裁判しずおかの記事一覧
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旭川女子高生殺害 容疑の19歳女逆送 家裁
北海道旭川市で女子高校生(17)がつり橋から石狩川に転落させられ殺害された事件で、旭川家裁は26日、殺人容疑などで家裁送致された同市の無職の女(19)を検察官送致(逆送)すると決定した。上村善一郎裁判長は決定理由で「犯行は執拗(しつよう)かつ卑劣なもので、極めて悪質。刑事処分が相当だ」と非難した。 旭川地検が近く起訴するかどうか判断する。起訴されれば公開の法廷で刑事裁判を受けることになり、改正少年法の「特定少年」として実名が公表される可能性がある。 決定要旨などによると、内田梨瑚被告(21)=殺人罪などで起訴=らと共謀の上、4月18日夜から19日未明にかけ、留萌市の高校生を市内の道の駅で
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西山ファーム 元幹部に有罪 名古屋地裁判決
果物などの転売事業への出資を募り不正に金を集めたとして、出資法(預かり金禁止)違反罪に問われた岡山県赤磐市の観光農園経営会社「西山ファーム」(閉鎖)の元代表取締役山崎裕輔被告(43)に、名古屋地裁は26日「被告を頂点に役割を分担し、組織的・職業的で悪質な犯行だ」として懲役2年、執行猶予4年、罰金150万円(求刑懲役2年、罰金150万円)の判決を言い渡した。 大村陽一裁判長は、山崎被告がスキームを考案して重要な意思決定を担っていたとし「首謀者として犯行を主導し、責任は重い」と指摘した。その上で、被告が今回の事件の被害者らに弁償したことなどを踏まえ、懲役刑の執行を猶予した。
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高裁も暴行認めず 静岡いじめ、控訴棄却
静岡市立千代田小で2017年度にいじめを受け、適応障害を発症したなどとして、当時5年生だった男性(17)が同級生7人や担任教諭、市などに計約2千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(佐々木宗啓裁判長)は25日、同級生6人の保護者に88万円の支払いを命じた一審静岡地裁判決を支持して男性の控訴を棄却した。 23年の静岡地裁判決は、男性の名前に「菌」をつけて他の児童に擦りつけていく「菌回し」と呼ばれる行為をいじめに該当すると判断。同級生6人の保護者に88万円の支払いを命じた。一方、暴行されたなどとする訴えを退け、同級生のうち残る1人と担任、校長と市への請求を棄却。男性側は暴力や市な
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再審手続きの見直しを要望 静岡など東海北陸7県議長会 法務省に
愛知、静岡、石川など東海北陸7県の県議会議長会は24日、刑事裁判をやり直す再審手続きの規定を見直すよう求める要望書を法務省に提出した。静岡県の一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審公判判決が9月に控える中、静岡県議会の落合慎悟議長が代表で要望書を手渡した。受け取った中野英幸政務官は「思いを重々理解しながら対応する」と述べた。 要望書は、現行法には再審請求手続きでの証拠開示に関する規定が明文化されておらず「制度的保障がない」と指摘。事件によって開示される証拠の範囲に大きな差が生じているとした。再審開始決定から公判が始まるまで長期間を要しているといった課題も挙げ、規定の在り方
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気功療法受講巡り 承継団体に賠償命令 福岡地裁判決
気功療法を推進する福岡市の会社「アースハート」や事業承継した団体「セントマザー」に、セミナー受講料を不当に支払わされたなどとして、静岡や愛知など10県の計34人が、計約2460万円の損害賠償を求めた二つの訴訟の判決で、福岡地裁は24日、違法な活動によって損害を被ったと認め、計約2440万円の支払いを命じた。 アースハートは2013年以降、法人税法違反容疑などで元社長らが逮捕され、有罪判決を受けた。弁護団によると、受講料を巡り、14年に設立されたセントマザーへの賠償命令は初めて。 林史高裁判長は判決理由で、自身や家族の病気を改善させたいという切実な思いにつけ込み、強い心理的圧迫を加えたと指
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検察取り調べ 「違法」と提訴 特捜部起訴の会社社長
東京地検特捜部に特別背任などの罪で逮捕、起訴された「テクノシステム」(東京都港区)社長の被告(50)が24日、特捜部の検事から「なめたらあかん」「反社会的勢力」と発言されるなど黙秘権や人格権を侵害する違法な取り調べを受けたとして、国に1100万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。 被告は2021年5月、金融機関から融資金を詐取したとする詐欺容疑で逮捕。特別背任容疑などで再逮捕され、起訴された。現在も勾留が続いている。今後公判では無罪を主張する方針。 訴状によると、被告は逮捕後、41日連続で計205時間の取り調べを受けた。一貫して黙秘権を行使する意思を示したが、検事は「なめたらあかんわ
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入管法違反などでフィリピン人起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は24日、入管難民法違反と電磁的公正証書原本不実記録・同供用の罪でフィリピン国籍、清水町柿田、会社員の男(38)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は2020年2月28日、女性と婚姻の意思がないのに婚姻届を沼津市役所に提出し、受理させたとされる。今年2月13日には、女性と婚姻関係の実態があるかのように装い、名古屋出入国在留管理局静岡出張所に虚偽の在留期間更新許可申請書などを提出し、1年間の在留許可を受けたとされる。 被告と同容疑で逮捕、送検されたフィリピン国籍、清水町柿田の女性会社員(44)と、沼津市大岡、無職女性(37)は処分保留で釈放した。捜査は継
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前園長の実刑確定 牧之原・園バス置き去り
牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で2022年9月、園児=当時(3)=が送迎バスに置き去りにされ、熱射病で死亡した事件で、業務上過失致死の罪に問われた前園長(75)を禁錮1年4月の実刑、元クラス担任(48)を禁錮1年、執行猶予3年とした一審静岡地裁判決が19日、確定した。検察、弁護側双方が控訴しなかった。
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中部電力側 審査状況説明 浜岡原発廃炉訴訟
中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)3~5号機の廃炉を求めて地域住民らが起こした訴訟の第39回口頭弁論が18日、静岡地裁浜松支部(佐藤卓裁判長)で開かれた。中電側が新規制基準適合性確認審査の進捗(しんちょく)状況などを報告した。 審査会合は4~6月に計3回実施。「基準津波(想定される最大津波高)」策定に向けた検討が進められ、敷地前面の津波高を最大25・2メートルとする中電の評価について、原子力規制委員会から「おおむね妥当」と判断されたと報告した。 中電側は11月の次回期日で、耐震設計の目安となる最大の揺れ「基準地震動」に関する書面を提出する準備を進めるとした。
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週刊誌「パパ活」報道 吉川赳氏の損害賠償請求棄却 東京地裁
吉川赳衆院議員(42)=比例東海=が、女性との交際を「パパ活」と報じた週刊ポストの記事で名誉を毀損(きそん)されたとして、発行元の小学館に7500万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日、請求を棄却した。 週刊ポストは2022年6月、「パパ活『飲酒』現場」との見出しで、吉川氏が18歳の女性と食事をして飲酒させた後、共にホテルで過ごして現金を支払ったなどと報じた。 吉川氏は訴訟で、女性とは飲酒接客を伴う店で知り合い、20歳以上と推認される状況にあったと主張。同社と女性が事前に示し合わせて撮影や録音を行った「やらせ取材」だったと指摘し、「重大な選挙妨害となりかねない損害が発生
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藤枝の病院側に慰謝料支払い命令 東京高裁 説明義務違反
藤枝市の藤枝平成記念病院で、大腸のほぼ全てを摘出する緊急手術を受けた同市の男性が約1年半後に死亡したのは、治療ミスが原因だなどとして、遺族が約2800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は17日、運営する医療法人に慰謝料など44万円の支払いを命じた。一審静岡地裁は遺族らの請求を棄却していた。 二審判決は、手術の方法は適切だったとした上で、手術に伴う危険性や予後について男性に直接説明しなかったことについて「医師の説明義務違反で、自己決定権の侵害を否定できない」と指摘。男性が精神的苦痛を受けたと認定した。 判決によると、男性は2016年7月に大腸をほぼ全て摘出する緊急手術を受け
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ホスト同士の暴力、わいせつが常態化 死亡大学生への犯罪巡り元同僚5人全員に有罪判決 静岡地裁
静岡市葵区のホストクラブ(廃業)で働いていた男子大学生(23)=昨年9月に死亡=への強制わいせつ罪に問われた元同僚の男(30)の判決公判が16日、静岡地裁で開かれ、谷田部峻裁判官は懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。これで一連の事件を巡って同罪や暴行罪などで起訴された元同僚の男5人全員に有罪判決が下ったことになる。一方、公判ではホスト同士の暴力やわいせつ行為が常態化していた店舗の異様な雰囲気が浮き彫りになった。男らは罪を認めつつ「悪ふざけだった」などと釈明した。 地裁によると、暴行罪で罰金刑が確定した元同僚(27)は酔った大学生の言動に腹を立て、首を両手でつかんで投げ飛ばし
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強制不妊原告に 首相謝罪へ 最高裁判決受け面会
障害を理由に不妊手術を強いた旧優生保護法を憲法違反とし、国の賠償責任を認めた最高裁判決を受け、岸田文雄首相は17日、原告や弁護団と面会する。面会は総理官邸で行われ、原告らは支援者を含め100人以上が参加し、約20人が発言する見通し。つらい経験や思いを聞き取り、首相は直接謝罪する意向だ。「戦後最大の人権侵害」の解決に向け、ようやく政府の動きが本格化する。 与野党は16日、衆参両院の議院運営委員会理事会で、両院事務局から判決の報告を受けた。旧法を議員立法で成立させた経緯を踏まえ、秋にも反省やおわびの気持ちを示す国会決議を調整する方向となった。 最高裁大法廷は3日、障害のある人らが国に損害賠償
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袴田さん支援団体「証拠捏造認定を」 静岡地裁に要請
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で9月に再審判決を控える袴田巌さん(88)の支援団体は12日、静岡地検に死刑求刑の撤回を、静岡地裁に捜査機関による証拠捏造(ねつぞう)の認定や傍聴機会の拡大を要請した。 「袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会」や日本国民救援会県本部のメンバーらが届けた。地裁に対しては、袴田さんの無罪判決を求める1487人分の署名も提出。昨年9月以降の累計では1万7596人分となった。 地検への要請書で「検察官が警察官と一体となって袴田さんを犯人に仕立て上げていった」と主張した。県警を早急に捜査すると同時に、当時の担当検察官を取り
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「献金は自由意思」退ける 旧統一教会巡る訴訟 最高裁判断 教団の解散請求に影響も【表層深層】
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の高額献金を巡り、最高裁は11日、教団側が信者との間に交わした「返金や賠償を求めない」とする念書の有効性を否定した。教団が盾としてきた「自由意思」との主張を退け、献金問題の根幹に対する厳しい司法判断といえる。宗教法人法に基づく解散命令請求の裁判に影響するとの見方もある。 「こういうことは許されないと一定の基準を示した。諦めている被害者への大きな励ましになったと思う」。原告側代理人の山口広弁護士は記者会見で判決を評価した。 昨年11月に東京高裁が同様の書面について公序良俗に反し無効と判断するなど、これまでにも念書や合意書の効果が否定されたケースはあった。
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手術なしで性別変更認める 広島高裁決定 「大きな前例」当事者歓迎
性別変更の外観要件を巡り、陰茎切除などの手術をしなくても、ホルモン療法の効果を根拠に性別変更を認める家事審判決定が10日、広島高裁で出た。身体や生活へのリスクから手術に踏み切れなかったトランスジェンダーの当事者からは「大きな前例ができた」と歓迎の声が上がった。一方、今回の司法判断は申立人個人に限られており、より柔軟な制度を求める意見もあった。 戸籍上の性別を男性から女性に変更したいと望む広島大大学院2年福田清華さん(23)は、学校で通称名が使えるようになった大学2年生から女性の「清華」として生活を送る。ホルモン療法を始め、月に3、4回注射を打ち続けている。 性別変更に向け、手術を検討した
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熱海土石流3年経て審理本格化 損賠訴訟、10日に併合後初弁論 責任割合の判断が焦点
熱海市伊豆山の逢初川で2021年7月に盛り土が崩落し住民28人が死亡、住宅100軒超が損壊した大規模土石流から3年が過ぎ、民事訴訟の審理がようやく本格化する。遺族や被災者は盛り土の現旧土地所有者らを相手に計58億円、県と市を相手に計64億円の損害賠償を求めていて、10日には静岡地裁沼津支部で二つの訴訟併合後初めて公開審理となる口頭弁論を迎える。盛り土の造成や規制に関与した被告が多いため、被告間の責任割合をどう判断するのかが今後の訴訟の焦点になりそうだ。 口頭弁論は併合前にも単独で開かれたが、23年1月以降は弁論準備手続きが非公開で続いたため、原告、被告双方の弁護士から審理の公開を求める声が
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清水区「誠心会」収賄 元理事長に有罪判決 静岡地裁
静岡市清水区の社会福祉法人「誠心会」の役員選任を巡って賄賂の受け渡しが行われたとして、社会福祉法違反(収賄)の罪に問われた同法人元理事長の医師の男(48)=東京都杉並区=の判決公判で、静岡地裁(国井恒志裁判官)は9日、懲役1年6月、執行猶予4年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。 国井裁判官は判決理由で、公金投入や税制上の優遇を受ける社会福祉法人は公益性と非営利性が高く、理事長には役職を譲渡するような権限はないと強調。その上で、理事らを特定の人物に変更するという不正な依頼を了承し、対価を受け取る約束をしたとして「社会の信頼を失わせた被告の犯行は重大」と指摘した。最後に「経営者としては失格。今
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大自在(7月9日)安倍銃撃
参院選の応援演説中だった安倍晋三元首相が凶弾に倒れ、非業の死を遂げて2年。奈良市の銃撃現場ではきのう、多くの人が花を手向けて追悼した。 2006年に戦後最年少で首相の座に就き、わずか1年で退陣したものの、5年後に返り咲いた。経済政策「アベノミクス」や安保政策を巡って評価は分かれるが、在職期間は憲政史上最長を記録し、2度目の在職中に行われた6度の国政選挙すべてに勝利した。 そうした人物がこれほどあっけなく、先進国である日本で殺されてしまうのか―。あの日受けた衝撃は今も鮮明だ。安倍氏を撃った男は「ローンオフェンダー」と呼ばれる組織に属さない単独犯で、手製銃を使ったとされる。 さらに、男が「
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静岡県内女性の強制不妊訴訟 控訴審判決は9月13日 被害者側「原判決の維持を」
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法に違反するとして、聴覚に障害のある静岡県内の女性が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(増田稔裁判長)は5日、口頭弁論を終結し、9月13日に判決を言い渡すことを決めた。 旧法を違憲と断じて国の賠償責任を認めた今月3日の最高裁判決は、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用しないとする統一判断を示した。5日の口頭弁論で、女性の代理人を務める大橋昭夫弁護団長は「被害実態や無念の気持ちを理解した素晴らしい判決だった」と意見陳述。除斥期間を適用しなかった2023年2月の一審静岡地裁判決を「先見の明があった」と
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仙台、大阪でも勝訴確定 強制不妊 国上告退ける 最高裁
旧優生保護法下で不妊手術を強いたのは憲法違反だとして、障害のある人らが国に損害賠償を求めて仙台と大阪両地裁に起こした2訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は、国の上告を受理しない決定をした。4日付。いずれも原告勝訴とした二審判決が確定した。 最高裁大法廷は3日、先行する5訴訟の判決で旧法を違憲とし、国に賠償を命じる統一判断を示した。今回の決定はその枠組みに沿った内容で、今後も同様の判断が続くとみられる。 判決によると、仙台訴訟の原告は宮城県内の男性2人で、それぞれ10代の時に手術された。大阪訴訟の原告は聴覚障害のある大阪府の夫婦で、妻が1974年に手術をされた。 仙台訴訟で仙台高裁
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現在の日本に死刑制度は必要?⑥ しずしんニュースキュレーターと読者の意見【賛否万論】
日本の死刑制度を巡り、被害者遺族の心情に寄り添うべきという主張や加害者の更生に希望を込める見解などさまざまな意見が届いています。死刑執行者の心理的負担や執行判断の曖昧さなど制度が抱える構造的な問題への言及も含め、現時点で二者択一的な判断をすることが困難な状況が浮き彫りになりました。今回もしずしんニュースキュレーターと読者から寄せられた声をお届けします。 立場によって意見変わりそう キュレーター 内野浩恵さん(富士市) NPO法人県男女共同参画センター交流会議理事。男児2人の母。司会業。市民活動20年。子育て、男女共同参画、防災、まちおこし等の団体に参画 日本の刑
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牧之原園児置き去り公判の判決要旨
牧之原市の園児河本千奈ちゃんが送迎バスに置き去りにされて死亡した事件で、静岡地裁が4日、増田立義被告に禁錮1年4月を、元クラス担任に禁錮1年、執行猶予3年を言い渡した判決要旨は次の通り。 【罪となるべき事実】 増田被告には、川崎幼稚園の園長として送迎バスを運行する際の安全計画を策定し、運転手や補助員の指導を指導する業務上の注意義務があったが、怠った。 2022年9月5日朝、園児を降車させる際に人数確認をしなかった。取り残された園児の有無も確認せず、バスのドアを施錠して取り残した過失がある。 元クラス担任は、被害園児が事前の連絡なく遅刻・欠席したと軽信し、保護者などへの所在確認をしなか
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【表層深層】後手の政府、全面補償急務 根深い差別払拭なるか 旧優生保護法 最高裁「違憲」判決
障害者らに不妊手術を強いた旧優生保護法を巡る訴訟で最高裁は3日、立法自体を違憲と指弾し、国の賠償責任を認めた。「戦後最大の人権侵害」に後手の対応を続けた政府に救済を迫る司法判断で、全面的な補償への検討が始まる。一刻も早い解決を望む被害者の切実な訴えにどう応えるか。社会に根深く残る差別払拭や、問題検証に向けた取り組みも急がれる。 「国が悪いと裁判官が認めてくれた。障害者が当たり前に暮らせる社会へ一歩ずつ歩みたい」 ・乱用 判決後、衆院議員会館で開かれた報告集会。神戸市の鈴木由美さん(68)が、車いすから声を振り絞った。先天性の脳性まひで手足に障害があり、子どもの頃に子宮を摘出された。
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【動画】浜松の武藤さん涙「みんな救われる」 差別ない世の中を切望 強制不妊訴訟 最高裁「違憲」の統一判断
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【強制不妊訴訟 最高裁「違憲」の統一判断】浜松の武藤さん涙「みんな救われる」 差別ない世の中を切望【動画あり】
「みんなが救われる。本当に良かった」。旧優生保護法下での強制不妊手術を巡り、最高裁大法廷が旧法を違憲とし、国の賠償責任を認める統一判断を示した3日、同種の訴訟を起こした視覚障害のある武藤千重子さん(75)=浜松市中央区=は、不安な思いを抱え続けた4年間の裁判を振り返り涙ぐんだ。 弁護団長の大橋昭夫弁護士と共に、自宅のテレビでニュース速報を聞いた武藤さん。自身の訴訟では、静岡地裁浜松支部が5月に国の賠償責任を認める判決を出したが、国が控訴していた。今後は最高裁判断の枠組みに従うことになるため勝訴が決定的となり、安堵(あんど)の笑みを浮かべた。 裁判が進む中、旧法により国が強制手術を推進した
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旧優生保護法違憲 最高裁、国に賠償命令
旧優生保護法下で不妊手術を強いたのは憲法違反だとして、障害のある人らが国に損害賠償を求めた5訴訟の判決で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は3日、旧法は違憲とし、国に賠償を命じる初の統一判断を示した。「国を免責するのは著しく正義・公平に反する」として、不法行為から20年の経過で賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用しなかった。裁判官15人全員一致の結論で、最高裁の法令違憲判断は13例目。 「不良な子孫の出生を防止する」との目的で1948年に制定された旧法により、理不尽な手術を強いられた被害者の救済に道筋が付いた。後続訴訟は今回示された枠組みに沿って審理されることになる。 大法廷は、旧
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「死刑制度 いずれ廃止に」 袴田さん姉、再審法改正期待 都内で講演【刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定し、今年9月にやり直しの裁判(再審)の判決を控える袴田巌さん(88)の姉ひで子さん(91)と弁護団の小川秀世事務局長が3日、改正機運が高まる再審法(刑事訴訟法の再審規定)や世界では廃止の流れにある死刑制度を巡り、都内の日本外国特派員協会で講演した。ひで子さんは「再審法をぜひ改正してほしい。死刑制度には反対で、いずれ廃止になると思う」と述べた。 再審法は19カ条しか条文がなく、再審開始の可否を判断する再審請求審の進め方について具体的な規定がない。捜査機関の手元に残された証拠を開示させる決まりがないことや再審開始決定に対する検察
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【米大統領選】トランプ氏、公務は免責 議会襲撃審理差し戻し 米最高裁 返り咲きに追い風
【ワシントン共同】米連邦最高裁は1日、2021年の議会襲撃事件を誘発したとして起訴された共和党のトランプ前大統領に関し、在任中の行為は公務であれば免責特権が適用されると判断した。私的行為は対象外とし、免責の範囲を審理するよう連邦地裁に差し戻した。初公判は大統領選後にずれ込む見通しで、返り咲きを目指すトランプ氏に追い風となった。 大統領経験者の起訴は例がないため、免責に関する司法判断が注目されていた。既に不倫口止めに絡む事件で有罪になっているトランプ氏は、11月の投票日前に二つ目の有罪評決を受けて痛手となる可能性があったが、時間稼ぎに成功した。 20年大統領選でのトランプ氏の敗北結果を覆
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「人質司法」国を提訴 角川前会長「拷問」
東京五輪汚職事件で、贈賄罪に問われた出版大手KADOKAWA前会長の角川歴彦被告(80)は27日、否認したことで身柄拘束が長引く「人質司法」により、肉体的、精神的苦痛を受けたとして、国に2億2千万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。記者会見で「拷問を受けたと感じている。人権の問題を自分ごととして共有してほしい」と述べた。 代理人弁護士によれば、人質司法の違法性を問う国賠訴訟は初めて。角川被告は東京都内で開いた記者会見で「こうした訴訟が今まで起こされなかったことが信じられない。これまで人質司法を経験した人と一緒になって、日本を変える力にしたい」と話した。 弁護団は、日本の人質司法が「恣
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黒川検事長の定年延長目的 法解釈変更 文書開示判決 大阪地裁
東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年を延長した2020年1月の閣議決定前に、法務省内で協議した記録を不開示とした国の決定の当否が争われた訴訟で大阪地裁は27日、大半の決定を違法として取り消し、文書の開示を命じる判決を言い渡した。徳地淳裁判長は、閣議決定が黒川氏の退官予定のわずか7日前で、定年に関わる「(国家公務員法の)解釈変更は黒川氏の定年延長が目的と考えざるを得ない」と指摘した。 判決や訴状などによると、当時の検察官の定年は改正前の検察庁法で63歳(検事総長は65歳)と規定。政府は長年「国家公務員法の定年延長制は検察官に適用されない」との見解だったが、20年1月までに法務省が検察官にも適
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外国人の不法就労あっせん有罪判決 静岡地裁
不法残留や資格外活動許可がない外国人の就労をあっせんしたとして、入管難民法違反の罪に問われたインドネシア国籍、茨城県ひたちなか市の農業作業者(34)の判決公判で、静岡地裁(谷田部峻裁判官)は25日、懲役1年、執行猶予3年、罰金150万円(求刑懲役1年、罰金150万円)を言い渡した。 谷田部裁判官は判決理由で、国内で働く資格がない外国人の就労のあっせんは雇用先での不当な待遇などにつながる恐れがある点を踏まえ、「(あっせん行為の)悪影響を顧みることなく、自らも報酬を得ているから責任は相応に重い」と指摘した。一方で被告は罪を認めて反省し、妻が監督を誓約しているとした。 判決によると、被告は業と
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「紀州のドン・ファン」遺言書有効 和歌山地裁判決 地元・田辺市に13億円
「紀州のドン・ファン」と呼ばれ、2018年に急性覚醒剤中毒で死亡した和歌山県田辺市の資産家野崎幸助さん=当時(77)=が約13億円とされる遺産を市に寄付するとした遺言書を巡り、市側と野崎さんの親族が有効性を争った訴訟の判決が21日、和歌山地裁であった。高橋綾子裁判長は「筆跡や体裁から本人が全文や氏名などを自署したとみられる」とし、遺言書は有効と判断した。 市や判決によると、遺言書は13年2月8日付で「いごん 全財産を田辺市にキフする」と紙に赤ペンで手書きされていた。野崎さんの死後、経営していた酒類販売会社の役員宅で発見され、その後和歌山家裁田辺支部で遺言書の要件を満たしていると判断された。
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性別変更した女性 「父」と認める 凍結精子で誕生の子と「親子」 最高裁初判断
性同一性障害特例法に基づき男性から性別変更した40代女性が、自身の凍結精子を使って女性パートナーとの間にもうけた次女(3)を認知できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(尾島明裁判長)は21日、「血縁上の父の法的性別にかかわらず、婚外子は認知を求めることができる」とし、40代女性を「父」として認める初の判断を示した。認めなかった二審東京高裁判決を破棄した。トランスジェンダーの子の権利を保障する司法判断となった。=判決要旨23面へ 裁判官4人全員一致の結論。第2小法廷は、認知がない場合には養育や扶養を受けられないほか、相続人になれないといった不利益が生じるとし「子の福祉や
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沼津の精神科病院で患者死亡 遺族が損賠提訴、刑事告訴も 「監禁、適切な診療受けさせず」
沼津市の精神科病院で入院患者だった男性=当時(80)=を監禁し、適切な診療を受けさせずに放置して薬剤性肝障害などで死亡させたとして、遺族は18日、病院の運営法人に約5600万円の損害賠償を求め静岡地裁沼津支部に提訴した。遺族は監禁致傷と業務上過失致死の疑いで院長に対する告訴状も沼津署に提出し、「入院した1カ月間に何が起きたのか、真実が知りたい」と訴えた。 訴状などによると、男性は脳梗塞の後遺症があり、服薬調整のため2021年10月に同院に入院した。2日後、病院は家族の同意を得ないまま、窓のない個室に施錠して閉じ込める医療保護入院に移し、男性は重度の精神障害を負った。過剰な薬物投与で精神障害
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還流再開 事務局長が証言 安倍派裏金 東京地裁公判 「幹部 議員に伝達」
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪に問われた安倍派事務局長で会計責任者の松本淳一郎被告(76)の第2回公判が18日、東京地裁であった。弁護側の被告人質問で2022年4月に一度中止となった所属議員側への販売ノルマ超過分の還流について、同年8月に開かれた協議で幹部議員4人が判断し再開が決まったと明らかにした。 幹部協議の内容が公判で明らかになるのは初めて。幹部らは国会の政治倫理審査会で「協議で結論は出なかった」としており、改めて説明責任を問われるのは必至だ。 協議の出席者は松本被告の他、当時ともに会長代理だった塩谷立氏(衆院比例東海)と下村博文氏、事
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再審法改正「法相が陣頭指揮を」 超党派議連が要望書
冤罪(えんざい)被害者の早期救済につながっていないと指摘されて久しい再審法(刑事訴訟法の再審規定)を巡り、改正実現を目指す超党派の国会議員連盟(柴山昌彦会長)は17日、小泉龍司法相に要望書を手渡した。現行法は再審に関する規定がなきに等しいと強調。柴山会長は「小泉大臣のリーダーシップで、冤罪被害が一刻も早くなくなるよう法改正に取り組んでほしい」と期待を寄せた。 柴山会長をはじめ議連のメンバー約15人が法務省を訪ねた。小泉法相は「冤罪の方々を救える制度、それに一番に重きを置きつつ制度全体のバランスを見ながら、しっかりと検討を進めていきたい。一緒に考えていきましょう」と述べた。 議連は3月に誕
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還流 詳細明らかになるか きょう、安倍派事務局長公判
自民党安倍派の政治資金パーティー裏金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪に問われた安倍派事務局長で会計責任者の松本淳一郎被告(76)の第2回公判は18日に東京地裁で開かれる。資金還流の詳細が明らかになるか注目される。 被告は2018~22年分の政治団体「清和政策研究会」(安倍派)の政治資金収支報告書に、収入と支出を計約13億5千万円少なく記入したとして起訴され、今年5月の初公判で起訴内容を大筋で認めた。 検察側は収支報告書の作成に議員の関与はなかったと指摘。「虚偽記入したことを深く反省している。深く考えず続けていた」とする被告の供述調書を読み上げた。 6月18日の公判では、弁護側
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安倍派裏金 還流再開 幹部協議で決定 22年8月 新基準導入も 特捜聴取に関係者供述
自民党安倍派の政治資金パーティー裏金事件で、一度中止された資金還流に関し、2022年8月に開かれた幹部協議で再開が決まったと派閥関係者が東京地検特捜部の事情聴取に供述していたことが17日、関係者への取材で分かった。還流金に新たな基準が導入されたとも説明したという。 協議に参加した幹部議員4人は国会で「協議で結論は出なかった」と説明。こうした主張を否定する供述が明らかになったことで、改めて説明責任を問われる可能性がある。共同通信の取材に4人は国会での説明と同じ主張をするなどした。 幹部の1人、下村博文氏が事務局長に還流再開を複数回要求していたとの派閥関係者の供述が既に判明しているが、幹部協
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対立ではなく共同責任 法曹三者の信頼構築【最後の砦 刑事司法と再審㉝ 第7章 正義の一歩 先行する台湾⑥完】
台湾における冤罪(えんざい)救済運動の第一人者と呼ばれるその人は、行政院(内閣)にいた。2017年に政務委員(閣僚)の要職に就いた羅秉成[ロウビンチェン]氏。人権政策分野の特命担当大臣に相当する。ベテランの弁護士であり、台湾イノセンス・プロジェクト(台湾IP)の初代会長でもある。 「個別事件の救済は民間の力、政策や法案は政治の力。個別救済は『対立から協力へ』に向かい、政治は『対立の中で協力を模索する』ようになってきた」。行政院庁舎の円卓で向き合った羅氏は「民間と政治」「対立と協力」をキーワードに挙げながら、近年の変化について説明を始めた。 仲間と12年に台湾IPを立ち上げたとき、裁判官や
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銃連射装置の禁止「無効」 米最高裁判断 規制団体は反発【米大統領選2024】
【ワシントン共同】米連邦最高裁は14日、銃に取り付けて連射を可能にする特殊装置「バンプ・ストック」の使用や所持を禁止したトランプ前政権の措置について、連邦法から逸脱しているとして無効と判断した。判事9人のうち保守派6人による多数派意見だった。装置の使用が銃暴力の犠牲者増加を招いており、銃規制団体が反発している。銃規制の是非は11月の大統領選で争点の一つ。 共和党のトランプ前大統領は2017年に西部ラスベガスで60人が死亡した米史上最悪の銃乱射事件などを受け19年に禁止に踏み切ったが、銃所有の権利を擁護する立場。銃規制を推進する民主党のバイデン大統領陣営は、トランプ前政権下で保守化した最高裁
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冤罪回避 検察官の基盤 司法の守護者 自負【最後の砦 刑事司法と再審㉜ 第7章 正義の一歩 先行する台湾⑤】
「検察官は司法の守護者であり、単なる一方当事者ではない。真実を発見し、冤罪(えんざい)を避けることが重要と考えている」 法務部(法務省)検察局の范孟珊[ファンモンシャン]主任検察官は、検察官の責務をそう心得る。刑事司法関連の法案研究などを担当。台湾では、死刑囚の再審を検察官自身が請求することもある。その背景を「過去には、いくつかのケースで『自白』に依存する度合いが高かった。例えば、DNA型鑑定のように科学技術は進歩する。現在の視点から見て再審が必要と判断できれば申し立てる」と説明する。かつての技術や制度不足を修正するような感覚があるという。 繰り返し強調したのが検察官の「客観義務」だ。范
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磐田の女性殺害・遺体損壊遺棄 懲役18年判決 「突発的とも言えない」 地裁浜松支部
交際していた磐田市の女性会社員=当時(33)=を殺害し、遺体を解体、隠匿したとして殺人と死体損壊、死体遺棄の罪に問われた沼津市真砂町、無職の男(32)の裁判員裁判の判決公判で、静岡地裁浜松支部は14日、求刑通り懲役18年を言い渡した。 争点になっていた殺害の計画性について、来司直美裁判長は「計画性があったとまでは言えないが、突発的とも言えない」と述べた。その上で鉄製ハンマーを用意し、金を払うとうそをついて女性を呼び出した点から、殺害を想定していたと考えられるとの判断を示した。 頭や顔をハンマーで20回以上殴った後、致命傷を負った女性の首を絞めた行為を「死につながる痛みや苦しみを二度も与え
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旧優生保護法 国家賠償請求訴訟 来月3日 最高裁大法廷判決 わが子に手術 母の痛む胸中 反対できなかった「同意」 偏見、差別… 沈黙の歳月 今も口重く
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられた障害者らが起こした国家賠償請求訴訟で、最高裁大法廷は7月3日に判決を言い渡す。初提訴から6年半。被害者の高齢化が進み、その親世代の多くは世を去ったとみられる。偏見や差別による生きづらさ、語られなかった心の痛み、手術への「同意」…。被害者の母親たちの物語を描く。 川野よしえ=90代、宮城県、仮名=は50年ほど前、知的障害のある娘の不妊手術に保護者として「同意」した。娘が入所する知的障害児施設の職員に勧められた。「娘はここで生きていかなきゃなんねえから」。自身の亡き後のことを思うと、反対はできなかった。 14歳だった娘は
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「法務省が袴田さん論告配布」と国会議員問題視 再審法改正目指す国会議連総会
規定が乏しく、冤罪(えんざい)被害者の速やかな救済につながっていないと指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正実現を目指す超党派の国会議員連盟(柴山昌彦会長)は13日、第5回総会を国会内で開いた。9月に判決を控える袴田巌さん(88)の再審を巡り、出席議員から、法改正に消極的な法務省がロビー活動の一環として袴田さんの論告要旨を配っているとの指摘が上がった。 議連の逢坂誠二幹事長は「法務省が個別事件に入り込んでいいのか。完璧におかしい。もし(論告要旨を配布していることが)事実だとしたらとんでもないことだ」との認識を示した。 袴田さんの再審で、検察は5月、袴田さんが一家4人を殺害した犯人
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現在の日本に死刑制度は必要?③ 廃止論訴える有識者インタビュー【賛否万論】
先週の賛否万論では被害者遺族を支援する立場から死刑制度存置を望む意見や制定から20年を迎えた犯罪被害者等基本法の現状を紹介しました。自らが犯罪被害者遺族の当事者になった時、死刑制度をどう考えるのか。重い問いが突きつけられました。今回は、袴田事件弁護団の一員で静岡大出身の戸舘圭之弁護士に死刑廃止論について話を聞きました。 (社会部・薬袋貴信) 真実究明の機会 国が奪う行為 <「袴田事件弁護団」弁護士 戸舘圭之さん> 戸舘圭之さん 袴田巌さんの再審弁護団に参加している中で、日本の死刑制度のどこに問題点を感じますか。 「『死刑執行してしまったら取り返しがつかない』という点に尽きます。
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牧之原バス置き去り 前園長に禁錮2年6月求刑、元担任は禁錮1年 静岡地裁公判
牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で2022年9月、園児の河本千奈ちゃん=当時(3)=が送迎バスに置き去りにされ、熱中症で死亡した事件で、業務上過失致死の罪に問われた前園長の増田立義被告(74)=同市=、元クラス担任の女(48)=同市=の論告求刑公判が13日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。検察は増田被告に禁錮2年6月、元クラス担任の女に禁錮1年を求刑した。判決は7月4日。 ⇒届かぬ声 子どもの現場は今 保育連載の特設サイト ⇒届かぬ声 子どもの現場は今 保育連載の特設サイト 論告に先立ち、千奈ちゃんの両親は事件から1年9カ月が経過した今も悲しみと憤りが渦巻く
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裁判実務の質変化 誤り認め、誤りから学ぶ【最後の砦 刑事司法と再審㉚第7章 正義の一歩 先行する台湾③】
2012年に誕生した市民団体、台湾イノセンス・プロジェクト(台湾IP)の事務所には、台湾の地図を描いた壁がある。緑色の印は再審無罪で救援ができた人、黄色の印は再審開始になった人―。これまでに38件を支援し、このうち14件で再審無罪を勝ち取り、3件で再審が開始された。 3人の弁護士と共に台湾IPを立ち上げたのは、再審法(刑事訴訟法の再審規定)の研究者。個別事件の救済と同時に、再審法の改正を設立当初から目指していた。法案の研究チームをつくり、立法委員(国会議員)に提案。民間の立場から法改正を後押しした。 羅士翔[ロウシーシャン]執行長(40)は13年から台湾IPに参加。その前年は、当時立法委
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清水区「誠心会」贈収賄 横領主導の男に懲役5年求刑 静岡地裁公判
静岡市清水区の社会福祉法人「誠心会」の役員選任を巡って賄賂を渡し、法人資金を着服したとして、社会福祉法違反(贈賄)と業務上横領の罪に問われた無職の男(52)=和歌山県=と元理事長の無職の男(43)=熊本県=の論告求刑公判が12日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。検察は男(52)に懲役5年、男(43)に懲役3年6月を求刑し、両被告の弁護人はいずれも執行猶予付き判決を求めた。判決は8月7日。 検察は社会福祉法違反について、賄賂であることの発覚を防ぐため内容虚偽の契約書を作成するなど「犯行態様は計画的かつ巧妙」と指摘。男(43)が理事長に就任し、役員変更登記が行われた10日後には多数回にわた
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JA富士市元職員3被告に有罪判決 静岡地裁「金融機関の信用だまし取った」
JA富士市(現JAふじ伊豆)で2680万円の預け入れがあったとする虚偽の情報で口座を作り、不正に利益を得たとして、電子計算機使用詐欺の罪に問われたいずれも同JA元職員で無職の男(60)=富士市=、男(72)=同=、男(67)=同=の判決公判で、静岡地裁(国井恒志裁判長)は12日、それぞれの無罪主張を退け、3被告にいずれも懲役2年6月、執行猶予5年(求刑懲役3年)を言い渡した。 国井裁判長は判決理由で、男(72)と男(67)らが顧客の預金を使い込んだ不正行為を隠すため、当時同JA支店長だった男(60)に指示し、額面2680万円の定期貯金の電磁的記録を作成した―と経緯を説明した。その上で、電磁
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袴田さん支援者、静岡地検に有罪論告の撤回要請
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で裁判のやり直し(再審)が認められ、9月に判決を控える袴田巌さん(88)の支援者は12日、静岡地検に有罪論告の撤回、静岡地裁に判決公判の傍聴機会拡大をそれぞれ要請した。 5月の再審公判で、検察側は袴田さんに再び死刑を求刑した。支援者は要請書で、抗議した上で「基本的人権を守る立場である検察官の本質が問われている」と指摘。再審の開始を認めた裁判所の決定では捜査機関による証拠捏造(ねつぞう)の可能性が高いと判断されていることを踏まえ、捜査すべき対象は県警だと強調した。県警が捜査記録や証拠を廃棄してしまう危険性があるとも懸念
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富士殺人6月11日初公判 事件から3年越し、一転して起訴 遺族「真相を」 地裁沼津支部
2021年5月、富士市で男性=当時(37)=が殺害された事件で、殺人罪に問われた被告(40)の裁判員裁判が11日、静岡地裁沼津支部で始まる。地検沼津支部は当初、殺人罪で起訴しなかったが、沼津検察審査会による不起訴不当の議決を受け一転、起訴した。事件から3年余。初公判を前に遺族は「やっと裁判を迎えられる。一度不起訴となった理由や、事件の真相を明らかにしてほしい」と語った。 起訴状などによると、被告は21年5月22日午前1時5分ごろから午前5時50分ごろの間に、自宅で男性の頭や顔、胸などを金属バットで複数回殴り殺害したとされる。 地検沼津支部は事件当時の精神状態を調べるため、殺人容疑で逮捕、
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磐田の女性殺害・遺体損壊遺棄 男に懲役18年求刑 検察「執拗で残忍」 地裁浜松支部公判
交際していた磐田市の女性会社員=当時(33)=を殺害し、遺体を解体、隠匿したとして殺人と死体損壊、死体遺棄の罪に問われた沼津市真砂町、無職の男(32)の裁判員裁判論告求刑公判が10日、静岡地裁浜松支部(来司直美裁判長)であり、検察側は懲役18年を求刑した。判決は14日。 検察側は論告で、鉄製ハンマーを自宅から持参し、女性を呼び出すために現金を用意したとうそをついた点から「一定の計画性があった」と指摘。ハンマーで頭や顔を20回以上も一方的に殴って致命傷を負わせ、別の場所で女性の首を充電ケーブルで絞めたのは「強い殺意があり、執拗(しつよう)で残忍」と強調した。遺体を全身10カ所で切断し、五つの
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再審法改正求める意見書 新たに3町議会可決 静岡県弁護士会PTで報告
規定の乏しい再審法(刑事訴訟法の再審規定)を巡り、南伊豆と西伊豆、松崎の3町議会が国に改正を求める意見書を可決したことが10日、分かった。同日開かれた静岡県弁護士会(梅田欣一会長)の再審法改正プロジェクトチーム(PT)の初会合で、報告があった。このほかの約10市町議会も6月定例会で意見書を可決する可能性があるという。 同様の意見書を全国260以上の議会が可決済み。一方で、県内で可決したのは県議会と下田、三島の両市議会にとどまっていた。 県弁護士会は今春、再審法改正PTを新設した。梅田会長をはじめ複数の会長経験者のほか、袴田巌さん(88)や再審を請求している天竜林高事件の弁護人、再審無罪と
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旧統一教会勝訴 見直しか 最高裁初判断 献金勧誘 損賠訴訟
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側の違法な勧誘で献金被害に遭ったとして、元信者の遺族が教団と地元教会の幹部に約6500万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審弁論が10日、最高裁第1小法廷(堺徹裁判長)で開かれた。遺族側は「献金勧誘の悪質性、違法性が認められるべきだ」と訴え、結審した。弁論は二審の結論を変更するのに必要な手続きで、教団側の勝訴とした二審東京高裁判決が見直される可能性がある。判決は7月11日。 元信者の女性は生前、献金に関して「教団に返金や損害賠償を求める裁判を一切起こさない」とする念書に署名押印していた。念書の有効性と、地元教会幹部による違法な献金勧誘があったかどうかが争点で、最
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浜松の強制不妊訴訟、国が控訴 賠償命じた地裁支部判決「不服」
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられたのは憲法違反として、視覚障害のある武藤千重子さん(75)=浜松市中央区=が国に3300万円の損害賠償を求めた訴訟を巡り、国は7日、旧法を違憲と判断して国に1650万円の支払いを命じた5月の静岡地裁浜松支部判決を不服とし、東京高裁に控訴した。 地裁判決は旧法に基づく優生手術について、幸福追求権などを保障する憲法13条、法の下の平等をうたう同14条に反すると認定。争点になっていた「除斥期間」に関しては、適用するには「著しく正義・公平の理念に反する特段の事情がある」として国側の主張を退けていた。 除斥期間は不法行為から20年で賠償請求権が
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磐田の女性殺害・遺体損壊遺棄 ハンマー殴打「衝動的」 被告が計画性を否定 地裁浜松支部公判
交際していた磐田市の女性会社員=当時(33)=を殺害し、遺体を解体、隠匿したとして殺人と死体損壊、死体遺棄の罪に問われた沼津市真砂町、無職の男(32)の裁判員裁判第3回公判が6日、静岡地裁浜松支部(来司直美裁判長)であった。被告人質問で、鉄製ハンマーで女性を殴ったことについて被告は「衝動的だった」と計画性を否定した。 被告は女性が運転する車で静岡市内の山道に向かい、女性の頭や顔を20回以上殴ったとされる。被告は、車内で女性から怒鳴られたり脅迫されたりしたとして「とにかく黙らせないといけないと思った」と説明。自宅からハンマーを持参した理由について「話し合いがうまくいかなかったら脅すためで、殴
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焼津漁協元職員、退職金の支払い求め控訴 静岡地裁判決不服で
焼津漁業協同組合による懲戒解雇処分は無効だとして、元職員の40代男性が同漁協に退職金約677万円の支払いを求めた訴訟で、男性は6日までに、請求を棄却した一審静岡地裁判決(5月23日付)を不服として東京高裁に控訴した。 男性は焼津漁港で水揚げされた冷凍カツオの窃盗事件で2021年10月に逮捕され、22年2月に漁協から懲戒解雇された。退職金は支払われず、同年10月、窃盗罪で有罪判決を受けた。一審で男性側は、カツオの窃盗行為は漁協で「慣習的に行われていた」と主張。懲戒解雇された別の職員に退職金が支払われ、有罪判決を受けた別の職員が懲戒解雇にならなかったことなどから不当性を訴えていた。地裁は男性が
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最高裁人事(7日)
知財高裁部総括判事(山形地、家裁所長)中平健▽山形地、家裁所長(さいたま地、家裁川越支部長)原克也▽さいたま地、家裁川越支部長(東京高裁判事)松本明敏▽定年退官 知財高裁部総括判事東海林保
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飯塚事件 再審認めず 福岡地裁 新証言「信用できぬ」
福岡県飯塚市で1992年、小学1年の女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑が確定、2008年に執行された久間三千年(くまみちとし)元死刑囚=執行時(70)=の第2次再審請求審で、福岡地裁は5日、裁判をやり直す再審の開始を認めない決定をした。男女2人の新証言を基に元死刑囚が犯人ではないと訴えた弁護側に対し「証言は信用できない」と判断した。 弁護側は不服として即時抗告する方針。死刑執行後に再審が認められた例はない。 新証言をした1人は、確定判決が女児の最後の目撃者と認定した女性。実際目撃したのは別の日だったが捜査機関に押し切られたと証言した。鈴嶋晋一裁判長は決定理由で「捜査機関が無理やり供述
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磐田の女性殺害・遺体損壊遺棄 「死体処理」事件前検索 被告金銭トラブルも 地裁浜松支部公判
交際していた磐田市の女性会社員=当時(33)=を殺害し、遺体を解体、隠匿したとして殺人と死体損壊、死体遺棄の罪に問われた沼津市真砂町、無職の男(32)の裁判員裁判第2回公判が5日、静岡地裁浜松支部(来司直美裁判長)であった。証拠調べで検察側は、男が事件前にインターネットで「死体処理」「完全犯罪」などと検索していたと明らかにした。 検察側は、男は女性と青年会議所(JC)の活動を通して知り合い、交際が始まったが、関係性が妻に発覚したと説明。被告と女性のメッセージのやりとりや、周辺関係者の証言から、男と女性の間で人間関係のもつれや、金銭トラブルが生じた経過を明かした。 事件前日には謝罪の金銭な
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磐田の女性殺害・遺体損壊遺棄、被告は起訴内容認める 計画性の有無争点 地裁浜松支部で初公判
交際していた磐田市の女性会社員=当時(33)=を殺害し、遺体を切断、隠匿したとして、殺人と死体損壊、死体遺棄の罪に問われた沼津市真砂町、無職の男(32)の裁判員裁判初公判が4日、静岡地裁浜松支部(来司直美裁判長)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。 冒頭陳述で検察側は、被告は女性との関係が妻に知られたことなどから、関係解消のために殺害を決意したと主張。自宅から鉄製ハンマーを持参するなど計画性があったと強調した。 弁護側は、慰謝料の備えなどの名目で女性に200万円を渡すなど、2人の間で金銭トラブルがあったと指摘。ハンマーは「話し合う上での脅しとして持っていった」と反論した。 この日は検察側
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最高裁人事(5日)
