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法改正、市民の力が国会動かす 再審開始など決めた元地裁裁判長・村山浩昭弁護士 袴田さん再審初公判

 袴田巌さんの再審を社会はどう受け止めるべきか。2014年に静岡地裁の裁判長として袴田さんの再審開始と死刑・拘置の執行停止を決めた村山浩昭弁護士に尋ねた。

再審法を改正するためには「国会を動かすことが重要」と強調する村山浩昭弁護士=21日、那覇市
再審法を改正するためには「国会を動かすことが重要」と強調する村山浩昭弁護士=21日、那覇市

 ―再審公判が始まり、再審法制そのものへの関心も高まっている。
 「近年、再審開始決定が出たり取り消されたりする中、社会的にクローズアップされてきた。でも、救済されるべき事件は今起こったのではなく、当事者にとっては、ずっと存在していたという認識が正しい」
 ―1980年代に死刑囚の再審無罪が4例続いた。当時も再審法の改正を求める声が上がっていたが、なぜ実現しなかったのか。
 「当時は刑事関係の法改正がほとんど行われていない時代だった。再審は例外的な現象であり、かつ、古い事件で今は発生しえないだろうと思われていた。最高裁による75年の『白鳥決定』で(再審開始の)基準自体は下がった。その頃の検察はおおらかに証拠を開示していたので、法改正ではなく運用で対応できると考えられていたのかもしれない。ところが検察はその後、法律に規定がないことを盾に取り、すぐには証拠開示に応じなくなった」
 ―法務省は犯罪被害者の支援に熱心だが、冤罪(えんざい)被害者の救済には積極的とは言いがたい。再審法の改正実現には何が必要か。
 「警察、検察、法務省は被害者を守るのは自分たちだと考えているが、その場合は加害者が別にいる。しかし、冤罪となると自分たちが加害者であり、認めたがらない。法務省が再審法改正に力を入れない中、やはり最終的には立法機関である国会を動かすことが重要になる。国会議員の方々に改革の必要性を痛感してもらうためにも、選挙民である市民の皆さんに声を上げていただきたいと思う」

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