の立場。植松代表は「放置すれば、市民から議員に忖度(そんたく)しているのかと疑念を持たれる」、浅原代表は「発覚後、速やかに返還すべきだった。ただ、市も長年放置していてしっかりと審議したい」と述べた。 市民ク
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社説(9月7日)京アニ事件公判 惨劇防げなかったのか
菊川市出身の大村勇貴さん=当時(23)=ら36人が亡くなり、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告の裁判員裁判が京都地裁で始まった。事件から4年余り。初公判で車いすに乗って出廷した青葉被告は「自分のしたことに間違いありません」と起訴内容を大筋で認めた。 物事の善悪を判断する刑事責任能力の有無や程度が最大の争点。弁護側は、事件当時は責任能力がなかったとして無罪を主張した。これに対し検察側は「完全責任能力があった」とし、被告は京アニの小説コンクールに応募し、アイデアを盗まれたと一方的に恨みを募らせたと主張した。 被告は真摯[し
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旧優生保護法の強制不妊訴訟 浜松の武藤さん「間違った法律 国は認めて」
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、視覚障害のある武藤千重子さん(74)=浜松市東区=が国に損害賠償を求めた静岡地裁浜松支部の訴訟は4日、本人尋問を行った。法廷で初めて証言した武藤さんは「障害者だから産めないなんて世の中はおかしい。法律が間違っていたということを国はきちんと認めてほしい」と強調した。 盲導犬を伴って出廷した武藤さん。77年に28歳で第2子を出産した日、入院していた産婦人科の婦長から「(目の悪さが)遺伝したらあなたに育てられるの。3人目は産まないでしょ」と手術を迫られたと証言。既に同意書が用意されていて、翌日に手術を受けた。「目のこと
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御前崎の街路樹撤去、住民請求を棄却 静岡地裁判決
御前崎市の街路樹撤去事業を巡って2021年度に支出された公金は違法として、市民が柳沢重夫市長を相手に同額の賠償などを求めた住民訴訟の判決で、静岡地裁は31日、請求を棄却した。 事業は同市池新田地区を東西に走る市道「大山東町線」の一部区間約950メートルの歩道を避難路として拡幅することなどを理由に街路樹を撤去する内容で、既に完了している。原告は事業が不要であり、地元町内会から提出された要望書も捏造(ねつぞう)だと主張していた。 菊池絵理裁判長は判決理由で、防災面を理由とした市の判断が「著しく妥当性を欠くものとはいえない」とし、要望書が捏造と認めることは困難と指摘。事業の請負契約に係る入札手
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奨学金の不適切手続き認める 静岡大に賠償命令 静岡地裁判決
奨学金の応募手続きに係る大学職員の不適切な行為で精神的苦痛を受けたとして、静岡市駿河区のベトナム国籍の男性が静岡大を相手取り、慰謝料など約160万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は31日、訴えの一部を認め、同大に44万円の支払いを命じた。 判決によると、男性は留学生として2021年4月から同大大学院に通い、9月に奨学金に応募した。職員は、推薦学生になるための学内選考に「通過した」と受け取れる誤った内容のメールを男性に送信。実際は選考の結果、男性は推薦されず、職員は12月に男性から問い合わせを受けるまで結果を通知しなかった。この奨学金には応募の結果が出るまで、受給期間が重なる他の奨
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袴田さん弁護団「証拠調べ請求却下を」 検察も意見書、有罪主張を補充【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、今年3月に裁判のやり直しが決まった袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団と静岡地検の双方が31日、新たな意見書を静岡地裁(国井恒志裁判長)に提出した。弁護団は地検の有罪立証方針を批判するとともに、地検が請求した証拠調べについて「必要性が認められない」として却下するよう要請。地検は有罪主張を補充した。9月12日に次回の3者協議が予定され、意見書を踏まえて今後の進め方などが話し合われる。=関連記事31面へ 弁護団が静岡市内で記者会見し、概要を説明した。弁護団は意見書で、再審公判で検察官に求められているの
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袴田さん再審 「地検の有罪立証不可能」弁護団、近く意見書
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、今年3月に再審開始が決まった袴田巌さん(87)の弁護団は近く、静岡地検が有罪を立証することは不可能などと改めて指摘する意見書を静岡地裁に出す。29日、関係者への取材で分かった。 事件では、発生から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクから血痕に赤みが残る「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた。一方、袴田さんの再審開始を認めた3月の東京高裁決定は、弁護団の化学鑑定などを踏まえ、1年以上みそに漬かった衣類の血痕の赤みが消えることは「合理的に推測できる」と評価。5点の衣類は、捜査機関によって捏造(
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歯科医懲役19年 上告棄却で確定 最高裁、浜松の知人殺害
最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は、浜松市で2012年に知人男性を殺害したとして殺人や死体遺棄などの罪に問われた歯科医師の男(67)側の上告を棄却する決定をした。28日付。懲役19年とした一、二審判決が確定する。 最高裁によると、争点を絞り込む「公判前整理手続き」に13年2月から19年5月まで6年余りを要し、裁判員裁判が始まった09年以降で過去最長だった。証拠開示などを巡り検察側と弁護側の応酬が続いたとみられる。 判決によると、12年7月12日ごろ、知人の建築会社経営の男性=当時(68)=に睡眠導入剤を投与し、クロロホルムを吸引させたか、その他の方法で殺害。遺体を浜松市内にあるガレージの
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コロナ感染巡るパワハラなど認定 静岡地裁判決
新型コロナウイルスの感染を巡るパワハラ行為や、セクハラ行為で精神的苦痛を受けたなどとして、静岡市駿河区の歯科医院に歯科衛生士として勤めていた20代女性が院長らを相手取り約270万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は25日、院長によるパワハラ行為とセクハラ行為を認め、院長に約110万円の支払いを命じた。 判決によると、院長と女性は昨年1月に新型コロナに感染した。杉森洋平裁判官は判決理由で、女性が職場に復帰した際、院長は自身の感染原因を女性だと断定し、女性の言い分を聞かずに一方的に叱責(しっせき)したと指摘。「違法なパワハラに当たる」と判断した。また、院長が同年5月に女性の自宅を訪れて
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覚醒剤密売の男 麻薬特例法違反適用 地検浜松支部、訴因変更
宅配便を使った覚醒剤の密売を「業として」行ったとして、静岡地検浜松支部は24日までに、大阪市平野区の無職の男(56)を覚醒剤取締法違反の罪などで起訴した上、麻薬特例法違反罪の「業として行う譲渡」を加えて訴因変更した。有償での譲渡を繰り返していたことから覚醒剤の密売を事業にしていたと裏付け、より罰則の重い条項を適用した。裁判員裁判の対象になる。 起訴状などによると、被告は2022年12月、宅配便を利用して浜松市内の男性に覚醒剤のようなもの約1グラムを4万6千円で譲り渡すなど、20年10月から23年2月にかけて日本国内で多人数に対し、多数回にわたって覚醒剤を有償で譲り渡したとされる。23年2月
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南伊豆 看板汚損 おおむね認める 地裁下田支部初公判
南伊豆町が所有する看板を汚損したとして、器物損壊の罪に問われたデザイナーの男(79)=同町=の初公判が23日、静岡地裁下田支部(川崎慎介裁判官)で開かれた。弁護側は起訴内容をおおむね認め、「(被害)金額について争う」との姿勢を示した。 検察側は冒頭陳述で、被告が町設置のモニュメントをスプレー式塗料で汚し、2022年に同支部から懲役1年、執行猶予3年の判決を受けたことを指摘した。被告は今回の事件について、「もっと魅力的な場所にするつもりだった」と述べた。 起訴状などによると、5月18日から20日までの間、町内に設置された町管理の看板にスプレー式塗料を吹き付けて汚し、損壊。被害額は約10万円
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元市長 揺れた供述「うそをついた 謝りたい」【旧天竜林高事件15年㊦】
「現金を入れた封筒を用意したのは当日の朝」「差し出した封筒を押し返されたが、テーブルに置いて校長室を出た」。大学入試を巡る調査書改ざんに端を発した事件は、自治体トップを4期務めた元天竜市長(91)が絡む贈収賄事件に発展した。元市長は取り調べの中で、元校長(75)に現金を渡したと自白した上で、その時の状況や心境のほか、使用した封筒の種類に至るまで詳細に供述した。 捜査に当たったのは、県警捜査2課の県西部地域を担当する特捜班。県警OBによると、緻密で強力な捜査に定評がある捜査官たちだった。県教委からの刑事告発を受けて本格捜査が始まったのは2008年7月下旬ごろ。当時の捜査関係者は「校長が教諭に
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旧天竜林高事件 第2次再審請求へ準備進む アリバイ焦点、無実訴え
旧天竜林高事件を巡り、元校長(75)が再審を申し立てたのは2014年4月。23年3月に最高裁で請求が棄却され、現在、第2次再審請求へ準備を進めている。元天竜市長(91)も20年に再審を申し立てたが、23年5月に浜松簡裁で棄却。東京高裁に即時抗告した。検察の手持ち証拠が開示されるなど新たな動きはあるものの審理の進行は遅く、裁判所は職権発動に後ろ向きな状況が続く。2人の代理人弁護士は「この事件の再審手続きの経過には、再審制度の問題点が凝縮されている」と口をそろえる。 22年1月、検察がこれまで「不存在」としてきた警察の取り調べメモなどが開示され、元市長と県警の取調官との詳細なやりとりが明らかに
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無免許死亡ひき逃げ認める 静岡地裁公判で男
焼津市内で5月下旬、乗用車を無免許運転し、路上に座っていた男性をはねて死亡させ、そのまま逃走したとして、自動車運転処罰法違反(無免許過失致死)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた静岡市駿河区の男(20)=事件当時(19)=の初公判が21日、静岡地裁(国井恒志裁判官)で開かれ、男は起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述などで、男が運転免許を取得したことがなかったと指摘。乗用車は当初友人が運転していたが、途中で交代した男が、前照灯を消してフォグランプのみ点灯した状態で、前方左右を注視せず、安全確認が不十分なまま時速35~40キロで漫然と走行していたと述べた。路上に男性を見つけて急ブレーキをかけ
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海水浴場業務妨害 暴力団総長ら有罪 地裁沼津支部判決
下田市の白浜大浜海水浴場の運営を巡り、威力業務妨害罪に問われた指定暴力団稲川会大場一家幹部の判決公判で、静岡地裁沼津支部は21日、総長の無職の男(58)=河津町峰=に懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)、幹部の無職の男(56)=同市吉佐美=に懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)をそれぞれ言い渡した。 明日利佳裁判官は判決理由で、「入れ墨を露出した複数人が集団となり、大声で被害者を名指ししたり、にらみつけたりする犯行は、短時間でも悪質」と指摘。一方、同じような事件の量刑傾向を踏まえ、執行猶予を付けたとした。 判決によると、両被告は仲間と共謀して2022年8月、同海水浴場で運営責
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少年「ヘンゼル」どう処遇 静岡家裁で仕事体験 童話題材 中高生ら“審判”
静岡家庭裁判所(静岡市葵区)はこのほど、県内の中高生を対象に家裁の業務内容を紹介する広報行事を同所で開いた。夏休み中の中高生ら27人が、20歳未満の少年が罪を犯した時に開く少年審判を実際の法廷で模擬体験した。 家裁は主に家庭内の紛争を解決するための家事事件と少年事件を扱っていて、中高生は裁判官や事件の背景を調べる調査官などの役割を分担。童話「ヘンゼルとグレーテル」を題材に、魔女を殺してしまったヘンゼルの処遇を決める審判に臨んだ。魔女はヘンゼルを殺して食べようとしていたことや、妹グレーテルとともに貧しい家庭環境だったことを考慮し、ヘンゼルの更生のためにどんな処遇が望ましいかを考えた。 裁判官役
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ベトナムに不正送金「地下銀行」営む男起訴 静岡地検浜松支部
ベトナムに不正送金する「地下銀行」を営んだとして、静岡地検浜松支部は18日、銀行法違反の罪で磐田市西貝塚、会社員の男(35)を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴状などによると、1~2月ごろ、日本からベトナムに送金を希望する3人から4回にわたって計約15万円の送金依頼を受け、管理するベトナム国内の口座を使って送金先口座に入金し、銀行業を営んだとされる。 細江署によると、手数料を取らずにレートの差額分で利益を得ていたという。少なくとも200回にわたり、500万円以上を送金したとみられる。
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掛川市、緑地売却訴訟で上告断念 4400万円支払い判決受け入れ
掛川市が行政財産の緑地を誤って市内の不動産業者に売却した問題を巡る訴訟で、市は16日、土地の抹消登記手続きを受けるのと引き換えに土地代と関係費用など計約4400万円を支払うよう市に命じた二審東京高裁判決を受け入れ、上告しない方針を明らかにした。 同日の市議会全員協議会で報告した。久保田崇市長は「判決内容に不満はあるが、いたずらに時間を浪費したくない」と述べた。確定した場合は第三者による調査委員会を設置して責任の所在を明らかにするとした上で、退職者を含めて過失があった職員への求償を検討する考えを示した。
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強制わいせつ罪で元焼津市議起訴 静岡地検
静岡地検は14日、強制わいせつ罪で焼津市保福島、元焼津市議の容疑者(55)を静岡地裁に起訴した。 起訴状などによると、被告は6月9日午前、自宅で、マッサージを装って10代女性にわいせつな行為をしたとされる。被告は2019年の焼津市議選に無所属で立候補して当選し、2期目を目指した今年2月の市議選で落選した。
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静岡県警白バイ隊員 窃盗の罪で起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は10日、公務中に一般人の車の中から現金などが入ったバッグを盗んだとして窃盗の罪で、県警交通機動隊で白バイ隊員を務める巡査部長の男(41)=浜松市中区相生町=を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は7月19日午後1時20分ごろ、同市内の駐車場で市内の無職男性が駐車していた軽乗用車から、現金18万4784円と財布など25点が入ったバッグ1個(計約5100円相当)を盗んだとされる。県警によると、被告は1人で白バイ乗務中に制服で窃盗に及んだとみられる。
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函南・連続不審火 男に執行猶予判決 地裁沼津支部
函南町などで3月発生した連続不審火で器物損壊と非現住建造物等放火の罪に問われた同町平井、庭師の男(23)の判決公判で、静岡地裁沼津支部は8日、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役3年6月)を言い渡した。 野沢晃一裁判長は判決理由で「酒に酔い、仕事などのストレスから犯行に及んだという動機は身勝手」と断じた。一方、焼損面積や被害額が比較的小さくとどまった点などを挙げ、同様事件の量刑傾向を参照して執行猶予を付けたとした。 判決によると今城被告は3月9日夜、三島市の民家の駐車場で乗用車のナンバープレートを壊した後、同町の園芸店にあった植木鉢など232点を焼失させ、同町男性の敷地にある物置に立てかけら
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御前崎の元公民館長 報酬無効 静岡地裁、訴え棄却 原告は控訴方針
御前崎市の池新田公民館(現地区センター)の元館長への報酬支給は違法で無効だとして、市民10人が市を相手取り、元館長を任命した当時の市教育委員らに報酬支給額と同額の450万円を請求するよう求めた住民訴訟の判決で、静岡地裁は4日、訴えを退けた。原告側は取材に対し、控訴する方針を明らかにした。 原告側は訴訟で、公民館が民間産廃処理施設を誘致する活動に使われていたとし、館長(当時)は社会教育法に反して営利事業を援助した―と主張していた。 日野直子裁判長は判決理由で、住民訴訟の前提となる住民監査請求が期限を過ぎて不適法として訴えの一部を却下した。その上で、公民館の使用について「住民らが企業誘致を目
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川崎死刑囚訴え 静岡地裁が棄却 面会制限「違法性ない」
2016年の浜名湖連続殺人事件で死刑が確定した川崎竜弥死刑囚(39)が、刑事被告人として勾留中に懲罰を科されたことを公表され、面会を制限されたのは違法などと訴え、国に110万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は4日、請求を棄却した。 川崎死刑囚は男性2人を殺害したとして強盗殺人などの罪で一審静岡地裁と二審東京高裁で死刑判決を受けた。最高裁の上告審判決直前に上告を取り下げ、21年2月に死刑が確定した。 川崎死刑囚は訴訟で、静岡刑務所に勾留されていた際、懲罰中だと職員が報道機関に明かしたことは名誉毀損(きそん)に当たるほか、懲罰中を理由に面会を制限したことは「重要な権利侵害」などとし
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菊川の業者、許可取り消し処分 産廃収集運搬業
静岡県は28日、廃棄物処理法に基づき、セイキ建設(菊川市東横地)に産業廃棄物収集運搬業の許可取り消しの行政処分を行ったと発表した。26日付。同社は6月30日に静岡地裁掛川支部で破産手続き開始決定を受けたため、同法が規定する欠格要件に該当すると判断した。
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組合費4759万円を着服 マックスバリュ東海労組幹部解任 出張費を二重請求
食品スーパー、マックスバリュ(MV)東海の労働組合は27日、元中央執行委員長代行が組合費4759万円を着服していたことが判明したと発表した。2023年2月までの約20年間、出張費を二重で請求するなどしていた。別の幹部の着服を調査する中で発覚し、5月に役職を解任する処分を下した。 同労組によると、委員長代行は、上部団体であるイオングループの労働組合連合会(労連)の副会長を兼務していた。労連の業務で都内などに出張する際、交通費や宿泊費、日当などを二重で請求していた。委員長代行は調査に対して着服を認め、遊興費に充てていたと明らかにした。既に一部を返済したほか、今後、全額を返す意志を示しているとい
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自宅放火詐欺未遂 消防士長を懲戒免 静岡市消防局
静岡市消防局は27日、非現住建造物等放火と詐欺未遂の罪に問われて公判中の島田消防署消防士長の男(26)を同日付で懲戒免職処分にしたと発表した。 市消防局などによると、被告は昨年12月2日、藤枝市内の自宅に自ら火を放って全焼させ、損害保険会社に虚偽の事故状況を申告して保険金をだまし取ろうとしたとされる。今月12日に静岡地裁で開かれた初公判で、被告は起訴内容をおおむね認めた。 池田悦章市消防局長は「今後職員に対し、職場の内外を問わず一層の綱紀粛正を図るとともに、市民の信頼回復に努める」とコメントした。
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小学生童話題材に 刑事裁判模擬体験 静岡地裁で8月10日
静岡地裁は8月10日午後1時半から同4時10分まで、小学4~6年生とその保護者を対象にした夏休みイベント「童話で学ぼう刑事裁判」を静岡市葵区の同地裁で開く。定員20組(先着順)。 裁判所の役割を伝える動画を見た後、童話を題材にした模擬裁判を体験する。裁判官と検察官、弁護士に直接質問できるほか、法廷見学や法服をまとっての記念撮影もできる。 申し込み、問い合わせは静岡地裁広報係<電054(251)6241>へ。
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「頼りがいある司法を提供」 静岡地裁・永渕新所長が抱負
静岡地裁の新たな所長に就任した永渕健一氏(61)が24日、地裁で記者会見を開いた。「県民の皆さんに頼りがいのある司法を提供できるよう、微力を尽くしたい」と抱負を述べた。=「時の人」2面へ 永渕氏は長崎市出身で、1990年に判事補任官。司法研修所教官や福岡高裁事務局長などを歴任し、2016年からは東京地裁部総括判事を務め、直近は刑事部所長代行者だった。 会見では、司法のIT化やデジタル化への対応をはじめ、若い世代を含めた県民への情報発信に力を入れていく考えを説明した。 袴田巌さん(87)の再審公判に関する質問には「個別事件の進行に関わる事項のため、回答を差し控えたい」とした。一方、不備の
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静岡地裁所長に就任した 永渕健一さん【時の人】
「静岡地裁をより力強い存在にできたらいい」。就任の記者会見で、願いを込めてそう強調した。 とかく縁遠く感じられてしまいがちな司法の分野。社会のIT化・デジタル化が進む中、裁判所としても対応を図り、利用のしやすさを追求する。「より良い司法サービスの提供が目指すところだ」 憲法は「裁判官の独立」を保障する。「独立して仕事ができるところ、最終的な判断を示すことで社会に貢献できるところ」に魅力を感じ、裁判官を志望した。主に刑事裁判を担い、直近の東京地裁では裁判長として、収賄罪に問われた前伊東市長に実刑判決、福島第1原発事故を巡って業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の旧経営陣3人に予見可能
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会社員を恐喝、2人追起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は24日、恐喝罪で浜松市中区の建設作業員(23)、同区の飲食店員(29)の両被告=ともに強盗致傷罪で起訴=を静岡地裁浜松支部に追起訴した。 起訴状などによると、2022年12月10日午前3時ごろから同4時15分ごろまでの間、恐喝罪で起訴されている男や知人女性と共謀し、磐田市内の路上で交流サイト(SNS)を使って誘い出した浜松市東区の男性会社員を「俺の彼女なんだけど」「未成年だから犯罪になる」などと脅し、同日中に現金計約50万円を奪ったとされる。 両被告は別の男性に対してSNSで誘い出した上、暴行を加えて現金を奪ったとして強盗致傷罪で起訴されている。
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清水庁舎移転巡る公金返還訴訟 原告側が控訴 地裁判決不服で
静岡市役所清水庁舎の移転・新築に関する市の公金支出は違法として、一部市議と市民が市を相手取り、田辺信宏前市長に約8600万円の返還を請求するよう求めた訴訟で、原告側は21日、訴えを退けた静岡地裁判決を不服として東京高裁に控訴したと発表した。 13日の地裁判決は、適法な住民監査請求を経ておらず不適法として訴えの一部を却下し、その他についても支出を「違法とは言えない」と判断して棄却した。
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恐喝罪で男起訴 男性から50万円脅し取る 静岡地検浜松支部
静岡地検浜松支部は21日、男性を脅迫して現金約50万円を脅し取ったとして恐喝罪で、山梨県昭和町清水新居の会社員の男(21)を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴状などによると、2022年12月10日午前3時ごろから同4時15分ごろまでの間、強盗致傷罪で起訴されている男2人と知人女性と共謀し、磐田市内の路上で交流サイト(SNS)を使って誘い出した浜松市東区の男性会社員を「俺の彼女なんだけど」「未成年だから犯罪になる」などと脅し、同5時ごろ、浜松市内の駐車場で男性会社員から現金約20万円を奪い取った。さらに同日午後5時5分ごろから25分までの間にも現金30万円を奪ったとされる。
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小学生の下着 奪った男起訴 静岡地検浜松支部
静岡地検浜松支部は21日、女子小学生を刃物で脅して下着を奪ったとして、強盗と銃刀法違反の罪で愛知県豊田市今町6丁目、会社員の男(39)を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は6月30日午後4時10分ごろ、浜松市内の路上に停車した自動車内から、帰宅途中の女子小学生に対して持っていた刃体約16センチの包丁を見せて脅迫し、小学生が着用していた下着を奪ったとされる。
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総長に1年6月求刑 海水浴場業務妨害 静岡地裁沼津支部公判
下田市の白浜大浜海水浴場で運営者を脅し、業務を妨害したとして威力業務妨害の罪に問われた指定暴力団稲川会大場一家総長の無職の男(58)=河津町峰=と幹部の無職の男(56)=同市吉佐美=両被告の論告求刑公判が20日、静岡地裁沼津支部(明日利佳裁判官)で開かれた。検察側は総長の男に懲役1年6月、幹部の男に懲役1年をそれぞれ求刑した。 検察側は論告で、運営者の男性に威圧的な言葉をかける総長の男の横で、幹部の男はにらみつけるなどし、ともに果たした役割が大きいと指摘した。弁護側は、総長の男の言葉は幹部の男に向けたものだったなどとして、無罪を訴えた。 起訴状などによると、両被告は仲間と共謀して2022
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元職員 退職金求め提訴 焼津カツオ盗、漁協懲戒解雇
焼津市の焼津漁港で水揚げされた冷凍カツオの窃盗事件で、焼津漁業協同組合から懲戒解雇された40代の男性元職員が20日までに、処分は無効などとして漁協を相手取り、退職金約675万円の支払いを求める訴えを静岡地裁に起こした。 訴状によると、男性は2000年4月に漁協に就職し、18年4月に市場部係長になった。冷凍カツオを盗んだとして21年10月に焼津署に逮捕され、22年3月に漁協から懲戒解雇された。その際、退職金は支払われなかった。同年10月、窃盗の罪で有罪判決を受けた。 男性側は、カツオの窃盗行為に誘われた18年4月より少なくとも10年ほど前から、漁協では慣習として窃盗が行われていたと指摘する
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伊豆山住宅で窃盗 起訴内容を認める 静岡地裁沼津支部
熱海市伊豆山の土石流被災地の住宅に侵入し、女性用下着などを盗んだとして住居侵入と窃盗の罪に問われた静岡市清水区、専門学生の男(26)の初公判が20日、静岡地裁沼津支部で開かれた。被告は起訴内容を認めた。 検察の冒頭陳述によると、被告は自宅付近で下着盗や盗撮を繰り返していたという。土石流被害の報道番組に出演した女性に興味を持ち、犯行を決意。外観などから住所を特定して、住宅の窓ガラスを割って侵入し、下着などを盗んだとされる。 公判後、女性の父親は「災害でつらい状況を逆手に取る犯行で、到底許せない。被害後の大変さを想像してほしい」と話した。 起訴状などによると、被告は2021年8月上旬、熱海
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袴田さん再審日程決まらず 静岡地裁、3者協議継続へ
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判に向け、静岡地裁(国井恒志裁判長)は19日、弁護団と静岡地検との4回目の3者協議を地裁で行った。弁護団は9月の次回協議を初公判期日に切り替えるよう求めていたが、国井裁判長は警備上の対応や他の裁判との調整などに時間が必要との考えを説明。次回も3者協議を続けることになった。 協議は非公開。終了後に記者会見した弁護団によると、地裁は袴田さんの再審公判を開く日は他の裁判を行わないことを想定しているという。国井裁判長はその調整をはじめ、傍聴希望者の整理や警備体制についても準備が必要との
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「一刻も早い無罪を」浜松の街頭で訴え 袴田さん支援団体
袴田巌さん(87)の支援団体が19日、袴田さんの早期の無罪判決を訴える街頭広報をJR浜松駅北口で行った。「浜松 袴田巌さんを救う市民の会」のメンバーら約10人が参加した。寺沢暢紘共同代表がマイクを握り、「検察は立証を断念すべき」「一刻も早い無罪を」などと声を張り上げた。旧天竜林高を舞台にした大学推薦入試を巡る調査書改ざん・贈収賄事件についても言及し、証拠の精査や再審の開始を求めた。
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熱海土石流 静岡県提出文書「不十分」 原告側、弁論準備手続きで
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、遺族被災者が起点となった土地の現旧所有者や県、市に損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが19日、静岡地裁沼津支部であった。原告側は、県が裁判所に提出した文書は不十分だとして、起点の周辺を含めた開発の経緯に関する全ての公文書の提出を強く求めた。 協議は非公開。県はこれまでにホームページで公開している公文書のうち、崩落した盛り土部分に関する2006年以降の文書の黒塗りを一部外して提出していた。ただ、2006年以前に行われた崩落部北側の宅地造成などに関する文書は提出していなかった。 原告代理人の加藤博太郎弁護士は協議後の取材に、「県は訴訟が始まる前は被災者に寄
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フェード現象への「意識が低かった」 小山バス横転で元運転手
小山町須走の県道(通称ふじあざみライン)で2022年10月、観光バスが横転し29人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた元運転手の被告(27)=埼玉県飯能市=は、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判官)で18日開かれた第2回公判の被告人質問で事故直前の運転操作や判断について具体的に説明した。「(フットブレーキを使いすぎて利きが悪くなる)フェード現象への意識が低く、めったに生じるとは思わなかった。横転するまで、なぜブレーキが利かないのか分からなかった」などと述べた。 急な下り坂やカーブが続くにもかかわらず4速など中高速のギアで走行した理由にも言及し、「乗客の乗り心地を重
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給付金詐欺罪で放課後デイ理事長に実刑判決 地裁浜松支部
浜松市の放課後等デイサービス施設の運営に関する給付金をだまし取ったとして詐欺罪に問われたNPO法人アンヘレス理事長の被告(65)=同市中区=の判決公判で、静岡地裁浜松支部は18日、懲役2年6月(求刑懲役3年)を言い渡した。 高島由美子裁判官は判決理由で、職員の退職に伴う給付金の減算を免れ、法人運営費を確保するために不正な行為に及んだと指摘。被害金額が虚偽申請に直接関わる部分に限っても1054万円と多額な点を挙げ、「常習的で職業的な犯行」と断じた。 判決によると被告は2019年から21年にかけて、運営する市内のデイサービス施設2カ所で、児童発達支援管理責任者を配置したように装って障害児通所
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静岡県53文書未提出 熱海土石流巡り裁判所に 逢初川無許可開発関連
2021年に盛り土崩落に伴い28人が死亡した熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り遺族や被災者が県などを相手に損害賠償請求した訴訟で、県が裁判所に提出していない逢初(あいぞめ)川源頭部の無許可開発に関連する文書が少なくとも53種類に上ることが18日までの取材で分かった。裁判所は盛り土造成の経緯が分かる文書の提出を県に求めたが、県による文書の分類が不正確だったため提出されなかったとみられる。 無許可開発に関連する53文書は03年2月から05年10月にかけて県が作成したり業者から受理したりし、20年前に逢初川源頭部で起きた土砂崩れも記録されていた。複数の専門家はこの土砂崩れと21年の大規模土石流の関
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近畿日本ツーリスト社員を刑事告訴 過大請求で掛川、焼津市
近畿日本ツーリストが新型コロナウイルスワクチン接種コールセンター事業で掛川、焼津両市など委託元の自治体に過大請求していた問題で、両市は18日、同社静岡支店で事業を担当していた男性社員を詐欺容疑で刑事告訴したと発表した。告訴状提出は同日付。 掛川市によると、契約内容や再委託先の出勤状況を再点検した結果、約2835万円の水増し請求があったと判断した。内訳は、コールセンター業務分が約2623万円、多言語対応業務分が約211万円。同社に委託した期間は21年3月~23年3月で契約総額は約1億7213万円だった。久保田崇市長は「契約内容に違反する重大な行為と判断したため刑事告訴した」とコメントした。同
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「有罪立証放棄を」 袴田さん再審巡り ネット署名4.6万人
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地検に対して有罪立証の放棄を求める声が広がっている。弁護団が始めたネット署名の賛同者は4万6千人を突破。弁護団と支援団体は14日、地検の主張は再審請求審の「許されざる蒸し返し」だとして、速やかに有罪立証を放棄するよう改めて申し入れた。 事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかったシャツなど「5点の衣類」について、確定判決は袴田さんの犯行着衣と認定した。しかし、第2次再審請求審で最高裁の判事2人は「5点の衣類が長期間みそ漬けされたことは当然視されたが、か
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旧天竜林高事件 「証拠開示の突破口に」 元市長代理人弁護士が会見 新証言で意見書も
旧天竜林高の大学推薦入試に絡む調査書改ざん・贈収賄事件を巡り、元天竜市長(91)=再審請求中=が2度目の現金を渡したとされる日のアリバイの可能性を示す銀行関係者の証言を静岡新聞社が報じたことを受けて、元天竜市長の代理人の杉尾健太郎弁護士が14日、浜松市中区で記者会見し、「さらなる証拠開示に向けた突破口にしたい」と見通しを語った。 元天竜市長が即時抗告を申し立てている東京高裁での再審請求審で、静岡新聞の報道内容を軸にした新たな主張を補充意見書として提出する方針も示した。 元天竜市長のアリバイを巡っては、検察が開示した警察の取り調べメモに「12時26分事務処理(元天竜市長退店)」との記載があ
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電力カルテルで改善命令 中電子会社など5社 経産省
経済産業省は14日、大手電力4グループが電力販売でカルテルを結んだとされる問題で、中部電力の小売子会社、関西電力、中国電力、九州電力、九電の小売子会社の5社に電気事業法に基づく業務改善命令を出した。大手電力で不正が相次ぐ中、電力自由化に背く行為として事態を重く見た。再発防止と法令順守徹底に向け、各社に8月10日までに改善計画の報告を求めた。 中電の小売子会社は中部電力ミライズ、九電の小売子会社は九電みらいエナジー。大手電力に改善命令が出るのは、ライバル会社の顧客情報の不正閲覧問題に続き、今年2回目となった。大手電力への改善命令が相次ぐ異例の事態で、実効性のある再発防止策の策定が急務となる
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妻を感電させ殺害 男に懲役15年判決 地裁沼津支部
2021年、同居する妻を感電死させたとして殺人の罪に問われた沼津市寿町、トラック運転手の男(66)の裁判員裁判判決公判で、静岡地裁沼津支部は13日、懲役15年(求刑懲役18年)を言い渡した。 野沢晃一裁判長は、被告に電気工事の知識があったことや感電死についてウェブ検索していたこと、被害者の身体に複数回通電させたことなどを踏まえ、「殺意を持って通電させた」と、弁護側が否定していた被告の殺意を認定。量刑については「妻から離婚や退去を求められたことへの不満が動機とみられるが、被害者に落ち度はなくくむべき事情はみられない。殺害を決意したのが事件当日でも、突発的犯行ではない」と断じた。 判決による
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再審…耳にはするけど問題点って? 日弁連が特設サイト
「再審」の単語に耳なじみがあっても、手続きの中身までは知られていない。でも、実情を知ると、9割以上が再審法(刑事訴訟法の再審規定)を改正する必要があると回答した―。 日本弁護士連合会が再審や冤罪(えんざい)について10~80代の1200人を対象にインターネット上で意識調査したところ、こんな結果が出た。日弁連は13日までに、再審法の問題点や改正の必要性などを伝える特設サイトを開設した。 調査は5月中旬に実施。現行の再審法は19カ条にとどまり、再審請求審や再審公判の進め方についての規定が乏しい。担当裁判官の姿勢によって審理にばらつきが生じていることへの見解を尋ねると、43・8%が「問題」と答
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9月に初公判を 袴田さん再審で弁護団方針 静岡地裁に申し入れへ
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の弁護団は13日、都内で会議を開き、9月に再審の初公判を開くよう静岡地裁に申し入れる方針を決めた。 地裁は再審公判に向けた弁護団、静岡地検との3者協議の期日を今月19日と9月12日、同27日、10月27日に設定している。弁護団としては議論も含めて「公平を期すために公開の法廷で行うべき」と判断。次回で協議を打ち切り、9月以降の協議期日を再審公判期日に変更するよう求める。弁護団によると、地検は再審公判に提出する予定の新たな証拠を開示したという。 袴田さんの再審公判を巡り、地
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専門学生の男を窃盗の罪で追起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は13日までに、窃盗の罪で静岡市清水区、専門学生の男(26)を静岡地裁沼津支部に追起訴した。11日付。 起訴状などによると、2018年12月21日午前7時ごろから午後5時半ごろまでの間、同区の住宅で女性用を含む下着3点を盗んだとされる。 男は、熱海市伊豆山の土石流災害で被災した男性宅に侵入し、清涼飲料水などを盗んだとして、今年5月に住居侵入と窃盗の罪で起訴された。
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清水庁舎移転巡る公金支出 市民の返還訴え却下・棄却 静岡地裁判決
静岡市役所清水庁舎の移転・新築に関する市の公金支出は違法として、一部市議と市民が市長に約8600万円を返還するよう求めた住民訴訟の判決で、静岡地裁(菊池絵理裁判長)は13日、清水庁舎の耐震診断や庁舎建設の基本計画策定業務への支出について適法な住民監査請求を経ていないとして訴えを却下し、他の業務に関する支出については「違法とは言えない」として請求を棄却した。 判決は、期間内に監査請求できなかったことに「正当な理由」があったとする原告側の主張を退け、他の業務についても「ミスや作為が混入した事実を認めることは困難」「業務の成果物が無駄になったとは認められない」と判断した。
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旧天竜林高事件 元市長にアリバイの可能性 関係者証言「銀行にデータ」
旧天竜林高の大学推薦入試を巡る調査書改ざん・贈収賄事件で、2度目の現金授受があったとされる日に元天竜市長(91)=再審請求中=が訪れた銀行の関係者が12日までに、静岡新聞社の取材に応じ、アリバイの可能性を示す記録がデータで保存されていると証言した。 データは元天竜市長の保険契約金が「12時(午後0時)26分」に入金されたことを示す振込伝票の記録。再審請求審で検察は「12時26分事務処理(元天竜市長退店)」と記載された警察の取り調べメモを開示したが、記述の基となる証拠までは明らかにしていない。振込伝票のデータがこの証拠に当たる可能性があり、証明されれば、午前11時ごろに同校で現金の授受があっ
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焼津カツオ窃盗事件 運送業社長に2年6月求刑 静岡地裁公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた市内の運送会社「堀住運送」社長(62)=同市北新田=の論告求刑公判が12日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、検察側は懲役2年6月を求刑して結審した。 検察側は論告で、常習的に行われてきた組織的な犯行と指摘。被告が実行役を担っていたことを踏まえ、「未計量のカツオを搬出する際に計量の有無を判別できなくするなどしていて犯行態様は巧妙で悪質。会社の利益のためで、酌量の余地はない」と述べた。 弁護側は被告が弁護人を通じて被害法人3社に計約530万円を弁償したとし、「運送業という弱い立場で、カツオを盗むために利用されていた。事実
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消防士自宅放火 おおむね認める 静岡地裁初公判
藤枝市内に所有する住宅に放火し、保険金をだまし取ろうとしたとして、非現住建造物等放火と詐欺未遂の罪に問われた静岡市消防局の消防士(26)=藤枝市稲川1丁目=の初公判が12日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、被告は起訴内容をおおむね認めた。起訴事実で1階和室とされた火元について、被告は玄関と主張した。 検察側は冒頭陳述で、被告が1階和室に何らかの方法で火を放った後、自家用車で現場を離れたと説明。焼失させたくない貴重品などはあらかじめ実家に送ったり車に保管したりしていたと述べた。弁護側は放火場所のみ争う姿勢を示した。 起訴状によると、被告は昨年12月2日正午ごろ、所有する木造2階建て住宅
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大自在(7月12日)こども六法
