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再審法改正項目提言へ 日弁連30年ぶり意見書 「今春公表」検討

 日本弁護士連合会が、不備が指摘される再審法(刑事訴訟法の第4編再審)の改正意見書を今春にも公表する方向で検討していることが29日、関係者への取材で分かった。改正意見書は約30年ぶりとなる。再審請求審での証拠開示手続きの法制化や再審開始決定に対する検察官抗告の禁止をはじめ、再審開始の要件緩和や請求権者の範囲拡大など幅広く提言する見通しだ。
 具体的には、再審開始要件の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとき」の「明らかな証拠」を「事実の誤認があると疑うに足りる証拠」に緩和するほか、重大な憲法違反を理由とした再審開始も認めるべきと提案。日弁連や各地の弁護士会が公益的再審請求人になれるように求め、国選弁護人制度の導入も盛り込んでいく方針。
 刑訴法の500を超える条文のうち、再審に関する規定は19カ条にとどまる。再審請求の審理手続きについては、裁判所は必要に応じて事実の取り調べができるとあるのみ。具体的なルールが乏しく、裁判官の姿勢によって「格差」が生まれているとの批判もある。
 日弁連は1962、77、85、91年に再審法改正要綱や改正意見書をまとめているが、一度も改正に至っていない。2022年6月、小林元治会長を本部長とする「再審法改正実現本部」を新設した。改正法案作成部会や国会対策部会などを置き、法制度の充実に向け活動を活発化させている。
 一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(86)の第2次再審請求審では、静岡地裁が14年に再審開始を決めた。ただ、検察官が決定を不服として即時抗告したため、確定していない。また、検察官が裁判所に提出してこなかった証拠が600点以上も開示され、取り調べの録音テープなどが出てきたが、現行の再審法には検察官に開示を義務付ける規定がないなど、不備が浮き彫りになっている。

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