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「積極的な有罪立証困難」 袴田さん支援集会、弁護団が検察けん制

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定し、3月に裁判のやり直しが決まった袴田巌さん(87)の支援集会が25日、同区内で開かれた。検察側が再審公判での主張・立証方針を7月10日までに明らかにするとしている中、弁護団の一員で元裁判官の水野智幸弁護士は「新たな証拠を出す形での積極的な有罪立証はできないだろう」とけん制した。

来場者からの質問に答える水野智幸弁護士=25日午後、静岡市清水区内
来場者からの質問に答える水野智幸弁護士=25日午後、静岡市清水区内

 事件から1年2カ月後にみそタンクで見つかり、袴田さんの犯行着衣とされた「5点の衣類」を巡り、再審開始を認めた東京高裁決定は、長期間みそ漬けの血痕に赤みは残らないとした弁護団の鑑定を評価した。
 水野弁護士は集会で、4月に始まった静岡地裁、地検との協議の経過を報告した。再審公判では検察側に立証責任があるとし、血痕に「赤みが残る可能性がある」というレベルでは「責任を満たすほどの立証ではない」と指摘。その上で、証拠の捏造(ねつぞう)可能性を高裁などに指摘されたことへの抵抗として「再審請求審の証拠を公判になるべく出させないようにするという消極的な有罪立証はあり得る」と見通した。
 地裁については「傍聴人が法廷で見て聞いて分かる裁判をしようとしていると思う。注目されているからこそどちらか片方に偏したと批判されないよう、公判で証拠を見るまでは心証を採らないという強い意志を感じる」と説明。捜査機関による証拠捏造の認定を得るために「弁護団はきちんとしたプレゼンをしなければならない」と自戒した。
 集会は袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会が開いた。袴田さんの姉ひで子さん(90)は「(袴田さんが収監されていた)48年の歳月が無駄にならないよう、せめて再審法を改めていただきたい」と訴えた。

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