名古屋高裁部総括判事(富山地、家裁所長)吉田彩▽富山地、家裁所長(横浜地裁部総括判事)中山大行▽横浜地裁部総括判事(東京高裁判事)佐藤卓生▽依願退官 さいたま地、家裁判事森田初恵
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社説(6月2日)裁判員制度15年 市民感覚さらに尊重を
一般市民が裁判官とともに刑事事件を審理する裁判員制度が始まって15年が過ぎた。成人の中からくじで選ばれる裁判員や補充裁判員の経験者は延べ12万4千人を超える。裁判に市民感覚を反映させる目的で導入したが、選ばれても辞退する人の割合は上昇傾向が続き、制度がスタートした2009年の53・1%から23年は66・9%になった。 辞退率上昇の主な要因として、審理期間の長期化による裁判員の負担増とともに、裁判のために休みを取りにくい職場環境も挙げられる。厚生労働省の調査によると、「裁判員休暇」を導入した企業は約50%にとどまる。市民感覚が裁判に反映されたか、尊重されてきたかどうかも検証する必要がある。
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脳障害の男性宅売却で賠償命令 大阪地裁、不動産会社に
脳障害で判断力が低下した男性が病死前日に自宅の売却契約を不当に結ばされたとして、遺族が大阪市の不動産会社「フューチャーライフ」と同社代表に2150万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、大阪地裁であった。葛西功洋裁判官は、売却金が支払われた証拠がなく「売買契約書は死亡後に作成された疑いが強い」として、請求全額の賠償を命じた。 遺族側は判決後の記者会見で「障害者を食い物にした契約」と批判。刑事告訴を検討している。 判決によると、男性は交通事故による後遺症で、記憶力や認知機能に障害があり、2022年6月29日に病死。前日付で男性宅を同社に売却する契約書が作成され、その後、別の会社に2150
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強制不妊、国に賠償命令 福岡地裁 除斥期間適用せず
旧優生保護法(1948~96年)下で聴覚障害のある夫(故人)が不妊手術を強制されたとして、妻(82)と親族が国に約4400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁は30日、旧法は「憲法に違反する」とし約1640万円の支払いを命じた。除斥期間の適用が「著しく正義・公平の理念に反する」と指摘した。 上田洋幸裁判長は判決理由で、旧法は特定の障害や疾患がある人の自己決定権を侵害し憲法13条に違反する上、差別的な扱いをし、法の下の平等を定める14条1項にも反すると言及。「立法を行った国会議員には少なくとも過失がある」と賠償義務を認めた。 国側は、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する除斥
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那須雪崩 教諭ら3人に禁錮2年 生徒ら8人死亡「人災」 宇都宮地裁
栃木県那須町のスキー場周辺で2017年、登山講習中の県立大田原高の生徒ら8人が死亡した雪崩事故で、宇都宮地裁は30日、業務上過失致死傷罪に問われた教諭ら3人の過失を認め「雪崩が自然現象という特質を踏まえても、相当に重い不注意による人災だった」としていずれも禁錮2年(求刑禁錮4年)の判決を言い渡した。 部活動中の事故で引率教諭らが実刑判決を受けるのは異例とみられる。滝岡俊文裁判長は判決理由で、学校活動の一環で安全確保が強く求められる中、地形や少なくとも30センチの新雪の状況から「雪崩事故が起きる危険性を容易に予見することができた」と過失を認定した。 3人は責任者だった猪瀬修一被告(57)と
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裁判員裁判「難しい」放火未遂、被告は犯人? 静岡地裁で模擬体験26人参加
静岡地方裁判所は30日、「裁判員裁判体験会」を静岡市葵区の同地裁で開いた。市内外の男女26人が参加し、模擬裁判などを通じて司法への理解を深めた。 模擬裁判の題材は現住建造物等放火未遂事件。被告は木造住宅に放火を試みたが、巡回中の警察官に発見されて未遂に終わった―との罪で起訴され、公判では無罪を主張。被告が犯人かどうかを争点とした。参加者は裁判官と裁判員、検察官、弁護人の役にそれぞれ分かれ、証人尋問や被告人質問など一連の公判の手続きを実践した。 裁判官役の一人として“無罪判決”を出した静岡文化芸術大2年の田口萌衣さん(19)は「『疑わしきは罰せず』という意味が分か
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再審法改正 全弁護士会決議 全国52団体「直ちに実現を」【最後の砦 刑事司法と再審】
日本弁護士連合会(渕上玲子会長)は29日、国に再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求める決議が静岡県弁護士会をはじめ、全国52の全ての弁護士会で採択されたことを明らかにした。渕上会長は「全国の弁護士の総意だ。冤罪(えんざい)被害者、その親族の多くが高齢化している現状に照らせば、もはや一刻の猶予もない。直ちに法改正を実現すべき」と訴えている。 日弁連によると、全国で唯一、採択していなかった第一東京弁護士会が同日の総会で決議した。本県弁護士会は昨年2月に決議している。 渕上会長は声明で、現在の再審法は施行から75年にわたって一度も改正されていないと説明。その上で、再審請求審の手続き規定はな
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子への思い 伝わったはず 強制不妊訴訟 最高裁で結審 手話で訴えた原告夫妻
29日、最高裁大法廷での旧優生保護法問題訴訟の法壇に並ぶ裁判官15人に、手話で思いをぶつけた。「手術をせず、そのままの体でいたかった。子どもを産み育てたかった」。上告審弁論に臨んだ大阪府の原告野村花子さん、太朗さん夫妻=いずれも仮名。「頑張って闘ってきた。裁判官に伝わったんじゃないか」。閉廷後、太朗さんは笑顔で手応えを語った。 70代の花子さんは生まれつき耳が聞こえない。同じ境遇の太朗さんと友人を通じて知り合い、1970年に結婚。子どものいる家庭を思い描き、数年後の妊娠を共に喜んだ。妊娠9カ月の74年に帝王切開で長女を出産した際、同時に受けさせられていたのが不妊手術だった。事前には全く知らさ
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強制不妊「除斥」 夏にも統一判断 最高裁、5訴訟結審
旧優生保護法下で不妊手術を強いたのは憲法違反だとして、男女12人が国に損害賠償を求めた五つの訴訟の上告審弁論が29日、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)で開かれ、結審した。不法行為から20年の経過で原告の損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用するかどうかが最大の争点。大法廷は、旧法の違憲性も含めて夏にも統一判断を示す見通しで、判決期日は後日指定される。 一連の訴訟では、2018年以降に39人が静岡など全国12地裁・支部に提訴した。大法廷が審理対象としたのは札幌、仙台、東京、大阪、神戸の各地裁に起こされた5訴訟。最高裁は、障害のある人の傍聴が多数見込まれるとして、敷地内に手話通訳者を配
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静岡のいじめ被害少年「学校は真実隠すな」 控訴審初弁論、7月判決
静岡市立千代田小で2017年度にいじめを受け、適応障害を発症したなどとして、当時5年生だった男性(17)が同級生7人とその保護者、担任と校長、市に損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が28日、東京高裁であった。男性が「学校は安心・安全に生活できる場所であってほしい。被害者の声に耳を傾け、真実を隠さないでください」と意見を陳述し、結審した。判決は7月25日。 一審静岡地裁は23年の判決で、男性の名前に「菌」をつけて他の児童に擦りつける「菌回し」と呼ばれる行為をいじめに該当すると判断し、同級生6人の保護者に88万円の支払いを命じた。一方、暴行されたなどとする訴えを退け、同級生のうち残る1
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強制不妊、浜松でも「違憲」 国に1650万円賠償命令 除斥期間適用認めず 静岡地裁支部判決
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられたのは憲法違反として、視覚障害のある武藤千重子さん(75)=浜松市中央区=が国に3300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁浜松支部(佐藤卓裁判長)は27日、旧法を違憲と判断し、国に1650万円の支払いを命じた。一連の訴訟で国に賠償命令が出たのは地裁レベルで5例目、高裁判決も合わせると11例目。 主な争点は、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適否。佐藤裁判長は、国が優生施策を推進して差別や偏見を正当化したことで、武藤さんが情報入手や相談をすることが困難になったと指摘。除斥期間を適用するには「著しく正義・公平の
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強制不妊訴訟 地裁浜松支部27日判決 武藤さん「国、責任認めて」 視覚障害、半生振り返る
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられたのは憲法違反として、視覚障害のある武藤千重子さん(75)=浜松市中央区=が国に3300万円の損害賠償を求めた訴訟で、静岡地裁浜松支部は27日に判決を言い渡す。判決を前に取材に応じた武藤さんは裁判を振り返り「あんな手術を受けさせられて、当時の私には本当に人権がなかったんだと思わされた。国にはしっかり責任を認めてほしい」と語った。 不妊手術を受けたのは77年、28歳で第2子となる次女を授かった直後。武藤さんはその前後の時期を「視力がどんどん弱まり、できることが減っていった。考えが後ろ向きになって家にこもりがちになり、どん底だった」と吐露す
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小山バス横転事故 運行管理者を不起訴 静岡地検沼津支部
小山町須走の県道(通称ふじあざみライン)で2022年10月、観光バスが横転し29人が死傷した事故で、静岡地検沼津支部は23日、業務上過失致死傷の疑いで書類送検されていた運行会社「美杉観光バス」(埼玉県飯能市)の運行管理者だった男性(57)を不起訴処分とした。処分理由は明らかにしていない。 男性は道路運送法などに基づく運転手への指導監督を怠り、22年10月13日午前、元運転手の男(28)が運転する大型観光バスの横転事故で、乗客の女性1人を死亡、28人に重軽傷を負わせたとして書類送致された。 元運転手の男は、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪で、23年10月に禁錮2年6月の実刑判決が地裁
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袴田さん、大きな節目も変わらぬ日常【袴田さん再審結審】
再審公判が結審し、検察が改めて死刑を求刑した22日、袴田巌さんは浜松市中央区の自宅などで変わらぬ日常を過ごした。支援者によると、ここ最近は体調は良いものの、「体力はだんだん落ちている印象がある」という。 袴田さんは朝と昼に果物や野菜を食べた後、午後3時ごろから支援者とともに日課のドライブに出発した。東名高速道浜名湖サービスエリア(SA)などを巡った後にJR浜松駅を訪れ、姉ひで子さんと合流して同10時ごろに帰宅した。 死刑求刑を報じるニュース番組を見せないようにするため、自宅でテレビを見られないように配慮したという。ただ、ドライブなどに同行した支援者の白井恵さん(57)は「巌さんはいつもよ
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58年の苦しみ、巌の言葉で語る 姉ひで子さん最終意見陳述【袴田さん再審結審】
58年分の思いを、弟が残してきた言葉で伝えた。1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)のやり直しの裁判(再審)を巡り、姉ひで子さん(91)は22日の最終意見陳述で、静岡地裁の裁判官3人を前に〈遠からず真実を立証して帰りますからね〉と弟が母親に宛てた手紙を読み上げた。直前に検察官が極刑を求刑したが、動じない。心神喪失の状態にあるとして出廷が免除された弟、無実を信じて逝った両親、きょうだい―。家族の「艱難(かんなん)辛苦」を胸に刻み、正義の実現を願って「弟巌を人間らしく過ごさせてください」と声を震わせた。 ひで子さん気負いなく 思い込めた4分間 白色の上着に華や
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弁護団「濃い判決を期待」/地検「有罪立証できた」 公判終了後に双方会見【袴田さん再審結審】
袴田巌さん(88)のやり直しの裁判(再審)が結審した22日、弁護団と静岡地検の双方が公判終了後に記者会見を開いた。弁護団は「論理的で気持ちのこもった弁論を展開できた」と自信を示し、検察側の論告については「揚げ足取りに終始していた」と批判した。▶▶【一問一答】ひで子さん/弁護団 会見で思い語る ▶▶【一問一答】ひで子さん/弁護団 会見で思い語る 弁護団は静岡市民文化会館で会見した。判決が9月26日に指定されたことを受け、角替清美弁護士は「無罪を書くだけならあっという間に書ける。事件と向き合い、濃い内容の判決を書くために4カ月が必要なのだと理解したい」とした。 年明け早々、西嶋勝彦団長が急
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袴田さん再審結審、判決は9月26日 検察が再度死刑求刑 弁護側無罪主張、姉ひで子さんが最終意見
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(88)の再審第15回公判が22日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、検察側は一審同様に死刑を求刑した。弁護団は無罪判決と謝罪を求め、証拠の捏造(ねつぞう)は明らかだとして「捜査機関の不正、違法な行為をはっきりと認定することが必要」と指摘。心神喪失の状態で出廷が免除された袴田さんに代わり、姉ひで子さん(91)が補佐人として「弟巌を人間らしく過ごさせてくださいますよう、お願い申し上げます」と最終意見を述べ、結審した。判決は9月26日に言い渡される。 死刑囚の再審は5例目。先の4
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「隣接流域の開発影響」 原告一部が主張 地裁沼津支部 損害賠償訴訟【熱海土石流】
熱海市伊豆山の逢初(あいぞめ)川で2021年7月に発生した大規模土石流を巡り、遺族や被災者が土石流起点の現旧土地所有者や県、熱海市に損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが22日、静岡地裁沼津支部であった。真相究明を重視する原告の一部は、隣接流域の開発や行政対応が逢初川源頭部に造成された盛り土の崩落に影響したとする内容の準備書面を提出した。 準備書面では、隣接する鳴沢川と逢初川の両流域にまたがった開発の経緯を整理。2000年代初頭に鳴沢川上流域で始まった開発が、07年には逢初川源頭部に及んだことを、森林が伐採された写真などを示して説明した。現旧所有者のずさんな開発や管理に加えて、大量の残土や
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過去の死刑再審 求刑維持 「適切な判断を」と放棄も【袴田さん再審結審】
戦後、死刑事件の再審公判が開かれるのは袴田巌さん(88)で5件目で、過去の4件では、検察側はいずれも確定審同様に死刑を求刑した。ただ、その他の再審では「適切な判断を求める」として求刑を放棄したケースもある。 戦後、死刑事件で初めて再審無罪となったのは1948年に熊本県で祈禱(きとう)師一家4人が殺傷された免田事件だ。福岡高裁が79年、死刑が確定していた免田栄さんの再審開始を認める決定を出した。検察側は再審公判でも有罪立証を続け、死刑を求刑。熊本地裁八代支部は83年、無罪を言い渡した。 財田川、松山、島田の各事件で死刑が確定していた3人に対しても、再審公判で検察側は求刑を維持し、いずれも再
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袴田さんに検察が死刑求刑 弁護団は無罪求める
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審公判が22日、静岡地裁で開かれ、検察側は改めて死刑を求刑した。弁護団は無罪と謝罪を求め、姉ひで子さん(91)が最終意見を述べて結審した。判決は9月26日。
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ごみ処理建設訴訟 下田市、争う姿勢 地裁初弁論
下田市などの住民22人が同市に対し、賀茂4市町(下田市、南伊豆町、松崎町、西伊豆町)が進める広域ごみ処理施設の建設計画への公金支出を差し止めるよう求めた住民訴訟の第1回口頭弁論が21日、静岡地裁(平山馨裁判長)であった。市側は請求棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を示した。 原告の小林弘次さん(85)=同市=は意見陳述で、「私たちは借金や環境破壊のつけを将来世代に回すような計画を中止させる責務がある」と訴えた。市は追って認否、反論するとしている。 訴状などによると、4市町は一部事務組合を組織し、下田市にある市営のごみ焼却施設を広域ごみ処理施設へと建て替える計画を進めている。反対する地元
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島田事件・赤堀さん安らかに 静岡でしのぶ会 生まれた縁に感謝【最後の砦 刑事司法と再審】
島田市で幼女が連れ去られ殺害された「島田事件」で死刑が確定後、1989年に再審無罪となり、今年2月に94歳で亡くなった赤堀政夫さんをしのぶ会が18日、静岡市内で開かれ、県内外から集った支援者や弁護士ら約50人が改めて別れを惜しんだ。汚名をすすいだ活動を一人ずつ振り返るとともに、赤堀さんを介して生まれた縁に感謝した。 赤堀さんは昨年12月に誤嚥(ごえん)性肺炎にかかり、今年2月に退院後は老衰で亡くなるまでは名古屋市の施設で過ごした。支援者として付き添ってきた島谷直子さんが「最後は穏やかに人生を全うされた」と報告。全員で黙とうした。 赤堀さんは静岡地裁で再審が始まるまで、死刑囚として仙台の拘
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2027年春までに新庁舎 地裁・家裁沼津支部 24年度中に一部解体
静岡地裁・家裁沼津支部(沼津市御幸町)の庁舎が2027年春までに建て替えられることが、同支部や建設を担当する国土交通省への取材で分かった。現庁舎の敷地内で建て替え、24年度中に4棟ある既存庁舎の一部で解体が始まる。 新たな庁舎は鉄骨鉄筋コンクリート造り6階建てで、延べ床面積は7762平方メートル。刑事裁判用の法廷などがある刑事棟と駐車場の敷地に建設する。駐車場は4月下旬で既に閉鎖、刑事棟は今月17日で使用を終了した。 刑事棟にあった職員執務室と裁判員の待合室などの部屋は、20日に敷地内に建てた2階建てのプレハブ庁舎に移転する。刑事裁判の公判はこれまでの民事裁判の法廷で実施する。 同支部
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新潟女性殺害 二審も無期 41歳男、東京高裁
新潟県新発田市で2014年、女性会社員=当時(20)=にわいせつ行為をした上で殺害したとして、殺人や強制わいせつ致傷などの罪に問われた喜納尚吾被告(41)の控訴審判決で、東京高裁は17日、無期懲役とした一審新潟地裁判決を支持し、被告、検察側双方の控訴を棄却した。 判決によると、14年1月、新発田市内で面識のない女性の車に乗り込み、わいせつな行為をして約1週間のけがを負わせ、何らかの方法で殺害した。 斉藤啓昭裁判長は、女性の車のハンドルから検出されたDNA型や目撃証言から被告が犯人と認定した。「死刑になった同種事案と比べて悪質性が突出しているとは言えない」として検察側の死刑求刑を退けた一審の判
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再審法改正へ「最初の一歩」の意義強調 超党派国会議連総会で台湾の弁護士講演 麻生氏も初出席
規定が乏しく冤罪(えんざい)被害者の救済につながっていないと指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)を巡り、改正の早期実現を目指す超党派の国会議員連盟は16日、第4回総会を国会内で開いた。この10年間で2回にわたり再審法が改正された台湾で立法委員(国会議員)として主導的な役割を担った弁護士が講演。与野党で一致できる点から改正が始まった経緯を振り返り、最初の一歩を踏み出せたことが「非常に大きかった」と強調。法改正が裁判所や検察庁の意識に前向きな変化をもたらしていることも指摘した。 来日したのは、台湾全国弁護士連合会の尤美女理事長。2012~20年に立法委員を務めていた。総会には議連最高顧問の
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「お休みと思った」元担任、園児の所在確認せず 牧之原・バス置き去り死亡事件公判
牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で2022年9月、園児の河本千奈ちゃん=当時(3)=が送迎バスに置き去りにされ、熱中症で死亡した事件で、業務上過失致死の罪に問われた前園長の増田立義被告(74)、元クラス担任の被告(48)の第2回公判が15日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。元クラス担任は被告人質問で、千奈ちゃんの所在を確認しなかった理由を「お休みと思った」「(他の職員らが)確認をしてくれていると思ってしまった」などと述べた。 ⇒【牧之原・園児バス置き去り死亡事件 第2回公判】被告人質問の主なやり取り ⇒【牧之原・園児バス置き去り死亡事件 第2回公判】
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【牧之原・園児バス置き去り死亡事件 第2回公判】被告人質問の主なやり取り
牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で2022年9月、園児の河本千奈ちゃん=当時(3)=が送迎バスに置き去りにされ、熱中症で死亡した事件の第2回公判で、元クラス担任の被告(48)と前園長の増田立義被告(74)の被告人質問の主なやり取りは次の通り。 <元クラス担任> 【弁護人】 ―事件を振り返り、どうして起きたと思うか。 「私が報告、連絡することを怠ってしまったから。出欠の確認、職員での共有、保護者への連絡。はっきりとしたマニュアルはなかったが、担任がすべきだと思う」 ―千奈ちゃんについてはどう思っていたのか。 「もしかしたらお休みかもしれないというのが頭をよぎってしま
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最高裁人事(15日)
東京高裁部総括判事(岡山地裁所長)谷口豊▽岡山地裁所長(大分地、家裁所長)森冨義明▽大分地、家裁所長(横浜地、家裁川崎支部長)岡部純子▽横浜地、家裁川崎支部長(東京高裁判事)楡井英夫▽定年退官 東京高裁部総括判事相沢哲
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ハラスメント 二審も否定 高裁、遺族の請求棄却 静岡病院職員自殺訴訟判決
2014年12月に静岡市立静岡病院の男性職員=当時(57)=が自殺したのは長時間労働や部下によるハラスメント行為への対応を怠ったことが原因として、遺族が市と地方独立行政法人静岡市立静岡病院を相手取り、約6200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は14日、「業務量の過重は認められず、ハラスメントと評価することも困難」として請求を退けた一審静岡地裁判決を支持し、遺族側の控訴を棄却した。 松井英隆裁判長は判決理由で、長時間労働について一審判決同様、職員の勤務様態などから「勤務時間の算出の仕方に不合理はない」とした。遺族側は、男性職員の手帳の記録を根拠に毎月100時間を超える時間外
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袴田さん弁護団が意見書 被害者遺族の陳述に反対 静岡地裁に提出
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)のやり直しの裁判(再審)を巡り、弁護団は10日、静岡地裁(国井恒志裁判長)に対し、被害者遺族の意見陳述を認めるべきではないとする意見書を出した。次回公判は22日。 次回の第15回公判は検察側の論告・求刑と弁護団の最終弁論、袴田さんの姉ひで子さん(91)の最終意見陳述を経て結審する予定。 弁護団によると、殺害された専務夫妻の孫から意見陳述の申し出があった。口頭での陳述ではなく、袴田さんに対する処罰感情などを記した書面を提出することを希望しているという。 弁護団は意見書で、再審公判は前
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女児わいせつ 男に懲役10年 地裁沼津支部判決
静岡県東部の女児にわいせつな行為をしたとして、強制わいせつ、強制性交、不同意わいせつ、不同意性交の罪に問われた焼津市一色、電気工事業の被告(58)の判決公判で、静岡地裁沼津支部は10日、懲役10年(求刑懲役15年)を言い渡した。 判決理由で野沢晃一裁判長は、「多数回にわたって強度のわいせつ行為に及び、相当に卑劣で悪質な犯行」と強調。被告に同種前科が複数あり、執行猶予期間中に犯行を重ねたことから「規範意識が甚だ乏しく、常習性が顕著で、強い非難が妥当」と指摘し、相当長期の刑が相当とした。 判決によると、被告は2023年3月から10月にかけて、被害者が当時8歳と知りながら、乗用車内などで複数回
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同性パートナー 名字変更認める 名古屋家裁「婚姻に準じる」
名古屋家裁が3月、同性パートナーと暮らす愛知県の男性に対し、「婚姻に準じる関係」として、パートナーと同じ名字への変更を認める決定を出していたことが9日、分かった。名字が異なることで性的指向の詮索につながり、社会生活上の著しい支障が生じるとして、名字の変更について定めた戸籍法の「やむを得ない事由」に当たると判断した。 代理人弁護士によると、同性カップルを夫婦と同様の関係として名字の変更を認めた判断は異例という。「同性婚が実現していない現状で、選択肢が広がると期待される」と評価した。同性カップルを巡っては近年、社会の変化を背景に、異性間と同様の権利を認める司法判断が続いている。 男性は鷹見彰
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城北公園整備巡る住民訴訟、訴え退ける判決 静岡市が事業内容再検討へ
静岡市が城北公園(同市葵区)にカフェや駐車場を整備する事業を巡り、市民が市と民間事業者の実施協定締結差し止めを求めた住民訴訟で、静岡地裁は8日までに、市民側の請求を棄却する判決を言い渡し、判決が確定した。市などへの取材で分かった。市はこれを受け、事業内容の検討や地域住民への説明を再開するとしている。 住民側は、市民意見の聴取など市民参画条例に基づく手続きがなく、事業は違法だと訴えたが、判決では「事業は条例の対象外」とする市側の主張を全面的に認めた。判決言い渡しは3月28日付。期日までに住民、市側の双方が控訴しなかった。 市の担当者は事業の継続を視野に内容を再検討する意向を示し、「事業者や
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スルガ銀行が控訴 創業家巡る訴訟
創業家の関連企業(ファミリー企業)に対する不適切な融資が損失を招いたとして、スルガ銀行が岡野光喜元会長ら7人を相手取り、総額26億4400万円の損害賠償を求めた訴訟で、原告のスルガ銀行は8日、請求を棄却した静岡地裁判決(4月25日付)を不服として東京高裁に控訴したと発表した。 スルガ銀行は「事実認定および法解釈のいずれの判断についても承服しかねるとの結論に至った」とコメントした。控訴審では地裁判決の取り消しや、引き続き同額の賠償金の支払いなどを求めるとしている。 被告は岡野元会長の他、元会長の実弟でもある故岡野喜之助元副社長の相続人や元取締役ら6人。地裁判決によると、スルガ銀行は2013
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TikTok 米を提訴 禁止法阻止 要求 「表現の自由違反」
【ニューヨーク共同】中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米運営法人と親会社の字節跳動(バイトダンス)は7日、米国で成立したアプリ禁止につながる法律の差し止めを求め、米政府を首都ワシントンの裁判所に提訴した。表現の自由を保障する合衆国憲法修正第1条に違反すると主張。米国で約1億7千万人の利用者を抱えるアプリの行方は法廷で争われることになった。 法律はティックトック運営側が米国事業を期限内に売却しない場合、アプリ配信を禁じる内容。4月24日にバイデン大統領が署名して成立した。米国は中国への半導体輸出を規制する一方、中国も半導体材料の輸出を制限している。安全保障上の懸念を背景に
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機密文書持ち出し公判 延期
【ワシントン共同】米南部フロリダ州の連邦地裁判事は7日、私邸に機密文書を持ち出したとして起訴されたトランプ前大統領の初公判を、当初予定された5月20日から延期すると発表した。期日は未定。11月の大統領選で返り咲きを目指すトランプ氏は選挙戦に専念するため公判の先送りを狙っており、追い風となった。 トランプ政権時に指名されたアイリーン・キャノン判事が、公判前手続きを7月22日まで続けると決定したため、初公判の期日は同日以降となる。判事はこれまでも判断がトランプ氏寄りだと指摘されたことがある。 トランプ氏は4事件で起訴され、不倫口止め疑惑に絡む事件は現在公判が続いている。米メディアは機密文書持ち出
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トランプ氏、かん口令違反 NY州地裁 罰金140万円 収監も警告【米大統領選2024】
【ニューヨーク共同】トランプ前米大統領が起訴された不倫口止め疑惑に絡む事件で、ニューヨーク州地裁は4月30日、トランプ氏がソーシャルメディアと選挙活動用ウェブサイトで証人や陪審員候補に言及し、かん口令に違反したとして罰金9千ドル(約140万円)と投稿の削除を命じた。今後は収監命令もあり得ると警告した。 11月の大統領選で返り咲きを狙うトランプ氏は、かん口令で言論の自由を奪われていると主張。この日の公判終了後、起訴に値する事件ではないとの持論を繰り返し「本当に恥ずべきことだ」と不満をぶちまけた。 地裁判事は今回の決定で、かん口令の範囲を必要最低限に抑えていると反論した。 判事は3月下旬、
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米地方紙 オープンAI提訴 8社、著作権侵害「存続脅かす」
【ニューヨーク共同】ニューヨーク・デーリーニューズやシカゴ・トリビューンなど計八つの米地方新聞社は4月30日、対話型人工知能(AI)の学習に記事を使われて著作権を侵害されたとして米オープンAI、同社と提携するマイクロソフト(MS)を提訴した。損害賠償の支払いと、さらなる著作権侵害の差し止めなどを求めている。 米紙ニューヨーク・タイムズも昨年12月に訴訟を起こしており、同様の動きが拡大。一方、オープンAIは米AP通信やドイツのアクセル・シュプリンガー、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)などと記事使用で提携しており、メディアによって対応が分かれている。 米投資ファンドのアルデン・グローバル
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袴田さん再審公判 地裁が支援バッジの装着制限、パーカの文字にも要請 識者「不要な規制」
袴田巌さん(88)の再審公判で、静岡地裁が弁護団に支援団体のバッジを外すよう要請したり、傍聴した男性支援者の上着に入った「HAKAMADA」の文字をテープで隠すよう制限したりしたことを巡り、地裁は26日、理由や根拠、判断者を尋ねた取材に「いずれも回答しない」とした。識者からは「不要な規制」との指摘が上がっている。 市販のパーカを着用していた男性によると、24日の第14回公判の傍聴に際し、地裁の職員からまず、胸につけた支援団体のバッジをしまうよう指示された。その後、職員が背中の「FREE HAKAMADA」の文字に気づき、「事件と関係するようなアピールは隠してください」と求めたという。従わな
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「職種限定」合意下での勤務 同意なき配置転換認めず 最高裁初判断
技術職として長年勤務した従業員を事務職に配置転換することの妥当性が争われた損害賠償請求訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は26日、職種を限定する労使合意がある場合、使用者が労働者の同意なく配転を命じる権限はないとの初判断を示した。命令は違法と結論付け、適法とした二審大阪高裁判決を破棄。賠償責任の有無などを検討させるため審理を差し戻した。 配転命令を巡っては過去の判例などから、職種や勤務地を限定する合意があれば配転が制限されるとの考え方が以前からあり、今回の判決が改めて明確化した形だ。職務や勤務地を定めて採用する「ジョブ型雇用」が広がる中、企業の人事労務に影響しそうだ。 第
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米映画元大物の一審判決を破棄 NY最高裁 服役は継続
【ニューヨーク共同】米ニューヨーク州最高裁は25日、性的暴行などの罪で有罪となった映画界の元大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン受刑者(72)について、禁錮23年の一審判決を破棄した。不適切な証人出廷など一審の手続きに「重大な誤り」があったとして再審を求めた。 ワインスタイン受刑者はロサンゼルスの裁判所でも強姦(ごうかん)などの罪で禁錮16年の判決を受けており、服役は継続する。受刑者のセクハラ疑惑は2017年に発覚。これを機に被害を告発する「#MeToo」(「私も」の意)運動が広がった。 ニューヨークでの20年の一審判決は、女性2人への性的暴行などを認めた。今回の州最高裁の決定は、2
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スルガ銀行の損害賠償請求を棄却 創業家関連企業への融資 静岡地裁、寄付「合理的範囲」
創業家の関連企業(ファミリー企業)に対する不適切な融資が損失を招いたとして、スルガ銀行が岡野光喜元会長ら7人を相手取り、総額26億4400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は25日、請求を棄却した。菊池絵理裁判長(異動のため平山馨裁判長代読)は、銀行側が「ファミリー企業への資金融通が真の目的」と指摘していた寄付について「合理的な範囲を超えない」と判断。寄付に関与した当時の経営陣の注意義務違反も認められないとして訴えを退けた。 被告は岡野元会長の他、元会長の実弟でもある故岡野喜之助元副社長の相続人や元取締役ら6人。スルガ銀行は2013~17年、岡野元会長が代表理事を務める美術館に、
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再審格差への対応 最高裁「承知せず」 改正議連総会【最後の砦 刑事司法と再審】
冤罪(えんざい)被害者の救済につながっていないと指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)の早期改正を目指す超党派の国会議員連盟は25日、第3回総会を国会内で開き、最高裁に問題意識を尋ねた。「再審格差」が存在するとの批判がある中、その対応を最高裁内部でしているかどうかについて担当者は「今の時点で承知していない」と述べ、再審無罪事件の検証は「していない」とした。 最高裁事務総局刑事局の近藤和久第2課長が再審制度の概要などを説明し、質疑に移った。議連事務局長の井出庸生衆院議員(自民党)が現行法に規定のない証拠開示について「(裁判官として)条文があった方がやりやすいか」と質問したのに対し、近藤氏は
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園児バス置き去り事件巡り牧之原市長 「廃園しないなら説明を」
牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で園児の河本千奈ちゃん=当時(3)=が置き去りにされて亡くなった事件を巡り、杉本基久雄市長は25日の定例記者会見で「(運営法人は同園を)廃園にしないのなら、説明責任を果たすべきだ」との認識を示した。 杉本市長は、事件直後の面談で当時の園長が千奈ちゃんの父親にノートで廃園にする旨を伝えたことに触れ、「(約束を)履行しないのであれば、それなりの説明責任がある」と指摘し、運営法人の榛原学園に「もっと誠意を持って遺族に対応してほしい」と求めた。 23日に開かれた事件の初公判で、千奈ちゃんが直前に別の送迎バスの存在に気付き、車内で声を上げていたと明らかになったこ
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著名人かたる投資広告詐欺 被害者 メタ社を損賠提訴 神戸地裁
フェイスブック(FB)などの交流サイト(SNS)で衣料品販売大手ZOZO創業者の前沢友作氏ら著名人に成り済ました人物の投資広告で金銭をだまし取られたのは、広告の内容が真実かどうかの調査を怠ったからだとして、神戸市や東京都などの被害を受けた男女4人が25日、SNSを運営する米IT大手メタ(旧フェイスブック)の日本法人に計約2300万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。 原告側弁護団によると、SNSの詐欺広告被害を巡り、運営企業側に賠償を求める訴訟は初とみられる。他にも同様の被害相談があるといい、今後追加提訴も検討すると明らかにした。 前沢氏や実業家の堀江貴文氏ら著名人の画像を無断利用し
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エクアドル警察 大使館突入 メキシコ激怒 ICJに提訴 条約違反で国連追放要求
エクアドル警察が首都キトにあるメキシコ大使館に突入し、身を寄せていたグラス元副大統領を連行した。メキシコは即座に断交し、国際司法裁判所(ICJ)に提訴。国連追放も唱え、怒りは収まらない。メキシコに同調したニカラグアやベネズエラも断交や大使館閉鎖を決め、影響は周辺国に波及している。 ■公館不可侵 「極めて深刻な出来事だ」。メキシコのバルセナ外相はICJに提訴した11日、エクアドル警察による5日の大使館突入を非難した。 メキシコは、エクアドルの特殊部隊員15人ほどが許可なく大使館に入って止めようとする外交官に「襲いかかり」、グラス氏を連れ去ったのはウィーン条約違反だと主張。損害賠償に加え
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浜名湖遺体事件、18歳男逆送 家裁浜松支部「犯行中心的役割」で刑事処分相当
湖西市の浜名湖畔付近で2月上旬、袋井市の通信制高校の男子高校生(17)が溺死させられたとされる殺人事件で、静岡家裁浜松支部は24日、殺人と傷害、監禁の疑いで同家裁に送致されていたフィリピン国籍、浜松市中央区の無職の男(18)を静岡地検浜松支部に送致(逆送)すると決定した。家裁は男について「一連の犯行で中心的な役割を果たしており、計画性がないことを考慮しても犯情は非常に悪質」と指摘。保護処分ではなく、刑事処分が相当と判断した。地検が起訴すれば裁判員裁判の対象になる。 地検によると、男は殺人、傷害、監禁の罪で起訴されている同区の無職の男(21)と共謀し、2月5日午前3時半ごろから同5時ごろまで
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社説(4月25日)バス置き去り公判 根本原因を解明せねば
牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で2022年9月、園児の河本千奈ちゃん=当時(3)=が送迎バスに置き去りにされ、熱中症で死亡した事件で、業務上過失致死の罪に問われた前園長の増田立義被告(74)、元クラス担任(48)の公判が静岡地裁で始まった。両被告は真摯[しんし]に真実を語らなければならない。社会は公判からさらに教訓を学び、再発防止につなげる必要がある。 初公判で2人は起訴内容を全面的に認めた。検察は冒頭陳述で、21年7月に福岡県で同様に園児が送迎バス内で死亡する事案が発生し、国から安全管理の徹底を促す通達が出ていたにもかかわらず、同園では法律で策定が義務付けられている「学校安全計画」
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袴田さん再審、立証終了 5月22日結審へ 弁護団「無罪判決に自信」
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審第14回公判が24日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。犯行着衣とされた「5点の衣類」に付着した血痕と袴田さんのDNA型は「一致しない」と結論づけた鑑定を前回に引き続き主な審理テーマとした。「信頼性に疑問がある」とする検察側は、意見書や捜査報告書などの証拠を提示しながら説明。その後、弁護団が反証し、公判を通じた双方の立証はほぼ終了した。静岡地裁は、5月22日の次回公判で検察側の論告・求刑と弁護団の最終弁論などを実施するとした。 終了後の記者会見で弁護団は、立証活動を振り返り「
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大自在(4月24日)熱中症特別警戒アラート
きのう発表された気象庁の3カ月予報によれば、5~7月は暖かい空気に覆われやすく全国的に気温は高いという。今年もまた暑くなるのか。覚悟しておいた方がいいだろう。 都道府県内の全ての地点で「暑さ指数」が35以上になると予想されると発表する熱中症特別警戒アラートの運用が、きょうから始まる。33以上で出ていた現行の警戒アラートの上位に新設された。暑さ指数は気温、湿度、放射熱などから算出する指標。28を超えると熱中症発生率が急増するといわれる。 現行のアラートは昨年、全国で延べ1232回。2021年の613回から2年で2倍になるなど、リスクは高まっている。特別警戒アラートは、熱中症に気づくだけでな
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【牧之原・園児バス置き去り死初公判】冒頭陳述要旨
【被告人の職務】 増田立義被告は2002年から榛原学園理事長兼川崎幼稚園長として園全体の業務を統括し、保育や安全管理を行っていた。年に数回程度、送迎バスの運転手の不在時などにバスを運転することがあった。西原亜子被告は事件当時、河本千奈ちゃんを含む19人が在籍する組の担任として、園児の保育、教育、安全管理などの業務に従事していた。 【川崎幼稚園の安全管理の状況】 21年7月に福岡県内で発生した同種の園児死亡事件を受け、関係省庁から安全管理の徹底についての通達が出された。子どもの出欠状況を保護者に速やかに確認することや職員間の情報共有、送迎バスの乗車時と降車時に座席や人数の確認を徹底するこ
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前園長「全て私の責任」「先を急いでいた」 牧之原園児置き去り死初公判・被告人質問
牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で2022年9月、園児の河本千奈ちゃん=当時(3)=が送迎バスに置き去りにされ、熱中症で死亡した事件の初公判で、前園長の増田立義被告(74)の被告人質問での主なやりとりは次の通り。 ⇒届かぬ声 子どもの現場は今 保育連載の特設サイト ⇒届かぬ声 子どもの現場は今 保育連載の特設サイト 【弁護側】 -川崎幼稚園ではバスの乗り降りで園児の人数確認をしていたか。 「運転手と補助員で確認していると思っていた」 -事件当時、車内に園児は残っていないと思ったのか。 「補助員がスライドドアをバタンと閉めたので、いないと思った」 -
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牧之原の悲劇「自分事に」 傍聴者、再発防止願う【園児置き去り死初公判】
誰か一人でも確認していれば救えた命では―。当時3歳の園児だった河本千奈ちゃんが送迎バスに置き去りにされ死亡した事件で、静岡地裁で23日に開かれた初公判を傍聴した人たちからは、園の安全意識の希薄さを悔やんだり、同様の事件が繰り返されないよう願ったりする声が聞かれた。 ⇒届かぬ声 子どもの現場は今 保育連載の特設サイト ⇒届かぬ声 子どもの現場は今 保育連載の特設サイト 隣接する牧之原市で起きた事件に「人ごととは思えない」と初めて裁判傍聴に足を運んだ菊川市の主婦堀祐華さん(43)は「当時の状況を聞き、思い込みが重大な結果を招いてしまうと痛感した。(バスを運転していた増
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千奈ちゃん「バス来てるよ」車内で声も 前園長は気付かず施錠【牧之原置き去り死初公判】
「ケーキバス、後ろから来てるよ」-。静岡地裁で23日に開かれた牧之原市の送迎バス園児置き去り事件の初公判。検察は冒頭陳述で、河本千奈ちゃんがバスに取り残される直前、別の送迎バスの存在に気付き、車内で声を上げていたことを明らかにした。そのとき車内には千奈ちゃんと運転席の園長だけ。その言葉は園長に向けられていたのだろうか。しかし、増田立義被告(74)はその声に気付くことなく、バスを施錠。増田被告は最後に車内を確認しなかったことについて「補助員がスライドドアを閉めたので、いないと思った」「(私用で)先を急いでいた」などと語った。 ⇒届かぬ声 子どもの現場は今 保育連載の特設サイト &r
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牧之原園児バス置き去り、前園長ら業過致死罪認める 「苦しい思いさせた」 静岡地裁初公判
牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で2022年9月、園児の河本千奈ちゃん=当時(3)=が送迎バスに置き去りにされ、熱中症で死亡した事件で、業務上過失致死の罪に問われた前園長の増田立義被告(74)、元クラス担任の被告(48)の初公判が23日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。国井裁判長の「あなたがやったことに間違いはないか」との問いに対し、増田被告は「はい」、元クラス担任の被告は「間違いありません」といずれも起訴内容を全面的に認めた。 ⇒届かぬ声 子どもの現場は今 保育連載の特設サイト ⇒届かぬ声 子どもの現場は今 保育連載の特設サイト 事件を機
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清水区「誠心会」贈収賄事件 2被告、追起訴内容認める 静岡地裁公判
静岡市清水区の社会福祉法人「誠心会」の法人資金が着服されたとされる事件で、業務上横領の罪などに問われた元理事長で団体役員(43)=埼玉県新座市=と団体職員(52)=東京都中央区=の第2回公判が23日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、2人はともに追起訴内容を認めた。 2人は3月の初公判で、誠心会の口座から約4400万円を横領したとする起訴内容を認めていた。その後、同会の役員改選を巡り理事や監事、評議員を指定した人物に変更できるよう権限の行使を当時の理事長(48)=社会福祉法違反(収賄)の罪で起訴=に依頼して現金2千万円の供与を約束し、同会の口座から計3千万円を横領したとして社会福祉法違反
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牧之原の園児バス置き去り死、前園長ら認める
牧之原市の認定こども園で2022年、通園バスに園児を放置し熱中症で死亡させたとして業務上過失致死罪に問われた前園長と元クラス担任は23日、静岡地裁の初公判でいずれも起訴内容を認めた。
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記者コラム「清流」 お母さんなら
2年前に元交際相手の女性を殺害した罪などに問われた男の裁判員裁判で、静岡地裁は3月、懲役18年の判決を言い渡した。一貫して無罪を主張していた男の主張を、全面的に退けた。 女性は当時、中学1年の息子と同居していた。息子は朝起きて母親がいないことに驚き、不安になってスマホに何度も電話をかけたが、つながらなかった。裁判長はその時間に女性が生きていたら「着信に気付いて連絡するはず」と指摘。女性から息子に折り返しの連絡がなかった事実が犯行時刻の決め手となり、無罪の主張を打ち破った。 息子は「お母さんに会いたい。死んだら会えるかな」と今も悲しみに暮れる日々という。これほどの絆で結ばれた母親が息子の電
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未手術の性別変更、静岡家裁認める 静岡市の安池さん「最初の一歩」
生殖機能をなくす性別適合手術をせずに戸籍上の性別変更を申し立てた静岡市駿河区の会社社長安池中也さん(54)の家事審判で、静岡家裁は22日までに、安池さんの性別を女性から男性に変更することを認めた。決定は18日付。 安池さんは幼少期から女性として扱われることに違和感を覚え、31歳の時に性同一性障害と診断された。その後、ホルモン治療を受け、名前を変更。性別適合手術はせず、男性として社会生活を送る。最高裁や静岡家裁浜松支部が昨年10月、性別変更の際に生殖機能をなくす手術を求める性同一性障害特例法の規定を、違憲で無効と判断する決定を出したことを受け、今年2月に性別変更を申し立てていた。 安池さん
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JA富士市元職員3人に懲役3年求刑 虚偽口座開設と不正利益 静岡地裁公判
JA富士市(現JAふじ伊豆)で2680万円の預け入れがあったと虚偽の情報で口座を作り、不正に利益を得たとして、電子計算機使用詐欺の罪に問われたいずれも同JA元職員で無職の60歳の男(富士市)、72歳の男(同)、67歳の男(同)の論告求刑公判が22日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であり、検察は3被告にそれぞれ懲役3年を求刑した。弁護側はいずれも「犯罪は成立しない」として無罪を主張した。判決は6月12日。 検察は論告で、顧客の預金を被告らが使い込み、事実を隠す目的で共謀してうその定期貯金の電磁的記録を作り、預金が存在するように装っていた―と事件の構図を説明。その上で、うその電磁的記録を作成した時
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【牧之原・バス置き去り園児死亡】臨時の運転が招いた悲劇 23日初公判
牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で2022年9月5日、園児の河本千奈ちゃん=当時(3)=が送迎バスに置き去りにされ、熱中症で死亡した事件で、業務上過失致死の罪に問われた前園長の増田立義被告(74)、元クラス担任(48)の初公判が23日、静岡地裁で開かれる。幼い命が失われた事件の真相について両被告は法廷で何を語るのか―。関係者への取材と同市検証委員会の報告書などを基に当日の状況を時系列で追い、両被告が問われている過失に迫る。 (「届かぬ声」取材班) 運転手「不在」、複数回認識か ―事件当日の経過 「おれが乗らなきゃいけなくなった」 22年9月5日朝。川崎幼稚園の関係者は、同園の職員
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【牧之原・バス置き去り】園児遺族「本音語って」 前園長ら、23日に初公判
牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で2022年9月、園児の河本千奈ちゃん=当時(3)=が送迎バスに置き去りにされ、熱中症で死亡した事件で、業務上過失致死の罪に問われた前園長の増田立義被告(74)、元クラス担任の被告(48)の公判が23日、静岡地裁で始まる。千奈ちゃんの両親は被害者参加制度を利用して出廷する予定で、父親(39)は両被告に対し「裁判のために用意した言葉ではなく、自分の本音で語ってほしい」と求める。 公の場での発言は増田被告は事件2日後の記者会見以来で、元クラス担任の被告は初めて。全国の園児送迎バスへの安全装置の設置義務化など、社会に大きな影響を与えた事件について両被告が何を語
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ホスト元同僚 大学生へのわいせつ性否認 静岡地裁初公判
2023年、静岡市葵区のホストクラブで働いていた男子大学生=当時(23)=に対する強制わいせつの罪に問われた元同僚の被告(30)の初公判が19日、静岡地裁(谷田部峻裁判官)であり、被告は「事実は認めるがわいせつ性はない」と起訴内容を一部否認した。 検察官は冒頭陳述で、男子大学生は悲鳴を上げるなどして下半身へのわいせつ行為を嫌がったが、被告や他の同僚は「行為を止めなかった」と指摘した。被告は「当日は酔っていて記憶がない」とした上で、わいせつ行為は店内で横行していた「いたずらの延長線」だと主張した。 起訴状によると、被告は23年5月1日午後7時41分ごろから55分ごろまでの間、当時のホストク