2019年に出版された「こども六法」(弘文堂)は児童書ながら発行部数70万部を超すベストセラー。憲法や刑法、刑事訴訟法、少年法などを子ども向けに解説する。 著者は教育研究者で俳優の山崎聡一郎さん。自身がいじめられた経験やいじめる側に回ってしまった後悔を基に企画した。いじめはれっきとした犯罪になり得ると分かりやすく説く。 法律を知らない子どもたちは、いじめを目の当たりにしても「そういうものだ」と我慢してしまうかもしれない。「こども六法」の人気の理由は、学校で“犯罪”に直面しながらも違和感を言語化できなかった子どもたちに目からうろこが落ちる法解釈を与え、立ち向かう背中
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社説(7月12日)検察が有罪立証へ 再審公判 迅速に進めよ
1966年に現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で死刑が確定したものの、裁判のやり直しが決まった袴田巌さんの再審公判で、検察側は袴田さんの有罪を立証する方針を静岡地裁に伝えた。 検察と弁護側が争うことで審理が長引く可能性が高まった。再審請求に40年以上を費やしてきた袴田さんは87歳、支え続けてきた姉ひで子さんも90歳だ。年齢を考えるとさらに裁判が長引くことは耐え難いと言えよう。袴田さんは逮捕以来の長期拘束による拘禁症状が残る。無罪を確信してきた弁護側が強く反発するのは無理もない。 争うことになった以上、迅速な裁判は不可欠だ。検察側は「引き延ばすつもりは毛頭ない」
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請求証拠「即座に開示を」 袴田さん再審巡り弁護団【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は11日、静岡地検に対し、有罪立証に用いる証拠を直ちに開示するよう申し入れた。静岡地裁には地検に証拠開示を促すよう訴えた。 審理計画の早期策定と迅速な公判実現に必要だと判断した。弁護団によると、地検は有罪立証を維持する方針を示した10日の意見書で、犯行着衣とされる「5点の衣類」に付着した血痕の色評価に関して、鑑識担当者の供述調書や写真専門家の供述調書、法医学者7人による共同鑑定書、法医学者の供述調書、醸造専門家の聴取報告書などを新たに取り調べ請求予
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連続不審火の男に3年6月求刑 地裁沼津支部公判
函南町で3月に発生した連続不審火で器物損壊と非現住建造物等放火の罪に問われた同町平井、庭師の男(23)の論告求刑公判が11日、静岡地裁沼津支部で開かれ、検察側は3年6月を求刑した。 検察側は論告で、仕事や家庭のトラブルで募らせたいらだちを飲酒でさらに募らせ、解消するために第三者が管理する物を損壊、焼失した「あまりに短絡的で身勝手な犯行」と非難。いらだち解消のために放火したことは「規範意識が相当に鈍磨している」と指摘した。 弁護側は被告が事実を認め、反省していることから寛大な判決を求めた。 起訴状などによると、男は3月9日夜、三島市の民家の駐車場で乗用車のナンバープレートを壊した後、同町
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「捏造」是正へ検察威信 袴田さんの有罪立証方針
袴田巌さん(87)の再審公判で検察側が10日、有罪を主張する方針を決めた。3月の再審開始決定で裁判所から「証拠の捏造(ねつぞう)」の可能性にまで言及されながら、特別抗告を断念したことに内部から不満が噴出。死刑事案の中でも「象徴的」(検察幹部)とされる著名事件で、弁護側と半世紀余り対峙(たいじ)してきた検察の威信をかけて3カ月余り証拠を精査してきた。ただ無罪となる公算は大きく、組織内からは諦めの声も漏れる。 袴田巌さんの再審の流れ 無罪公算も 精査こだわる 「全く問題のない事件だと引き継がれてきた」。複数の検察関係者は危機感はなかったと口をそろえる。ところが東京高裁は3月13日、再審開
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ひで子さん「法廷で無罪聞かせたい」 検察の有罪立証方針に冷静【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地検は10日、有罪を立証する方針を表明した。審理の長期化は不可避とみられるが、袴田さんの姉ひで子さん(90)は記者会見で「ここで2、3年長くなったってどうってことないですよ」とひょうひょうと受け止めた。袴田さんには半世紀近い拘束による拘禁反応があり、静岡地裁は公判への出廷を免除する意向を示す。ただ、ひで子さんは判決の主文だけは法廷で聞かせたいと考える。「裁判所で『無罪』と言われれば巌も納得すると思う」。遠くない将来、その日がやって来ることを信じている。 会見では、地検
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検察、袴田さん有罪立証へ 血痕衣類「捏造」に反発【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地検は10日、袴田さんが犯人であり有罪だと立証する方針を静岡地裁(国井恒志裁判長)に伝えた。捜査機関による証拠の捏造(ねつぞう)を主張して無罪を訴える弁護団との間で対立は激しく、審理が長引く可能性が高い。弁護団は再審請求審の蒸し返しに過ぎないと批判し、地検に抗議した。 袴田さんの再審公判に向け、静岡地裁は弁護団と静岡地検の双方に対し、10日までに立証方針と取り調べを請求する証拠について書面で示すよう求めていた。 確定判決は、事件発生から約1年2カ月
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大自在(7月11日)白か黒か
死刑判決が確定した袴田巌さんの再審公判を巡り10日、検察側が静岡地裁に有罪立証の方針を伝えた。東京高裁は3月、捜査機関が証拠を捏造[ねつぞう]した可能性にまで言及し再審を決定。その経緯を顧みれば、白か黒かの決着にこれ以上時間を費やすのかと違和感が拭[ぬぐ]えない。 こちらの白黒も気になる。発生から2年たった熱海土石流。崩落した盛り土周辺の開発行為に関する行政対応文書について、元はカラーだった文書を白黒化し、一部判読できない状態で公表されていた問題は、県による釈明が二転三転し訳が分からない。 問題の文書は、土石流の起点となった逢初[あいぞめ]川上流域から泥水が流れ出したことを受け、県が現地
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証拠捏造の可能性捜査を 識者分析/西愛礼弁護士(元裁判官)【最後の砦 刑事司法と再審】
法律上、再審公判において検察官は有罪立証をすることができる。しかし、袴田事件では、有罪の証拠が捏造された可能性が複数の裁判所によって指摘されている。そうである以上、捜査機関がまず捜査すべきは有罪の可能性ではなく、証拠が捏造された可能性であるはずだ。両方の可能性を捜査し尽くしてなお有罪立証するというのではなく、有罪立証ありきで進んでいるのであれば、真実から目をそらしていると言わざるを得ない。 有罪立証をするのであれば、裁判のやり直しを求める「再審請求審」ではなく、裁判のやり直しである「再審公判」で主に行うべきであるという考えもある。ただし、今回の袴田事件では、既に2度の再審請求が行われ、40
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「蒸し返し」袴田さん有罪立証方針に弁護団憤り 【最後の砦 刑事司法と再審】
袴田巌さんの弁護団は会見で10日、再審公判で有罪立証を維持する方針を決めた検察側を「(再審請求の)即時抗告審の完全な蒸し返しだ」と強く批判した。 検察は同日明らかにした立証の方針で、確定判決で「犯行の着衣」とされた5点の衣類について、1年以上みそ漬けされても血痕の赤みが残ることは「何ら不自然ではない」と主張。弁護側の実験結果などに基づき、「衣類に赤みは残らない」と判断した3月の東京高裁決定に反論した。 弁護団は検察側の方針を「血痕の赤みが消えていく化学的なメカニズムに触れていない」と指摘。東京高裁の裁判官は検察官のみそ漬け実験に立ち会った上で決定を出したとして、「目玉になるような新しい論
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袴田さん有罪立証へ調整 検察 衣類血痕 補充捜査
1966年に起きた旧清水市(静岡市清水区)の一家4人殺害事件で死刑が確定し、裁判やり直しが決まった袴田巌さん(87)の再審公判で、検察側が有罪立証する方向で最終調整していることが8日、関係者への取材で分かった。弁護側は「審理に時間がかかる」などと非難した。検察は慎重に検討を重ね、期限としてきた10日、静岡地裁に方針を伝える見通し。 関係者によると、検察は、確定判決で「犯行の着衣」とされた5点の衣類に残った血痕の赤みなどについて補充捜査。有罪立証可能とみているもようで、衣類の評価が再審で再び焦点となる可能性がある。 衣類は事件から約1年2カ月後、赤みが残った状態でみそタンクから見つかった。
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検察は有罪立証断念を 袴田さん弁護団がネット署名
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、検察当局が有罪立証を維持する方針だと報じられた8日、弁護団の戸舘圭之弁護士が検察に断念を求めるネット署名を始めた。検察が改めて有罪を立証しようとすれば審理の長期化は避けられない。「袴田さんが亡くなるのを待っていると言っても過言ではない」と検察の姿勢を批判する。 再審公判で検察が有罪立証することは法的には問題ない。「島田事件」など過去にあった死刑囚の再審4事件では、実際に有罪立証を試みた。しかし、いずれも無罪判決に至っている。 戸舘弁護士は有罪立証の維持について「メン
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袴田さん、有罪立証で最終調整 検察側、再審公判で
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、3月に裁判のやり直しが決まった袴田巌さん(87)の再審公判で、検察側が改めて有罪立証する方向で最終調整していることが8日、関係者への取材で分かった。方針表明の期限としてきた10日、静岡地裁に伝える見通し。審理が長引く可能性があり、弁護側の反発は必至だ。 東京高裁は今年3月の決定で、確定判決が「犯行着衣」とした衣類5点の証拠を、弁護側が実施した血痕の変色状況に関する実験などに基づき、捜査機関側が捏造した可能性が極めて高いと指摘。「到底袴田さんを犯人と認定できない」と結論付けた。東京高検は最高裁への特別抗告
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浜岡原発廃炉訴訟 原告側が準備書面 「新たな活断層発見」
中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)の廃炉などを求めた訴訟で、原告側は6日、浜岡原発の敷地周辺で新たな活断層の露頭を発見したとする準備書面を静岡地裁に提出した。原発の敷地内を南北方向に伸びる断層と連続している可能性があるとしている。 原告側によると、新たに見つかった露頭は原発から北に約500メートルの地点で、相良層群の上に笠名れき層が堆積している。4月の調査で露頭の西側に逆断層が見つかったという。通常は水平に堆積しているはずの笠名れき層のれきの向きが「明らかに断層変位を受けている」と主張する。 笠名れき層は約8万年前に堆積したと推定され、今回見つかった露頭が活断層だとすると、中電側が敷地内で
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奉賛会員への恐喝 男2人に有罪判決 地裁沼津支部
熱海市内の神社奉賛会会員から現金を脅し取ったとして、恐喝の罪に問われた指定暴力団稲川会系組幹部、無職の男(49)=神奈川県湯河原町土肥4丁目=、造園業の男(51)=熱海市紅葉ガ丘町=両被告の判決裁判で、静岡地裁沼津支部は6日、無職の男(49)に懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役3年)、造園業の男(51)に懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。 室橋秀紀裁判官は「犯行態様の悪質性は高く、経緯や動機に酌量の余地はない。責任はいずれも重い」と指摘した。一方、被害金が弁償可能な状態で、共謀自体は認めて反省していることなどから、ともに執行猶予が相当とした。 判決によると、両被告は1月中
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熱海土石流の行政文書不鮮明 静岡県「出し渋り目的ない」 法務課の関与認める
熱海市伊豆山の大規模土石流に関する県の行政対応を記したカラー文書が白黒化されて判読できない状態で開示された問題を巡り、森隆史法務課長は5日の県議会総務委員会で、法務課が通常の文書開示作業以上に各関係部署に関与していたことを認めた上で「情報の出し渋りの目的はない」と釈明した。 森課長は、2021年10月に一斉開示された文書に関して「当時の難波喬司副知事(現静岡市長)から、非開示箇所に不整合がないかを確認するように指示があった」と述べ、「確認した結果、(各部署で検討した非開示部分の)当初案より若干、黒いところが増えた部分もあったが、文書全体の統一性や整合性を保つ観点から行った」と説明した。文書
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富士宮盛り土 罰金判決 地裁支部、静岡県条例を初適用
富士宮市の山林に無許可で盛り土を造成したとして、県盛り土規制条例違反の罪に問われた富士市の残土処分会社「Kプランニング」の判決公判で静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)は5日、求刑通り罰金100万円を言い渡した。2021年7月に熱海市で発生した大規模土石流を受けて昨年7月に施行された同条例の違反判決は初めて。 西沢裁判官は判決理由で、造成した土砂について「軽視できない量」と指摘した。過去に搬入した土砂が市の管理する土地に流出していたことや、行政からの指導を受けても盛り土を継続したことについても「危険で悪質なもの」と非難した。 判決によると、被告は昨年7月2日ごろから同21日ごろまでの間、知事
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富士3人死傷事故 85歳男に有罪判決 地裁支部
乗用車を運転して事故を起こし、3人を死傷させたとして自動車運転処罰法違反(過失傷害と過失致死傷)の罪に問われた富士市の無職の男(85)の判決公判で、静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)は5日、禁錮2年2月、執行猶予5年(求刑禁錮2年2月)を言い渡した。 西沢裁判官は判決理由で、進行方向の安全確認やペダルの的確な操作という運転上の基本的な義務を怠った過失の重大性を指摘した上で「死亡という結果は特に重大」と述べた。一方、被告が被害者への賠償金の支払いを完了している点を考慮すべき事情に挙げた。 判決によると、被告は昨年9月3日午後5時35分ごろ、市内の道路で乗用車を運転中、別の車と衝突して運転手に
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妻を感電死 男に懲役18年求刑 静岡地裁沼津支部公判
2021年、沼津市の自宅で同居する妻を感電死させたとして殺人の罪に問われた同市寿町、トラック運転手の男(66)の裁判員裁判論告求刑公判が5日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれ、検察側は懲役18年を求刑した。 検察側は論告で、被告に電気工事に関する知識があったことや遺体の一部が炭化していたこと、感電死についてウェブ検索していたことなどを踏まえ「周到な準備、計画によって敢行された犯行で強い非難に値する」と指摘。公判での被告の弁解内容は不合理で信用できないとした。 弁護側は反射的な行為であり、通電したアルミ板付き手袋をはめた手で妻の口に触れた時には被告が「危険性を認識していなかった」
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富士宮盛り土 残土処分会社に罰金100万円 静岡地裁富士支部、県規制条例の違反判決は初
富士宮市の山林に無許可で盛り土を造成したとして、静岡県盛り土規制条例違反の罪に問われた富士市の残土処分会社「Kプランニング」の判決公判で静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)は5日、求刑通り罰金100万円を言い渡した。2021年7月に熱海市で発生した大規模土石流を受けて昨年7月に施行された同条例の違反判決は初めて。 西沢裁判官は判決理由で、造成した土砂について「軽視できない量」と指摘した。過去に搬入した土砂が市の管理する土地に流出していたことや、行政からの指導を受けても盛り土を継続したことについても「危険で悪質なもの」と非難した。 判決によると、被告は昨年7月2日ごろから同21日ごろまでの間、
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男性暴行し金奪う 強盗致傷罪で男2人起訴 静岡地検浜松支部
静岡地検浜松支部は3日、交流サイト(SNS)で誘い出した男性に暴行を加えてけがを負わせ、現金などを奪ったとして強盗致傷罪で、ともに浜松市中区の建設作業員の男(23)と飲食店員の男(29)の両容疑者を静岡地裁浜松支部に起訴した。裁判員裁判の対象になる。 起訴状などによると、2人は2022年12月8日午後11時50分ごろから同9日午前2時5分ごろまでの間、同市北区細江町の農道で、同区の農作業員の男性=当時(31)=に殴る蹴るの暴行を加えて顔に軽傷を負わせた上、現金約7千円とキャッシュカード2枚などを奪ったとされる。 2人は、中区の少女(17)ら別の2人と共謀し、SNSを使って男性を誘い出した
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妻を感電死 被告の男、殺意否認 静岡地裁沼津支部初公判
2021年、沼津市の自宅で同居する妻を感電死させたとして殺人の罪に問われた同市寿町、トラック運転手の男(66)の裁判員裁判初公判が3日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれ、被告は殺意を否認した。 検察側は冒頭陳述で、被告が妻の生活態度に不満を抱き家具を破損したのを機に、妻から離婚と自宅からの退去を迫られたと説明。電気コードとアルミ板を手袋につなげた道具を作って殺害時に使ったとして「第2種電気工事士の知識を悪用した。強い殺意に基づいた計画性の高い行動」と指摘した。事前に「感電死」をウェブ検索していたことにも触れた。 弁護側は被告が自身を、手から光線が出る映画のキャラクター「アイアン
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熱海土石流 静岡県、20年前の土砂崩れ箇所 不鮮明な白黒文書で開示
1日までの静岡県への取材で確認された、熱海市伊豆山の大規模土石流の起点で20年前に起きた土砂崩れ箇所やその写真は、不鮮明に加工された疑いのある県の行政文書(D55やD64)に掲載されていた。元の文書がカラーだったのに県は当初、白黒化して開示していた。D64の地図上に示された土砂崩れの範囲は元の文書に赤い枠線があったが、白黒文書では目立たず、「崩壊箇所」と書かれた文字も判読しにくくなっていた。 D55やD64の白黒文書に添付され、「雨水流出部」「崩壊箇所」などと説明が付いた無許可開発区域の写真は黒く塗りつぶされたような状態で何が写っているか分からなくなっていた。 県は行政対応検証委員会(第
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露天風呂の組織的盗撮 リーダー格被告に実刑判決 静岡地裁「常習的で悪質」
露天風呂に入っていた女性を狙った組織的な盗撮事件を巡り、兵庫県迷惑防止条例違反などの罪に問われた茨城県行方市、無職の男(51)の判決公判で静岡地裁は30日、懲役2年10月(求刑懲役3年)を言い渡した。一連の事件で「中心的な立場だった」と指摘。「常習性が著しい。悪質で刑事責任は重く、実刑が相当」と結論づけた。 一方、起訴された盗撮行為のうち1回については被告側の主張通り、実行者との共謀の成立は「認められない」と判断した。 谷田部峻裁判官は判決理由で、卑劣で計画性の高い犯行だと批判。仲間に盗撮の技術や知識を教え、知人女性を露天風呂に誘うよう仕向けて盗撮していたことなども踏まえ「厳しい非難は免
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袴田さん支援団体 早期無罪判決訴え 事件57年浜松で街頭広報
旧清水市(静岡市清水区)でみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件の発生から57年を迎えた30日、裁判のやり直し(再審)が決まった元プロボクサー袴田巌さん(87)=浜松市中区=の支援団体が、早期の無罪判決を求める街頭広報をJR浜松駅北口で行った。 地元の「袴田さん支援クラブ」のメンバーがのぼり旗を掲げ、「無罪が確定するまで、あと少しの支援をお願いします」などと通行人に呼びかけた。再審開始を認めた東京高裁決定や、東京高検が特別抗告を断念したことなどこれまでの経過をまとめたチラシを配った。 事件をめぐっては、再審公判に向けた静岡地裁と静岡地検、弁護団による3者協議が進められている。
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熱海土石流 他文書も不鮮明加工か 静岡県「白黒コピーの結果」
熱海市伊豆山で盛り土が崩落して28人が死亡した土石流を巡り、情報公開条例に基づき県が開示した行政対応文書が不鮮明に加工されていた問題で、これまでに加工が判明していた2007年4月の文書(A283)以外にも複数の開示文書が不鮮明に加工された疑いがあることが29日までの取材で分かった。土石流起点の分水嶺(れい)付近で03年に明らかになった無許可開発の写真を掲載した文書などで、黒く塗りつぶされて何が写っているか読み取れない状態の文書が21年10月に開示されていた。 県は白黒コピーした結果、判読できなくなったと主張しているが、再現して確認していないという。静岡新聞社が元のカラー文書を通常のコピー機
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伊東メガソーラー建設 事業者側の訴え却下 静岡地裁
伊東市八幡野の大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設を巡り事業者の伊豆メガソーラーパーク合同会社が市に対し、市のメガソーラー規制条例に基づく市長の同意義務や事業の中止義務がないことの確認を求めた訴訟の判決で、静岡地裁(菊池絵理裁判長)は29日、原告側の訴えをいずれも「確認の利益が認められず不適法」として却下した。 判決は同意義務について、条例には同意を得ない場合に事業中止を強制する規定はなく、同意を求める行為は行政指導としての性質があるだけで事業中止の強制まではできないとし、市側の「同意の取得義務の有無は原告の事業の法律的地位を左右するものではない」との主張を認めた。事業者側の訴えは確認を
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三島の業者を許可取り消し 静岡県、産廃収集運搬
静岡県は29日、廃棄物処理法に基づき、ミツトモ(三島市梅名)に産業廃棄物収集運搬業の許可取り消しの行政処分を行ったと発表した。26日付。同社は6日に静岡地裁沼津支部で破産手続き開始決定を受けたため、同法が規定する欠格要件に該当すると判断した。
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繰り返された悲劇「冬生の時に動けば」 福岡の遺族 憤りと喪失感【届かぬ声 子どもの現場は今㉗/第5章 命と責任㊥】
日本の近代化を支えた炭鉱町の面影を残す福岡県中間市。「ちくてつ」の愛称で親しまれるローカル線、筑豊電気鉄道の走行音が時折響く閑静な住宅街に2021年7月の送迎バス置き去り事件で亡くなった倉掛冬生[とうま]ちゃん=当時(5)=の自宅はある。 「何と言ったらいいのか…」 冬生ちゃんの母(39)は牧之原市の事件を思い、声を詰まらせた。耐え難い苦しみを経験しているからこそ、河本千奈ちゃんというまな娘を失った両親にかける言葉が見つからない。 21年7月29日の朝。冬生ちゃんはいつものように保育園の園長=当時=が1人で運転する送迎バスに乗りこんだ。乗っていたのは冬生ちゃんを含む1~
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元運転手、起訴内容認める 小山バス横転初公判 静岡地裁沼津支部
小山町須走の県道(通称ふじあざみライン)で2022年10月、観光バスが横転し29人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた元運転手の男(27)=埼玉県飯能市=の初公判が28日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判官)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。 自動車メーカー側はブレーキやギアなどの関連部品の検証・解析の結果、「性能、作動確認に問題はなかった」としている。県警は、被告がフットブレーキを多用したためブレーキが利かなくなる「フェード現象」の発生が事故原因と結論づけていた。 冒頭陳述で検察側は、被告がフェード現象について「めったに起きることのない非常時の出来事と思い込
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元社長ら3人有罪判決 焼津カツオ盗、事前共謀を認定 静岡地裁
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件を巡り、窃盗罪に問われた神奈川県の運送会社「ホクユウ」(現ケイエスケイ)元社長の男(50)=同県南足柄市=と焼津市の水産加工会社「大熊フーズ」元社長の男(58)=同市与惣次=、都内の水産加工会社「大洋エーアンドエフ」元焼津営業所長の男(47)=同市駅北3丁目=の判決公判で、静岡地裁は28日、3被告全員に懲役2年6月、執行猶予3年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。 判決理由で国井恒志裁判長は「常習的、組織的な犯行の一環。厳しい非難は免れない」と指摘した。共謀を否認している元社長の男(58)については、冷凍カツオの売却先を確保していたことや冷蔵庫の
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判決延期「説明ない」 原告、静岡地裁に抗議 静岡市立小いじめ訴訟
静岡市の市立小で2017年度にいじめを受けて適応障害を発症したとして、当時5年生だった10代の男子生徒が、同級生や担任教諭らと市に対し損害賠償を求めた訴訟を巡り、理由の説明もなく判決期日が3カ月以上も延期されたのは問題として、原告の代理人弁護士が28日、静岡地裁に所長宛ての抗議書を出した。 判決期日は当初、今月29日の予定だった。抗議書によると、27日に突然取り消され、新たに10月12日に指定する予定と伝えられたという。抗議書では、期日の取り消しに加え、その告知が2日前だったことを「当事者に強い憤り、落胆、裁判所への不信の思いを与える」などと指摘している。 訴状などによると、男子生徒は1
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無許可開発、分水嶺改変か 逢初川上流域に及んだ疑い 熱海土石流
熱海市伊豆山で28人が死亡した盛り土崩落に伴う土石流を巡り、20年前に隣接流域で行われた都市計画法違反の無許可開発が分水嶺(れい)を改変し、土石流起点の逢初(あいぞめ)川上流域に及んでいた疑いがあることが26日までの取材で分かった。この無許可開発は、想定を上回る水が逢初川流域に流れ込む流域変更や、崩落した盛り土の造成につながった可能性があるが、当時行政対応した県は土石流後に設置した二つの検証委員会に情報を提供せず、行政対応面でも技術面でも検証されていない。 本紙の指摘を踏まえて県が4月、黒塗りを解除した文書(D27)に無許可開発の区域が記されていた。文書には、県の許可を受けず土地を造成した
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「積極的な有罪立証困難」 袴田さん支援集会、弁護団が検察けん制
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、3月に裁判のやり直しが決まった袴田巌さん(87)の支援集会が25日、同区内で開かれた。検察側が再審公判での主張・立証方針を7月10日までに明らかにするとしている中、弁護団の一員で元裁判官の水野智幸弁護士は「新たな証拠を出す形での積極的な有罪立証はできないだろう」とけん制した。 事件から1年2カ月後にみそタンクで見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた「5点の衣類」を巡り、再審開始を認めた東京高裁決定は、長期間みそ漬けの血痕に赤みは残らないとした弁護団の鑑定を評価した。 水野弁護士は集会で、4月に始まった静
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証拠開示も命令 公正で中立な視点 常に【最後の砦 刑事司法と再審⑫/第3章・日産サニー事件の先例㊦】
「家族が一生懸命に支えていた」。福島県いわき市で1967年に自動車販売会社の宿直員が殺害されて現金が奪われた「日産サニー事件」で無期懲役が確定し、仮釈放された後に裁判のやり直し(再審)を請求した男性の元主任弁護人、折原俊克弁護士は、奔走する家族の姿が忘れがたい。 再審請求審では証人尋問が公開され、全国初と報じられた。同じく弁護人だった弓仲忠昭弁護士は公開を求めた理由について「家族だけではなく支援者も一生懸命。家族や支援者の前で行いたい、というのが出発点だった」と回想する。しかし、尋問を公開するかどうかの規定は再審法(刑事訴訟法の第4編再審)には存在しない。 弓仲弁護士は言う。「裁判官の裁
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他の審理に広がらず 弁護士辞め不都合実感【最後の砦 刑事司法と再審⑪/第3章・日産サニー事件の先例㊥】
こんなにも、もどかしいとは想像していなかった。 裁判のやり直し(再審)が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)を40年以上支えてきた田中薫弁護士は、2014年3月に静岡地裁が再審開始決定を出した直後に弁護士を辞めた。再登録したのは今年3月。この間、差し戻し前後の即時抗告審で法曹三者の協議はもちろん、鑑定人の尋問などに立ち会えなかった。 「弁護団の会議や合宿には出ていたので、資料を見たり、話は聞いたりしていたけれど、何がどう行われているのか裁判所の中の雰囲気を全く実感できなかった」。弁護士でない一般人の立場となり、再審請求審が非公開で進められていることへの疑問が芽生えた。「自分の目で見て
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車盗んだ疑いで少年2人家裁送致 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は23日、浜松市中区砂山町の駐車場に止めてあった軽ワンボックス車を盗んだとして窃盗の疑いで逮捕、送検されたブラジル国籍の浜松市の男子学生(15)と同市の男子中学生(14)を静岡家裁浜松支部に送致した。 2人の送致容疑は5月19日、共謀して同市南区の男性(34)の軽ワンボックス車(50万円相当)を盗んだ疑い。2人は同区の別の男性に暴行を加えてけがを負わせ、財布を奪ったとして強盗致傷の疑いで6月14日に同支部に送致された。
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証人尋問法廷で公開「公正さ確保、真実発見」 元裁判官、法改正の柱と指摘【最後の砦 刑事司法と再審⑩/第3章・日産サニー事件の先例㊤】
裁判のやり直しを認めるかどうかを審理する再審請求審。再審法(刑事訴訟法の第4編再審)に審理の公開・非公開についての規定はないが、事実上、非公開とされている。元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審開始を認めた静岡地裁、東京高裁の審理も非公開だった。福島県いわき市で1967年に自動車販売会社の宿直員が殺害されて現金が奪われた「日産サニー事件」は、再審請求審で証人尋問が公開された極めてまれな例だ。判断に関わった西理元裁判官(78)が22日までに静岡新聞社の取材に応じ、法改正して請求審の公開を規定することは「非常に重要」と指摘した。 西さんは88~92年、福島地裁いわき支部で日産サニー事件の再審
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「上司がいじめ、暴行」損賠求め 静岡市職員が市を提訴
精神障害を発症したのは上司のいじめや暴行が原因として、静岡市の男性職員が市を相手取り、550万円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁に起こしたことが22日、関係者への取材で分かった。いじめ行為が始まる前と比べ「体重は24キロ減少した」と訴えている。 提訴は5月29日付。訴状によると、男性は2012年4月に静岡市に採用された。21年4月に新たな課に配属され、精神的なストレスから22年2月に2週間ほど休職した。同年11月、ストレス反応と診断された。 配属直後から、上司の係長から暴言を受け始めたと主張。同僚が許されている残業がなかなか認められず、業務の進み具合が遅れていたところ、22年1月に同僚の
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社説(6月23日)強制不妊報告書 国は真摯に救済拡充を
旧優生保護法下で障害者らに不妊手術が強制された問題で、衆参両院議長に国会の調査報告書が提出された。報告書は1400ページにも及び、国が別の手術と偽ることを許容し、都道府県に件数を増やすよう求めるなど、非人道的な国策がもたらした被害の理不尽さと深刻さが改めて浮き彫りになった。 ただ、報告書は国や国会などの責任の所在は明確にしていない。旧法施行から70年以上経過した2019年に被害者に一律320万円の一時金を支給する救済法が議員立法で成立、施行されたがとても被害に見合う額とは言えず、各地で国に損害賠償を求める訴訟が起こされている。 被害者は高齢化し、残された時間は限られている。国は旧法を19
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最高裁人事(23日)
東京高裁部総括判事(宇都宮地、家裁所長)手嶋あさみ▽宇都宮地、家裁所長(盛岡地、家裁所長)山田真紀▽盛岡地、家裁所長(福島家裁所長)浦野真美子▽福島家裁所長(東京地裁判事兼東京簡裁司法行政事務掌理者)森田浩美▽東京地裁判事兼東京簡裁司法行政事務掌理者(東京地裁部総括判事)大嶋洋志▽東京地裁部総括判事(東京家裁部総括判事)小池あゆみ▽東京家裁部総括判事(東京家裁判事)村主幸子▽東京家裁判事(東京高裁判事)鈴木千帆▽札幌家裁所長(札幌高裁部総括判事)大竹優子▽札幌高裁部総括判事(前橋地、家裁高崎支部長)斎藤清文▽前橋地、家裁高崎支部長(横浜家裁部総括判事)武藤真紀子▽横浜家裁部総括判事(横浜家、
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水産会社元役員を静岡地検が追起訴 焼津カツオ窃盗
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、静岡地検は22日、組織犯罪処罰法違反の罪で高知県の水産加工会社「大熊」元役員の男(68)=窃盗罪で起訴済み=を静岡地裁に追起訴し、法人としての同社も起訴した。 起訴状によると、同社と被告は2021年3月19日ごろ、窃盗で得た冷凍カツオ約36トン(約570万円相当)を正規の取引で購入したように装い、犯罪収益を隠匿したとされる。
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袴田さん弁護団「年内判決難しく」 3者協議10月まで日程追加
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判に向けた静岡地裁と静岡地検、弁護団による非公開の第3回3者協議が20日、地裁であり、10月末まで協議日程が追加された。終了後に記者会見した弁護団は「再審公判がいつになるのか」と懸念。目指してきた年内の判決は現時点では難しくなっているとの見方を示しつつ、早期の公判期日を指定するよう地裁に「積極的に求めていく」と強調した。 地裁は弁護団と地検に対し、7月10日までに冒頭陳述案を出すよう要請している。弁護団によると、検察官は席上、主張・立証の方針を書面で提出するとともに取り調べを請
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神社奉賛会員恐喝 男ら2~3年求刑 静岡地裁沼津支部公判
熱海市内の神社奉賛会会員から現金を脅し取ったとして、恐喝の罪に問われた指定暴力団稲川会系組幹部、無職の男(49)=神奈川県湯河原町土肥4丁目=、造園業の男(51)=熱海市紅葉ガ丘町=両被告の論告求刑裁判(室橋秀紀裁判官)が20日、静岡地裁沼津支部で開かれた。検察側は無職の男に懲役3年、造園業の男に懲役2年をそれぞれ求刑した。判決は7月6日。 検察側は、無職の男が中心となって実行し、造園業の男は指示役だったと指摘。「犯行は卑劣かつ悪質。被害額が相当に高額で、被害結果は重大」と述べた。弁護側はともに深く反省しているとして、無職の男に執行猶予付き判決、造園業の男に寛大な処分を求めた。 起訴状な
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旧優生保護法 「苦しい」思いは消えず 強制不妊で心身に傷、手術記録廃棄… 国会報告書公表
宮城の女性 両親の墓に「守って」 宮城県沿岸部の集落の小高い丘に墓地がある。旧優生保護法を巡る国会の調査報告書が公表された19日、20年以上前から国に謝罪や調査を求めてきた被害者飯塚淳子さん=仮名、70代=が訪れ、両親が眠る墓に「来たよ。守ってね」と語りかけた。不妊手術を強いられた心身の傷だけでなく、自身の資料の廃棄にも苦しんできた。 飯塚さんたちの活動が、国会調査につながった。だが両親も、何人かの仲間も、結果を見ることなく世を去った。報告書はじっくり読むつもりだが「長い間何もせず、私の手術記録も見つからないまま。苦しい」との思いは消えない。 7人きょうだいの長女。病弱な父、働きづめ
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社説(6月19日)同性婚訴訟 法制化議論 本格化急げ
同性婚を認めない現行法制の違憲性を問い、2019年から全国5地裁で争われてきた訴訟の一審判決が、8日の福岡地裁で出そろった。 5判決のうち、21年3月の札幌地裁と今年5月の名古屋地裁が「違憲」とし、22年11月の東京地裁と今回の福岡地裁が合憲としながらも「違憲状態」。はっきりと「合憲」としたのは22年6月の大阪地裁だけだった。損害賠償請求は全てで棄却された。 ただし、大阪判決も同性カップルには「望み通りに婚姻できない重大な影響が生じている」と認め、将来「違憲となる可能性」があると言及した。現行制度の不備を指摘して立法措置を促している点で司法の姿勢は一致する。 立法府はこの判断を重く受け
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事故偽装詐欺 4人目も有罪 地裁浜松支部
飲酒運転の絡む交通事故を自作自演し、同乗者から示談金をだまし取ったなどとして詐欺などの罪に問われた住所不定、無職の男(22)の判決公判で静岡地裁浜松支部は16日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(3年6月求刑)を言い渡した。同じ詐欺グループの判決は4人目。 高島由美子裁判官は判決理由で、被告が約2カ月の間に同種の犯行を繰り返したことを「常習性が高い」と指摘。仲介役や運転役を担ったことについて「必要不可欠な役割を果たしており、その責任は重い」と断じた。一方、被害弁償が済んでいることなどを考慮して保護観察付き執行猶予が相当とした。 判決などによると、仲間と共謀して2022年8月5日、同市中
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袋井強盗致傷 懲役7年判決 静岡地裁浜松支部
袋井市の知人男性宅に仲間を連れて侵入して暴行を加え、現金などを脅し取ったとして強盗致傷と住居侵入の罪に問われた指定暴力団稲川会系組員の無職の男(55)=神奈川県横須賀市=の裁判員裁判の判決公判で、静岡地裁浜松支部は15日、懲役7年(求刑懲役8年)を言い渡した。 大村泰平裁判長は判決理由で、仲間を集めて事件を首謀したほか、被害者のけがの程度や被害金額も重大として「責任は重い」と非難。金づちや粘着テープを持参した点から「家に侵入した時点で金品奪取の意思があった」と指摘し、暴行を加えた後に男性に貯金があると知り、初めて金品を奪おうと考えたとして強盗致傷罪は成立しないとする弁護側の主張を退けた。
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スルガ銀株式取得 差し止め求め提訴 セゾン株主
クレジットカード大手のクレディセゾンの男性株主が15日、水野克己社長ら代表取締役3人に資本業務提携に基づいてスルガ銀行の株式を取得しないよう差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こした。セゾン側の取得額が適正ではないとして、損害の生じる恐れがあると主張している。 スルガ銀株の同日終値は507円。訴状などによると、セゾンは1株当たり488円で取得する方針だが、スルガ銀の不正融資問題や金融庁による行政処分の影響を差し引くと、300円程度が適正評価としている。 原告の男性(39)=東京都=はスルガ銀による不正融資問題の被害者という。同被害者弁護団は「不正融資問題は未解決で、セゾン側の価額設定の判断
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誘拐の男起訴 少女を3カ月間自宅に 静岡地検浜松支部
静岡地検浜松支部は15日、10代の少女を未成年と知りながら誘拐し、3カ月間にわたって自宅に連れ込んだとして、未成年者誘拐の罪で愛知県東浦町石浜南ケ丘、会社員の男(41)を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴状によると、被告は2月25日午前8時ごろ、浜松市内の路上で少女と合流後、自らが運転する車に乗せて連れ去り、5月25日までの間、自宅に寝泊まりさせるなど自らの支配下に置いたとされる。 被告は、ツイッター上で「殺してくれる人募集」などと投稿していた少女に対して、少女の要望に応えるかのようなメッセージを送って誘い出し、少女には家出をするとの置き手紙を残すように指示するなど警察の捜査を逃れようと
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南伊豆で看板汚損 デザイナーを起訴 静岡地検下田支部
静岡地検下田支部は15日、南伊豆町が設置した看板を汚したとして、器物損壊の罪で同町のデザイナーの男(78)を静岡地裁下田支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は5月18日午前7時50分ごろから20日午後3時5分ごろまでの間、町内に設置された町管理の看板にスプレー式の塗料を吹き付けて汚損、損壊したとされる。看板は高さ約5メートルの三角柱で、町民憲章が記されていた。
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再審無罪判決「一日も早く」 袴田さん支援団体 静岡地裁に請願
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定後、裁判のやり直し(再審)が決まった元プロボクサー袴田巌さん(87)を支援する「無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会」(東京)は14日、一日も早く再審無罪判決を言い渡すよう求める請願書を静岡地裁に出した。 同会はこれまで袴田さんの再審開始を訴えてきた。今年3月に再審開始が確定したため、今回から再審無罪を求める請願書に切り替えた。提出署名は累計で15万522人分となった。 県庁で記者会見した門間幸枝副代表は「(再審開始は)遅すぎるが、(袴田さんが)生きていてくれたことがありがたい。これ以上延ばしたくない」とし、速やかな再審無罪を
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高齢ドライバー3人死傷事故 禁錮2年2月求刑 地裁富士支部
