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県立高の卒業認めない対応「違法」 静岡地裁判決 県に支払い命令

 静岡県立高の退学処分が執行停止状態だった元生徒に対し、卒業式に出席させず卒業証明書も交付しなかった高校の対応は違法だとして元生徒が静岡県に損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁(日野直子裁判長)は21日までに元生徒側の訴えをほぼ認め、県に33万円の支払いを命じた。15日付。
 判決によると、元生徒は県立高の水泳部に所属する3年生だった2021年、大会に出るための宿泊先の浴場で他の男子部員と女湯をのぞいたり盗撮したりした事件に関与したとして、9月に退学処分を受けた。元生徒らは同月、退学処分の取り消しを求めて静岡地裁に提訴し、地裁は判決が確定するまで処分の効力を停止する決定を10月に出した。元生徒は通学を続けて卒業に必要な単位を取得したが、校長(当時)は判決が確定するまで退学処分と矛盾する対応はできないとして、卒業認定をしなかった。地裁は元生徒について、事件への関与は否定できない一方で実際ののぞきや盗撮の行為は認められなかったとして、22年2月に退学処分を取り消す判決を出した。元生徒側と県の双方が控訴したが、東京高裁はいずれも棄却し、11月に判決が確定した。
 日野裁判長は今回の判決理由で、元生徒は事件への関与を除いて素行不良など卒業認定を否定すべき事情は見受けられないと指摘。「退学処分が取り消されていなくても効力が停止されている以上、卒業認定は妨げられない」などとして、適法だとする県側の主張を退けた。
 元生徒は22年12月、同校で行われた単独の卒業式で卒業証書を受け取ったという。静岡県教委高校教育課は取材に「現段階でお答えすることはない」としている。

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