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最高裁「性別変更に手術要件」で近く憲法判断 静岡家裁浜松支部が初の「違憲」

 戸籍上は女性で性自認が男性の当事者が性別適合手術をしないまま、戸籍上の性別変更を求めた静岡家裁浜松支部への申し立てで、同支部は12日、手術を求める現行法の規定は「憲法違反で無効」との判断を示し性別変更を認めた。性別変更に関して性同一性障害特例法が規定する手術要件を巡っては、今回と別の当事者が違憲性を訴えている同種の家事審判で最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)が近く憲法判断を示す見通しになっている。最高裁は2019年に「現時点では合憲」としながら、社会状況が将来的に変化した場合などは判断が変わる可能性を指摘しており、結論に注目が集まる。
 最高裁大法廷での審判は9月に弁論が開かれている。当事者は西日本在住で戸籍上は男性、性自認が女性の社会人。手術は過大な身体的、経済的負担を強いるとして「憲法が保障する個人の尊重や法の下の平等に反する」と主張している。
 さらに長年のホルモン療法による生殖機能の減退などを挙げ、手術を経ずに性別変更を求めている。家裁、高裁段階ではいずれも手術を受けていないことを理由に性別変更が認められていなかった。
 最高裁が同種審判で19年に出した決定では、手術について「意思に反して身体への侵襲を受けない自由を制約する面もあることは否定できない」と言及。一方で、手術をしない場合「性別変更前の生殖機能で子が生まれると、社会に混乱を生じさせかねない」といった理由で、手術要件を合憲と判断していた。
 ただこうした混乱への配慮の必要性は、性別の取り扱いや家族制度の理解などに対する社会の変化によって変わりうるとして「憲法適合性は不断の検討を要する」とも指摘。裁判官4人中2人は個別意見で「違憲の疑いが生じていることは否定できない」と警鐘を鳴らした。

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