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旧優生保護法の強制不妊訴訟 浜松の武藤さん「間違った法律 国は認めて」

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、視覚障害のある武藤千重子さん(74)=浜松市東区=が国に損害賠償を求めた静岡地裁浜松支部の訴訟は4日、本人尋問を行った。法廷で初めて証言した武藤さんは「障害者だから産めないなんて世の中はおかしい。法律が間違っていたということを国はきちんと認めてほしい」と強調した。

本人尋問の終了後、記者会見で「言いたいことは伝えられた」と語った武藤千重子さん(左)=4日午後、浜松市中区
本人尋問の終了後、記者会見で「言いたいことは伝えられた」と語った武藤千重子さん(左)=4日午後、浜松市中区

 盲導犬を伴って出廷した武藤さん。77年に28歳で第2子を出産した日、入院していた産婦人科の婦長から「(目の悪さが)遺伝したらあなたに育てられるの。3人目は産まないでしょ」と手術を迫られたと証言。既に同意書が用意されていて、翌日に手術を受けた。「目のことを言われたら反論できません」と当時を振り返る一方、「あの時なぜ断れなかったのかとの思いがある」と、いまだに後悔の念を抱えていると明らかにした。
裁判を通じて国に伝えたいことを問われると、「私はちょっとした勇気があったから訴訟を起こせた。法律すら知らない人、裁判をできない人がまだたくさんいることを知ってほしい」と訴えた。
 公判後に浜松市中区で記者会見した武藤さんは「緊張で頭が真っ白になってしまったが、それなりに言いたいことは伝えられたと思う」と語った。弁護団の河野正弁護士は「あれだけ話せたというのは、認識が鮮明な証拠。裁判官に武藤さんの思いは真っすぐ伝わったはず」とねぎらった。
 次回期日は12月25日。最終の準備書面を提出するなどして結審する予定。弁護団によると、年度内にも判決が出る見通しという。
(浜松総局 岩下勝哉)

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