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新潟水俣病賠償命じる 地裁、法救済外26人認定 原因企業に1億円
2009年施行の水俣病特別措置法に基づく救済を受けられなかった住民らが新潟水俣病の症状を訴え、国と原因企業の旧昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に1人当たり880万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、新潟地裁は18日、原告47人のうち26人の罹患(りかん)を認め、それぞれ400万円、総額1億400万円の賠償を同社に命じた。国の責任は認めず、賠償請求も退けた。 同種訴訟は全国4地裁で起こされ、判決は3件目。大阪地裁は昨年9月、原告全員を水俣病と認め国などに賠償を命令。熊本地裁は今年3月、請求を退ける一方、一部原告の罹患を認めた。救済から取り残された人が患者と認められる判決が相次ぎ、国や
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「背中押しただけ」元焼津市議が主張 強制わいせつ、静岡地裁公判
マッサージを装って10代女性の胸を触るなどの行為をしたとして、強制わいせつの罪に問われた焼津市保福島、元焼津市議の建築業の男(55)の第5回公判が18日、静岡地裁(益子元暢裁判官)であり、男は検察が行為のあった日としている2023年6月9日について「その日は背中を押しただけ」と改めて主張した。 起訴状によると、男は同日午前11時2分ごろから14分ごろまでの間、自宅で、マッサージを装って女性のシャツを脱がせ、背後から下着をまくり上げ、両手で胸をもむなどしたとされる。 男は柔道の指導者で、女性は男が代表を務める道場に通っていた。男は2月の第4回公判で「(胸を触る行為を)したことはあるがその日
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袴田さん弁護団「DNA型鑑定結果は無罪の証明に」 検察は否定 再審第13回公判
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審第13回公判が17日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。犯行着衣とされる「5点の衣類」のうち、白色半袖シャツに付着した血痕と袴田さんのDNA型は「一致しない」と結論づけた鑑定について、弁護団は高い信頼性があるとして「無罪を証明すると同時に、衣類が捏造(ねつぞう)されたことを強く示唆する」と主張。一方、検察側は「鑑定結果は信用できず、犯行着衣ではないことを示す証拠とはなり得ない」と対立した。 DNA型鑑定を手がけたのは、弁護団が推薦した本田克也筑波大教授(当時、現名誉教授)。再
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袴田さん弁護団「地裁は逃げずに判断を」 評価割れてきたDNA型鑑定【再審第13回公判】
「きちんと判断してほしい」ー。再審第13回公判終了後の記者会見で、弁護団の伊豆田悦義弁護士は、DNA型鑑定に関する冒頭陳述に込めた思いを語った。 第2次再審請求審で、再審開始を認めて袴田さんを釈放した2014年の静岡地裁決定は、弁護団が推薦した筑波大の本田克也教授(当時、現名誉教授)が手がけたDNA型鑑定について、手法や説明を「全てが全面的に信用できるとまでは判断していない」としつつ、批判的な検討を加味しても「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」と捉えた。 一方、地裁決定を取り消した18年の東京高裁決定は本田鑑定の証拠価値を否定した。審理を差し戻した20年の最高裁決定では、裁判官5人のうちの
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登記移転など求め山下沼津市議側が反訴 市有地貸した利益返還訴訟 地裁支部
自宅に隣接する沼津市の市有地を有料駐車場として貸して利益を得たとして、市が山下富美子市議に約200万円の利益返還を求めた訴訟の第2回口頭弁論が17日、静岡地裁沼津支部(篠原絵理裁判長)で開かれた。山下氏側は問題の土地は自身の所有地として登記の移転を求めた上で、市の文書管理に問題があったと指摘。提訴などで精神的損害を受けたとして、計200万円の損害賠償を請求する反訴を提起した。 反訴状によると、山下氏側は、問題の土地は父(故人)が市と売買契約を結んだとし、仮に契約が認められなくても時効取得されたとして移転登記を求めている。さらに、市が保存すべき文書を破棄したため山下氏側が対応を余儀なくされた
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袴田さんへの処罰感情 遺族が書面で陳述へ 5月に静岡地裁【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の静岡地裁で続くやり直しの裁判(再審)で、専務の遺族が意見陳述を申し出たことが16日、関係者への取材で分かった。処罰感情などを伝える意向とみられる。 関係者によると、被害者遺族の意見陳述は5月22日の第15回公判で、検察側の論告・求刑に先立つ形で行うことを想定している。口頭での陳述ではなく、意見を記した書面の提出を望んでいるという。同公判では弁護団の最終弁論と袴田さんの姉ひで子さん(91)による最終意見陳述も予定され、結審する見通しだ。 袴田さんの再審は昨年10月に始まり、検察側は有
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トランプ氏「政治的迫害」 不倫口止め事件初公判 徹底抗戦、選挙影響も【米大統領選2024】
【ニューヨーク共同】トランプ前米大統領(77)が起訴された不倫口止め疑惑に絡む事件の初公判が15日、ニューヨーク中心部のニューヨーク州地裁で開かれた。米大統領経験者の刑事責任が裁かれるのは初めてで、11月の大統領選に向けた選挙戦と公判が並行して進む異例の事態となる。トランプ氏は入廷前、記者団に「政治的迫害だ。米国への攻撃だ」と批判した。 公判は16日以降もほぼ毎日開かれ、6月ごろ陪審による評決が出る見通し。トランプ氏はこのほか三つの刑事事件を抱えており、大統領選への影響が注目される。トランプ氏は15日の公判で連日出席する意思を示し、徹底抗戦の姿勢を見せた。 この日は無罪か有罪かを判断する
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トランプ氏、初公判 不倫口止め 大統領経験者、被告人に【米大統領選2024】
【ニューヨーク共同】トランプ前米大統領が起訴された不倫口止め疑惑に絡む事件の初公判が15日、ニューヨーク中心部にあるニューヨーク州地裁で開かれる。大統領経験者の刑事責任が問われるのは米国史上初で、トランプ氏が起訴された四つの事件で公判を迎えるのは初めて。バイデン大統領と再対決する11月の大統領選への影響も注目される。陪審による評決まで1カ月半~2カ月程度かかる見通し。 トランプ氏は四つの事件全てで無罪を主張している。14日、ソーシャルメディアに「バイデン氏の取り巻きが政敵の私を陥れようと司法制度を操っている」と投稿した。 実質審理に入る前に、陪審員選任手続きが数日間続く見込み。陪審員候補
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慰安婦本著者に逆転無罪判決 韓国高裁 差し戻し審
【ソウル共同】韓国のソウル高裁は12日、旧日本軍の従軍慰安婦問題を扱った著書「帝国の慰安婦」で元慰安婦の名誉を傷つけたとして名誉毀損(きそん)罪に問われた朴裕河[パクユハ]・世宗大名誉教授(67)の差し戻し審で、逆転無罪判決を言い渡した。記述内容は「学問的主張または意見表明と評価することが妥当だ」との判断を示した。 2017年の二審判決は、罰金1千万ウォン(約110万円)の有罪だったが、最高裁判決は昨年10月に二審を破棄し、無罪の趣旨を示して審理を高裁に差し戻していた。 裁判では、表現の自由や学術研究に対する公権力介入の是非が問われていた。韓国で敏感に扱われる歴史問題に関して、多様な意見を認
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袴田さん再審「判決公判の傍聴席拡大を」 支援団体が静岡地裁に要請
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の支援団体は11日、再審公判の傍聴席を拡大するよう静岡地裁に要請した。判決を含めてあと4回の公判が見込まれる中、とりわけ判決公判では傍聴希望者の殺到が予想されると指摘。「予期せぬ混乱を防ぐためにも、傍聴席の拡大やモニターによる傍聴を可能に」と訴えた。 要請したのは、各地の支援団体でつくる「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」。これまでも同様の申し入れをしてきたが、実現には至っていない。また、司法行政文書の開示を申し立てたところ、地裁が傍聴席の拡大要請に対する意思決定の記録については存否を答えず、抽選
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「ヒノキ林を違法伐採」 所有者兄弟、静岡県を損害賠償請求で提訴
静岡県の「森の力再生事業」で違法に山林を伐採されたとして、静岡市内の兄弟が県に約375万円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁に起こしたことが10日、関係者への取材で分かった。 3月29日付。伐採されたのは静岡市葵区のヒノキ林で兄弟の共有名義だった。訴状で原告側は、県の職員らは2021年7月、兄に対して「強度の列状間伐」と虚偽の説明をし、弟にはそもそも何の説明もしないまま、権利者の同意がないにもかかわらずヒノキ林を15メートル幅で「皆伐」したと主張。財産権を侵害した違法があると訴えている。伐採面積は約2ヘクタール、伐採本数は約6千本に上ったという。 森の力再生事業は「森林(もり)づくり県民税
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再審法改正目指す国会議連 麻生氏が最高顧問に 加入議員拡大、法務省などに聞き取り
規定の不備によって冤罪(えんざい)被害者の救済につながりにくいと指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)を巡り、早期の改正を目指す超党派の国会議員連盟(柴山昌彦会長)は9日、第2回総会を国会内で開き、自民党の麻生太郎副総裁が最高顧問に就く役員案を承認した。入会議員は設立時点の134人から210人に拡大。日本弁護士連合会と法務省の双方への聞き取りも実施した。 日弁連は、再審法改正実現本部の鴨志田祐美本部長代行が現行法の問題点を指摘した。袴田巌さん(88)の再審が確定するまでの経緯を例に挙げ、①検察官の手元に眠る証拠を開示させるルールがない②再審開始決定に対する検察官の不服申し立てが許されてい
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5月30日裁判員体験 静岡地裁
静岡地方裁判所は5月30日午後1時半から、「裁判員裁判体験会」を静岡市葵区の同地裁で開く。 裁判員に選ばれるまでの手続きを説明した後、事件を想定した模擬裁判で参加者に裁判員役を体験してもらう。現役の裁判官、検察官、弁護士の法曹三者への質問コーナー、法廷見学も予定している。 定員は20人程度。参加希望者は静岡地裁ホームページから申し込む。問い合わせは同地裁総務課広報係<電054(251)6241>へ。
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「死刑制度に関心を」 福岡事件支援者、浜松で講演
福岡市で1947年に商人2人が射殺された福岡事件で、無実を訴えながらも強盗殺人罪で75年に死刑が執行された西武雄元死刑囚らの再審運動を支援する熊本県玉名市の僧侶古川龍樹さん(64)が6日、浜松市中央区で講演した。福岡事件の概要を説明し、死刑制度について「執行順番の決定基準など私たちには知らないことばかり。もっと関心を持つべきだ」と訴えた。 福岡事件では、実行犯とされ「誤射」を主張した石井健治郎さん(2008年死去)は恩赦で無期懲役に減刑された一方、首謀者とされた西さんは死刑が執行された。 古川さんによると、当事者や親族の死去、存命親族の協力が得られないなどの事情により、現在の刑事訴訟法で
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神社の銅板窃盗 被告に有罪判決 静岡地裁
静岡市駿河区の神社の屋根の銅板をはがして盗んだとして、窃盗の罪に問われた住所不定、無職の男(52)の判決公判で、静岡地裁(谷田部峻裁判官)は5日、懲役1年6月、保護観察付き執行猶予4年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。 谷田部裁判官は判決理由で、換金を目的に、所持していた工具で神社の屋根から銅板をはがして盗んだのは「大胆で手慣れた悪質な犯行」と指摘。一方、同種事案の量刑傾向や、公判で罪を認めて反省していることなどを考慮して刑の執行を猶予するのが相当とし、保護観察は「住居も監督者も見当たらない現状に鑑み、更生に万全を期すため」とした。 判決によると、男は2023年10月16日午後1時半ごろ
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安倍派議員ら10人立件 会計責任者の公判 注目
東京地検特捜部による自民党裏金事件の捜査では安倍派議員ら10人が立件された。来月10日には事件のキーマンとされる安倍派会計責任者松本淳一郎被告(76)の初公判を控える。立件されなかった安倍派幹部の関与や資金還流の起源が明らかになるか注目が集まる。一方、安倍派幹部らを立件しなかった特捜部の判断の是非は今後、検察審査会で吟味される見通しで、決着にはまだ相当な時間がかかりそうだ。 一連の捜査は、自民党派閥の政治資金パーティーに収入の過少記載があるとして、大学教授が断続的に告発状を提出したことがきっかけとされる。特捜部は水面下で関係者の事情聴取を進め、昨年12月19日、虚偽記載の規模が大きかった安
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島田事件 赤堀さん 名古屋市内で納骨 5月、静岡でしのぶ会
島田市で幼女が連れ去られ殺害された「島田事件」で死刑が確定後、1989年に再審無罪となり、今年2月に94歳で亡くなった赤堀政夫さんの四十九日の法要と納骨式が2日、名古屋市の寺で営まれ、晩年に寄り添った関係者10人が参列した。赤堀さんを支援してきた市民団体「島田事件対策協議会」は、しのぶ会を5月18日に静岡市で開く。 赤堀さんは再審無罪で自由の身となり、名古屋市で長く暮らした。遺骨は、赤堀さんの生活を支えた大野萌子さん=2013年死去=の眠る墓に納められた。 参列者は赤堀さんとの思い出を懐かしんだ。趣味のカラオケや通院に付き添ってきた水野幸治さん(81)=名古屋市=は「マイクを握ったら離さ
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最高裁人事(4月1日)
最高裁デジタル審議官(最高裁事務総局審議官兼情報政策課長)清藤健一
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最高裁人事(4月1日)
静岡地、家裁部総括判事(東京地裁判事)平山馨▽静岡地、家裁沼津支部判事(東京地裁判事)横井靖世▽静岡家、地裁判事(東京地裁判事)増子由一▽静岡地、家裁沼津支部判事(東京地、家裁立川支部判事)長井清明▽静岡家、地裁沼津支部判事(横浜地裁判事)林啓治郎▽静岡地、家裁浜松支部部総括判事(さいたま地、家裁川越支部判事)来司直美▽静岡地、家裁判事(千葉地、家裁木更津支部判事)谷池厚行▽静岡地、家裁沼津支部長(水戸地、家裁土浦支部長)寺本昌広▽静岡地、家裁掛川支部判事(検事)飯島英貴▽静岡地、家裁沼津支部判事(大阪高裁判事)奥山雅哉
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最高裁人事(31日)
依願退官 東京高裁判事鈴木順子、知財高裁判事浅井憲、東京地裁判事小口五大、東京地裁判事バヒスバラン薫、東京地裁判事沢野真未(預金保険機構に出向)、東京地裁判事根岸聡知(預金保険機構に出向)、東京地、家裁立川支部判事大須賀綾子、さいたま地、家裁判事田辺実、千葉地、家裁松戸支部部総括判事田代雅彦、静岡地、家裁沼津支部長古閑美津恵、大阪家裁部総括判事小池覚子、名古屋地裁判事武藤裕一、名古屋地、家裁豊橋支部判事山本健一、名古屋家、地裁岡崎支部判事前田亮利、福岡地、家裁判事柴田啓介、仙台家、地裁判事岩下弘毅
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原状回復求める原告側の請求棄却 静岡地裁浜松支部
浜松市に貸していた私有地の原状回復を同市天竜区の女性が市に対して求めた訴訟の判決で、静岡地裁浜松支部(烏田真人裁判官)は29日、原告側の請求を棄却した。 判決によると、1968年ごろ、旧佐久間町(現同区)が原告側所有の農地を小学校のプールの敷地として活用するため、賃貸借契約を結んだ。閉校後の2020年に市は契約の解除を通知し、農地に戻す工事を実施したが、契約当時の耕作可能面積を大きく下回るとして、原告側は原状回復の工事を訴えていた。 烏田裁判官は判決理由で請求内容について、強制執行が可能な程度に明確化する必要があると指摘。「耕作可能地の意味が特定されておらず、被告側が具体的な工事の内容を
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8億円損害賠償求め提訴 焼津カツオ窃盗事件、被害の船会社など
焼津漁港での冷凍カツオ窃盗事件の第3ルートを巡り、被害に遭った焼津市の船会社「極洋水産」など10社と個人事業者1人が28日までに、窃盗罪で起訴された被告や所属していた水産加工会社などを相手に約8億500万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁に起こした。22日付。 訴状によると、同市の水産加工会社「マルテ小林商店」元役員の被告(46)=窃盗罪で起訴=、同市の運送会社社長(62)=同罪で有罪判決=、水産加工会社「大熊」元役員の被告(69)=同罪などで起訴=は共謀して、原告らの保有する漁船が水揚げしたカツオを盗んだとされる。それぞれの会社にも損害賠償責任や使用者責任があるとしている。 損害額は2
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【袴田さん再審公判】3日間の証人尋問終了 血痕黒褐色化「揺るがしようのない立証」 弁護団総括
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審第12回公判が27日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。証人尋問の最終日を迎え、検察・弁護側双方の証人計5人全員に同時に尋ねる「対質」が行われた。1年以上みそに漬かった血痕の色調という争点を巡り、弁護側証人の3人は専門的知見を踏まえて赤みは失われて黒褐色化すると改めて証言。検察側証人からも弁護団の主張に沿うような見解が示され、弁護団は公判終了後の記者会見で「揺るがしようのない状況まで立証できた」と3日間を総括した。 対質は証言台の前に五つの椅子が並べられ、裁判官が証人5人に質問
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血痕の赤み「残らない」弁護側証人3人が断言【袴田さん再審公判】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審第11回公判が26日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であり、前日に続いて証人尋問が行われた。再審開始の大きな根拠となった鑑定を手がけた弁護側の証人3人は「1年以上みそに漬かった血痕に赤みが残ることはない」と断言。旭川医科大の清水恵子教授(法医学)は、検察側が反論の証拠として提出した共同鑑定書について「抽象的な可能性論を繰り返すだけで仮説の域を出ておらず、われわれの鑑定結果を左右しない」と強調した。 ▶関連記事 証人全員に質問27日実施 弁護団「色問題」立証に自信 5点の衣類は事件
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弁護団「色問題」立証に自信 証人全員に質問27日実施【袴田さん再審公判】
静岡地裁で続く袴田巌さん(88)の再審公判は25、26の両日、1年以上みそに漬かった血痕に赤みが残るかどうかをテーマに検察・弁護側双方の証人計5人全員が証言した。検察側は、この「色問題」を再審請求審で担当してきた東京高検の検事を「最も精通している」(静岡地検の奥田洋平次席検事)として投入。一方の弁護団は立証に自信を深める。尋問最終日となる27日は5人の証人全員を証言台の前に並ばせ、裁判所の主導で質問していく「対質尋問」を予定。関係者は「裁判官がどんな質問をするかを見れば心証が分かるのでは」と注視する。 ▶関連記事 血痕の赤み「残らない」弁護側証人3人が断言 袴田さんの第2次再審請求の
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旧統一教会へ過料命じる 東京地裁 質問権行使回答拒否巡り
宗教法人法に基づく解散命令請求に向けた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への質問権行使で回答拒否したとして、文部科学省が過料を科すよう申し立てた非公開の裁判手続きで、東京地裁(鈴木謙也裁判長)は26日、教団の田中富広会長に過料10万円の支払いを命じる決定を出した。質問権行使を巡る過料決定は初めて。民法の不法行為を根拠とした行使は違法との教団側主張を退け、「適法」と判断した。 文科省は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」をしたなどとして解散命令請求を地裁に申し立てている。鈴木裁判長は、法令違反は「刑罰法令に限定すべきでなく、民法上の不法行為も含まれる」と認定。文
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犯罪給付金、同性にも 殺人被害者パートナー 最高裁初判断
20年以上同居していた同性パートナーを事件で殺害された男性が、配偶者として「犯罪被害者給付金」を受給できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は26日、支給対象の「事実上婚姻関係と同様の事情(事実婚)にあった者」に同性パートナーも該当し得るとの初判断を示した。 その上で、同性パートナーの場合は支給対象外とした二審名古屋高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。今後は男性がパートナーと事実婚の状態だったと言えるかどうかが検討される。 犯罪被害者等給付金支給法は支給対象となる被害者の配偶者について、婚姻を届け出ず事実婚の状態だった相手を含むと規定。訴訟では同性パートナ
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【袴田さん再審公判】5点の衣類「白すぎる」 検察側証人から思わぬ“援護”
長期間みそに漬かった衣類に付着した血痕の赤みは残りうるのか、消えるのかー。静岡地裁で続く袴田巌さん(88)のやり直しの裁判(再審)は25日、犯行着衣とされる「5点の衣類」の血痕の色変化を巡り、専門家の証人尋問に入った。検察側証人は、再審開始の決め手となった弁護団の鑑定を疑問視。一方で衣類の生地について「白すぎる」と述べ、検察側が再審請求審で実施したみそ漬け実験に苦言を呈する場面も。弁護団からは思わぬ〝援護射撃〟に驚く声が上がった。 証人として出廷したのは池田典昭九州大名誉教授と神田芳郎久留米大教授。共に法医学者で池田氏は日本法医学会の元理事長、神田氏は現理事長。検察側は池田氏の供述調書と、
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袴田さん再審で証人尋問開始 血痕の赤み「否定できず」 検察側・法医学者指摘【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審第10回公判が25日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、3日間にわたる証人尋問が始まった。犯行着衣とされる「5点の衣類」に付着した血痕の色調変化を巡り、検察側証人で法医学者の神田芳郎久留米大教授は血痕に赤みが残る可能性について「いろんな状況を考えれば否定できない」と述べた。 弁護団はこれまでの再審公判で、再審請求審と異なり立証責任は検察にあるとして「血痕の赤みが残ることが間違いないと立証できなければ反証としては不十分だ」とけん制している。 神田氏は尋問で、再審開始を認めた20
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再審公判の警備 静岡地裁「必要」 弁護団の中止申し入れに【最後の砦 刑事司法と再審】
一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審公判を巡り、弁護団が静岡地裁に対し、傍聴者を監視する警備員の配置や傍聴落選者に速やかな帰宅を促す掲示をやめるよう申し入れたことについて、地裁は19日、意見として聞くとした上で「円滑な審理を行うという観点から必要な警備・掲示を行っている」と回答した。弁護団への取材で分かった。 再審公判では、傍聴スペースの四隅に警備員が配置されている。傍聴者は筆記用具を除いて携帯電話などの持ち込みが禁止されているほか、金属探知機を使用した所持品検査を受ける。 弁護団は2月、こうした地裁の対応を「過剰で不必要な制限」として中止するよう申し入れた。
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「袴田さん無罪に」 静岡地裁に請願書 東京の支援団体【刑事司法と再審】
一家4人を殺害したとして死刑が確定したものの、静岡地裁でやり直しの裁判(再審)が始まった袴田巌さん(88)の支援団体「無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会」(東京)は14日、無罪判決を求める請願書を静岡地裁に提出した。7368人分の署名を添えた。 同団体は1980年に発足。請願書提出後に県庁で記者会見した門間幸枝副代表は「一刻も早く無罪になることを願う」と話した。 袴田さんの再審公判は、25~27日の証人尋問などを経て5月22日に結審する。早ければ8月にも判決が言い渡される可能性がある。
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同性婚・札幌高裁判決要旨
同性婚を巡る14日の北海道訴訟の札幌高裁判決の要旨は次の通り。 ▽性的指向 同性愛者は婚姻が許されていないため、社会生活上の不利益を受け、アイデンティティーの喪失感を抱いたり、社会的な信用、評価、名誉感情などを維持するのが困難になったりするなど、人格が損なわれる事態となっている。 性的指向は生来備わる人としてのアイデンティティーで、個人の尊重に関わる法の保護は同性愛者も同様に享受されるべきだ。同性愛のみならず、愛する対象が異性と同性の双方の場合、性を自認できない場合なども同じように考えられる。 ▽憲法14条1項 憲法14条1項は法の下の平等を定め、差別的な取り扱いを禁止する趣旨だ。
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婚姻の自由「同性間も保障」 法規定 違憲 初の二審判決 札幌高裁
同性同士の結婚を認めない民法と戸籍法の規定が憲法違反かどうかが争われた訴訟の控訴審判決で、札幌高裁は14日、「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と婚姻の自由を定めた憲法24条1項について「同性間の婚姻も異性間の場合と同じ程度に保障していると理解できる」との初判断を示し、関連規定を違憲とした。同種訴訟の初の控訴審判決で、同項の違憲判断は各地の地裁判決を含めて初めて。同性婚制度の導入による不利益や弊害はないとした。 個人の尊厳や両性の本質的平等に基づく家族関係の立法を定めた憲法24条2項や法の下の平等を定めた憲法14条にも反すると指摘。同日は東京地裁でも東京第2次訴訟の判決があり、現状は
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再審公判「警備過剰」 袴田さん支援団体、地裁に是正求め要請書
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審開始を認めた2023年の東京高裁決定から13日で1年を迎えた。その後、再審開始が確定し、同年10月に静岡地裁で再審が始まった。審理は終盤に入り、5月にも結審する見通し。一方、支援者は公判開廷日の警備が過剰で傍聴機会も制限されているとして地裁の対応を疑問視してきた。同日、是正を求める要請書を改めて提出。「あしき前例にしてはいけない」と訴えた。 要請したのは、各地の支援団体で構成する「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」。申し入れは今回が5度目で、これまでと同様、再審公判開廷日の地裁庁舎内への立ち
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旧天竜林高事件 元市長のアリバイ新証拠を追加提出 弁護人「判決の認定 崩せた」
浜松市天竜区の旧天竜林高を舞台にした調査書改ざん・贈収賄事件の再審請求を巡り、元校長(76)=加重収賄罪などで有罪確定=と元天竜市長(91)=贈賄罪で罰金刑確定=の双方の弁護人は11日、2回目の現金授受があったとされる日の元市長のアリバイに関して、銀行と保険会社から新たに開示された証拠を盛り込んだ補充意見書を裁判所に提出した。同日、元校長とともに浜松市内で記者会見した海渡雄一弁護団長は「確定判決の認定を完全に崩せた。反論を許さないほどの証拠が固まった」と自信を見せた。 事件の確定判決などでは元市長は2007年12月10日、スルガ銀行天竜支店を退店後、午前11時ごろに同校を訪れて元校長に現金
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共同親権法案、国会で論戦へ 父母協議、家裁判断も 虐待、DV...審理課題
政府は8日、現行では認めていない離婚後の共同親権を可能とする民法などの改正案を閣議決定し、国会に提出した。離婚後も父母双方が養育に関わりたいとの声が出るなど家族関係の多様化に対応した見直し。親権の在り方は父母が協議で決め、折り合えなければ家裁が判断する。家裁は、虐待やドメスティックバイオレンス(DV)の恐れがある場合などは共同親権を認めない。成立すれば2026年までに施行の見通し。 離婚後の家族関係が大きく変わることになる。「虐待・DVは密室で起きることが多く、立証が困難で家裁が見逃す恐れがある」との指摘もあり、適切な審理に向けた家裁の体制整備が課題だ。政府はデジタル手続きによる効率化や裁
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最高裁人事(9日)
福岡家裁所長(岡山家裁所長)永井尚子▽岡山家裁所長(福岡高裁部総括判事)久保田浩史▽福岡高裁部総括判事(宮崎地、家裁所長)松田典浩▽宮崎地、家裁所長(さいたま地、家裁部総括判事)沖中康人▽さいたま地、家裁部総括判事(東京高裁判事)鈴木尚久▽定年退官 さいたま家、地裁川越支部判事小島法夫、名古屋高裁判事後藤真知子、福岡家裁所長岩木宰
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記者コラム「清流」 更生願うまなざし
「反省の気持ちを忘れないで」「出所後、周囲の目は厳しいが、地道に仕事を続けてほしい」。裁判員裁判では判決宣告後、被告に寄せた裁判員らの意見が披露されることがある。静岡地裁浜松支部でこのほど開かれた強盗致傷罪などに問われた被告の裁判でも、裁判長が更生を期待するメッセージを読み上げた。 実刑判決を受けた20代半ばの男性には多くの逮捕歴があり、少年院にも複数回入っていた。それでも被告人質問では、過去の行動を後悔し、被害者や周囲の人に謝罪する言葉を口にした。時折涙声になる姿からは、「今度こそまともな大人になりたい」という強い決意が感じられた。 判決を聞く被告の様子を裁判員たちがじっと見つめていた
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再審法改正議連、呼びかけ人に与野党"大物" 自民麻生氏や公明山口代表ら 11日に設立総会
戦後一度も改正されず、不備が指摘されている再審法(刑事訴訟法の再審規定)の早期改正を目指す超党派の国会議員連盟に関して、自民党の麻生太郎副総裁や公明党の山口那津男代表ら26人が呼びかけ人になっていることが4日、関係者への取材で分かった。11日に設立総会が開かれる。 立憲民主党の泉健太代表や日本維新の会の馬場伸幸代表、国民民主党の玉木雄一郎代表も名を連ねた。呼びかけ人の代表は柴山昌彦元文部科学相。一方、静岡地裁で再審が行われている袴田巌さん(87)の地元である県内関係の議員は呼びかけ人には入っていない。 設立総会に向け、議連の事務局は4日、全国会議員に対し入会案内を出した。 再審法の改正
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手術なしで性別変更求める 静岡の安池さん 家裁に申し立て
出生時の性別と自認する性が異なる性同一性障害と診断され、男性として生活する静岡市駿河区の会社社長安池中也さん(54)が4日までに、性別適合手術を受けないまま戸籍上の性別を女性から男性に変更するよう求める家事審判を静岡家裁に申し立てた。 申し立ては2月28日付。最高裁や静岡家裁浜松支部が昨年10月、性別変更の際に生殖機能をなくす手術を求める性同一性障害特例法の規定(生殖能力要件)を違憲で無効と判断する決定を出したことを受け、申し立てに踏み切った。 安池さんは幼少期に自身の性別に違和感を持ち始め、ランドセルの色や制服の着用などに葛藤を抱き続けた。成人後に性同一性障害と診断され、その後、名前を
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原告側が準備書面 「屋内退避 不可能」 浜岡原発廃炉訴訟
中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)3~5号機の廃炉を求めて地域住民らが起こした訴訟の第38回口頭弁論が4日、静岡地裁浜松支部(佐藤卓裁判長)で開かれた。原告側は、能登半島地震の被害状況を踏まえ、原子力災害発生時に「屋内に退避することは不可能」などと訴える準備書面を提出した。 準備書面では、地震で建物が損傷し、原子力災害対策指針が定める屋内退避ができなくなるため、避難計画に不備があると主張。浜岡原発では地殻変動が起きた際に取水が困難になり、重大事故が起きる可能性があるとも指摘した。 中電側は原発の安全性向上工事や、新規制基準審査の進捗(しんちょく)状況を報告した。
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元常任顧問に支払い命令 5000万円 MV東海 労組費着服訴訟 地裁浜松支部
食品スーパー「マックスバリュ(MV)東海」(浜松市中央区)の労働組合で常任顧問などを務めていた女性が組合費4607万円を着服したとして、同労組が女性に損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁浜松支部(烏田真人裁判官)は1日、労組側の主張を全面的に認め、女性に弁護士費用を含む5067万円の支払いを命じた。 判決によると、女性は2018~19年ごろ、労組の一般会計に計上されない四つの簿外口座を使い分け、労組が株式を保有する企業からの配当金や労組の資金を引き出し、消失させた。組合の財政を掌握する立場としての注意義務を怠り、債務不履行の責任があると認定した。 女性は簿外口座からの引き出しを認めた一
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再審法改正、超党派の国会議員連盟誕生へ 3月中に設立、袴田さん姉期待「前進」
規定が不十分なため冤罪(えんざい)を訴えている人の救済につながっていないと指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)を巡り、法改正の早期実現を目指す超党派の国会議員連盟が3月中に設立されることが、29日までの複数の関係者への取材で分かった。 静岡地裁で再審公判が続く袴田巌さん(87)は、再審を求めてから実際に開始されるまでに42年の歳月を要した。日本の再審制度は再審請求手続きと再審公判手続きの2段階構造になっている中、再審法の条文は19しかなく、再審を開くかどうかを判断する再審請求手続きについて審理をどう進めていくかの具体的なルールが乏しい現状がある。 さまざまな課題のうち、日本弁護士連合
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浜松・産廃場設置許可 取り消し訴訟 原告の請求棄却 静岡地裁
浜松市浜名区引佐町奥山でミダック(同市中央区)が運営する産業廃棄物最終処分場を巡り、地滑り事案があったにもかかわらず災害対策が不十分などとして地元住民らが設置許可処分を決定した市に許可取り消しを求めた訴訟の判決で、静岡地裁(菊池絵理裁判長)は29日、原告の請求をいずれも却下、棄却した。原告側は控訴する方針。 原告側は、2018年7月に処分場計画地(当時)で発生した土砂災害が深層崩壊で、深層部の風化基盤を放置していることから周辺住民の生命や生活に多大な影響が生じる恐れがあるなどと主張していた。菊池裁判長は判決理由で、処分場では斜面崩壊の防止対策が計画されていると指摘。工学博士らの意見書に基づ
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裁判員経験者と法曹三者が交流 用語や手続き「難しい」 静岡地裁
静岡地裁は28日、裁判員経験者と法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)の意見交換会を静岡市葵区の同地裁で開いた。経験者の男女4人が裁判員裁判を「ノウハウがはっきりしていた」「安心感があった」などとおおむね好意的に振り返った一方、専門用語や手続きの難解さに戸惑ったことも明かした。 4人はいずれも殺人未遂事件の審理を担当した。60代女性は、検察官や弁護士が証明しようとする事実について述べる「冒頭陳述」について「私としては突然始まった印象。言葉が理解できず、何を言っているのかも分からなかった」と話した。被告が有罪か無罪かや、有罪の場合の量刑などを裁判官と話し合う「評議」について男性(60)は「他の裁
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旧天竜林高事件 銀行「振込控え渡した」 補充意見書で弁護団提出へ アリバイ新証拠
浜松市天竜区の旧天竜林高を舞台にした調査書改ざん・贈収賄事件の再審請求を巡り、元天竜市長(91)=贈賄罪で罰金刑確定=が、元校長(76)=加重収賄罪などで有罪確定=に現金を渡したとされた日時に、保険契約手続きで銀行に滞在していたためアリバイが成立するとの弁護側の主張に関して、銀行側が弁護側の照会に応じて「手続き後、(元市長に)保険会社所定の振込用紙の一片を控えとして渡しているはず」と回答していたことが、26日までの関係者への取材で分かった。 2人の弁護人はアリバイ成立の公算がさらに高まる新証拠として補充意見書に盛り込み、3月中に裁判所に提出する方針。 事件の確定判決などでは元市長は200
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傍聴者監視 中止を静岡地裁に求める 袴田さん弁護団
静岡地裁で昨年10月から行われている袴田巌さん(87)の裁判のやり直し(再審)で、傍聴者の常時監視や手荷物を強制的に預けることは「過剰で不必要な制限」だとして、袴田さんの弁護団は26日、同地裁の国井恒志裁判長に中止を申し入れた。 袴田さんの再審公判では、警備員が傍聴席の四隅で傍聴者の方を向いて着席している。傍聴者は筆記用具を除いて携帯電話やスマートウオッチなどの持ち込みは禁止され、金属探知機を使用した所持品検査も行われている。申し入れ書では携帯電話がポケットに入っているのを忘れてボディーチェックを受けた人が傍聴できなくなる事例もあったと指摘し、「あまりにも行き過ぎた対応」と主張。県庁で会見
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「島田事件」赤堀さん死去 死刑廃止や適正捜査願う 配慮と感謝、優しい人柄
1954年に島田市内で幼女が殺害された「島田事件」で死刑確定後に再審無罪となり、22日に94歳で死去した赤堀政夫さんは、死刑制度の廃止や違法捜査、障害者差別の根絶を晩年まで願い続けた。一方、周囲への配慮と感謝を絶やさない優しい人柄で知られた。 ※画像タップで拡大してご覧になれます 「皆さん、どうもありがとう」。89年1月31日、静岡地裁で再審無罪判決が言い渡されて釈放された赤堀さんは、地裁前で右拳を突き上げ、集まった支援者に生還をアピールした。35年ぶりに自由の身となった。 冤罪(えんざい)ながら死と隣り合わせだった日々の記憶はいつまでも鮮明だった。「35年と口で言うのは簡単
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沼津鉄道高架訴訟 原告の上告受理せず 最高裁
沼津市のJR沼津駅付近の鉄道高架事業は不要として、元地権者らが国や県などを相手に事業認定の無効確認などを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(宮川美津子裁判長)は22日までに、原告側の上告を受理しない決定をした。1日付。原告側の訴えを棄却した一、二審判決が確定する。 昨年3月、二審の東京高裁判決は「鉄道高架事業の必要性は失われていない。(事業評価指標の一つの)費用便益比は(便益が費用を超える)1を上回り、事業継続することに違法はない」と請求を棄却した。原告側は鉄道高架事業の費用便益分析に、関連する土地区画整理事業の費用を算入すべきで、費用が便益を上回るなどと主張して上告したが、最高裁は退けた。
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公立小で配布のチラシ「宗教行為奨励」 裾野の弁護士提訴、キャラクター「すそのん」使用取り消しを
裾野市の公立9小学校で配布されているチラシが宗教行為を奨励している上、市のマスコットキャラクター「すそのん」の絵が添えられているとして、同市在住の鈴木秀忠弁護士(40)が21日までに、市長に対し、チラシに載っているマスコットキャラクターの使用承認を取り消すことを求める住民訴訟を静岡地裁に提起した。2日付。 チラシの表面は「明るい家庭づくり三つの実践」との題目で「朝のあいさつをする」「呼ばれたら『ハイ』と返事をする」「はきものをそろえる、席を立つときはイスを戻す」の各行動を推進する内容で、市のマスコットキャラクターの絵が添えられている。裏面には発行主体とされる関連団体の名前とともに、市教委の
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柿沢被告 買収経緯 現金の趣旨 語らず 「回答差し控え」 50回超 東京地裁公判
東京都江東区長選を巡り区議ら10人に計約280万円の供与や申し込みをしたとして、公選法違反(買収など)の罪に問われた前法務副大臣の元衆院議員柿沢未途被告(53)の公判が20日、東京地裁で開かれ、被告人質問があった。柿沢被告は実質的に黙秘権を行使。検察側の質問に対し「お答えを差し控えます」との発言を50回以上繰り返し、買収の経緯や現金の趣旨を語らなかった。 弁護側は心境のみを尋ね、柿沢被告は14日の初公判と同様「私の行動、言動に端を発し、多くの方に多大な苦しみをもたらした。私の責任は重い。公訴事実は一切争わない」と述べた。 検察側の「取り調べ段階で暴力や取引はなかったか」といった一部の質問には
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神社の銅板窃盗 静岡地裁初公判 被告「生活のため」
静岡市駿河区の神社の屋根の銅板をはがして盗んだとして、窃盗の罪に問われた住所不定、無職の男(51)の初公判が20日、静岡地裁(谷田部峻裁判官)であった。男は起訴内容を認め、「生活のためだった」と売却の事実も肯定した。 検察は冒頭陳述で、住所不定となった男は「手持ち資金が尽きると神社の屋根の銅板を盗み、売却して生活していた」と指摘。被告人質問で男は「解体の仕事をしていた時に銅板を売れば金になると知った。人けのないところに行けば盗めると思った」と述べ、2023年11月に逮捕されるまで「7、8回」銅板を盗む行為を繰り返したと明かした。神社での犯行に罪悪感がなかったかとの質問には「当時は生活のため
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静岡の女性殺害否認へ 元交際相手の男 27日地裁で初公判
2022年1月に静岡市駿河区の無職女性=当時(37)=が殺害され、同市清水区の山林に遺体が遺棄された事件で、殺人と死体遺棄、窃盗、電子計算機使用詐欺の罪で起訴された元交際相手の住所不定、無職の男(38)が、静岡地裁で始まる裁判員裁判で全面否認するとみられることが20日、同地裁などへの取材で分かった。裁判員裁判は27日から3月8日まで計5回の公判期日を指定済みで、犯人性が争点になる。 裁判官と検察官、弁護人が証拠を整理したり、審理計画を立てたりする公判前整理手続きは23年12月から計4回行われた。地裁によると、弁護側は起訴されている四つの罪について「全ての行為をしておらず、いずれの事実につい
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【米大統領選2024】トランプ氏 530億円支払い命令 米NY州地裁 一族企業、不正認定
【ニューヨーク共同】トランプ前米大統領と一族が企業の資産価値を偽り不正な利益を得たとして、ニューヨーク州司法長官が起こした民事訴訟で、州地裁は16日、不正を認定してトランプ氏らに約3億5480万ドル(約533億円)の支払いを命じる判決を下した。トランプ氏が州内の企業で役員を務めることを3年間禁止した。 判決までの利息支払いも命じられ、総額は約4億ドルを超える見込み。トランプ氏は控訴する方針だが、裁判所に相当額の現金を預けるなどの対応を迫られ、11月の大統領選の共和党候補指名争いに向けた資金繰りに影を落としそうだ。1月下旬にも女性作家への名誉毀損(きそん)で8330万ドルの賠償命令を受けたば
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浜松美人局事件 被告に懲役5年求刑 地裁浜松支部公判
交流サイト(SNS)で誘い出した男性2人から現金を脅し取ったとして強盗致傷と恐喝の罪に問われた浜松市中央区、建設作業員の被告(24)の裁判員裁判論告求刑公判が16日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)で開かれ、検察は懲役5年を求刑した。 検察側は論告で、仲間たちと役割を分担した上、男性を誘い出す場所を下見するなど「狡猾(こうかつ)で計画的な犯行」と指摘。「被害結果は重大で、被害者に多大な恐怖心を抱かせた」と強調した。 弁護側は、事件前に暴行を加える考えはなく、場当たり的な手口だと指摘。被害者を連れ回した恐喝事件では別行動をとった時間も多く関与は薄いなどと主張し、適切な量刑判断を求めた。
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「5点の衣類」血痕 検察「不自然でない」弁護団「赤み消える」 袴田さん再審で主張、けん制
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)のやり直しの裁判(再審)は15日、犯行着衣とされる「5点の衣類」に関する審理が本格化し、ヤマ場を迎えた。弁護団が「衣類が1年以上みそ漬けにされたことが間違いない、との証明なくして有罪はない」とくぎを刺す中、検察側は「犯行着衣だと指し示すさまざまな証拠がある。付着した血痕に赤みが残る可能性があれば、犯行着衣だと否定されない」と主張を始めた。 「赤みが残る抽象的な可能性しか立証できないと暗に認めた」。公判終了後の記者会見で、弁護団の間光洋弁護士は検察側の冒頭陳述をそう評した。これまで第2次
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血痕の色巡り応酬 袴田さん再審 公判ヤマ場に【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審第9回公判が15日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。犯行着衣とされた「5点の衣類」に付着した血痕の色を巡り、検察側は「長期間みそ漬けされた血痕の赤みが残る可能性がある」と改めて主張した。弁護団は「抽象的な可能性を指摘しているに過ぎず、赤みが残ることが『間違いない』と立証されたとは言えない」と批判し、赤みが残る5点の衣類は「捏造(ねつぞう)を示している」と訴えた。 最大の焦点となっている血痕の色変化について、弁護団と検察側が同じ日に主張・立証するのは初めてで、審理はヤマ場を迎え
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「捏造、徐々にエスカレート」袴田さん弁護団が指摘 再審第8回【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審第8回公判が14日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。弁護団は、捜査機関が人権を無視した取り調べで獲得した袴田さんの「自白」に基づき、侵入・脱出方法や被害金に関する証拠を作り出したと指摘。事件直後から行われてきた捏造(ねつぞう)が「徐々にエスカレートし、集大成として(犯行着衣の)『5点の衣類』が作られた」と強調した。一方、検察側は「根拠が極めて薄弱だ」と反論した。 弁護団は冒頭陳述で、侵入・脱出方法についての実況見分調書や捜査報告書は内容が虚偽だと主張した。侵入口とされる高さ
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山下沼津市議、請求棄却と市に和解求める 駐車場利益返還訴訟 地裁沼津支部
自宅に隣接する沼津市の市有地を有料駐車場として貸して利益を得たとして、市が山下富美子市議(70)に約200万円の利益の返還を求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、静岡地裁沼津支部(篠原絵理裁判長)で開かれた。山下氏側は請求の棄却を求めた上で和解による解決を主張するとともに、市が応じない場合は土地を山下氏に移転登記するよう求める訴訟を起こす考えを示した。 山下氏の代理人弁護士は、問題の土地は市が山下氏の父(故人)に売却したと主張。売買が証明できない場合でも土地の時効取得が認められ、不当利得にならないとした。山下氏は委員を務める同日の市議会総務委員会を欠席して陳述に臨んだ。 山下氏側が和解を求
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検察も取り調べ録音再生 弁護団は「的外れ」と批判 袴田さん再審第8回公判【最後の砦 刑事司法と再審】
14日に静岡地裁で開かれた袴田巌さん(87)の再審第8回公判で、検察側が取り調べ録音テープの一部を法廷で再生した。袴田さんの「自白」を有罪立証に用いないと改めて明言する一方、自白が無実を示していると分析した弁護団の心理学鑑定を「明らかに誤っている」と指摘。その立証に使用した。ただ、弁護団は「的外れ」と切り捨てた。 検察側は、犯行動機や侵入・逃走経路の自白部分を取り上げ、「取調官の想定に迎合しながら供述していたものではない」などと主張した。「凶器」の購入先に関する自白についても「実際に経験しなければ困難な内容」であり、「取調官から誘導されることなく供述できていたことがテープから認められる」と
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柿沢元議員 買収認める 東京地裁 初公判 「責任重い」謝罪
東京都江東区長選を巡り区議ら10人に計約280万円の供与や申し込みをしたなどとして、公選法違反(買収など)の罪に問われた前法務副大臣の元衆院議員柿沢未途被告(53)は14日、東京地裁(向井香津子裁判長)の初公判で「全てについて争わないことにした」と述べ、起訴内容を認めた。「私の行動に端を発し、多くの人を巻き込んだ。私の責任は重い」と謝罪した。 柿沢被告は、保守分裂となった昨年4月の区長選で前区長木村弥生被告(58)=同法違反罪で在宅起訴=を支援。事件を受け自民党を離党した。検察側は柿沢被告が選挙運動の計画立案などをしており、連座制が適用される「組織的選挙運動管理者」に当たると判断。迅速に進め
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トランプ氏 出馬容認か 資格剥奪に懐疑的意見 米最高裁
【ワシントン共同】米連邦最高裁は8日、大統領選の共和党候補指名争いで、議会襲撃事件に関与したとしてトランプ前大統領の西部コロラド州予備選への出馬資格を否定した同州最高裁判断の是非を審理した。判事からは、州の判断で大統領選出馬の資格を剝奪することに懐疑的な意見が相次いだ。出馬を容認する可能性が高まり、トランプ氏に追い風となった。 トランプ氏本人は出廷せず、南部フロリダ州で記者会見し、判事らが自身に好意的だったと評価し「連邦最高裁を信じている」と述べた。連邦最高裁は、トランプ氏が大統領在任中、保守派判事3人を送り込んでおり、判事9人のうち6人が保守派の構成。同氏に有利な判断を示す可能性が指摘さ
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トランプ氏免責認めず 議会襲撃で米高裁判決 米大統領選 2024