乗用車を運転して事故を起こし3人を死傷させたとして自動車運転処罰法違反(過失傷害と過失致死傷)の罪に問われた富士市の無職の男(85)の初公判が14日、地裁富士支部(西沢諒裁判官)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。検察側は禁錮2年2月を求刑した。 論告で検察側は、被害者に落ち度がない点を指摘した上で、1人が死亡した事故の結果を「本人や遺族の無念は計り知れず、極めて重大」とし厳罰を求めた。高齢者の事故が社会問題になっていることを踏まえ、一般予防の観点から処罰する重要性も強調した。 弁護側は、被告が「二度と車を運転しない」と述べていることや被害者への賠償金の支払いが完了している点を挙げ、適正な
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富士の39歳男、殺人罪で起訴 不起訴不当議決から一転 21年5月、自宅で男性殺害
2021年5月に富士市の自宅で男性を殺害したとして、静岡地検沼津支部は13日までに、殺人罪で同市の受刑者の男(39)=覚醒剤取締法違反と公務執行妨害の罪で服役中=を静岡地裁沼津支部に起訴した。地検沼津支部は22年1月に殺人容疑を不起訴処分としたが、沼津検察審査会が10月、「不起訴不当」と議決し再捜査していた。 茂木善樹支部長は「検察審査会の議決を真摯(しんし)に受け止めて、法に照らして責任能力が認められると判断した」と理由を明らかにした。起訴は12日付。 起訴状などによると、被告は21年5月22日午前1時5分ごろから午前5時50分ごろの間に、自宅で男性=当時(37)=の頭や顔、胸などを金
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生活保護減額訴訟 浜松など4市控訴 静岡地裁判決不服で
国が2013~15年に生活保護費の基準額を引き下げたのは生活保護法に違反するとして受給者6人が浜松、静岡、袋井、掛川の4市に減額処分の取り消しを求めた訴訟を巡り、4市は12日、減額処分を取り消した静岡地裁判決を不服として東京高裁に控訴した。 5月30日の静岡地裁判決は、厚生労働相の引き下げに関する判断過程には「過誤、欠落があると言わざるを得ず、裁量の逸脱・乱用がある」と指摘し、生活保護法違反を認定していた。
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記者コラム「清流」 裁判官のフォロー光る
裁判員裁判では、裁判員から被告人や証人に質問する機会がある。とはいえ裁判になじみのない市民にとって、法廷の一番高い場所から発言するのは勇気がいるだろう。積極的な質疑と応答を繰り返す裁判員は少ない印象を持つ。 静岡地裁浜松支部で開かれた裁判員裁判で、裁判員の質問に対する証人の回答がかみ合わない場面があった。裁判員はどうしようか悩んでいる様子だったが、そのまま質問を終えた。裁判官が言葉を変えて尋ね直すことで別の回答を引き出すと、その裁判員は満足そうにうなずいた。 質問の意図を正確に伝えたり、求めている回答を引き出したりするのには技術や経験が必要だ。市民感覚を司法判断に生かす裁判員裁判の目的に
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スルガ銀元取締役 退職金求め提訴 静岡地裁
スルガ銀行のシェアハウスなど投資用不動産への不正融資問題で引責辞任した米山明広元社長ら元取締役4人が、同行に退職金計約9660万円の支払いを求める訴えを静岡地裁に起こしたことが9日分かった。 提訴は4月28日付。4人は2018年9月7日に取締役を退任している。同行は不正融資問題を巡って、4人を含めた旧経営陣に損害賠償を求める訴えを起こし、静岡地裁で係争中。 訴状で原告側は、退職金に関して同行側が、責任追及訴訟で訴えが認められた場合に賠償請求額から退職金相当額を控除することを条件として掲げ、退職金の請求権を放棄するよう求めてきた、としている。その上で、同行側の要求について「(責任追及訴訟で
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袋井の強盗致傷 懲役8年を求刑 地裁浜松支部公判
袋井市の知人男性宅に仲間を連れて侵入して暴行を加え、現金などを脅し取ったとして強盗致傷と住居侵入の罪に問われた指定暴力団稲川会系組員の無職の男(55)=神奈川県横須賀市=の裁判員裁判論告求刑公判が8日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)で開かれ、検察は懲役8年を求刑した。 検察側は論告で、男性の逃亡を防ぐために金づちや粘着テープを持参したり、見張り役を用意したりしたことから「事前に強盗の意思があったことは明白」と強調。けがの程度や被害金額も重大で「悪質性は相当に高い」と指摘した。 弁護側は、被告が男性宅を訪れた後、男性から金銭による解決を提案されたことなどを受け、初めて金品を奪おうと考え
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横領で元課長実刑 地裁富士支部判決
富士市の食品用素材製造業「日本食品化工」で会社の資金を着服したとして、業務上横領の罪に問われた岡山県倉敷市、同社の元財務課長の男(52)の判決公判で静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)は7日、懲役5年(求刑懲役7年)を言い渡した。 西沢裁判官は判決理由で、長期間多数回にわたり金銭を着服していることを踏まえ「常習的かつ巧妙で、会社との委託信任関係を大きく害する悪質なもの」と指摘した。被害額の大きさや、ギャンブルの遊興費などを目的とした動機についても非難した。 判決によると、被告は2020年8月3日から21年12月29日までと、22年1月11日から同8月15日までの間、同社名義の口座から現金を引
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再審法改正へ国会議員も意欲 日弁連院内集会 袴田さん姉出席
日本弁護士連合会(小林元治会長)は6日、再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求め、都内の衆議院第二議員会館で集会を開いた。与野党の国会議員30人が集まり、参加議員を含む89人が法改正への賛同メッセージを寄せた。小林会長は取材に「国の政策にきちんと反映させなければいけない、との大きな合意ができつつある」と述べ、議員や関係者への働き掛けを続けていく考えを示した。 集会には、再審開始が確定した袴田巌さん(87)の姉ひで子さん(90)も出席した。弁護団の戸舘圭之弁護士は「もし再審開始決定に対する検察官の上訴が禁止されていれば、9年前に再審が開始され、再審公判で無罪になっていた」と指摘し、法の不備
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西伊豆町の船会社 組合脱退拒否で配置転換は違法 地裁沼津支部判決
西伊豆町の船会社「堂ケ島マリン」が労働組合員の男性船長に対し、再雇用の際に組合から脱退しなかったのを理由に陸上勤務に配置転換したのは違法だとして、船長と商船などの船員らによる全日本海員組合が同社に配置転換無効の確認などを求めた訴訟で、静岡地裁沼津支部(古閑美津恵裁判長)は6日までに、配置転換を無効とし、船長に2020年8月以降の差額の賃金のほか慰謝料などとして33万円の損害賠償を命じる判決を言い渡した。判決は5月31日付。 判決などによると、同社は2020年5月、コロナ禍を理由に船長を含む組合員13人の雇用契約を解除した。その後、船長ら一部組合員に再雇用を打診した上で組合からの脱退を要求。
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袴田ひで子さん「諦めたらおしまい」 「大崎事件」を巡り心境
「大崎事件」を巡り、福岡高裁宮崎支部が5日、原口アヤ子さん(95)の再審開始を認めない決定をしたことを受け、3月に再審開始が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の姉ひで子さん(90)が浜松市中区の自宅前で報道陣の取材に応じ「残念な決定ではあるけれど、諦めたらそこでおしまい。元気を出して頑張っていってもらうしかない」と受け止めを語った。 原口さんとは15年ほど前に初めて会い、支援集会に駆けつけるなどして交流してきた。入院先の病院を訪ねて見舞い、激励の動画を届けてきた。一報を受け、すぐに原口さんや支援者を励ますビデオメッセージを送ったという。ひで子さんは「巌だけが助かればいいとは思っていな
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16歳キャバクラで働かせ罰金50万円 沼津簡裁
沼津区検は5日までに、16歳の少女を三島市のキャバクラで働かせたとして、風営法違反の罪で店の男性経営者(30)=沼津市=と男性店長(27)=三島市=を略式起訴した。沼津簡裁は2日付でそれぞれ罰金50万円の略式命令を出した。 略式命令などによると、2人は2月17日から4月27日までの間に、共謀して16歳の少女4人をホステスとして雇い、不特定の客に酒の提供などの接待をさせたとされる。 2人とともに逮捕、送検された男性会社員(21)=清水町=は不起訴処分とした。地検沼津支部は理由を明らかにしていない。
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富士宮盛り土事件 罰金100万円を求刑 地裁支部初公判
富士宮市の山林に無許可で盛り土を造成したとされる事件で、県盛り土規制条例違反の罪に問われた富士市の残土処分会社「Kプランニング」の初公判が5日、静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)で開かれ、検察側は罰金100万円を求刑した。 検察側は冒頭陳述で、同社役員の男性=当時(55)=が2018年4月ごろから約1年間にわたって盛り土をし、市から中止命令を受けた富士宮市内の土地に、昨年6月ごろから同7月ごろまでの間、さらに土砂を搬入して約1877立方メートル造成したとし、県や市の行政指導を受けても盛り土を継続したと指摘した。昨年5月には、過去に搬入した土砂が市の管理する土地に流出したことから、近隣住民に与
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模擬裁判員裁判を体験 静岡地裁 司法へ理解深める
静岡地方裁判所はこのほど、裁判員制度をテーマにした一般向けの体験イベントを静岡市葵区の地裁本庁で開いた。16人が参加し、模擬裁判の体験などを通じて裁判員裁判の流れや法曹の仕事について理解を深めた。 模擬裁判はコンビニで現金を奪い、店員にけがを負わせて逃走した強盗致傷事件を想定。自宅近くのごみ捨て場から犯行に使われたとみられるフード付きジャンパーや包丁が見つかり、逮捕された男子大学生の被告役を職員が演じた。参加者はグループに分かれて裁判官や裁判員、検察官、弁護士、証人を務めた。 被告が起訴内容を否認する中、被告人質問で、弁護士役はアリバイの証明や第三者が被告宅の包丁を持ち出した可能性を繰り
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東伊豆 旧旅館など特別清算開始決定 負債総額14億円
信用調査会社の東京商工リサーチ静岡支店によると、東伊豆町の温泉旅館「熱川大和館」と同社資産管理会社「海南荘」の2社が1日までに、静岡地裁下田支部から特別清算開始決定を受けた。2社の負債総額は約14億円。 会社分割で設立した同館と同名の会社が運営を継承したため、同館の営業は現在も継続している。 同館は1980年代には年間売上高約16億円を上げていたが、旅館改修での債務増や新型コロナウイルス禍の客数減などで収益が悪化。2022年12月から事業を停止していた。
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函南の無許可盛り土 被告代表が認否留保 地裁沼津支部
函南町丹那の山中に無許可で大規模な盛り土が造成された事件で、町条例違反の罪に問われた清水町のソーラー設営会社「ソーラーセキュリティ」と同社代表(53)=沼津市下香貫=の初公判が1日、静岡地裁沼津支部で開かれた。被告は起訴事実の認否を留保し、閉廷した。 起訴状などによると、被告は2021年8~10月、函南町長の許可を受けずに、事業として同町丹那の千平方メートルの土地に土砂を埋め立てたなどとされる。 被告の代理人弁護士は、起訴状に一部不明確な部分があるとして釈明を求めた。取材に対し「起訴状の千平方メートルの土地がどこを指すのか不明瞭」と説明した。次回公判までに争点を整理するという。
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袋井強盗致傷主導 被告が一部否認 地裁浜松支部初公判
袋井市の知人男性宅に仲間を連れて侵入して暴行を加え、現金などを脅し取ったとして強盗致傷と住居侵入の罪に問われた指定暴力団稲川会系組員の無職の男(55)=神奈川県横須賀市=の裁判員裁判初公判が31日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)で開かれた。被告は「最初は金品を盗むつもりはなかった」と計画性を含め起訴内容を一部否認した。 検察は冒頭陳述で、被告は男性が被告の会社の金を着服したと考え、仲間2人を連れて主導的に犯行に及んだと説明。金づちや粘着テープを持参していたことなどから、「現金を奪う意思があった」と指摘した。弁護側は、被告が金品を奪おうと思ったのは暴行の後だとして、強盗致傷罪は成立しない
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連続不審火で男起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は31日、器物損壊と非現住建造物等放火の罪で函南町平井、庭師の男(23)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は3月9日夜、三島市の民家の駐車場で乗用車のナンバープレートを壊した後、同町の園芸店にあった植木など232点を焼損させ、町内の男性の敷地にある物置に火を付けたとされる。
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生活保護減額「違法」 県内4市処分取り消し 静岡地裁判決
国が2013~15年に生活保護費の基準額を引き下げたのは生活保護法に違反するとして、受給者6人が浜松、静岡、袋井、掛川の4市に減額処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、静岡地裁は30日、減額処分を取り消した。菊池絵理裁判長は、厚生労働相の引き下げに関する判断過程には「過誤、欠落があると言わざるを得ず、裁量の逸脱・乱用がある」と指摘し、生活保護法違反を認定した。 同種の訴えは29都道府県で起こされ、地裁段階の判決は21件目。原告側の勝訴判決は11件目となった。 国は、物価下落を理由に13年から3年間で基準額を平均6・5%引き下げ、計約670億円を削減した。 静岡地裁判決は、物価動向を考慮し
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再審冒頭陳述案、7月提出要請 静岡地裁、袴田さん弁護団と地検に 出頭免除応じる考え
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地裁と弁護団、静岡地検による非公開の3者協議が29日、地裁で開かれた。国井恒志裁判長は、冒頭陳述案を7月10日までに提出するよう弁護団と地検の双方に求めるとともに、現時点では袴田さんを公判に強制的に出頭させる考えはないと述べた。協議終了後、弁護団が記者会見して明らかにした。 再審公判に向けた3者協議は2回目。4月の第1回協議で検察側は、立証方針を決めるのに「3カ月かかる」と主張している。この日の協議で国井裁判長は冒頭陳述案の提出と同時に、立証に必要な証拠の取り調べを地裁に対して請求
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焼津カツオ盗 運送業社長、起訴内容認める 静岡地裁公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた市内運送会社の社長(62)の第2回公判が29日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、社長は起訴内容を認めた。初公判で弁護人は検察側から直前に証拠が追加開示され、検討が終わっていないと認否を留保していた。 検察側は冒頭陳述で、社長が焼津市の水産加工会社の元役員(45)の指示で、カツオを未計量のまま持ち出して冷蔵庫に運搬するなどして窃取していたと説明。未計量のカツオの運搬費についてはルートに応じて、1キロ当たり1・3~3円の支払いを水産加工会社などから受けていたとした。 起訴状によると、社長は水産加工会社の元役員らと共謀の上
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土石流被災住宅で窃盗、専門学生の男起訴 静岡地検沼津支部
静岡地検沼津支部は29日、熱海市伊豆山の土石流災害で被災した男性宅に侵入し清涼飲料水を盗んだとして住居侵入と窃盗の罪で静岡市清水区、専門学生の男(26)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、男は2021年8月4日午後6時55分ごろから5日午前7時40分ごろまでの間、熱海市伊豆山の男性宅で清涼飲料水(100円相当)のほか、男性の家族の下着など26点(計約1万3800円)を盗んだとされる。
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3000万円詐取の罪で会社役員を起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は29日、事業者にうその投資話を持ちかけて金をだまし取ったとして詐欺の罪で東京都八王子市の会社役員(76)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は2016年5月5日ごろから25日ごろまでの間、富士宮市内に残土処分場を開発するという架空の事業への投資話を事業者に持ちかけ、1千万円を入金させたとされる。7月上旬ごろには、手付金が不足しているとしてさらに2千万円を振り込ませたとされる。
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原発耐震基準 元裁判長「低い」 静岡で講演
2014年に関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働差し止めを命じる判決を出した元福井地裁裁判長の樋口英明さんが27日、静岡市内で講演し、全国の原発について「耐震設計の基準は極めて低く、稼働すべきでない」と述べた。 樋口さんは、16年の熊本地震など過去の地震では地表で最大加速度1千ガル超の揺れが観測されている一方、国内の多くの原発の基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)は1千ガルに満たないと指摘。「推進派は、原発は地表よりはるかに揺れが小さい岩盤の上に建てられているなどと主張するが、地震で地表よりも岩盤の揺れが必ず小さくなるという法則性はない。逆になることもあり得る」と語った。 原発
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事故偽装詐欺 3人目も有罪 地裁浜松支部
飲酒運転が絡む交通事故を自作自演し、同乗者から示談金をだまし取ったとして詐欺の罪に問われた浜松市浜北区、建設業の男(30)の判決公判で静岡地裁浜松支部は26日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役3年6月)を言い渡した。同じ詐欺グループの判決は3人目。 高島由美子裁判官は判決理由で、仲介役や歩行者役だった男は「詐取金から相当額の分け前を得ていた。非難に値する」と指摘した。一方、被害弁償が済んでいることなどを考慮して保護観察付き執行猶予が相当とした。 判決によると、男は仲間と共謀して2022年8月5日夜、同市中区の市道で、乗用車と歩行者の衝突事故を計画的に起こし、同乗の女性=当時(
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的確な訴訟指揮を要請 袴田さん弁護団、静岡地裁に意見書、出頭の免除も
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判の進め方を巡り、弁護団は25日、新たな意見書を静岡地裁(国井恒志裁判長)に提出した。静岡地検に速やかに立証方針を明らかにさせるための訴訟指揮と、袴田さんの公判への出頭免除を地裁に求めた。29日の次回3者協議で議論する。 弁護団は意見書で、前回の協議で検察官が立証方針の決定に3カ月かかるとしたことについて「裁判長は説明を検察官に求めることもなく、当然であるかのような対応をした」と抗議。迅速な裁判を受ける権利を無視していると批判し、的確な訴訟指揮を促した。また、袴田さんの公判出頭義務を免除すること
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沼津のごみ処理施設計画差し止め訴訟 市「請求却下を」 地裁初弁論
沼津市のごみの新中間処理施設整備計画を巡る事業費は覚書に反する違法な公金支出だとして、市民59人が市を相手に2022年度の事業費1億300万円の支出差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が25日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)であった。市側は、事業費は執行済みで訴訟要件を欠いているとして、請求の却下を求める答弁書を提出した。 原告側は終了後の説明会で、市側の主張を受けて訴えを変更し、頼重秀一市長に損害賠償を請求するよう求めていく考えを示した。 訴状などによると、沼津市は1976年から同市上香貫のごみ焼却施設を稼働している。施設建設に際して当時の市長は74年、隣接する清水町外原地域の区長らとの間
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奉賛会員への恐喝 2被告とも認める 地裁沼津支部初公判
熱海市内の神社奉賛会の会員から現金を脅し取ったとして、恐喝の罪に問われた指定暴力団稲川会系組幹部、無職の男(49)=神奈川県湯河原町土肥4丁目=と造園業の男(51)=熱海市紅葉ガ丘町=の両被告の初公判が24日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、いずれも起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述で「『トラブルを仲介したのに正月にお礼のあいさつがない』などと、神社奉賛会会員の40代男性3人に因縁をつけた」と経緯を述べた。起訴状などによると、両被告は1月中旬、この3人を脅迫し現金80万円を脅し取ったとされる。
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放課後デイ詐欺罪 検察懲役3年求刑 地裁浜松支部公判
浜松市の放課後等デイサービス施設の運営に関する給付金をだまし取ったとして、詐欺罪に問われたNPO法人アンヘレス理事長の女(65)=同市中区=の論告求刑公判が24日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれ、検察側は懲役3年を求刑した。 検察側は論告で、不正受給と認識しながら繰り返し受け取り、被害は高額に上るとして「理事長としての規範意識が希薄」と非難した。弁護側は、法人の資金繰りが苦しく、自分の貯金を経営資金に充てたことなどから「自らの利益のためではなかった」と主張し、執行猶予付き判決を求めた。 弁護人は、同法人の破産に向けた手続きが進んでいることも明らかにした。施設運営は、既に別の
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強制わいせつ致傷 男に猶予付き判決 地裁浜松支部
浜松市内の路上で女性にわいせつな行為をした上、けがを負わせたとして強制わいせつ致傷の罪に問われた同市南区、無職の男(26)の裁判員裁判の判決公判で静岡地裁浜松支部は23日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役3年)を言い渡した。 大村泰平裁判長は判決理由で、女性が「死ぬかもしれない」と強い恐怖を感じるほどの力で暴行を加えたことを「危険で悪質」と非難。事件前後はアルコールの影響で理性が弱っていたとした弁護側の主張も「判断力はあった。飲酒の影響を考慮すべきではない」と退けた。一方、断酒の治療を受けていることなどを踏まえて執行猶予付きの判決が妥当とした。 判決によると、被告は2022年
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「再審請求 死ぬまで」 旧天竜林高事件 簡裁棄却で元市長【刑事司法と再審】
旧天竜林業高(浜松市天竜区)で起きた大学推薦入試の調査書改ざん・贈収賄事件で、無実を訴えて再審請求している元天竜市長(90)の支援者らが22日、浜松簡裁の8日の請求棄却決定を受けた報告会を市内で開いた。支援者らによると、家族を通じて結果を報告した際、元天竜市長は「死ぬまで再審請求を続ける。徹底的にやる」などと語ったという。 元天竜市長は体調が優れず市内の医療施設に入院していて、家族などを除いて面会が難しい状況。同簡裁の棄却決定と、東京高裁に即時抗告したことを家族が伝えると、再審請求への強い意欲を示した。 報告会に出席した請求人弁護人の杉尾健太郎弁護士は「校長室で現金授受があったとされる日
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除斥期間の適用 原告側「制限を」 浜松・強制不妊訴訟
旧優生保護法下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、浜松市の視覚障害者の武藤千重子さん(74)が国に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が22日、静岡地裁浜松支部で開かれた。原告側は同法を巡る訴訟で、国に賠償を命じた熊本地裁や静岡地裁の判決を踏まえ、損害賠償の請求権が消滅する「除斥期間」について「適用が制限されるべきだ」と主張する準備書面を提出した。 弁護側は口頭弁論後、浜松市内で報告会を開き、両地裁の判決が、被害者が損害賠償請求をすることが長期にわたって事実上不可能だったと指摘した点などを挙げ、「武藤さんについても同様の事情が当てはまる」と強調した。次回期日で本人尋問に臨む予定の武藤さん
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袴田さん、元裁判長と初対面 14年に再審開始や拘置執行停止決定 姉感謝「命助けてくれた」
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直しが認められた元プロボクサー袴田巌さん(87)が19日、静岡地裁の裁判長として袴田さんの再審開始と死刑・拘置の執行停止を決めた村山浩昭さん(66)と都内の集会会場で初めて対面した。袴田さんの姉ひで子さん(90)は「命を助けてくれたようなもの。ありがとう」と村山さんに直接感謝を伝えた。 村山さんは2014年、袴田さんの再審開始と死刑の執行停止に加えて「耐えがたいほど正義に反する」として拘置の執行停止も決め、袴田さんは約48年ぶりに釈放された。13年には手続きの一環で意見を聴くため収監先の東京拘置所に出向いたが、
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袴田さん出廷免除求める 弁護団、静岡地裁に診断書を提出
静岡地裁で今後始まる袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、袴田さんの出廷免除を求めている弁護団は19日までに、拘禁反応で袴田さんには訴訟能力が認められないとする精神科医の診断書を地裁に提出した。同日、都内で弁護団の会議があり、終了後に小川秀世事務局長が明らかにした。29日の次回3者協議までに、出廷を強制しないよう訴える意見書も出す方針。 診断書は15日付。袴田さんが東京拘置所に収監されているころから関わりのある精神科医が4月に面談して作成した。長期拘禁により、袴田さんは「公判で意味のある対応をすることが不可能」とし、心神喪失の状態にあると判断。その上で、出廷を強制した場合は「身体的精神的不調
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隣人切りつける 傷害で男を起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は19日、隣人の男性を刃物で刺して殺害しようとしたとして殺人未遂の疑いで逮捕、送検されたブラジル国籍、磐田市国府台、無職の男(40)を傷害の罪に切り替えて静岡地裁浜松支部に起訴した。地検支部は理由を明らかにしていない。 起訴状などによると、被告は4月29日午前11時半ごろ、同市国府台のアパートで、隣の部屋に住む無職男性=当時(29)=の左脇腹を包丁で切りつけ、約10日間のけがを負わせたとされる。
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再審法改正、賛同求める 川勝知事と静岡市長を訪問へ 静岡県弁護士会
裁判のやり直しを求める再審請求に関する規定が乏しく、無実を訴える人の救済につながっていないと指摘される再審法(刑事訴訟法の第4編再審)を巡り、県弁護士会の杉田直樹会長らが今月中にも川勝平太知事と難波喬司静岡市長を訪ね、法改正への理解を求める方針であることが18日までの関係者への取材で分かった。日本弁護士連合会が始めた要請活動の一環。 日弁連は2月、再審請求審での証拠開示の法制化や再審開始決定に対する検察官の不服申し立てを禁止することなどを盛り込んだ再審法の改正案を公表した。今月12日には理事らが与野党の国会議員や秘書200人以上と面会し、法改正の必要性を説明している。 国会を後押しするた
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裁判員制度テーマ 31日にイベント 静岡地裁
静岡地方裁判所は31日午後1時半から同4時10分まで、裁判員制度をテーマにしたイベントを静岡市葵区の地裁本庁で開く。 模擬裁判のほか、裁判員裁判にまつわるクイズ、法廷見学や法曹三者(裁判官と検察官、弁護士)への質問コーナーを予定する。 定員60人(先着順)。申し込み、問い合わせは静岡地裁広報係<電054(251)6241>へ。
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露店を不正出店 主犯の男に有罪判決 地裁沼津支部
静岡県東部の祭り会場で露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪と覚醒剤取締法違反に問われた裾野市深良、元暴力団員の無職の男(66)に対し、静岡地裁沼津支部は17日、懲役2年6月、執行猶予5年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。 室橋秀紀裁判官は判決理由で、一定の計画性と相応の売上額を指摘。「主犯であることは明らか。売り上げによる利得目当てという身勝手な動機に酌量の余地もない」と断じた。一方、反省の弁を述べ、所属していた暴力団からも除籍されたことなどを考慮し、執行猶予が相当とした。 判決によると被告は昨年6~11月、妻(52)=詐欺罪で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決=などと共謀して、暴力団員
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強制わいせつ致傷 男に懲役3年求刑 地裁浜松支部公判
浜松市内の路上で女性にわいせつな行為をした上、けがを負わせたとして強制わいせつ致傷の罪に問われた同市南区、無職の男(26)の裁判員裁判の論告求刑公判が17日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)で開かれ、検察側は懲役3年を求刑した。 被告は当時飲酒していて、判断力の有無などが争点。検察側は被告の事件前後の言動などから、「飲酒の影響はなかった。酒のせいにして責任軽減を図るなど反省も不十分」と非難した。弁護側は「酒に酔って理性が弱り、衝動的な行動に陥りやすい状態だった」と主張。アルコールを断つ治療も受けていることなどから執行猶予付き判決を求めた。 起訴状によると、被告は2022年9月27日午前
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保育士に罰金20万円 裾野・園児虐待 沼津簡裁が略式命令
裾野市の私立さくら保育園で園児の両足を持って宙づりにするなどの虐待をしたとして、暴行の罪で略式起訴された同市の女性保育士(38)が、17日までに沼津簡裁から罰金20万円の略式命令を受けていたことが分かった。命令は8日付。罰金の納付は17日時点で確認されていないという。 同園で昨年12月、1歳児クラスを担当していた30代の女性保育士3人(既に全員退職)が、園児を虐待したとして暴行容疑で逮捕、送検された後、処分保留で釈放されていた。静岡地検沼津支部は逮捕容疑について今年4月、全員を不起訴処分とした。このうち、釈放後の在宅捜査で確認した別の2件の暴行罪で、女性保育士は略式起訴されていた。 起訴
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無実の人救済、より実効性を 京都・龍谷大が研究センター新設 学者と弁護士協働「あるべき再審法」提示目指す
龍谷大(京都市)に2023年度、刑事司法・誤判救済研究センターが新設された。再審法(刑事訴訟法の再審規定)の不備によって無実の人の救済が遅れているとの指摘がある中、弁護士と協働し、実効性のある仕組みの構築を目指す。センター長に就いた斎藤司法学部教授(刑訴法)は「持続可能な刑事司法と再審制度を支える基盤を整え、実務と研究の担い手も育てていきたい」と話している。 研究員21人の過半数は刑事弁護にたけた弁護士だ。「もっと普通に、もっと安定的に誤判救済ができるようにしたいと考えたとき、実務家の努力がなければ机上の空論になりかねない」と斎藤教授。その上で「実務の蓄積を共有すると同時に、理論的観点の検
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自宅アパートに放火の罪で男起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は16日、現住建造物等放火の罪で住所不定、配膳人の男(34)を静岡地裁沼津支部に起訴した。裁判員裁判の対象。 起訴状などによると、被告は4月26日午前3時ごろ、当時住んでいた沼津市内のアパートで、封筒にライターで火をつけてアパートを全焼させたとされる。
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強制わいせつ致傷 被告の男が認める 静岡地裁浜松支部初公判
浜松市内の路上で女性にわいせつな行為をした上、けがを負わせたとして強制わいせつ致傷の罪に問われた同市南区の無職の被告(26)の裁判員裁判の初公判が16日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。弁護側は「酒に酔っていて、判断力や理性が弱っている状態だった」と主張した。 検察は冒頭陳述などで、被告は事件の前に社交飲食店などでウイスキーの水割りなどを飲み、別の女性グループの後を付ける行為を繰り返していたと説明。飲食店員の証言や防犯カメラの映像などから、話し方や足元もしっかりしていたとし、「飲酒の影響は限定的だった」と指摘した。弁護側は専門家の鑑定結果などを基に、アル
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住居侵入や恐喝 富士の男を起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は12日、強盗致傷、住居侵入、恐喝の疑いで逮捕、送検された富士市厚原の男(36)を、住居侵入、恐喝、傷害の罪で静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は2022年5月6日から7日にかけて、同市内の男性宅に侵入し、現金8千円を脅し取ったとされる。同13日にも、再び男性宅に侵入して現金3千円を脅し取った上、男性をモーターレンチのようなもので複数回殴り、全治1週間のけがを負わせたとされる。
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旧天竜林業高事件 元市長の再審請求棄却 浜松簡裁 弁護側、高裁に即時抗告
旧天竜林業高(浜松市天竜区)で起きた大学推薦入試の調査書改ざん・贈収賄事件をめぐり、贈賄罪で罰金の略式命令を受けた元天竜市長(90)の再審請求審で、浜松簡裁が請求を棄却していたことが12日、関係者への取材で分かった。弁護側は棄却を不服とし、東京高裁に即時抗告した。 関係者によると棄却は8日付、即時抗告は11日付。審理は同簡裁の大村泰平裁判官が担当した。 弁護側は、元天竜市長が厳しい取り調べにより虚偽の自白に追い込まれたと主張し、県警の取り調べメモや供述心理学の専門家の鑑定意見書などを提出した。同メモの記述から、2回目の現金授受があったとされる日に、舞台となった同校の校長室にいるのは物理的
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事故偽装で詐欺 男に有罪判決 地裁浜松支部
飲酒運転の絡む交通事故を自作自演し、同乗の女性から示談金をだまし取ったとして、詐欺の罪に問われた磐田市の建設業の男(34)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は10日、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。同じ詐欺グループの判決は2人目。 高島由美子裁判官は判決理由で、歩行者役だった被告は「必要不可欠な役割を果たした」と指摘し、「分け前をほとんど得ていなかったとしても相当の非難に値する」と断じた。一方、被害者との示談が済んでいることなどを考慮して執行猶予が相当とした。 判決によると、被告は仲間と共謀して2022年8月5日夜、浜松市中区の市道で、乗用車と歩行者の衝突事故を計
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証拠の整理方法検討 袴田さん弁護団、静岡地裁、地検
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)が認められた元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判に向け、静岡地裁(国井恒志裁判長)と弁護団、静岡地検は10日、地裁で非公式の打ち合わせをした。弁護団によると、証拠番号の振り方をはじめ証拠の整理方法などを話し合ったという。 地裁は4月の第1回3者協議で、確定審の証拠を厳選するよう弁護団と地検に求めた。弁護団は打ち合わせに先立ち、意見書を地裁に提出。「確定記録の全ての証拠を取り調べるべき」として厳選には同意できないとした上で、全てを取り調べる場合でも「効率的な審理は可能」と訴えた
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再審無罪願って逝く 袴田さん支援の須藤春子さん 二俣事件冤罪、亡き夫重ね 「本当の笑顔見たい」あと一歩で
現在の浜松市天竜区二俣町で1950年に一家4人が殺害された「二俣事件」で、一・二審で死刑判決を受けたものの差し戻しを経て無罪に至った須藤満雄さん(2008年に死去)の妻春子さんが4日、老衰のため85歳で亡くなった。夫と同じ境遇の元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審無罪を願い続けた一人。「一日も早く、巌さんの本当の笑顔が見たいの。無罪になるまで絶対に死なない」。そう誓ってきたが、あと一歩のところで旅立った。 静岡地裁は14年3月、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田さんの再審開始を認め、釈放した。直後、春子さんは「袴田さんはうちの主人と同じようにつらい思いをしたと思う。苦労しただろう
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全ての確定審証拠 地裁に調査要請へ 弁護団、10日意見書提出
元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判に向け、弁護団は10日、確定審の全ての証拠を取り調べるよう求める意見書を静岡地裁(国井恒志裁判長)に提出する。地裁は証拠の厳選を打診していたが、弁護団は「同意できない」として反対する。 弁護団は9日に会議を開き、今後の対応などを話し合った。終了後、角替清美弁護士が報道陣の取材に応じた。検察が主張・立証の方針を明らかにしない中、速やかに方針を決めるよう地裁の訴訟指揮を求める意見書も追って提出する。 地裁は4月、再審公判に向けた弁護団と静岡地検との第1回協議で、確定審の証拠を厳選するよう弁護団と地検に検討を促した。 弁護団は再審公判で、袴田さんの犯
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社説(5月3日)憲法記念日 幸福度の追求を論点に
憲法施行から76年目の「憲法記念日」を迎えた。祝日法には「憲法の施行を記念し、国の成長を期する」と趣旨が記されている。国の成長とは経済的に豊かになることだけではない。国民の幸福を追求する権利を尊重する憲法の理念を踏まえれば、国民一人一人の幸福度が増す国になることと言ってもいいだろう。 昨年来、衆参両院の憲法審査会で憲法9条への自衛隊明記、緊急事態条項の創設など改憲議論が本格化しているが、幸福追求の権利に関わる「環境権」「プライバシー権」など「新しい人権」の明記は、自民党の改憲案の柱に据えられていない。改憲に反対、慎重な政党は新しい人権の創設が改憲の突破口になることを警戒する。どこか置き去り
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再審法 憲法に照らし検証を 静岡大・笹沼教授 袴田事件踏まえ「捜査機関は全証拠、裁判所に」
3日は憲法記念日。現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判のやり直し(再審)が決まるまでに長い年月がかかったことを巡り、現在の再審法(刑事訴訟法の第4編再審)は憲法上の要請を実現できていないとの指摘が聞かれる。不利益再審を廃止した以外は戦前の旧刑訴法の規定を引き継ぎ、一度も改正されていない再審法について、静岡大の笹沼弘志教授(憲法学)は「憲法に適合しているかどうかを全面的に検証すべき」と話している。 袴田さんは80年に死刑が確定し、翌81年に再審を請求した。第2次再審請求審で静岡地裁は2014年、再審開始と死刑・拘置の執行停止を認めて袴
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長泉の中学教諭 過失傷害で起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は28日、自動車運転処罰法違反(過失傷害)の罪で長泉町中土狩、中学教諭の女(48)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は昨年12月20日午後4時40分ごろ、三島市内で乗用車を運転中、横断歩道を歩行中の男性=当時(82)=に衝突しけがを負わせたとされる。
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露店不正出店主犯 懲役2年6月求刑 静岡地裁沼津支部公判
静岡県東部の祭り会場で露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪と覚醒剤取締法違反に問われた指定暴力団山口組藤友会元組員の無職の男(66)の論告求刑公判が静岡地裁沼津支部で開かれ、検察側は懲役2年6カ月を求刑した。判決は5月17日。 検察は被告が主犯格で、売上金のうち必要経費や共謀した妻(52)=詐欺罪で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決=らへの謝礼を除く金額を自身の借金返済などに充てていたことから、「利欲目的であったことは明らか」などと指摘した。弁護側は「コロナ禍で困窮していた」などと情状酌量を求めた。 起訴状などによると被告は昨年6~11月、暴力団員が実質経営する露店であることを隠して沼津
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車で3人死傷 運転者在宅起訴 静岡地検富士支部
静岡地検富士支部は27日、自動車運転処罰法違反(過失傷害と過失致死傷)の罪で、富士市の無職の男(85)を静岡地裁富士支部に在宅起訴した。 起訴状などによると、被告は昨年9月3日午後5時35分ごろ、同市内の道路で普通乗用車を運転し、別の車に衝突した。続けてブレーキとアクセルを間違えて踏み、同じ車にさらに衝突して、運転者の腰にけがを負わせた。その後、交差点角の歩道にいた男女2人に衝突し、男性を死亡させ女性に足の打撲などのけがを負わせたとされる。
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2人に有罪判決 露店出店権不正取得 静岡地裁沼津支部
