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袴田巌さん再審 初公判タイムライン速報

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審初公判が27日午前11時から静岡地裁で始まりました。現場で取材する静岡新聞の記者が、タイムライン形式でお伝えします。(※更新終了)


 

午前8時 支援者集合

 傍聴整理券の配布を前に袴田巌さんの支援者約30人が静岡地裁前に集まった。「袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会」の事務局長山崎俊樹さん(69)は「やっと再審の日を迎えた。歴史的な場面にぜひ立ち合いたい」と語った。

8時15分 整理券の配布を待つ傍聴希望者

整理券の配布で並ぶ傍聴希望者=午前8時20分、静岡地裁

 一般傍聴席の整理券配布を求めて静岡地裁前に約50人が列を作った。列に並んだ支援者の男性は傍聴席の拡大が実施されなかったことについて「全国から集まった人が入れないのでは」と苦言を呈した。

8時30分 整理券の配布始まる

傍聴券を求める人たち。午前8時36分

 静岡地裁前で傍聴整理券の配布が始まった。浜松市東区の伊藤耕一さんは「もし傍聴できたら検察官の立証する様子や裁判官の顔色など、その場の様子をしっかり見たい」と話した。

8時50分ごろ ひで子さん出発「やっと始まる」

 袴田巌さんの姉・ひで子さんが浜松市中区の自宅を出発し、静岡地裁へと向かった。出廷免除が決まった巌さんに代わって陳述する。笑顔で取材に応じたひで子さんは「57年戦ってやっと始まる。初めての裁判だが、びくともしてない。巌の無罪を望んでいる」と語った。

足利事件の菅家さん「警察、検察は袴田さんに謝罪を」

 足利事件で再審無罪になった菅家利和さん(77)は静岡地裁の前で「警察、検察は袴田さんは無実だと分かっているはずだ。ごねているだけ。言葉は悪いが、謝罪しなければ人間じゃない」

9時45分 抽選結果発表

傍聴券の当選発表=午前9時46分、駿府城公園
 
傍聴券の番号を確認する人々

 駿府城公園で一般傍聴席26席の抽選結果が発表された。整理券は280枚配布され、当選倍率は約10・7倍。当選した会社員の木下佳威さん(30)=富士市=は「まさか当たるとは。裁判で真実を知りたいし、検察がどんな有罪立証をするのか注目したい。国民の知る権利を担保するためにも1号法廷を使うべきだった」

10時15分 ひで子さん、静岡地裁に到着

地裁に入る前のひで子さんと弁護団ら=午前10時28分
 
静岡地裁に入る前のひで子さん、弁護団ら=午前10時24分
 
静岡地裁前で支援者と話をかわす袴田ひで子さん

 ひで子さんと弁護団が静岡地裁に到着。支援者らと言葉を交わし、10時半ごろ地裁に入った。

10時40分 支援者が無罪訴え

袴田さんの無罪を訴える支援者ら=午前10時40分、駿府城公園西門橋
 
青葉シンボルロードで袴田さんの早期再審無罪判決を訴える街頭演説を行う支援団体 午後0時17分
 
青葉シンボルロードで袴田さんの早期再審無罪判決を訴える街頭演説を行う支援団体 午後0時28分

 静岡地裁前では支援団体が袴田さんの無罪を訴えた。京都から訪れた女性は「判決は無罪しかあり得ない。再審までのプロセスは日本の制度の問題を表してる。今日の裁判が(日本の再審制度の)歴史が変わった一丁目一番地になる」と訴えた。
 正午からは静岡市葵区の青葉シンボルロードで袴田さんの早期の無罪判決を訴える街頭活動を行った。支援者が歩行者にチラシを手渡したり、署名を求めたりした。

11時 公判始まる

 袴田巌さんの再審初公判が開廷した。出廷免除を認められている巌さんに代わって、姉ひで子さんが補佐人として出廷した。国井恒志裁判長が再審公判に至るこれまでの経緯を説明した後、巌さんの出廷を免除した理由を口述。9月下旬に巌さんと面会し、被告人である自身の立場を理解できず、意思疎通が困難であることなどを挙げた。

【公判】11時12分 ひで子さんが意見陳述「巌に真の自由を」

巌さんの補佐人として再審初公判に臨む姉のひで子さん=27日午前、静岡地裁

 補佐人の立場で出廷したひで子さんが意見陳述。証言台の前で、時折声を上ずらせながら紙を読み上げた。「1966年11月15日、静岡地裁の初公判で弟の巌は無実を主張いたしました。それから57年、紆余曲折、艱難辛苦がありました。本日、巌に代わって無実を主張いたします。長きにわたる裁判で裁判所、弁護人、検察の方々には大変お世話になりました。どうか巌に真の自由をお与えくださいますようお願いいたします」