【ワシントン共同】ワシントンの米連邦高裁は6日、2021年の議会襲撃事件で起訴されたトランプ前大統領(77)に対し、大統領の免責特権は認められないとの判決を出した。刑事裁判を可能にする判断で、11月の大統領選で返り咲きを目指すトランプ氏には打撃となる。トランプ陣営は上訴する意向を示しており、最高裁まで争うとみられる。 共和党のトランプ氏は、大統領在任中の行動は刑事責任を免れると主張している。バイデン民主党政権が政治的な動機で刑事責任を追及しているとし、選挙戦への影響を避けるために裁判の先送りを狙っている。再び大統領になり、自身が指名する司法長官に起訴を取り下げさせようとしているとの見方があ
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袴田さん弁護団 「証人尋問却下を」 静岡地裁に意見書
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は5日、検察側が請求した証人尋問を却下するよう求める意見書を静岡地裁に提出した。同日、弁護団が明らかにした。 事件では、1年2カ月後に現場近くのみそタンクでシャツやズボンなど「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた。弁護団は、衣類の血痕に赤みが残っているのは不自然として、捜査機関の証拠捏造(ねつぞう)を指摘している。一方、検察側は「血痕に赤みが残り得る」とした法医学者7人の共同鑑定書などを証拠に挙げる。 検察側は共同鑑定書を手がけた法医学者ら2人の尋問
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サムスン会長 無罪 韓国地裁判決
【ソウル共同】韓国の最大財閥、サムスングループの経営権継承を有利に進めるため、傘下企業の株価を不正に操作したなどとして、資本市場法違反や業務上背任などの罪に問われたサムスン電子の李在鎔[イジェヨン]会長(55)に、ソウル中央地裁は5日、無罪を言い渡した。不正が証明されていないと判断した。検察は懲役5年、罰金5億ウォン(約5570万円)を求刑していた。 李被告は実刑判決による法廷での拘束を免れ、グループも経営トップ不在の混乱を回避した。 李被告は2014年にグループ会長だった父李健熙[イゴンヒ]氏(20年に78歳で死去)が倒れた後、自身が大株主の「第一毛織」と、サムスン電子の大株主「サムスン物
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裏金事件で起訴の池田議員保釈 東京地裁、準抗告棄却
東京地裁は5日、自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー裏金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪で起訴された衆院議員池田佳隆被告(57)=自民除名=の保釈を認める決定をした。検察側は決定を不服として、準抗告したが、地裁は棄却した。池田被告側は保釈保証金1500万円を納付。5日夜、東京拘置所から保釈された。弁護人が1月31日に保釈を請求していた。 拘置所からマスク姿で出てきた池田被告は振り返って刑務官に一礼した後、報道陣にも一礼し、迎えの車に乗り込んだ。 池田被告の起訴内容は政策秘書柿沼和宏被告(45)と共謀し2018~22年、安倍派から計4826万円の還流を受けたのに、そ
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大川原社長(吉田出身)が講演 人質司法「冤罪の温床」 静岡で袴田さん支援集会【刑事司法と再審】
生物兵器製造に転用可能な装置を無許可で輸出したとして逮捕・起訴され、後に起訴が取り消された横浜市の「大川原化工機」の大川原正明社長(74)=吉田町出身=が4日、静岡市清水区で講演した。実体験に基づき、弁護士の同席が容疑者の権利として認められていない取り調べや、否認すると勾留され続ける「人質司法」の問題を指摘。冤罪(えんざい)の「温床になっている」と強調した。 大川原さんは2020年3月に逮捕・起訴され、初公判直前の21年7月に起訴が取り消された。6回目の請求で同年2月に保釈が認められるまで11カ月にわたり身体を拘束された。東京都と国に損害賠償を求めた訴訟で、警視庁公安部の警察官が事件を「捏
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再審法改正「実現する年に」 国会議員らが決意新た 市民団体、都内で集会
刑事裁判のやり直しに関する刑事訴訟法の規定(再審法)は不十分で不備があるとして、市民団体「再審法改正をめざす市民の会」は30日、法改正の実現に向けた集会を都内の衆議院第二議員会館で開いた。法改正を求める3万8206人分の署名を国会に提出。袴田巌さん(87)の再審判決を控える中、参加者は「正念場の一年。法改正を実現する年にしなくてはならない」と決意を新たにした。 市民の会の共同代表で、映画監督の周防正行さんが自民党の鈴木貴子衆院議員に署名を手渡した。鈴木議員は「国家権力によって事実がねじ曲げられることがあってはならない。政権与党こそ(法改正に向け)リーダーシップを果たさなくてはいけない」と述
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名張事件 再審認めず 最高裁、10次請求審確定へ 1人が初の反対意見
三重県名張市で1961年、女性5人が死亡した名張毒ぶどう酒事件の第10次再審請求審で最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は、奥西勝元死刑囚=2015年に89歳で病死=の妹の岡美代子さん(94)による特別抗告を棄却する決定をした。29日付。再審を認めない判断が確定する。=関連記事3、29面へ 裁判官5人中4人の多数による結論。行政法学者出身の宇賀克也裁判官は「再審を開始すべきだ」との反対意見を述べた。名張事件の再審請求審を巡り、最高裁で反対意見が出たのは初めて。 決定は、弁護団が新たに提出した証拠は「確定判決に合理的な疑いを生じさせるものではない」とした名古屋高裁、同高裁異議審の決定を支持
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ヤマハ、中国企業に意匠権侵害訴訟で勝訴
ヤマハは29日、業務用音響機器の意匠権侵害訴訟で、中国のメーカーに勝訴したと発表した。 同社は、PAアナログミキサーのデザインを中国広東省恩平市のメーカーに無断で使用されたとして2022年9月、中国の知的財産訴訟を担当する裁判所の広州知識産権法院に提訴していた。 裁判所は23年10月、ヤマハの請求を認め、メーカーに侵害品の生産販売中止のほか、賠償金14万元(約290万円)と裁判費用の一部を支払うように命じた。メーカーは控訴せず、判決が確定した。
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御殿場男性暴行死 男に懲役7年の判決 静岡地裁沼津支部
御殿場市東山の建設資材置き場で一緒に作業していた男性の頭部を角材のようなもので殴打したとして傷害致死の罪に問われた小山町菅沼、とび職の男(27)の裁判員裁判判決公判で、静岡地裁沼津支部は29日、懲役7年(求刑懲役9年)を言い渡した。 野沢晃一裁判長は「殴打時に被害者は立っていて、お辞儀のような姿勢だった」とする男の主張を認めた。重さが約2キロある角材のようなものを、無防備な被害者の頭部に勢いよく振り下ろす行為については「危険性は相当高く、結果は重大」と指摘。一方で、多額の借金を返済せず、職場で虚偽のうわさを流すといった被害者の言動に腹を立てたことは、量刑上考慮する事情に当たるとした。 判
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恒大集団に清算命令 外貨建て債務巡り香港高裁 中国本土への影響 焦点に
【香港共同】経営再建中の中国の不動産大手、中国恒大集団の外貨建て債務を巡り、香港高等法院(高裁)は29日、恒大に「清算命令」を出した。高度の自治を認める「一国二制度」の下で香港の司法は基本的に中国本土の司法体系とは切り離されており、高裁の決定が恒大の中国本土での事業にどの程度影響が及ぶかが今後の焦点になる。 恒大の経営危機を皮切りに中国では不動産市況が低迷し経済全体の足かせとなっている。代金支払い後も住宅の引き渡しがない事例が多発しており、清算決定により消費者の購買意欲がさらに減退する可能性もありそうだ。 恒大は資産のほとんどを中国本土に保有している。中国メディアによると、専門家は清算命
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袴田さん支援団体 再審公判のポイントを解説 浜松で勉強会
現在の静岡市清水区で一家4人を殺害したとして死刑が確定し、再審公判中の袴田巌さん(87)=浜松市中央区=の支援団体は27日、裁判のポイントを解説する勉強会を同区の浜松復興記念館で開いた。弁護団の笹森学弁護士がリモートで講演し、犯行着衣とされたズボンの共布について発見されるまでの経過に不可解な点があると解説した。 裁判で検察側は、事件後に現場近くのみそタンクで見つかった「5点の衣類」が犯行着衣と主張している。共布は「5点の衣類」の後に袴田さんの実家で発見され、確定判決は衣類と袴田さんをつなげる重要な証拠と位置づけた。 笹森弁護士は実家の捜索が別の証拠品を目的にしていたことや、袴田さんの母親
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社説(1月26日)京アニ死刑判決 惨劇の検証を続けねば
36人が亡くなり、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件の裁判員裁判で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)に対し、京都地裁は死刑判決を言い渡した。 結果は重大で身勝手な犯行というほかはない。被告の責任は問われるべきだが、それだけに帰結させるのではなく、同様の加害者や被害者を生まないために、この惨劇を今後も検証していかなければならない。 公判で青葉被告は起訴内容を認めた上で、父親から度重なる虐待を受けたことなどに触れながら、京アニの小説コンクールに落選して、小説のアイデアを盗用されたことが動機だと説明した。落選や盗用は「闇の人物」の意向とするなど、妄想を
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静岡県立がんセンター患者死亡 県と担当医に5600万円の賠償命令 地裁
2018年に富士宮市の医師の男性=当時(63)=が食道がんで死亡したのは静岡県立静岡がんセンター(長泉町)の過失が原因だとして男性の遺族が県と担当医に損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁(菊池絵理裁判長)は25日、県と担当医に約5600万円の支払いを命じた。 判決によると、男性は17年11月に同センターを受診した。担当医は食道がんの存在を示唆する所見を見落とし、12月に口腔底がんの除去手術を行った。男性が18年3月に別の医療機関を受診したところ、食道がんの進行が発覚し、その後口腔底がんの再発も明らかになった。男性は同年10月に死亡した。県側は所見を見落とした過失と、過失によって男性が死亡
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御殿場・男性暴行死 被告に懲役9年求刑 地裁沼津支部公判
御殿場市東山の建設資材置き場で一緒に作業していた男性の頭部を角材のようなもので殴打したとして傷害致死の罪に問われた小山町菅沼、とび職の被告(27)の裁判員裁判の論告求刑公判が24日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれ、検察側は懲役9年を求刑した。 検察側は、被告が地面にひざまずいた被害者の頭部に重さ2キロ前後の角材のようなものを勢いよく振り下ろしたと指摘。「被害者が労災事故で負傷した」と虚偽の口裏合わせをしたことなど、犯行態様の悪質性も挙げた。 弁護側は、被害者はひざまずいておらず、両手を軽く開いた前傾姿勢の状態だったと主張。被告は「一発食らうんで許してください」という被害者の発
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袴田さん再審弁護団 新主任に小川秀世事務局長 静岡地裁に変更届
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定したものの、静岡地裁でやり直しの裁判が行われている袴田巌さん(87)の弁護団は23日、西嶋勝彦団長の急逝を受け、小川秀世事務局長を新たな主任弁護人とする変更届を地裁に提出した。 7日に82歳で死去した西嶋さんは長年にわたり主任弁護人を、小川弁護士は副主任弁護人を務めてきた。 刑事訴訟法は、複数の弁護人がいる場合は主任を定めるとしている。一方で当面は団長を置かず、小川弁護士は事務局長を続ける。小川弁護士は取材に「これからも(弁護団の)みんなで力を合わせて無罪判決を勝ち取りたい」と述べた。 西嶋さんは90年に袴田弁護団に加わ
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陸自射撃場発砲事件 元自衛官候補生を家裁送致 岐阜地検
岐阜市の陸上自衛隊日野基本射撃場で昨年6月、隊員3人が自動小銃で撃たれ死傷した事件で、岐阜地検は23日、殺人容疑などで逮捕され、鑑定留置を終えた元自衛官候補生の男(19)を、弾薬を奪おうと3人を射殺などしたとして強盗殺人と強盗殺人未遂の疑いで岐阜家裁に送致した。地検は容疑の切り替えについて「証拠を精査した結果」としている。 岐阜家裁は同日、2月5日までの観護措置を決めた。今後、少年審判を経て家裁が刑罰を科すのが相当と判断すれば、検察官送致(逆送)をする。男は改正少年法の「特定少年」に当たり、検察が起訴すれば実名や顔写真の報道が可能になる。
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京アニ放火、25日判決 責任能力の有無が争点
京都アニメーション第1スタジオが放火され、36人が死亡、32人が重軽傷を負った事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の判決が25日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で言い渡される。 青葉被告は起訴内容を認めた上で、京アニのコンクールに落選して、小説のアイデアを盗用されたことが動機だと説明。「筋違いの恨み」か「妄想の影響」か。刑事責任能力の有無や程度が最大の争点となっている。 昨年9月5日に始まった公判は同12月7日の結審まで22回にわたって開かれ、①事件に至る経緯や動機②責任能力の有無③量刑-の論点ごとに審理を進めた。それぞれについて検察、弁護側双方が冒頭陳述を行い、同
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記者コラム「清流」 語らない議員たち
楽観視し過ぎていた。裁判のやり直しに関する法律(再審法)の国会議員アンケート。忙しくても答えてもらえるよう設問を絞り、回答依頼の電話も掛けた。 与野党が対立するようなテーマではない。日弁連は各地の単位会ごと地元議員を訪ね、問題点を説明。にもかかわらず、自民党の回答率は2.9%。380人中11人しか答えなかった。 興味がない、票につながらない、責任を負いたくない、検察ににらまれたくない―。口を閉ざす理由を、そう解説する議員がいた。 県内も自民党議員の半数以上が無回答。裏金事件に揺れ「信頼回復を」と勇ましいが、都合のいいことしか語らない姿が不信を招いていると気づかないのか。 再審法の改正
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特定少年に初の死刑判決 夫婦殺人放火 当時19歳 「更生可能性低い」 甲府地裁
甲府市で2021年10月、同じ高校に通っていた女性の両親を殺害し、住宅に放火したとして殺人などの罪に問われた、当時19歳の遠藤裕喜被告(21)の裁判員裁判判決公判で、甲府地裁は18日、求刑通り死刑を言い渡した。22年4月施行の改正少年法で実名公表が可能となった「特定少年」への初の死刑判決。 特定少年は、特例で設けられた18、19歳で、重大事件を起こした場合、大人と同じ刑事裁判を受ける。三上潤裁判長は被告の刑事責任能力を認め、「更生可能性は完全に否定されないが低い」と指摘。年齢について「死刑を回避すべき決定的事情とはいえない」と述べた。 判決理由で動機について、好意を寄せていた女性からの交
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袴田さん弁護団「衣類は捏造、決着済み」 検察側の蒸し返しと批判 再審第7回公判
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審第7回公判が17日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であり、前日の第6回に引き続き弁護団が反証した。事件から1年2カ月後に見つかり犯行着衣とされた「5点の衣類」の色に関する実験や鑑定に基づき「衣類は捏造(ねつぞう)だと示している。巌さんは無罪」と強調。再審請求審で決着がついた論点を検察側が蒸し返しているとして「再審公判を長期化させている」と批判した。 袴田さんの取り調べ状況を踏まえ、「捜査機関が犯人に仕立てた」とも主張。取り調べの録音テープを一部再生した。犯人と決め込む警察官や検事が自
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袴田さん弁護団「被害者縛られていた可能性」 複数犯説巡り新主張 検察側は反論 再審第6回公判
「被害者は縄のような物で縛られて刺殺された」。16日に静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた袴田巌さん(87)の再審第6回公判で、弁護団の主張が法廷に響いた。従前からの複数犯説を裏付けようと、再審請求審で開示された県警の写真記録を基に新たな見立てを展開した。一方の検察側は閉廷後の会見で、「縄で縛ったような痕跡は認定できない」と反論し、主張は早々に対立した。 「これは今まで具体的に話してこなかったんですが」。同日予定していた審理が終盤を迎えた午後4時40分ごろ、弁護団の小川秀世事務局長は神妙な面持ちで新しい主張を説明し始めた。写真は露出やピントが合っていないため判然としない部分があるとしつつ、
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「5点の衣類」発見経過や損傷…血痕問題以外からも「捏造疑い」 袴田さん弁護団 再審第6回公判
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審第6回公判が16日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかったズボンやシャツなど「5点の衣類」について、袴田さんの犯行着衣だとする検察側に弁護団が反論。最大の争点とされる衣類に付着した血痕の色を巡る問題を抜きにしても、犯行着衣とするには「合理的な疑い」が生じ、捜査機関による捏造(ねつぞう)の疑いが浮かび上がると訴えた。 また、遺体の写真を分析し直した結果、被害者は縄などで縛られ身動きが取れない状態で犯人に刃物で刺されたとの新たな主
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近ツー元社員に有罪判決 静岡支店、コロナ業務2億円詐取
新型コロナウイルス関連の受託業務で過大請求し、静岡県掛川市と焼津市から計約2億2千万円をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた近畿日本ツーリスト静岡支店(静岡市)の元次長(58)=懲戒解雇=に大阪地裁は16日、懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。 矢野直邦裁判官は判決で、コロナ禍で業績が悪化した同社に貢献しようと考えて犯行に及んだ被告の判断は安易だと指摘。「金額は非常に高額で結果は重大」と述べた。一方、同社が掛川市、焼津市と和解し、損害額を返還したなどとして刑の執行を猶予した。 判決によると、2022年3月~23年4月、両市から請け負ったワクチン接種のコールセンター業
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袴田さん弁護団長・西嶋氏が死去 日本の再審裁判をリード
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、静岡地裁でやり直しの裁判が続く袴田巌さん(87)の弁護団長を務める西嶋勝彦氏が7日午後11時17分、都内の病院で死去した。82歳。近年は間質性肺炎を患っていた。13日、近親者で葬儀を済ませた。同日、弁護団が会見して明らかにした。 福岡県出身で、65年に弁護士登録。「八海事件」や「仁保事件」、「徳島ラジオ商事件」など、多くの冤罪(えんざい)事件・再審事件に関わった。静岡県内でも、89年に静岡地裁で再審無罪が言い渡された「島田事件」や、三島市で発生した「丸正事件」の再審弁護団員として活躍。冤罪事件に半生をさ
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静岡の女性殺害事件 2月27日初公判 静岡地裁
2022年1月に静岡市駿河区の無職の女性=当時(37)=が殺害され、同市清水区の山林に遺体が遺棄された事件で、殺人と死体遺棄、窃盗、電子計算機使用詐欺の罪で起訴された元交際相手の住所不定、無職の男(38)の裁判員裁判の初公判が2月27日に静岡地裁で開かれることが決まった。11日、地裁への取材で分かった。 地裁と検察官、弁護人が証拠を整理したり、審理計画を立てたりする公判前整理手続きは同日までに2回開かれた。争点は電子計算機使用詐欺の事件性や四つの罪の犯人性とされ、被告が起訴内容を否認する可能性がある。地裁は公判について2月27日を含め5期日を指定済みで、関係者によると3月8日に結審する見通
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社説(12月30日)捜査「違法」判決 刑事司法の正義どこに
通常の企業活動をしていた会社幹部3人がいわれない不正輸出容疑で逮捕され、長期間勾留された。うち1人は勾留中に進行胃がんが見つかったが、適切な医療を受けられずに亡くなった。およそあってはならないことで、刑事司法に対する国民の信頼を失墜させたといえるだろう。 外為法違反(無許可輸出)の罪に問われ初公判直前に起訴が取り消された機械メーカー、大川原化工機(横浜市)の社長らが起こした国家賠償請求訴訟の判決で、東京地裁は東京都(警視庁)と国(東京地検)に総額約1億6千万円の賠償を命じた。 捜査の違法性を認めるのは異例とされる。そもそも犯罪が成立しないのに事件をつくり上げ、「立件ありき」で強引に捜査を
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自宅アパートに放火 三島の男起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は28日までに、現住建造物等放火の罪で三島市加茂、無職の男(22)を静岡地裁沼津支部に起訴した。裁判員裁判の対象。 起訴状などによると、被告は10月25日午前8時45分ごろ、自宅アパートの和室に灯油を散いてライターで火を付け、和室を全焼させるとともに、居室を焼いたとされる。被告は父親と2人暮らしで、当時、父親は不在だった。
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「緊張感持って臨む」 静岡家裁 就任の細矢所長抱負
静岡家裁所長に就任した細矢郁[ふみ]氏(63)が27日、同家裁で記者会見を開いた。最高裁が11月に事件記録の保存に関する新たな規則を定めたことを受け、「歴史的、社会的意義を有する記録を後世に確実に引き継げるよう規則を厳格に順守し、職員全員が常に緊張感を持って(業務に)臨む」と述べた。=「時の人」2面へ 1997年の神戸連続児童殺傷事件など重大少年事件の記録が全国の家裁で廃棄されていたことが昨年問題化し、静岡家裁管内でも複数の少年事件記録の廃棄が明らかになった。問題を受けて最高裁が定めた新しい規則は来年1月30日に施行される。全国的に注目を集めた少年事件や民事裁判などの記録を「特別保存」に指
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「捜査は違法」賠償命令 大川原化工機 訴訟 都と国に1.6億円
生物兵器製造に転用可能な装置を無許可で輸出したとする外為法違反罪などに問われ、後に起訴が取り消された横浜市都筑区の「大川原化工機」の大川原正明社長(74)らが東京都と国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は27日、双方に計約1億6千万円の支払いを命じた。桃崎剛裁判長は大川原社長ら3人に対する警視庁公安部の逮捕を「根拠が欠如していた」と指摘し、東京地検の起訴も「必要な捜査を尽くさなかった」としていずれも違法とした。 審理は証人尋問に出廷した公安部員が事件を「捏造(ねつぞう)」と証言する異例の経過をたどった。冤罪(えんざい)に基づいて長期間の身柄拘束を受けた3人のうち1人は被告の立場のまま
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政府 28日代執行 辺野古 1月着工へ 沖縄県 上告方針 設計変更承認命じた高裁判決 不服
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、政府は26日、工事の設計変更を沖縄県に代わって承認する「代執行」を28日に行うと発表した。地方自治法に基づき国が代執行する初の事例となる。防衛省沖縄防衛局は来年1月12日にも軟弱地盤がある大浦湾側の工事に着手する。県は強く反発。設計変更の承認を命じた福岡高裁那覇支部判決を不服とし、期限となる27日に最高裁へ上告する方針だ。 斉藤鉄夫国土交通相が26日午前、国の代執行を通知する文書を玉城デニー知事へ発出した。27日に県庁へ到着する見通しだ。県は「到達後、内容を確認し対応を検討する」と説明。28日の代執行は、国交相が知事に代わって承
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県立高の卒業認めない対応「違法」 静岡地裁判決 県に支払い命令
静岡県立高の退学処分が執行停止状態だった元生徒に対し、卒業式に出席させず卒業証明書も交付しなかった高校の対応は違法だとして元生徒が静岡県に損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁(日野直子裁判長)は21日までに元生徒側の訴えをほぼ認め、県に33万円の支払いを命じた。15日付。 判決によると、元生徒は県立高の水泳部に所属する3年生だった2021年、大会に出るための宿泊先の浴場で他の男子部員と女湯をのぞいたり盗撮したりした事件に関与したとして、9月に退学処分を受けた。元生徒らは同月、退学処分の取り消しを求めて静岡地裁に提訴し、地裁は判決が確定するまで処分の効力を停止する決定を10月に出した。元生
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徴用工訴訟 再び賠償確定 日鉄、三菱重工に韓国最高裁
【ソウル共同】韓国最高裁は21日、植民地時代に強制労働させられたとして韓国人元徴用工が日本製鉄(旧新日鉄住金)、元朝鮮女子勤労挺身(ていしん)隊員らが三菱重工業にそれぞれ損害賠償を求めた訴訟2件の上告審で、両社の上告を棄却した。両社に計11億7千万ウォン(約1億3千万円)の賠償を命じた一、二審判決が確定した。元徴用工らによる戦後補償訴訟で最高裁が判断を下したのは2018年10~11月以来、約5年ぶり。 18年判決は両社に賠償を命じ、日韓関係が急速に冷え込むきっかけとなった。両社は今回の判決について、1965年の日韓請求権協定で解決済みだとして「極めて遺憾」とそれぞれコメントした。韓国外務省報
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辺野古代執行 沖縄県敗訴 設計変更 知事に承認命令 高裁那覇
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、軟弱地盤改良工事の設計変更を玉城デニー知事が承認しないのは違法だとして、国が承認を求めた代執行訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部は20日、判決送達の翌日から休日を除く3日以内に承認するよう知事に命じた。県によると期限は25日。知事が従わなくても、斉藤鉄夫国土交通相が承認を代執行し、防衛省は軟弱地盤がある大浦湾側の埋め立てに着手する方針だ。 国による地方自治法に基づく代執行訴訟は2例目。1例目は和解しており、判決は初めて。行政や司法の場で争いが続いてきた大浦湾側の工事が動き出す。政府関係者によると、本格着工は年明け以降となる見通し。
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トランプ氏の出馬資格剥奪 米コロラド州最高裁 議会襲撃関与で
【ロサンゼルス共同】米西部コロラド州最高裁は19日、来年の大統領選の共和党候補指名争いで、同州予備選にトランプ前大統領が出馬する資格を剝奪する判断を下した。トランプ氏が2021年の議会襲撃事件に関与したと認定し、反乱などに加わった者の官職就任を禁じる憲法規定に抵触すると指摘した。トランプ氏側は連邦最高裁に上訴する方針を表明した。 トランプ氏の出馬資格剝奪を求めて有権者が提訴していた。他州での同様の訴訟は、これまで退けられてきた。保守派判事が多数を占める連邦最高裁の判断は係争中の訴訟に影響を及ぼしそうだ。トランプ氏は四つの刑事事件で起訴され、他にも民事訴訟を抱える。法廷闘争では自身の正当性を訴
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犯罪報道のあり方講演 袴田さん支援団体が浜松で勉強会
1966年に現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で死刑が確定し、再審公判中の袴田巌さん(87)=浜松市中区=の支援団体は16日、市民向けの勉強会を同区で開いた。フリージャーナリストの浅野健一さん(75)が犯罪報道のあり方について講演した=写真=。 共同通信記者、同志社大大学院教授などを務め、約40年にわたって袴田さんを支援している浅野さんは捜査段階での犯人視報道について「新聞各紙が袴田さんを犯人と決めつけて報じた。また、再審初公判の報道ではそうした姿勢への言及がなされなかった」と指摘。その上で「再審をきっかけに逮捕記事を検証し、犯罪報道の大転換を進めるべきだ」と訴
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被災者ら一部原告が新弁護団を選任、追加提訴へ 真相究明に力点【熱海土石流】
熱海市伊豆山で2021年7月に発生した大規模土石流を巡り、遺族や被災者が土石流起点の現旧土地所有者や県、熱海市に損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが13日、静岡地裁沼津支部であり、原告の一部が新たな弁護団を選任したことを明らかにした。新弁護団は終了後に記者会見し、従来の弁護団の主張を補充する形で追加提訴する意向を示し、真相究明に力点を置いた主張を展開していくと説明した。従来の弁護団は一部の原告以外の代理人を引き続き務める。 新弁護団によると、原告のうち10人が、公害訴訟の経験のある弁護士7人で構成する新弁護団に代理人を交代した。これまで現旧土地所有者だけを相手取っていた原告の場合は行政機
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静岡の一家死傷の東名あおり、2月に二審判決 一審は懲役18年
神奈川県大井町の東名高速道路で2017年に起きたあおり運転の4人死傷事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われ、横浜地裁で懲役18年の判決を受けた被告(31)の差し戻し控訴審初公判が13日、東京高裁で開かれ、即日結審した。判決は来年2月26日。 弁護側は被告のカーナビに記録された衛星利用測位システム(GPS)データを基に事件当時の走行位置を鑑定した専門家証人の意見書や尋問を請求したが、安東章裁判長はいずれも却下した。 事故は17年6月5日夜に発生し、静岡市清水区の男性=当時(45)=と妻=当時(39)=が死亡。あおり運転の危険性が注目され、道交法の改正など厳罰化の契機
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旧天竜林高事件「再審開始早く」 支援団体、地裁に要請書
浜松市天竜区の旧天竜林高を巡る調査書改ざん・贈収賄事件で、加重収賄罪などで有罪が確定し、第2次再審請求中の元校長(75)=愛知県東海市=の支援団体は12日、早期の再審開始を求める要請書を静岡地裁浜松支部に提出した。 提出したのは元校長の出身地の愛知県内の支援者らでつくる団体。同県内を中心に集めた223筆の署名を添えた。元校長の中学時代の恩師で、同団体の事務局長を務める片桐康子さん(84)は「愛知県ではほとんど知られていない事件。冤罪(えんざい)であると多くの人に伝え、助けてもらいたい」と話した。裁判官と検察官、弁護団による3者協議の速やかな実施を同支部に求めたという。 提出に同行した元校
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「5点の衣類」法廷で一部展示 弁護団「捏造以外あり得ない」 再審第4回公判
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した後、裁判のやり直しが認められた袴田巌さん(87)の再審第4回公判が11日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。事件発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかった「5点の衣類」を巡り、弁護団が袴田さんの犯行着衣ではなく捜査機関による「捏造(ねつぞう)以外あり得ない」と主張。衣類の一部を証拠物として法廷で展示した。 ▶緊張走る法廷の様子 5点の衣類はシャツやステテコなど。発見直後に撮影されたカラー写真では生地は白く、衣類に付着した血痕は赤みが残っていた。弁護団は再審請求審で、長期間みそに漬かってい
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袴田さん再審第4回 5点の衣類、展示へ 姉「大事なところ」 静岡地裁
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した後、裁判のやり直しが認められた袴田巌さん(87)の再審第4回公判が11日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。事件発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかった「5点の衣類」を巡り、検察側が前回に引き続き、衣類は袴田さんの犯行着衣で犯行後にタンクに隠したものだとする立証を行った。午後から弁護団の反証に入り、衣類の一部を法廷で展示する。 袴田さんの姉ひで子さん(90)は浜松市内の自宅を出発する際、報道陣の取材に「今日は大事なところ。弁護団がうまく反論してくれると思う」と期待した。 5点の衣類は
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「傍聴機会増加を」 袴田さん支援団体、静岡地裁に要請書【刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定したものの、静岡地裁でやり直しの裁判(再審)が始まった袴田巌さん(87)の支援団体は7日、再審公判の傍聴機会を増やすよう求める要請書を地裁に提出した。袴田さんの再審第4回公判は11日に予定されている。 これまでにも同様の申し入れをしてきたが、実現に至っていない。要請書の冒頭で、地裁側に誠意ある対応が見られないとして「断固抗議する」と記した。その上で、傍聴席が最も多い法廷を使うこと、空き法廷を利用しビデオリンク方式で傍聴できるようにすること―などを要請。再審公判について「わが国の司法が信頼を取り戻す絶好の機会でもある」とも主張
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原告、追加提訴へ 静岡地裁 リニア訴訟
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、大井川流域の住民らがJR東海を相手取り、静岡県内区間(10・7キロ)の工事差し止めを求めた訴訟の第12回口頭弁論が8日、静岡地裁(日野直子裁判長)であった。原告側は閉廷後の報告会で、次回弁論の来年3月までに追加提訴する方針を明らかにした。 次回弁論までに、南アルプスで高山植物をシカの食害から守る活動に取り組むボランティアら約20人が原告に加わる見込み。追加提訴では、トンネル工事で山の水が失われ、植物が枯れる可能性を踏まえた主張を予定している。 原告側は同日、JRの減水対策などに反論する準備書面を提出した。減水量が毎秒
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意見は結論後、不満の遺族 京アニ事件結審 責任能力は非公開で評議
京都アニメーション放火殺人事件の裁判は検察側が死刑を求刑し、7日結審した。青葉真司被告(45)は法廷で妄想に基づく発言を繰り返した一方、「後悔」や「良心の呵責(かしゃく)」も口にした。最大の争点となった刑事責任能力について、非公開で裁判員らが結論をまとめた後で、遺族らの意見を聞く形となった今回の公判。遺族の一部からは「全てが決まった後では…」との不満も漏れる。 善悪の判断 「付け加えて話すことはございません」。7日の京都地裁。最後に意見を求められた被告は淡々と述べた。 公判では、京アニに当初は憧れを抱いていた被告が、京アニの小説コンクール落選やアイデアを盗用されたと思っ
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旧優生保護法訴訟 静岡県の女性、控訴棄却求める 「類を見ない人権侵害」
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反として、聴覚に障害のある静岡県内の女性が国に3300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が5日、東京高裁(増田稔裁判長)であった。女性側は控訴を棄却するよう求め、意見陳述で「他に類を見ない人権侵害事案」と訴えた。 2月の一審静岡地裁判決は、旧法を違憲と判断して国に1650万円の支払いを命じた。焦点となった不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の扱いについて「国が全国的かつ組織的な施策によって、優生手術を強いられた事実を知り得ない状況を殊更に作出し、そのために原告がその事実を知ることができなかった」
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袴田さん再審公判「5点の衣類」法廷へ 弁護団、展示の方針
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は30日、確定判決が袴田さんの犯行着衣と認定した半袖シャツやズボン、ステテコなど「5点の衣類」について法廷で展示する意向を明らかにした。 同日、静岡地裁で法曹三者による非公開の打ち合わせがあった。終了後に取材に応じた弁護団によると、5点の衣類の状態などを直接確認した上で、裁判官らと展示方法について話し合ったという。12月11日の第4回公判で展示する方針。 5点の衣類は事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかり、血痕には赤みがあった。袴田さんの再審開始
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スルガ銀行と元役員1人和解 不正融資損賠訴訟
シェアハウス向けの不正融資問題を巡り、スルガ銀行は29日、旧経営陣の責任を追及して損害賠償を求めた訴訟で、麻生治雄元専務執行役員と静岡地裁で和解が成立したと発表した。麻生氏が責任を認め、1千万円を支払う。 同銀行は岡野光喜元会長や営業担当だった麻生氏ら9人(相続人を含む)に、総額35億円の損害賠償を求めて提訴した。和解成立は9人の中で初めてという。 不正融資に関わったとして懲戒解雇された麻生氏は、同銀行に地位確認と未払い給与など計約2400万円の支払いを求めて東京高裁で係争中だが、今回の和解を受けて訴訟を取り下げるという。一審の東京地裁判決は「解雇は合理的な理由を欠き無効」と判断し、解雇
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所有権移転求め掛川市が反訴へ 水利施設用地誤登記
掛川市による農業用水利施設の用地誤登記で地権者の男性(66)が市に損害賠償などを求めた訴訟で、市は29日までに、施設が立地する土地の所有権移転登記手続きを求めて反訴する方針を固めた。開会中の市議会11月定例会に関連議案を提出した。 市は1970年に用地買収して水利施設を設置したが、85年に登記する際、誤って近隣の農地を登記した。男性は、登記上は掛川市が所有する土地で茶業を営んでいて、取得時効を主張して市に所有権移転登記手続きを求めている。市は登記前の70年時点の売買に基づく所有権移転を求める。 訴訟は静岡地裁掛川支部で係争中。
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沼津市が山下市議を提訴 駐車場利益返還求め、静岡地裁支部に
沼津市は28日、自宅敷地に隣接する市有地を有料駐車場として貸した利益として、利息も含めて204万円の返還を山下富美子市議(70)に求める訴訟を静岡地裁沼津支部に起こした。市が現職市議を訴える異例の展開は、司法の判断に委ねられる。 訴状などによると、有料駐車場は山下氏の父親(故人)が1994年ごろから自身の土地と市有地を一体として運営を始め、2018年に山下氏が相続した。市は法律上の時効や、隣接する橋の工事で使用しなかった期間を除き、発覚した昨年9月までの計9年6カ月、2台分の駐車場代と利息を合算して請求した。 頼重秀一市長は「昨年12月以降、解決策を伝えてきたが応じてもらえず、やむなく提
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戻らぬ娘、せめて真相を 重ねた面談、尽きぬ「なぜ」【届かぬ声/牧之原バス置き去り在宅起訴 ㊤遺族の思い】
法律って何なんだろう―。9月下旬、静岡地裁の202号法廷。傍聴席の中央後方に座った河本千奈ちゃんの父(39)は、柵の向こうで交わされる法曹三者のやりとりにぼうぜんと耳を傾けていた。 傍聴したのは乗用車を無免許運転し男性をはねて死亡させ、そのまま逃走したとして、自動車運転処罰法違反(無免許過失致死)などの罪に問われた男の論告求刑公判。いずれ自分も被害者遺族として臨む裁判の流れを知るため、牧之原市から足を運んだ。 亡くなった被害男性の妻は意見陳述で、残された幼い2人の子どもとの日々を声を震わせながら語った。悲しみに暮れる自身の境遇と重なり、涙をこらえきれなかった。ところが、検察官の求刑を聞い
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政府「解決済み」堅持 ソウル高裁 慰安婦判決 日韓関係、影響危惧
政府は、23日のソウル高裁の慰安婦問題日本政府敗訴の判決を巡り、賠償には一切応じない意向だ。個人の請求権問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みであり、判決は慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年の政府間合意に反するとの立場。一方、日本政府筋は取材に対し、尹錫悦[ユンソンニョル]政権下で改善が進んだ日韓関係への影響を避けたいとの認識を示した。判決を受けた韓国世論の動向も注視する。=関連記事4面へ 高裁判決を巡り、日本外務省関係者は、外国の裁判権に国家は服さないとされる「主権免除」の原則を否定したことを問題視。「極めて遺憾だ」と強調した。 外務省筋は、韓国の司法関係者の
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袴田さん再審第3回公判 「犯行着衣」の捏造否定 検察「非現実的で不可能」
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審第3回公判が20日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかった「5点の衣類」を巡り、検察側が袴田さんの犯行着衣だと改めて主張した。弁護団が捜査機関によって捏造(ねつぞう)されたと指摘していることについては「非現実的で実行は不可能」と強く否定した。 袴田さんの再審開始を認めた2014年の静岡地裁決定は、血痕がついたシャツやズボン、ステテコといった5点の衣類を捜査機関が捏造した疑いがあると指摘。検察側の即時抗告を棄却した今年3月の東
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映画助成金不交付「違法」 出演俳優逮捕巡り 製作会社、逆転勝訴 最高裁
薬物使用事件で有罪が確定した俳優の出演を理由に、映画への助成金を交付しなかった文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」(芸文振)の処分の妥当性が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(尾島明裁判長)は17日、不交付処分を違法と判断した。処分を適法とした二審判決を破棄し、原告の映画製作会社側の逆転勝訴が確定した。芸術文化作品への公的な助成金の在り方に関する最高裁の初判断で、4人の裁判官全員一致の結論。 映画は製作会社「スターサンズ」が手がけて2019年9月に公開された「宮本から君へ」。芸文振は出演俳優の有罪確定に伴い、内定していた助成金1千万円を交付しない決定をした。訴訟では国の
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袴田さん支援団体「傍聴機会拡大を」 静岡地裁に再要請
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、袴田さんの支援団体が16日、傍聴機会の拡大を静岡地裁に要請した。 10月の初公判では一般傍聴席26席に対して傍聴整理券が280枚、今月10日の第2回公判でも26席に対して89枚が配られ、ともに抽選になった。支援団体は1人でも多くの市民が傍聴できるよう柔軟な対応を訴えてきたが、20日の第3回公判を前に改めて要請した。 要請書では、空き法廷を利用しビデオリンク方式で傍聴できるようにすることなどを要望。「設備面、技術面ともに問題ないと思われる。にもかかわらず、実行しないのであれば『開かれた
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袴田さん姉・ひで子さん「無実勝ち取れると確信」 和歌山で講演
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定後、裁判のやり直しが決まり再審公判中の袴田巌さん(87)の姉ひで子さん(90)が15日、和歌山市で講演し「絶対に無実を勝ち取れると確信しています」と強調した。 静岡地裁で10月から始まった再審公判には、拘禁症状が残る袴田さんに代わり、補佐人のひで子さんが出廷している。初公判の罪状認否で「巌に真の自由をお与えください」などと述べた内容を紹介すると、会場から拍手が湧き起こった。 支援者の山崎俊樹さん(69)は、再審開始決定に道筋をつけた血痕の赤みの変化を調べる「みそ漬け実験」の取り組みを紹介。弁護団の小川秀世
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「新証拠でアリバイ成立」 旧天竜林高事件の元市長弁護人
浜松市天竜区の旧天竜林高を舞台にした調査書改ざん・贈収賄事件で、贈賄罪で罰金刑が確定し、再審請求中の元天竜市長(91)の代理人を務める杉尾健太郎弁護士が13日、同市中区で記者会見した。元市長のアリバイを巡る新証拠を盛り込んだ補充意見書を10月下旬に東京高裁に提出したことについて「新証拠によってアリバイが成立する」と強調し、「高裁は訴訟指揮をしてまずは3者協議を入れる。その上で再審開始決定を出してもらいたい」と求めた。 新証拠は元市長が元校長(75)=加重収賄罪などで有罪確定、再審請求中=に2回目の現金を渡したとされる日に訪れた銀行の伝票で、保険契約金の振込が完了したとみられる「12・26(
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袴田さん再審第2回、弁護団が反証「外部の複数犯」 「凶器」展示、取り調べ録音再生も
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定後、裁判のやり直しが決まった袴田巌さん(87)の再審第2回公判が10日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。犯人はみそ工場関係者であり、犯人の行動を袴田さんが取ることができたとする検察側の主張に対し、弁護団が「到底認められない」と反証をスタート。証拠調べでは、確定判決が凶器とした「くり小刀」などが展示され、取り調べの録音テープの一部も再生された。 公判の冒頭、検察側は起訴状に記載した専務の年齢を「42」から「41」に訂正した。その後、再審公判の大きな論点のうち、犯人がみそ工場関係者と強く推認され、その犯人
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くり小刀、雨がっぱ…実物証拠、何語る 袴田さん再審第2回、弁護団が展示 見入る傍聴者
実物は何を語るのか―。静岡地裁で10日に開かれた袴田巌さん(87)の再審第2回公判で、弁護団は確定判決で凶器とされた「くり小刀」や事件現場に落ちていた雨がっぱなどを展示した。事件の鍵を握るとされる重要な証拠の数々。傍聴者は身を乗り出すようにして、柵の向こうの実物やモニターに見入った。 みそ製造会社の専務一家4人の殺害に使われたとされる「凶器」が法廷に現れたのは同日午後1時半ごろ。弁護団の田中薫弁護士がガラスケースに入ったくり小刀を検察官から受け取り、証言台隣の投影機に慎重に据えた。約12センチの刀身はさび付いていた。 他に展示した実物は、雨がっぱのポケットから発見されたとされるくり小刀
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袴田さん再審第2回、記事証拠不採用に異議 弁護団「虚偽リーク明らか」 静岡地裁は棄却
袴田巌さんの第2回再審公判で、弁護団は、事件直後の新聞記事を静岡地裁が証拠として採用しなかったことに異議を申し立てた。 採用されなかったのは、「従業員『H』浮かぶ」「血ぞめのシャツ発見」の見出しが躍る1966年7月4日付の記事など。弁護団は、袴田さんのパジャマに付着していたとされる血痕は肉眼で分からないほどだったのに「警察が事実に反する虚偽の内容をリークしたことが明らか。事件から4、5日の段階で袴田さんを捜査対象にし、世論を作ろうとした。われわれの主張に関連する重要な証拠」と訴えた。検察側は「リークというのは全くの臆測。裁判の事実認定に影響を与えるものではなく、異議には理由がない」と反論し
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熱海刺殺事件 被告、捜査の不当性訴え 地裁沼津支部公判
熱海市渚町のアパートで男性を刃物で刺して殺害したとして、殺人の罪に問われた同町、無職の男(25)の第3回裁判員裁判が8日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれた。被告は被告人質問で「熱海署での聴取で、被害者に4カ所の傷が付いた理由を説明させてもらえなかった」などと取り調べの不当性を訴えた。 正当防衛での無罪を訴える被告は、もみ合いの最中にバランスを崩して被害者の飲食店従業員の男性=当時(36)、三島市=に抱きつき、刃物が刺さったとした。逮捕直後の取り調べでは、捜査官から「もみ合いで付く傷ではない」と説明機会を設けられなかったと強調。「もみ合い以外の理由で説明しないと(被告の部屋にいた
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「事業説明ない」男性3人が提訴 掛川市公社を相手取り
掛川市は8日、袋井市の男性と静岡市の男性2人の計3人が掛川市土地開発公社を相手取り、約1680万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁浜松支部に起こしたと発表した。3人は南西郷工業用地造成事業に関して、必要な用地取得交渉と土地売買契約を得られず損害を被ったとしている。公社は適切な対応をとったとし応訴する方針。 市によると、3人はいずれも兄弟。相続処理をしていなかった母親の土地で事業を行う可能性があったことを、公社は登記上の住所に住んでいた別の兄弟の男性(掛川市)だけでなく3人にも説明するべきだったと主張している。
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磐田東中 卒業生 運営法人を提訴 「不適切ないじめ対応」
磐田市の磐田東中を2020年に卒業した女性が7日までに、ほかの生徒からいじめを受け、学校が適切な対応をとらなかったことで精神的な苦痛を受けたとして、同校を運営する学校法人磐田東学園に200万円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁浜松支部に起こした。10月2日付。 訴状によると、女性は中学2~3年時、授業中に裏声でからかわれる▽クラスのSNSグループ上で人格を非難される▽栽培していた鉢植えに小枝を刺される-などといったいじめを受けたと主張。長期にわたって不登校や別室登校を余儀なくされたとしている。女性が不登校になったり、校内で自殺しようとする行動をとったりしたことから、いじめ防止対策推進法に基づ
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「死刑廃止すべき」 袴田ひで子さんら 静岡・清水区で研修会
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定し、今年10月に静岡地裁でやり直しの裁判(再審)が始まった袴田巌さん(87)の姉ひで子さん(90)が4日、同区で開かれた研修会で講演した。事件の発生直後から再審初公判までを振り返り「巌は絶対に無実だと思っている。(国内外の)皆さんから支援をいただいて巌は幸せ者だ」と述べた。 研修会は「袴田事件を通して死刑廃止を考える」と題して、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル日本(東京)が企画した。袴田さんの弁護団事務局長を務める小川秀世弁護士も登壇し、死刑事件でさえ、ずさんな捜査や誤判があり得ることを強調。「人は不完全な存在で
