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沼津の女子大生刺殺 検察、被告の無期懲役求める 控訴審初公判

 沼津市西浦久連で2020年6月、大学生の女性=当時(19)=を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われ、一審の静岡地裁沼津支部の裁判員裁判で懲役20年の判決を受けた被告の男(22)=住所不定、無職=の控訴審初公判が10日、東京高裁(安東章裁判長)で開かれた。一審判決を量刑不当としていた検察側は再び無期懲役を求め、即日結審した。判決は3月15日。
 検察側は控訴趣意書で、ストーカー殺人類型の裁判例を示し、同類型の量刑傾向などを踏まえれば、無期懲役が相当と主張。弁護側は答弁書で「ストーカー殺人に限定したくくりではなく、行為の危険性や結果の重大性などで判断すべき」と一審判決を支持し、控訴棄却を求めた。検察側が請求した女性の父親の証人尋問と、弁護側請求の被告人質問も行われた。
 一審判決によると、被告は20年6月27日午後、沼津市内で女性の腹を包丁で突き刺した上、逃げる女性を路上に転倒させ首や背中などを複数回刺して殺害。事件前にはLINE(ライン)などでメッセージを多数回送信した。検察側は21年7月の一審判決を不服として控訴していた。

 ■被告「罪償う」
 大学生の女性=当時(19)=が刺殺された事件で、殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われ、一審で実刑判決を受けた同級生の藍被告(22)が10日、東京高裁で開かれた控訴審初公判で約1年7カ月ぶりに法廷に姿を現し、「罪を償っていく」と再び謝罪を口にした。
 一審と同様、黒色のジャケットにズボン、丸刈りで入廷した被告は、遺族側の席に深く一礼し、ゆっくりとした足取りで被告人席に着座した。
 証人尋問で出廷した女性の父親は「弁護側が求めた懲役22年よりも低い一審判決は、到底納得できない。裁判員制度の目的である国民感情がこもっていない」と吐露。「未来の無念を晴らすためにも厳罰を望んでいる」と声を震わせながら訴えた。
 証人尋問の間、表情を崩さずやりとりをじっと聞いた被告。被告人質問で弁護人から一審判決の受け止めを問われると、「どのような判決でも受けようと思った。それは今も変わっていない」とはっきりと答えた。

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