【公判】11時40分 冒頭陳述 検察「5点の衣類は被告人が着用し隠した」

 冒頭陳述が終わり、検察側は「犯人がみそ工場関係者と強く推認される上、犯人の行動を被告人(※袴田巌さん)が取ることは可能だったこと」「5点の衣類は被告人が着用していたもので、事件後に被告人がみそタンクに隠したこと」「被告人が犯人であると考えられるその他の事情が存在すること」の3点に分けて説明した。

【公判】11時42分 弁護側冒頭陳述「有罪立証放棄を」

証言台で冒頭陳述する弁護団の小川英世事務局長と、見守る袴田さんの姉ひで子さん=27日午前、静岡地裁

 弁護団の小川秀世事務局長が証言台に立った。事件は当初から捜査機関が証拠を捏造し、袴田巌さんを犯人に仕立ててきたと改めて主張。「今の検察官がすべきは有罪立証を放棄することだ」と声を強めた。 「裁かれるべきは警察であり、検察であり、弁護人であり、裁判所、ひいては我が国の司法制度も裁かれるべきだ」とも。

巌さん 浜松の自宅で過ごす

 

 巌さんは浜松市中区の自宅などで、普段と変わらない様子で過ごしている。支援者によると、午前9時45分ごろに起床し、10時半ごろに朝食をとった。ブドウや柿など、好物のフルーツ盛り合わせを味わった。午後に入り、テレビも視聴した。

【公判】午後0時14分 休廷

 国井裁判長が休廷を宣言。再開は午後1時15分。

【公判】1時17分 再開

 審理が再開した。検察側は一つ目の主張「犯人がみそ工場関係者であることが推認される上、被告人が犯人の行動をとることは可能であった」点について冒頭陳述した。

2時10分 巌さん、ドライブに出発

支援者と日課のドライブに出発する袴田巌さん 午後2時10分
 
支援者と日課のドライブに出発する袴田巌さん 午後2時10分

 袴田巌さんが浜松市中区の自宅を出て、支援者の運転する車で日課のドライブに出発した。車内では、うちわであおぐ様子が見られた。

【公判】2時45分 再び休廷

 再び休廷。検察側の「犯人がみそ工場関係者であることが推認される上、被告人が犯人の行動をとることは可能であった」とする主張に関する証拠の説明が続いている。再開は午後3時15分。

【公判】3時15分 審理再開 検察の冒頭陳述続く

 審理再開後も検察側の冒頭陳述が続いた。検察官は、犯人は雨合羽を着て現場に行ったとされること、放火には混合油が使われたとされることなどを指摘。事件当夜、工場の10畳間に1人でいた被告人(袴田巌さん)に、これらの行動が可能だと述べた。冒頭陳述の後は証拠調べ手続きを行った。検察側の主張を裏付ける捜査報告書や供述調書などの証拠について要旨を説明した。ひで子さんは時折、手元のモニターを食い入るように見つめながら、検察官の説明に聞き入った。

4時53分 審理終了

静岡地裁前で報道陣の質問に答えるひで子さん=午後5時10分
 
静岡地裁を出るひで子さん=午後5時1分

 午後4時53分、審理が終了。次回期日は11月10日。ひで子さんと弁護団は地裁を出て記者会見場に移動した。ひで子さんは報道陣に初公判の感想を聞かれると、「こんなもんかという感じ。初公判というものは初めてだったが、私は聞いていただけなので。(罪状認否は)一生懸命話した」と話した。巌さんに代わって話したことについて「しっかり言えた。良かったと思う」と話した。表情は落ち着いていて、疲れは感じさせなかった。

5時26分 弁護団が記者会見

会見するひで子さん
 
会見するひで子さんと弁護団

 審理終了後、弁護団が記者会見した。弁護団団長の西嶋勝彦弁護士は「何も(有罪)立証をしていなかった」と断じ、小川秀世弁護士は「何のための公判だったのか。有罪立証を放棄すべきだった」と憤った。ひで子さんは意見陳述で述べた無罪の訴えを改めて読み上げ、検察の冒頭陳述を聞いた感想を「これでは(再審までに)57年もかかるわけだ」と批判した。公判中の検察の様子について、角替清美弁護士は「袴田さんが犯人らしいという印象操作をして、自分(検察)たちは間違っていなかったことを示したかったようだった」とうがった。

7時17分 巌さん帰宅

ドライブを終え、支援者に支えられながら自宅へ向かう袴田巌さん(中央)=午後7時16分、浜松市中区

 午後7時17分、ドライブに出掛けていた巌さんが帰宅した。同行した支援者によると、天竜川の堤防など浜松市周辺を巡った後、JR浜松駅の飲食店で夕食のウナギを味わったという。

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