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富士の39歳男、殺人罪で起訴 不起訴不当議決から一転 21年5月、自宅で男性殺害

 2021年5月に富士市の自宅で男性を殺害したとして、静岡地検沼津支部は13日までに、殺人罪で同市の受刑者の男(39)=覚醒剤取締法違反と公務執行妨害の罪で服役中=を静岡地裁沼津支部に起訴した。地検沼津支部は22年1月に殺人容疑を不起訴処分としたが、沼津検察審査会が10月、「不起訴不当」と議決し再捜査していた。
 茂木善樹支部長は「検察審査会の議決を真摯(しんし)に受け止めて、法に照らして責任能力が認められると判断した」と理由を明らかにした。起訴は12日付。
 起訴状などによると、被告は21年5月22日午前1時5分ごろから午前5時50分ごろの間に、自宅で男性=当時(37)=の頭や顔、胸などを金属バットで複数回殴り、殺害したとされる。
 地検沼津支部は送致後、約4カ月間にわたり鑑定留置を実施。殺人事件が起きたとされる日の前後で覚醒剤を使用したとして覚醒剤取締法違反の罪で起訴し、殺人容疑については不起訴とした。当時、地検沼津支部は覚醒剤の影響で責任能力がないなどと被害者遺族に理由を説明したという。遺族は処分を不服として22年2月、検審に審査を申し立てた。被告は覚醒剤取締法違反の公判で、殺人を認める発言をしていた。
 地検沼津支部は精神鑑定の結果については答えられないとしている。茂木支部長は「誤った判断をしたとは思っていないが前回と異なる判断をしたのは間違いない」とコメントした。
 遺族の男性は取材に対し「起訴の結果にはほっとしているが、事件からの2年間はあまりにも長かった。本人が公判で殺害を認めた以上、責任能力が認められるのは自然だ。責任能力ありと覆した根拠を説明してほしい」と話した。

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