静岡県東部の祭りで露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた指定暴力団山口組藤友会組員の無職の男(77)=事件当時富士市中里=と露天商の女(55)=同=両被告の判決公判で、静岡地裁沼津支部は27日、男に懲役2年、執行猶予5年、女に懲役2年、執行猶予4年(それぞれ求刑懲役2年)を言い渡した。 明日利佳裁判官は、「売上金を生活費や所属する暴力団への上納金に充てるための利欲的で悪質な犯行で、両名の刑事責任は重い」とした。一方、2人とも罪を認めている点などを理由に執行猶予を付けた。 判決によると、両被告は昨年6~11月、富士宮市の富士山本宮浅間大社秋の例祭など三つの祭りで共謀し、暴力団関係
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露天風呂 常習的盗撮事件 主導の男に3年求刑 静岡地裁公判
露天風呂に入っていた女性を狙った常習的な盗撮事件で、兵庫県迷惑防止条例違反などの罪に問われた茨城県行方市、無職の男(50)の論告求刑公判が26日、静岡地裁(谷田部峻裁判官)で開かれ、検察側は懲役3年を求刑した。 論告で検察側は一連の盗撮を「強い計画性と犯意に基づく」と指摘した。盗撮動画を仲間内で共有し、不特定多数に拡散する危険性があったとして「女性の尊厳を踏みにじる極めて悪質な犯行」と強調。共犯者に盗撮技術を教えるなど主導的な役割を担ったとした。 被告は最終意見陳述で「ばれなければ被害者を生まないと身勝手に考えていた。ものすごく傷つけ、申し訳ないとしか言いようがない」と述べた。弁護人は起
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静岡の無許可盛り土 現旧社長が認める 地裁初公判
静岡市葵区の藁科川上流域に無許可で盛り土が造成された事件で、県砂防指定地管理条例違反の罪に問われた同区の残土処分会社「富田建材」と同社社長(41)=同区羽鳥5丁目=、父親で前社長(84)=同=の初公判が25日、静岡地裁(国井恒志裁判官)で開かれ、2人は「間違いない」と起訴内容を認めた。 盛り土は日向、杉尾の両地区に造成された。砂防法の盛り土規制区域「砂防指定地」に指定されていて、県の条例によって知事の許可なく土地の形状を変更する行為が禁止されている。 冒頭陳述で検察側は、前社長が日向地区で2004年ごろまでに盛り土などをするようになったと主張した。静岡土木事務所の職員が数回にわたり是正す
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懲役刑確定の静岡市職員失職
静岡市は25日、窃盗罪で執行猶予付きの懲役刑が確定した市保健福祉長寿局の40代男性職員が、地方公務員法の規定に基づき同日付で失職したと発表した。 男性職員は2021年9月に市役所静岡庁舎で、別の職員の机から現金5千円を盗んだとして同11月に逮捕され、同12月に起訴された。23年4月10日に静岡地裁で懲役1年、執行猶予3年の判決を受け、同25日に刑が確定した。 高田和昌市総務局次長は「再発防止策を徹底し、市民の信頼を早期に回復できるよう努める」とコメントを出した。
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沼津鉄道高架訴訟 元地権者らが上告
沼津市のJR沼津駅付近の鉄道高架事業は不要として、国や静岡県などを相手に事業認定の無効確認などを求めた元地権者らは25日、「事業の必要性は失われていない」とする一審静岡地裁判決を支持した東京高裁判決を不服とし、最高裁に上告したことを明らかにした。上告は3月30日付。 控訴審判決で高裁は、少子高齢化で市の人口や交通量が減少しても、鉄道高架化事業の必要性は失われず、事業継続に違法性はないとして原告の訴えを退けた。25日に市役所で開いた会見で原告代表の殿岡修さんは「証拠を示したが審理が尽くされなかった。市の経済状況を無視している」と話した。 原告側は上告趣意書を「5月半ばごろまでに提出する」と
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妻嘱託殺人の罪 51歳夫を起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は25日、沼津市高島町のホテルで妻を本人の依頼に応じ刺殺したとして、嘱託殺人の罪で東京都練馬区、無職の男(51)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は昨年10月25~27日、妻=当時(49)=に頼まれてホテルの一室で左胸を包丁で突き刺し、殺害したとされる。被告自身も腹部に重傷を負っていて、病院で治療を受けていた。 同地検は約4カ月にわたり被告を鑑定留置し、事件当時の精神状態を調べていた。
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追突後に車両盗み 逃走の男実刑判決 静岡地裁
島田市の新東名高速道で盗難車両で追突事故を起こし、後続のワゴン車を盗んで逃走したなどとして、窃盗と覚醒剤取締法違反の罪に問われた大阪市西成区、塗装工の男(43)の判決公判で、静岡地裁は24日、懲役3年6月(求刑懲役5年)を言い渡した。 谷田部峻裁判官は判決理由で、救助のために停車したワゴン車を乗り去った犯行について「非常に大胆で悪質性が高く、動機も自己中心的。被害者の善意を踏みにじり、強い非難に値する」と述べた。 判決によると、被告は仲間と共謀して2020年12月14日、千葉県柏市内で乗用車を盗んだ。島田市内の新東名高速道下りで、この乗用車で追突事故を起こし、救助のために止まった後続のワ
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再審進行、速やかに 高検に袴田さん弁護団
現在の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で、強盗殺人罪などで死刑判決が確定した袴田巌さん(87)=浜松市中区=の再審公判に向け、袴田さんの弁護団が20日、東京高検に申し入れ書を提出し、有罪立証の放棄と速やかな公判の進行への協力を求めた。 申し入れ書では、静岡地裁で10日に開かれた法曹三者協議の中で、検察が公判での立証方針を示すまで3カ月の期間を求めた点について、「検察は再審請求審で、全ての記録を十分に検討したはず。すでに方針が決められていることは間違いない。袴田さんが置かれている状況を全く考慮していない」と批判した。 提出後に記者会見した弁護団によると、申し入れ書を受け取った東京高検
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被告の運送業社長 カツオ盗認否留保 静岡地裁初公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた市内の運送会社「堀住運送」社長(61)=同市北新田=の初公判が20日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、弁護人は起訴内容について「認否を留保したい」と述べた。 弁護人は、検察側から19日に証拠が追加で開示されたと説明した。証拠の検討が終わっていないため、認否を留保すると伝えた。 起訴状によると、被告は焼津市の水産加工会社「マルテ小林商店」元役員(45)らと共謀の上、2021年3月11日、焼津漁港に水揚げされた冷凍カツオ約26トン(約425万円相当)を、同13日には約23トン(約360万円相当)を、同17日にも約28トン
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日弁連会長、検察けん制「有罪立証、諦めるべき」 袴田さん再審公判巡り
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、日本弁護士連合会の小林元治会長は19日、速やかな公判開始と無罪判決を求める声明を公表した。同日の定例記者会見で、小林会長は「これ以上、袴田さんに過酷な時間を強いてはいけない」と強調した。 再審公判の日程は決まっていない。静岡地裁と弁護団、地検による10日の3者協議で地検は立証方針を表明せず、7月10日までに明らかにする考えを示した。 声明は、事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで発見され、袴田さんの犯行着衣とされた「5点の衣類」について、第1次と2次の再審
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熱海土石流 盛り土公文書黒塗り外し、一部提供 熱海市が原告側に
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、遺族、被災者が土石流の起点となった土地の現旧所有者や県、市に損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが19日、静岡地裁沼津支部であり、市側は関係者の氏名などが伏せられた盛り土に関する一部の公文書について、黒塗りを外した形で原告側に提供したことを明らかにした。原告側は7月19日の次回期日までに、県と市の公文書や独自に集めた証拠を基に主張をまとめて提出する。 協議は非公開。市が提供した公文書は、ホームページで公表している崩落した盛り土に関する部分。当初は被告の現所有者側からの申し立てを受け、同支部が提出を依頼していた。原告側も市に要請していて、市は「土石流発生原因
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植木鉢で女性殴る 傷害で男を起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は18日までに、女性の頭部を植木鉢で殴って殺害しようとしたとして殺人未遂の疑いで逮捕、送検された浜松市西区馬郡町、無職の男(69)を傷害の罪に切り替えて静岡地裁浜松支部に起訴した。地検支部は理由を明らかにしていない。起訴は17日付。 起訴状などによると、男は3月28日午前8時10分ごろ、同市西区内の空き地で、近くに住む女性=当時(71)=の頭部を植木鉢で殴打し、女性に全治約4週間のけがを負わせたとされる。
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ワクチン会場侵入 反ワク団体理事 弁護側は無罪主張 静岡地裁で初公判
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種会場に侵入したとして、建造物侵入の罪に問われた掛川市、反ワクチン団体「神真都(やまと)Q会」の理事の被告(49)の初公判が17日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。被告は起訴内容について「間違いない」と述べ、弁護側は医師に説明を求めるためといった正当な「訪問」だったとして無罪を主張した。 冒頭陳述で検察側は、会場正面に「ワクチン接種に来られた方以外の施設内への立ち入りはご遠慮ください」との立て札が置かれていたことなどを指摘した。 起訴状によると、被告は仲間と共謀の上、ワクチン接種の中止を求める目的で2022年3月13日午後、焼津市のワクチン接種会場
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生活保護訴訟巡り 支援団体署名提出 「公正判決」求め静岡地裁に
国が2013~15年に生活保護費の基準額を引き下げたのは生活保護法に違反するとして、県内の複数の受給者が掛川市などに減額処分の取り消しを求めた訴訟の判決公判(5月30日)が迫る中、原告の支援団体「生存権にかかわる裁判を支援する静岡の会」や弁護団が14日、公正な判決を求める要請書の署名3897筆を静岡地裁に提出した。署名集めは継続していく。 静岡市葵区で集会も開き、同会共同代表で弁護団長の大橋昭夫弁護士は「静岡地裁にも受給者の実態を理解してもらい、良い判決を出してほしい」と訴えた。同会や協力団体メンバーら約70人のほか原告の受給者も駆けつけた。 同様の訴えは全国29地裁に起こされた。一審判
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露店不正出店 女に有罪判決 地裁沼津支部
静岡県東部の祭り会場で露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた清掃員の女(52)=裾野市公文名=に対し、静岡地裁沼津支部は14日、懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)を言い渡した。 室橋秀紀裁判官は判決理由で、計画性と高額の売り上げを指摘し「必要不可欠な役割を果たした」と断じた。一方、従属的な役割であることなどを考慮し、執行猶予が相当とした。 判決によると、女は昨年6~8月、夫で指定暴力団山口組藤友会組員の男(66)=詐欺罪で公判中=が実質経営する露店であることを隠し、沼津市の「沼津夏まつり」と三島市の「三嶋大祭り」の主催団体に申込書などを提出し、出店権利をだまし取った。
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事故偽装し詐欺 男に有罪判決 静岡地裁浜松支部
飲酒運転の絡む交通事故を自作自演し、同乗の女性から示談金をだまし取ったなどとして、詐欺などの罪に問われた住所不定、無職の男(22)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は13日、懲役2年8月、保護観察付き執行猶予4年(求刑懲役3年)を言い渡した。 高島由美子裁判官は判決理由で「分け前欲しさの犯行で約90万円を得た」と指摘し、事故偽装では仲介役をするなど「重要な役割を果たしていて相応に厳しい非難に値する」と断じた。一方、共犯者が被害弁償を済ませたこと、今後は共犯者ら事件関係者と交際しないと約束している事情などを考慮し、保護観察付き執行猶予が相当とした。 判決によると、仲間と共謀して2022年8月1
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焼津カツオ盗の3被告に懲役2年6月求刑 静岡地裁公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた神奈川県の運送会社元社長(49)と焼津市の水産加工会社元社長(57)、都内の水産加工会社元焼津営業所長(47)の論告求刑公判が12日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。検察側は3被告にいずれも懲役2年6月を求刑した。 論告で検察側は「継続的・常習的な犯行で、自己あるいは会社の利益を得るためという利欲的な動機に酌量の余地はない」と指摘した。最終弁論で神奈川県の運送会社元社長と都内の水産加工会社元焼津営業所長の弁護人は執行猶予付きの判決を求め、共謀を否認している焼津市の水産加工会社元社長の弁護人は「共謀を裏付ける証拠はない
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露店不正 組員ら懲役2年を求刑 地裁沼津支部公判
静岡県東部の祭りで露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた指定暴力団山口組藤友会組員の無職の男(77)=事件当時富士市中里=と露天商の女(55)=同=両被告の論告求刑公判(明日利佳裁判官)が12日、静岡地裁沼津支部で開かれ、検察側は2人に懲役2年を求刑した。判決は27日。 検察側は論告で女が露店営業を取り仕切り、売り上げを男が管理していたと説明。「暴力団の上納金を確保する目的もあった。出店した露店で高額な利益を得ていた」と指摘した。弁護側は執行猶予付きの判決を求めた。 起訴状などによると、両被告は昨年6~11月、富士宮市の富士山本宮浅間大社秋の例祭など三つの祭りで共謀し、暴力団関
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住宅放火などの罪 藤枝の消防士起訴 静岡地検
静岡地検は12日、非現住建造物等放火と詐欺未遂の罪で、藤枝市稲川1丁目、静岡市消防局の消防士(26)を静岡地裁に起訴した。 起訴状によると、消防士は2022年12月2日正午ごろ、所有する藤枝市内の木造2階建て住宅に放火し、全焼させたとされる。また、この火災について、都内の損害保険会社に虚偽の事故状況を申告して保険金を請求し、不慮の事故による火災と誤信させてだまし取ろうとしたとされる。
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役所で5000円窃盗 静岡市職員、有罪 地裁判決
静岡市役所静岡庁舎で職員の机から現金5千円を盗んだとして、窃盗の罪に問われた伊豆市熊坂、静岡市職員(40)=休職中=の判決公判で、静岡地裁は10日、懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。 谷田部峻裁判官は判決理由で、心神喪失か心神耗弱の状態だったとする弁護側の主張について、医師の証言などを踏まえ「何らの精神障害にも罹患(りかん)していなかった」と否定した。その上で、大胆で悪質な犯行と指摘し「被害金額は多額とは言えないが、軽視できない」と述べた。 判決によると、市職員は2021年9月30日午後11時20分ごろ、静岡市役所静岡庁舎で、男性職員が使う机の引き出しに保管されてい
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袴田さん再審決定文 ようやくウェブに掲載 静岡地裁
裁判をやり直す再審公判を控える元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審開始と死刑・拘置の執行停止を認めた2014年の静岡地裁決定(村山浩昭裁判長)について、地裁は11日までに裁判所のウェブサイトに全文を掲載した。支援団体が載せるよう求めていた。 袴田さんの第2次再審請求を巡り、静岡地裁決定を取り消した18年の東京高裁決定と、審理不尽の違法があるとして高裁に差し戻した20年の最高裁決定は裁判所のウェブサイトに載っている一方、地裁決定のみ不掲載の対応が続いていた。 各地の支援団体で組織する「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」は21年と再審開始確定後の今年3月、掲載するよう地裁に要請。4日
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静岡人インタビュー「この人」 賀茂地域の課題解決に取り組む弁護士 三森祐二郎さん(河津町)
弁護士の過疎地域の解消を狙いに、日本弁護士連合会などが支援し運営する下田ひまわり基金法律事務所の7代目所長。当地ならではの問題解決に汗をかく。横浜市出身。52歳。 -賀茂地区の印象は。 「昨秋に赴任したが、住民の高齢化に伴う財産管理が大きな問題になっている。認知症で管理できなくなったり、家族が近くにいなかったりするケースが多い。バブル期に購入されたリゾートマンションの管理費滞納も課題の一つだ」 -なぜ弁護士を志したのか。 「元々は東京地裁や最高裁で事務官や書記官を務めていた。裁判前の権利手続きの担当や、国会議員との調整役を任されていたが、弁護士が依頼者に信頼され仕事をする姿を間近で目
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袴田さん弁護団「心外」 3者協議開始 検察の態度を批判
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決を受け、今年3月に裁判のやり直し(再審)が確定した袴田巌さん(87)の再審公判に向けた法曹三者の協議が10日、静岡地裁でスタートした。有罪の主張・立証をするかどうかの方針を3カ月後まで示すことができないとした検察側に対し、早期の再審無罪と謝罪を求めている弁護団は「誠に心外だ」(西嶋勝彦団長)と反発した。 「全くの予想外。憤りを感じている」。1時間を超える3者協議の終了直後、弁護団の小川秀世事務局長は地裁前で報道陣の取材に応じ、検察側が態度を留保したことを批判した。 やりとりの中で、確定記録が静岡地検ではなく
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検察や裁判官に謝罪要求 袴田さん再審公判、弁護団方針
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直す再審公判を巡り、弁護団が、袴田さんは捏造(ねつぞう)された証拠で死刑囚にさせられてきたとして、検察官と裁判官に長年の判断の誤りを謝罪するよう求めることが7日、関係者への取材で分かった。 再審公判に向けた弁護団と静岡地裁、静岡地検による3者協議が10日に地裁で開かれる。弁護団と地検の主張方針を確認し、公判日程などが話し合われる。 弁護団は速やかに無罪判決を得るため、即日結審を要望する。一日で検察側の論告求刑や弁護側の最終弁論まで行うことが難しい場合でも、判決を含め「
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御殿場男性暴行死 傷害致死罪で起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は7日、殺人の疑いで逮捕、送検された小山町菅沼、とび職の男(26)を傷害致死罪で静岡地裁沼津支部に起訴した。地検支部は罪名変更について「捜査によって得られた証拠で判断した」としている。裁判員裁判の対象。 起訴状によると、被告は3月16日午後7時45分ごろ、御殿場市内の会社の資材置き場で、地面にひざまずいた状態の同市新橋、会社員の男性=当時(30)=の頭部に角材のようなものを振り下ろして殴る暴行を加え、脳挫傷により死亡させたとされる。
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女性殺害罪で男起訴 沼津の遺棄事件 地検浜松支部
知人女性を殺害し、遺体を自宅で切断したなどとして静岡地検浜松支部は5日、殺人と死体損壊、死体遺棄の罪で沼津市真砂町の会社員の男(31)を静岡地裁浜松支部に起訴した。裁判員裁判の対象になる。地検浜松支部は、殺害後に遺体を糸のこなどで切断し、ごみ袋に入れて遺棄したとみている。 起訴状によると、被告は2月21日、静岡市内の農道付近に駐車した乗用車内で、磐田市岩井の会社員の女性=当時(33)=の頭部などを鉄製ハンマーで複数回殴った上、充電ケーブルを巻き付けて首を絞めて殺害したとされる。翌日には沼津市内の自宅で遺体を、糸のこなどを使って切断し、ごみ袋に分け入れて自宅3階バルコニーのコンテナ箱や、自宅
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静岡の不動産賃貸会社告発 6600万円脱税疑い
架空の修繕費を計上し法人税と消費税計約6600万円を脱税したとして、名古屋国税局が法人税法違反などの疑いで静岡市の不動産賃貸会社の社長(60)=東京都町田市=と、法人としての同社を静岡地検に告発したことが4日、関係者への取材で分かった。 関係者によると、実際は行っていない修繕の請求書や領収書を協力者に作成させて所得を圧縮。2021年8月までの3年間で、約1億9700万円の所得を隠し、法人税と地方法人税計約4800万円、消費税と地方消費税計約1800万円を免れた疑いが持たれている。 絵画や高級腕時計の購入に充てたほか、自身の口座で貯蓄していたという。
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決定文ウェブ掲載 「地裁が適切判断」 袴田さん再審で最高裁
最高裁の小野寺真也総務局長は4日の衆院法務委員会で、袴田巌さん(87)の再審開始と死刑・拘置の執行停止を認めた2014年の静岡地裁(村山浩昭裁判長)による決定文の裁判所ウェブサイトへの掲載について「決定が確定したことを踏まえ、静岡地裁が適切に判断する」と述べた。立憲民主党の米山隆一氏(新潟5区)への答弁。 小野寺氏は答弁の中で、最高裁は14年当時、刑事再審請求事件のウェブサイトへの掲載基準を明示していなかったと説明した。最高裁は17年、決定告知日の翌々日までに日刊紙2紙が決定を掲載した場合を掲載基準に定めた。 今年3月の東京高裁の再審開始決定を受け、袴田さんの支援団体が静岡地裁にウェブサ
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労組費4600万円着服か マックスバリュ東海 元常任顧問を提訴
食品スーパー「マックスバリュ(MV)東海」(浜松市東区)の労働組合で常任顧問を務めていた女性が少なくとも約4600万円の組合資金を着服した疑いがあることが31日、関係者への取材で分かった。組合は同日までに、女性に約5千万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁浜松支部に起こした。 提訴したのは「MV東海MYユニオン」で、2月17日付。代理人弁護士や訴状によると、元常任顧問の女性は2018年~19年ごろ、組合に帰属する資金を複数回にわたって口座から引き出し、消失させたとしている。組合の一般会計に計上されない四つの口座を使い分け、有価証券の配当金や、組合オリジナルグッズの売上金などを引き出したとされ
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覚醒剤使用疑い 裾野の男追起訴 露天商不正出店で公判中
静岡地検沼津支部は31日までに、覚醒剤取締法違反の罪で裾野市、無職の被告(66)=詐欺の罪で公判中=を静岡地裁沼津支部に追起訴した。30日付。 起訴状によると、被告は2022年11月3日ごろ、沼津市の東名高速道上りの路肩に止めた車内で覚醒剤を使用したとされる。被告は、富士宮市で同日開かれた富士山本宮浅間大社の秋季例大祭で、露店の出店権を不正に取得したとして詐欺の罪で追起訴されていた。 県東部の祭り会場で露店の出店権を暴力団組員らが不正に得ていたとして、詐欺の疑いで逮捕、送検された土木作業員の男性(49)=長泉町=、土木作業員の男性(24)=沼津市=、無職男性(79)=富士市=、露天商でつ
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沼津の女子大生刺殺事件 懲役20年確定
沼津市で2020年6月、大学2年の女子学生=当時(19)=を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われた同級生の被告(22)について、懲役20年とした一審判決を支持した東京高裁判決が30日、確定した。期限の29日までに被告側、検察側が上告しなかった。 控訴審で検察側は、他のストーカー殺人事件の量刑傾向を示し「無期懲役が相当」と主張したが、高裁判決は検察側が示したのは被害者が2人のケースなどで「悪質性が異なる」と退けた。東京高検の山元裕史次席検事は29日、「適法な上告理由が見いだせなかった」として上告断念を明らかにしていた。 判決によると、20年6月27日、沼津市の駐車場に
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3者協議、4月10日に 袴田さん再審公判へ初 静岡地裁
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)が認められた袴田巌さん(87)の弁護団は29日、再審公判に向けた静岡地裁、静岡地検との3者協議が4月10日午後に地裁で開かれることが決まったと明らかにした。 検察側は協議の中で、再審公判で有罪立証するかどうかの方針を示すとみられる。弁護団は早期の無罪判決を求めていく。笹森学弁護士は、再審開始の確定から3週間で初回の協議が開かれることについて、自身も関わり再審無罪となった「足利事件」と比較しながら「相当早い」と述べた。 事件では、発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで血痕の赤
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上告断念、遺族「納得いかず」 沼津女子大生ストーカー殺人 二審で懲役20年
沼津市西浦久連で2020年6月、大学生の女性=当時(19)=を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反の罪に問われた同級生の被告(22)を一審に続き懲役20年とした東京高裁判決について、東京高検は29日、上告を断念したと明らかにした。検察側は控訴審で無期懲役が相当と主張していた。 高検の山元裕史次席検事は「判決内容を十分に検討したが、適法な上告理由が見いだせなかった」とした。遺族は「懲役20年は到底納得がいかない。上告断念は非常に残念」とのコメントを出した。判決によると、被告は20年6月27日午後、沼津市内で女性の腹を包丁で突き刺した上、逃げる女性を路上に転倒させ、首や背中を複数回刺して
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袴田さん釈放9年 静岡地裁決定のウェブ掲載、支援団体が再要請
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)が釈放されて27日で9年となった。袴田さんの再審開始と死刑・拘置の執行停止を認めた2014年の静岡地裁決定(村山浩昭裁判長)は裁判所のウェブサイトに載っておらず、袴田さんの支援団体は同日、地裁に「日本の刑事裁判史上極めて重要な判例となった村山決定は特筆に値し、広く一般に公開されてしかるべき」として掲載するよう再要請した。 地裁決定を取り消した18年の東京高裁決定と、審理不尽の違法があるとして高裁に差し戻した20年の最高裁決定はウェブサイトに載っている。支援団体によると、21年にも掲載を要請したが、地裁は
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露店不正出店 懲役1年求刑 地裁沼津支部公判
静岡県東部の祭り会場での露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた清掃員の女(52)=裾野市公文名=の論告求刑公判が27日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、検察側は懲役1年を求刑した。判決は4月14日。 検察側は論告で、暴力団員のため出店許可を得られない指定暴力団山口組藤友会組員の無職の女(66)=詐欺罪で公判中=にとって「必要不可欠な役割を果たしており、責任は重い」と指摘。弁護側は「売上金は一括して富美夫被告に渡している」として情状酌量を求めた。 起訴状などによると、女は昨年6~8月、暴力団員が実質経営する露店であることを隠し、「沼津夏まつり・狩野川花火大会」と三島市
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冤罪の叫び 司法に届かず【最後の砦 刑事司法と再審/緊急連載 抗告断念㊦】
「検察がてんびんにかけたのは、袴田さんの早期救済ではない。メンツのために特別抗告するか、それとも世論のハレーションを避けるか、というてんびんだった」。日本弁護士連合会再審法改正実現本部の鴨志田祐美本部長代行(京都弁護士会)はそうみている。 みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審開始を東京高裁が認めた13日、検察は最高裁に特別抗告すると多くの関係者が予想した中、鴨志田さんは「50%」と読んだ。 再審開始決定に対する検察の不服申し立てが再審の実現を妨げているとの批判は根強い。不備が指摘される再審法(刑事訴訟法の第4編再審)の改正を求める声の高まりを受
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社説(3月23日)検察が抗告断念 再審公判の早期開始を
現在の静岡市清水区で1966年6月、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件を巡り、死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判やり直し(再審)開始を認めた東京高裁決定に対し、東京高検は最高裁への特別抗告を見送った。高裁での差し戻し審を経て、閉ざされていた再審の扉がようやく開いた。 差し戻し審では、弁護側は争点となった「衣類の血痕の赤み」について、赤みが消失する化学的な仕組みを説明し、確定判決が「犯行着衣」と認定した衣類5点の証拠能力に疑いがあることを明らかにした。検察側に有罪を維持できる根拠は乏しく、静岡地裁で開かれる再審公判では無罪判決が言い渡される公算が大きいとみられている。 開始日時
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無罪へ前進「うれしい」 小さな声、大きな力に 袴田さん再審確定【最後の砦 刑事司法と再審/緊急連載 抗告断念㊤】
「えぇー。私が袴田巌でございます」 拍手で迎えられた。 静岡市葵区の静岡労政会館。21日、再審開始確定後初めての集会が開かれた。 「竜との闘いでありますので、みんなの協力があって勝ち抜ける。よろしくお願いします」 袴田巌さん(87)は支援者が差し出したマイクを手に一気に話すと、さっさと壇上から降りた。会場に入ってから、わずか3分間の出来事だった。 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定したが、2014年の静岡地裁に続き東京高裁が裁判のやり直し(再審)を認め、検察当局が20日、最高裁に不服を申し立てることを断念した。 静岡地裁の決定を
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袴田さん無罪の公算 再審開始が確定 検察、特別抗告断念 死刑事件で戦後5件目
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めてきた元プロボクサー袴田巌さん(87)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高検は20日、再審開始を認めた東京高裁決定について、最高裁に特別抗告しないことを明らかにした。再審開始が確定し、今後、静岡地裁での再審公判に移行する。事件から57年。袴田さんに無罪判決が言い渡される公算が極めて大きくなった。 戦後の死刑確定事件のうち再審が開始されるのは5件目で、89年に静岡地裁で再審無罪となった「島田事件」以来となる。先の4件は全て再審無罪に至った。 東京高検の山元裕史次席検事は記者会見
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「早く無罪に」決意新た 弁護団、抗告断念にうれし涙 袴田さん再審確定【動画あり】
当然の判断だと分かってはいても目にはうれし涙が浮かんだ。一家4人を殺害したとして死刑が確定し、無実を訴えて裁判のやり直し(再審)を求めてきた袴田巌さん(87)の再審開始が20日、検察の特別抗告断念によって確実になった。弁護団は都内で記者会見を開き、二人三脚で取り組んできた支援者に感謝。「袴田さんを早く無罪にしてあげたい」と決意を述べた。事件から半世紀余り。姉のひで子さん(90)は満面の笑顔を見せた。 特別抗告期限を踏まえ、会見は午後4時半に設定されていた。検察の断念が弁護団に伝わったのは、そのわずか1分前。小川秀世事務局長の携帯電話に担当検察官から連絡が入った。 「特別抗告を断念するのか
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半世紀余「長かった」 世論喚起した支援者ら歓喜 袴田さん再審確定
「ノックアウトで勝利」 「やった、やった。長かった」―。検察が特別抗告を断念したとの一報が記者会見場に入ると、「袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会」の山崎俊樹事務局長(69)は声を上げた。 山崎さんは、みそタンクから見つかり犯行着衣とされた「5点の衣類」の不自然さを20年以上にわたって追及してきた。弁護団の実験を主導。みそ漬けの血痕が短期間で黒色化することを示した実験報告書は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」と評価され、その成果は袴田巌さんの再審開始に結びついた。 20日も検察の庁舎に出向き、弁護団や他の支援者とともに特別抗告を断念するよう要請行動を展開。再審開始の確定を「
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袴田さん再審、20日抗告期限 公開法廷で主張尽くせ 「大崎事件」元裁判官・根本渉弁護士【最後の砦 刑事司法と再審】
強盗殺人罪などで死刑判決が確定した袴田巌さん(87)=浜松市中区=の再審請求を認めた東京高裁決定は、20日に抗告期限を迎える。再審制度の不備や不当を訴える声が法曹界を中心に一層強まる中、袴田さんと同様に審理が長期化している鹿児島県の「大崎事件」の再審請求審を裁判官時代に担当した根本渉弁護士(65)=第一東京弁護士会=が18日までに取材に応じ、「現在の制度は請求当事者にとって納得しがたい形になっている。ルールの整備が必要だ」との認識を示した。 日本弁護士連合会は請求審での検察官による不服申し立て禁止や証拠開示の制度化の必要性を主張している。 根本氏は、検察官の不服申し立てが禁止されれば、「
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「特別抗告の理由ない」 袴田さん再審巡り 元裁判長、検察けん制 都内でシンポ【最後の砦 刑事司法と再審】
みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求める袴田巌さん(87)の差し戻し後の即時抗告審で、再審開始を認めた東京高裁決定に対し検察が最高裁に特別抗告するかどうかの期限が迫る中、2014年に静岡地裁の裁判長として袴田さんの再審開始を認めて釈放した村山浩昭弁護士が18日、都内のシンポジウムで「特別抗告の理由が全くない。もし特別抗告したら、検察官の抗告は法律で禁止しなくてはいけないという意見がもっともっと高まる」とけん制した。 刑事訴訟法は、特別抗告の要件を憲法違反か判例違反がある場合とする。村山氏は高裁決定について、審理を差し戻した最高裁の課題に答えを出
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証拠隠しが誤判を生む 再審長期化、体質見直せ 名張毒ぶどう酒事件弁護団長・鈴木泉弁護士【最後の砦 刑事司法と再審/番外編インタビュー㊦】
袴田事件の再審開始決定に検察が特別抗告する公算が大きくなる中、検察官抗告の是非が問われている。1961年に三重県で起きた名張毒ぶどう酒事件の再審請求では、無実を訴え続けた奥西勝元死刑囚が請求中に獄中で死亡した。約40年にわたり再審弁護を続ける鈴木泉弁護団長は「検察と裁判所の体質を見直さない限り冤罪(えんざい)はなくならない」と指摘する。 -名張事件では、弁護団が発掘した新証拠から一度は再審開始が出た。しかし検察の異議申し立てにより開始決定が取り消された。 「5次再審の歯形鑑定、再審開始決定につながった7次の毒物鑑定は大きな成果だった。科学はうそをつかない。ただ、異議審で開始決定を取り消し
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特別抗告しない英断を 袴田さん弁護団 高検に申し入れ
1966年に現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で死刑が確定し、東京高裁で再審開始決定が出た袴田巌さん(87)の弁護団は17日、東京高検に「特別抗告をしないという英断を求める」との申し入れ書を提出した。関係者によると、高検は最高裁に特別抗告する方向で検討している。期限は20日。申し入れ書では「最高裁が万が一にも検察の主張を認めれば、袴田さんを死刑にしなければならない事態に陥ることもある」との危惧を示した。 東京・霞が関の高検前では、支援者が「特別抗告NO!」「無罪」と書かれたプラカードを掲げた。弁護団の村崎修弁護士は「特別抗告の理由が全くないのは明らか。最高裁が救っ
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「特別抗告断念を」SNSで賛同の輪 袴田さん再審開始確定願い【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審開始を認めた東京高裁決定に対して東京高検が最高裁に特別抗告する公算が大きくなる中、弁護団や日本プロボクシング協会袴田巌支援委員会が、特別抗告を断念するよう求める動きをSNSでも強めている。ネット署名は開始から1日で賛同者が2万7000人を超え、増え続けている。 特別抗告の期限は20日。高検が特別抗告しなければ再審開始が確定する。静岡地裁で再審公判が開かれ、袴田さんは無罪になる可能性が高い。特別抗告した場合は、再審開始の可否をめぐる審理が最高裁で続く。 ネット署名は、戸舘圭之弁護士
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検察に反論へ鑑定書、弁護団準備 みそ漬け実験結果 袴田さん再審
強盗殺人罪などで死刑判決が確定した袴田巌さん(87)=浜松市中区=の再審開始を認めた東京高裁決定を受け、弁護団が16日、都内で記者会見し、検察側のみそ漬け実験の結果を分析した専門家の鑑定書を準備していると明らかにした。事務局長の小川秀世弁護士は「今後予想される検察側の主張への反論になり得る」として、特別抗告を検討中とみられる検察側をけん制した。 弁護団は同日、鑑定書の概要を盛り込んだ書面を東京高検に提出し、特別抗告の断念を改めて求めた。 東京高裁での差し戻し審では、事件発生の1年2カ月後にみそタンクから見つかった犯行着衣とされる衣類の血痕に、赤みが残るかどうかが争点だった。 弁護団が準
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沼津・鉄道高架訴訟 控訴審も請求棄却 東京高裁
JR沼津駅付近の鉄道高架事業は不要として、元地権者らが国や静岡県などを相手に事業認定の無効確認などを求めた控訴審判決で、東京高裁は16日、一審の静岡地裁判決を支持し、原告側の訴えをいずれも棄却した。 原告側は、事業効果指標の一つの「費用便益比」が同事業で1・1と便益が費用を上回るとしている点について、鉄道高架事業と周辺の土地区画整理事業と一体で算定されないことで、費用が過小に評価されているなどと主張した。 三角比呂裁判長は判決理由で「鉄道高架化事業の必要性は失われていない。費用便益比は1を上回り、事業を継続することに違法はない」と退けた。 原告団の団長は「証拠を示したが、聞き入れられな
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飲酒ひき逃げで元NPO職員有罪 地裁浜松支部判決
湖西市で2022年12月、業務で児童を送迎中に乗用車を飲酒運転して事故を起こし、その場から逃走したとして自動車運転処罰法違反(過失傷害アルコール等影響発覚免脱)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた元NPO職員(60)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は16日、懲役1年6月、保護観察付き執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。 杵渕花絵裁判官は判決理由で「相当量の焼酎を飲んだ状態で子どもたちを乗せたことは強く非難される」などと悪質性を指摘した。アルコール依存症が原因と自覚して治療の意思は示しているものの、「家族による監督にも限界があるため、保護観察が相当」と判断した。 判決によると、被
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過失運転傷害で磐田の男性無罪 相手車両「異常な速度」 地裁浜松支部判決
2020年に磐田市の交差点で乗用車を運転中に右折する際、優先道路を走行していた乗用車と衝突して運転者の男性=当時(66)=に重傷を負わせたとして自動車運転処罰法違反(過失傷害)の罪に問われた同市の男性会社員(65)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は16日、無罪(求刑罰金10万円)を言い渡した。大村泰平裁判長は、相手車両が制限を大きく上回る「異常な速度」で接近してきた状況を指摘し、「安全確認義務を怠ったとはいえない」と断じた。 事故は20年1月5日早朝に発生した。男性会社員は一時停止標識に従って停車後に発進し、優先道路に右折で合流しようとした際、左側から走行してきた相手車両と衝突した。同車両は
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袴田さん再審 特別抗告、判断いかに 東京高裁決定受け検察 期限は20日 要件が壁、断念なら無罪公算
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)を巡り、東京高裁が再審開始を認める決定をしたのに対し、東京高検は期限の20日までに最高裁に特別抗告するかどうかを決める。決定は弁護側の主張を全面的に認めたことに加え、抗告の要件は憲法違反か判例違反に限られており、ハードルは高い。ただ過去にも再審開始決定に特別抗告したケースはあり、判断が注目される。 特別抗告すれば最高裁が改めて審理し、結論まで年単位の時間がかかるとの見方もある。袴田さんは高齢で、第2次再審請求は申し立てから15年近くが過ぎ、弁護側は抗告断念を強く求めている。抗告しなけ
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沼津の女子大生刺殺 二審も20年 検察の控訴棄却