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袴田さん再審 証人尋問で検察側、3人撤回意向 3月実施で調整
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)のやり直しの裁判(再審)で、静岡地検が証人尋問を巡り、請求した証人5人のうちの3人を撤回する意向であることが1日、分かった。審理計画などを話し合う協議が同日、静岡地裁で開かれ、終了後に弁護団が明らかにした。=関連記事2面へ 証人尋問は当初、来年1月と2月に行われる予定だったが、書証の取り調べに時間がかかり、ずれ込む見通し。3月に実施する方向で調整しているという。3人の証人尋問が撤回されることで尋問自体は同月で終わるとみられるが、結審は早くても4月以降になる。 確定判決が袴田さんの犯行
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辺野古代執行 即日結審 高裁那覇 実質審理見送り
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、軟弱地盤改良工事の設計変更の承認を玉城デニー知事に命じるよう国が求めた代執行訴訟の第1回口頭弁論が30日、福岡高裁那覇支部で開かれ、即日結審した。三浦隆志裁判長は判決期日を追って指定する。出廷した玉城知事は「民意こそ公益だ」と強調し、訴えを退けるよう求めた。 承認を巡っては、県が国を訴えた訴訟で、県の敗訴が9月に確定。その後も知事が承認しないことは違法だと主張した国側に対し、県側は辺野古移設の問題点を挙げ、対話による解決が必要だと反論していた。即日結審により、移設の是非に関する法廷での実質的な審理は見送られた。県側は厳しい状況が続
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袴田さん再審公判の展望語る 弁護団の西沢弁護士登壇 浜松【刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、静岡地裁で再審公判が始まった袴田巌さん(87)の支援集会(JR東海労働組合主催)が29日、浜松市中区で開かれた。弁護団の西沢美和子弁護士が再審の展望などを語った。 西沢弁護士は27日に開かれた再審初公判について「いまだに有罪立証できると思っている層が検察に一定数いることがあらためて分かった」とし、「弁護側としては逐一反論し、早期の無罪確定へ頑張りたい」と声に力を込めた。出廷が免除された袴田さんの代わりに意見陳述した姉ひで子さんが「裁判所、弁護人、検察の方々には大変お世話になりました」と述べたことについて、「検察にも
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子の利益侵害 単独親権 法制審 家裁判断時の修正案提示
離婚後の共同親権導入を検討する法制審議会(法相の諮問機関)部会の、要綱案取りまとめに向けた「たたき台」修正案の概要が29日、関係者への取材で分かった。離婚後に父母双方の「共同親権」を可能とし、父母が合意できなければ家裁が判断する枠組みは維持。その上で、家裁の判断時に、共同親権なら「子の利益を害する」場合、家裁は父母どちらかの単独親権と定めなければならないと新たに記す。 共同親権には、離婚後に父母とも養育に関われるなど、家族関係の多様化に対応できるとの意見がある一方で、ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の被害が続くとの懸念が強い。修正案では、子どもの利益が侵害されるような場合、共同親権は
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法改正、市民の力が国会動かす 再審開始など決めた元地裁裁判長・村山浩昭弁護士 袴田さん再審初公判
袴田巌さんの再審を社会はどう受け止めるべきか。2014年に静岡地裁の裁判長として袴田さんの再審開始と死刑・拘置の執行停止を決めた村山浩昭弁護士に尋ねた。 ―再審公判が始まり、再審法制そのものへの関心も高まっている。 「近年、再審開始決定が出たり取り消されたりする中、社会的にクローズアップされてきた。でも、救済されるべき事件は今起こったのではなく、当事者にとっては、ずっと存在していたという認識が正しい」 ―1980年代に死刑囚の再審無罪が4例続いた。当時も再審法の改正を求める声が上がっていたが、なぜ実現しなかったのか。 「当時は刑事関係の法改正がほとんど行われていない時代だった。再審は
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信じた57年、今度こそ 初出廷の姉、力強く主張 袴田さん再審開始
「弟、巌に代わりまして無実を主張いたします」「真の自由をお与えくださいますようお願い申し上げます」。57年にわたり訴え続けた言葉が、静岡地裁の202号法廷に響き渡った。27日に同地裁で始まった袴田巌さん(87)の再審公判。袴田さんの姉ひで子さん(90)は補佐人として証言台に立ち、3人の裁判官に向かって弟の潔白を力強く主張した。今度こそ訴えは実るのか―。無罪判決を勝ち取る闘いのゴングが鳴った。 検察官と弁護団は午前11時の開廷直後から火花を散らした。検察官が袴田さんに関する住居侵入、強盗殺人、放火の罪の起訴状を読み上げた後、弁護団は専務を除く家族3人の殺害現場とした「居間」が具体的にどの部屋
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「真実知りたい」傍聴希望者続々 「席拡大せず」に不満も 袴田さん再審初公判
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定後、今年3月に裁判のやり直しが決まった元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審初公判が開かれた静岡地裁では27日、午前8時ごろから傍聴希望者が続々と訪れ、整理券を求める行列ができた。地裁によると、一般傍聴席26席に対し、傍聴整理券を280枚配布した。 抽選に当たり、廷内で袴田さんの姉ひで子さんの意見陳述に心を動かされた傍聴者がいた一方、落選した傍聴希望者からは不満の声が漏れた。傍聴席を巡っては袴田さんの支援団体などが傍聴機会の確保を求めて地裁に席数の拡大を要望したが、実現しなかった。 同9時45分に地裁前の
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「弟は無実、真の自由を」姉ひで子さん訴え 袴田さん再審初公判、検察は有罪主張
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定後、今年3月に裁判のやり直しが決まった元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審初公判が27日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。袴田さんは心神喪失状態にあるとして出廷を免除された。罪状認否で、姉ひで子さん(90)が補佐人として「弟に代わって無実を主張します。真の自由をお与えください」と述べ、弁護団も無罪を訴えた。一方、検察側は有罪の立証に入った。 検察は有罪主張 事件の1年2カ月後に現場近くのみそタンクで赤みが残る血染めのシャツやズボンなど「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた。しかし再審
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袴田さん、普段と変わらぬ日常 浜松の自宅周辺で過ごす 静岡地裁で再審初公判
静岡地裁で再審の初公判が開かれた27日、出廷を免除された袴田巌さん(87)は浜松市中区の自宅でテレビを見たり、ドライブに出かけたりと普段と変わらない1日を過ごした。 袴田さんは午前9時45分ごろに起床すると、朝食の果物盛り合わせを味わったり、テレビを見たりして過ごした。午後2時過ぎに支援者の運転する車で日課のドライブに出発。天竜川の堤防など同市周辺を巡り、JR浜松駅でウナギを食べてから午後7時過ぎに帰宅した。 ドライブに同行した「袴田さん支援クラブ」の清水一人さん(74)によると、袴田さんは問いかけに対して反応するなど「相手を意識した言動をする時がある」と良い兆候を見せる場面が増えている
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袴田さん再審初公判 冒頭陳述の要旨
【検察側】 袴田巌さんの27日の再審初公判での検察側冒頭陳述要旨は次の通り。 事件概要と争点 昭和41年6月30日夜、当時の清水市で発生した住居侵入、強盗殺人、放火事件。被告人が深夜、商店の専務取締役であるAさん方に金品を手に入れる目的で侵入した。家人に発見されたことをきっかけに、最初にAさん、妻Bさん、次女のDさん、長男のCさんを相次いでくり小刀で突き刺した。Aさんが自宅に持ち帰っていた商店の売上金の一部を奪い取るとともに、犯行を隠ぺいするために被害者の身体に混合油をまいて火を点け4人を殺害し、Aさん方を焼損させた事件。争点は被告人が犯人であるか否か。 事件当時の行動 被告人が犯人
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被害者年齢に誤り 静岡地検、起訴状記載訂正へ 袴田さん再審
静岡地検は27日、袴田巌さん(87)の起訴状に記載され、同日の再審初公判でも読み上げた被害者年齢のうち、みそ製造会社の専務について「42歳」ではなく「41歳」だったとの認識を示した。閉廷後、記者からの指摘で確認し直した奥田洋平次席検事は「41歳が正しい。再度計算するが、起訴状を訂正することになるかもしれない」と述べた。 1966年9月の起訴当時も専務の年齢は42歳と記されていて、当初から誤っていた可能性が出てきた。奥田氏は再審初公判を終えた記者への説明の場で「もともとの起訴状に(今回)むやみに従ってしまったかもしれない」と釈明した。 初公判を前に、記者が年齢に誤りがないか問い合わせても広
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社説(10月28日)袴田さん再審開始 審理尽くし早期結審を
現在の静岡市清水区で1966年6月に起きた、みそ製造会社専務の一家4人が殺された事件で、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判やり直し(再審)が静岡地裁で始まった。 初公判では、検察側が改めて袴田さんの犯行だとして有罪を求め、弁護団は有罪立証を放棄すべきと訴えた。罪状認否では、出廷を免除された袴田さんに代わって姉ひで子さん(90)が補佐人として法廷に立ち、無罪を主張するとともに「弟に真の自由を与えてほしい」と訴えた。 事件発生から約57年。最高裁での死刑確定からも約43年が経過し、あまりにも年月がかかりすぎた。長期の収容によって袴田さんには意思疎通が十分にできない拘禁反応
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袴田巌さん再審 初公判タイムライン速報
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審初公判が27日午前11時から静岡地裁で始まりました。現場で取材する静岡新聞の記者が、タイムライン形式でお伝えします。(※更新終了) 時系列 ▶ 午前8時 支援者集合 ▶ 8時15分 整理券の配布を待つ傍聴希望者 ▶ 8時30分 整理券の配布始まる ▶ 8時50分ごろ ひで子さん出発「やっと始まる」 ▶ 足利事件の菅家さん「警察、検察は袴田さんに謝罪を」 ▶ 9時45分 抽選結果発表 ▶ 10時15分 ひで子さん、静岡地裁に到着 ▶
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袴田さん再審 きょう27日初公判【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定後、今年3月に裁判のやり直しが決まった元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判が27日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で始まる。死刑囚の再審は5例目。先の4例は全て無罪が確定している。 弁護団は、再審公判について「第一の目的は速やかな無罪判決。そして、裁かれるべきは警察、検察の捜査・公判活動の過ちだ。裁く側の裁判所も裁かれる立場にある」と位置づける。 捜査機関の証拠捏造(ねつぞう)によって袴田さんは犯人に仕立て上げられたと弁護団が主張する一方、検察側は改めて有罪を立証する。再審請求審と同様、真っ向から対立す
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旧天竜林高事件の元市長弁護人 アリバイ巡る新証拠提出 東京高裁へ
浜松市天竜区の旧天竜林高を舞台にした調査書改ざん・贈収賄事件で、贈賄罪で罰金刑が確定し、再審請求中の元天竜市長(91)の代理人弁護士は25日、元市長のアリバイを巡る新証拠を盛り込んだ補充意見書を東京高裁に提出した。関係者への取材で分かった。 新証拠は、元市長が元校長(75)=加重収賄罪などで有罪確定、再審請求中=に2回目の現金を渡したとされる日に訪れた銀行の伝票。保険契約金の振込が完了したとみられる「12・26(午後0時26分)」の時刻が印字されている。確定判決などでは元市長は同日、銀行を退店後、午前11時ごろに同校を訪れて現金を渡したとされ、弁護側は「アリバイ成立の公算が高まった」と注目
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姉ひで子さん「代わりに無実訴える」 袴田さん 静岡地裁出廷免除受け
現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審を巡り、静岡地裁が袴田さんの出廷を免除したことを受け、姉のひで子さん(90)が25日、取材に応じた。罪状認否で陳述することになり「緊張は全然しない。代わりに無実を訴えるだけ」と心境を述べた。 今回の判断について、これまでも免除を求めてきた経緯から「書類を出したり、診断書を出したりしてくれて。良かったと思っている」と弁護団への感謝を口にした。一方で、結審が新年度にずれ込むことが不可避な情勢となったことについては「裁判だから長くなることもある。まあ来年中には結審すると思う」と淡々と受け止めた。
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夫婦殺害、放火認める 甲府地裁初公判 当時19歳男の弁護側
甲府市で2021年10月、同じ高校に通っていた女性の両親を殺害し住宅に放火したとして殺人などの罪に問われた、当時19歳だった被告の男(21)は25日、甲府地裁(三上潤裁判長)で開かれた裁判員裁判初公判で起訴内容の認否を答えなかった。弁護側は殺人と放火について認め、女性の妹への殺人未遂罪については「殺意はなかった」と否認。心神耗弱状態だったとも主張した。 検察側は冒頭陳述で、被告は女性に一方的に好意を抱いていたが交際を断られ、LINE(ライン)をブロックされたこともあり「激しい怒りを募らせた」と指摘した。計画を立てて準備しており、責任能力もあったとした。女性にけがはなかった。 弁護側は、被
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静岡地裁、袴田さんの出廷免除 27日に再審初公判 弁護団「年度内結審は厳しい」
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)のやり直しの裁判(再審)を巡り、静岡地裁(国井恒志裁判長)は24日、袴田さんの出廷を免除する考えを示した。同日、法曹3者による非公式の協議が地裁であり、国井裁判長が「(袴田さんは)心神喪失の状態にあると考えているため、強制は求めない」と述べたという。協議終了後、弁護団が会見で明らかにした。 一方、書証の取り調べに想定以上の時間を要することが決定的で、結審が新年度にずれ込むことが不可避な情勢という。年明けから予定していた証人尋問は早くても2月以降となり、論告や最終弁論は4月
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那覇で再審見直し、機運を「袴田事件契機に」 元静岡県弁護士会の坂田さん、弁護団招きシンポ
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定したものの静岡地裁でやり直しの裁判(再審)が始まる袴田巌さん(87)を事例に、再審や死刑制度について考えるシンポジウムが21日、那覇市で開かれた。弁護団の小川秀世事務局長、2014年に地裁で袴田さんの再審開始決定を手がけた村山浩昭元裁判長に講師を依頼したのは、かつて静岡県弁護士会に所属していた坂田吉加弁護士(沖縄弁護士会)。再審を巡る法制度の充実を求める声が高まる中、坂田さんは「冤罪(えんざい)は誰にでも起こりうる。袴田事件を通じ関心を持ってもらい、行動に移すきっかけになれば」と期待する。 坂田さんは兵庫県
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「私はやっていない」裁判所に信頼と期待 袴田さん、当初は楽観視【最後の砦 刑事司法と再審⑬/第4章 我れ敗くることなし①】
「私はやっていません」「全然やらなかったです」―。1966年11月の静岡地裁での初公判。現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして強盗殺人などの罪に問われた袴田巌さん(87)は起訴内容を全面的に否認した。以来57年もの歳月を闘い続け、ようやくやり直しの裁判(再審)を勝ち取った。戦後5例目の死刑再審。しかし、精神に不調を来しているとして弁護団は袴田さんの出廷免除を求める。なぜ再審の実現はこれほどまでに時間がかかるのか。袴田さんが発してきた言葉に問題の本質を見る。 事件の発生は66年6月30日未明。専務=当時(41)=の自宅から出火し、焼け跡から専務と妻=同(39)=、長
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袴田さん支援団体が学習会 27日再審初公判、姉ひで子さん「やっと決着つく」
現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、再審開始が決まった袴田巌さん(87)の支援団体は21日、再審公判の進み方を確認する学習会を浜松市中区で開いた。袴田さんの姉ひで子さん(90)も出席し、27日の再審初公判に向けて「57年闘ってきて、やっと決着がつく。ひと安心。無罪以外にないと思っている」と声に力を込めた。 弁護団の西沢美和子弁護士がこれまでの地裁、地検との3者協議の概要や検察の立証方針、再審制度の問題点などについて解説した。西沢弁護士は「事件のあった57年前の証拠をいまさら持ち出して立証しようとし、さらに時間をかけるのはとんでもないこと」としつつも、
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袴田さん再審初公判、傍聴席拡大実施せず 静岡地裁【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審初公判を巡り、支援団体などが求めた傍聴席の拡大について、静岡地裁が実施しない方針であることが19日、分かった。地裁は静岡新聞社の取材に「(担当裁判官3人で構成する)裁判体の判断を踏まえ、庁として判断した」と説明している。 再審初公判は27日に開かれる。傍聴希望者には整理券を配り、抽せんする。配布場所は地裁だが、抽せん結果が出るまでの待機場所として地裁前にある同市葵区の駿府城公園も使う。 当日は多数の傍聴希望者が地裁を訪れることが予想される。近隣裁判所から応援職員の派遣を受けるかどうかについては、
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「用地誤登記で損害」地権者が掛川市を提訴 農業用水利施設
掛川市による農業用水利施設の用地誤登記で損害を被ったとして、地権者の農家の男性(66)が19日までに、市に200万円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁掛川支部に起こした。市が同日の市議会全員協議会で報告した。 市と男性によると、市は1970年に水利施設を設置する用地を買収したが、85年に登記する際、誤って施設がある場所とは別の農地を登記した。男性は、誤登記に伴う賃料相当額や市の対応で被った精神的損害などの支払いを求めている。市は争う姿勢を示している。
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「風雪に耐える捜査」を/伊藤鉄男 元最高検次長検事【最後の砦 刑事司法と再審 番外編 公判直前インタビュー㊥】
1983年、無実を訴え続けた死刑囚がやり直しの裁判(再審)で初めて無罪となった「免田事件」。元最高検次長検事の伊藤鉄男氏(75)は、熊本地検時代に再審公判で主任検事を務めた。有罪立証を維持し、免田栄さん=2020年に95歳で死去=に改めて死刑を求刑。無罪判決が言い渡されると、その場で免田さんの釈放を指揮した。事件の教訓として「風雪に耐える捜査」の重要性を説く。一方、袴田巌さん(87)の再審公判で検察が有罪立証することには理解を示す。 ―免田事件の再審公判で有罪立証を続けた理由は。 「最高裁で死刑が確定した事件であり、再審開始決定の内容も本質を突いているように思えなかった。証拠は少ないけれ
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袴田さんに無罪の心証/熊田俊博 元裁判官【最後の砦 刑事司法と再審 番外編 公判直前インタビュー㊤】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判が27日、静岡地裁で始まる。死刑囚の再審は5例目で、89年に同地裁が無罪判決を言い渡した「島田事件」以来となる。島田事件の再審開始決定に主任裁判官として関わった熊田俊博氏(74)が静岡新聞社の取材に応じ、袴田さんの第1次再審請求審にも携わったと明らかにした上で「記録を読み、無罪だと思った」と当時の心証を振り返った。弁護士に転身後、県公安委員長も歴任。経験を踏まえて伝えたい教訓とは何か。 ―島田事件の第4次再審請求審と袴田さんの第1次請求審が、同じ時期に静岡地裁に係属していた。
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袴田ひで子さん、仙台で市民集会参加 再審向け「頑張る」【刑事司法と再審】
1966年に静岡市清水区で起きた一家4人殺害事件で死刑確定後、再審開始が決まった袴田巌さん(87)の姉ひで子さん(90)が14日、仙台市で「袴田事件を考える市民集会」に参加した。ひで子さんは「再審に興味を持ってくださることが私たちの励みになっている。頑張っていきたい」と力強く語った。 再審裁判は初公判が27日に静岡地裁で開かれ、来年3月までに結審する見込み。 集会では、弁護団事務局長の小川秀世弁護士が事件の経緯や再審公判の争点を解説した。確定判決で犯行着衣とされた「5点の衣類」について「捜査機関の捏造(ねつぞう)の可能性を否定できず、むしろ強く疑われる」と強調した。 巌さんを50年以上
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「僕には当たり前のこと」 性別変更の手術要件「違憲」、申立人の鈴木さん(浜松市)会見で喜び
「僕にとって、当たり前のこと」。性同一性障害と診断された人が戸籍上の性別を変えるには生殖能力をなくす手術が必要、とした法律規定は憲法違反とした静岡家裁浜松支部の決定を受け、申立人の鈴木げんさん(48)=浜松市天竜区=は13日、同市中区で記者会見し、「男として生きてきた僕の戸籍が男になっただけ」と心境を語った。 幼少期から女性として扱われることに違和感があり、40歳で性同一性障害と診断された鈴木さん。今回の決定について「弁護団をはじめ、さまざまな仲間たちの努力のおかげ」と喜び、周囲への感謝の言葉を述べた。 家裁決定は、性別変更の審判が可能になる五つの要件を定めた「性同一性障害特例法」のう
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混乱の沼津市議会 駐車場問題、現職市議相手に市が提訴案 週明け審議 深夜まで?【ニュースBOX】
市が現職市議を訴えるという異例の議案審議に、沼津市議会が揺れている。市有地を駐車場として貸した利益の返還を求め、市から提訴案を出されたのは、山下富美子市議(70)=5期=。質疑中に同じ会派の議員の不適切発言を招き、懲罰動議が出される事態にもなった。最終日を迎える16日の市議会9月定例会本会議は、状況次第で深夜に及ぶことも予想され、波乱含みの展開となっている。 発端は昨年8月、市議会に届いた「山下氏が自宅に隣接する黒瀬橋の下に私物を置いている」という匿名の投書だった。市が橋周辺を調査すると、山下氏が自身の土地と合わせ、市有地を有料駐車場として運営していることが判明した。市は今年6月に2台分、
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初公判27日午前11時 袴田さん再審 静岡地裁、年内の公判期日指定
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)のやり直しの裁判(再審)に向け、静岡地裁(国井恒志裁判長)は13日、年内の公判期日を正式に指定した。初公判は27日午前11時に開廷する。 その他の指定期日は11月10日、同20日、12月11日、同20日。地裁で2番目に広い法廷を使用する。地裁は年度内に結審したい意向を示し、来年3月末までの期日は追って指定する。 一方、弁護団が訴えている袴田さんの出廷免除については現時点で可否を判断していない。弁護団は今月10日、出廷が難しいことを伝える追加資料として、袴田さんが釈放後に書き連ねたノー
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「手術せず性別変更」認めた家裁判断 浜松の鈴木さん笑顔「みんなで勝ち取った」
生殖能力をなくす手術をせずに、性同一性障害と診断された人の戸籍上の性別変更を認めた静岡家裁浜松支部の判断を受け、女性から男性への変更が認められた申立人の鈴木げんさん(48)=浜松市天竜区=が13日、同市役所で取材に応じ、「関係者みんなで勝ち取った」と笑顔を見せた。 家裁判断は11日付。鈴木さんに一報が届いたのは12日昼過ぎだったという。一夜明け、鈴木さんは「もしかしたらもう性別が変更されているかも」との期待を込めて窓口で住民票を取得したが、表記はまだ「女」のまま。市区民生活課によると、家裁からの通知を受けた後、法務局に判断を仰いだ上で戸籍を変更する流れになるという。 鈴木さんは「自認する
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「手術せず性別変更」認める、全国初の違憲判断 浜松の鈴木さん申し立て 静岡家裁浜松支部
生殖機能をなくす性別適合手術をせずに、戸籍上の性別変更を申し立てた浜松市天竜区の鈴木げんさん(48)の家事審判で、静岡家裁浜松支部は12日までに、性別を変えるためには生殖腺の除去手術を必要とする「性同一性障害特例法」の要件は「憲法違反で無効」だとする判断を示した。鈴木さんの性別を女性から男性に変更することも認めた。判断は11日付。弁護団によると、違憲判断は全国初。 審判理由で関口剛弘裁判長は「性別は個人の人格的存在と密接不可分で、性同一性障害者にとって性別の変更は社会生活上の不利益を解消する」と指摘。身体に重い負担がある生殖腺除去手術を受けざるを得ない状況は違憲であるとした。 別の人によ
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最高裁「性別変更に手術要件」で近く憲法判断 静岡家裁浜松支部が初の「違憲」
戸籍上は女性で性自認が男性の当事者が性別適合手術をしないまま、戸籍上の性別変更を求めた静岡家裁浜松支部への申し立てで、同支部は12日、手術を求める現行法の規定は「憲法違反で無効」との判断を示し性別変更を認めた。性別変更に関して性同一性障害特例法が規定する手術要件を巡っては、今回と別の当事者が違憲性を訴えている同種の家事審判で最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)が近く憲法判断を示す見通しになっている。最高裁は2019年に「現時点では合憲」としながら、社会状況が将来的に変化した場合などは判断が変わる可能性を指摘しており、結論に注目が集まる。 最高裁大法廷での審判は9月に弁論が開かれている。当事
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「法の現場」市民ら見学 静岡地裁などツアー 模擬裁判を体験
静岡地裁と静岡家裁、静岡地検、県弁護士会はこのほど、「しずおか『法の現場』見学ツアー」を静岡市葵区の静岡地裁などで開いた。市民ら約20人が参加し、模擬の裁判員裁判などを通じて司法の世界に理解を深めた。 模擬裁判では参加者のうち8人が裁判員役を務めた。男性が交際相手の女性を包丁で刺した殺人事件を想定し、証拠に基づいて男性の殺意の有無を評議した。同地裁の岡部紗奈子裁判官の進行で、刺し傷の深さなどを理由に殺意があると指摘したり、女性宅にあった包丁を衝動的に使ったことから計画性を否定したりと、盛んに意見を出し合った。 藤枝市の会社員松浦弘昌さん(49)は「自分の意見が有罪、無罪に関わってくる。意見を
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出廷免除求め資料提出 日記内容、袴田さん再審
1966年の静岡県清水市(現静岡市)の一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を前に、出廷免除を求める弁護団が、袴田さんのノートのコピーなど出廷が困難な状況を示す追加の資料を静岡地裁に提出したことが11日、分かった。提出は10日付。 弁護団によると、資料は、袴田さんが拘置所で書いた手紙や日記の内容をまとめた書籍、釈放後に袴田さんが書き続けたノートのコピー、今年3月に再審開始を認める決定をした東京高裁の裁判長らと袴田さんが面会した際の記録。 面会記録には、袴田さんが高裁の裁判長に「事件はない」「無罪になっている」などと語ったことがまとめられている。 弁護団は、長期の収
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袴田さん姉・ひで子さん「あと半年で決着」 名古屋で講演
1966年の静岡県清水市(現静岡市清水区)の一家4人殺害事件で死刑確定後、裁判のやり直しが決まった袴田巌さん(87)の姉ひで子さん(90)は8日、名古屋市で講演し「57年間闘って、やっと再審開始となった。あと半年で決着がつく」と述べた。再審初公判が27日に開かれ、来年3月に結審する見通し。 弁護団事務局長の小川秀世弁護士も登壇し、確定判決で犯行着衣とされた「5点の衣類」について写真を交え解説。「裁判所は再審請求審ではっきりと捜査機関の捏造の可能性を指摘し、合理的な疑いが生じていると言っている。(再審で)それを変えることはできない。無罪は確実だ」と話した。 先月29日には、静岡地裁の裁判長
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旧天竜林高事件 元校長が第2次再審請求 弁護団「決定的な新証拠示せた」
浜松市天竜区の旧天竜林高を舞台にした大学推薦入試を巡る調査書改ざん・贈収賄事件で、加重収賄罪などで有罪が確定した元校長(75)は6日、静岡地裁浜松支部に第2次再審請求を申し立てた。弁護団と共に浜松市内で記者会見した元校長は、現金を渡したとされる元天竜市長(91)=贈賄罪で罰金刑確定、再審請求中=のアリバイの可能性を示すデータが新たに開示されたことから、「再審開始に向けて決定的な新証拠を提出できた。今度こそ無罪を獲得できると信じている」と語った。 再審請求を巡っては、9月下旬、元校長に現金を渡したとされる日の元市長のアリバイ成立を示唆する振込伝票の記録について、銀行から開示を受けた。弁護団は
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裁判長、袴田さんと面会 再審公判の出廷免除可否判断か【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地裁の国井恒志裁判長が9月に袴田さんと面会していたことが5日、関係者への取材で分かった。27日に初公判を控える中、袴田さんの出廷を免除するかどうかを判断するためとみられる。 関係者によると、9月29日に静岡地裁浜松支部で面会した。検察官と袴田さんの姉ひで子さん(90)、弁護団が立ち会った。袴田さんは年齢を問われ「23歳」と答え、ひで子さんは普段の様子を説明したという。 弁護団は袴田さんの出廷免除を求めている。拘禁反応により、訴訟能力が認められないと
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静岡の無許可盛り土 処分会社の前社長に懲役1年6月求刑 地裁公判
静岡市葵区の藁科川上流域に無許可で盛り土が造成された事件で、静岡県砂防指定地管理条例違反と森林法違反の罪に問われた同市の残土処分会社「富田建材」と同社社長(41)=同市=、父親の前社長(84)=同市=の論告求刑公判が2日、静岡地裁(国井恒志裁判官)で開かれた。検察側は会社に罰金250万円、社長に懲役8月、前社長に懲役1年6月をそれぞれ求めた。 検察側は論告で、同区日向、杉尾両地区の砂防指定地など約7万平方メートルにわたり違法に開発行為をしたとして、「原状回復はもはや困難で被害結果は重大」と指摘。前社長については日向地区で開発行為が始まったとされる2005年当時から一貫して犯行を主導する立場
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窃盗の元白バイ隊員 懲役1年6月求刑 地裁浜松支部公判
公務中に一般人の車から現金や身分証などが入ったバッグを盗んだとして、窃盗の罪に問われた浜松市中区、元県警交通機動隊の巡査部長(41)=懲戒免職処分=の論告求刑公判が29日、静岡地裁浜松支部(杵渕花絵裁判官)で開かれた。検察側は懲役1年6月を求刑し、結審した。 被告は当時、同市内で取り締まり業務に従事し、白バイで違反車両を追跡していた。論告で検察側は違反車両と逃走した人物の確認が不十分で、仮に見つけても摘発できない状況だった点を踏まえ、「違反事実を追及する際に利用する目的で、バッグを持ちだした行為は職務から逸脱した不当なもので、警察の信頼を失墜させる悪質な犯行」と指摘した。 弁護側は示談が
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市議提訴案を可決 沼津市議会建設水道委 市有地貸し出し問題で
沼津市の市有地を山下富美子市議(70)が有料駐車場として貸していた問題で、市議会建設水道委員会は29日、委員会付託された市が山下氏に駐車場利益の返還を求める提訴案を審査、採決し、全会一致で可決した。市は発覚当初、山下氏側が問題の土地の払い下げを求めた経緯などから、山下氏側に「市の土地との認識があった」との見解を改めて示した。 長嶋晃令道路建設課長は、昨年9月に現地の状況を双方で確認した際、市有地との境にある敷地境界くいを確認したことや、山下氏側から市の土地が存在しているとの認識があるとの発言があったと述べた。その上で、同年11月にも山下氏側が問題の土地の払い下げを求めたことからも、市有地と
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部下のパワハラ否定 静岡病院職員自殺訴訟判決 地裁、請求を棄却
2014年12月に静岡市立静岡病院の男性職員=当時(57)=が自殺したのは長時間労働や部下によるハラスメント行為への対応を怠ったことが原因として、遺族が市と地方独立行政法人静岡市立静岡病院を相手取り、約6200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は28日、請求を棄却した。原告の代理人弁護士は「控訴する方向で考えている」としている。 判決理由で菊池絵理裁判長は、男性がうつ病を発症する直近6カ月の時間外勤務について、いずれの月も「過労死ライン」とされる80時間を超えていなかったと判断。原告側は手帳の記載を根拠に毎月100時間以上の時間外勤務があったと主張していたが、パソコンのログオフ時
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未成年者誘拐 男に有罪判決 地裁浜松支部
10代の少女を未成年と知りながら誘拐し、3カ月にわたり自宅に連れ込んだとして、未成年者誘拐の罪に問われた愛知県東浦町石浜南ケ丘、会社員の男(41)の判決公判で、静岡地裁浜松支部(杵渕花絵裁判官)は28日、懲役2年、執行猶予5年(求刑懲役2年)を言い渡した。 杵渕裁判官は判決理由で、被告がSNS上で「殺してくれる人募集」などと投稿していた少女に対して、少女の要望に応えるかのようなメッセージを送って誘い出し、警察の捜査を逃れるために家出をするとの置き手紙を残すように指示した一連の行為は「周到な準備によるもの」と指摘した。 判決などによると、被告は2月25日午前8時ごろ、浜松市内の路上で少女と
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伊豆山被災地住宅 窃盗の男に有罪 地裁沼津支部判決
熱海市伊豆山の土石流被災地の住宅に侵入し、女性用下着などを盗んだとして窃盗と住居侵入の罪に問われた静岡市清水区、無職の男(26)の判決公判で、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判官)は28日、懲役1年8月、保護観察付き執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。 野沢裁判官は判決理由で「侵入盗自体が軽視できず、避難中の被災者の住宅を狙った犯行は卑劣で悪質」と指摘した。常習性についても触れた一方で、被害が高額ではなく、示談が成立していることなどを考慮し、保護観察付き執行猶予判決が妥当とした。 判決によると、被告は2021年8月上旬、熱海市の住宅に窓や玄関から侵入し、下着など26点(計約1万3800
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「アリバイ」銀行記録さらなる開示を 元天竜市長支援団体要望
浜松市天竜区の旧天竜林高を舞台にした調査書改ざん・贈収賄事件で、贈賄罪で罰金刑が確定した元天竜市長(91)=再審請求中=の支援団体は28日、元市長のアリバイに関する記録のさらなる開示を求める嘆願書をスルガ銀行天竜支店(同区)に提出した。嘆願書は同区の住民を中心に530人が署名した。 「天竜林業高校事件を考える市民の会」のメンバーらが同支店の職員に手渡した。事件を巡っては、元市長が元校長(75)=加重収賄罪などで有罪確定=に2回目の現金を渡したとされる日のアリバイが焦点になっている。確定判決では、現金授受の時間は午前11時ごろとされる。一方、同行が元校長の弁護団の要請に応じて開示した振込伝票
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妻の首絞め殺害、熱海の男起訴 地検沼津支部
熱海市伊豆山のマンションで妻の首を絞めて殺害したとして、静岡地検沼津支部は28日、殺人罪で同市伊豆山、無職佐藤均容疑者(71)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、佐藤被告は7日夜、自宅マンションで同居する妻のてる美さん=当時(69)=の首をタオルで絞め、殺害したとされる。てる美さんは翌日、搬送先の病院で死亡が確認された。司法解剖の結果、死因は頸部(けいぶ)圧迫による低酸素脳症だった。 熱海署は佐藤被告を7日に殺人未遂容疑で逮捕し、その後、殺人に容疑を切り替えて送検した。地検は認否を明らかにしていないが、同署によると、佐藤被告自らが「妻を殺した」と110番したという。
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運送業社長に有罪 焼津カツオ窃盗事件で静岡地裁判決
焼津市の焼津漁港に水揚げされた冷凍カツオの窃盗事件を巡り、窃盗の罪に問われた市内の運送会社「堀住運送」社長(62)=同市北新田=の判決公判で、静岡地裁は28日、懲役2年6月、執行猶予3年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。 判決理由で国井恒志裁判長は「組織的、常習的な犯行の一環」と指摘。自らトラックにカツオを積み込むなど「主体的に関与し、重要な役割を担った。厳しい非難を免れない」とした。一方、共犯者を含めて被害法人3社に弁償し、反省していることなどを踏まえて執行猶予が相当とした。 判決によると、被告は市内の水産加工会社「マルテ小林商店」元役員(45)らと共謀して2021年3月11日、焼津漁
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袴田さん再審、初公判10月27日 出廷可否判断は保留 静岡地裁
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判に向けた静岡地裁(国井恒志裁判長)と静岡地検、弁護団による6回目の3者協議が27日、地裁であった。初公判を10月27日に開くことが事実上、決まった。終了後に弁護団が明らかにした。 地裁が前回の協議で提示した来年3月27日まで12回の公判候補日を、地検と弁護団の双方が受け入れた。地裁は年内の5期日について、10月中旬に正式に指定する。袴田さんの出廷免除については弁護団に資料の追加提出を求めた上で可否を判断する考えを示した。 静岡市葵区で記者会見した袴田さんの姉ひで子さん(90
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年明けから証人尋問 袴田さん再審 審理計画
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判はどのように進められていくのか。静岡地裁で開かれた27日の3者協議で、その大枠が少しずつ見えてきた。 10月27日の初公判では、罪状認否で袴田さんの姉ひで子さん(90)が保佐人として意見を述べる予定という。その後、静岡地検と弁護団の双方が冒頭陳述を行い、証拠調べに入る。年内で書証などの取り調べを終わらせ、年明けからは証人尋問が実施される見通しだ。 初公判を含めた年内5期日のうち前半の3回で、犯人がみそ会社関係者と推認されるかどうか▽事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタン
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「交渉解決のめど立たず」 有料駐車場の問題で沼津市 市議提訴議案巡り説明
沼津市有地を山下富美子市議(70)が有料駐車場として貸していた問題で、市議会9月定例会は27日に本会議を開き、山下氏に返還を求めて提訴する議案の質疑を行った。市は山下氏側が当初、問題の土地の払い下げを申し出ていたと明らかにし、「途中で変節した。交渉で解決を目指したが、めどが立たないことから裁判所に判断を委ねることにした」と経緯を説明した。 質疑には3氏が登壇した。杉山泰彦建設部長は昨年10月の発覚後、11月に山下氏側から土地の払い下げ申し出があり、駐車場利益の扱いを市で協議した上で12月に山下氏の弁護士を通じて最初の請求をしたと述べた。その後、今年7月になって弁護士が交代し、請求に応じない
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「有罪立証 通用せず」 袴田さん再審巡り 弁護団が地検に反論
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は26日、静岡地検の主張に対する反論書を静岡地裁に提出した。証拠として無価値と評価されてきたささいな事情を、あたかも重要な間接事実であるかのように主張していると指摘。「検察官自身、有罪立証として通用するはずがないのは十分理解しているはずだ」と批判している。 27日には地裁と弁護団、地検による3者協議が開かれ、再審の公判日程などが話し合われるとみられる。 弁護団によると、地検は再審公判で、袴田さんの自白調書45通のうち確定審で証拠能力が認められた起訴当日付の1通
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控訴審の初弁論 12月5日に変更 静岡の旧優生保護法訴訟
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、聴覚に障害のある県内の女性が国に3300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は25日、第1回口頭弁論の期日を12月5日に指定した。 弁護団が取材に明らかにした。当初は12月1日の予定だったが、差し支えが生じたとして取り消し、改めて期日を指定し直した。 2月の一審静岡地裁判決は旧法を違憲と判断し、国に1650万円の支払いを命じた。弁護団は控訴審の第1回口頭弁論で意見陳述を予定しているという。
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法の現場 見学しよう 静岡地裁・地検 10月3日にツアー
静岡地裁と静岡地検は10月3日午後1時15分から同4時半まで、裁判所や検察庁の仕事や役割を伝えるイベント「しずおか『法の現場』見学ツアー」を実施する。 静岡県弁護士会などとの共催で、法の日(10月1日)に合わせて企画。参加者は静岡市葵区の地裁本庁で架空の事件を題材にした裁判員裁判の模擬評議を行う。近くの地検に移動した後は庁舎内を見たり、職員や弁護士から話を聞いたりする。 定員20人(予約制、先着順)。無料。誰でも参加できる。申し込みはメール<dc.shizuoka.koho@wm.courts.jp>、問い合わせは静岡地裁広報係<電054(251)6241>へ。
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男性に無罪判決「犯罪証明ない」 伊豆の国市の暴行死亡事件、静岡地裁・差し戻し審判決
2019年9月に伊豆の国市内の工事現場で同僚に暴行したとして、暴行の罪に問われた男性の差し戻し審の判決で、静岡地裁は20日、無罪(求刑懲役6月)を言い渡した。国井恒志裁判長は判決理由で「犯罪の証明がない」と述べた。 無罪となったのは建設作業員の男性(35)。当初、防水工の同僚男性=当時(56)=の左顎に暴行を加え、傷害を負わせて死亡させたとして傷害致死の罪に問われ、21年3月に静岡地裁沼津支部の裁判員裁判で懲役5年の実刑判決を受けた。東京高裁は22年3月の控訴審判決で、一審判決を破棄して審理を静岡地裁に差し戻した。その後、暴行罪に訴因変更された。 事件を巡り、同じ現場で働いていた別の同僚
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12月1日に控訴審初弁論 静岡の旧優生保護法訴訟 東京高裁で
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反として、聴覚に障害のある県内の女性が国に3300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が、12月に東京高裁で開かれることになった。20日、弁護団への取材で分かった。 2月の一審静岡地裁判決は、旧法を違憲と判断して国に1650万円の支払いを命じた。焦点となった不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の扱いについて「国が全国的かつ組織的な施策によって優生手術を強いられた事実を知り得ない状況を殊更に作出し、そのために原告がその事実を知ることができなかった」と指摘。除斥期間の効果を制限するのが相当だと判断して
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熱海土石流 静岡県、開発行為の文書提出 地裁沼津支部に 黒塗り一部解除
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り遺族や被災者が土石流起点の土地の現旧所有者や静岡県、市に損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが20日、静岡地裁沼津支部であった。協議は非公開。関係者の話を総合すると、原告側が2003年前後の起点部分の開発行為に関する行政文書の提出を県に改めて要請し、県は協議後、ホームページ(HP)に掲載済みの文書の黒塗り部分を一部解除して同支部に提出した。原告側はHP掲載分以外の文書の提出も県に求めている。 県が提出したのは、逢初(あいぞめ)川源頭部の無許可開発区域や03年に発生した土砂崩れ、業者が倒木を谷に集めたとされる写真などを掲載した文書。 これらの文書は県職員が複
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袴田さん弁護団も証人尋問請求へ 法医学の専門家想定【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は19日、静岡地裁に証人尋問を請求する方針だと明らかにした。法医学の専門家を想定しているという。 事件では、1年2カ月後に現場近くのみそタンクからシャツやズボンなど「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣だと認定された。一方、袴田さんの再審開始を認めた今年3月の東京高裁決定は、長期間みそに漬かった衣類の血痕に赤みは残らないと結論づけた弁護団の鑑定書などを重視。衣類は捜査機関によって捏造(ねつぞう)された可能性が極めて高いと言及した。 静岡地検
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袴田さん姉・ひで子さん 再審へ「もうしばらく支援を」浜松で集会
現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直しが認められた袴田巌さん(87)の支援団体は16日、袴田さんの再審の展望などを考える集会を浜松市中区の浜松復興記念館で開いた。姉のひで子さん(90)は、10月27日にも再審の初公判が開かれる見通しとなったことを受けて「もうしばらくの支援をお願いしたい」と呼びかけた。 ひで子さんは出席した支援者ら約40人を前に「いよいよあと半年ほどで結審する。いい結果が出ると思う」と話した。袴田さんが長期にわたって収監され、事件から57年が経過したことにも触れ「とにかく長かった。刑務所にいた巌は、特に大変だったはずだとつ
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旧天竜林高事件 2次再審請求、10月6日に 元校長弁護団が方針
浜松市天竜区の旧天竜林高を舞台にした大学推薦入試を巡る調査書改ざん・贈収賄事件で、加重収賄罪などで有罪が確定した元校長(75)の弁護団は15日、第2次再審請求を10月6日に静岡地裁浜松支部に申し立てる方針を固めた。元天竜市長(91)=贈賄罪で罰金刑確定、再審請求中=が元校長に現金を渡したとされる日の、元市長のアリバイに関する新たな事実などを新証拠の柱にする。関係者への取材で分かった。 事件を巡っては、元市長が2回目に現金を渡したとされる2007年12月10日の行動履歴が焦点になっている。確定判決などでは、元市長は同日、スルガ銀行天竜支店で保険契約手続きなどをした後、午前11時ごろに同校を訪
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「私の土地」と主張 提訴取り下げ要求 山下沼津市議
沼津市が14日、市有地を有料駐車場として貸していたとして、不当利得の返還を求めて山下富美子市議(70)=5期=を提訴する議案を市議会9月定例会に提出したのを受け、山下氏が同日、市内で記者会見した。問題の土地について、1993年に市と山下氏の父(故人)が交渉していたとする書面を示し、「市に提訴される土地は私の土地。提訴を取り下げてほしい」と述べた。取り下げない場合は所有権を確認する訴訟を起こす考えも示した。 山下氏は問題が発覚した昨年9月の時点では「父が買い受けた土地だとの認識だったが、証拠もなく、確証は持てなかった」とし、市側の指導を受け入れ、駐車場としての利用も中止したと説明した。 そ
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「巌にいい結果 期待」袴田さん再審公判日提示 姉ひで子さん、声弾ませる
「巌は無罪ですから」「いい結果が出ることを期待しています」―。12日に静岡地裁から袴田巌さん(87)の再審公判の候補日が示されたことを受け、弁護団とともに静岡市葵区で記者会見した姉のひで子さん(90)は思わず声を弾ませた。弁護団も地裁の提示を歓迎し、迅速な審理の実現へ決意を新たにした。 弁護団によると、同日開かれた3者協議では地裁から候補日程を記した1枚の書面が示されたという。「びっくりした。衝撃を受けた」と笹森学弁護士は想定外だったことを明かした。ただ、地裁は地検の補充捜査に基づく有罪立証を許容する方針で、間光洋弁護士は「この期に及んで(有罪立証を)許すのは受け入れられず、納得できない」
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山下市議提訴方針 沼津市議会6会派が理解示す
沼津市が7日、自宅隣接地の市有地を有料駐車場として貸し出していたとして山下富美子市議(70)=5期、未来の風=に不当利得の返還を求めて提訴する方針を受け、市議会7会派のうち、6会派の代表は市の方針に理解を示した。また、所管の建設水道委員会や本会議での議案審議の中で、市に丁寧な説明を求めるとの姿勢も強調した。 最大会派の沼津志帥会(植松恭一代表)と志政会(浅原和美代表)は、共に提訴に賛成の立場。植松代表は「放置すれば、市民から議員に忖度(そんたく)しているのかと疑念を持たれる」、浅原代表は「発覚後、速やかに返還すべきだった。ただ、市も長年放置していてしっかりと審議したい」と述べた。 市民ク
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社説(9月7日)京アニ事件公判 惨劇防げなかったのか
