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浜松・産廃場設置許可 取り消し訴訟 原告の請求棄却 静岡地裁

 浜松市浜名区引佐町奥山でミダック(同市中央区)が運営する産業廃棄物最終処分場を巡り、地滑り事案があったにもかかわらず災害対策が不十分などとして地元住民らが設置許可処分を決定した市に許可取り消しを求めた訴訟の判決で、静岡地裁(菊池絵理裁判長)は29日、原告の請求をいずれも却下、棄却した。原告側は控訴する方針。

横断幕を掲げてデモ行進する原告団=29日午後、静岡市葵区
横断幕を掲げてデモ行進する原告団=29日午後、静岡市葵区

 原告側は、2018年7月に処分場計画地(当時)で発生した土砂災害が深層崩壊で、深層部の風化基盤を放置していることから周辺住民の生命や生活に多大な影響が生じる恐れがあるなどと主張していた。菊池裁判長は判決理由で、処分場では斜面崩壊の防止対策が計画されていると指摘。工学博士らの意見書に基づき「土砂災害は斜面崩壊と評価でき、深層崩壊であることを裏付ける的確な証拠はない」とした。
 原告団が判決後に開いた記者会見で、代理人の籠橋隆明弁護士は「現場は新たに地面が滑りつつあり危険な状態。市民の権利を守る姿勢が欠けている」と批判した。鈴木邦和団長は「大変不当な判決」と憤った。一方、市産業廃棄物対策課は「本件許可にかかる市の判断の適法性が認められたと理解している」とコメントした。
 同処分場の建設を巡っては、ミダックと一部住民が対立し、市が条例に基づきあっせんを実施したが、17年9月に打ち切りになった。市は18年12月、ミダックに施設設置を許可。住民らは20年1月に同地裁に提訴した。

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