沼津市西浦久連で2020年6月、大学生の女性=当時(19)=を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反の罪に問われた被告(22)の控訴審判決で東京高裁は15日、懲役20年とした一審静岡地裁沼津支部の裁判員裁判判決を支持し、無期懲役を求めて争った検察側の控訴を棄却した。 検察側はストーカー殺人類型の裁判例を示し、同類型の量刑傾向などを踏まえれば、無期懲役が相当だと主張していた。安東章裁判長は、検察側が同類型として示した裁判例は、通り魔や無差別などの事案、前科や別の被害者への併合事件がある事案で、「今回の事件とは悪質性が異なる」と検察側の主張を退けた。 一審判決によると、被告は20年6月2
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あしき「当然抗告」 証拠評価絶対と思い込み 元検事・市川寛弁護士【最後の砦 刑事司法と再審/番外編 インタビュー㊤】
東京高裁は13日、一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直すこと(再審開始)を認めた。高裁の決定を不服として検察が最高裁に特別抗告するかが焦点だ。元検察官の市川寛弁護士は「今の検察庁は、再審請求事件は必ず最高裁まで争うという方針を立てているとしか思えない」と指摘する。 ―高裁決定の印象は。 「特別抗告される可能性を意識し、最高裁でも決定を守り切れるよう、丁寧に丁寧に一つずつ検察の主張を蹴っている。(審理不尽の違法を理由に高裁に差し戻した)最高裁の問いに十二分に答える決定になっている」 ―大阪高裁が2月に「日野町事件」の再審開始を認める決定を出したが、検
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自宅で放火 御殿場の女起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は14日、現住建造物等放火の罪で御殿場市沼田、無職の女(63)を静岡地裁沼津支部に起訴した。裁判員裁判の対象となる。 起訴状などによると、被告は2月21日午前、自宅2階でソファに灯油をまくなどして火を放ち、床などを焼損したとされる。火災で同居する夫がのどと両手にやけどを負った。
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ソーラー設営会社など起訴 函南での造成巡り 地検沼津支部
函南町丹那の山中に無許可で大規模な盛り土が造成された事件で、静岡地検沼津支部は14日までに、町条例違反の罪で清水町のソーラー設営会社「ソーラーセキュリティ」と同社社長(53)=沼津市下香貫=を静岡地裁沼津支部に起訴した。13日付。 起訴状などによると、被告は2021年8~10月、函南町長の許可を受けずに、事業として同町丹那に土砂を埋め立てたなどとされる。 被告は23年2月、沼津市の運送業会社役員の男性(47)、御殿場市の建設業の男性(41)と共に町条例違反の疑いで逮捕・送検された。同支部は3月13日付で男性2人を処分保留で釈放した。今後も捜査を続ける。
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「この日を待っていた」袴田さん姉ひで子さん涙 無実信じ57年
一度は閉ざされた重い扉が再び開いた。東京高裁が13日、袴田巌さん(87)の再審開始を認めた。袴田さんの逮捕から57年間、無実を信じ続けた姉のひで子さん(90)は目頭を押さえ、「この日を待っていた」と声を震わせた。一方、検察が最高裁に特別抗告する可能性もあり、支援者はさらなる長期化を危惧する。 雨が打ち付ける中、正午ごろから高裁正門前には支援者や報道陣計約150人が集まった。雨がやんだ午後2時2分、高裁から正門に小走りで駆けてきた弁護団の2人が「再審開始」「検察の抗告棄却」の垂れ幕を掲げると、支援者から拍手と歓声が起こった。続いて、弁護団の小川秀世事務局長と庁舎から出てきたひで子さんは支援
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社説(3月14日)袴田さん再審決定 早期開始 司法の責任だ
現在の静岡市清水区で1966年6月、みそ製造会社専務一家4人が殺害された「袴田事件」の裁判やり直し(再審)を求める第2次請求の差し戻し審で、東京高裁は再審開始を決定した。 事件発生から間もなく57年となる。最高裁で死刑が確定してからも42年が経過した。裁判で一貫して無実を訴えてきた袴田巌さん(87)が、司法に翻弄[ほんろう]されてきた期間はあまりにも長い。死刑囚としての長期間の拘禁は袴田さんの心身をむしばんだ。 決定に対して検察側が特別抗告をすれば、舞台は最高裁に移り、再審の可否を巡る審理はさらに長引く。これ以上時間を掛けることが果たして正しいといえるだろうか。東京高裁は決定で「確定判決
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袴田さん再審認める 差し戻し審 東京高裁決定
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている元プロボクサー袴田巌さん(87)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高裁(大善文男裁判長)は13日、検察側の即時抗告を棄却し、袴田さんの再審開始を認める決定をした。東京高検は最高裁に特別抗告するか検討するとみられる。 事件では、発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクでシャツやズボンなど「5点の衣類」が見つかり、確定判決は袴田さんの犯行着衣と認定している。しかし、付着した血痕には赤みが残り、弁護団は「不自然」として捏造(ねつぞう)された証拠だと指摘。長期間みそに漬か
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袴田さん再審可否 13日決定 高裁差し戻し審
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている元プロボクサー袴田巌さん(87)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高裁は13日、再審開始の可否を決定する。検察側の即時抗告を棄却して再審開始を認めるのか、再審請求を棄却するのか。高裁の判断が注目される。 事件発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた。しかし、付着した血痕には赤みが残り、弁護団は「不自然」として捏造(ねつぞう)された証拠だと指摘してきた。静岡地裁は2014年、DNA型鑑定結果を最大の根拠に袴田さんの
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袴田さんの請求審 静岡地裁決定ウェブ掲載を 支援団体要望
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の第2次再審請求審で、東京高裁は13日、再審開始の可否について判断を示す。第2次請求を巡り、静岡地裁は2014年に再審開始と死刑・拘置の執行停止を決め、袴田さんを釈放した。一転して請求を棄却した東京高裁決定、審理を差し戻した最高裁決定とは異なり、地裁決定だけ裁判所のウェブサイトに掲載されていない。支援団体が「不合理だ」として公開を強く望んでいる。 東京高裁での審理は、検察側が静岡地裁の再審開始決定を不服として即時抗告したために行われてきた。各地の支援団体で組織する「袴田巌さんの再審無罪
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袴田さん87歳に 浜松市の自宅で誕生会 再審可否決定、目前に控え
無実を訴えながらも死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さんが10日、87歳の誕生日を迎えた。再審開始の可否を巡る東京高裁の決定を13日に控え、姉ひで子さん(90)は「再審開始を願っている」と話した。 浜松市の自宅で誕生会が開かれ、ひで子さんは革の手袋を、支援者は花束や財布をプレゼントした。袴田さんは年齢を問われ「21だと決めちゃっているんだ。それ以上、年をとらん」。ひで子さんについて「姉ということじゃあね、こき使うわけにもいかない」と言って、周囲を笑わせた。 近ごろは支援者の運転する車でドライブに出かけることが日課になっている。ひで子さんは「100歳ぐらいまで丈夫に生きてもらいたい」と目を
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裁判員「若者の視点必要」 地裁浜松支部 経験者ら意見交換
裁判員経験者と法曹三者による意見交換会が10日、静岡地裁浜松支部で開かれた。成人年齢の引き下げで18、19歳の国民が裁判員に選ばれるようになったことについて、経験者からは「事件が複雑化する中、若い人の視点も必要になる」と歓迎する声が上がった。 出席した経験者は40~70代の男女8人。同支部で開かれた殺人や傷害致死、放火、強制性交致傷といった刑事事件公判を担当した。 18、19歳が裁判員を務めることについて、60代の男性は「SNS(交流サイト)が絡んだ犯罪が増えている。若者の意見があるとありがたい」と述べた。40代の女性会社員からは「わいせつ事案などの場合、ストレスを与えないようにする配慮
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強制不妊訴訟、国が控訴 静岡地裁判決に不服
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、聴覚に障害のある県内の女性が国に3300万円の損害賠償を求めた訴訟を巡り、国は9日、旧法を違憲と判断して国に1650万円の支払いを命じた2月の静岡地裁判決を不服とし、東京高裁に控訴した。 訴訟は不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の扱いが焦点だった。地裁判決は「国が全国的かつ組織的な施策によって優生手術を強いられた事実を知り得ない状況を殊更に作出し、そのために原告がその事実を知ることができなかった」と指摘。除斥期間の効果を制限するのが相当だと判断した。 旧法に基づく優生手術について、幸福追求権な
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事故偽装で詐欺 男3人を起訴 地検浜松支部
浜松市で若い男のグループが飲酒運転絡みの交通事故を自作自演し、同乗者から示談金をだまし取ったとされる事件で、静岡地検浜松支部は9日までに、詐欺などの罪で住所不定、無職の男(21)、同市の建設業の男(30)の両被告=別の詐欺事件で起訴=を静岡地裁浜松支部に追起訴し、磐田市の建設業の男(34)を同支部に起訴した。追起訴、起訴は7日付。 起訴状などによると、3人は共謀して8月5日夜、乗用車と歩行者の接触事故を故意に起こし、同乗していた20代女性に示談金を請求して150万円をだまし取ったとされる。無職の男、浜松市の建設業の男の両被告は同女性からさらに130万円をだまし取ったとされる。 無職の男は
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旧優生保護法訴訟で国が控訴
旧優生保護法下で不妊手術を強制されたのは憲法違反として、聴覚に障害のある県内の女性が国に損害賠償を求めた訴訟で、国は9日、旧法を違憲と判断して国に1650万円の支払いを命じた2月の静岡地裁判決を不服とし、東京高裁に控訴した。
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元校長の再審認めず 最高裁、特別抗告棄却 旧天竜林高事件
旧天竜林高(浜松市天竜区)で起きた大学推薦入試の調査書改ざん・贈収賄事件を巡り、加重収賄罪などで有罪が確定した元校長(75)の再審請求で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は元校長の特別抗告を棄却したことが8日までに、関係者への取材で分かった。再審開始を認めない判断が確定した。 決定は6日付。元校長と弁護団が8日、郵送された書面を確認した。特別抗告審で弁護側は、検察から新たに開示された元天竜市長(90)=贈賄罪で罰金刑確定、再審請求中=への警察の取り調べを記したメモを受け、自白の信用性を追求。現金の授受があったとされる日の元市長の行動履歴を裏付ける証拠の開示も求めていた。 これに対し最高裁
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伊東・メガソーラー建設 住民側の訴え棄却 東京高裁
伊東市八幡野の大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設を巡り、反対住民が静岡地裁での判決の取り消しと差し戻しを求めた控訴審判決で、東京高裁は8日、原告の訴えをいずれも棄却した。 住民側が同市を相手取り、宅地造成等規制法に基づく事業許可処分の無効確認などを求めた訴訟の判決で、静岡地裁は「原告適格を欠き不適法」と訴えを却下。住民側が高裁に控訴していた。 控訴審判決は、原告住民が「工事に伴う崖崩れや土砂の流出による直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に住居を有し、居住する者とはいえない」と結論づけ、原告適格を認めなかった。 原告団長の佐藤みつ子さんは「全く承服できるものでなく、不当な
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大自在(3月9日)最終ラウンド
2004年、米国の元黒人ボクサーから1歳年上の日本の元ボクサーに激励の手紙が届いた。差出人は白人3人が殺害された事件で終身刑が宣告された後、無罪を勝ち取ったルービン・カーター氏。現役時代は「ハリケーン」の名で活躍した。 手紙は現在の静岡市清水区で発生した一家4人殺人事件で死刑判決が確定した後、無実を訴えている袴田巌さんが受け取った。同じ1966年に起きた二つの事件。カーター氏は19年の獄中生活を経て自由の身になっていたが、袴田さんはまだ東京拘置所に収監されていた。 米国ではカーター氏が身の潔白を叫び始めると、人種差別を象徴する事件として注目を浴び、支援の輪が一気に広がった。米国を代表する
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旧天竜林高事件 再審認めない判断確定
旧天竜林高(浜松市天竜区)で起きた大学推薦入試の調査書改ざん・贈収賄事件を巡り、加重収賄罪などで有罪が確定した元校長(75)の再審請求審で、最高裁は8日までに請求を棄却したことが関係者への取材で分かった。
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事故偽装し示談金詐欺 男に有罪判決 地裁浜松支部
飲酒運転の絡む交通事故を自作自演し、同乗者の女性から示談金をだまし取ったなどとして、詐欺などの罪に問われた浜松市北区の会社員の男(22)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は7日、懲役2年4月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。 高島由美子裁判官は判決理由で、被告が詐欺グループに加わった経緯を「分け前ほしさから、(誘いに)安易に応じた」と指摘し、車と衝突する歩行者役を務めるなど「犯行では、必要不可欠な役割を果たした」と断じた。一方、全額の被害弁償を済ませていることなどを考慮し、執行猶予が相当とした。 判決によると、仲間と共謀して2022年9月18日、同市中区の市道で、乗用車と歩行者
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不法残留で起訴 殺人未遂は処分保留 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は7日、御殿場市で1月中旬、ベトナム国籍の男性に切りつけたとして殺人未遂の疑いで、逮捕、送検された同国籍、住所不定、無職の容疑者(29)を、入管難民法違反(不法残留)の罪で静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は在留期間の2022年10月18日までに出国せず、23年1月23日まで御殿場市内などに居住するなどして不法残留したとされる。 同支部によると、殺人未遂容疑については、処分保留にしたという。捜査は継続する。
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「一日も早く自由の身に」 袴田さん救援議連 都内で集会
一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(86)の再審開始の可否を巡る東京高裁の決定が迫る中、袴田巌死刑囚救援議員連盟は6日、衆院第1議員会館で集会を開いた。与野党の国会議員ら約20人が出席し、袴田さんの姉ひで子さん(90)を前に「一日も早く袴田さんが自由の身になれるよう頑張りたい」と決意を新たにした。 支援団体は議連の塩谷立会長(衆院比例東海)に対し、斎藤健法相宛ての要請書を手渡した。要請書は、東京高裁が再審開始を認めた場合は検察官に特別抗告を断念させるよう、請求を棄却し死刑と拘置の執行停止を取り消した場合には釈放状態を維持するよう、指揮権の発動を求めている。 ひで子さんは「あ
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親族3人殺害の男起訴 刑事責任問えると判断 静岡地検浜松支部
浜松市中区佐鳴台の住宅で2022年3月、無職の男性=当時(79)=ら3人を殺害したとして、静岡地検浜松支部は3日、殺人の罪で男性の孫の無職の男(23)を静岡地裁浜松支部に起訴した。2回の鑑定留置の結果、刑事責任を問えると判断した。裁判員裁判の対象になる。 起訴状によると、被告は同年3月8日夜、自宅で、男性と男性の妻で美容師の女性=同(76)=、被告の兄で同区萩丘の会社員の男性=同(26)=の3人を殺害したとされる。いずれもハンマーなどで頭部を多数回にわたって殴打するなどの暴行を加え、外傷性くも膜下出血や外傷性ショックで死亡させたとみられる。 同支部は22年4月、被告の事件当時の精神状態を
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牧之原の中国人男性殺害 被告に実刑判決 静岡地裁
牧之原市片浜の会社員の男性=当時(41)、中国籍=が殺害された事件で殺人と窃盗の罪に問われた菊川市本所、中国籍の無職の被告(48)の裁判員裁判判決公判で、静岡地裁は3日、懲役11年(求刑懲役18年)を言い渡した。 国井恒志裁判長は判決理由で「犯行経緯は短絡的で強い非難に値するが、未必的な殺意にとどまる」と指摘。「殺人については自首が成立する」とも述べた。 判決によると、被告は2021年7月8日、牧之原市片浜の男性宅で、男性の背中などを金属バットで多数回にわたって殴打し、殺害。その際、男性の携帯電話などを盗んだ。
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伊豆・廃棄物混じり土砂流出 宗教法人に賠償命じる 静岡地裁沼津支部
宗教法人の敷地に搬入された廃棄物混じりの土砂が市有地に流出しているとして、伊豆市が宗教法人平和寺本山(同市大平柿木)女性代表役員ら4人に廃棄物と土砂の除去や約3495万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、静岡地裁沼津支部(斎藤巌裁判官)は3日、同法人に約3113万円の支払いと土砂の除去を命じた。 判決などによると、崩落防止措置を講じることなく、大量の廃棄物と土砂を敷地内に不法投棄し市有地に流入させた。土砂の除去のほか、市が行った水質・土壌検査や柵の設置費などを賠償すべきとした。 菊地豊市長は「主張がおおむね認められたことには安堵(あんど)しているが、住民の安心感が得られたわけではない。
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商業施設で夫婦死傷 運転の74歳に有罪判決 静岡地裁浜松支部
浜松市浜北区の商業施設「プレ葉ウォーク浜北」で2022年8月、軽乗用車を運転中に70代の夫婦に衝突して女性を死亡させ、男性にけがを負わせたとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた同区西美薗、無職の女(74)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は3日、禁錮2年6月、執行猶予5年(求刑禁錮2年6月)を言い渡した。 大村泰平裁判官は判決理由で、ブレーキとアクセルを踏み間違える基本的な誤りをした過失は大きく、警察官の到着まで車から降りなかった事故後の対応も芳しくないと指摘した。一方、執行猶予を付けた理由について、一時的なペダル操作の誤りで「同種の過失運転致死傷罪の中で非難の程度が特に
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会社の資金着服 元財務課長起訴 地検富士支部
静岡地検富士支部は1日、富士市の食品用素材製造業「日本食品化工」富士本社の口座から約3300万円を着服したとして、業務上横領の罪で岡山県倉敷市、同社の元財務課長で仕分け作業員の男(52)を静岡地裁富士支部に起訴した。 起訴状によると、被告は財務課長の立場を利用し、昨年1月11日から同年8月15日までの間、同社名義の預金口座から56回にわたり現金計約3300万円を引き出し、私的に使うために着服したとされる。 同社は被告が約10年間で計約3億800万円を着服していたと公表している。
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旧優生保護法問題 「全面救済」を要請 静岡県弁護士会が声明
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反として、聴覚に障害のある静岡県内の女性が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁が旧法を違憲と判断、国に1650万円の賠償を命じたことを受け、県弁護士会は28日、被害者の全面的な救済を求める伊豆田悦義会長名の声明を公表した。 声明は、静岡地裁判決を高く評価した。不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用を制限したのが全国で5件目だったとして「司法は、正義公平の観点から被害者の救済姿勢を完全に固めた」と指摘し、国に対して控訴しないよう強く要請した。 その上で、一時金支給法の抜本的な見直しや優生思想に基づく
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証拠開示大きな役割 袴田さん再審請求審と日野町事件の共通点
大阪高裁が27日に再審開始を認めた「日野町事件」は、3月13日に東京高裁の再審可否決定を控える袴田巌さん(86)の第2次再審請求審の経過と共通点が見られる。ともに、再審開始の判断が導かれる上で検察官の手元に残されていた証拠の開示が大きな役割を果たし、再審開始決定に対して検察官が即時抗告したため請求審が長期化。関係者は速やかな救済に向け、規定が乏しい再審法(刑事訴訟法の再審規定)を改正する必要性に言及した。 「(検察官は)特別抗告すべきではない。いたずらにわれわれの時間を奪うべきではない。一日も早く再審公判を開いてほしい」。大阪高裁決定後の記者会見で、再審請求を申し立てていた阪原弘元受刑者の
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富士宮の祭りで露店不正 組員ら3人追起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は27日、富士宮市の「富士山本宮浅間大社の秋季例大祭」で露店の出店権を不正に取得したとして詐欺の罪で、指定暴力団山口組藤友会組員ら3人を静岡地裁沼津支部に追起訴した。 追起訴されたのは、組員の男(77)=富士市中里、無職=と男(66)=裾野市深良、無職=、露天商の女(55)=富士市中里=の3被告。 起訴状などによると、組員の男(77)と露天商の女(55)は共謀して2022年10~11月、暴力団員が実質経営する露店であることを隠して、祭りの運営委員会などに出店申込書や誓約書などを提出し不正に出店の権利をだまし取ったとされる。男(66)も同様の内容とされる。 3被告は「沼津
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弁護団「勝訴の流れ加速」 国に控訴断念要請へ 強制不妊、静岡も違憲
旧優生保護法(1948~96年)に基づく強制不妊手術を憲法違反と認め、国に賠償を命じた24日の静岡地裁判決を受け、原告の弁護団は静岡市葵区で記者会見を開いた。大橋昭夫団長は「原告の苦しみを理解した判決だと評価したい。きっぱりと国の優生思想を断罪したことは、(一連の訴訟で)勝訴の流れを加速させる」と期待を込めた。 聴覚に障害のある県内の女性は2019年、静岡地裁に国を提訴した。前年、県聴覚障害者協会の小倉健太郎事務局長や前田智子事務局次長が被害実態調査で初めて面会。「国に賠償を求める裁判を起こすことができる」と伝えたが、女性はすぐにはのみ込めない様子だった。以後、30回以上対面する中で少しず
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強制不妊 静岡も違憲判断 地裁判決 国に賠償命令
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反として、聴覚に障害のある県内の女性が国に3300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は24日、旧法は違憲と判断し、国に1650万円の支払いを命じた。一連の訴訟で、国への賠償命令は昨年の大阪、東京両高裁と今年1月の熊本地裁に続き4例目。 不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」をどう扱うかが焦点だった。原告側は「前代未聞の人権侵害を時の経過によって不問に付すことは許されない」と主張し、国側は適用するよう求めてきた。 増田吉則裁判長は判決理由で「国が全国的かつ組織的な施策によって優生手術を強いられた事実を
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かけ子監禁 懲役7年 地裁沼津支部判決「特殊詐欺でも役割」
特殊詐欺グループから脱退しようとした「かけ子」の監禁事件で、監禁や暴行、詐欺などの罪に問われた東京都練馬区、無職の男(32)の判決公判で、静岡地裁沼津支部は24日、懲役7年(求刑懲役8年)を言い渡した。 判決で室橋秀紀裁判官は、監禁事件で「かけ子の調達や管理の一翼を担っていた被告が、共犯者に指示して犯行を主導した」と指摘。詐欺事件では、特殊詐欺グループの主犯格とかけ子らの間に立って重要な役割を果たしたと述べた。 判決によると、被告はいずれも無職の男(22)=沼津市、監禁と暴行罪で有罪判決が確定=と別の男(22)=富士宮市、監禁罪で有罪判決が確定=と共謀し、昨年3月、脱退しようとしたかけ子
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強制不妊、国に賠償命令 旧優生保護法訴訟で静岡地裁判決
旧優生保護法下で不妊手術を強いられたとして、聴覚に障害のある静岡県内の女性が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は24日、旧法を違憲と判断し、国に1650万円の支払いを命じた。一連の訴訟で、国への賠償命令は地裁段階では2例目。
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伊東メガソーラー改善命令 経産省「取り消し適切」 市、回答明かす
伊東市は市内の大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設で、経済産業省が事業者の伊豆メガソーラーパーク合同会社に出していた再エネ特措法に基づく改善命令を取り消したことで同省に説明を求め、回答を得た。小野達也市長が22日の定例記者会見で内容を明らかにした。 事業者と同市は静岡地裁で係争中。事業者が市のメガソーラー規制条例に基づく市長の同意義務や事業の中止義務がないことの確認を求めている。経産省は市から条例違反との情報提供を受け、改善命令を出した。 市によると、経産省は回答で「訴訟における状況等を踏まえ、現時点においては改善命令の取り消しが適切であると判断した」とした。また「省として条例違反に関
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児童送迎中に飲酒ひき逃げ 元NPO職員の男に1年6月求刑 地裁浜松支部公判
湖西市で2022年12月、業務で児童を送迎中に乗用車を飲酒運転して事故を起こし、その場から逃走したとして、自動車運転処罰法違反(過失傷害アルコール等影響発覚逸脱)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた元NPO職員、無職の男(60)の公判が21日、静岡地裁浜松支部で開かれた。検察側は懲役1年6月を求刑し、結審した。 検察側は、被告が今回の事件以前にも数回、勤務中に飲酒していたと指摘。「(飲酒運転などの)常習性は否定できない」と主張した。弁護側は、アルコール依存症治療に前向きなことや、運転免許再取得の意思がないことを理由に執行猶予付き判決を求めた。 起訴状などによると、被告は22年12月5日
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ネイルサロン放火 元従業員を起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は21日、勤務先のネイルサロン店内に火を付けたとして、現住建造物等放火などの罪で富士市、元従業員の無職の女(27)を静岡地裁浜松支部に起訴した。裁判員裁判の対象となる。 起訴状などによると、被告は2018年3月26日午後6時10分ごろ、当時袋井市内にあったネイルサロン事務室に何らかの方法で火を放ち、建物の一部を焼損させたなどとされる。店舗は2階建てで2階が住居部分だった。
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放課後デイ理事長 別施設の詐欺認める 地裁浜松支部公判
浜松市のNPO法人「アンへレス」が放課後等デイサービス施設の運営に関する給付金を詐取したとされる事件で、詐欺の罪に問われた同市中区、同法人理事長の女(65)の第2回公判が20日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれた。追起訴された別の放課後等デイサービス施設に関する詐欺罪の審理が行われ、被告は起訴内容を認めた。 起訴状などによると、被告は2019年から20年までの間に、同市北区の「天使の部屋 初生教室」で児童発達支援管理責任者(児発管)を配置したように装って8回にわたり市に障害児通所給付費を請求し、不正受給額642万円を含む給付費3737万円をだまし取ったとされる。 被告は同市中
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再審法改正に向け奔走 判断しやすい環境追求【最後の砦 刑事司法と再審⑨/第2章 語り始めた元裁判長㊦】
一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(86)の再審開始決定を静岡地裁の裁判長時代に手がけた村山浩昭さん(66)は、その当時から「裁判員の方には気付かされることが多い」と口にしていた。 「人の一生を左右するような事件についてチームを組み、真剣に議論する。互いに歩んできた人生が違うから、いろいろな経験則が提出される。量刑にもその価値観が結構反映される。非常に新鮮な経験だった」 一般の市民が刑事司法に関わる意義はどこにあるのか。村山さんは「大上段に言うと、司法は国家権力を行使する一つの場。以前は市民の手が届きにくかったと思う」と説明。その上で「市民の方と法曹三者が一緒に裁判すること
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富士市立中央病院 薬剤師を懲戒免職 強制わいせつで有罪
富士市は17日、エステ店の女性従業員にわいせつな行為をしたとして強制わいせつ罪で有罪判決を受けた市立中央病院の男性薬剤師(33)を同日付で懲戒免職処分にしたと発表した。 静岡地裁沼津支部の判決によると、男性は2022年7月15日、市内の建物の一室で20代の女性からマッサージを受けていた際に、女性にわいせつな行為をしたとされる。同支部は16日、懲役2年、執行猶予3年の判決を下した。 小長井義正市長は17日、「安心安全を守る立場の市職員が不祥事を起こし、信頼を損なう結果となり深くおわびする。二度と起こすことのないよう、綱紀粛正に努め、信頼回復に向けて全力で取り組む」とコメントした。
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事故起こし後続車盗む 男に懲役5年求刑 静岡地裁
島田市内の新東名高速道で追突事故を起こした後、後続のワゴン車を盗んで逃走したなどとして、窃盗などの罪に問われた大阪市西成区、塗装工の被告(43)の論告求刑公判が17日、静岡地裁(谷田部峻裁判官)で開かれ、検察側は懲役5年を求刑した。 論告で検察側は「救助のために停車した被害者の善意を踏みにじる悪質で身勝手な犯行」と指摘した。 起訴状によると、被告は2020年12月14日午前0時25分ごろから同55分ごろまでの間、千葉県柏市内で40代男性の乗用車を盗んだとされる。その後、この乗用車に乗って島田市内の新東名高速道下りで追突事故を起こし、別の40代男性のワゴン車を盗んで逃走したなどとされる。
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規定乏しい再審法制 請求審の審理手探り 証拠開示の重要性説く【最後の砦 刑事司法と再審⑦/第2章 語り始めた元裁判長㊤】
〈拘置をこれ以上継続することは、耐えがたいほど正義に反する。一刻も早く身柄を解放すべきである〉 一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(86)の再審開始を認めた2014年の静岡地裁決定は、「犯行着衣」をはじめとする重要証拠が捜査機関によって捏造(ねつぞう)された疑いを指摘した。死刑の執行のみならず拘置の執行も停止。「島田事件」など過去の死刑確定事件では再審無罪判決を前に釈放されたことはなく、初めてのケースとなった。 裁判長として静岡地裁決定に携わった村山浩昭さん(66)は定年退官する前年の20年に「再審請求審の審理について」と題する論文を発表している。主に証拠開示の重要性を
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浜松・商業施設暴走死傷 禁錮2年6月を求刑 地裁支部初公判
浜松市浜北区の商業施設で2022年8月、軽乗用車を運転中に70代の夫婦に衝突して女性を死亡させ、男性にけがを負わせたとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた同区西美薗、無職の被告(73)の初公判が16日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。検察側は禁錮2年6月を求刑し、結審した。 検察側は冒頭陳述などで、被告が駐車するために停止しようとした際、アクセルとブレーキを踏み間違えたと説明。事故を起こした後に車から降りようとせず、救護義務を尽くそうとしなかったと主張した。弁護側は、月命日に事故現場で献花をして反省していることや、免許再取得の意思
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袋井の強盗事件 見張り役に有罪 地裁浜松支部判決
袋井市の50代男性宅に暴力団組員の男ら3人が押し入り、金品を奪ったとされる事件で、見張り役を務めたとして強盗ほう助の罪に問われた大阪市、飲食店員の被告(40)の判決公判で、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)は16日、懲役3年、執行猶予4年(求刑懲役3年6月)を言い渡した。 高島裁判官は判決理由で、本件の被害結果は重く、被告が見張り行為によって相当額の報酬を得たことは厳しい非難に値するとした。一方で、見張り行為が犯行に不可欠な役割だったとは言い難く、犯行を認めて被害者に弁償していることなどを考慮し、「直ちに実刑に処すべき事案とまでは言い難い」と述べた。 判決によると、被告は2022年9月
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アパートの自室放火 男を起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は16日、現住建造物等放火の罪で浜松市の無職の男(47)を静岡地裁浜松支部に起訴した。裁判員裁判の対象となる。 起訴状によると、被告は2022年10月1日午前5時ごろ、アパートの自室に食用油をまいて放火し、壁や天井など計19平方メートルを焼損させたとされる。
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強制わいせつの薬剤師に有罪判決 地裁沼津支部
強制わいせつの罪に問われた富士市立中央病院の薬剤師の被告(33)=同市=の初公判が16日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判官)で開かれ、起訴内容を認めた。即日結審し、検察側が懲役2年を求刑したのに対して地裁支部は懲役2年、執行猶予3年を言い渡した。 野沢裁判官は判決理由で「わいせつ行為は強度」とする一方、被害弁償に努めるなど反省の意思を示しているとして社会内での更生が相当とした。 判決によると、被告は昨年7月15日、県東部のエステ店で、20代の女性従業員にマッサージを受けた際、女性にわいせつな行為をした。
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裁判の仕組みや裁判員制度「周知必要」 経験者ら意見交換 地裁沼津支部
静岡地裁沼津支部は16日、裁判員経験者と法曹三者(裁判官と検察官、弁護士)の意見交換会を沼津市の同支部で開いた。改正少年法の施行により18、19歳の裁判員が選ばれるようになる中、経験者からは若い世代の参加を前向きに捉えつつも、刑事裁判の仕組みや裁判員制度を周知する必要性を指摘する声が聞かれた。 殺人や保護責任者遺棄致死などの事件で裁判員を務めた7人が出席した。会社員の桐部聡さん(38)は「評議には人生経験豊富な人たちが加わるので、積極的に意見を言うべき」と好意的に受け止めた。会社経営の赤池富士夫さん(72)は「孫世代が選ばれると考えると、罪を決める重さに耐えられるか」と複雑な心境を吐露。民
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露店不正組員ら起訴内容認める 地裁沼津支部初公判
暴力団員が実質経営する露店であることを隠し、「沼津夏まつり・狩野川花火大会」と三島市の「三嶋大祭り」での露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた指定暴力団山口組藤友会組員の無職の男(77)=富士市中里=と露天商の女(55)=同=両被告の初公判が15日、静岡地裁沼津支部(谷本奈央裁判官)で開かれ、ともに起訴内容を認めた。 冒頭陳述で検察側は、男が複数の露店の経営に関わり売り上げを管理し、女は露店の営業に従事していたと指摘した。今後、追起訴する方針を明らかにした。
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木くず不法投棄 男に罰金30万円 地裁沼津支部判決
長泉町の山林に造園や樹木の剪定(せんてい)で出た木くずなどを不法投棄したとして、廃棄物処理法違反の罪に問われた山林所有者の農業の男(75)=同町=の判決公判で、静岡地裁沼津支部は15日、罰金30万円(求刑罰金50万円)を言い渡した。 弁護側は、木くずなどが廃棄物に該当せず、造園会社との共謀も成立しないとして無罪を主張していた。判決で谷本奈央裁判官は、造園会社から処分に対する報酬を得ていたことや投棄場所の状況などから「廃棄物をみだりに捨てたと認めるのが相当。周囲の環境に悪影響を与える状態と認識していた」と判断。造園会社との共謀も認定した。 判決によると、被告は造園会社関係者と共謀し昨年5月
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用心棒料受け取り 組幹部ら3人起訴 静岡地検
静岡地検は14日、県暴力団排除条例違反の罪で、指定暴力団稲川会森田一家幹部の無職の男(49)=静岡市葵区駒形通6丁目=と同一家組員の無職の男(38)=同市駿河区小鹿1丁目=、無職の男(41)=藤枝市瀬古1丁目=の3容疑者を静岡地裁に起訴した。起訴状によると、3人は共謀の上、2022年12月18日、静岡市葵区両替町で社交飲食店を営む経営者から、焼酎の購入代金名目で用心棒料4万円を受け取ったとされる。 地検は、森田一家幹部の無職の男(49)らとともに県暴力団排除条例違反の疑いで逮捕された解体工と塗装業の男性2人については処分保留で釈放した。
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交通事故偽装の示談金詐欺 被告1人に2年6月求刑 地裁浜松支部
飲酒運転の絡む交通事故を自作自演し、同乗者の女性から示談金をだまし取ったなどとして、詐欺や詐欺未遂の罪に問われた浜松市北区の会社員の男(22)、ともに住所不定、無職の男(22)、男(21)の3被告の初公判が14日、静岡地裁浜松支部で開かれた。会社員の男(22)は起訴内容を一部否認し、無職の男(22)、男(21)は認めた。会社員の男(22)の審理は即日結審し、検察は懲役2年6月を求刑した。 検察側は冒頭陳述などで、会社員の男(22)は無職の男(22)らに誘われて詐欺グループに加わったと明らかにし、事故偽装では歩行者役を務めるなど「重要な役割を担った」と指摘した。弁護側は「(詐欺の算段や配置な
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露店不正 組員ら起訴内容認める 地裁沼津支部初公判
静岡県東部の祭り会場での露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた指定暴力団山口組藤友会組員の無職の男(66)=裾野市深良=と清掃員の女(52)=同市公文名=両被告の初公判が14日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、ともに起訴内容を認めた。 冒頭陳述で検察側は、無職の男(66)が暴力団組員のため出店許可を得られないと認識し、女に露店の売り子をやるよう頼み、売上金を得ていたと指摘。静岡県東部の二つの祭りで、女が報酬計6万5千円を受け取っていたと明らかにした。今後、追起訴する方針も示した。 起訴状などによると、両被告は昨年6~8月、暴力団員が実質経営する露店であることを隠し、
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入浴施設侵入の公安庁職員に罰金 静岡簡裁
露天風呂に入浴中の女性を狙った組織的な盗撮事件で、静岡区検は13日、建造物侵入の罪で、公安調査庁の男性主任調査官(31)=東京都東久留米市=を静岡簡裁に略式起訴した。簡裁は同日、罰金10万円の略式命令を出した。 略式命令などによると、主任調査官は2020年3月14日、女性をひそかに撮影する目的で兵庫県内の入浴施設に侵入した。
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熊本の判決踏まえ 原告側主張追加へ 浜松・旧優生保護法訴訟
旧優生保護法下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、浜松市の視覚障害者の女性(74)が国に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が13日、静岡地裁浜松支部で開かれた。原告側は同法を巡る一連の訴訟で、国に賠償を命じた1月23日の熊本地裁判決を踏まえ、追加で主張する予定を明らかにした。 同法を巡る訴訟では不法行為から20年間で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用の可否が争点になっている。熊本地裁判決は「除斥期間の適用は著しく正義、公平の理念に反する」とし、損害賠償請求を認めた。 口頭弁論後の報告会で弁護団は同判決について、不妊手術を受けた被害者を個別・具体的な事情ではなく「一律に救済すべ
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「若い世代こそ裁判員を」 経験者、法曹三者と意見交換 静岡地裁
静岡地裁は13日、裁判員経験者と法曹三者(裁判官と検察官、弁護士)の意見交換会を静岡市葵区の地裁で開いた。経験者の男女4人が裁判員裁判を「良い経験になった」と振り返り、「若い人たちこそ参加してほしい」と口をそろえた。 改正少年法が施行され、今年から18、19歳も裁判員に選ばれる可能性がある。50代の会社員大塚毅純さんは「社会の価値観が変わって新しい犯罪も生まれる中で、多様な意見を戦わせて一つの結論を導くことが今まで以上に大事になる」との考えを示し、さまざまな世代や立場の人が裁判員裁判に関わる意義を語った。 改善すべき点として、育休中に裁判員を経験したという40代の女性公務員は、子どもの預