菊川市出身の大村勇貴さん=当時(23)=ら36人が亡くなり、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告の裁判員裁判が京都地裁で始まった。事件から4年余り。初公判で車いすに乗って出廷した青葉被告は「自分のしたことに間違いありません」と起訴内容を大筋で認めた。 物事の善悪を判断する刑事責任能力の有無や程度が最大の争点。弁護側は、事件当時は責任能力がなかったとして無罪を主張した。これに対し検察側は「完全責任能力があった」とし、被告は京アニの小説コンクールに応募し、アイデアを盗まれたと一方的に恨みを募らせたと主張した。 被告は真摯[し
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旧優生保護法の強制不妊訴訟 浜松の武藤さん「間違った法律 国は認めて」
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、視覚障害のある武藤千重子さん(74)=浜松市東区=が国に損害賠償を求めた静岡地裁浜松支部の訴訟は4日、本人尋問を行った。法廷で初めて証言した武藤さんは「障害者だから産めないなんて世の中はおかしい。法律が間違っていたということを国はきちんと認めてほしい」と強調した。 盲導犬を伴って出廷した武藤さん。77年に28歳で第2子を出産した日、入院していた産婦人科の婦長から「(目の悪さが)遺伝したらあなたに育てられるの。3人目は産まないでしょ」と手術を迫られたと証言。既に同意書が用意されていて、翌日に手術を受けた。「目のこと
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御前崎の街路樹撤去、住民請求を棄却 静岡地裁判決
御前崎市の街路樹撤去事業を巡って2021年度に支出された公金は違法として、市民が柳沢重夫市長を相手に同額の賠償などを求めた住民訴訟の判決で、静岡地裁は31日、請求を棄却した。 事業は同市池新田地区を東西に走る市道「大山東町線」の一部区間約950メートルの歩道を避難路として拡幅することなどを理由に街路樹を撤去する内容で、既に完了している。原告は事業が不要であり、地元町内会から提出された要望書も捏造(ねつぞう)だと主張していた。 菊池絵理裁判長は判決理由で、防災面を理由とした市の判断が「著しく妥当性を欠くものとはいえない」とし、要望書が捏造と認めることは困難と指摘。事業の請負契約に係る入札手
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奨学金の不適切手続き認める 静岡大に賠償命令 静岡地裁判決
奨学金の応募手続きに係る大学職員の不適切な行為で精神的苦痛を受けたとして、静岡市駿河区のベトナム国籍の男性が静岡大を相手取り、慰謝料など約160万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は31日、訴えの一部を認め、同大に44万円の支払いを命じた。 判決によると、男性は留学生として2021年4月から同大大学院に通い、9月に奨学金に応募した。職員は、推薦学生になるための学内選考に「通過した」と受け取れる誤った内容のメールを男性に送信。実際は選考の結果、男性は推薦されず、職員は12月に男性から問い合わせを受けるまで結果を通知しなかった。この奨学金には応募の結果が出るまで、受給期間が重なる他の奨
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袴田さん弁護団「証拠調べ請求却下を」 検察も意見書、有罪主張を補充【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、今年3月に裁判のやり直しが決まった袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団と静岡地検の双方が31日、新たな意見書を静岡地裁(国井恒志裁判長)に提出した。弁護団は地検の有罪立証方針を批判するとともに、地検が請求した証拠調べについて「必要性が認められない」として却下するよう要請。地検は有罪主張を補充した。9月12日に次回の3者協議が予定され、意見書を踏まえて今後の進め方などが話し合われる。=関連記事31面へ 弁護団が静岡市内で記者会見し、概要を説明した。弁護団は意見書で、再審公判で検察官に求められているの
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袴田さん再審 「地検の有罪立証不可能」弁護団、近く意見書
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、今年3月に再審開始が決まった袴田巌さん(87)の弁護団は近く、静岡地検が有罪を立証することは不可能などと改めて指摘する意見書を静岡地裁に出す。29日、関係者への取材で分かった。 事件では、発生から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクから血痕に赤みが残る「5点の衣類」が見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた。一方、袴田さんの再審開始を認めた3月の東京高裁決定は、弁護団の化学鑑定などを踏まえ、1年以上みそに漬かった衣類の血痕の赤みが消えることは「合理的に推測できる」と評価。5点の衣類は、捜査機関によって捏造(
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歯科医懲役19年 上告棄却で確定 最高裁、浜松の知人殺害
最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は、浜松市で2012年に知人男性を殺害したとして殺人や死体遺棄などの罪に問われた歯科医師の男(67)側の上告を棄却する決定をした。28日付。懲役19年とした一、二審判決が確定する。 最高裁によると、争点を絞り込む「公判前整理手続き」に13年2月から19年5月まで6年余りを要し、裁判員裁判が始まった09年以降で過去最長だった。証拠開示などを巡り検察側と弁護側の応酬が続いたとみられる。 判決によると、12年7月12日ごろ、知人の建築会社経営の男性=当時(68)=に睡眠導入剤を投与し、クロロホルムを吸引させたか、その他の方法で殺害。遺体を浜松市内にあるガレージの
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コロナ感染巡るパワハラなど認定 静岡地裁判決
新型コロナウイルスの感染を巡るパワハラ行為や、セクハラ行為で精神的苦痛を受けたなどとして、静岡市駿河区の歯科医院に歯科衛生士として勤めていた20代女性が院長らを相手取り約270万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は25日、院長によるパワハラ行為とセクハラ行為を認め、院長に約110万円の支払いを命じた。 判決によると、院長と女性は昨年1月に新型コロナに感染した。杉森洋平裁判官は判決理由で、女性が職場に復帰した際、院長は自身の感染原因を女性だと断定し、女性の言い分を聞かずに一方的に叱責(しっせき)したと指摘。「違法なパワハラに当たる」と判断した。また、院長が同年5月に女性の自宅を訪れて
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覚醒剤密売の男 麻薬特例法違反適用 地検浜松支部、訴因変更
宅配便を使った覚醒剤の密売を「業として」行ったとして、静岡地検浜松支部は24日までに、大阪市平野区の無職の男(56)を覚醒剤取締法違反の罪などで起訴した上、麻薬特例法違反罪の「業として行う譲渡」を加えて訴因変更した。有償での譲渡を繰り返していたことから覚醒剤の密売を事業にしていたと裏付け、より罰則の重い条項を適用した。裁判員裁判の対象になる。 起訴状などによると、被告は2022年12月、宅配便を利用して浜松市内の男性に覚醒剤のようなもの約1グラムを4万6千円で譲り渡すなど、20年10月から23年2月にかけて日本国内で多人数に対し、多数回にわたって覚醒剤を有償で譲り渡したとされる。23年2月
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南伊豆 看板汚損 おおむね認める 地裁下田支部初公判
南伊豆町が所有する看板を汚損したとして、器物損壊の罪に問われたデザイナーの男(79)=同町=の初公判が23日、静岡地裁下田支部(川崎慎介裁判官)で開かれた。弁護側は起訴内容をおおむね認め、「(被害)金額について争う」との姿勢を示した。 検察側は冒頭陳述で、被告が町設置のモニュメントをスプレー式塗料で汚し、2022年に同支部から懲役1年、執行猶予3年の判決を受けたことを指摘した。被告は今回の事件について、「もっと魅力的な場所にするつもりだった」と述べた。 起訴状などによると、5月18日から20日までの間、町内に設置された町管理の看板にスプレー式塗料を吹き付けて汚し、損壊。被害額は約10万円
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元市長 揺れた供述「うそをついた 謝りたい」【旧天竜林高事件15年㊦】
「現金を入れた封筒を用意したのは当日の朝」「差し出した封筒を押し返されたが、テーブルに置いて校長室を出た」。大学入試を巡る調査書改ざんに端を発した事件は、自治体トップを4期務めた元天竜市長(91)が絡む贈収賄事件に発展した。元市長は取り調べの中で、元校長(75)に現金を渡したと自白した上で、その時の状況や心境のほか、使用した封筒の種類に至るまで詳細に供述した。 捜査に当たったのは、県警捜査2課の県西部地域を担当する特捜班。県警OBによると、緻密で強力な捜査に定評がある捜査官たちだった。県教委からの刑事告発を受けて本格捜査が始まったのは2008年7月下旬ごろ。当時の捜査関係者は「校長が教諭に
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旧天竜林高事件 第2次再審請求へ準備進む アリバイ焦点、無実訴え
旧天竜林高事件を巡り、元校長(75)が再審を申し立てたのは2014年4月。23年3月に最高裁で請求が棄却され、現在、第2次再審請求へ準備を進めている。元天竜市長(91)も20年に再審を申し立てたが、23年5月に浜松簡裁で棄却。東京高裁に即時抗告した。検察の手持ち証拠が開示されるなど新たな動きはあるものの審理の進行は遅く、裁判所は職権発動に後ろ向きな状況が続く。2人の代理人弁護士は「この事件の再審手続きの経過には、再審制度の問題点が凝縮されている」と口をそろえる。 22年1月、検察がこれまで「不存在」としてきた警察の取り調べメモなどが開示され、元市長と県警の取調官との詳細なやりとりが明らかに
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無免許死亡ひき逃げ認める 静岡地裁公判で男
焼津市内で5月下旬、乗用車を無免許運転し、路上に座っていた男性をはねて死亡させ、そのまま逃走したとして、自動車運転処罰法違反(無免許過失致死)と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた静岡市駿河区の男(20)=事件当時(19)=の初公判が21日、静岡地裁(国井恒志裁判官)で開かれ、男は起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述などで、男が運転免許を取得したことがなかったと指摘。乗用車は当初友人が運転していたが、途中で交代した男が、前照灯を消してフォグランプのみ点灯した状態で、前方左右を注視せず、安全確認が不十分なまま時速35~40キロで漫然と走行していたと述べた。路上に男性を見つけて急ブレーキをかけ
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海水浴場業務妨害 暴力団総長ら有罪 地裁沼津支部判決
下田市の白浜大浜海水浴場の運営を巡り、威力業務妨害罪に問われた指定暴力団稲川会大場一家幹部の判決公判で、静岡地裁沼津支部は21日、総長の無職の男(58)=河津町峰=に懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)、幹部の無職の男(56)=同市吉佐美=に懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)をそれぞれ言い渡した。 明日利佳裁判官は判決理由で、「入れ墨を露出した複数人が集団となり、大声で被害者を名指ししたり、にらみつけたりする犯行は、短時間でも悪質」と指摘。一方、同じような事件の量刑傾向を踏まえ、執行猶予を付けたとした。 判決によると、両被告は仲間と共謀して2022年8月、同海水浴場で運営責
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少年「ヘンゼル」どう処遇 静岡家裁で仕事体験 童話題材 中高生ら“審判”
静岡家庭裁判所(静岡市葵区)はこのほど、県内の中高生を対象に家裁の業務内容を紹介する広報行事を同所で開いた。夏休み中の中高生ら27人が、20歳未満の少年が罪を犯した時に開く少年審判を実際の法廷で模擬体験した。 家裁は主に家庭内の紛争を解決するための家事事件と少年事件を扱っていて、中高生は裁判官や事件の背景を調べる調査官などの役割を分担。童話「ヘンゼルとグレーテル」を題材に、魔女を殺してしまったヘンゼルの処遇を決める審判に臨んだ。魔女はヘンゼルを殺して食べようとしていたことや、妹グレーテルとともに貧しい家庭環境だったことを考慮し、ヘンゼルの更生のためにどんな処遇が望ましいかを考えた。 裁判官役
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ベトナムに不正送金「地下銀行」営む男起訴 静岡地検浜松支部
ベトナムに不正送金する「地下銀行」を営んだとして、静岡地検浜松支部は18日、銀行法違反の罪で磐田市西貝塚、会社員の男(35)を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴状などによると、1~2月ごろ、日本からベトナムに送金を希望する3人から4回にわたって計約15万円の送金依頼を受け、管理するベトナム国内の口座を使って送金先口座に入金し、銀行業を営んだとされる。 細江署によると、手数料を取らずにレートの差額分で利益を得ていたという。少なくとも200回にわたり、500万円以上を送金したとみられる。
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掛川市、緑地売却訴訟で上告断念 4400万円支払い判決受け入れ
掛川市が行政財産の緑地を誤って市内の不動産業者に売却した問題を巡る訴訟で、市は16日、土地の抹消登記手続きを受けるのと引き換えに土地代と関係費用など計約4400万円を支払うよう市に命じた二審東京高裁判決を受け入れ、上告しない方針を明らかにした。 同日の市議会全員協議会で報告した。久保田崇市長は「判決内容に不満はあるが、いたずらに時間を浪費したくない」と述べた。確定した場合は第三者による調査委員会を設置して責任の所在を明らかにするとした上で、退職者を含めて過失があった職員への求償を検討する考えを示した。
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強制わいせつ罪で元焼津市議起訴 静岡地検
静岡地検は14日、強制わいせつ罪で焼津市保福島、元焼津市議の容疑者(55)を静岡地裁に起訴した。 起訴状などによると、被告は6月9日午前、自宅で、マッサージを装って10代女性にわいせつな行為をしたとされる。被告は2019年の焼津市議選に無所属で立候補して当選し、2期目を目指した今年2月の市議選で落選した。
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静岡県警白バイ隊員 窃盗の罪で起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は10日、公務中に一般人の車の中から現金などが入ったバッグを盗んだとして窃盗の罪で、県警交通機動隊で白バイ隊員を務める巡査部長の男(41)=浜松市中区相生町=を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は7月19日午後1時20分ごろ、同市内の駐車場で市内の無職男性が駐車していた軽乗用車から、現金18万4784円と財布など25点が入ったバッグ1個(計約5100円相当)を盗んだとされる。県警によると、被告は1人で白バイ乗務中に制服で窃盗に及んだとみられる。
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函南・連続不審火 男に執行猶予判決 地裁沼津支部
函南町などで3月発生した連続不審火で器物損壊と非現住建造物等放火の罪に問われた同町平井、庭師の男(23)の判決公判で、静岡地裁沼津支部は8日、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役3年6月)を言い渡した。 野沢晃一裁判長は判決理由で「酒に酔い、仕事などのストレスから犯行に及んだという動機は身勝手」と断じた。一方、焼損面積や被害額が比較的小さくとどまった点などを挙げ、同様事件の量刑傾向を参照して執行猶予を付けたとした。 判決によると今城被告は3月9日夜、三島市の民家の駐車場で乗用車のナンバープレートを壊した後、同町の園芸店にあった植木鉢など232点を焼失させ、同町男性の敷地にある物置に立てかけら
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御前崎の元公民館長 報酬無効 静岡地裁、訴え棄却 原告は控訴方針
御前崎市の池新田公民館(現地区センター)の元館長への報酬支給は違法で無効だとして、市民10人が市を相手取り、元館長を任命した当時の市教育委員らに報酬支給額と同額の450万円を請求するよう求めた住民訴訟の判決で、静岡地裁は4日、訴えを退けた。原告側は取材に対し、控訴する方針を明らかにした。 原告側は訴訟で、公民館が民間産廃処理施設を誘致する活動に使われていたとし、館長(当時)は社会教育法に反して営利事業を援助した―と主張していた。 日野直子裁判長は判決理由で、住民訴訟の前提となる住民監査請求が期限を過ぎて不適法として訴えの一部を却下した。その上で、公民館の使用について「住民らが企業誘致を目
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川崎死刑囚訴え 静岡地裁が棄却 面会制限「違法性ない」
2016年の浜名湖連続殺人事件で死刑が確定した川崎竜弥死刑囚(39)が、刑事被告人として勾留中に懲罰を科されたことを公表され、面会を制限されたのは違法などと訴え、国に110万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は4日、請求を棄却した。 川崎死刑囚は男性2人を殺害したとして強盗殺人などの罪で一審静岡地裁と二審東京高裁で死刑判決を受けた。最高裁の上告審判決直前に上告を取り下げ、21年2月に死刑が確定した。 川崎死刑囚は訴訟で、静岡刑務所に勾留されていた際、懲罰中だと職員が報道機関に明かしたことは名誉毀損(きそん)に当たるほか、懲罰中を理由に面会を制限したことは「重要な権利侵害」などとし
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菊川の業者、許可取り消し処分 産廃収集運搬業
静岡県は28日、廃棄物処理法に基づき、セイキ建設(菊川市東横地)に産業廃棄物収集運搬業の許可取り消しの行政処分を行ったと発表した。26日付。同社は6月30日に静岡地裁掛川支部で破産手続き開始決定を受けたため、同法が規定する欠格要件に該当すると判断した。
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組合費4759万円を着服 マックスバリュ東海労組幹部解任 出張費を二重請求
食品スーパー、マックスバリュ(MV)東海の労働組合は27日、元中央執行委員長代行が組合費4759万円を着服していたことが判明したと発表した。2023年2月までの約20年間、出張費を二重で請求するなどしていた。別の幹部の着服を調査する中で発覚し、5月に役職を解任する処分を下した。 同労組によると、委員長代行は、上部団体であるイオングループの労働組合連合会(労連)の副会長を兼務していた。労連の業務で都内などに出張する際、交通費や宿泊費、日当などを二重で請求していた。委員長代行は調査に対して着服を認め、遊興費に充てていたと明らかにした。既に一部を返済したほか、今後、全額を返す意志を示しているとい
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自宅放火詐欺未遂 消防士長を懲戒免 静岡市消防局
静岡市消防局は27日、非現住建造物等放火と詐欺未遂の罪に問われて公判中の島田消防署消防士長の男(26)を同日付で懲戒免職処分にしたと発表した。 市消防局などによると、被告は昨年12月2日、藤枝市内の自宅に自ら火を放って全焼させ、損害保険会社に虚偽の事故状況を申告して保険金をだまし取ろうとしたとされる。今月12日に静岡地裁で開かれた初公判で、被告は起訴内容をおおむね認めた。 池田悦章市消防局長は「今後職員に対し、職場の内外を問わず一層の綱紀粛正を図るとともに、市民の信頼回復に努める」とコメントした。
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小学生童話題材に 刑事裁判模擬体験 静岡地裁で8月10日
静岡地裁は8月10日午後1時半から同4時10分まで、小学4~6年生とその保護者を対象にした夏休みイベント「童話で学ぼう刑事裁判」を静岡市葵区の同地裁で開く。定員20組(先着順)。 裁判所の役割を伝える動画を見た後、童話を題材にした模擬裁判を体験する。裁判官と検察官、弁護士に直接質問できるほか、法廷見学や法服をまとっての記念撮影もできる。 申し込み、問い合わせは静岡地裁広報係<電054(251)6241>へ。
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「頼りがいある司法を提供」 静岡地裁・永渕新所長が抱負
静岡地裁の新たな所長に就任した永渕健一氏(61)が24日、地裁で記者会見を開いた。「県民の皆さんに頼りがいのある司法を提供できるよう、微力を尽くしたい」と抱負を述べた。=「時の人」2面へ 永渕氏は長崎市出身で、1990年に判事補任官。司法研修所教官や福岡高裁事務局長などを歴任し、2016年からは東京地裁部総括判事を務め、直近は刑事部所長代行者だった。 会見では、司法のIT化やデジタル化への対応をはじめ、若い世代を含めた県民への情報発信に力を入れていく考えを説明した。 袴田巌さん(87)の再審公判に関する質問には「個別事件の進行に関わる事項のため、回答を差し控えたい」とした。一方、不備の
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会社員を恐喝、2人追起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は24日、恐喝罪で浜松市中区の建設作業員(23)、同区の飲食店員(29)の両被告=ともに強盗致傷罪で起訴=を静岡地裁浜松支部に追起訴した。 起訴状などによると、2022年12月10日午前3時ごろから同4時15分ごろまでの間、恐喝罪で起訴されている男や知人女性と共謀し、磐田市内の路上で交流サイト(SNS)を使って誘い出した浜松市東区の男性会社員を「俺の彼女なんだけど」「未成年だから犯罪になる」などと脅し、同日中に現金計約50万円を奪ったとされる。 両被告は別の男性に対してSNSで誘い出した上、暴行を加えて現金を奪ったとして強盗致傷罪で起訴されている。
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清水庁舎移転巡る公金返還訴訟 原告側が控訴 地裁判決不服で
静岡市役所清水庁舎の移転・新築に関する市の公金支出は違法として、一部市議と市民が市を相手取り、田辺信宏前市長に約8600万円の返還を請求するよう求めた訴訟で、原告側は21日、訴えを退けた静岡地裁判決を不服として東京高裁に控訴したと発表した。 13日の地裁判決は、適法な住民監査請求を経ておらず不適法として訴えの一部を却下し、その他についても支出を「違法とは言えない」と判断して棄却した。
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恐喝罪で男起訴 男性から50万円脅し取る 静岡地検浜松支部
静岡地検浜松支部は21日、男性を脅迫して現金約50万円を脅し取ったとして恐喝罪で、山梨県昭和町清水新居の会社員の男(21)を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴状などによると、2022年12月10日午前3時ごろから同4時15分ごろまでの間、強盗致傷罪で起訴されている男2人と知人女性と共謀し、磐田市内の路上で交流サイト(SNS)を使って誘い出した浜松市東区の男性会社員を「俺の彼女なんだけど」「未成年だから犯罪になる」などと脅し、同5時ごろ、浜松市内の駐車場で男性会社員から現金約20万円を奪い取った。さらに同日午後5時5分ごろから25分までの間にも現金30万円を奪ったとされる。
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小学生の下着 奪った男起訴 静岡地検浜松支部
静岡地検浜松支部は21日、女子小学生を刃物で脅して下着を奪ったとして、強盗と銃刀法違反の罪で愛知県豊田市今町6丁目、会社員の男(39)を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は6月30日午後4時10分ごろ、浜松市内の路上に停車した自動車内から、帰宅途中の女子小学生に対して持っていた刃体約16センチの包丁を見せて脅迫し、小学生が着用していた下着を奪ったとされる。
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総長に1年6月求刑 海水浴場業務妨害 静岡地裁沼津支部公判
下田市の白浜大浜海水浴場で運営者を脅し、業務を妨害したとして威力業務妨害の罪に問われた指定暴力団稲川会大場一家総長の無職の男(58)=河津町峰=と幹部の無職の男(56)=同市吉佐美=両被告の論告求刑公判が20日、静岡地裁沼津支部(明日利佳裁判官)で開かれた。検察側は総長の男に懲役1年6月、幹部の男に懲役1年をそれぞれ求刑した。 検察側は論告で、運営者の男性に威圧的な言葉をかける総長の男の横で、幹部の男はにらみつけるなどし、ともに果たした役割が大きいと指摘した。弁護側は、総長の男の言葉は幹部の男に向けたものだったなどとして、無罪を訴えた。 起訴状などによると、両被告は仲間と共謀して2022
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元職員 退職金求め提訴 焼津カツオ盗、漁協懲戒解雇
焼津市の焼津漁港で水揚げされた冷凍カツオの窃盗事件で、焼津漁業協同組合から懲戒解雇された40代の男性元職員が20日までに、処分は無効などとして漁協を相手取り、退職金約675万円の支払いを求める訴えを静岡地裁に起こした。 訴状によると、男性は2000年4月に漁協に就職し、18年4月に市場部係長になった。冷凍カツオを盗んだとして21年10月に焼津署に逮捕され、22年3月に漁協から懲戒解雇された。その際、退職金は支払われなかった。同年10月、窃盗の罪で有罪判決を受けた。 男性側は、カツオの窃盗行為に誘われた18年4月より少なくとも10年ほど前から、漁協では慣習として窃盗が行われていたと指摘する
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伊豆山住宅で窃盗 起訴内容を認める 静岡地裁沼津支部
熱海市伊豆山の土石流被災地の住宅に侵入し、女性用下着などを盗んだとして住居侵入と窃盗の罪に問われた静岡市清水区、専門学生の男(26)の初公判が20日、静岡地裁沼津支部で開かれた。被告は起訴内容を認めた。 検察の冒頭陳述によると、被告は自宅付近で下着盗や盗撮を繰り返していたという。土石流被害の報道番組に出演した女性に興味を持ち、犯行を決意。外観などから住所を特定して、住宅の窓ガラスを割って侵入し、下着などを盗んだとされる。 公判後、女性の父親は「災害でつらい状況を逆手に取る犯行で、到底許せない。被害後の大変さを想像してほしい」と話した。 起訴状などによると、被告は2021年8月上旬、熱海
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袴田さん再審日程決まらず 静岡地裁、3者協議継続へ
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判に向け、静岡地裁(国井恒志裁判長)は19日、弁護団と静岡地検との4回目の3者協議を地裁で行った。弁護団は9月の次回協議を初公判期日に切り替えるよう求めていたが、国井裁判長は警備上の対応や他の裁判との調整などに時間が必要との考えを説明。次回も3者協議を続けることになった。 協議は非公開。終了後に記者会見した弁護団によると、地裁は袴田さんの再審公判を開く日は他の裁判を行わないことを想定しているという。国井裁判長はその調整をはじめ、傍聴希望者の整理や警備体制についても準備が必要との
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「一刻も早い無罪を」浜松の街頭で訴え 袴田さん支援団体
袴田巌さん(87)の支援団体が19日、袴田さんの早期の無罪判決を訴える街頭広報をJR浜松駅北口で行った。「浜松 袴田巌さんを救う市民の会」のメンバーら約10人が参加した。寺沢暢紘共同代表がマイクを握り、「検察は立証を断念すべき」「一刻も早い無罪を」などと声を張り上げた。旧天竜林高を舞台にした大学推薦入試を巡る調査書改ざん・贈収賄事件についても言及し、証拠の精査や再審の開始を求めた。
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熱海土石流 静岡県提出文書「不十分」 原告側、弁論準備手続きで
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、遺族被災者が起点となった土地の現旧所有者や県、市に損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが19日、静岡地裁沼津支部であった。原告側は、県が裁判所に提出した文書は不十分だとして、起点の周辺を含めた開発の経緯に関する全ての公文書の提出を強く求めた。 協議は非公開。県はこれまでにホームページで公開している公文書のうち、崩落した盛り土部分に関する2006年以降の文書の黒塗りを一部外して提出していた。ただ、2006年以前に行われた崩落部北側の宅地造成などに関する文書は提出していなかった。 原告代理人の加藤博太郎弁護士は協議後の取材に、「県は訴訟が始まる前は被災者に寄
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フェード現象への「意識が低かった」 小山バス横転で元運転手
小山町須走の県道(通称ふじあざみライン)で2022年10月、観光バスが横転し29人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた元運転手の被告(27)=埼玉県飯能市=は、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判官)で18日開かれた第2回公判の被告人質問で事故直前の運転操作や判断について具体的に説明した。「(フットブレーキを使いすぎて利きが悪くなる)フェード現象への意識が低く、めったに生じるとは思わなかった。横転するまで、なぜブレーキが利かないのか分からなかった」などと述べた。 急な下り坂やカーブが続くにもかかわらず4速など中高速のギアで走行した理由にも言及し、「乗客の乗り心地を重
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給付金詐欺罪で放課後デイ理事長に実刑判決 地裁浜松支部
浜松市の放課後等デイサービス施設の運営に関する給付金をだまし取ったとして詐欺罪に問われたNPO法人アンヘレス理事長の被告(65)=同市中区=の判決公判で、静岡地裁浜松支部は18日、懲役2年6月(求刑懲役3年)を言い渡した。 高島由美子裁判官は判決理由で、職員の退職に伴う給付金の減算を免れ、法人運営費を確保するために不正な行為に及んだと指摘。被害金額が虚偽申請に直接関わる部分に限っても1054万円と多額な点を挙げ、「常習的で職業的な犯行」と断じた。 判決によると被告は2019年から21年にかけて、運営する市内のデイサービス施設2カ所で、児童発達支援管理責任者を配置したように装って障害児通所
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静岡県53文書未提出 熱海土石流巡り裁判所に 逢初川無許可開発関連
2021年に盛り土崩落に伴い28人が死亡した熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り遺族や被災者が県などを相手に損害賠償請求した訴訟で、県が裁判所に提出していない逢初(あいぞめ)川源頭部の無許可開発に関連する文書が少なくとも53種類に上ることが18日までの取材で分かった。裁判所は盛り土造成の経緯が分かる文書の提出を県に求めたが、県による文書の分類が不正確だったため提出されなかったとみられる。 無許可開発に関連する53文書は03年2月から05年10月にかけて県が作成したり業者から受理したりし、20年前に逢初川源頭部で起きた土砂崩れも記録されていた。複数の専門家はこの土砂崩れと21年の大規模土石流の関
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近畿日本ツーリスト社員を刑事告訴 過大請求で掛川、焼津市
近畿日本ツーリストが新型コロナウイルスワクチン接種コールセンター事業で掛川、焼津両市など委託元の自治体に過大請求していた問題で、両市は18日、同社静岡支店で事業を担当していた男性社員を詐欺容疑で刑事告訴したと発表した。告訴状提出は同日付。 掛川市によると、契約内容や再委託先の出勤状況を再点検した結果、約2835万円の水増し請求があったと判断した。内訳は、コールセンター業務分が約2623万円、多言語対応業務分が約211万円。同社に委託した期間は21年3月~23年3月で契約総額は約1億7213万円だった。久保田崇市長は「契約内容に違反する重大な行為と判断したため刑事告訴した」とコメントした。同
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「有罪立証放棄を」 袴田さん再審巡り ネット署名4.6万人
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地検に対して有罪立証の放棄を求める声が広がっている。弁護団が始めたネット署名の賛同者は4万6千人を突破。弁護団と支援団体は14日、地検の主張は再審請求審の「許されざる蒸し返し」だとして、速やかに有罪立証を放棄するよう改めて申し入れた。 事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかったシャツなど「5点の衣類」について、確定判決は袴田さんの犯行着衣と認定した。しかし、第2次再審請求審で最高裁の判事2人は「5点の衣類が長期間みそ漬けされたことは当然視されたが、か
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旧天竜林高事件 「証拠開示の突破口に」 元市長代理人弁護士が会見 新証言で意見書も
旧天竜林高の大学推薦入試に絡む調査書改ざん・贈収賄事件を巡り、元天竜市長(91)=再審請求中=が2度目の現金を渡したとされる日のアリバイの可能性を示す銀行関係者の証言を静岡新聞社が報じたことを受けて、元天竜市長の代理人の杉尾健太郎弁護士が14日、浜松市中区で記者会見し、「さらなる証拠開示に向けた突破口にしたい」と見通しを語った。 元天竜市長が即時抗告を申し立てている東京高裁での再審請求審で、静岡新聞の報道内容を軸にした新たな主張を補充意見書として提出する方針も示した。 元天竜市長のアリバイを巡っては、検察が開示した警察の取り調べメモに「12時26分事務処理(元天竜市長退店)」との記載があ
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妻を感電させ殺害 男に懲役15年判決 地裁沼津支部
2021年、同居する妻を感電死させたとして殺人の罪に問われた沼津市寿町、トラック運転手の男(66)の裁判員裁判判決公判で、静岡地裁沼津支部は13日、懲役15年(求刑懲役18年)を言い渡した。 野沢晃一裁判長は、被告に電気工事の知識があったことや感電死についてウェブ検索していたこと、被害者の身体に複数回通電させたことなどを踏まえ、「殺意を持って通電させた」と、弁護側が否定していた被告の殺意を認定。量刑については「妻から離婚や退去を求められたことへの不満が動機とみられるが、被害者に落ち度はなくくむべき事情はみられない。殺害を決意したのが事件当日でも、突発的犯行ではない」と断じた。 判決による
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再審…耳にはするけど問題点って? 日弁連が特設サイト
「再審」の単語に耳なじみがあっても、手続きの中身までは知られていない。でも、実情を知ると、9割以上が再審法(刑事訴訟法の再審規定)を改正する必要があると回答した―。 日本弁護士連合会が再審や冤罪(えんざい)について10~80代の1200人を対象にインターネット上で意識調査したところ、こんな結果が出た。日弁連は13日までに、再審法の問題点や改正の必要性などを伝える特設サイトを開設した。 調査は5月中旬に実施。現行の再審法は19カ条にとどまり、再審請求審や再審公判の進め方についての規定が乏しい。担当裁判官の姿勢によって審理にばらつきが生じていることへの見解を尋ねると、43・8%が「問題」と答
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9月に初公判を 袴田さん再審で弁護団方針 静岡地裁に申し入れへ
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の弁護団は13日、都内で会議を開き、9月に再審の初公判を開くよう静岡地裁に申し入れる方針を決めた。 地裁は再審公判に向けた弁護団、静岡地検との3者協議の期日を今月19日と9月12日、同27日、10月27日に設定している。弁護団としては議論も含めて「公平を期すために公開の法廷で行うべき」と判断。次回で協議を打ち切り、9月以降の協議期日を再審公判期日に変更するよう求める。弁護団によると、地検は再審公判に提出する予定の新たな証拠を開示したという。 袴田さんの再審公判を巡り、地
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専門学生の男を窃盗の罪で追起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は13日までに、窃盗の罪で静岡市清水区、専門学生の男(26)を静岡地裁沼津支部に追起訴した。11日付。 起訴状などによると、2018年12月21日午前7時ごろから午後5時半ごろまでの間、同区の住宅で女性用を含む下着3点を盗んだとされる。 男は、熱海市伊豆山の土石流災害で被災した男性宅に侵入し、清涼飲料水などを盗んだとして、今年5月に住居侵入と窃盗の罪で起訴された。
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清水庁舎移転巡る公金支出 市民の返還訴え却下・棄却 静岡地裁判決
静岡市役所清水庁舎の移転・新築に関する市の公金支出は違法として、一部市議と市民が市長に約8600万円を返還するよう求めた住民訴訟の判決で、静岡地裁(菊池絵理裁判長)は13日、清水庁舎の耐震診断や庁舎建設の基本計画策定業務への支出について適法な住民監査請求を経ていないとして訴えを却下し、他の業務に関する支出については「違法とは言えない」として請求を棄却した。 判決は、期間内に監査請求できなかったことに「正当な理由」があったとする原告側の主張を退け、他の業務についても「ミスや作為が混入した事実を認めることは困難」「業務の成果物が無駄になったとは認められない」と判断した。
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焼津カツオ窃盗事件 運送業社長に2年6月求刑 静岡地裁公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた市内の運送会社「堀住運送」社長(62)=同市北新田=の論告求刑公判が12日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、検察側は懲役2年6月を求刑して結審した。 検察側は論告で、常習的に行われてきた組織的な犯行と指摘。被告が実行役を担っていたことを踏まえ、「未計量のカツオを搬出する際に計量の有無を判別できなくするなどしていて犯行態様は巧妙で悪質。会社の利益のためで、酌量の余地はない」と述べた。 弁護側は被告が弁護人を通じて被害法人3社に計約530万円を弁償したとし、「運送業という弱い立場で、カツオを盗むために利用されていた。事実
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消防士自宅放火 おおむね認める 静岡地裁初公判
藤枝市内に所有する住宅に放火し、保険金をだまし取ろうとしたとして、非現住建造物等放火と詐欺未遂の罪に問われた静岡市消防局の消防士(26)=藤枝市稲川1丁目=の初公判が12日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、被告は起訴内容をおおむね認めた。起訴事実で1階和室とされた火元について、被告は玄関と主張した。 検察側は冒頭陳述で、被告が1階和室に何らかの方法で火を放った後、自家用車で現場を離れたと説明。焼失させたくない貴重品などはあらかじめ実家に送ったり車に保管したりしていたと述べた。弁護側は放火場所のみ争う姿勢を示した。 起訴状によると、被告は昨年12月2日正午ごろ、所有する木造2階建て住宅
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大自在(7月12日)こども六法
2019年に出版された「こども六法」(弘文堂)は児童書ながら発行部数70万部を超すベストセラー。憲法や刑法、刑事訴訟法、少年法などを子ども向けに解説する。 著者は教育研究者で俳優の山崎聡一郎さん。自身がいじめられた経験やいじめる側に回ってしまった後悔を基に企画した。いじめはれっきとした犯罪になり得ると分かりやすく説く。 法律を知らない子どもたちは、いじめを目の当たりにしても「そういうものだ」と我慢してしまうかもしれない。「こども六法」の人気の理由は、学校で“犯罪”に直面しながらも違和感を言語化できなかった子どもたちに目からうろこが落ちる法解釈を与え、立ち向かう背中
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社説(7月12日)検察が有罪立証へ 再審公判 迅速に進めよ
1966年に現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で死刑が確定したものの、裁判のやり直しが決まった袴田巌さんの再審公判で、検察側は袴田さんの有罪を立証する方針を静岡地裁に伝えた。 検察と弁護側が争うことで審理が長引く可能性が高まった。再審請求に40年以上を費やしてきた袴田さんは87歳、支え続けてきた姉ひで子さんも90歳だ。年齢を考えるとさらに裁判が長引くことは耐え難いと言えよう。袴田さんは逮捕以来の長期拘束による拘禁症状が残る。無罪を確信してきた弁護側が強く反発するのは無理もない。 争うことになった以上、迅速な裁判は不可欠だ。検察側は「引き延ばすつもりは毛頭ない」
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請求証拠「即座に開示を」 袴田さん再審巡り弁護団【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、弁護団は11日、静岡地検に対し、有罪立証に用いる証拠を直ちに開示するよう申し入れた。静岡地裁には地検に証拠開示を促すよう訴えた。 審理計画の早期策定と迅速な公判実現に必要だと判断した。弁護団によると、地検は有罪立証を維持する方針を示した10日の意見書で、犯行着衣とされる「5点の衣類」に付着した血痕の色評価に関して、鑑識担当者の供述調書や写真専門家の供述調書、法医学者7人による共同鑑定書、法医学者の供述調書、醸造専門家の聴取報告書などを新たに取り調べ請求予
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連続不審火の男に3年6月求刑 地裁沼津支部公判
函南町で3月に発生した連続不審火で器物損壊と非現住建造物等放火の罪に問われた同町平井、庭師の男(23)の論告求刑公判が11日、静岡地裁沼津支部で開かれ、検察側は3年6月を求刑した。 検察側は論告で、仕事や家庭のトラブルで募らせたいらだちを飲酒でさらに募らせ、解消するために第三者が管理する物を損壊、焼失した「あまりに短絡的で身勝手な犯行」と非難。いらだち解消のために放火したことは「規範意識が相当に鈍磨している」と指摘した。 弁護側は被告が事実を認め、反省していることから寛大な判決を求めた。 起訴状などによると、男は3月9日夜、三島市の民家の駐車場で乗用車のナンバープレートを壊した後、同町
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「捏造」是正へ検察威信 袴田さんの有罪立証方針
袴田巌さん(87)の再審公判で検察側が10日、有罪を主張する方針を決めた。3月の再審開始決定で裁判所から「証拠の捏造(ねつぞう)」の可能性にまで言及されながら、特別抗告を断念したことに内部から不満が噴出。死刑事案の中でも「象徴的」(検察幹部)とされる著名事件で、弁護側と半世紀余り対峙(たいじ)してきた検察の威信をかけて3カ月余り証拠を精査してきた。ただ無罪となる公算は大きく、組織内からは諦めの声も漏れる。 袴田巌さんの再審の流れ 無罪公算も 精査こだわる 「全く問題のない事件だと引き継がれてきた」。複数の検察関係者は危機感はなかったと口をそろえる。ところが東京高裁は3月13日、再審開
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ひで子さん「法廷で無罪聞かせたい」 検察の有罪立証方針に冷静【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地検は10日、有罪を立証する方針を表明した。審理の長期化は不可避とみられるが、袴田さんの姉ひで子さん(90)は記者会見で「ここで2、3年長くなったってどうってことないですよ」とひょうひょうと受け止めた。袴田さんには半世紀近い拘束による拘禁反応があり、静岡地裁は公判への出廷を免除する意向を示す。ただ、ひで子さんは判決の主文だけは法廷で聞かせたいと考える。「裁判所で『無罪』と言われれば巌も納得すると思う」。遠くない将来、その日がやって来ることを信じている。 会見では、地検
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検察、袴田さん有罪立証へ 血痕衣類「捏造」に反発【最後の砦 刑事司法と再審】
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地検は10日、袴田さんが犯人であり有罪だと立証する方針を静岡地裁(国井恒志裁判長)に伝えた。捜査機関による証拠の捏造(ねつぞう)を主張して無罪を訴える弁護団との間で対立は激しく、審理が長引く可能性が高い。弁護団は再審請求審の蒸し返しに過ぎないと批判し、地検に抗議した。 袴田さんの再審公判に向け、静岡地裁は弁護団と静岡地検の双方に対し、10日までに立証方針と取り調べを請求する証拠について書面で示すよう求めていた。 確定判決は、事件発生から約1年2カ月
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大自在(7月11日)白か黒か
死刑判決が確定した袴田巌さんの再審公判を巡り10日、検察側が静岡地裁に有罪立証の方針を伝えた。東京高裁は3月、捜査機関が証拠を捏造[ねつぞう]した可能性にまで言及し再審を決定。その経緯を顧みれば、白か黒かの決着にこれ以上時間を費やすのかと違和感が拭[ぬぐ]えない。 こちらの白黒も気になる。発生から2年たった熱海土石流。崩落した盛り土周辺の開発行為に関する行政対応文書について、元はカラーだった文書を白黒化し、一部判読できない状態で公表されていた問題は、県による釈明が二転三転し訳が分からない。 問題の文書は、土石流の起点となった逢初[あいぞめ]川上流域から泥水が流れ出したことを受け、県が現地
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証拠捏造の可能性捜査を 識者分析/西愛礼弁護士(元裁判官)【最後の砦 刑事司法と再審】
法律上、再審公判において検察官は有罪立証をすることができる。しかし、袴田事件では、有罪の証拠が捏造された可能性が複数の裁判所によって指摘されている。そうである以上、捜査機関がまず捜査すべきは有罪の可能性ではなく、証拠が捏造された可能性であるはずだ。両方の可能性を捜査し尽くしてなお有罪立証するというのではなく、有罪立証ありきで進んでいるのであれば、真実から目をそらしていると言わざるを得ない。 有罪立証をするのであれば、裁判のやり直しを求める「再審請求審」ではなく、裁判のやり直しである「再審公判」で主に行うべきであるという考えもある。ただし、今回の袴田事件では、既に2度の再審請求が行われ、40
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「蒸し返し」袴田さん有罪立証方針に弁護団憤り 【最後の砦 刑事司法と再審】
袴田巌さんの弁護団は会見で10日、再審公判で有罪立証を維持する方針を決めた検察側を「(再審請求の)即時抗告審の完全な蒸し返しだ」と強く批判した。 検察は同日明らかにした立証の方針で、確定判決で「犯行の着衣」とされた5点の衣類について、1年以上みそ漬けされても血痕の赤みが残ることは「何ら不自然ではない」と主張。弁護側の実験結果などに基づき、「衣類に赤みは残らない」と判断した3月の東京高裁決定に反論した。 弁護団は検察側の方針を「血痕の赤みが消えていく化学的なメカニズムに触れていない」と指摘。東京高裁の裁判官は検察官のみそ漬け実験に立ち会った上で決定を出したとして、「目玉になるような新しい論
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袴田さん有罪立証へ調整 検察 衣類血痕 補充捜査
1966年に起きた旧清水市(静岡市清水区)の一家4人殺害事件で死刑が確定し、裁判やり直しが決まった袴田巌さん(87)の再審公判で、検察側が有罪立証する方向で最終調整していることが8日、関係者への取材で分かった。弁護側は「審理に時間がかかる」などと非難した。検察は慎重に検討を重ね、期限としてきた10日、静岡地裁に方針を伝える見通し。 関係者によると、検察は、確定判決で「犯行の着衣」とされた5点の衣類に残った血痕の赤みなどについて補充捜査。有罪立証可能とみているもようで、衣類の評価が再審で再び焦点となる可能性がある。 衣類は事件から約1年2カ月後、赤みが残った状態でみそタンクから見つかった。
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検察は有罪立証断念を 袴田さん弁護団がネット署名
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、検察当局が有罪立証を維持する方針だと報じられた8日、弁護団の戸舘圭之弁護士が検察に断念を求めるネット署名を始めた。検察が改めて有罪を立証しようとすれば審理の長期化は避けられない。「袴田さんが亡くなるのを待っていると言っても過言ではない」と検察の姿勢を批判する。 再審公判で検察が有罪立証することは法的には問題ない。「島田事件」など過去にあった死刑囚の再審4事件では、実際に有罪立証を試みた。しかし、いずれも無罪判決に至っている。 戸舘弁護士は有罪立証の維持について「メン
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袴田さん、有罪立証で最終調整 検察側、再審公判で
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、3月に裁判のやり直しが決まった袴田巌さん(87)の再審公判で、検察側が改めて有罪立証する方向で最終調整していることが8日、関係者への取材で分かった。方針表明の期限としてきた10日、静岡地裁に伝える見通し。審理が長引く可能性があり、弁護側の反発は必至だ。 東京高裁は今年3月の決定で、確定判決が「犯行着衣」とした衣類5点の証拠を、弁護側が実施した血痕の変色状況に関する実験などに基づき、捜査機関側が捏造した可能性が極めて高いと指摘。「到底袴田さんを犯人と認定できない」と結論付けた。東京高検は最高裁への特別抗告
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浜岡原発廃炉訴訟 原告側が準備書面 「新たな活断層発見」
中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)の廃炉などを求めた訴訟で、原告側は6日、浜岡原発の敷地周辺で新たな活断層の露頭を発見したとする準備書面を静岡地裁に提出した。原発の敷地内を南北方向に伸びる断層と連続している可能性があるとしている。 原告側によると、新たに見つかった露頭は原発から北に約500メートルの地点で、相良層群の上に笠名れき層が堆積している。4月の調査で露頭の西側に逆断層が見つかったという。通常は水平に堆積しているはずの笠名れき層のれきの向きが「明らかに断層変位を受けている」と主張する。 笠名れき層は約8万年前に堆積したと推定され、今回見つかった露頭が活断層だとすると、中電側が敷地内で
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奉賛会員への恐喝 男2人に有罪判決 地裁沼津支部
熱海市内の神社奉賛会会員から現金を脅し取ったとして、恐喝の罪に問われた指定暴力団稲川会系組幹部、無職の男(49)=神奈川県湯河原町土肥4丁目=、造園業の男(51)=熱海市紅葉ガ丘町=両被告の判決裁判で、静岡地裁沼津支部は6日、無職の男(49)に懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役3年)、造園業の男(51)に懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。 室橋秀紀裁判官は「犯行態様の悪質性は高く、経緯や動機に酌量の余地はない。責任はいずれも重い」と指摘した。一方、被害金が弁償可能な状態で、共謀自体は認めて反省していることなどから、ともに執行猶予が相当とした。 判決によると、両被告は1月中
