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袴田さん再審 きょう27日初公判【最後の砦 刑事司法と再審】

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定後、今年3月に裁判のやり直しが決まった元プロボクサー袴田巌さん(87)の再審公判が27日、静岡地裁(国井恒志裁判長)で始まる。死刑囚の再審は5例目。先の4例は全て無罪が確定している。

 弁護団は、再審公判について「第一の目的は速やかな無罪判決。そして、裁かれるべきは警察、検察の捜査・公判活動の過ちだ。裁く側の裁判所も裁かれる立場にある」と位置づける。
 捜査機関の証拠捏造(ねつぞう)によって袴田さんは犯人に仕立て上げられたと弁護団が主張する一方、検察側は改めて有罪を立証する。再審請求審と同様、真っ向から対立する構図。事件発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクで見つかり、確定判決が袴田さんの「犯行着衣」と認定した血染めのシャツやズボンなど「5点の衣類」が最大の争点となる見通しだ。
 袴田さんは心神喪失の状態にあるとして、地裁は刑事訴訟法の規定に基づき、再審公判への出廷免除を認めている。袴田さんに代わり、姉ひで子さん(90)が補佐人の立場で出廷する。
 弁護団によると、地裁は当初、年度内の結審を目指す意向を示していた。しかし、想定より書証などの取り調べに時間がかかる見込み。結審は来年度にずれ込む可能性が高まっている。
 袴田さんは1980年に最高裁で死刑が確定した。第2次再審請求審で静岡地裁は2014年、再審開始と死刑・拘置の執行停止を決め、袴田さんは約48年ぶりに釈放された。東京高裁が23年3月、検察側の即時抗告を棄却し、再審開始が確定した。同4月から、再審公判に向けた法曹3者の事前協議が行われてきた。

傍聴整理券の配布 午前8時半~9時
 袴田巌さんの再審初公判は27日午前11時、静岡市葵区の静岡地裁で開廷する。地裁は、同8時半(予定)から9時までに並んだ傍聴希望者に整理券を配る。多数に上るとみられるため、地裁は公共交通機関で来庁するよう呼びかけている。
 傍聴整理券は、抽選の当選者本人しか傍聴できないリストバンド型。抽選結果は午前9時45分以降、地裁のホームページと地裁前の駿府城公園で発表するとしている。
 死刑囚の再審は1989年に静岡地裁で無罪判決が言い渡された「島田事件」以来。同事件の再審初公判でも傍聴整理券を求める人たちの長い行列ができた。

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