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死亡ひき逃げ 男に懲役3年 静岡地裁浜松支部判決
浜松市西区の市道で2022年11月、ワゴン車を運転中に横断歩道を渡っていた男性をはねて死亡させ、そのまま逃走したとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた同区雄踏町宇布見、設備業の男(43)の判決公判で静岡地裁浜松支部は10日、懲役3年(求刑懲役5年)の実刑判決を言い渡した。 大村泰平裁判官は判決理由で、ワゴン車のフロントガラスの破損状況から「被告は被害者に重傷を負わせたと十分認識しながらその場から逃走した」と指摘。男性をはねてからまもなく現場に戻ったものの、「交通事故を起こした者として無責任と言わざるを得ない」などと実刑の理由を述べた。 判決など
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浜北の社長強殺 二審も無期懲役 東京高裁判決
2019年に浜松市浜北区の会社社長の男性=当時(38)=を借金の返済を免れる目的で殺害したなどとして、強盗殺人や詐欺の罪に問われた東京都杉並区、元会社役員の男(44)の控訴審判決で東京高裁(島田一裁判長)は10日、無期懲役とした一審静岡地裁浜松支部の裁判員裁判判決を支持し、強盗殺人罪の成立を争った弁護側の控訴を棄却した。 弁護側は、被告は男性から「金を返さなければ家族に危害を加える」との要求を受けていたと指摘。殺害の理由は家族を守るためだったとして「殺人罪にとどまる」と主張していた。 島田裁判長は被告が事件前に家族の安全確保について警察や弁護士に相談していなかった点などを踏まえ、「借金返
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沼津の女子大生刺殺 検察、被告の無期懲役求める 控訴審初公判
沼津市西浦久連で2020年6月、大学生の女性=当時(19)=を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われ、一審の静岡地裁沼津支部の裁判員裁判で懲役20年の判決を受けた被告の男(22)=住所不定、無職=の控訴審初公判が10日、東京高裁(安東章裁判長)で開かれた。一審判決を量刑不当としていた検察側は再び無期懲役を求め、即日結審した。判決は3月15日。 検察側は控訴趣意書で、ストーカー殺人類型の裁判例を示し、同類型の量刑傾向などを踏まえれば、無期懲役が相当と主張。弁護側は答弁書で「ストーカー殺人に限定したくくりではなく、行為の危険性や結果の重大性などで判断すべき」と一審判決を支持
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飲酒ひき逃げ 起訴内容認める 地裁浜松支部初公判
湖西市で2022年12月、業務で児童を送迎中に乗用車を飲酒運転した上、事故を起こしたにもかかわらず、その場から逃走したとして、自動車運転処罰法違反(過失傷害アルコール等影響発覚免脱)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた元NPO職員、無職の男(60)=同市古見=の初公判が9日、静岡地裁浜松支部(杵渕花絵裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。 検察は冒頭陳述などで、被告は事件当時、障害のある小学生らに放課後デイサービスを提供するNPOに勤務し、児童らを自宅に送迎する業務中に事故を起こしたと主張。事故前に、コンビニで複数回にわたって酒を購入していたことや、被告にアルコール依存症の治療歴が
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元県職員に有罪判決 公共工事巡り背任 静岡地裁
静岡県発注の公共工事に絡んで虚偽の設計公文書を作成し、請負代金を増額させるなどして県に損害を与えたとして虚偽有印公文書作成・同行使と背任の罪に問われた三島市、元県職員の被告(32)=依願退職=の判決公判で静岡地裁は8日、懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。 判決理由で国井恒志裁判長は、被告が土木技師として公共工事の設計積算や監督する職務に従事していたと説明し、「公文書に対する信頼性を大きく損ない、誠実かつ公正に職務遂行する任務に背いた」と指摘。動機については予算を消化するためで「経済的利益の目的がなかったとしても短絡的で非難は免れない」と述べた。 一方、被告が反省態度を示
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事故偽装し詐欺 男3人を起訴 静岡地検浜松支部
浜松市中区で若い男のグループが飲酒運転の絡む交通事故の自作自演を繰り返し、同乗者から示談金をだまし取ったとされる事件で、静岡地検浜松支部は8日までに、詐欺の罪で、ともに住所不定、無職の男(21)、男(22)の両被告=別の詐欺、詐欺未遂事件で起訴=を静岡地裁浜松支部に追起訴し、同市の建設業の男(30)を同支部に起訴した。追起訴、起訴は7日付。 起訴状などによると、3人は共謀して2022年8月16日夜、同市中区の市道で、乗用車と歩行者の衝突事故を計画的に起こし、同乗の女性(当時21)に事故の示談金を請求して118万円をだまし取ったとされる。 無職の男(21)は運転者、無職の男(22)は同乗者
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社説(2月7日)秘書官が差別発言 問われるは政権の見識
LGBTなど性的少数者や同性婚制度を巡り、岸田文雄首相の荒井勝喜秘書官が信じ難い差別発言をした。性的少数者には「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」。同性婚の導入は「国を捨てる人、この国にはいたくないと言って反対する人は結構いる」と話したという。 荒井氏は広報担当として、官邸の情報発信や報道対応を務めていた。政権中枢にいる首相側近としてあってはならない暴言だ。加えて表現もここまで言うかというほど強烈だ。人権意識の欠如は甚だしい。発言は匿名を原則とする非公式取材の中で飛び出した。だからこそ本音が出たとすれば根深い差別意識を感じる。 首相は「言語道断の発言だ」とその翌日に荒井氏を更迭した。し
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再審法改正の必要性を実感 袴田さん請求審元裁判長 検察の証拠開示法制化を 「国会で議論して」
袴田事件で死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(86)の再審開始と死刑・拘置の執行停止を2014年に静岡地裁の裁判長として決めた村山浩昭氏が6日、静岡新聞社の取材に応じた。再審請求審を経験したことで、再審法(刑事訴訟法第4編再審)に規定が乏しいことを実感したという。法改正の必要性を認め「立法機関の国会で、きちっと議論してほしい」と強調した。 村山氏は21年に定年退官した。報道機関の対面インタビューに応じるのは初めて。袴田さんの再審開始決定に対しては検察官が即時抗告したため、確定していない。東京高裁は同日、再審開始の可否判断を3月13日に示すと弁護団に通知した。
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袴田さん再審可否 姉ひで子さん「命ある限り戦う」 逮捕から56年、都内では支援集会
強盗殺人罪などで死刑判決が確定し裁判のやり直しを求める袴田巌さん(86)=浜松市中区=の再審開始の可否を東京高裁が3月13日に決めると明らかになったのを受け、姉のひで子さん(89)が6日、同区の自宅で取材に応じ、「(袴田さんの逮捕から)56年間戦ってきた。一区切りにしたい。再審開始をひたすら願う」と心境を語った。都内では再審開始を訴える支援者の集会も開かれた。 ひで子さんは6日午前、支援者から電話で東京高裁の決定日を伝えられた。袴田さんは昼前に起床し、午後からは支援者の自動車で外出した。「巌の中で事件は終わっているから」と、ひで子さんは決定日を告げなかった。当日、袴田さんが東京高裁に向かう
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袴田巌さん再審可否 3月13日に判断 東京高裁、血痕の変色争点
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(86)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高裁(大善文男裁判長)は、再審開始の可否決定を3月13日午後に出すことを決めた。弁護団が6日、報道陣に明らかにした。 事件は、発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクでシャツなど「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた。しかし、付着した血痕には赤みが残り、弁護団は「不自然」として捏造(ねつぞう)された証拠だと指摘。長期間みそに漬かった血痕に赤みが残るかどうかが差し戻し審の焦点となった。 弁護団は、みそ
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強制わいせつの元保育士に実刑 静岡地裁沼津支部判決
勤務先の保育園で女児にわいせつな行為をした上、裸体を撮影したとして強制わいせつと児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた神奈川県湯河原町、元保育士の男(29)の判決公判で静岡地裁沼津支部は3日、懲役5年6月(求刑懲役6年)の実刑判決を言い渡した。 判決理由で室橋秀紀裁判官は、犯行態様は悪質、身勝手で「自己の性的欲求に赴くまま犯行を繰り返し、常習性も顕著」と認定。被害女児は18人に上り「本来、児童らを保護するべき保育士という立場を悪用した」と厳しく非難した。 弁護側は被告が小児性愛と診断されたと主張していたが、室橋裁判官は「(被告は)自身の性的嗜好(しこう)を認識し、欲求充足のために一
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焼津の元社長再び否認 カツオ盗「指示したことない」 静岡地裁公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた神奈川県の運送会社「ホクユウ」(現ケイエスケイ)元社長(49)と同市の水産加工会社「大熊フーズ」元社長(57)、都内の水産加工会社「大洋エーアンドエフ」元焼津営業所長(47)の公判が2日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であり、「大熊フーズ」元社長、「大洋エーアンドエフ」元焼津営業所長の被告人質問が行われた。元社長は「(「ホクユウ」(現ケイエスケイ)元社長に)相談したこともなければ『この船の魚を持ってこい』と指示したこともない」と述べ、改めて共謀を否認した。 「大熊フーズ」元社長はその上で、反省すべき点として「(盗まれた可能性が
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元静岡市消防局の課長に懲役5月 静岡地裁判決
静岡市内でオートバイを酒気帯び運転したとして、道交法違反罪に問われた同市葵区、元市消防局葵消防署警備第1担当課長の野崎直文被告(53)の判決公判で静岡地裁は1日、懲役5月(求刑懲役6月)の実刑判決を言い渡した。 判決理由で国井恒志裁判官は、犯行直前に中ジョッキビール計8杯を飲酒していたとし「基本的な交通法規を意図的に破った」と認定。「酩酊度は相当高く、人を死傷させる危険性の高い犯行態様」と指摘した。 野崎被告は2019年9月にも別の道交法違反事件で有罪判決を受けたが、勤務先に報告せず公務員として働き続けていた。今回の飲酒運転は執行猶予期間の満了後わずか1カ月だったことに触れ、国井裁判官は
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静岡県職員の工事費水増し 8日地裁判決 予算消化優先の組織風土「余れば上司に迷惑」重圧か
行政予算は使い切るべきか-。公共工事の予算を消化するため虚偽の公文書を作成し、事業費を増額させて県に損害を与えたとして虚偽有印公文書作成・同行使と背任の罪に問われた県職員の男の判決が8日に静岡地裁で言い渡される。 男は起訴内容を認め、「予算を全て執行しなければいけない雰囲気が(職場に)あった」と証言。公判では事業費の抑制より予算消化を優先的に捉える組織風土の一端も浮き彫りになった。その背景に専門家は「公務員は予算額通りに仕事を進めることが職務評価につながる傾向がある」と分析する。 「予算が余れば迷惑がかかる」。法廷で動機を語ったのは県職員の男(32)=停職4カ月の懲戒処分=。県下田土木事
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袴田さん 差し戻し審 3月中旬、再審可否決定へ 東京高裁意向
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(86)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高裁が、再審開始の可否を3月中旬に決定する意向を示していることが31日、関係者への取材で分かった。候補日を複数提示し、弁護団に希望日を回答するよう求めている。 高裁は弁護団の希望を踏まえ、1カ月前には決定日時を告知するとみられる。 事件は、発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクでシャツなど「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた。しかし、付着した血痕には赤みが残り、弁護団は「不自然」として捏造(ねつ
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かけ子監禁と詐欺 懲役8年を求刑 地裁沼津支部公判
特殊詐欺グループから脱退しようとした「かけ子」の監禁事件で、監禁や暴行、詐欺などの罪に問われた東京都練馬区、無職の男(32)の論告求刑公判が31日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、検察側は懲役8年を求刑した。 検察側は、脱退しようとしたかけ子を連れてくるよう指示し、監禁中に仲間に見張らせるなど「主導的役割を果たした」と指摘。詐欺罪については「組織的犯行で、被害結果も重大」と述べた。弁護側は公判で認める方針に転じたとした上で「詐欺事件はかけ子のリクルーターや連絡調整役に過ぎなかった。首謀者ではない」と訴えた。 起訴状などによると、被告は仲間と共謀し、昨年3月9日から12日までの
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JA富士市元職員3人起訴 虚偽口座不正利益
JA富士市(現JAふじ伊豆)の貯金口座管理システムに2680万円の預け入れがあったとの虚偽の情報で口座を作り、不正に利益を得たとされる事件で、静岡地検富士支部は31日、電子計算機使用詐欺罪で元職員の男3人を静岡地裁富士支部に起訴した。 起訴されたのは、いずれも富士市の会社員の男(59)、景品交換所従業員の男(71)、量販店従業員の男(66)の3被告。 起訴状によると、3人は共謀して2017年4月6~7日、同JAの貯金残高管理などに使われる電子計算機に口座を開設。2680万円の預け入れがあったとの虚偽の情報を与えて架空の電磁的記録を作り、同額の財産上不法な利益を得たとされる。当時支店長だっ
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証拠開示命令申し立てへ 元天竜市長・再審請求 行動記録、弁護側が裁判所に
旧天竜林高(浜松市天竜区)で起きた調査書改ざん・贈収賄事件で、贈賄罪で罰金70万円の略式命令を受けた元天竜市長(90)による再審請求の非公開の三者協議が30日、浜松簡裁で開かれた。現金の授受があったとされる日の元天竜市長の詳細な行動記録を明らかにするため、弁護側は近く検察に証拠開示を命じるよう裁判所に申し立てる。 杉尾健太郎弁護士が協議後の記者会見で説明した。これまでの協議で、検察側は証拠開示に否定的な考えを示している。 弁護側はこの日の協議で、元天竜市長が現金を渡すために高校を訪れたとされる時間帯に「元天竜市長は銀行にいた可能性が排除できない」という趣旨の意見書を提出した。銀行の退店記
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再審法改正項目提言へ 日弁連30年ぶり意見書 「今春公表」検討
日本弁護士連合会が、不備が指摘される再審法(刑事訴訟法の第4編再審)の改正意見書を今春にも公表する方向で検討していることが29日、関係者への取材で分かった。改正意見書は約30年ぶりとなる。再審請求審での証拠開示手続きの法制化や再審開始決定に対する検察官抗告の禁止をはじめ、再審開始の要件緩和や請求権者の範囲拡大など幅広く提言する見通しだ。 具体的には、再審開始要件の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとき」の「明らかな証拠」を「事実の誤認があると疑うに足りる証拠」に緩和するほか、重大な憲法違反を理由とした再審開始も認めるべきと提案。日弁連や各地の弁護士会が公益的再審請求人になれる
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再審公判 速やかに 袴田さん支援集会 高裁可否決定控え
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(86)の支援集会が29日、同区で開かれた。再審開始の可否を巡る東京高裁の決定を控え、参加者は、再審開始が認められて速やかに再審公判に移行することを期待した。 弁護団の加藤英典弁護士が、東京高裁で行われてきた差し戻し後の即時抗告審について説明した。高裁が再審開始を認めたとしても検察官は最高裁に特別抗告できることから、加藤弁護士は「(再審可否を巡る)審理が長引いてしまう。言いたいことがあれば再審公判で主張すべきで、世論の後押しが必要」と訴えた。 過去に3度再審
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いじめ訴訟結審 6月29日に判決言い渡し 静岡地裁
静岡市の市立小で2017年度にいじめを受け、適応障害を発症したなどとして、当時5年生だった10代の男子生徒が市や同級生らに損害賠償を求めた訴訟は26日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)で結審した。判決は6月29日に言い渡される。 訴状によると、男子生徒は17年9月ごろからいじめに遭い、18年1月以降に適応障害や機能性難聴と診断され、同4月に転校した。
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「否認の元社長からの指示」 焼津カツオ盗 実行、運送の実態説明 静岡地裁公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた神奈川県の運送会社「ホクユウ」(現ケイエスケイ)元社長の被告(49)と同市の水産加工会社「大熊フーズ」元社長の被告(57)、都内の水産加工会社「大洋エーアンドエフ」元焼津営業所長の被告(47)の公判が25日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、「ホクユウ」の元社長の被告の被告人質問が行われた。「大熊フーズ」の元社長の被告は昨年10月の初公判で「共謀していない」と否認したが、「ホクユウ」の元社長の被告は「大熊フーズ」の元社長の被告からの指示でカツオを盗み、報酬を得ていたと述べた。 起訴状によると、「ホクユウ」の元社長の被告は
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浜岡原発廃炉訴訟 原告が訴え追加 静岡地裁弁論
静岡県内の弁護士らが中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)3~5号機の廃炉などを求めた訴訟の第52回口頭弁論が24日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)であった。原告側は訴えの追加的変更を申し立て、3~5号機の運転差し止めを求めた。 原告側は申立書で、原発事故が起こると、現実的かつ実効的な避難計画が策定されていないことも相まって原告の生命・身体の安全が侵害されると指摘。「原告らは人格権に基づき、原発の運転差し止めを求める権利を有する」とした。 他の原発関連訴訟では、運転の差し止めを求めていることが多いため、請求の趣旨に追加したという。
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死亡ひき逃げ 懲役5年求刑 地裁浜松支部初公判
浜松市西区の市道で2022年11月、ワゴン車を運転中に横断歩道を渡っていた男性をはねて死亡させ、そのまま逃走したとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた同区雄踏町宇布見、設備業の男(43)の初公判が24日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判官)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。検察側は懲役5年を求刑し、結審した。 検察側は冒頭陳述などで被告がひき逃げ事故の前に繁華街の飲食店3軒で飲酒していたと明らかにした。男性をはねたのは知人のところへ向かう途中で、事故後に被告の呼気から、基準値以下のアルコールが検出されたとも説明した。 弁護側は、事故後に逃走したが
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メガソーラー建設 伊東の住民、市を提訴 事業者許可取り消し求め
伊東市八幡野の大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設で、反対する地元住民29人が24日までに、同市を相手取り、市が宅地造成等規制法に基づいて事業者に出した新たな変更許可決定処分の取り消しを求める訴訟を静岡地裁に起こした。 提訴は23日付。市は昨年7月25日、事業者に2度目の変更許可を出していて、原告はその処分の取り消しを求めている。住民はこれまでも市を相手に、宅造法に基づく事業許可処分の無効確認などを求めて提訴したが、2021年12月に「原告適格を欠く」などとして敗訴。現在、東京高裁に控訴している。 今回の提訴に至った理由として、2度目の変更について申請も許可も住民に知らされなかったこと
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袋井強盗 見張り役の男に懲役3年6月求刑 静岡地裁浜松支部
袋井市の50代男性宅に暴力団組員の男ら3人が押し入り、金品を奪ったとされる事件で、見張り役を務めたとして強盗ほう助の罪に問われた大阪市、飲食店店員の被告(40)の第3回公判が23日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれた。検察は懲役3年6月を求刑した。弁護側は執行猶予付きの判決を求め、結審した。 検察は論告で、被告が被害男性を見張っている間に他の2人が金品を物色し、多額の被害が発生したと指摘。報酬として現金30万円と高級腕時計を受け取った点を踏まえ、「強盗に積極的に加わっていなくても責任は大きい」と強調した。 弁護側は、他の2人によって男性は両手両足を縛られた状態だったとし「見張
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強制不妊 国に賠償命令 熊本地裁 旧優生保護法「違憲」
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられたとして、熊本県の2人が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁は23日、旧法は差別的な思想に基づき憲法違反だと判断し、国に計2200万円の支払いを命じた。一連の訴訟で、昨年の大阪、東京両高裁に続く賠償命令となり、地裁としては初めて。被害救済の議論が加速しそうだ。=判決要旨29面へ 判決は手術の目的や手段に正当性、合理性がないとして国の賠償義務を認めた上で、両高裁同様、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する民法の「除斥期間」を適用しなかった。訴えを退けた各地裁判決は大半が除斥期間を理由としていた。弁護団は「国は真摯(しんし)に目を向
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榛原病院に賠償命令 静岡地裁 説明義務違反を認定
牧之原市の榛原総合病院で手術を受け、約2週間後に死亡した80代男性の遺族3人(御前崎市)が、運営者の同病院組合(管理者・杉本基久雄牧之原市長)に2200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は20日、説明義務違反を認め、165万円を支払うよう組合に命じた。同違反と死亡との因果関係は認めなかった。 判決などによると、男性は2016年12月、胃痛を訴え、榛原総合病院に入院した。17年1月12日、腹部大動脈瘤(りゅう)人工血管置換術を受けた。手術後に容体が悪化し、重症肺炎などを経て多機能不全になり、同28日に死亡した。 遺族側は、人工血管置換術よりも身体への負担が小さい術式があったとし「
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袋井の強盗事件 組員に懲役4年 地裁浜松支部判決
暴力団組員の男らが袋井市の50代男性宅に押し入り、金品を奪ったとされる事件で、強盗罪に問われた指定暴力団稲川会系組員の無職の男(50)=東京都新宿区=の判決公判で、静岡地裁浜松支部(杵渕花絵裁判官)は19日、懲役4年(求刑懲役6年)を言い渡した。 事件では無職の男(50)のほか、同組員の無職の男(54)=強盗致傷、住居侵入罪=、飲食店店員の男(40)=強盗ほう助罪=が起訴されている。 杵渕裁判官は判決理由で、無職の男(50)は、無職の男(54)が男性から金を回収しようとしていることを理解した上で見張り役を手配するなど強盗の共謀が認められ、「被害者の拘束や物色行為を担うなど、重要な役割を果
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元静岡市消防局の課長 懲役6月求刑 酒気帯び運転 静岡地裁公判
静岡市内でオートバイを酒気帯び運転したとして、道交法違反の罪に問われた同市葵区、元市消防局葵消防署警備第1担当課長の被告(53)の初公判が17日、静岡地裁(国井恒志裁判官)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。検察側は懲役6月を求刑し、即日結審した。判決は2月1日。 論告で検察側は、犯行時に被告の呼気から基準値の約4倍のアルコールが検出されたとし「人を死傷させかねない危険かつ悪質な行為」と指摘。職場の同僚らと宴会に参加し、ビール8杯を飲んでいたことを明かした。 被告は2019年にも別の道交法違反事件で有罪判決を受けた。今回の飲酒運転は執行猶予期間の満了後わずか約1カ月だったとして「規範意識の
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再審の請求人、拡大を 福岡事件支援者 浜松で講演
福岡市で1947年に商人2人が射殺された福岡事件で、強盗殺人罪で死刑判決を受けた西武雄さん(1975年執行)らの再審運動を支援する熊本県玉名市の僧侶古川龍樹さん(63)が14日、浜松市中区で講演した。再審を申し立てることができる請求人の対象拡大など、制度改正の必要性を訴えた。 講演会は、強盗殺人罪などで死刑が確定し、再審請求中の袴田巌さん(86)=同区=を支援する同市の団体「袴田巌さんを救う市民の会」が企画した。 福岡事件で、主犯とされた西さんは無実を訴え続け、実行犯として死刑判決確定後に恩赦で無期懲役になった石井健治郎さん(2008年に死去)も「強盗目的はない」と主張した。2人の再審請
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女児わいせつの元保育士 懲役6年を求刑 静岡地裁沼津支部公判
勤務先の保育園で女児にわいせつな行為をしたなどとして、強制わいせつと児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた神奈川県湯河原町、元保育士の男(29)の論告求刑公判が10日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、検察側は懲役6年を求刑した。 検察側は論告で「保育士としての立場を悪用し、23日間で18人に同種犯行に及んだ常習性は顕著で悪質。被害者家族に与えた影響は大きい」と述べた。 弁護側は「医師から小児性愛と診断され、性欲のコントロールが困難だった。性障害の専門治療機関に通院するなど更生意欲は高い」として執行猶予付き判決を求めた。 起訴状などによると、男は昨年6月、県東部の保育園
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「精神病」のレッテル 告発者、名誉回復できず【最後の砦 刑事司法と再審④/第1章 二俣事件の記憶③】
1950年1月の二俣事件で、強盗殺人罪などに問われた須藤少年の静岡地裁浜松支部での最終弁論を翌日に控えた同年11月23日。二俣署の現職警察官による異例の投書が「夕刊読売」の紙面に載った。〈新憲法下今なお人権を無視した拷問によりこの少年に罪をなすりつけたものである〉 告発したのは、山崎兵八さん=2001年に87歳で死去=。一家4人が殺害された現場に駆け付けた刑事の一人だった。自治体警察と国家地方警察の2系統の警察が存在した時代。手記によると、捜査を仕切った国警県本部の強力犯係、紅林麻雄警部補は「証拠は何もないが、(須藤少年は)正しく犯人。証拠集めをやってくれ」と指示を出した。取り調べの激しさ
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死刑台からの生還 冤罪晴れても消えぬ傷【最後の砦 刑事司法と再審③/第1章 二俣事件の記憶②】
〈断首台の夢をみる。思わず大声を上げてはね起きる。静まり返った深夜の拘置所で目を覚まして、何回か私は気が狂いそうな気持ちに襲われた〉 手記には、いわれのない強盗殺人の罪で死の淵に立たされた恐怖がつづられていた。 現在の浜松市天竜区二俣町で1950年1月、一家4人が殺害された事件で逮捕・起訴されたのは当時18歳の少年だった。一、二審とも死刑判決が下る。最高裁は自白の真実性が疑われるとして破棄。審理を静岡地裁に差し戻し、一転して地裁、東京高裁で無罪となり58年1月に確定した。 上告審から弁護人に加わり、後に衆議院議長も務めた清瀬一郎弁護士は同年2月の本紙に記した。〈死刑執行後、再審をやって
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憲法が照らす再審の課題 あるべき姿は【最後の砦 刑事司法と再審】
裁判をやり直すための再審請求手続きを巡り、日本国憲法の理念に照らして法の不備を指摘する声が上がっている。静岡新聞社が18歳以上の県民570人を対象に行った憲法意識調査では、6割近くが法制度を整えるべきだと回答している。問題の所在を探り、あるべき姿を考えた。 格差解消へ請求審規定必要 「今の再審制度は憲法の理念に合っていない」。日本弁護士連合会の再審法改正実現本部(本部長・小林元治会長)で本部長代行を務める鴨志田祐美弁護士(京都弁護士会)は取材にそう強調する。 再審法とは、刑事訴訟法の第4編再審を指す。現行の刑訴法は戦後、日本国憲法のもとで制定された。500を超える条文のうち、再審に関す
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釈放 今も確定死刑囚 袴田さん再審、開始可否決定へ【最後の砦 刑事司法と再審① プロローグ】
静かな時間が流れていく。弟と姉。珍しく「遠州の空っ風」が鳴りをひそめた12月のある日、穏やかな窓の外に時折顔を向けながら黙々と昼食を取った。 袴田巌さん(86)、ひで子さん(89)。2人が同じ屋根の下で暮らすようになって、間もなく9年を迎える。 袴田さんは現在の静岡市清水区にあったみそ製造会社の従業員だった1966年、専務一家4人を殺害したとして逮捕され、80年に死刑が確定した。無実を訴え、裁判のやり直し(再審)を求めている。 2014年、静岡地裁で再審開始が認められた。死刑の執行停止に加え、「耐えがたいほど正義に反する状況にある」として拘置の執行も止まり、約48年ぶりに釈放された。い
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静岡県勢競輪2選手 ブログ巡り争い 「禁止行為」書き込みに慰謝料 静岡地裁富士支部
「どけーー」という競輪競技中に禁じられている声を出したとブログに書かれたことで名誉を傷つけられたとして、ともに静岡県出身の第一線で活躍する選手同士が争った慰謝料請求訴訟の判決が28日までに、静岡地裁富士支部であった。有冨正剛裁判官は慰謝料220万円の支払いとブログへの謝罪文の掲載を求めた請求の一部を認め、被告側に88万円を支払うよう命じ、双方控訴せず確定した。 原告は49歳の男性選手=富士宮市山本=で、被告は磐田市出身の男性選手(48)=東京都中央区=。ともに最高峰の「S級S班」に所属していた時期があり、いずれも通算数百勝の実績がある。 問題となったのは2人が出場した2019年1月の大宮
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放課後デイ運営理事長 別施設でも不正受給、詐欺罪で追起訴 静岡地検浜松支部
放課後等デイサービス施設の運営に関する給付金をだまし取ったとして、詐欺罪で公判中の浜松市のNPO法人「アンヘレス」理事長の被告(65)について、静岡地検浜松支部は27日までに、運営する別の施設でも給付金を不正受給したとして、詐欺罪で静岡地裁浜松支部に追起訴した。26日付。 起訴状によると、被告は2019年6月から20年1月までの間、運営する同市北区の放課後等デイサービス施設「天使の部屋 初生教室」に児童発達支援管理責任者(児発管)を配置したように装い、市から不正受給額642万円を含む障害児通所給付費3737万円をだまし取ったとされる。被告は同市中区の「天使の部屋 葵教室」で、同様の手口で4
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袋井の強盗事件 組員に6年求刑 静岡地裁浜松支部
暴力団組員の男らが袋井市の50代男性宅に押し入り、金品を奪ったとされる事件で、強盗罪に問われた指定暴力団稲川会系組員の無職の被告(50)=東京都新宿区=の論告求刑公判が27日、静岡地裁浜松支部で開かれた。検察は懲役6年を求刑した。 事件では被告のほか、同組員の無職の被告(54)が強盗致傷と住居侵入の罪で、飲食店店員の被告(40)が強盗ほう助罪でそれぞれ起訴されている。 検察は論告で、被告は事件3日前に無職の被告から「金を持って逃げた男が見つかった。一緒に来てくれ」と頼まれ、押し入る際に使う手袋や見張り役の飲食店店員の被告を用意したと指摘。首謀者は無職の被告(54)だが、「従属的な立場にと
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県立高飛び降り「教諭を懲戒免に」 元生徒、静岡県教委に申し入れ
静岡県中部の県立高校2年生だった2016年、男性教員による執拗(しつよう)な叱責(しっせき)で急性ストレス反応が起き、校舎3階から飛び降りて負傷した女性(22)が26日、男性教員を懲戒処分するよう静岡県教育委員会に申し入れた。女性側は「免職が相当」と主張し、再発防止のため他人の目の届きにくい場所や手段での指導や叱責が行われないよう対策を求めた。 県庁で記者会見した女性は「一方的に人格を否定された。今でもあの恐怖が忘れられない。楽しみにしていた修学旅行や研修に参加できなかった。今まで通りの生活を送っている教諭を一生許せない」と述べた。 県教委は「今後、対応を検討したい」としている。 女性
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聖隷学園側の敗訴確定 最高裁、上告退ける
上司の男性教授によるハラスメントで精神的苦痛を受けたとして、聖隷クリストファー大大学院(浜松市)の元教授の女性と教え子2人が、学校法人聖隷学園や男性に計330万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)は学園側の上告を退ける決定をした。23日付。訴えの一部を認め学園側に33万円の支払いを命じた二審東京高裁判決が確定した。 今年6月の二審判決によると、女性は教授として勤務していた2018年、男性のハラスメントを学園側に申告した。後日開かれた教授会で出席者が、男性を訴えるために女性が学生に協力を求めているようだなどと発言した。
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浜北・社長強殺 控訴審初公判 弁護側が一部を否認
2019年に浜松市浜北区の会社社長の男性=当時(38)=を借金の返済を免れる目的で殺害したなどとして、強盗殺人や詐欺の罪に問われ、静岡地裁浜松支部で無期懲役の判決を言い渡された東京都杉並区、元会社役員の被告(44)の控訴審初公判が23日、東京高裁(島田一裁判長)で開かれた。弁護側は一審に続き「返済を免れる目的はなかった」として、強盗殺人罪を一部否認した。 弁護側は控訴趣意書で、殺害動機に関する一審判決の事実誤認や量刑不当を訴えた。被告は男性から「金を返さなければ家族に危害を加える」という趣旨の返済要求を受けたと指摘。殺害に及んだのは家族を守るためだったとして、「強盗殺人罪は成立せず、殺人罪
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熱海市側、初弁論欠席 遺族批判に市長釈明「弁護士の助言受け」 熱海土石流損賠訴訟
熱海市伊豆山の大規模土石流の遺族らが県と熱海市に計約64億円の損害賠償を求めた訴訟で、市側が第1回口頭弁論に欠席したことについて、斉藤栄市長は23日の定例記者会見で「出席したかったが、弁護士の助言を受けてやむを得ず欠席の判断をした」と述べた。市の対応に遺族から批判が出ていて、今後の復旧復興事業に影響を与えかねないとの声も上がっている。 第1回口頭弁論は今月14日、静岡地裁沼津支部であり遺族が意見陳述を行った。県側は代理人が出廷していたが、市側は弁護士と市職員計13人の代理人全員が欠席した。 斉藤市長は会見で「原告と裁判所が決めた弁論期日に顧問弁護士の予定が合わなかった」と釈明。指定代理人
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業務上横領罪で任意後見人実刑 静岡地裁判決
任意後見人の立場を利用して高齢男性から現金を横領したとして業務上横領罪に問われた静岡市駿河区、会社員の男(69)の判決公判で、静岡地裁は22日、懲役2年6月(求刑懲役3年6月)の実刑判決を言い渡した。 判決理由で鈴木悠裁判官は、任意後見人制度に対する信頼を揺るがしたと指摘。被害者の財産を一時的に流用したことについて被告人は違法性を認識していたとし、「利欲的な動機から横領行為を重ねた意思決定は厳しい非難に値する」と述べた。 判決によると、被告は2016年8月~17年5月、任意後見人として財産管理していた同市清水区の男性=当時(90)=の金融口座から9回にわたって現金計約770万円を引き出し
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放課後デイ給付金詐欺 理事長が認める 地裁浜松支部初公判
浜松市のNPO法人「アンヘレス」が放課後等デイサービス施設の運営に関する給付金を詐取したとされる事件で、詐欺の罪に問われた同市中区、同法人理事長の女(65)の初公判が22日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。 起訴状によると、被告は2021年、放課後等デイサービス施設「天使の部屋 葵教室」に児童発達支援管理責任者(児発管)を配置したように装い、障害児通所給付費を4回にわたって同市に請求し、不正受給額412万円を含む給付費2872万円をだまし取ったとされる。 検察は冒頭陳述で、同NPO法人の業務全般を統括していた被告は、児発管の欠員によって同給付費が減
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山林所有の男に罰金50万円求刑 長泉・木くず不法投棄
長泉町の山林に造園や樹木の剪定(せんてい)で出た木くずなどを不法投棄したとして廃棄物処理法違反の罪に問われた山林所有者の農業の男(75)=同町=の論告求刑公判が21日、静岡地裁沼津支部(谷本奈央裁判官)で開かれ、検察側は罰金50万円を求刑した。 検察側は論告で、取引価値のない不要な枝葉などを投棄目的と認識しながら受け入れ放置していたとし「不法投棄の罪の成立は明らか。処分代として利得を得ながら不合理な弁解に終始し、刑事責任は重い」と述べた。 弁護側は「枝葉などはシイタケ栽培の土地作りに必要な材料で不要物ではない。廃棄物に該当せず、造園会社との共謀の事実もない」などとして無罪を主張した。
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熱海土石流/損賠訴訟併合審理へ 責任追及、当事者そろう【追跡2022③】
14日、静岡地裁沼津支部の法廷。「住民の生命財産を守る責務を全うするために、行政はやるべきことをやってきたのか。到底そうは思えない」。熱海市伊豆山の大規模土石流の遺族、被災者でつくる「被害者の会」の瀬下雄史会長(55)の怒りを帯びた低い声が響いた。 未曽有の「人災」の責任追及を巡り、遺族らが県と熱海市に計約64億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論。被告席で瀬下会長の意見陳述に耳を傾けたのは県の代理人のみで、熱海市の代理人の姿はなかった。 事前に答弁書を提出した市が初弁論を欠席することは法的に認められている。ただ、遺族からは「不誠実だ」「私たちと向き合う気がないのか」と怒りや嘆きの声
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浜松死亡ひき逃げ ワゴン車の男起訴 地検支部
浜松市西区の市道で11月に発生した死亡ひき逃げ事件で、静岡地検浜松支部は16日、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)と道交法違反(ひき逃げ)の罪で同区雄踏町宇布見、設備業の男(43)を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴状によると、被告は11月26日午前2時10分ごろ、同区志都呂の丁字路交差点でワゴン車を運転中に脇見運転をし、前方の横断歩道を渡っていた歩行者の男性(71)をはねて死亡させた上、その場から立ち去ったとされる。
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強制わいせつ致傷 犯行時19歳の男に有罪 地裁沼津支部判決
静岡県東部の路上で女性にわいせつな行為をし、けがを負わせたとして強制わいせつ致傷の罪に問われた沼津市のアルバイトの男(20)=事件当時(19)=の裁判員裁判判決公判で、静岡地裁沼津支部は15日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役3年6月)を言い渡した。 野沢晃一裁判長は判決理由で、事件前日に犯行場所の見当を付け、女性を物色し待ち伏せした行動は「一定の計画性と犯行への強い意思が認められる。被害者の精神的被害は大きい」と述べた。一方で「被告が若年で更生に向けた家族の協力や医療機関への通院継続が期待できる」と保護観察付き執行猶予の理由を挙げた。 判決によると被告は4月上旬、県東部の路
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熱海土石流 損賠2訴訟併合審理へ 遺族ら真相究明期待「全ての被告そろった」
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、遺族ら111人と3法人が県と熱海市に計約64億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、静岡地裁沼津支部であり、古閑美津恵裁判長は、遺族らが土石流の起点の現旧土地所有者らを相手取り起こした損害賠償請求訴訟と併合審理すると決めた。原告側の代理人弁護士は全ての被告がそろうことで「真相究明に近づいた」と期待感を示した。 県、熱海市を被告とした訴訟と現旧所有者らに対し計約58億円の損害賠償を求めた訴訟が併合され、来年1月11日には非公開の弁論準備手続きが行われる。「被害者の会」会長の瀬下雄史さん(54)は「今まで責任のたらい回しが現旧所有者、県、市の間で行
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袋井強盗致傷事件 見張り役「誘われ」 地裁支部公判で被告