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熱海土石流の行政文書不鮮明 静岡県「出し渋り目的ない」 法務課の関与認める
熱海市伊豆山の大規模土石流に関する県の行政対応を記したカラー文書が白黒化されて判読できない状態で開示された問題を巡り、森隆史法務課長は5日の県議会総務委員会で、法務課が通常の文書開示作業以上に各関係部署に関与していたことを認めた上で「情報の出し渋りの目的はない」と釈明した。 森課長は、2021年10月に一斉開示された文書に関して「当時の難波喬司副知事(現静岡市長)から、非開示箇所に不整合がないかを確認するように指示があった」と述べ、「確認した結果、(各部署で検討した非開示部分の)当初案より若干、黒いところが増えた部分もあったが、文書全体の統一性や整合性を保つ観点から行った」と説明した。文書
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富士宮盛り土 罰金判決 地裁支部、静岡県条例を初適用
富士宮市の山林に無許可で盛り土を造成したとして、県盛り土規制条例違反の罪に問われた富士市の残土処分会社「Kプランニング」の判決公判で静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)は5日、求刑通り罰金100万円を言い渡した。2021年7月に熱海市で発生した大規模土石流を受けて昨年7月に施行された同条例の違反判決は初めて。 西沢裁判官は判決理由で、造成した土砂について「軽視できない量」と指摘した。過去に搬入した土砂が市の管理する土地に流出していたことや、行政からの指導を受けても盛り土を継続したことについても「危険で悪質なもの」と非難した。 判決によると、被告は昨年7月2日ごろから同21日ごろまでの間、知事
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富士3人死傷事故 85歳男に有罪判決 地裁支部
乗用車を運転して事故を起こし、3人を死傷させたとして自動車運転処罰法違反(過失傷害と過失致死傷)の罪に問われた富士市の無職の男(85)の判決公判で、静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)は5日、禁錮2年2月、執行猶予5年(求刑禁錮2年2月)を言い渡した。 西沢裁判官は判決理由で、進行方向の安全確認やペダルの的確な操作という運転上の基本的な義務を怠った過失の重大性を指摘した上で「死亡という結果は特に重大」と述べた。一方、被告が被害者への賠償金の支払いを完了している点を考慮すべき事情に挙げた。 判決によると、被告は昨年9月3日午後5時35分ごろ、市内の道路で乗用車を運転中、別の車と衝突して運転手に
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妻を感電死 男に懲役18年求刑 静岡地裁沼津支部公判
2021年、沼津市の自宅で同居する妻を感電死させたとして殺人の罪に問われた同市寿町、トラック運転手の男(66)の裁判員裁判論告求刑公判が5日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれ、検察側は懲役18年を求刑した。 検察側は論告で、被告に電気工事に関する知識があったことや遺体の一部が炭化していたこと、感電死についてウェブ検索していたことなどを踏まえ「周到な準備、計画によって敢行された犯行で強い非難に値する」と指摘。公判での被告の弁解内容は不合理で信用できないとした。 弁護側は反射的な行為であり、通電したアルミ板付き手袋をはめた手で妻の口に触れた時には被告が「危険性を認識していなかった」
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富士宮盛り土 残土処分会社に罰金100万円 静岡地裁富士支部、県規制条例の違反判決は初
富士宮市の山林に無許可で盛り土を造成したとして、静岡県盛り土規制条例違反の罪に問われた富士市の残土処分会社「Kプランニング」の判決公判で静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)は5日、求刑通り罰金100万円を言い渡した。2021年7月に熱海市で発生した大規模土石流を受けて昨年7月に施行された同条例の違反判決は初めて。 西沢裁判官は判決理由で、造成した土砂について「軽視できない量」と指摘した。過去に搬入した土砂が市の管理する土地に流出していたことや、行政からの指導を受けても盛り土を継続したことについても「危険で悪質なもの」と非難した。 判決によると、被告は昨年7月2日ごろから同21日ごろまでの間、
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男性暴行し金奪う 強盗致傷罪で男2人起訴 静岡地検浜松支部
静岡地検浜松支部は3日、交流サイト(SNS)で誘い出した男性に暴行を加えてけがを負わせ、現金などを奪ったとして強盗致傷罪で、ともに浜松市中区の建設作業員の男(23)と飲食店員の男(29)の両容疑者を静岡地裁浜松支部に起訴した。裁判員裁判の対象になる。 起訴状などによると、2人は2022年12月8日午後11時50分ごろから同9日午前2時5分ごろまでの間、同市北区細江町の農道で、同区の農作業員の男性=当時(31)=に殴る蹴るの暴行を加えて顔に軽傷を負わせた上、現金約7千円とキャッシュカード2枚などを奪ったとされる。 2人は、中区の少女(17)ら別の2人と共謀し、SNSを使って男性を誘い出した
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妻を感電死 被告の男、殺意否認 静岡地裁沼津支部初公判
2021年、沼津市の自宅で同居する妻を感電死させたとして殺人の罪に問われた同市寿町、トラック運転手の男(66)の裁判員裁判初公判が3日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判長)で開かれ、被告は殺意を否認した。 検察側は冒頭陳述で、被告が妻の生活態度に不満を抱き家具を破損したのを機に、妻から離婚と自宅からの退去を迫られたと説明。電気コードとアルミ板を手袋につなげた道具を作って殺害時に使ったとして「第2種電気工事士の知識を悪用した。強い殺意に基づいた計画性の高い行動」と指摘した。事前に「感電死」をウェブ検索していたことにも触れた。 弁護側は被告が自身を、手から光線が出る映画のキャラクター「アイアン
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熱海土石流 静岡県、20年前の土砂崩れ箇所 不鮮明な白黒文書で開示
1日までの静岡県への取材で確認された、熱海市伊豆山の大規模土石流の起点で20年前に起きた土砂崩れ箇所やその写真は、不鮮明に加工された疑いのある県の行政文書(D55やD64)に掲載されていた。元の文書がカラーだったのに県は当初、白黒化して開示していた。D64の地図上に示された土砂崩れの範囲は元の文書に赤い枠線があったが、白黒文書では目立たず、「崩壊箇所」と書かれた文字も判読しにくくなっていた。 D55やD64の白黒文書に添付され、「雨水流出部」「崩壊箇所」などと説明が付いた無許可開発区域の写真は黒く塗りつぶされたような状態で何が写っているか分からなくなっていた。 県は行政対応検証委員会(第
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袴田さん支援団体 早期無罪判決訴え 事件57年浜松で街頭広報
旧清水市(静岡市清水区)でみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件の発生から57年を迎えた30日、裁判のやり直し(再審)が決まった元プロボクサー袴田巌さん(87)=浜松市中区=の支援団体が、早期の無罪判決を求める街頭広報をJR浜松駅北口で行った。 地元の「袴田さん支援クラブ」のメンバーがのぼり旗を掲げ、「無罪が確定するまで、あと少しの支援をお願いします」などと通行人に呼びかけた。再審開始を認めた東京高裁決定や、東京高検が特別抗告を断念したことなどこれまでの経過をまとめたチラシを配った。 事件をめぐっては、再審公判に向けた静岡地裁と静岡地検、弁護団による3者協議が進められている。
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熱海土石流 他文書も不鮮明加工か 静岡県「白黒コピーの結果」
熱海市伊豆山で盛り土が崩落して28人が死亡した土石流を巡り、情報公開条例に基づき県が開示した行政対応文書が不鮮明に加工されていた問題で、これまでに加工が判明していた2007年4月の文書(A283)以外にも複数の開示文書が不鮮明に加工された疑いがあることが29日までの取材で分かった。土石流起点の分水嶺(れい)付近で03年に明らかになった無許可開発の写真を掲載した文書などで、黒く塗りつぶされて何が写っているか読み取れない状態の文書が21年10月に開示されていた。 県は白黒コピーした結果、判読できなくなったと主張しているが、再現して確認していないという。静岡新聞社が元のカラー文書を通常のコピー機
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伊東メガソーラー建設 事業者側の訴え却下 静岡地裁
伊東市八幡野の大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設を巡り事業者の伊豆メガソーラーパーク合同会社が市に対し、市のメガソーラー規制条例に基づく市長の同意義務や事業の中止義務がないことの確認を求めた訴訟の判決で、静岡地裁(菊池絵理裁判長)は29日、原告側の訴えをいずれも「確認の利益が認められず不適法」として却下した。 判決は同意義務について、条例には同意を得ない場合に事業中止を強制する規定はなく、同意を求める行為は行政指導としての性質があるだけで事業中止の強制まではできないとし、市側の「同意の取得義務の有無は原告の事業の法律的地位を左右するものではない」との主張を認めた。事業者側の訴えは確認を
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三島の業者を許可取り消し 静岡県、産廃収集運搬
静岡県は29日、廃棄物処理法に基づき、ミツトモ(三島市梅名)に産業廃棄物収集運搬業の許可取り消しの行政処分を行ったと発表した。26日付。同社は6日に静岡地裁沼津支部で破産手続き開始決定を受けたため、同法が規定する欠格要件に該当すると判断した。
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繰り返された悲劇「冬生の時に動けば」 福岡の遺族 憤りと喪失感【届かぬ声 子どもの現場は今㉗/第5章 命と責任㊥】
日本の近代化を支えた炭鉱町の面影を残す福岡県中間市。「ちくてつ」の愛称で親しまれるローカル線、筑豊電気鉄道の走行音が時折響く閑静な住宅街に2021年7月の送迎バス置き去り事件で亡くなった倉掛冬生[とうま]ちゃん=当時(5)=の自宅はある。 「何と言ったらいいのか…」 冬生ちゃんの母(39)は牧之原市の事件を思い、声を詰まらせた。耐え難い苦しみを経験しているからこそ、河本千奈ちゃんというまな娘を失った両親にかける言葉が見つからない。 21年7月29日の朝。冬生ちゃんはいつものように保育園の園長=当時=が1人で運転する送迎バスに乗りこんだ。乗っていたのは冬生ちゃんを含む1~
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元運転手、起訴内容認める 小山バス横転初公判 静岡地裁沼津支部
小山町須走の県道(通称ふじあざみライン)で2022年10月、観光バスが横転し29人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた元運転手の男(27)=埼玉県飯能市=の初公判が28日、静岡地裁沼津支部(野沢晃一裁判官)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。 自動車メーカー側はブレーキやギアなどの関連部品の検証・解析の結果、「性能、作動確認に問題はなかった」としている。県警は、被告がフットブレーキを多用したためブレーキが利かなくなる「フェード現象」の発生が事故原因と結論づけていた。 冒頭陳述で検察側は、被告がフェード現象について「めったに起きることのない非常時の出来事と思い込
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元社長ら3人有罪判決 焼津カツオ盗、事前共謀を認定 静岡地裁
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件を巡り、窃盗罪に問われた神奈川県の運送会社「ホクユウ」(現ケイエスケイ)元社長の男(50)=同県南足柄市=と焼津市の水産加工会社「大熊フーズ」元社長の男(58)=同市与惣次=、都内の水産加工会社「大洋エーアンドエフ」元焼津営業所長の男(47)=同市駅北3丁目=の判決公判で、静岡地裁は28日、3被告全員に懲役2年6月、執行猶予3年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。 判決理由で国井恒志裁判長は「常習的、組織的な犯行の一環。厳しい非難は免れない」と指摘した。共謀を否認している元社長の男(58)については、冷凍カツオの売却先を確保していたことや冷蔵庫の
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判決延期「説明ない」 原告、静岡地裁に抗議 静岡市立小いじめ訴訟
静岡市の市立小で2017年度にいじめを受けて適応障害を発症したとして、当時5年生だった10代の男子生徒が、同級生や担任教諭らと市に対し損害賠償を求めた訴訟を巡り、理由の説明もなく判決期日が3カ月以上も延期されたのは問題として、原告の代理人弁護士が28日、静岡地裁に所長宛ての抗議書を出した。 判決期日は当初、今月29日の予定だった。抗議書によると、27日に突然取り消され、新たに10月12日に指定する予定と伝えられたという。抗議書では、期日の取り消しに加え、その告知が2日前だったことを「当事者に強い憤り、落胆、裁判所への不信の思いを与える」などと指摘している。 訴状などによると、男子生徒は1
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無許可開発、分水嶺改変か 逢初川上流域に及んだ疑い 熱海土石流
熱海市伊豆山で28人が死亡した盛り土崩落に伴う土石流を巡り、20年前に隣接流域で行われた都市計画法違反の無許可開発が分水嶺(れい)を改変し、土石流起点の逢初(あいぞめ)川上流域に及んでいた疑いがあることが26日までの取材で分かった。この無許可開発は、想定を上回る水が逢初川流域に流れ込む流域変更や、崩落した盛り土の造成につながった可能性があるが、当時行政対応した県は土石流後に設置した二つの検証委員会に情報を提供せず、行政対応面でも技術面でも検証されていない。 本紙の指摘を踏まえて県が4月、黒塗りを解除した文書(D27)に無許可開発の区域が記されていた。文書には、県の許可を受けず土地を造成した
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「積極的な有罪立証困難」 袴田さん支援集会、弁護団が検察けん制
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、3月に裁判のやり直しが決まった袴田巌さん(87)の支援集会が25日、同区内で開かれた。検察側が再審公判での主張・立証方針を7月10日までに明らかにするとしている中、弁護団の一員で元裁判官の水野智幸弁護士は「新たな証拠を出す形での積極的な有罪立証はできないだろう」とけん制した。 事件から1年2カ月後にみそタンクで見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた「5点の衣類」を巡り、再審開始を認めた東京高裁決定は、長期間みそ漬けの血痕に赤みは残らないとした弁護団の鑑定を評価した。 水野弁護士は集会で、4月に始まった静
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証拠開示も命令 公正で中立な視点 常に【最後の砦 刑事司法と再審⑫/第3章・日産サニー事件の先例㊦】
「家族が一生懸命に支えていた」。福島県いわき市で1967年に自動車販売会社の宿直員が殺害されて現金が奪われた「日産サニー事件」で無期懲役が確定し、仮釈放された後に裁判のやり直し(再審)を請求した男性の元主任弁護人、折原俊克弁護士は、奔走する家族の姿が忘れがたい。 再審請求審では証人尋問が公開され、全国初と報じられた。同じく弁護人だった弓仲忠昭弁護士は公開を求めた理由について「家族だけではなく支援者も一生懸命。家族や支援者の前で行いたい、というのが出発点だった」と回想する。しかし、尋問を公開するかどうかの規定は再審法(刑事訴訟法の第4編再審)には存在しない。 弓仲弁護士は言う。「裁判官の裁
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他の審理に広がらず 弁護士辞め不都合実感【最後の砦 刑事司法と再審⑪/第3章・日産サニー事件の先例㊥】
こんなにも、もどかしいとは想像していなかった。 裁判のやり直し(再審)が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)を40年以上支えてきた田中薫弁護士は、2014年3月に静岡地裁が再審開始決定を出した直後に弁護士を辞めた。再登録したのは今年3月。この間、差し戻し前後の即時抗告審で法曹三者の協議はもちろん、鑑定人の尋問などに立ち会えなかった。 「弁護団の会議や合宿には出ていたので、資料を見たり、話は聞いたりしていたけれど、何がどう行われているのか裁判所の中の雰囲気を全く実感できなかった」。弁護士でない一般人の立場となり、再審請求審が非公開で進められていることへの疑問が芽生えた。「自分の目で見て
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車盗んだ疑いで少年2人家裁送致 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は23日、浜松市中区砂山町の駐車場に止めてあった軽ワンボックス車を盗んだとして窃盗の疑いで逮捕、送検されたブラジル国籍の浜松市の男子学生(15)と同市の男子中学生(14)を静岡家裁浜松支部に送致した。 2人の送致容疑は5月19日、共謀して同市南区の男性(34)の軽ワンボックス車(50万円相当)を盗んだ疑い。2人は同区の別の男性に暴行を加えてけがを負わせ、財布を奪ったとして強盗致傷の疑いで6月14日に同支部に送致された。
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証人尋問法廷で公開「公正さ確保、真実発見」 元裁判官、法改正の柱と指摘【最後の砦 刑事司法と再審⑩/第3章・日産サニー事件の先例㊤】
裁判のやり直しを認めるかどうかを審理する再審請求審。再審法(刑事訴訟法の第4編再審)に審理の公開・非公開についての規定はないが、事実上、非公開とされている。元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審開始を認めた静岡地裁、東京高裁の審理も非公開だった。福島県いわき市で1967年に自動車販売会社の宿直員が殺害されて現金が奪われた「日産サニー事件」は、再審請求審で証人尋問が公開された極めてまれな例だ。判断に関わった西理元裁判官(78)が22日までに静岡新聞社の取材に応じ、法改正して請求審の公開を規定することは「非常に重要」と指摘した。 西さんは88~92年、福島地裁いわき支部で日産サニー事件の再審
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「上司がいじめ、暴行」損賠求め 静岡市職員が市を提訴
精神障害を発症したのは上司のいじめや暴行が原因として、静岡市の男性職員が市を相手取り、550万円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁に起こしたことが22日、関係者への取材で分かった。いじめ行為が始まる前と比べ「体重は24キロ減少した」と訴えている。 提訴は5月29日付。訴状によると、男性は2012年4月に静岡市に採用された。21年4月に新たな課に配属され、精神的なストレスから22年2月に2週間ほど休職した。同年11月、ストレス反応と診断された。 配属直後から、上司の係長から暴言を受け始めたと主張。同僚が許されている残業がなかなか認められず、業務の進み具合が遅れていたところ、22年1月に同僚の
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社説(6月23日)強制不妊報告書 国は真摯に救済拡充を
旧優生保護法下で障害者らに不妊手術が強制された問題で、衆参両院議長に国会の調査報告書が提出された。報告書は1400ページにも及び、国が別の手術と偽ることを許容し、都道府県に件数を増やすよう求めるなど、非人道的な国策がもたらした被害の理不尽さと深刻さが改めて浮き彫りになった。 ただ、報告書は国や国会などの責任の所在は明確にしていない。旧法施行から70年以上経過した2019年に被害者に一律320万円の一時金を支給する救済法が議員立法で成立、施行されたがとても被害に見合う額とは言えず、各地で国に損害賠償を求める訴訟が起こされている。 被害者は高齢化し、残された時間は限られている。国は旧法を19
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水産会社元役員を静岡地検が追起訴 焼津カツオ窃盗
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、静岡地検は22日、組織犯罪処罰法違反の罪で高知県の水産加工会社「大熊」元役員の男(68)=窃盗罪で起訴済み=を静岡地裁に追起訴し、法人としての同社も起訴した。 起訴状によると、同社と被告は2021年3月19日ごろ、窃盗で得た冷凍カツオ約36トン(約570万円相当)を正規の取引で購入したように装い、犯罪収益を隠匿したとされる。
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袴田さん弁護団「年内判決難しく」 3者協議10月まで日程追加
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判に向けた静岡地裁と静岡地検、弁護団による非公開の第3回3者協議が20日、地裁であり、10月末まで協議日程が追加された。終了後に記者会見した弁護団は「再審公判がいつになるのか」と懸念。目指してきた年内の判決は現時点では難しくなっているとの見方を示しつつ、早期の公判期日を指定するよう地裁に「積極的に求めていく」と強調した。 地裁は弁護団と地検に対し、7月10日までに冒頭陳述案を出すよう要請している。弁護団によると、検察官は席上、主張・立証の方針を書面で提出するとともに取り調べを請
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神社奉賛会員恐喝 男ら2~3年求刑 静岡地裁沼津支部公判
熱海市内の神社奉賛会会員から現金を脅し取ったとして、恐喝の罪に問われた指定暴力団稲川会系組幹部、無職の男(49)=神奈川県湯河原町土肥4丁目=、造園業の男(51)=熱海市紅葉ガ丘町=両被告の論告求刑裁判(室橋秀紀裁判官)が20日、静岡地裁沼津支部で開かれた。検察側は無職の男に懲役3年、造園業の男に懲役2年をそれぞれ求刑した。判決は7月6日。 検察側は、無職の男が中心となって実行し、造園業の男は指示役だったと指摘。「犯行は卑劣かつ悪質。被害額が相当に高額で、被害結果は重大」と述べた。弁護側はともに深く反省しているとして、無職の男に執行猶予付き判決、造園業の男に寛大な処分を求めた。 起訴状な
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社説(6月19日)同性婚訴訟 法制化議論 本格化急げ
同性婚を認めない現行法制の違憲性を問い、2019年から全国5地裁で争われてきた訴訟の一審判決が、8日の福岡地裁で出そろった。 5判決のうち、21年3月の札幌地裁と今年5月の名古屋地裁が「違憲」とし、22年11月の東京地裁と今回の福岡地裁が合憲としながらも「違憲状態」。はっきりと「合憲」としたのは22年6月の大阪地裁だけだった。損害賠償請求は全てで棄却された。 ただし、大阪判決も同性カップルには「望み通りに婚姻できない重大な影響が生じている」と認め、将来「違憲となる可能性」があると言及した。現行制度の不備を指摘して立法措置を促している点で司法の姿勢は一致する。 立法府はこの判断を重く受け
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事故偽装詐欺 4人目も有罪 地裁浜松支部
飲酒運転の絡む交通事故を自作自演し、同乗者から示談金をだまし取ったなどとして詐欺などの罪に問われた住所不定、無職の男(22)の判決公判で静岡地裁浜松支部は16日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(3年6月求刑)を言い渡した。同じ詐欺グループの判決は4人目。 高島由美子裁判官は判決理由で、被告が約2カ月の間に同種の犯行を繰り返したことを「常習性が高い」と指摘。仲介役や運転役を担ったことについて「必要不可欠な役割を果たしており、その責任は重い」と断じた。一方、被害弁償が済んでいることなどを考慮して保護観察付き執行猶予が相当とした。 判決などによると、仲間と共謀して2022年8月5日、同市中
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袋井強盗致傷 懲役7年判決 静岡地裁浜松支部
袋井市の知人男性宅に仲間を連れて侵入して暴行を加え、現金などを脅し取ったとして強盗致傷と住居侵入の罪に問われた指定暴力団稲川会系組員の無職の男(55)=神奈川県横須賀市=の裁判員裁判の判決公判で、静岡地裁浜松支部は15日、懲役7年(求刑懲役8年)を言い渡した。 大村泰平裁判長は判決理由で、仲間を集めて事件を首謀したほか、被害者のけがの程度や被害金額も重大として「責任は重い」と非難。金づちや粘着テープを持参した点から「家に侵入した時点で金品奪取の意思があった」と指摘し、暴行を加えた後に男性に貯金があると知り、初めて金品を奪おうと考えたとして強盗致傷罪は成立しないとする弁護側の主張を退けた。
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誘拐の男起訴 少女を3カ月間自宅に 静岡地検浜松支部
静岡地検浜松支部は15日、10代の少女を未成年と知りながら誘拐し、3カ月間にわたって自宅に連れ込んだとして、未成年者誘拐の罪で愛知県東浦町石浜南ケ丘、会社員の男(41)を静岡地裁浜松支部に起訴した。 起訴状によると、被告は2月25日午前8時ごろ、浜松市内の路上で少女と合流後、自らが運転する車に乗せて連れ去り、5月25日までの間、自宅に寝泊まりさせるなど自らの支配下に置いたとされる。 被告は、ツイッター上で「殺してくれる人募集」などと投稿していた少女に対して、少女の要望に応えるかのようなメッセージを送って誘い出し、少女には家出をするとの置き手紙を残すように指示するなど警察の捜査を逃れようと
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南伊豆で看板汚損 デザイナーを起訴 静岡地検下田支部
静岡地検下田支部は15日、南伊豆町が設置した看板を汚したとして、器物損壊の罪で同町のデザイナーの男(78)を静岡地裁下田支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は5月18日午前7時50分ごろから20日午後3時5分ごろまでの間、町内に設置された町管理の看板にスプレー式の塗料を吹き付けて汚損、損壊したとされる。看板は高さ約5メートルの三角柱で、町民憲章が記されていた。
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再審無罪判決「一日も早く」 袴田さん支援団体 静岡地裁に請願
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定後、裁判のやり直し(再審)が決まった元プロボクサー袴田巌さん(87)を支援する「無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会」(東京)は14日、一日も早く再審無罪判決を言い渡すよう求める請願書を静岡地裁に出した。 同会はこれまで袴田さんの再審開始を訴えてきた。今年3月に再審開始が確定したため、今回から再審無罪を求める請願書に切り替えた。提出署名は累計で15万522人分となった。 県庁で記者会見した門間幸枝副代表は「(再審開始は)遅すぎるが、(袴田さんが)生きていてくれたことがありがたい。これ以上延ばしたくない」とし、速やかな再審無罪を
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高齢ドライバー3人死傷事故 禁錮2年2月求刑 地裁富士支部
乗用車を運転して事故を起こし3人を死傷させたとして自動車運転処罰法違反(過失傷害と過失致死傷)の罪に問われた富士市の無職の男(85)の初公判が14日、地裁富士支部(西沢諒裁判官)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。検察側は禁錮2年2月を求刑した。 論告で検察側は、被害者に落ち度がない点を指摘した上で、1人が死亡した事故の結果を「本人や遺族の無念は計り知れず、極めて重大」とし厳罰を求めた。高齢者の事故が社会問題になっていることを踏まえ、一般予防の観点から処罰する重要性も強調した。 弁護側は、被告が「二度と車を運転しない」と述べていることや被害者への賠償金の支払いが完了している点を挙げ、適正な
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富士の39歳男、殺人罪で起訴 不起訴不当議決から一転 21年5月、自宅で男性殺害
2021年5月に富士市の自宅で男性を殺害したとして、静岡地検沼津支部は13日までに、殺人罪で同市の受刑者の男(39)=覚醒剤取締法違反と公務執行妨害の罪で服役中=を静岡地裁沼津支部に起訴した。地検沼津支部は22年1月に殺人容疑を不起訴処分としたが、沼津検察審査会が10月、「不起訴不当」と議決し再捜査していた。 茂木善樹支部長は「検察審査会の議決を真摯(しんし)に受け止めて、法に照らして責任能力が認められると判断した」と理由を明らかにした。起訴は12日付。 起訴状などによると、被告は21年5月22日午前1時5分ごろから午前5時50分ごろの間に、自宅で男性=当時(37)=の頭や顔、胸などを金
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記者コラム「清流」 裁判官のフォロー光る
裁判員裁判では、裁判員から被告人や証人に質問する機会がある。とはいえ裁判になじみのない市民にとって、法廷の一番高い場所から発言するのは勇気がいるだろう。積極的な質疑と応答を繰り返す裁判員は少ない印象を持つ。 静岡地裁浜松支部で開かれた裁判員裁判で、裁判員の質問に対する証人の回答がかみ合わない場面があった。裁判員はどうしようか悩んでいる様子だったが、そのまま質問を終えた。裁判官が言葉を変えて尋ね直すことで別の回答を引き出すと、その裁判員は満足そうにうなずいた。 質問の意図を正確に伝えたり、求めている回答を引き出したりするのには技術や経験が必要だ。市民感覚を司法判断に生かす裁判員裁判の目的に
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袋井の強盗致傷 懲役8年を求刑 地裁浜松支部公判
袋井市の知人男性宅に仲間を連れて侵入して暴行を加え、現金などを脅し取ったとして強盗致傷と住居侵入の罪に問われた指定暴力団稲川会系組員の無職の男(55)=神奈川県横須賀市=の裁判員裁判論告求刑公判が8日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)で開かれ、検察は懲役8年を求刑した。 検察側は論告で、男性の逃亡を防ぐために金づちや粘着テープを持参したり、見張り役を用意したりしたことから「事前に強盗の意思があったことは明白」と強調。けがの程度や被害金額も重大で「悪質性は相当に高い」と指摘した。 弁護側は、被告が男性宅を訪れた後、男性から金銭による解決を提案されたことなどを受け、初めて金品を奪おうと考え
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横領で元課長実刑 地裁富士支部判決
富士市の食品用素材製造業「日本食品化工」で会社の資金を着服したとして、業務上横領の罪に問われた岡山県倉敷市、同社の元財務課長の男(52)の判決公判で静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)は7日、懲役5年(求刑懲役7年)を言い渡した。 西沢裁判官は判決理由で、長期間多数回にわたり金銭を着服していることを踏まえ「常習的かつ巧妙で、会社との委託信任関係を大きく害する悪質なもの」と指摘した。被害額の大きさや、ギャンブルの遊興費などを目的とした動機についても非難した。 判決によると、被告は2020年8月3日から21年12月29日までと、22年1月11日から同8月15日までの間、同社名義の口座から現金を引
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再審法改正へ国会議員も意欲 日弁連院内集会 袴田さん姉出席
日本弁護士連合会(小林元治会長)は6日、再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求め、都内の衆議院第二議員会館で集会を開いた。与野党の国会議員30人が集まり、参加議員を含む89人が法改正への賛同メッセージを寄せた。小林会長は取材に「国の政策にきちんと反映させなければいけない、との大きな合意ができつつある」と述べ、議員や関係者への働き掛けを続けていく考えを示した。 集会には、再審開始が確定した袴田巌さん(87)の姉ひで子さん(90)も出席した。弁護団の戸舘圭之弁護士は「もし再審開始決定に対する検察官の上訴が禁止されていれば、9年前に再審が開始され、再審公判で無罪になっていた」と指摘し、法の不備
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西伊豆町の船会社 組合脱退拒否で配置転換は違法 地裁沼津支部判決
西伊豆町の船会社「堂ケ島マリン」が労働組合員の男性船長に対し、再雇用の際に組合から脱退しなかったのを理由に陸上勤務に配置転換したのは違法だとして、船長と商船などの船員らによる全日本海員組合が同社に配置転換無効の確認などを求めた訴訟で、静岡地裁沼津支部(古閑美津恵裁判長)は6日までに、配置転換を無効とし、船長に2020年8月以降の差額の賃金のほか慰謝料などとして33万円の損害賠償を命じる判決を言い渡した。判決は5月31日付。 判決などによると、同社は2020年5月、コロナ禍を理由に船長を含む組合員13人の雇用契約を解除した。その後、船長ら一部組合員に再雇用を打診した上で組合からの脱退を要求。
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袴田ひで子さん「諦めたらおしまい」 「大崎事件」を巡り心境
「大崎事件」を巡り、福岡高裁宮崎支部が5日、原口アヤ子さん(95)の再審開始を認めない決定をしたことを受け、3月に再審開始が確定した元プロボクサー袴田巌さん(87)の姉ひで子さん(90)が浜松市中区の自宅前で報道陣の取材に応じ「残念な決定ではあるけれど、諦めたらそこでおしまい。元気を出して頑張っていってもらうしかない」と受け止めを語った。 原口さんとは15年ほど前に初めて会い、支援集会に駆けつけるなどして交流してきた。入院先の病院を訪ねて見舞い、激励の動画を届けてきた。一報を受け、すぐに原口さんや支援者を励ますビデオメッセージを送ったという。ひで子さんは「巌だけが助かればいいとは思っていな
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16歳キャバクラで働かせ罰金50万円 沼津簡裁
沼津区検は5日までに、16歳の少女を三島市のキャバクラで働かせたとして、風営法違反の罪で店の男性経営者(30)=沼津市=と男性店長(27)=三島市=を略式起訴した。沼津簡裁は2日付でそれぞれ罰金50万円の略式命令を出した。 略式命令などによると、2人は2月17日から4月27日までの間に、共謀して16歳の少女4人をホステスとして雇い、不特定の客に酒の提供などの接待をさせたとされる。 2人とともに逮捕、送検された男性会社員(21)=清水町=は不起訴処分とした。地検沼津支部は理由を明らかにしていない。
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富士宮盛り土事件 罰金100万円を求刑 地裁支部初公判
富士宮市の山林に無許可で盛り土を造成したとされる事件で、県盛り土規制条例違反の罪に問われた富士市の残土処分会社「Kプランニング」の初公判が5日、静岡地裁富士支部(西沢諒裁判官)で開かれ、検察側は罰金100万円を求刑した。 検察側は冒頭陳述で、同社役員の男性=当時(55)=が2018年4月ごろから約1年間にわたって盛り土をし、市から中止命令を受けた富士宮市内の土地に、昨年6月ごろから同7月ごろまでの間、さらに土砂を搬入して約1877立方メートル造成したとし、県や市の行政指導を受けても盛り土を継続したと指摘した。昨年5月には、過去に搬入した土砂が市の管理する土地に流出したことから、近隣住民に与
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模擬裁判員裁判を体験 静岡地裁 司法へ理解深める
静岡地方裁判所はこのほど、裁判員制度をテーマにした一般向けの体験イベントを静岡市葵区の地裁本庁で開いた。16人が参加し、模擬裁判の体験などを通じて裁判員裁判の流れや法曹の仕事について理解を深めた。 模擬裁判はコンビニで現金を奪い、店員にけがを負わせて逃走した強盗致傷事件を想定。自宅近くのごみ捨て場から犯行に使われたとみられるフード付きジャンパーや包丁が見つかり、逮捕された男子大学生の被告役を職員が演じた。参加者はグループに分かれて裁判官や裁判員、検察官、弁護士、証人を務めた。 被告が起訴内容を否認する中、被告人質問で、弁護士役はアリバイの証明や第三者が被告宅の包丁を持ち出した可能性を繰り
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東伊豆 旧旅館など特別清算開始決定 負債総額14億円
信用調査会社の東京商工リサーチ静岡支店によると、東伊豆町の温泉旅館「熱川大和館」と同社資産管理会社「海南荘」の2社が1日までに、静岡地裁下田支部から特別清算開始決定を受けた。2社の負債総額は約14億円。 会社分割で設立した同館と同名の会社が運営を継承したため、同館の営業は現在も継続している。 同館は1980年代には年間売上高約16億円を上げていたが、旅館改修での債務増や新型コロナウイルス禍の客数減などで収益が悪化。2022年12月から事業を停止していた。
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函南の無許可盛り土 被告代表が認否留保 地裁沼津支部
函南町丹那の山中に無許可で大規模な盛り土が造成された事件で、町条例違反の罪に問われた清水町のソーラー設営会社「ソーラーセキュリティ」と同社代表(53)=沼津市下香貫=の初公判が1日、静岡地裁沼津支部で開かれた。被告は起訴事実の認否を留保し、閉廷した。 起訴状などによると、被告は2021年8~10月、函南町長の許可を受けずに、事業として同町丹那の千平方メートルの土地に土砂を埋め立てたなどとされる。 被告の代理人弁護士は、起訴状に一部不明確な部分があるとして釈明を求めた。取材に対し「起訴状の千平方メートルの土地がどこを指すのか不明瞭」と説明した。次回公判までに争点を整理するという。
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袋井強盗致傷主導 被告が一部否認 地裁浜松支部初公判
袋井市の知人男性宅に仲間を連れて侵入して暴行を加え、現金などを脅し取ったとして強盗致傷と住居侵入の罪に問われた指定暴力団稲川会系組員の無職の男(55)=神奈川県横須賀市=の裁判員裁判初公判が31日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)で開かれた。被告は「最初は金品を盗むつもりはなかった」と計画性を含め起訴内容を一部否認した。 検察は冒頭陳述で、被告は男性が被告の会社の金を着服したと考え、仲間2人を連れて主導的に犯行に及んだと説明。金づちや粘着テープを持参していたことなどから、「現金を奪う意思があった」と指摘した。弁護側は、被告が金品を奪おうと思ったのは暴行の後だとして、強盗致傷罪は成立しない
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連続不審火で男起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は31日、器物損壊と非現住建造物等放火の罪で函南町平井、庭師の男(23)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は3月9日夜、三島市の民家の駐車場で乗用車のナンバープレートを壊した後、同町の園芸店にあった植木など232点を焼損させ、町内の男性の敷地にある物置に火を付けたとされる。
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生活保護減額「違法」 県内4市処分取り消し 静岡地裁判決
国が2013~15年に生活保護費の基準額を引き下げたのは生活保護法に違反するとして、受給者6人が浜松、静岡、袋井、掛川の4市に減額処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、静岡地裁は30日、減額処分を取り消した。菊池絵理裁判長は、厚生労働相の引き下げに関する判断過程には「過誤、欠落があると言わざるを得ず、裁量の逸脱・乱用がある」と指摘し、生活保護法違反を認定した。 同種の訴えは29都道府県で起こされ、地裁段階の判決は21件目。原告側の勝訴判決は11件目となった。 国は、物価下落を理由に13年から3年間で基準額を平均6・5%引き下げ、計約670億円を削減した。 静岡地裁判決は、物価動向を考慮し
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再審冒頭陳述案、7月提出要請 静岡地裁、袴田さん弁護団と地検に 出頭免除応じる考え
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、静岡地裁と弁護団、静岡地検による非公開の3者協議が29日、地裁で開かれた。国井恒志裁判長は、冒頭陳述案を7月10日までに提出するよう弁護団と地検の双方に求めるとともに、現時点では袴田さんを公判に強制的に出頭させる考えはないと述べた。協議終了後、弁護団が記者会見して明らかにした。 再審公判に向けた3者協議は2回目。4月の第1回協議で検察側は、立証方針を決めるのに「3カ月かかる」と主張している。この日の協議で国井裁判長は冒頭陳述案の提出と同時に、立証に必要な証拠の取り調べを地裁に対して請求
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焼津カツオ盗 運送業社長、起訴内容認める 静岡地裁公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた市内運送会社の社長(62)の第2回公判が29日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、社長は起訴内容を認めた。初公判で弁護人は検察側から直前に証拠が追加開示され、検討が終わっていないと認否を留保していた。 検察側は冒頭陳述で、社長が焼津市の水産加工会社の元役員(45)の指示で、カツオを未計量のまま持ち出して冷蔵庫に運搬するなどして窃取していたと説明。未計量のカツオの運搬費についてはルートに応じて、1キロ当たり1・3~3円の支払いを水産加工会社などから受けていたとした。 起訴状によると、社長は水産加工会社の元役員らと共謀の上
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土石流被災住宅で窃盗、専門学生の男起訴 静岡地検沼津支部
静岡地検沼津支部は29日、熱海市伊豆山の土石流災害で被災した男性宅に侵入し清涼飲料水を盗んだとして住居侵入と窃盗の罪で静岡市清水区、専門学生の男(26)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、男は2021年8月4日午後6時55分ごろから5日午前7時40分ごろまでの間、熱海市伊豆山の男性宅で清涼飲料水(100円相当)のほか、男性の家族の下着など26点(計約1万3800円)を盗んだとされる。
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3000万円詐取の罪で会社役員を起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は29日、事業者にうその投資話を持ちかけて金をだまし取ったとして詐欺の罪で東京都八王子市の会社役員(76)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は2016年5月5日ごろから25日ごろまでの間、富士宮市内に残土処分場を開発するという架空の事業への投資話を事業者に持ちかけ、1千万円を入金させたとされる。7月上旬ごろには、手付金が不足しているとしてさらに2千万円を振り込ませたとされる。
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原発耐震基準 元裁判長「低い」 静岡で講演
2014年に関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働差し止めを命じる判決を出した元福井地裁裁判長の樋口英明さんが27日、静岡市内で講演し、全国の原発について「耐震設計の基準は極めて低く、稼働すべきでない」と述べた。 樋口さんは、16年の熊本地震など過去の地震では地表で最大加速度1千ガル超の揺れが観測されている一方、国内の多くの原発の基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)は1千ガルに満たないと指摘。「推進派は、原発は地表よりはるかに揺れが小さい岩盤の上に建てられているなどと主張するが、地震で地表よりも岩盤の揺れが必ず小さくなるという法則性はない。逆になることもあり得る」と語った。 原発
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事故偽装詐欺 3人目も有罪 地裁浜松支部
飲酒運転が絡む交通事故を自作自演し、同乗者から示談金をだまし取ったとして詐欺の罪に問われた浜松市浜北区、建設業の男(30)の判決公判で静岡地裁浜松支部は26日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役3年6月)を言い渡した。同じ詐欺グループの判決は3人目。 高島由美子裁判官は判決理由で、仲介役や歩行者役だった男は「詐取金から相当額の分け前を得ていた。非難に値する」と指摘した。一方、被害弁償が済んでいることなどを考慮して保護観察付き執行猶予が相当とした。 判決によると、男は仲間と共謀して2022年8月5日夜、同市中区の市道で、乗用車と歩行者の衝突事故を計画的に起こし、同乗の女性=当時(
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的確な訴訟指揮を要請 袴田さん弁護団、静岡地裁に意見書、出頭の免除も
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審公判の進め方を巡り、弁護団は25日、新たな意見書を静岡地裁(国井恒志裁判長)に提出した。静岡地検に速やかに立証方針を明らかにさせるための訴訟指揮と、袴田さんの公判への出頭免除を地裁に求めた。29日の次回3者協議で議論する。 弁護団は意見書で、前回の協議で検察官が立証方針の決定に3カ月かかるとしたことについて「裁判長は説明を検察官に求めることもなく、当然であるかのような対応をした」と抗議。迅速な裁判を受ける権利を無視していると批判し、的確な訴訟指揮を促した。また、袴田さんの公判出頭義務を免除すること
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沼津のごみ処理施設計画差し止め訴訟 市「請求却下を」 地裁初弁論
沼津市のごみの新中間処理施設整備計画を巡る事業費は覚書に反する違法な公金支出だとして、市民59人が市を相手に2022年度の事業費1億300万円の支出差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が25日、静岡地裁(菊池絵理裁判長)であった。市側は、事業費は執行済みで訴訟要件を欠いているとして、請求の却下を求める答弁書を提出した。 原告側は終了後の説明会で、市側の主張を受けて訴えを変更し、頼重秀一市長に損害賠償を請求するよう求めていく考えを示した。 訴状などによると、沼津市は1976年から同市上香貫のごみ焼却施設を稼働している。施設建設に際して当時の市長は74年、隣接する清水町外原地域の区長らとの間
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奉賛会員への恐喝 2被告とも認める 地裁沼津支部初公判
熱海市内の神社奉賛会の会員から現金を脅し取ったとして、恐喝の罪に問われた指定暴力団稲川会系組幹部、無職の男(49)=神奈川県湯河原町土肥4丁目=と造園業の男(51)=熱海市紅葉ガ丘町=の両被告の初公判が24日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、いずれも起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述で「『トラブルを仲介したのに正月にお礼のあいさつがない』などと、神社奉賛会会員の40代男性3人に因縁をつけた」と経緯を述べた。起訴状などによると、両被告は1月中旬、この3人を脅迫し現金80万円を脅し取ったとされる。
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放課後デイ詐欺罪 検察懲役3年求刑 地裁浜松支部公判
浜松市の放課後等デイサービス施設の運営に関する給付金をだまし取ったとして、詐欺罪に問われたNPO法人アンヘレス理事長の女(65)=同市中区=の論告求刑公判が24日、静岡地裁浜松支部(高島由美子裁判官)で開かれ、検察側は懲役3年を求刑した。 検察側は論告で、不正受給と認識しながら繰り返し受け取り、被害は高額に上るとして「理事長としての規範意識が希薄」と非難した。弁護側は、法人の資金繰りが苦しく、自分の貯金を経営資金に充てたことなどから「自らの利益のためではなかった」と主張し、執行猶予付き判決を求めた。 弁護人は、同法人の破産に向けた手続きが進んでいることも明らかにした。施設運営は、既に別の
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強制わいせつ致傷 男に猶予付き判決 地裁浜松支部
浜松市内の路上で女性にわいせつな行為をした上、けがを負わせたとして強制わいせつ致傷の罪に問われた同市南区、無職の男(26)の裁判員裁判の判決公判で静岡地裁浜松支部は23日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑懲役3年)を言い渡した。 大村泰平裁判長は判決理由で、女性が「死ぬかもしれない」と強い恐怖を感じるほどの力で暴行を加えたことを「危険で悪質」と非難。事件前後はアルコールの影響で理性が弱っていたとした弁護側の主張も「判断力はあった。飲酒の影響を考慮すべきではない」と退けた。一方、断酒の治療を受けていることなどを踏まえて執行猶予付きの判決が妥当とした。 判決によると、被告は2022年
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「再審請求 死ぬまで」 旧天竜林高事件 簡裁棄却で元市長【刑事司法と再審】
旧天竜林業高(浜松市天竜区)で起きた大学推薦入試の調査書改ざん・贈収賄事件で、無実を訴えて再審請求している元天竜市長(90)の支援者らが22日、浜松簡裁の8日の請求棄却決定を受けた報告会を市内で開いた。支援者らによると、家族を通じて結果を報告した際、元天竜市長は「死ぬまで再審請求を続ける。徹底的にやる」などと語ったという。 元天竜市長は体調が優れず市内の医療施設に入院していて、家族などを除いて面会が難しい状況。同簡裁の棄却決定と、東京高裁に即時抗告したことを家族が伝えると、再審請求への強い意欲を示した。 報告会に出席した請求人弁護人の杉尾健太郎弁護士は「校長室で現金授受があったとされる日
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除斥期間の適用 原告側「制限を」 浜松・強制不妊訴訟
旧優生保護法下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、浜松市の視覚障害者の武藤千重子さん(74)が国に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が22日、静岡地裁浜松支部で開かれた。原告側は同法を巡る訴訟で、国に賠償を命じた熊本地裁や静岡地裁の判決を踏まえ、損害賠償の請求権が消滅する「除斥期間」について「適用が制限されるべきだ」と主張する準備書面を提出した。 弁護側は口頭弁論後、浜松市内で報告会を開き、両地裁の判決が、被害者が損害賠償請求をすることが長期にわたって事実上不可能だったと指摘した点などを挙げ、「武藤さんについても同様の事情が当てはまる」と強調した。次回期日で本人尋問に臨む予定の武藤さん
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袴田さん、元裁判長と初対面 14年に再審開始や拘置執行停止決定 姉感謝「命助けてくれた」