暴力団組員らが袋井市の50代男性の自宅に侵入して暴行を加え、現金や乗用車を脅し取ったとされる強盗致傷事件で、見張り役を務めたとして強盗ほう助の罪に問われている飲食店店員の男(40)=大阪市=の第2回公判が14日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれた。被告は「見張りの仕事で1万円から100万円の報酬がもらえると知人から誘われ、引き受けた。内容は事件当日まで知らなかった」と主張した。 被告は検察側の質問に対して「被害男性宅にレンタカーで向かう途中、男性から金を回収するという趣旨の(暴力団組員2人の)会話を聞いた」と説明。仕事を引き受けた理由は「少し危ない仕事かもしれないとは思ったが、
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露天風呂盗撮 千葉の男に有罪 静岡地裁判決
露天風呂に入浴している女性を狙った組織的な盗撮事件で、茨城県迷惑防止条例違反の罪に問われた千葉県市川市、会社員の男(43)の判決公判で、静岡地裁は14日、懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)を言い渡した。 国井恒志裁判官は判決理由で「自らの性的欲求を満たすためという自己中心的な動機で犯行に及んだ上、知人女性らを言葉巧みに露天風呂に誘う重要な役割も担当していて、厳しい非難を免れない」と指摘した。 判決によると、被告は2020年8月25日、盗撮グループのリーダー格とされる男(50)=兵庫県迷惑防止条例違反などの罪で公判中=と共謀し、茨城県内の露天風呂に入浴中の知人女性2人をビデオカメラで盗
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熱海土石流 遺族「行政 責務全うせず」 県と市、争う姿勢 静岡地裁沼津支部 損賠訴訟初弁論
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、起点となった土地で違法な盛り土造成を黙認したなどとして、遺族と被災者が静岡県と熱海市に計約64億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、静岡地裁沼津支部(古閑美津恵裁判長)であり、県と市は請求棄却を求めて争う姿勢を示した。 原告の「被害者の会」会長で、母陽子さん=当時(77)=を亡くした瀬下雄史さん(54)は意見陳述で、不正に盛り土を造成し、長年放置した現旧土地所有者の悪質性を指摘し、「管理責任者として不適切な対応を続けた行政も許せない」と強調。被害の結果責任に触れない姿勢に怒りをにじませ「住民の生命財産を守る責務を全うする努力をしたのか。到底そう
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焼津カツオ盗 2人を追起訴 静岡地検
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、静岡地検は13日、窃盗の罪で、同市の水産加工会社「マルテ小林商店」元役員の男(45)=同罪で起訴済み=と同市の運送会社「堀住運送」社長の男(61)=同=を静岡地裁に追起訴した。 窃盗容疑で送検された堀住運送の運転手2人と同市内の水産加工会社社員を不起訴処分にし、焼津漁協の職員については罪名を窃盗ほう助に切り替えた上で不起訴処分にした。理由は明らかにしていない。 起訴状によると、両被告は堀住運送の運転手と共謀して昨年3月17日、宮城県の船会社が焼津漁港に水揚げした冷凍カツオ約28トン(約460万円相当)を盗んだとされる。
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基準津波の説明 原告側が求める 浜岡原発廃炉訴訟
中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)3~5号機の廃炉を求めて地元住民が起こした訴訟の第34回口頭弁論が12日、静岡地裁浜松支部で開かれた。原告側は、中電が今夏に基準津波(想定の最大津波高)の22・7メートルへの引き上げを提示したのに関連し、津波が広がる仕組みや安全対策の説明を同社側に求めた。 中電は原子力規制委員会の新規制基準適合性確認審査で、プレート間(南海トラフ)地震による最大津波高について、防潮堤(高さ22メートル)を上回る22・7メートルに及ぶとの想定を示している。 原告側は新たな準備書面で、沖合から同原発敷地の海岸線に津波が到達するまでの高さと速度の推移を図面で示すことに加え、敷地
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静岡県職員に懲役2年求刑 静岡地裁公判 公共工事絡む背任
静岡県発注の公共工事に絡んで虚偽の公文書を作成し、請負代金を増額させるなどして県に損害を与えたとして、虚偽有印公文書作成・同行使と背任の罪に問われた三島市、県職員の被告(32)の公判が12日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。検察側が懲役2年を求刑し、結審した。 検察側は論告で、誠実に職務を遂行する任務に背いたとした上で「規範意識が明らかに低下している」と指摘。「犯行態様は巧妙かつ悪質で動機に酌量の余地はない」と非難した。 一方、弁護側は予算を全て執行することを至上命令とする雰囲気が職場組織にあったとし「執行猶予付き判決が相当」と主張した。 起訴状などによると、被告は県下田土木事務
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横領の任意後見人 懲役3年6月求刑 静岡地裁公判
任意後見人の立場を利用して高齢男性から現金を横領したとして業務上横領罪に問われた静岡市駿河区、会社員の男(69)の公判が9日、静岡地裁(鈴木悠裁判官)で開かれた。被告は追起訴内容を認め、検察側が懲役3年6月を求刑して結審した。 検察側は論告で、常習的に横領を繰り返していたとし、「悪質な犯行で信頼を裏切った」と非難。「地位を悪用し、任意後見人制度に対する社会の信頼を揺るがす行為」と強調した。 一方、弁護側は深い反省態度を示しているとして寛大な判決を求めた。被告は最終意見陳述で「(被害者の)財産を守る意識が欠けていた。身勝手で軽率な行動で迷惑をかけてしまい申し訳ない」と謝罪した。 起訴状な
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強制わいせつ致傷 犯行時19歳の男、懲役3年6月求刑 静岡地裁沼津支部公判
静岡県東部の路上で女性にわいせつな行為をし、けがを負わせたとして強制わいせつ致傷の罪に問われた沼津市のアルバイトの男(20)=事件当時(19)=の裁判員裁判論告求刑公判が9日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれ、検察側は懲役3年6月を求刑した。 検察側は論告で、事件前に人通りの少ない犯行現場を下見するなど、欲望を満たす強い意志や一定の計画性が認められるとし「無防備な被害者を狙った卑劣で危険な犯行」と非難した。弁護側は「被告は事件当時19歳と未熟な年齢。周囲の適切なサポートがあれば更生や再犯防止が期待できる。反省や謝罪の意思も認められる」と訴え、執行猶予付き判決を求めた。 起訴状な
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強制わいせつ致傷認める 地裁沼津支部 犯行時19歳の男初公判
静岡県東部の路上で女性にわいせつな行為をし、けがを負わせたとして強制わいせつ致傷の罪に問われた沼津市のアルバイトの男(20)=事件当時(19)=の裁判員裁判初公判が8日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれた。男は起訴内容を認めた。 冒頭陳述で検察側は「犯行現場周辺を車で物色し、帰宅途中の被害者に目を付け先回りして待ち伏せ、すれ違いざまに転倒させた」と経緯を説明。弁護側は「(被告は)当時新型コロナウイルスに感染し、外出が制限され性欲を抑えきれなかった」と述べた。 起訴状などによると、被告は4月上旬、県東部の路上で、自転車で走行中の10代の女性を転倒させた上、わいせつな行為をし、足や
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損害賠償請求訴訟 市と県、争う姿勢 違法盛り土「黙認」法的責任を否定 熱海土石流
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、起点となった土地で違法な盛り土造成を黙認したなどとして、遺族らが同市と県に計約64億円の損害賠償を求めた訴訟で、市と県が請求棄却を求める答弁書を静岡地裁沼津支部に提出したことが7日、原告への取材で分かった。一連の行政対応について、市と県は違法な権限不行使には当たらないと主張している。 遺族らは、市が前土地所有者の不動産管理会社(神奈川県小田原市)の届け出書に不備があったにもかかわらず受理したことや、市が県条例に基づく措置命令を見送った際に、県が市に行政対応の是正を求めなかったのは違法と訴えている。 市は答弁書で、再三にわたり同社に行政指導を行ったが、県条
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高校校舎飛び降り訴訟 静岡県への賠償命令を支持 東京高裁判決
静岡県中部の県立高校に通っていた2016年に校舎3階から飛び降りて負傷したのは、男性教員による執拗(しつよう)な叱責(しっせき)で急性ストレス反応が起きたのが原因だったとして、当時2年生だった県中部の20代女性が県などに550万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は7日、県に220万円の支払いを命じた一審静岡地裁判決を支持し、女性側の控訴を棄却した。 控訴審判決を受け、池上重弘県教育長は「教育的指導の範囲を超えた行為があったことを厳粛に受け止める。今後、このような行為が起こらないよう努めていく」などとコメントした。 静岡地裁判決によると、女性は他の生徒と研究班を組み、男性教員
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カード不正使用の施設経営夫婦実刑 地裁富士支部判決
富士市で経営していた薬物依存などの回復施設入所者名義のキャッシュカードで不正に現金を引き出したとして、窃盗の罪に問われた大阪府羽曳野市、共に派遣社員の男(48)と妻(57)の判決公判で、静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)は5日、男に懲役5年(求刑懲役6年)、女に懲役3年6月(求刑懲役4年6月)を言い渡した。 西沢裁判官は判決理由で、施設入所者のカードで出金していた常習的な行為を「経済的損害のみならず、信頼を裏切る悪質なもの」と述べた。 判決によると、両被告は共謀し、施設利用者から預かったカードで2020年4月8日から21年2月15日までに現金計740万円を引き出した。男は同じ利用者のカード
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強盗罪の被告 起訴内容認める 地裁浜松支部初公判
暴力団組員らが袋井市の50代男性の自宅に侵入して暴行を加え、現金や乗用車を脅し取ったとされる強盗致傷事件で、強盗罪に問われている指定暴力団稲川会系組員の無職の男(50)=東京都新宿区=の初公判が5日、静岡地裁浜松支部(杵渕花絵裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。 事件では被告のほか、同組員の無職の男(54)=強盗致傷、住居侵入罪=らが起訴されている。 検察は冒頭陳述で、無職の男(54)と被害男性に仕事上の付き合いがあり、被害男性が業務を通じて現金を着服したとの情報から事件に至ったと説明。無職の男(54)は無職の男(50)に同行を依頼し、犯行を計画したと指摘した。無職の男(54)が
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袴田さん差し戻し審 裁判長と初面会 東京高裁
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を訴えている袴田巌さん(86)の差し戻し審で、袴田さんが5日、東京高裁の大善文男裁判長と面会した。関係者への取材で分かった。再審請求審で袴田さんが担当裁判官と顔を合わせるのは第1次、2次を通じて初めて。 弁護団が刑事訴訟規則に基づき、決定を出す前に袴田さん本人の意見を聞き取るよう高裁に求めていた。第2次請求審では、静岡地裁が2013年、意見聴取のために当時東京拘置所に収監されていた袴田さんを訪ねたが、袴田さんは「どうしたって死刑になる」などと言い、拒否していた。 関係者によると、
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袴田さん差し戻し審 血痕変色巡り対立 弁護団と高検が最終意見書
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を訴えている袴田巌さん(86)の差し戻し審で、弁護団と東京高検は2日、最終意見書を東京高裁に提出した。弁護団は速やかな再審開始を、高検は請求棄却と袴田さんを再収監するよう求めた。高裁は年度内にも再審開始の可否を決定する方針。 事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた「5点の衣類」に付着した血痕には赤みが残り、弁護団は不自然として捏造(ねつぞう)された証拠だと指摘してきた。2020年の最高裁決定は、みそに漬かった血痕の変色に影響を与える要因につ
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同性婚訴訟「思い伝わった」「一歩前進」 静岡県内関係者
国が同性婚を認めないのは憲法違反だと同性カップルが訴えた訴訟で、東京地裁が30日、同性パートナーと家族になる法制度がない現状は「違憲状態」と判断したことを受け、原告や県内の性的少数者を支援する団体からは喜びとともに、国会での積極的な議論を求める声が上がった。 昨年12月まで熱海市で生活していた原告の一人、かつさん(37)=仮名=は東京地裁で判決の言い渡しを聞き、「裁判官に自分たちの思いが伝わっていた」と感じ取った。パートナーの広橋正さん(53)は「社会に傷つけられてきた個人の尊厳を回復する戦いだった。踏み込んだ判決で、うれしかった」と目に涙を浮かばせた。 弁護団の水谷陽子弁護士は電話取材
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重傷事故有罪判決 熱海市職員停職3カ月
熱海市は30日、2月に自家用車を運転中に歩行者をはねて重傷を負わせたとして、10月に静岡地裁沼津支部に自動車運転処罰法違反(過失致傷)の罪で禁錮1年2月、執行猶予3年の有罪判決を受けた観光建設部主幹の職員(51)を29日付で停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。 市によると、職員は2月16日午後7時45分ごろ、市内の交差点で横断歩道上の安全を確認する注意義務を怠り、歩行者をはねて重傷を負わせたとされる。 斉藤栄市長は「職員に対し法令の順守、安全運転を徹底するよう強く注意喚起する」とのコメントを出した。
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強制わいせつ致傷 理学療法士を起訴 静岡地検浜松支部
静岡地検浜松支部は30日、強制わいせつ致傷の罪で浜松市南区、理学療法士の容疑者(25)を静岡地裁浜松支部に起訴した。裁判員裁判の対象になる。 起訴状によると、被告は9月27日午前4時5分ごろ、市内の路上で、20代の女性に背後から抱きつき、わいせつな行為をした上、転倒した女性の首を両手で押さえ込むなどして2週間のけがを負わせたとされる。 被告は別の女性への強制わいせつ致傷容疑でも逮捕、送検されていたが、同支部は罪名を強制わいせつと傷害に切り替えた上で不起訴処分にした。
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カード窃取の指示役 懲役4年の実刑判決 静岡地裁浜松支部
特殊詐欺グループの仲間と共謀し、約1カ月間で静岡県内外の高齢者8人からキャッシュカードを盗み取ったなどとして窃盗の罪に問われた東京都江東区、収納代行業の被告(35)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は30日、懲役4年(求刑懲役5年)の実刑判決を言い渡した。 被告らは市役所職員などを装って高齢者宅に電話をかけ、「キャッシュカードを交換する必要がある」とうそを言い、被害者のカードを封筒に入れた後、隙を見て別の封筒にすり替えるキャッシュカード詐欺盗を繰り返していた。盗んだカードで出金した現金被害額は計929万円に上る。 大村泰平裁判官は判決理由で、被告が受け子役への指示などの役目を担ったと指摘し、
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強盗で見張り役 起訴内容認める 静岡地裁浜松支部初公判
暴力団組員らが袋井市の50代男性の自宅に侵入して暴行を加え、現金や乗用車を脅し取ったとされる強盗致傷事件で、見張り役を務めたとして強盗ほう助の罪に問われている飲食店店員の被告(40)=大阪市=の初公判が30日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。 同事件では被告のほか、指定暴力団稲川会系組員の無職の被告(54)が強盗致傷と住居侵入の罪で、同組員の無職の被告(50)が強盗罪で起訴されている。 検察は冒頭陳述で稲川会系組員の両被告が知人の男性宅に先に入り、外にいた飲食店店員の被告は男性の叫び声を聞いて家に入ったと事件当時の状況を説明した。飲食店店員の被告は
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同性婚選択できる日を 損賠訴訟、30日東京地裁で判決 昨年まで熱海居住の原告
同性同士の結婚を国が認めないのは婚姻の自由の侵害だとして、東京都などの8人が国に損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁で言い渡される。2021年12月まで熱海市に住んでいた原告の広橋正さん(53)とかつさん(37)=仮名=カップルは「性的指向で平等な権利が与えられないのは明らかに不平等。同性婚を選択できる日が一日でも早く来てほしい」と司法の判断に期待する。 2人は十数年前に会員制交流サイト(SNS)で知り合った。東京都と熱海市で約10年間同居し、現在は沖縄県に移り住んで宿泊業を始める準備を進めている。異性婚カップルと変わらない生活を送るが、婚姻が認められないことで気掛かりな点もあると
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遺体放置、年金詐取 内縁の女に有罪判決 静岡地裁
内縁関係にあった高齢男性の遺体を自宅に放置し、男性の年金などを不正受給したとして死体遺棄と詐欺の罪に問われた住所不定、無職の女(56)の判決公判で、静岡地裁は29日、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。 判決理由で谷田部峻裁判官は「犯行を正当化することはできないが、当時の被告人の心情は理解できる」とし、「深い反省態度を示している」と述べた。 判決によると、被告は4月7日から8月3日までの間、静岡市清水区の当時の自宅で同居する内縁関係にあった男性=当時(78)=の遺体を放置し、男性の年金など約5万6千円を不正受給した。
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下田の海水浴場業務妨害 総長ら起訴内容を否認 地裁沼津支部公判
下田市の白浜大浜海水浴場で、市夏期海岸対策協議会原田支部の男性支部長を脅し、海水浴場の管理運営などの業務を妨害したとして威力業務妨害の罪に問われた指定暴力団稲川会大場一家総長の男(58)=河津町峰=と幹部の男(56)=下田市吉佐美=両被告の初公判が29日、静岡地裁沼津支部(谷本奈央裁判官)で開かれ、ともに起訴内容を否認した。 総長の男は「(男性支部長とは)面識がなく浜にいたことも分からない」と述べ、幹部の男も「にらんでいない」とした。 冒頭陳述で検察側は、総長の男が市による同海水浴場での違法業者排除や警備員配置の取り組みが記載された複数の新聞記事を自宅で保管するなど、海水浴場の管理運営に
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死亡女性との婚姻届提出した男を起訴 静岡地検浜松支部
静岡地検浜松支部は29日、死亡した女性との婚姻届を提出し記録させたとして、電磁的公正証書原本不実記録・同供用の罪で浜松市のグラフィックデザイナーの男(60)を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は2018年4月、同年1月に死亡した交際相手の女性との婚姻届を同市中区役所に提出し、戸籍原本のデータに事実ではない記録をさせたとされる。婚姻届は女性の生前の消印が押された封筒に入っていて、女性の死亡前に送られた物として区役所に受理されていたという。 女性の親族が警察に相談して発覚した。関係者によると、被告と女性の親族の間に財産を巡るトラブルがあったとみられる。
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酒気帯び運転の罪 消防署員を起訴 静岡地検
静岡地検は25日、道交法違反の罪で静岡市葵区桜町1丁目、市消防局葵消防署警備第1担当課長(53)を静岡地裁に起訴した。 起訴状によると、被告は11月10日、同市駿河区の道路で、オートバイを酒気帯び運転したとされる。
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大学推薦入試条件誤認、出願取り下げ 静岡県、科技高元生徒に解決金
静岡県立科学技術高(静岡市葵区)で2021年、大学の指定校推薦入試の出願条件を学校が誤認し、当時3年生だった元生徒1人の出願を途中で取り下げていたことが22日、分かった。取り下げられた元生徒は進路選択の幅が狭められたとして損害賠償を求めて静岡地裁に提訴。静岡県は22年10月に、専決処分で解決金100万円を支払って和解した。 県は同日の議会運営委員会で、12月1日開会の県議会12月定例会に関連議案を提出すると報告した。 県教委高校教育課によると、同校は21年11月、出願先の大学から2人分の枠で異なる系統の学科を志願するよう条件を示されていたが、誤って同じ系統の学科に2人分の出願をした。大学
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御殿場傷害致死罪 懲役2年8月判決 地裁沼津支部
御殿場市内の駐車場で同僚男性に暴行を加え転倒させ、死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた裾野市、トラック運転手の男(32)の裁判員裁判の判決公判で、静岡地裁沼津支部は22日、懲役2年8月(求刑懲役5年)を言い渡した。 弁護側は被害者が地面に足を取られて自ら転倒したなどと主張していたが、野沢晃一裁判長は判決理由で、当時の2人のやりとりから「被告の暴行で被害者が転倒し死亡するに至った」と認定。量刑については「暴行が直接の死因ではない点や持病の影響の可能性を考慮した」と述べた。 判決によると、被告は2021年12月17日午前6時ごろ、御殿場市内の駐車場で裾野市のトラック運転手の同僚男性=当時
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御殿場傷害致死罪 懲役2年8月判決 地裁沼津支部
御殿場市内の駐車場で同僚男性に暴行を加え転倒させ、死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた裾野市、トラック運転手の男(32)の裁判員裁判の判決公判で、静岡地裁沼津支部は22日、懲役2年8月(求刑懲役5年)を言い渡した。 弁護側は被害者が地面に足を取られて自ら転倒したなどと主張していたが、野沢晃一裁判長は判決理由で、当時の2人のやりとりから「被告の暴行で被害者が転倒し死亡するに至った」と認定。量刑については「暴行が直接の死因ではない点や持病の影響の可能性を考慮した」と述べた。 判決によると、被告は2021年12月17日午前6時ごろ、御殿場市内の駐車場で裾野市のトラック運転手の同僚男性=当時
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大自在(11月20日) 超高齢化社会
寝たきり状態になった85歳の妻は介護してくれる81歳の夫に「首を絞めて殺して」と何度も懇願していた。ある日、妻は夫の介助でトイレに行く途中、転倒して気を失う。「これで終わりにしよう」。夫は妻の首にタオルを当て、15分以上絞め続けたという。 今年7月、千葉県で起きた老老介護の末の承諾殺人。検察は起訴状で「思慮が浅い」と非難し、弁護側は「妻を愛していたゆえの犯行」と情状酌量を求めた。静岡新聞5日付朝刊に載った千葉地裁判決は懲役3年、執行猶予4年だった。 介護を支えるヘルパーは入っていたが、日常生活の中に過酷な負担があった。判決の言い渡しで裁判官は、社会の中で一生をかけて償い続けるようにと夫を
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盛り土撤去命令 取り消し訴訟 静岡県、請求棄却求める
熱海市伊豆山の大規模土石流の起点で不安定な状態で残っている盛り土を巡り、今年7月施行の県盛り土規制条例に基づき、県から土砂撤去の措置命令を受けた不動産管理会社「新幹線ビルディング」(神奈川県小田原市)が命令の取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、静岡地裁(増田吉則裁判長)であった。県は請求棄却を求めて全面的に争う姿勢を示した。 同社は2006年から11年まで起点を含む土地を所有し、07年に当時の県条例に基づき盛り土造成を熱海市に届け出た。土石流では約5万5千立方メートルの土砂が流出したとされ、約2万立方メートルの土砂が不安定な状態で起点に残っている。 訴状で同社は、この土砂を搬入
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死体遺棄と詐欺罪 女に2年6月求刑 静岡地裁公判
内縁関係にあった男性の遺体を自宅に放置し、男性の年金などを不正受給していたとして死体遺棄と詐欺の罪に問われた住所不定、無職の女(56)の公判が18日、静岡地裁(谷田部峻裁判官)で開かれた。被告は追起訴分の詐欺罪の起訴内容も認め、検察側が懲役2年6月を求刑して結審した。 検察側は論告で「男性が死亡後も国に年金や生活保護費を振り込ませ、現金をパチンコや食費に充てた」とし、「男性の尊厳も著しく傷つけ、自己中心的で身勝手な犯行」と悪質性を強調した。 一方、弁護側は被告人が反省しているとして寛大な判決を求めた。 起訴状などによると、被告は4月7日から8月3日までの間、静岡市清水区の当時の自宅で同
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旧天竜林業高事件 検察が証拠開示拒否 行動記録巡り「必要がない」 元市長再審請求
旧天竜林業高(浜松市天竜区)で起きた調査書改ざん・贈収賄事件で、贈賄罪で罰金70万円の略式命令を受けた元天竜市長(90)による再審請求の非公開の三者協議が17日、浜松簡裁で開かれた。校長に校内で現金を渡したとされる日の元市長の行動記録の証拠開示を弁護側が求めていたのに対し、検察側は「必要がない」と拒否した。 元市長の代理人の杉尾健太郎弁護士が協議後、記者会見で説明した。この日の協議までに検察側は意見書面を提出した。検察側は、略式命令が2008年に確定している点などを踏まえ、証拠開示請求を「著しく時期に遅れた証拠漁りに過ぎない」と退けた。行動記録の証拠の有無には言及していないという。 弁護
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任意後見人の男 業務上横領認める 静岡地裁初公判
任意後見人の立場を利用して高齢男性から現金計260万円を横領したとして業務上横領罪に問われた静岡市駿河区、会社員の男(69)の初公判が17日、静岡地裁(鈴木悠裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。 検察側は、被告が被害男性の通帳や印鑑を預かり、任意後見人として資産を管理していたと指摘。「横領した現金は自身が経営する介護事業会社の運営資金に充てた」と経緯を主張した。 犯行発覚に至った理由について、男性の任意後見監督人の弁護士が、男性名義の口座から多額の使途不明金が出金されていることに気付いたと説明。被告が犯行の隠蔽(いんぺい)を図り、口座から正当に資金を引き出したように見せるため、男
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生活保護訴訟 原告、窮状訴え 静岡地裁で結審
国が2013~15年に生活保護費の基準額を引き下げたのは生活保護法に違反するとして、県内の複数の受給者が掛川市などに減額処分の取り消しを求めた訴訟が17日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)で結審した。判決期日は2023年5月30日。 最終意見陳述で原告の男性は「生活が苦しい。安心して1日3度食事できるようになることを望んでいる」と窮状を訴えた。 訴状によると、国は物価下落などを理由に13年から3年間で生活扶助の基準額を平均6・5%引き下げ、計約670億円を削減した。原告側は、厚生労働省が生活保護費受給者の生活状況を何ら調査せず、生活保護の実施機関に当たる市町も国の改定した基準額を機械的に適用し
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放課後デイ理事長 給付金詐取で起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は16日までに、浜松市内の放課後等デイサービス施設の運営に関する給付金をだまし取ったとして、詐欺容疑で逮捕、送検されたNPO法人「アンヘレス」理事長の女(65)=同市中区=を詐欺罪で静岡地裁浜松支部に起訴した。15日付。 起訴状などによると、被告は2021年、同NPOが運営する同区の施設「天使の部屋 葵教室」で、児童発達支援管理責任者(児発管)を配置したと市に虚偽の届け出をした上で、障害児通所給付費を4回にわたって請求し、不正受給額412万円を含む給付費2872万円をだまし取ったとされる。事情を知らない職員に請求手続きを行わせたとみられる。 児発管は子どもの個別支援計画を
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妻「適切な対応あれば」 静岡病院職員自殺パワハラ訴訟 静岡地裁本人尋問
2014年12月に静岡市立静岡病院の男性職員=当時(57)=が自殺したのは、長時間労働や部下によるハラスメント行為への対応を怠ったことが原因として、遺族が市と地方独立行政法人静岡市立静岡病院に損害賠償を求めた訴訟の本人尋問が10日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)であった。男性職員の妻が「市が適切な対応をしてくれていればと悔やんでいる」と述べた。 妻は、14年7月末以降に男性職員の帰宅時間が遅い日が続くようになったとして「身体が心配だった」と振り返った。男性の手帳には、部下から罵倒されたり叱責(しっせき)されたりして「逆パワハラ」を受けているとの記載があったといい「夫は他人を悪く言う人ではなかっ
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無免許で車衝突 運転の男追起訴 地検沼津支部
沼津市内で無免許運転し、乗用車2台に衝突して損壊させたとして、静岡地検沼津支部は10日までに、道交法違反と器物損壊の罪で名古屋市、無職の男(38)=殺人未遂などの罪で起訴=を静岡地裁沼津支部に追起訴した。10月31日付。 起訴状などによると、被告は6月13日午後5時5分ごろ、沼津市の新東名高速道上り駿河湾沼津サービスエリア付近の道路で、乗用車を無免許運転したとされる。さらに同5時15分ごろ、同市の一方通行の道路を逆走し、乗用車2台に衝突して損壊させたとされる。
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袴田さん差し戻し審 支援団体が高検に抗告取り下げ要請
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている元プロボクサー袴田巌さん(86)の支援団体が9日、即時抗告を取り下げるよう東京高検に要請した。高検が実施した実験からも「犯行着衣」の捏造(ねつぞう)と袴田さんの無実が「立証された」と訴えた。 高裁で続く差し戻し後の即時抗告審では、事件発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかった「犯行着衣」を巡り、当時の捜査資料に「濃赤色」と記された血痕の色が焦点になっている。高検は今月1日まで約1年2カ月間、みそ漬けの血痕の変色具合を調べる実験を展開。確認作業に立ち会った弁護
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無免許運転で事故、身代わり依頼に実刑判決 静岡地裁浜松支部
浜松市南区で7月、乗用車を無免許運転して歩行者の女性(58)をはねた上、同乗者の知人女性に身代わりを依頼したとして、自動車運転処罰法違反(無免許過失傷害)と犯人隠避教唆の罪に問われた同市中区、飲食店店員の男(24)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は8日、懲役2年8月(求刑懲役3年6月)の実刑判決を言い渡した。 高島由美子裁判官は「意識が戻らない被害女性の無念は大きい。刑事責任は重大」と実刑の理由を述べた。一方、罪を認め、被害者側に賠償する意向を示している点などを量刑に考慮した。 判決によると、被告は7月17日、同市南区の市道で乗用車を無免許運転し、前方を歩いていた女性をはねて意識障害を伴う
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ツナ缶に虫混入 下請けに1億3千万円賠償命令 静岡地裁判決
製造依頼したツナ缶にゴキブリとみられる虫が混入し、ブランドイメージが損なわれたとして、はごろもフーズ(静岡市駿河区)が下請けの興津食品(同市清水区)に損害賠償など約8億9700万円の支払いを求めた訴訟の判決で、静岡地裁(菊池絵理裁判長)は8日、興津食品に約1億3150万円の支払いを命じた。興津食品は控訴する方針。 2016年10月、興津食品が製造し、山梨県内のスーパーで販売されたツナ缶の一つにゴキブリのような虫の混入が発覚。緊急対応コールセンターの設置費用や返品されたツナ缶の廃棄が生じ、報道された影響で家庭用シーチキンの売上高が想定より激減したなどとして、はごろもフーズが17年11月に提訴
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母の遺体を自宅に放置 年金不正受給に有罪 静岡地裁沼津支部判決
母親の遺体を自宅に放置し、年金を不正受給したとして死体遺棄と詐欺の罪に問われた富士市中里、無職の女(64)の判決公判で、静岡地裁沼津支部は8日、懲役2年4月、執行猶予3年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。 野沢晃一裁判官は判決理由で「遺体を放置した期間は長期で、詐欺の被害額も高額。負うべき刑事責任は重い」と指摘した。一方で「事実を認め反省を述べている」など執行猶予の理由を挙げた。 判決によると、被告は2021年12月ごろ、同居する母親=当時(90)=が自宅で死亡していたのに放置し、死亡届を提出せず、今年2月15日から6月15日までの間、3回にわたり年金計約130万円をだまし取った。
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緑地の誤売却訴訟 控訴提起議案を可決 掛川市議会
掛川市が行政財産の緑地を誤って市内の不動産業者に売却した問題を巡る訴訟で、同市議会は8日、臨時会を開き、市が一審静岡地裁判決を不服として控訴を提起する議案を原案通り可決した。 一審判決は、抹消登記手続きを受けるのと引き換えに、土地の代金と関係費用など計約3500万円を支払うよう命じた。市は3500万円のうち土地の代金1千万円を除く関係費用の一部で主張が認められなかったとしている。 市議会は弁護士委託料140万円を追加する一般会計補正予算案も原案通り可決した。
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緑地の誤売却訴訟 掛川市が控訴へ 静岡地裁判決に不服
掛川市が行政財産の緑地を誤って市内の不動産業者に売却した問題を巡る訴訟で、市は7日までに、抹消登記手続きを受けるのと引き換えに、土地の代金と関係費用など計約3500万円を支払うよう命じた一審静岡地裁判決を不服として、東京高裁に控訴する方針を固めた。8日の市議会臨時会に関連議案を提出する。 10月27日の一審判決は、市職員が緑地を売り払わないようにする職務上の注意義務に違反したと認めた。県からの指摘で行政財産と判明した後、売買契約の無効を業者に通知しなかったことに関しても注意義務違反による違法を認定した。 業者側の弁護人は「依頼者と相談して対応を決める」としている。
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カード不正2被告 懲役6年など求刑 静岡地裁富士支部公判
富士市で経営していた薬物依存などの回復施設の利用者から預かったキャッシュカードで不正に現金を引き出したとして、窃盗の罪に問われた大阪府羽曳野市、ともに派遣社員の男(48)と妻(57)の第2回公判が7日、静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)で開かれ、両被告は窃取総額1448万5千円の追起訴内容を認めた。検察側は男に懲役6年、妻に同4年6月を求刑し、結審した。 論告で検察側は「施設経営者の立場を悪用し、被害者の信頼を裏切る相当悪質な行為だ」と断じた。動機については暴力団幹部に自ら金銭の貸与を依頼していて、自業自得と指摘した。弁護側は両被告の反省をくみ、寛大な判決を求めた。 起訴状などによると、両
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社説(11月4日)重大少年事件記録 永久保存へ明確基準を
神戸市で1997年に発生した連続児童殺傷事件で逮捕された当時14歳の少年に対する少年審判の処分決定書など事件記録一式をはじめ、重大少年事件の記録が各地の家裁で廃棄されていたことが明るみに出た。 この問題で、最高裁は全国の裁判所に、少年事件以外も含めて保存期間の満了した全ての裁判記録の廃棄を、一時停止するよう指示した。最高裁は重大少年事件記録の廃棄の個別事例について経緯を徹底検証した上で、永久保存への明確な基準作りを急ぐべきだ。 廃棄された記録に関し、警察、検察や弁護士らが一部の写しを保管している可能性もある。協力を得て可能な限りの記録復元に努めてほしい。それが将来に対する司法の責任ではな
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着衣血痕「検察実験も赤み消失」 袴田さん弁護団、再審開始に期待
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めている袴田巌さん(86)の弁護団が2日、県庁で記者会見した。みそに漬かった血痕の色の変化を調べるために検察側が1年2カ月続けてきた「みそ漬け実験」について、前日に色合いを確認した小川秀世事務局長は「(血痕の)赤みは全く消えている」と明かした。 袴田さんの犯行着衣とされる「5点の衣類」は、事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで発見された。ステテコの生地は白っぽさが残り、血痕に赤みが見て取れた。会見で小川事務局長は生地がみそ色に染まり、血痕が黒く見える検察側実験の写真を示し
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母遺体放置の女に懲役2年6月求刑 静岡地裁沼津支部で初公判
母親の遺体を自宅に放置し、年金を不正受給したとして死体遺棄と詐欺の罪に問われた富士市中里、無職の女(64)の初公判が2日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判官)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。検察側は懲役2年6月を求刑し、即日結審した。 検察側は論告で、体調の急変に気づいた際に救急搬送を依頼しなかったと指摘。当時被告は母親の年金で生活していたとし「利欲的な面があったことは否定できない。結果は重大で、相応の非難を免れない」と述べた。弁護側は「反省し、詐欺については被害回復している」と執行猶予付きの判決を求めた。 起訴状などによると、被告は2021年12月ごろ、同居する母親=当時(90)=が自
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任意後見人の男 横領の罪で追起訴 静岡地検
静岡地検は2日、業務上横領の罪で静岡市駿河区池田、会社員の男(69)=同罪で起訴=を静岡地裁に追起訴した。 起訴状によると、被告は任意後見人として市内の90代男性の預金口座を管理していた2016年8月26日から17年5月10日までの間、6回にわたって計517万円を払い戻して横領したとされる。
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袴田さん差し戻し審 高裁裁判長ら、検察の実験確認
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直しを求めている袴田巌さん(86)の差し戻し審で、東京高裁の大善文男裁判長らが1日、みそ漬け血痕の変色具合を調べるために検察側が静岡地検で1年2カ月間続けてきた実験の確認作業に立ち会った。 袴田さんの犯行着衣とされるシャツなど「5点の衣類」は事件から1年2カ月後、現場近くのみそタンクで見つかった。衣類に付着した血痕に赤みが見て取れたが、弁護団は不自然として捏造(ねつぞう)された証拠だと主張。差し戻し審では、みそ漬けの血痕が黒色化するメカニズムを化学的に説明した鑑定書などを新証拠として提出した。
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静岡県職員 背任などおおむね認める 静岡地裁初公判
静岡県発注の公共工事に絡んで虚偽の公文書を作成し、請負代金を増額させるなどして県に損害を与えたとして、虚偽有印公文書作成・同行使と背任の罪に問われた三島市、県職員の男(32)の初公判が31日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。被告は起訴内容をおおむね認めた。 検察側は冒頭陳述で、被告が担当監督員として設計業務などに携わり、工事を進捗(しんちょく)管理する立場にあったと指摘。工事費用が当初の設計よりも減少し、予算に余剰が生じたため「予算を執行しなければ周囲に迷惑がかかると思った」と犯行経緯を明かした。 一方、被告は罪状認否で動機について「県に損害を与えるためではなかった」と述べた。
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掛川市に3500万円支払い命令 誤った緑地売却で静岡地裁判決
掛川市が行政財産の緑地を誤って市内の不動産業者に売却した問題を巡り、業者が市に損害賠償を求めて提訴し、市が所有権移転登記の抹消登記を求めて反訴した訴訟の判決で、静岡地裁は27日、抹消登記手続きを受けるのと引き換えに土地の代金約1千万円と、関係費用など約2530万円を支払うよう市に命じた。 菊池絵理裁判長は判決理由で、市職員が緑地を売り払わないようにする職務上の注意義務に違反したと認めた。さらに、静岡県からの指摘で行政財産と把握するなどした2018年10月には業者に売買契約の無効を通知すべきだったのに、これを告げなかった注意義務違反による違法も認定した。 その上で、土地取得関係費用、測量や
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部下「大声一度だけ」 静岡病院職員自殺パワハラ訴訟 静岡地裁証人尋問
2014年12月に静岡市立静岡病院の男性職員=当時(57)=が自殺したのは部下によるハラスメントなどへの対応を怠ったことが原因として、遺族が市と地方独立行政法人静岡市立静岡病院に損害賠償を求めた訴訟の証人尋問が25日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)であった。部下が出廷し、一度だけ「いいかげんにしろ」と大声を出したことがあるとした一方、ハラスメントはなかったと述べた。 部下は大声を上げた理由について、男性職員の担当業務が滞っている傾向があったとし「大声を出すことで本気でお願いしていることが伝わると思った」と主張。「感情的に発したいわけではないので、周りの人に『これから大声を出します』と言ってから
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兄を殺害未遂 男に有罪判決 地裁沼津支部
同居する兄を包丁で刺して殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われた小山町、無職の男(34)の裁判員裁判判決公判で、静岡地裁沼津支部は25日、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)を言い渡した。 弁護側は、精神障害の影響で心神耗弱状態だったと主張していたが、野沢晃一裁判長は犯行時の行動や動機を踏まえ「心神耗弱状態にはなかった」と退けた。 判決理由で野沢裁判長は、心臓を狙い包丁で深さ13~14センチほど刺した行為は「強固な殺意に基づく危険性の高い犯行」と指摘。一方で「心神耗弱には至らずとも責任能力の低下は認められる。治療や更生に向け医療機関や家族の援助が見込める」など執行猶予の理由を挙げ
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殺人未遂罪 静岡地検、男を起訴
静岡地検は25日までに、殺人未遂の罪で藤枝市田沼1丁目、会社役員の男(36)を静岡地裁に起訴した。 起訴状などによると、被告は4月28日午後6時5分ごろ、藤枝市内で、停止中のオートバイに乗っていた少年と近くにいた少年の2人に殺意を持って運転する乗用車を衝突させ、負傷させたとされる。
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未計量カツオ「運んだ」 焼津窃盗 静岡地裁で証人「マグロ 依頼受け盗む」
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた神奈川県の運送会社「ホクユウ」(現ケイエスケイ)元社長の男(49)と同市の水産加工会社「大熊フーズ」元社長の男(57)、都内の水産加工会社「大洋エーアンドエフ」元焼津営業所長の男(47)の第2回公判が24日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。同市の運送会社「焼津港湾」の運転手が証人として出廷。大洋関係で未計量のカツオを運んだり、元社長の男(57)から頼まれてマグロを盗んだりしたことがあると述べた。 運転手は焼津港湾に40年ほど勤務。カツオを計量せずに運び出す行為に関わったことが「3年以上前に結構ある」とし、「ほとんどは市
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所長に三森弁護士 下田ひまわり事務所
弁護士の過疎地域の解消を狙いに日本弁護士連合会などが支援して運営する下田ひまわり基金法律事務所(下田市)の所長に10月、県弁護士会所属の三森祐二郎弁護士(51)が就任した。任期は1日から3年。 三森氏は横浜市出身。裁判所事務官や書記官として東京地裁や最高裁での勤務を経て、2010年に弁護士登録。栗原ひまわり基金法律事務所(宮城県)などで活動してきた。 所長を6代目の秋本佳宏弁護士(33)から引き継ぐ。24日に下田市内で会見した三森氏は「高齢者の財産管理などが重要課題だと受け止めている。過疎地域での経験を生かしたい」と意気込んだ。 下田ひまわり基金法律事務所は05年、県内で初めて、全国4
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HP記述で女性医師と和解 伊東市民病院「カルテ削除」撤回
2020年6月、伊東市民病院に電子カルテの記載内容を削除した不適切医師などと公表され、病院を運営する地域医療振興協会と当時の病院管理者を相手に東京地裁に慰謝料などを求める訴訟を起こしていた元同病院の女性医師が21日、伊東市内で記者会見し、和解が成立したことを明らかにした。 原告によると、20年6月4日に病院がホームページ(HP)に掲載した記事の内容について協会が撤回することなどで和解した。病院側は当時、他の医師や看護師らが患者の電子カルテに記載した内容を女性医師が故意に削除したり、介入を阻止するような内容の記載を継続して行ったりしたと公表していた。 女性医師は「協会が掲載内容を事実無根だ
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兄を殺害未遂 懲役5年求刑 地裁沼津支部公判
同居する兄を包丁で刺して殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われた小山町、無職の男(34)の裁判員裁判論告求刑公判が19日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれ、検察側は懲役5年を求刑した。 被告には精神障害があり、争点は責任能力の程度。論告で検察側は、被告が事件の5年ほど前から包丁を購入し、兄を殺害する準備をしていたなどとし「殺人が悪いこととは常識的に分かり、思いとどまる能力は十分にあった」と指摘し、完全責任能力があったと主張した。 弁護側は「心神耗弱状態だった。反省し、兄に謝罪文を渡している」として懲役3年、執行猶予5年の判決が相当と訴えた。 起訴状などによると、被告は2
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内縁関係男性の遺体放置 被告、起訴内容認める 静岡地裁
内縁関係にあった男性の遺体を自宅に放置したとして死体遺棄罪に問われた住所不定、無職の女(56)の初公判が18日、静岡地裁(谷田部峻裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述で動機について「警察などに通報すれば亡くなった男性と離れなければならず、一緒にいたかった」と説明。被告は2018年ごろから同居生活し、男性が受給していた生活保護や老齢年金に頼って生活していたことを明かした。 起訴状などによると、被告は4月7日ごろから8月3日までの間、静岡市清水区の当時の自宅で同居する内縁関係にあった男性=当時(78)=が死亡していたのに埋葬せず、死体を放置したとされる。 被告は男
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焼津カツオ窃盗、漁協元職員ら有罪 静岡地裁、5人に判決
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件を巡り、窃盗の罪に問われた焼津漁業協同組合の元職員の男(41)=同市東小川2丁目=ら5被告の判決公判で、静岡地裁は17日、いずれも有罪判決を言い渡した。市内の水産加工会社の元社長の男(61)=同市大村新田=は共謀の成立を否定し無罪を主張していたが、地裁は「共謀を認定できる」と判断した。 「常習的、罪の意識まひ」 地裁は両被告と、焼津市内の水産加工会社の元役員の男(48)=藤枝市藤枝4丁目=に懲役3年、執行猶予3年(いずれも求刑懲役3年)を、焼津市の運送会社の運転手だった男(48)=同市本中根=、男(44)=同市田尻北=には懲
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浜松・経営者殺害 歯科医、二審も懲役19年 東京高裁判決
浜松市東区の貸しガレージで2012年に建築会社経営の男性=当時(68)=の遺体が見つかり、殺人や死体遺棄などの罪に問われた同区の歯科医師(67)の控訴審判決で東京高裁は17日、懲役19年とした一審静岡地裁浜松支部の裁判員裁判判決を支持し、無罪を主張する被告側の控訴を棄却した。弁護人は即日上告した。 一審判決の事実誤認を訴える弁護側は「男性に睡眠導入剤アモバンを摂取させたと認定したのは誤り」などと主張していた。島田一裁判長は判決理由で、被告が虚偽の処方歴を述べてアモバンを入手し、男性と会う際に所持していたことなどを踏まえ、「男性に飲ませる目的で準備したと考えるのが自然で、一審判決に不合理な点
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兄殺人未遂の男 起訴内容認める 静岡地裁沼津支部初公判
同居する兄を包丁で刺して殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われた小山町、無職の男(34)の裁判員裁判初公判が17日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述で、日ごろから兄の生活音や言動に不満を募らせ、事件当時は食べていた飲食物のにおいを指摘され「悪態をつかれたことに立腹した」と動機を説明した。弁護側は「精神障害の影響で心神耗弱状態だった」として執行猶予付き判決を求めた。 起訴状などによると、被告は2021年9月6日午後10時ごろ、自宅で兄=当時(36)=の左脇腹を、殺意を持って包丁で刺し、約23日間のけがを負わせたとされる。
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手術せず性別変更申し立て 鈴木さん、初の審尋 家裁浜松支部
生殖機能をなくす性別適合手術をせずに、静岡家裁浜松支部に戸籍上の性別変更を申し立てている鈴木げんさん(47)=浜松市天竜区=の家事審判で14日、初の審尋が開かれた。審尋後の会見で鈴木さんは「関心を持って審議してくれた」と強調。弁護団は、担当裁判官に対し、本年度中に判断するよう求めたことを明かした。 申し立てでは、戸籍上の性別変更を定めた性同一性障害特例法のうち、生殖機能の除去などを求める要件を違憲とし、変更審判を求めている。同様の申し立ては全国で2例目。2019年に最高裁は合憲判断を下したが「憲法違反の疑いが生じている」とする補足意見を示した。 弁護団によると、審尋は約1時間行われ、裁判
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任意後見人の男 横領の罪で起訴 静岡地検
静岡地検は13日、業務上横領の罪で静岡市駿河区池田、会社員の男(69)を静岡地裁に起訴した。 起訴状によると、被告は任意後見人として同市内の90代男性の預金口座を管理していた2017年1月4日から2月28日までの間、3回にわたって計260万円を払い戻して横領したとされる。
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無免許事故、身代わり依頼の男 懲役3年6月求刑 静岡地裁浜松支部
浜松市南区の市道で7月、乗用車を無免許運転して歩行者の50代女性をはねた上、同乗していた交際相手の女性に身代わりを依頼したとして、自動車運転処罰法違反(無免許過失傷害)と犯人隠避教唆の罪に問われた同市中区、飲食店店員の男(24)の初公判が13日、静岡地裁浜松支部で開かれた。被告は起訴内容を認め、検察は懲役3年6月を求刑した。弁護側は情状酌量を求め、即日結審した。 検察は冒頭陳述で、無免許を知る交際相手が制止したが、被告はそれを振り切って車を運転したと明らかにした。警察への通報時や駆け付けた警察官には「自分は助手席にいた」などと虚偽の説明をしていた。被告人質問で被告は「彼女に良いところを見せ
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カツオ窃盗「鹿児島ルート」 焼津の元社長、共謀否認 静岡地裁初公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされた冷凍カツオの窃盗事件で、窃盗罪に問われた神奈川県の運送会社元社長の男(49)=同県南足柄市=と焼津市の水産加工会社元社長の男(57)=同市与惣次=、東京都の水産加工会社元焼津営業所長の男(47)=同市駅北3丁目=の初公判が12日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。神奈川県の運送会社元社長の男(49)と東京都の水産加工会社元焼津営業所長の男(47)は起訴内容を認め、焼津市の水産加工会社元社長の男(57)は「共謀していない」と否認した。 冒頭陳述で検察側は経緯として、顔見知りだった神奈川県の運送会社元社長の男(49)と焼津市の水産加工会社元社長の男(57)が遅く
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無許可盛り土造成 男に懲役1年4月 地裁富士支部判決
富士市大淵の残土処分場に無許可で土砂を埋め立てたとして市土砂埋め立て等規制条例違反の罪に問われた山梨県身延町、残土処分業の男(58)の判決公判で、静岡地裁富士支部は12日、懲役1年4月(求刑懲役2年)を言い渡した。 西沢諒裁判官は判決理由で、土砂が周辺の土地に流れ込む事態に至り、危険で悪質な盛り土だと断じた。市から中止や原状回復命令を複数回受けても盛り土をやめず、被告が服役中も親族に事業を継続させたとして「犯意は強固だったとの評価が妥当」と述べた。 判決によると、被告は2018年4月24日ごろから22年6月13日ごろまでの間、自身が所有する土地で、富士市長の許可を得ず事業区域500平方メ
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熱海土石流 市長個人への損賠請求 訴訟費用は公費負担せず 市議会一般質問
熱海市伊豆山の大規模土石流の起点を含む土地の現所有者が斉藤栄市長に損害賠償を求めた訴訟について、同市の中田吉則経営企画部長は11日、「市長個人に対する訴訟であり、訴訟費用などは市として特段の対応はしない」との方針を明らかにした。市議会9月定例会で竹部隆氏(熱海成風会)の一般質問に答えた。 現所有者は9月6日、土石流で土地の資産価値が失われたなどとして、斉藤市長に10万円の損害賠償を求めて静岡地裁沼津支部に提訴した。中田部長は、遺族らが市と県、現旧所有者らにそれぞれ損害賠償を求めた訴訟と市長の訴訟が併合される可能性に触れ、「市の顧問弁護士と協議しながら状況を注視する」と述べた。 遺族らが市
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記者コラム「清流」 大人が守るべき命
昨年7月、福岡県中間市で保育園の送迎バス内に男児=当時(5)=を置き去りにし、熱中症で死亡させたとして業務上過失致死罪に問われた当時の園長らの初公判が9月下旬、福岡地裁で開かれた。事件後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)となった元園長は閉廷後、壁伝いに歩いて地裁を後にした。 痛々しい姿だったが、最愛の息子を奪われた遺族が許すはずがない。「罰を受けてほしい」。記者会見では心身を患いながらも遺影を抱いて出席した母親や祖父が怒りをあらわにした。事の重大さに取材側ですら押しつぶされそうな感覚に陥った。 こんなことは二度とあってはならなかった。大人が守るべき命を、大人が奪ってしまったことが何より
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熱海土石流 土砂の最終処分、23年度末までに 静岡県代執行
静岡県は6日の県議会9月定例会危機管理くらし環境委員会で、熱海市伊豆山の土石流起点付近で県が11日に開始する行政代執行について、2022年度中に撤去した土砂を熱海港に仮置きし、23年度末までに最終処分場へ運ぶ方針を示した。22年度の代執行費用に4億円を想定していることを明らかにし、23年度にかかる費用は精査中だとしつつも、「概算で10億円程度」との見方を示した。県は代執行費用を前土地所有者に請求する。 県によると、起点付近で落ち残った盛り土のうち、撤去が必要な不安定な土砂は約2万立方メートル。事前の調査で土砂の一部から基準値を超えるフッ素が検出されたため、撤去した土砂も一部は県外の汚染土壌
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女子中学生盗撮 元教諭に有罪判決 静岡地裁
入浴中や着替え中の女子中学生を盗撮したとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた裾野市麦塚、元公立中学校教諭の男(35)=懲戒免職処分=の判決公判で、静岡地裁は6日、懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。 国井恒志裁判官は判決理由で「常習的な犯行の一環で、被害者の心身に有害な影響を与えた。自らの性的な興味を満足させるためという動機は厳しい非難を免れない」と述べた。一方、反省して治療計画に従うと誓い、懲戒免職処分を受けたことなども踏まえ、執行猶予が相当と判断した。 判決によると、被告は2019年9月5日に県内の宿泊施設で入浴中の女子中学生数人を盗撮。21年11月17
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清水庁舎耐震診断 市民の訴えを却下 静岡地裁判決
静岡市が実施した市役所清水庁舎の耐震診断への公金支出は違法として、一部市議と市民が田辺信宏市長を相手取り、約1400万円を市に返還するよう求めた訴訟の判決で、静岡地裁は6日、訴えを却下した。 菊池絵理裁判長は判決理由で、適法な住民監査請求を経ていないとして「不適法な訴え」と結論付けた。 静岡市監査委員は2021年5月、監査請求について、請求期間を過ぎているなどとして却下していた。
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妻殺害の男控訴 静岡地裁沼津支部判決に「不服」
沼津市内の宿泊施設で妻=当時(41)=を殺害したとして殺人の罪に問われた京都府、無職の男(45)が6日までに、懲役11年とした静岡地裁沼津支部の裁判員裁判の判決を不服として東京高裁に控訴した。1日付。 一審判決によると、被告は昨年11月23日午前5時ごろ、沼津市足高のホテルの室内で妻の首にバスタオルを巻き、その上から両手で締め付けて窒息死させた。
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長泉・木くず不法投棄 山林所有の男、否認 静岡地裁支部初公判
長泉町内の山林に造園や樹木の剪定(せんてい)で出た木くずなどを不法投棄したとして廃棄物処理法違反の罪に問われた山林所有者の農業の男(75)=同町=の初公判が5日、静岡地裁沼津支部(谷本奈央裁判官)で開かれた。被告は「(造園会社と)共謀して投棄していない」と起訴内容を否認し、弁護側は無罪を主張した。 被告は罪状認否で「造園会社が枝葉や雑草などを私の土地に投棄することは認めていたが、廃棄物の有効利用のつもりだった。私自身が投棄したことはない」と主張した。 冒頭陳述で検察側は、同社が剪定枝を細断する手間や処分費用を節約するため、金銭を支払って被告の山林に投棄し続けたと指摘。同社からは処分費用と
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静岡地裁・家裁と地検を学生ら見学 法曹三者の役割理解 法の日イベント
静岡地・家裁と静岡地検、県弁護士会は5日、法の日(1日)の記念イベントとして、法廷などの見学会を企画した。学生ら16人が地裁と家裁、地検を巡り、法曹三者の役割について理解を深めた。 地裁では、刑事裁判を担当している国井恒志、岡部紗奈子両裁判官から裁判所の役割や特徴、普段の心掛けについて説明を受けた。 積極的に質問を重ねた。「裁判官に向いている人は」との問いに対して、国井裁判官は「チームで仕事ができるかどうか。裁判は多くのスタッフに支えられて行われている」と回答。判事補として今年着任した岡部裁判官は「弁護士になろうと思っていたが、司法修習を通じて、より広い視点で物事を解決する点にやりがいを
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マラソン転落死亡事故 焼津市、遺族と和解へ
焼津市で2014年4月に開かれたマラソン大会に参加した女性=当時(20)=が会場付近の岸壁から海中に転落し死亡し、女性の遺族が主催者の市とNPO法人市スポーツ協会に損害賠償を求めた訴訟は5日、市が遺族に300万円を支払うことなどで和解が成立する見通しになった。市議会9月定例会は同日の最終本会議で、市が提出した和解案を可決した。 和解条項では、市と同協会が大会の安全な運営・遂行に努めることを約束した上で、女性の遺族に計300万円の見舞金を支払う―などと記されている。10月に東京高裁で和解が成立する見通し。 訴状などによると、女性は完走後に気分が悪くなり、市内の海岸で休憩していた際に海に転落
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焼津カツオ盗一部不起訴に 船会社、検審申し立て
焼津市の焼津漁港に水揚げされた冷凍カツオの窃盗事件で、宮城県の船会社が4日、窃盗容疑で逮捕された同市の冷蔵倉庫会社の50代元幹部と鹿児島県の元食品卸販売業の60代男性を不起訴にした静岡地検の処分を不服とし、静岡検察審査会に審査を申し立てた。関係者への取材で分かった。 2人は昨年3月に宮城県の船会社が水揚げした冷凍カツオを盗んだ疑いで逮捕・送検されたが、静岡地検は今年8月に不起訴処分にした。船会社側は2人が窃盗行為に深く関与していたとみていて、審査を申し立てることを決めたという。 事件に関連して、神奈川県の運送会社の元社長(49)と焼津市の水産加工会社の元社長(57)、都内の水産加工会社の
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自宅放火未遂で藤枝の男に実刑 静岡地裁公判
自宅に燃え移る危険性が高いと認識しながら室内のごみの上に火を放ち、畳を焼いたとして、現住建造物等放火未遂の罪に問われた藤枝市五十海1丁目、無職の男(58)の裁判員裁判判決公判で、静岡地裁は4日、懲役3年(求刑懲役4年)を言い渡した。 国井恒志裁判長は判決理由で「直前に実母と口論し、立腹から衝動的に犯行に及んでいる。短絡的と言うほかない」と指摘した。 判決によると、被告は1月9日、実母と同居する自宅の和室で、弁当容器などの上にティッシュペーパーを置いて火を付けた。自ら消火したため、畳などを焼損するにとどまった。
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どうする?離婚後の子育て④ しずしんニュースキュレーター/読者の意見【賛否万論】
夫婦が離婚した後、父母双方が親権者となる共同親権を導入すべきか、それとも単独親権を維持するべきか。法制審議会(法相の諮問機関)の話し合いはヤマ場を迎えていますが、家庭によって事情はさまざまで、当事者の方々の主張は平行線をたどっています。しずしんニュースキュレーターや読者からも多くの体験談や意見が届いています。 キュレーター 江口裕司さん(三島市)製造会社で米国勤務後、設計、製造、調達、翻訳、社内教育など多様な業務に携わり定年退職。現在、求職活動中。63歳 親権をどちらにすべきか、ステレオタイプの二元論で離婚後の子育ては最適化されません。子の最善の利益は子の数だけ正解があるはずですから。
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特別支援学校生 後遺症訴訟 静岡県が上告断念、賠償確定へ
静岡県立東部特別支援学校(伊豆の国市)に通っていた男子生徒が歩行訓練中に体調を崩したのに、学校側が適切な対応を取らなかったため寝たきりになったなどとして、男子生徒が学校管理者の県に治療費など約1億2255万円の損害賠償を求めた訴訟で、一審、二審でいずれも支払いを命じられた県が、最高裁への上告を断念する方針を固めたことが29日、分かった。近く上告期限を迎え、約8134万円の支払いを命じた判決が確定する見通し。 県教育委員会は「一審、二審で示された判決内容を真摯(しんし)に受け止める」と説明した。東京高裁から判決確定証明書が届き次第、正式に発表するとしている。 15日の東京高裁判決は、市民向
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熱海土石流損賠2訴訟 併合審理 土地現旧所有者と県・市 静岡地裁沼津支部
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、静岡地裁沼津支部は28日、原告の遺族らが崩落した盛り土を含む土地の現旧所有者らに損害賠償を求めた訴訟と、市と県に対する損害賠償請求訴訟を併合審理する方針を示した。同日行われた弁論準備手続き後、原告と現旧所有者の代理人弁護士がそれぞれ明らかにした。 弁論準備手続きは非公開。原告側は昨年9月、違法な盛り土を造成したなどとして現旧所有者や関連会社などに計約58億円の損害賠償を求めて提訴。今月5日には、盛り土の危険性を認識しながら必要な措置を怠ったとして市と県に計約64億円の損害賠償を求める訴えを起こしている。 原告側の加藤博太郎弁護士は取材に、11月にも市と県
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郵便局強盗未遂 男に懲役5年6月 静岡地裁浜松支部判決
浜松市中区の浜松早出郵便局に刃物を持って押し入り、強盗未遂などの罪に問われた同区早出町、無職の男(56)の判決公判で、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)は27日、懲役5年6月(求刑懲役6年)を言い渡した。 高島裁判官は判決理由で、逃走用の自動車のナンバープレートを隠すなど一定の計画性が認められ、「車の購入金欲しさに犯行に及んだのは短絡的で、身勝手な動機だ」と述べた。一方、犯行を認めて反省していることなどを考慮した。 判決によると、被告は4月4日午後0時55分ごろ、同郵便局に出入り口から侵入し、男性局員に包丁を示して「金を出せ」などと脅迫し、現金を奪い取ろうとした。通報で駆けつけた警察官
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「かけ子」監禁 起訴内容否認 静岡地裁沼津支部初公判
特殊詐欺グループから脱退しようとした「かけ子」の監禁事件で、監禁や暴行などの罪に問われた東京都練馬区、無職の男(31)の初公判が27日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、被告は「関わっていません」などと起訴内容を否認した。 冒頭陳述で検察側は、被告から逃れ連絡を絶ったかけ子に対し、仲間が探し出して被告のもとに連行した同事件の経緯や犯行状況などを説明した。 起訴状などによると、被告は仲間と共謀し、3月9日午後から12日午前までの間、沼津市内の駐車場で脱退しようとしたかけ子の20代男を、乗用車で都内の雑居ビルなどに連行して顔を蹴る暴行を加え監禁したなどとされる。
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息子の自殺ほう助 父親に有罪判決 静岡地裁沼津支部
沼津市戸田の展望地「出逢い岬」付近で心中を図ろうとした際に息子の自殺を手伝ったとして、自殺ほう助の罪に問われた愛知県岡崎市、無職の男(64)の判決公判で、静岡地裁沼津支部は27日、懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。 室橋秀紀裁判官は判決理由で、被告が自殺の意思を伝えたことが被害者の決意に影響したとして「自殺ほう助の態様として相当に重い」と指摘。一方、更生を支援する団体から支援を得られる見込みであることなどを理由に執行猶予を付けた。 判決によると、被告は4月15日午後6時から同7時ごろまでの間に、心中しようと訪れた沼津市戸田の駐車場で、長男=当時(31)=の首に電源コード
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妻殺害の男に懲役11年判決 静岡地裁沼津支部
沼津市内の宿泊施設で妻=当時(41)=を殺害したとして殺人の罪に問われた京都府、無職の男(44)の裁判員裁判判決公判で静岡地裁沼津支部は27日、懲役11年(求刑懲役15年)を言い渡した。 野沢晃一裁判長は判決理由で、将来を悲観し心中を考えていたものの被告自身が自殺する意思は強くなかったとし、「一方的な思いから及んだ短絡的な犯行。妻に落ち度はなく、動機経緯に酌むべきところは見いだしがたい」と述べた。 判決によると、被告は昨年11月23日午前5時ごろ、沼津市足高のホテルの室内で妻の首にバスタオルを巻き、その上から両手で締め付けて窒息死させた。
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「頭にきた」福岡の園児遺族 牧之原の事件受け
福岡県中間市の男児の遺族が26日、福岡地裁での初公判の閉廷後に記者会見した。男児の祖父(69)は今月5日に牧之原市で発生した園児の置き去り事件について「まるっきり一緒のことが起きて頭にきた。最後にしてほしいと思っていた」と怒りをあらわにした。 牧之原市では認定こども園「川崎幼稚園」の送迎バス内に女児(3)が約5時間置き去りにされ、熱中症で死亡した。バスを運転していた運営法人の前理事長は降車時に車内の確認を怠ったとされる。男児の祖父は「最後に降りる人が点検するのが役割だと思う。何のために男児は亡くなったのか」と無念さをにじませた。送迎バスへの安全装置の設置義務化など国レベルでの対策の徹底も求
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熱海・刺殺男を殺人罪で起訴 静岡地検沼津支部
静岡地検沼津支部は26日、熱海市渚町のアパートで男性を刃物で刺して殺害したとして、殺人の罪で同町、無職の男(24)を静岡地裁沼津支部に起訴した。裁判員裁判の対象になる。 起訴状などによると、被告は6日午前1時50分ごろ、自宅アパート通路で、三島市の飲食店従業員の男性=当時(36)=の胸などを、殺意を持って果物ナイフで4回刺し、出血性ショックで死亡させたとされる。騒音トラブルが原因とみられる。
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カード不正使用 被告夫婦認める 静岡地裁富士支部初公判
富士市で経営していた施設の利用者から預かったキャッシュカードで不正に現金40万円を引き出したとして窃盗の罪に問われた大阪府羽曳野市、共に派遣社員の女(57)と夫(48)の両被告の初公判が26日、静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)で開かれた。両被告は起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述で、薬物依存の回復施設を運営する中で、生活費や暴力団幹部への借金返済に充てるために施設利用者の口座から現金を引き出したと指摘した。同幹部の機嫌を取る目的で同じ口座から現金を引き出していたことも明らかにし、検察側は今後、ほかに数件を追起訴する方針を示した。 起訴状などによると、2020年12月25日、施設利用者か
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下田の海水浴場業務妨害 総長ら起訴 静岡地検沼津支部
下田市の白浜大浜海水浴場で正規の許可を得てパラソルを貸し出していた市民を脅したとして、静岡地検沼津支部は21日、威力業務妨害の罪で指定暴力団稲川会大場一家総長の無職の男(58)=河津町峰=と幹部の男(56)=下田市吉佐美=の両容疑者を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、両被告は他の仲間と共謀して8月7日午前11時半ごろ、同海水浴場でパラソルなどの貸出業務をしていた市夏期海岸対策協議会原田支部の支部長に「商売をできなくしてやるぞ」などと脅し、同支部の業務を妨害したとされる。
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浜松の経営者殺害事件 歯科医側、無罪主張 控訴審初公判
浜松市東区の貸しガレージで2012年に建築会社経営の男性=当時(68)=の遺体が見つかった事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われ、静岡地裁浜松支部で懲役19年とされた同区の歯科医師の被告(66)の控訴審初公判が16日、東京高裁で開かれた。弁護側は一審に続き無罪を主張した。検察側は控訴棄却を求め、即日結審した。判決は10月17日。 一審判決の事実誤認などを訴える弁護側は控訴趣意書で、会社経営の男性の死亡理由について「殺人行為で亡くなったと立証されていない」などと指摘。その上で「男性の遺体を隠匿しておらず、殺人の犯人でもない」と主張した。検察側は「控訴趣意に理由がない」とした。 弁護側は約30点
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「淡島ホテル」購入希望者募集始める 沼津、債権者集会で報告
沼津市の淡島ホテルの旧運営会社の破産事件に絡み、静岡地裁沼津支部は16日、第4回債権者集会を市内で開いた。非公開で行われた。出席者によると、AWHの破産管財人が、ホテルの任意売却に向け、購入希望者の受け付けを開始したと明らかにしたという。 管財人は、売却先を広く募り、ホテルの購入を希望する企業などと個別面談を進めている現状を報告した。10月中には購入予定者を決定したい意向も示した。管財人は、購入希望者数や売却価格などの詳細には言及しなかったものの、「できるだけ高値で淡島ホテルを売却できるよう努力する」とした。
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妻の首絞め殺害 懲役15年を求刑 静岡地裁沼津支部公判
沼津市内の宿泊施設で妻=当時(41)=を殺害したとして殺人の罪に問われた京都府、無職の男(44)の裁判員裁判論告求刑公判が15日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれ、検察側は懲役15年を求刑した。 検察側は論告で、妻が死を承諾する発言をしていたとしても真意ではないと指摘。自暴自棄になった被告の身勝手な犯行として、「動機、経緯に酌量の余地はない」と述べた。弁護側は、被告は会社経営が傾き、債権者から精神的に追い詰められ犯行に及んだと主張。「計画性はなく、自首も成立している」などとして懲役8年を求めた。 起訴状などによると、被告は昨年11月23日午前5時ごろ、沼津市足高のホテルの室内で
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静岡県の賠償増額 東部特支生、後遺障害訴訟 東京高裁判決
静岡県立東部特別支援学校(伊豆の国市)に通っていた男子生徒が歩行訓練中に体調を崩したのに、学校側が適切な対応を取らなかったため寝たきりになったなどとして、男子生徒が学校管理者の県に治療費など約1億2255万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は15日、県に約7906万円の支払いを命じた一審静岡地裁沼津支部判決を変更し、後遺障害を重くみて賠償額を約8134万円に増額した。 控訴審で県側は、生徒の突然の体調変化自体は学校の教育活動とは無関係で、当時保護者もそばにいたことから、事後措置を行う義務はなかったなどと主張していた。判決で高橋譲裁判長は「教育活動と無関係であるとしても、そのこ
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調停制度100周年 県内でイベント 10月、無料相談会も
調停制度が10月に100周年を迎える。県内では無料相談会や、学生を対象にした模擬調停の記念イベントなどが計画されている。 調停は私人間のトラブルについて、裁判所の調停委員会が仲介して話し合いで解決を図る制度。金銭トラブルなどを扱う民事調停は地裁や簡裁で、離婚や相続をはじめとする家事調停は家裁で行う。 静岡地・家裁は10月7日と14日の午後1時半から同3時40分、大学生と専門学生向けの記念イベントを地裁で開く。両日とも定員30人程度(先着順)。裁判官が調停と裁判の違いや調停制度の歴史を解説し、調停委員らを交えた模擬調停を予定する。希望者は地裁<電054(251)6241>へ申し込む。 静
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焼津カツオ盗 新潟船会社が損害賠償提訴 漁協などに762万円
焼津漁港(焼津市)で発生した冷凍カツオの窃盗事件に関連し、新潟県の船会社が13日、焼津漁業協同組合と焼津市の水産加工会社、同市の運送会社、窃盗の罪で起訴された6被告ら7人を相手取り、計762万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁に起こした。 訴状によると、7人は共謀し、2018年4月までに船会社の漁船が焼津漁港に水揚げしたカツオの一部を盗み、同社に762万円の損害を与えたとしている。7人が所属していた漁協などの3者には、それぞれ使用者責任があると主張している。 3者と7人を巡っては、水揚げしたカツオを盗まれたとして、焼津市の船会社と長崎県の船会社も損害賠償を求める訴訟を起こしている。
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妻の首締め殺害 起訴内容認める 静岡地裁沼津支部初公判
沼津市内の宿泊施設で妻=当時(41)=を殺害したとして殺人の罪に問われた京都府、無職の男(44)の裁判員裁判初公判が13日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれた。被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述で、会社経営が傾き逃亡生活を送る中、飲酒中に口論になった妻に怒りの矛先を向けたと説明。「強固な殺意に基づく犯行で、理不尽に妻の命を奪った」と指摘した。 弁護側は、被告は悲観的になり衝動的に犯行に及んだとし、「被害者の両親に謝罪の手紙を書き、反省している」と訴えた。 起訴状などによると、被告は昨年11月23日午前5時ごろ、沼津市足高のホテルの室内で妻の首にバ
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無許可盛り土 懲役2年求刑 地裁富士支部公判 検察「売り上げ7000万円超」
富士市大淵の残土処分場に無許可で土砂を埋め立てたとして同市土砂埋め立て等規制条例違反の罪に問われた山梨県身延町、残土処分業の男(58)の初公判が12日、静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。検察側は、被告がこれまでに推定約7100万円を売り上げていたと指摘した。即日結審し、検察側は懲役2年を求刑した。判決は10月12日。 検察側は冒頭陳述などで、被告が計17社からダンプ4827台分の土砂を受け入れ、自身の土地5378平方メートルの範囲に5万6077立方メートルの土砂を埋め立てたことを明らかにした。論告では盛り土の量や収益が相当多く「度重なる行政指導を無視した悪
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焼津カツオ盗 漁協職員に懲役1年6月、執行猶予3年 静岡地裁
焼津市の焼津漁港に水揚げされた冷凍カツオが抜き取られた事件を巡り窃盗罪に問われた焼津市小土、焼津漁業協同組合の職員の男(32)の判決公判で、静岡地裁は12日、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。国井恒志裁判長は「組織的な窃盗の一環。魚市場に対する社会の信頼を傷つける」と指摘した。 国井裁判長は判決理由で「焼津漁協内で半ば堂々と行われた大胆かつ計画的な犯行」と述べた。「帳面」と呼ばれる計量担当の立場を悪用し「犯行に必要不可欠な役割を果たした」と強調し、報酬目的で加担した動機を「厳しい非難は免れない」と批判した。一方、反省し漁協の信頼回復に努めると誓っている点などを踏
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知的障害息子の自殺ほう助 父に懲役2年求刑 地裁沼津支部公判
沼津市戸田の展望地「出逢い岬」付近で心中を図ろうとした際に息子の自殺を手伝ったとして、自殺ほう助の罪に問われた愛知県岡崎市、無職の男(64)の論告求刑公判が9日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、検察側は懲役2年を求刑した。 検察側は論告で、知的障害のある被害者は、被告から「一人で生きていけるか」と尋ねられ死を決意したと指摘。被告の言動は、被害者の意思決定に大きな影響を及ぼしたとし「わが子にまで自死を選択させた動機や経緯に酌むべき事情は乏しい」と述べた。一方、弁護側は「息子をおもんぱかった結果巻き込んでしまった。反省している」などと執行猶予付き判決を求めた。 起訴状などによると
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強制わいせつ致傷 ベトナム人に実刑 静岡地裁判決
女性を脅迫してわいせつな行為をし、けがをさせたなどとして、強制わいせつ致傷と公然わいせつの罪に問われたベトナム国籍、横浜市南区、作業員の男(25)の裁判員裁判の判決公判で、静岡地裁は8日、懲役4年(求刑懲役5年)を言い渡した。 国井恒志裁判長は判決理由で、執拗(しつよう)にわいせつ行為に及び、女性の顔を平手や拳で複数回殴った悪質性を踏まえ「実刑は免れない」と述べた。 判決によると、被告は昨年4月29日夜、静岡市内の路上で20代の女性を脅して駐車場に引きずり込み、複数回殴るなどしてわいせつな行為をし、負傷させた。同年8月5日夜には、横浜市南区のスーパー駐輪場で下半身を露出した。
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郵便局強盗未遂 懲役6年を求刑 静岡地裁浜松支部公判
浜松市中区の浜松早出郵便局に刃物を持って押し入り、現金を奪おうとしたなどとして、強盗未遂などの罪に問われた同区早出町、無職の男(56)の初公判が7日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認めた。即日結審し、検察側は懲役6年を求刑した。 検察側は被告が目出し帽などを着用したり、逃走用車両のナンバープレートを隠したりするなどの計画的犯行であることや、車購入のための現金欲しさに犯行に及んだと指摘した。弁護側は「犯行は場当たり的だ」などとし、計画性は低いと主張した。 起訴状によると、被告は4月4日午後0時55分ごろ、同郵便局に出入り口から侵入し、男性局員に包丁を示して
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現所有者が市長提訴 熱海土石流
熱海市伊豆山の大規模土石流により土地の価値が失われたとして、土石流の起点を含む土地の現所有者の男性(86)が6日、同市の斉藤栄市長に10万円の損害賠償を求め、静岡地裁沼津支部に提訴した。代理人の河合弘之弁護士は「訴訟の目的は金銭ではない。因果関係の最後の引き金を引いた市長個人の責任が問われるべきだ」と主張した。 訴状によると、斉藤市長は違法状態の盛り土の危険性を認識しながら、旧土地所有者に安全対策を講じさせる措置命令を見送ったほか、土石流の発生前日から災害の危険が迫っていたのに避難指示を出さなかったとして、国家賠償法に基づく賠償責任を負うと主張。土石流により、3億円で購入した土地が利用でき
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自宅放火未遂罪、富士宮の男起訴 静岡地検沼津支部
静岡地検沼津支部は6日、現住建造物等放火未遂の罪で富士宮市、無職の男(89)を静岡地裁沼津支部に起訴した。裁判員裁判の対象。 起訴状などによると、被告は5月18日午後3時25分ごろ、自宅の和室に灯油をまいてマッチで火を付け、畳などを燃やしたとされる。地検支部は約3カ月にわたり鑑定留置し、刑事責任能力の有無などを調べていた。
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真相究明の進展期待 遺族ら提訴「行政不作為問う」 熱海土石流
災害関連死を含め27人が死亡し、1人が行方不明になっている熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、国家賠償法に基づき市と県に約64億円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁沼津支部に起こした遺族ら原告団は5日、沼津市内で記者会見を開いた。土石流の起点となった土地の新旧所有者らを相手取った先行訴訟と併合して審理される見通しで、原告団は「真相究明が進むことを期待し、責任を追及していく」と強調した。 遺族と被災者ら110人と3法人が原告に名を連ねた。元都庁職員でもある代理人の加藤博太郎弁護士は「まさに今回、行政庁の事なかれ主義が出てしまったと考える。危険性を認識しながら先送りした結果、甚大な被害を生じさせた
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「誤診で卵管切除」 浜松の女性、医療公社を提訴
浜松医療センター(浜松市中区)で、医師の誤診により右卵管を切除され精神的苦痛を受けたなどとして、同市の女性(30)が5日までに、同センターを運営する市医療公社に慰謝料など1200万円の支払いを求める訴訟を静岡地裁浜松支部に起こした。 訴えは7月25日付。訴状によると、女性は2020年11月、受精卵が子宮内膜以外に着床する異所性妊娠と診断され、腹腔(ふくくう)鏡下卵管切除術を受けた。しかし、術後の診察で、医師から異所性妊娠ではなく、正常妊娠だった可能性が高いと伝えられた。 原告側は産婦人科診療のガイドラインに照らし、卵管切除に至る前に血中のホルモンの数値を確認すれば正常妊娠と見分けられたな
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国が準備書面提出 浜松の旧優生保護法訴訟
旧優生保護法下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、浜松市の視覚障害者の女性(73)が国に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が5日、静岡地裁浜松支部で行われた。国側は準備書面を提出し、同様の訴訟で国に損害賠償を命じた高裁判決に「看過しがたい誤りがある」と主張した。 2月の大阪高裁と3月の東京高裁の判決では、不法行為から20年間で損害賠償請求権が消滅する民法の規定「除斥期間」について、権利侵害の重大性を考慮して適用せず、国に賠償を命じた。 国側は準備書面で、除斥期間の効果は不法行為の内容や程度に左右されないと法的性質を説明。最高裁判例などを踏まえ、適用制限は「法律上の根拠がない限り許され