現在の静岡市清水区で1966年に一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直しが認められた元プロボクサー袴田巌さん(87)が19日、静岡地裁の裁判長として袴田さんの再審開始と死刑・拘置の執行停止を決めた村山浩昭さん(66)と都内の集会会場で初めて対面した。袴田さんの姉ひで子さん(90)は「命を助けてくれたようなもの。ありがとう」と村山さんに直接感謝を伝えた。 村山さんは2014年、袴田さんの再審開始と死刑の執行停止に加えて「耐えがたいほど正義に反する」として拘置の執行停止も決め、袴田さんは約48年ぶりに釈放された。13年には手続きの一環で意見を聴くため収監先の東京拘置所に出向いたが、
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袴田さん出廷免除求める 弁護団、静岡地裁に診断書を提出
静岡地裁で今後始まる袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、袴田さんの出廷免除を求めている弁護団は19日までに、拘禁反応で袴田さんには訴訟能力が認められないとする精神科医の診断書を地裁に提出した。同日、都内で弁護団の会議があり、終了後に小川秀世事務局長が明らかにした。29日の次回3者協議までに、出廷を強制しないよう訴える意見書も出す方針。 診断書は15日付。袴田さんが東京拘置所に収監されているころから関わりのある精神科医が4月に面談して作成した。長期拘禁により、袴田さんは「公判で意味のある対応をすることが不可能」とし、心神喪失の状態にあると判断。その上で、出廷を強制した場合は「身体的精神的不調
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隣人切りつける 傷害で男を起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は19日、隣人の男性を刃物で刺して殺害しようとしたとして殺人未遂の疑いで逮捕、送検されたブラジル国籍、磐田市国府台、無職の男(40)を傷害の罪に切り替えて静岡地裁浜松支部に起訴した。地検支部は理由を明らかにしていない。 起訴状などによると、被告は4月29日午前11時半ごろ、同市国府台のアパートで、隣の部屋に住む無職男性=当時(29)=の左脇腹を包丁で切りつけ、約10日間のけがを負わせたとされる。
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再審法改正、賛同求める 川勝知事と静岡市長を訪問へ 静岡県弁護士会
裁判のやり直しを求める再審請求に関する規定が乏しく、無実を訴える人の救済につながっていないと指摘される再審法(刑事訴訟法の第4編再審)を巡り、県弁護士会の杉田直樹会長らが今月中にも川勝平太知事と難波喬司静岡市長を訪ね、法改正への理解を求める方針であることが18日までの関係者への取材で分かった。日本弁護士連合会が始めた要請活動の一環。 日弁連は2月、再審請求審での証拠開示の法制化や再審開始決定に対する検察官の不服申し立てを禁止することなどを盛り込んだ再審法の改正案を公表した。今月12日には理事らが与野党の国会議員や秘書200人以上と面会し、法改正の必要性を説明している。 国会を後押しするた
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裁判員制度テーマ 31日にイベント 静岡地裁
静岡地方裁判所は31日午後1時半から同4時10分まで、裁判員制度をテーマにしたイベントを静岡市葵区の地裁本庁で開く。 模擬裁判のほか、裁判員裁判にまつわるクイズ、法廷見学や法曹三者(裁判官と検察官、弁護士)への質問コーナーを予定する。 定員60人(先着順)。申し込み、問い合わせは静岡地裁広報係<電054(251)6241>へ。
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露店を不正出店 主犯の男に有罪判決 地裁沼津支部
静岡県東部の祭り会場で露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪と覚醒剤取締法違反に問われた裾野市深良、元暴力団員の無職の男(66)に対し、静岡地裁沼津支部は17日、懲役2年6月、執行猶予5年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。 室橋秀紀裁判官は判決理由で、一定の計画性と相応の売上額を指摘。「主犯であることは明らか。売り上げによる利得目当てという身勝手な動機に酌量の余地もない」と断じた。一方、反省の弁を述べ、所属していた暴力団からも除籍されたことなどを考慮し、執行猶予が相当とした。 判決によると被告は昨年6~11月、妻(52)=詐欺罪で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決=などと共謀して、暴力団員
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強制わいせつ致傷 男に懲役3年求刑 地裁浜松支部公判
浜松市内の路上で女性にわいせつな行為をした上、けがを負わせたとして強制わいせつ致傷の罪に問われた同市南区、無職の男(26)の裁判員裁判の論告求刑公判が17日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)で開かれ、検察側は懲役3年を求刑した。 被告は当時飲酒していて、判断力の有無などが争点。検察側は被告の事件前後の言動などから、「飲酒の影響はなかった。酒のせいにして責任軽減を図るなど反省も不十分」と非難した。弁護側は「酒に酔って理性が弱り、衝動的な行動に陥りやすい状態だった」と主張。アルコールを断つ治療も受けていることなどから執行猶予付き判決を求めた。 起訴状によると、被告は2022年9月27日午前
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保育士に罰金20万円 裾野・園児虐待 沼津簡裁が略式命令
裾野市の私立さくら保育園で園児の両足を持って宙づりにするなどの虐待をしたとして、暴行の罪で略式起訴された同市の女性保育士(38)が、17日までに沼津簡裁から罰金20万円の略式命令を受けていたことが分かった。命令は8日付。罰金の納付は17日時点で確認されていないという。 同園で昨年12月、1歳児クラスを担当していた30代の女性保育士3人(既に全員退職)が、園児を虐待したとして暴行容疑で逮捕、送検された後、処分保留で釈放されていた。静岡地検沼津支部は逮捕容疑について今年4月、全員を不起訴処分とした。このうち、釈放後の在宅捜査で確認した別の2件の暴行罪で、女性保育士は略式起訴されていた。 起訴
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無実の人救済、より実効性を 京都・龍谷大が研究センター新設 学者と弁護士協働「あるべき再審法」提示目指す
龍谷大(京都市)に2023年度、刑事司法・誤判救済研究センターが新設された。再審法(刑事訴訟法の再審規定)の不備によって無実の人の救済が遅れているとの指摘がある中、弁護士と協働し、実効性のある仕組みの構築を目指す。センター長に就いた斎藤司法学部教授(刑訴法)は「持続可能な刑事司法と再審制度を支える基盤を整え、実務と研究の担い手も育てていきたい」と話している。 研究員21人の過半数は刑事弁護にたけた弁護士だ。「もっと普通に、もっと安定的に誤判救済ができるようにしたいと考えたとき、実務家の努力がなければ机上の空論になりかねない」と斎藤教授。その上で「実務の蓄積を共有すると同時に、理論的観点の検
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自宅アパートに放火の罪で男起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は16日、現住建造物等放火の罪で住所不定、配膳人の男(34)を静岡地裁沼津支部に起訴した。裁判員裁判の対象。 起訴状などによると、被告は4月26日午前3時ごろ、当時住んでいた沼津市内のアパートで、封筒にライターで火をつけてアパートを全焼させたとされる。
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強制わいせつ致傷 被告の男が認める 静岡地裁浜松支部初公判
浜松市内の路上で女性にわいせつな行為をした上、けがを負わせたとして強制わいせつ致傷の罪に問われた同市南区の無職の被告(26)の裁判員裁判の初公判が16日、静岡地裁浜松支部(大村泰平裁判長)で開かれ、被告は起訴内容を認めた。弁護側は「酒に酔っていて、判断力や理性が弱っている状態だった」と主張した。 検察は冒頭陳述などで、被告は事件の前に社交飲食店などでウイスキーの水割りなどを飲み、別の女性グループの後を付ける行為を繰り返していたと説明。飲食店員の証言や防犯カメラの映像などから、話し方や足元もしっかりしていたとし、「飲酒の影響は限定的だった」と指摘した。弁護側は専門家の鑑定結果などを基に、アル
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住居侵入や恐喝 富士の男を起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は12日、強盗致傷、住居侵入、恐喝の疑いで逮捕、送検された富士市厚原の男(36)を、住居侵入、恐喝、傷害の罪で静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は2022年5月6日から7日にかけて、同市内の男性宅に侵入し、現金8千円を脅し取ったとされる。同13日にも、再び男性宅に侵入して現金3千円を脅し取った上、男性をモーターレンチのようなもので複数回殴り、全治1週間のけがを負わせたとされる。
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旧天竜林業高事件 元市長の再審請求棄却 浜松簡裁 弁護側、高裁に即時抗告
旧天竜林業高(浜松市天竜区)で起きた大学推薦入試の調査書改ざん・贈収賄事件をめぐり、贈賄罪で罰金の略式命令を受けた元天竜市長(90)の再審請求審で、浜松簡裁が請求を棄却していたことが12日、関係者への取材で分かった。弁護側は棄却を不服とし、東京高裁に即時抗告した。 関係者によると棄却は8日付、即時抗告は11日付。審理は同簡裁の大村泰平裁判官が担当した。 弁護側は、元天竜市長が厳しい取り調べにより虚偽の自白に追い込まれたと主張し、県警の取り調べメモや供述心理学の専門家の鑑定意見書などを提出した。同メモの記述から、2回目の現金授受があったとされる日に、舞台となった同校の校長室にいるのは物理的
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事故偽装で詐欺 男に有罪判決 地裁浜松支部
飲酒運転の絡む交通事故を自作自演し、同乗の女性から示談金をだまし取ったとして、詐欺の罪に問われた磐田市の建設業の男(34)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は10日、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。同じ詐欺グループの判決は2人目。 高島由美子裁判官は判決理由で、歩行者役だった被告は「必要不可欠な役割を果たした」と指摘し、「分け前をほとんど得ていなかったとしても相当の非難に値する」と断じた。一方、被害者との示談が済んでいることなどを考慮して執行猶予が相当とした。 判決によると、被告は仲間と共謀して2022年8月5日夜、浜松市中区の市道で、乗用車と歩行者の衝突事故を計
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証拠の整理方法検討 袴田さん弁護団、静岡地裁、地検
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)が認められた元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判に向け、静岡地裁(国井恒志裁判長)と弁護団、静岡地検は10日、地裁で非公式の打ち合わせをした。弁護団によると、証拠番号の振り方をはじめ証拠の整理方法などを話し合ったという。 地裁は4月の第1回3者協議で、確定審の証拠を厳選するよう弁護団と地検に求めた。弁護団は打ち合わせに先立ち、意見書を地裁に提出。「確定記録の全ての証拠を取り調べるべき」として厳選には同意できないとした上で、全てを取り調べる場合でも「効率的な審理は可能」と訴えた
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再審無罪願って逝く 袴田さん支援の須藤春子さん 二俣事件冤罪、亡き夫重ね 「本当の笑顔見たい」あと一歩で
現在の浜松市天竜区二俣町で1950年に一家4人が殺害された「二俣事件」で、一・二審で死刑判決を受けたものの差し戻しを経て無罪に至った須藤満雄さん(2008年に死去)の妻春子さんが4日、老衰のため85歳で亡くなった。夫と同じ境遇の元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審無罪を願い続けた一人。「一日も早く、巌さんの本当の笑顔が見たいの。無罪になるまで絶対に死なない」。そう誓ってきたが、あと一歩のところで旅立った。 静岡地裁は14年3月、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田さんの再審開始を認め、釈放した。直後、春子さんは「袴田さんはうちの主人と同じようにつらい思いをしたと思う。苦労しただろう
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全ての確定審証拠 地裁に調査要請へ 弁護団、10日意見書提出
元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判に向け、弁護団は10日、確定審の全ての証拠を取り調べるよう求める意見書を静岡地裁(国井恒志裁判長)に提出する。地裁は証拠の厳選を打診していたが、弁護団は「同意できない」として反対する。 弁護団は9日に会議を開き、今後の対応などを話し合った。終了後、角替清美弁護士が報道陣の取材に応じた。検察が主張・立証の方針を明らかにしない中、速やかに方針を決めるよう地裁の訴訟指揮を求める意見書も追って提出する。 地裁は4月、再審公判に向けた弁護団と静岡地検との第1回協議で、確定審の証拠を厳選するよう弁護団と地検に検討を促した。 弁護団は再審公判で、袴田さんの犯
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社説(5月3日)憲法記念日 幸福度の追求を論点に
憲法施行から76年目の「憲法記念日」を迎えた。祝日法には「憲法の施行を記念し、国の成長を期する」と趣旨が記されている。国の成長とは経済的に豊かになることだけではない。国民の幸福を追求する権利を尊重する憲法の理念を踏まえれば、国民一人一人の幸福度が増す国になることと言ってもいいだろう。 昨年来、衆参両院の憲法審査会で憲法9条への自衛隊明記、緊急事態条項の創設など改憲議論が本格化しているが、幸福追求の権利に関わる「環境権」「プライバシー権」など「新しい人権」の明記は、自民党の改憲案の柱に据えられていない。改憲に反対、慎重な政党は新しい人権の創設が改憲の突破口になることを警戒する。どこか置き去り
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再審法 憲法に照らし検証を 静岡大・笹沼教授 袴田事件踏まえ「捜査機関は全証拠、裁判所に」
3日は憲法記念日。現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判のやり直し(再審)が決まるまでに長い年月がかかったことを巡り、現在の再審法(刑事訴訟法の第4編再審)は憲法上の要請を実現できていないとの指摘が聞かれる。不利益再審を廃止した以外は戦前の旧刑訴法の規定を引き継ぎ、一度も改正されていない再審法について、静岡大の笹沼弘志教授(憲法学)は「憲法に適合しているかどうかを全面的に検証すべき」と話している。 袴田さんは80年に死刑が確定し、翌81年に再審を請求した。第2次再審請求審で静岡地裁は2014年、再審開始と死刑・拘置の執行停止を認めて袴
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長泉の中学教諭 過失傷害で起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は28日、自動車運転処罰法違反(過失傷害)の罪で長泉町中土狩、中学教諭の女(48)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は昨年12月20日午後4時40分ごろ、三島市内で乗用車を運転中、横断歩道を歩行中の男性=当時(82)=に衝突しけがを負わせたとされる。
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露店不正出店主犯 懲役2年6月求刑 静岡地裁沼津支部公判
静岡県東部の祭り会場で露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪と覚醒剤取締法違反に問われた指定暴力団山口組藤友会元組員の無職の男(66)の論告求刑公判が静岡地裁沼津支部で開かれ、検察側は懲役2年6カ月を求刑した。判決は5月17日。 検察は被告が主犯格で、売上金のうち必要経費や共謀した妻(52)=詐欺罪で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決=らへの謝礼を除く金額を自身の借金返済などに充てていたことから、「利欲目的であったことは明らか」などと指摘した。弁護側は「コロナ禍で困窮していた」などと情状酌量を求めた。 起訴状などによると被告は昨年6~11月、暴力団員が実質経営する露店であることを隠して沼津
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車で3人死傷 運転者在宅起訴 静岡地検富士支部
静岡地検富士支部は27日、自動車運転処罰法違反(過失傷害と過失致死傷)の罪で、富士市の無職の男(85)を静岡地裁富士支部に在宅起訴した。 起訴状などによると、被告は昨年9月3日午後5時35分ごろ、同市内の道路で普通乗用車を運転し、別の車に衝突した。続けてブレーキとアクセルを間違えて踏み、同じ車にさらに衝突して、運転者の腰にけがを負わせた。その後、交差点角の歩道にいた男女2人に衝突し、男性を死亡させ女性に足の打撲などのけがを負わせたとされる。
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2人に有罪判決 露店出店権不正取得 静岡地裁沼津支部
静岡県東部の祭りで露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた指定暴力団山口組藤友会組員の無職の男(77)=事件当時富士市中里=と露天商の女(55)=同=両被告の判決公判で、静岡地裁沼津支部は27日、男に懲役2年、執行猶予5年、女に懲役2年、執行猶予4年(それぞれ求刑懲役2年)を言い渡した。 明日利佳裁判官は、「売上金を生活費や所属する暴力団への上納金に充てるための利欲的で悪質な犯行で、両名の刑事責任は重い」とした。一方、2人とも罪を認めている点などを理由に執行猶予を付けた。 判決によると、両被告は昨年6~11月、富士宮市の富士山本宮浅間大社秋の例祭など三つの祭りで共謀し、暴力団関係
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静岡の無許可盛り土 現旧社長が認める 地裁初公判
静岡市葵区の藁科川上流域に無許可で盛り土が造成された事件で、県砂防指定地管理条例違反の罪に問われた同区の残土処分会社「富田建材」と同社社長(41)=同区羽鳥5丁目=、父親で前社長(84)=同=の初公判が25日、静岡地裁(国井恒志裁判官)で開かれ、2人は「間違いない」と起訴内容を認めた。 盛り土は日向、杉尾の両地区に造成された。砂防法の盛り土規制区域「砂防指定地」に指定されていて、県の条例によって知事の許可なく土地の形状を変更する行為が禁止されている。 冒頭陳述で検察側は、前社長が日向地区で2004年ごろまでに盛り土などをするようになったと主張した。静岡土木事務所の職員が数回にわたり是正す
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懲役刑確定の静岡市職員失職
静岡市は25日、窃盗罪で執行猶予付きの懲役刑が確定した市保健福祉長寿局の40代男性職員が、地方公務員法の規定に基づき同日付で失職したと発表した。 男性職員は2021年9月に市役所静岡庁舎で、別の職員の机から現金5千円を盗んだとして同11月に逮捕され、同12月に起訴された。23年4月10日に静岡地裁で懲役1年、執行猶予3年の判決を受け、同25日に刑が確定した。 高田和昌市総務局次長は「再発防止策を徹底し、市民の信頼を早期に回復できるよう努める」とコメントを出した。
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沼津鉄道高架訴訟 元地権者らが上告
沼津市のJR沼津駅付近の鉄道高架事業は不要として、国や静岡県などを相手に事業認定の無効確認などを求めた元地権者らは25日、「事業の必要性は失われていない」とする一審静岡地裁判決を支持した東京高裁判決を不服とし、最高裁に上告したことを明らかにした。上告は3月30日付。 控訴審判決で高裁は、少子高齢化で市の人口や交通量が減少しても、鉄道高架化事業の必要性は失われず、事業継続に違法性はないとして原告の訴えを退けた。25日に市役所で開いた会見で原告代表の殿岡修さんは「証拠を示したが審理が尽くされなかった。市の経済状況を無視している」と話した。 原告側は上告趣意書を「5月半ばごろまでに提出する」と
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妻嘱託殺人の罪 51歳夫を起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は25日、沼津市高島町のホテルで妻を本人の依頼に応じ刺殺したとして、嘱託殺人の罪で東京都練馬区、無職の男(51)を静岡地裁沼津支部に起訴した。 起訴状などによると、被告は昨年10月25~27日、妻=当時(49)=に頼まれてホテルの一室で左胸を包丁で突き刺し、殺害したとされる。被告自身も腹部に重傷を負っていて、病院で治療を受けていた。 同地検は約4カ月にわたり被告を鑑定留置し、事件当時の精神状態を調べていた。
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追突後に車両盗み 逃走の男実刑判決 静岡地裁
島田市の新東名高速道で盗難車両で追突事故を起こし、後続のワゴン車を盗んで逃走したなどとして、窃盗と覚醒剤取締法違反の罪に問われた大阪市西成区、塗装工の男(43)の判決公判で、静岡地裁は24日、懲役3年6月(求刑懲役5年)を言い渡した。 谷田部峻裁判官は判決理由で、救助のために停車したワゴン車を乗り去った犯行について「非常に大胆で悪質性が高く、動機も自己中心的。被害者の善意を踏みにじり、強い非難に値する」と述べた。 判決によると、被告は仲間と共謀して2020年12月14日、千葉県柏市内で乗用車を盗んだ。島田市内の新東名高速道下りで、この乗用車で追突事故を起こし、救助のために止まった後続のワ
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調書追認裁判に閉塞感 民事経験 対話を大事に【最後の砦 刑事司法と再審⑧/第2章 語り始めた元裁判長㊥】
一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(86)の再審開始を2014年、静岡地裁の裁判長として決めた村山浩昭さん(66)=21年に定年退官、現弁護士=は、刑事裁判官のイメージが強い。 古くは富山地家裁の判事補時代、「赤いフェアレディZ事件」と呼ばれた富山・長野連続誘拐殺人事件。一人に死刑、共犯者とされた別の一人に無罪を言い渡した判決に関わった。東京地裁の裁判長として、秋葉原の無差別殺傷事件を審理したことでも知られる。 静岡地裁では、袴田さんの再審開始決定の半年ほど前に、覚醒剤の使用事件で静岡県警の違法捜査を理由とした無罪判決を書いている。<(警察官が)捜索に入るなり、いきなり
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再審進行、速やかに 高検に袴田さん弁護団
現在の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で、強盗殺人罪などで死刑判決が確定した袴田巌さん(87)=浜松市中区=の再審公判に向け、袴田さんの弁護団が20日、東京高検に申し入れ書を提出し、有罪立証の放棄と速やかな公判の進行への協力を求めた。 申し入れ書では、静岡地裁で10日に開かれた法曹三者協議の中で、検察が公判での立証方針を示すまで3カ月の期間を求めた点について、「検察は再審請求審で、全ての記録を十分に検討したはず。すでに方針が決められていることは間違いない。袴田さんが置かれている状況を全く考慮していない」と批判した。 提出後に記者会見した弁護団によると、申し入れ書を受け取った東京高検
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被告の運送業社長 カツオ盗認否留保 静岡地裁初公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた市内の運送会社「堀住運送」社長(61)=同市北新田=の初公判が20日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれ、弁護人は起訴内容について「認否を留保したい」と述べた。 弁護人は、検察側から19日に証拠が追加で開示されたと説明した。証拠の検討が終わっていないため、認否を留保すると伝えた。 起訴状によると、被告は焼津市の水産加工会社「マルテ小林商店」元役員(45)らと共謀の上、2021年3月11日、焼津漁港に水揚げされた冷凍カツオ約26トン(約425万円相当)を、同13日には約23トン(約360万円相当)を、同17日にも約28トン
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日弁連会長、検察けん制「有罪立証、諦めるべき」 袴田さん再審公判巡り
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(87)の再審公判を巡り、日本弁護士連合会の小林元治会長は19日、速やかな公判開始と無罪判決を求める声明を公表した。同日の定例記者会見で、小林会長は「これ以上、袴田さんに過酷な時間を強いてはいけない」と強調した。 再審公判の日程は決まっていない。静岡地裁と弁護団、地検による10日の3者協議で地検は立証方針を表明せず、7月10日までに明らかにする考えを示した。 声明は、事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで発見され、袴田さんの犯行着衣とされた「5点の衣類」について、第1次と2次の再審
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熱海土石流 盛り土公文書黒塗り外し、一部提供 熱海市が原告側に
熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、遺族、被災者が土石流の起点となった土地の現旧所有者や県、市に損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが19日、静岡地裁沼津支部であり、市側は関係者の氏名などが伏せられた盛り土に関する一部の公文書について、黒塗りを外した形で原告側に提供したことを明らかにした。原告側は7月19日の次回期日までに、県と市の公文書や独自に集めた証拠を基に主張をまとめて提出する。 協議は非公開。市が提供した公文書は、ホームページで公表している崩落した盛り土に関する部分。当初は被告の現所有者側からの申し立てを受け、同支部が提出を依頼していた。原告側も市に要請していて、市は「土石流発生原因
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植木鉢で女性殴る 傷害で男を起訴 地検浜松支部
静岡地検浜松支部は18日までに、女性の頭部を植木鉢で殴って殺害しようとしたとして殺人未遂の疑いで逮捕、送検された浜松市西区馬郡町、無職の男(69)を傷害の罪に切り替えて静岡地裁浜松支部に起訴した。地検支部は理由を明らかにしていない。起訴は17日付。 起訴状などによると、男は3月28日午前8時10分ごろ、同市西区内の空き地で、近くに住む女性=当時(71)=の頭部を植木鉢で殴打し、女性に全治約4週間のけがを負わせたとされる。
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ワクチン会場侵入 反ワク団体理事 弁護側は無罪主張 静岡地裁で初公判
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種会場に侵入したとして、建造物侵入の罪に問われた掛川市、反ワクチン団体「神真都(やまと)Q会」の理事の被告(49)の初公判が17日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。被告は起訴内容について「間違いない」と述べ、弁護側は医師に説明を求めるためといった正当な「訪問」だったとして無罪を主張した。 冒頭陳述で検察側は、会場正面に「ワクチン接種に来られた方以外の施設内への立ち入りはご遠慮ください」との立て札が置かれていたことなどを指摘した。 起訴状によると、被告は仲間と共謀の上、ワクチン接種の中止を求める目的で2022年3月13日午後、焼津市のワクチン接種会場
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生活保護訴訟巡り 支援団体署名提出 「公正判決」求め静岡地裁に
国が2013~15年に生活保護費の基準額を引き下げたのは生活保護法に違反するとして、県内の複数の受給者が掛川市などに減額処分の取り消しを求めた訴訟の判決公判(5月30日)が迫る中、原告の支援団体「生存権にかかわる裁判を支援する静岡の会」や弁護団が14日、公正な判決を求める要請書の署名3897筆を静岡地裁に提出した。署名集めは継続していく。 静岡市葵区で集会も開き、同会共同代表で弁護団長の大橋昭夫弁護士は「静岡地裁にも受給者の実態を理解してもらい、良い判決を出してほしい」と訴えた。同会や協力団体メンバーら約70人のほか原告の受給者も駆けつけた。 同様の訴えは全国29地裁に起こされた。一審判
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露店不正出店 女に有罪判決 地裁沼津支部
静岡県東部の祭り会場で露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた清掃員の女(52)=裾野市公文名=に対し、静岡地裁沼津支部は14日、懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)を言い渡した。 室橋秀紀裁判官は判決理由で、計画性と高額の売り上げを指摘し「必要不可欠な役割を果たした」と断じた。一方、従属的な役割であることなどを考慮し、執行猶予が相当とした。 判決によると、女は昨年6~8月、夫で指定暴力団山口組藤友会組員の男(66)=詐欺罪で公判中=が実質経営する露店であることを隠し、沼津市の「沼津夏まつり」と三島市の「三嶋大祭り」の主催団体に申込書などを提出し、出店権利をだまし取った。
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証拠隠しが誤判を生む 再審長期化 体質見直せ 名張毒ぶどう酒事件弁護団長・鈴木泉弁護士【最後の砦 刑事司法と再審/番外編 インタビュー㊦】
袴田事件の再審開始決定に検察が特別抗告する公算が大きくなる中、検察官抗告の是非が問われている。1961年に三重県で起きた名張毒ぶどう酒事件の再審請求では、無実を訴え続けた奥西勝元死刑囚が請求中に獄中で死亡した。約40年にわたり再審弁護を続ける鈴木泉弁護団長は「検察と裁判所の体質を見直さない限り冤罪(えんざい)はなくならない」と指摘する。 -名張事件では、弁護団が発掘した新証拠から一度は再審開始が出た。しかし検察の異議申し立てにより開始決定が取り消された。 「5次再審の歯形鑑定、再審開始決定につながった7次の毒物鑑定は大きな成果だった。科学はうそをつかない。ただ、異議審で開始決定を取り消し
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事故偽装し詐欺 男に有罪判決 静岡地裁浜松支部
飲酒運転の絡む交通事故を自作自演し、同乗の女性から示談金をだまし取ったなどとして、詐欺などの罪に問われた住所不定、無職の男(22)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は13日、懲役2年8月、保護観察付き執行猶予4年(求刑懲役3年)を言い渡した。 高島由美子裁判官は判決理由で「分け前欲しさの犯行で約90万円を得た」と指摘し、事故偽装では仲介役をするなど「重要な役割を果たしていて相応に厳しい非難に値する」と断じた。一方、共犯者が被害弁償を済ませたこと、今後は共犯者ら事件関係者と交際しないと約束している事情などを考慮し、保護観察付き執行猶予が相当とした。 判決によると、仲間と共謀して2022年8月1
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焼津カツオ盗の3被告に懲役2年6月求刑 静岡地裁公判
焼津市の焼津漁港に水揚げされたカツオの窃盗事件で、窃盗の罪に問われた神奈川県の運送会社元社長(49)と焼津市の水産加工会社元社長(57)、都内の水産加工会社元焼津営業所長(47)の論告求刑公判が12日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で開かれた。検察側は3被告にいずれも懲役2年6月を求刑した。 論告で検察側は「継続的・常習的な犯行で、自己あるいは会社の利益を得るためという利欲的な動機に酌量の余地はない」と指摘した。最終弁論で神奈川県の運送会社元社長と都内の水産加工会社元焼津営業所長の弁護人は執行猶予付きの判決を求め、共謀を否認している焼津市の水産加工会社元社長の弁護人は「共謀を裏付ける証拠はない
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露店不正 組員ら懲役2年を求刑 地裁沼津支部公判
静岡県東部の祭りで露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた指定暴力団山口組藤友会組員の無職の男(77)=事件当時富士市中里=と露天商の女(55)=同=両被告の論告求刑公判(明日利佳裁判官)が12日、静岡地裁沼津支部で開かれ、検察側は2人に懲役2年を求刑した。判決は27日。 検察側は論告で女が露店営業を取り仕切り、売り上げを男が管理していたと説明。「暴力団の上納金を確保する目的もあった。出店した露店で高額な利益を得ていた」と指摘した。弁護側は執行猶予付きの判決を求めた。 起訴状などによると、両被告は昨年6~11月、富士宮市の富士山本宮浅間大社秋の例祭など三つの祭りで共謀し、暴力団関
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住宅放火などの罪 藤枝の消防士起訴 静岡地検
静岡地検は12日、非現住建造物等放火と詐欺未遂の罪で、藤枝市稲川1丁目、静岡市消防局の消防士(26)を静岡地裁に起訴した。 起訴状によると、消防士は2022年12月2日正午ごろ、所有する藤枝市内の木造2階建て住宅に放火し、全焼させたとされる。また、この火災について、都内の損害保険会社に虚偽の事故状況を申告して保険金を請求し、不慮の事故による火災と誤信させてだまし取ろうとしたとされる。
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役所で5000円窃盗 静岡市職員、有罪 地裁判決
静岡市役所静岡庁舎で職員の机から現金5千円を盗んだとして、窃盗の罪に問われた伊豆市熊坂、静岡市職員(40)=休職中=の判決公判で、静岡地裁は10日、懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。 谷田部峻裁判官は判決理由で、心神喪失か心神耗弱の状態だったとする弁護側の主張について、医師の証言などを踏まえ「何らの精神障害にも罹患(りかん)していなかった」と否定した。その上で、大胆で悪質な犯行と指摘し「被害金額は多額とは言えないが、軽視できない」と述べた。 判決によると、市職員は2021年9月30日午後11時20分ごろ、静岡市役所静岡庁舎で、男性職員が使う机の引き出しに保管されてい
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袴田さん再審決定文 ようやくウェブに掲載 静岡地裁
裁判をやり直す再審公判を控える元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審開始と死刑・拘置の執行停止を認めた2014年の静岡地裁決定(村山浩昭裁判長)について、地裁は11日までに裁判所のウェブサイトに全文を掲載した。支援団体が載せるよう求めていた。 袴田さんの第2次再審請求を巡り、静岡地裁決定を取り消した18年の東京高裁決定と、審理不尽の違法があるとして高裁に差し戻した20年の最高裁決定は裁判所のウェブサイトに載っている一方、地裁決定のみ不掲載の対応が続いていた。 各地の支援団体で組織する「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」は21年と再審開始確定後の今年3月、掲載するよう地裁に要請。4日
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静岡人インタビュー「この人」 賀茂地域の課題解決に取り組む弁護士 三森祐二郎さん(河津町)
弁護士の過疎地域の解消を狙いに、日本弁護士連合会などが支援し運営する下田ひまわり基金法律事務所の7代目所長。当地ならではの問題解決に汗をかく。横浜市出身。52歳。 -賀茂地区の印象は。 「昨秋に赴任したが、住民の高齢化に伴う財産管理が大きな問題になっている。認知症で管理できなくなったり、家族が近くにいなかったりするケースが多い。バブル期に購入されたリゾートマンションの管理費滞納も課題の一つだ」 -なぜ弁護士を志したのか。 「元々は東京地裁や最高裁で事務官や書記官を務めていた。裁判前の権利手続きの担当や、国会議員との調整役を任されていたが、弁護士が依頼者に信頼され仕事をする姿を間近で目
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袴田さん弁護団「心外」 3者協議開始 検察の態度を批判
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決を受け、今年3月に裁判のやり直し(再審)が確定した袴田巌さん(87)の再審公判に向けた法曹三者の協議が10日、静岡地裁でスタートした。有罪の主張・立証をするかどうかの方針を3カ月後まで示すことができないとした検察側に対し、早期の再審無罪と謝罪を求めている弁護団は「誠に心外だ」(西嶋勝彦団長)と反発した。 「全くの予想外。憤りを感じている」。1時間を超える3者協議の終了直後、弁護団の小川秀世事務局長は地裁前で報道陣の取材に応じ、検察側が態度を留保したことを批判した。 やりとりの中で、確定記録が静岡地検ではなく
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検察や裁判官に謝罪要求 袴田さん再審公判、弁護団方針
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑判決が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直す再審公判を巡り、弁護団が、袴田さんは捏造(ねつぞう)された証拠で死刑囚にさせられてきたとして、検察官と裁判官に長年の判断の誤りを謝罪するよう求めることが7日、関係者への取材で分かった。 再審公判に向けた弁護団と静岡地裁、静岡地検による3者協議が10日に地裁で開かれる。弁護団と地検の主張方針を確認し、公判日程などが話し合われる。 弁護団は速やかに無罪判決を得るため、即日結審を要望する。一日で検察側の論告求刑や弁護側の最終弁論まで行うことが難しい場合でも、判決を含め「
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御殿場男性暴行死 傷害致死罪で起訴 地検沼津支部
静岡地検沼津支部は7日、殺人の疑いで逮捕、送検された小山町菅沼、とび職の男(26)を傷害致死罪で静岡地裁沼津支部に起訴した。地検支部は罪名変更について「捜査によって得られた証拠で判断した」としている。裁判員裁判の対象。 起訴状によると、被告は3月16日午後7時45分ごろ、御殿場市内の会社の資材置き場で、地面にひざまずいた状態の同市新橋、会社員の男性=当時(30)=の頭部に角材のようなものを振り下ろして殴る暴行を加え、脳挫傷により死亡させたとされる。
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女性殺害罪で男起訴 沼津の遺棄事件 地検浜松支部
知人女性を殺害し、遺体を自宅で切断したなどとして静岡地検浜松支部は5日、殺人と死体損壊、死体遺棄の罪で沼津市真砂町の会社員の男(31)を静岡地裁浜松支部に起訴した。裁判員裁判の対象になる。地検浜松支部は、殺害後に遺体を糸のこなどで切断し、ごみ袋に入れて遺棄したとみている。 起訴状によると、被告は2月21日、静岡市内の農道付近に駐車した乗用車内で、磐田市岩井の会社員の女性=当時(33)=の頭部などを鉄製ハンマーで複数回殴った上、充電ケーブルを巻き付けて首を絞めて殺害したとされる。翌日には沼津市内の自宅で遺体を、糸のこなどを使って切断し、ごみ袋に分け入れて自宅3階バルコニーのコンテナ箱や、自宅
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決定文ウェブ掲載 「地裁が適切判断」 袴田さん再審で最高裁
最高裁の小野寺真也総務局長は4日の衆院法務委員会で、袴田巌さん(87)の再審開始と死刑・拘置の執行停止を認めた2014年の静岡地裁(村山浩昭裁判長)による決定文の裁判所ウェブサイトへの掲載について「決定が確定したことを踏まえ、静岡地裁が適切に判断する」と述べた。立憲民主党の米山隆一氏(新潟5区)への答弁。 小野寺氏は答弁の中で、最高裁は14年当時、刑事再審請求事件のウェブサイトへの掲載基準を明示していなかったと説明した。最高裁は17年、決定告知日の翌々日までに日刊紙2紙が決定を掲載した場合を掲載基準に定めた。 今年3月の東京高裁の再審開始決定を受け、袴田さんの支援団体が静岡地裁にウェブサ
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労組費4600万円着服か マックスバリュ東海 元常任顧問を提訴
食品スーパー「マックスバリュ(MV)東海」(浜松市東区)の労働組合で常任顧問を務めていた女性が少なくとも約4600万円の組合資金を着服した疑いがあることが31日、関係者への取材で分かった。組合は同日までに、女性に約5千万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁浜松支部に起こした。 提訴したのは「MV東海MYユニオン」で、2月17日付。代理人弁護士や訴状によると、元常任顧問の女性は2018年~19年ごろ、組合に帰属する資金を複数回にわたって口座から引き出し、消失させたとしている。組合の一般会計に計上されない四つの口座を使い分け、有価証券の配当金や、組合オリジナルグッズの売上金などを引き出したとされ
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沼津の女子大生刺殺事件 懲役20年確定
沼津市で2020年6月、大学2年の女子学生=当時(19)=を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われた同級生の被告(22)について、懲役20年とした一審判決を支持した東京高裁判決が30日、確定した。期限の29日までに被告側、検察側が上告しなかった。 控訴審で検察側は、他のストーカー殺人事件の量刑傾向を示し「無期懲役が相当」と主張したが、高裁判決は検察側が示したのは被害者が2人のケースなどで「悪質性が異なる」と退けた。東京高検の山元裕史次席検事は29日、「適法な上告理由が見いだせなかった」として上告断念を明らかにしていた。 判決によると、20年6月27日、沼津市の駐車場に
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3者協議、4月10日に 袴田さん再審公判へ初 静岡地裁
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)が認められた袴田巌さん(87)の弁護団は29日、再審公判に向けた静岡地裁、静岡地検との3者協議が4月10日午後に地裁で開かれることが決まったと明らかにした。 検察側は協議の中で、再審公判で有罪立証するかどうかの方針を示すとみられる。弁護団は早期の無罪判決を求めていく。笹森学弁護士は、再審開始の確定から3週間で初回の協議が開かれることについて、自身も関わり再審無罪となった「足利事件」と比較しながら「相当早い」と述べた。 事件では、発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで血痕の赤
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上告断念、遺族「納得いかず」 沼津女子大生ストーカー殺人 二審で懲役20年
沼津市西浦久連で2020年6月、大学生の女性=当時(19)=を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反の罪に問われた同級生の被告(22)を一審に続き懲役20年とした東京高裁判決について、東京高検は29日、上告を断念したと明らかにした。検察側は控訴審で無期懲役が相当と主張していた。 高検の山元裕史次席検事は「判決内容を十分に検討したが、適法な上告理由が見いだせなかった」とした。遺族は「懲役20年は到底納得がいかない。上告断念は非常に残念」とのコメントを出した。判決によると、被告は20年6月27日午後、沼津市内で女性の腹を包丁で突き刺した上、逃げる女性を路上に転倒させ、首や背中を複数回刺して
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袴田さん釈放9年 静岡地裁決定のウェブ掲載、支援団体が再要請
現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)が釈放されて27日で9年となった。袴田さんの再審開始と死刑・拘置の執行停止を認めた2014年の静岡地裁決定(村山浩昭裁判長)は裁判所のウェブサイトに載っておらず、袴田さんの支援団体は同日、地裁に「日本の刑事裁判史上極めて重要な判例となった村山決定は特筆に値し、広く一般に公開されてしかるべき」として掲載するよう再要請した。 地裁決定を取り消した18年の東京高裁決定と、審理不尽の違法があるとして高裁に差し戻した20年の最高裁決定はウェブサイトに載っている。支援団体によると、21年にも掲載を要請したが、地裁は
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露店不正出店 懲役1年求刑 地裁沼津支部公判
静岡県東部の祭り会場での露店出店権を不正取得したとして、詐欺罪に問われた清掃員の女(52)=裾野市公文名=の論告求刑公判が27日、静岡地裁沼津支部(室橋秀紀裁判官)で開かれ、検察側は懲役1年を求刑した。判決は4月14日。 検察側は論告で、暴力団員のため出店許可を得られない指定暴力団山口組藤友会組員の無職の女(66)=詐欺罪で公判中=にとって「必要不可欠な役割を果たしており、責任は重い」と指摘。弁護側は「売上金は一括して富美夫被告に渡している」として情状酌量を求めた。 起訴状などによると、女は昨年6~8月、暴力団員が実質経営する露店であることを隠し、「沼津夏まつり・狩野川花火大会」と三島市
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冤罪の叫び 司法に届かず【最後の砦 刑事司法と再審/緊急連載 抗告断念㊦】
「検察がてんびんにかけたのは、袴田さんの早期救済ではない。メンツのために特別抗告するか、それとも世論のハレーションを避けるか、というてんびんだった」。日本弁護士連合会再審法改正実現本部の鴨志田祐美本部長代行(京都弁護士会)はそうみている。 みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審開始を東京高裁が認めた13日、検察は最高裁に特別抗告すると多くの関係者が予想した中、鴨志田さんは「50%」と読んだ。 再審開始決定に対する検察の不服申し立てが再審の実現を妨げているとの批判は根強い。不備が指摘される再審法(刑事訴訟法の第4編再審)の改正を求める声の高まりを受
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ねつ造 袴田さんが指摘【最後の砦 刑事司法と再審/緊急連載 抗告断念㊥】
1966年にみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で、重要証拠が捏造(ねつぞう)された可能性を誰よりも早く指摘していたのは、死刑が確定した袴田巌さん(87)自身だ。 83年1月、東京拘置所から弁護団の田中薫弁護士に宛てたはがきにも〈血染めのズボン等についての私に対するねつ造〉と書いている。 事件から1年2カ月後、現場近くのみそタンクからシャツやズボンなど「5点の衣類」が見つかる。血痕には赤みが確認できた。一方、袴田さんの再審開始を認めた13日の東京高裁決定は、専門家の化学的知見を踏まえ、1年以上みそに漬かった衣類の血痕に「赤みは残らない」と判断した。 発見直前に隠された可能性が高ま
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社説(3月23日)検察が抗告断念 再審公判の早期開始を
現在の静岡市清水区で1966年6月、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件を巡り、死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判やり直し(再審)開始を認めた東京高裁決定に対し、東京高検は最高裁への特別抗告を見送った。高裁での差し戻し審を経て、閉ざされていた再審の扉がようやく開いた。 差し戻し審では、弁護側は争点となった「衣類の血痕の赤み」について、赤みが消失する化学的な仕組みを説明し、確定判決が「犯行着衣」と認定した衣類5点の証拠能力に疑いがあることを明らかにした。検察側に有罪を維持できる根拠は乏しく、静岡地裁で開かれる再審公判では無罪判決が言い渡される公算が大きいとみられている。 開始日時
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無罪へ前進「うれしい」 小さな声、大きな力に 袴田さん再審確定【最後の砦 刑事司法と再審/緊急連載 抗告断念㊤】
「えぇー。私が袴田巌でございます」 拍手で迎えられた。 静岡市葵区の静岡労政会館。21日、再審開始確定後初めての集会が開かれた。 「竜との闘いでありますので、みんなの協力があって勝ち抜ける。よろしくお願いします」 袴田巌さん(87)は支援者が差し出したマイクを手に一気に話すと、さっさと壇上から降りた。会場に入ってから、わずか3分間の出来事だった。 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定したが、2014年の静岡地裁に続き東京高裁が裁判のやり直し(再審)を認め、検察当局が20日、最高裁に不服を申し立てることを断念した。 静岡地裁の決定を
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袴田さん無罪の公算 再審開始が確定 検察、特別抗告断念 死刑事件で戦後5件目
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、裁判のやり直し(再審)を求めてきた元プロボクサー袴田巌さん(87)の差し戻し後の即時抗告審で、東京高検は20日、再審開始を認めた東京高裁決定について、最高裁に特別抗告しないことを明らかにした。再審開始が確定し、今後、静岡地裁での再審公判に移行する。事件から57年。袴田さんに無罪判決が言い渡される公算が極めて大きくなった。 戦後の死刑確定事件のうち再審が開始されるのは5件目で、89年に静岡地裁で再審無罪となった「島田事件」以来となる。先の4件は全て再審無罪に至った。 東京高検の山元裕史次席検事は記者会見
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「早く無罪に」決意新た 弁護団、抗告断念にうれし涙 袴田さん再審確定【動画あり】
当然の判断だと分かってはいても目にはうれし涙が浮かんだ。一家4人を殺害したとして死刑が確定し、無実を訴えて裁判のやり直し(再審)を求めてきた袴田巌さん(87)の再審開始が20日、検察の特別抗告断念によって確実になった。弁護団は都内で記者会見を開き、二人三脚で取り組んできた支援者に感謝。「袴田さんを早く無罪にしてあげたい」と決意を述べた。事件から半世紀余り。姉のひで子さん(90)は満面の笑顔を見せた。 特別抗告期限を踏まえ、会見は午後4時半に設定されていた。検察の断念が弁護団に伝わったのは、そのわずか1分前。小川秀世事務局長の携帯電話に担当検察官から連絡が入った。 「特別抗告を断念するのか
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半世紀余「長かった」 世論喚起した支援者ら歓喜 袴田さん再審確定
「ノックアウトで勝利」 「やった、やった。長かった」―。検察が特別抗告を断念したとの一報が記者会見場に入ると、「袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会」の山崎俊樹事務局長(69)は声を上げた。 山崎さんは、みそタンクから見つかり犯行着衣とされた「5点の衣類」の不自然さを20年以上にわたって追及してきた。弁護団の実験を主導。みそ漬けの血痕が短期間で黒色化することを示した実験報告書は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」と評価され、その成果は袴田巌さんの再審開始に結びついた。 20日も検察の庁舎に出向き、弁護団や他の支援者とともに特別抗告を断念するよう要請行動を展開。再審開始の確定を「