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くり小刀、雨がっぱ…実物証拠、何語る 袴田さん再審第2回、弁護団が展示 見入る傍聴者

 実物は何を語るのか―。静岡地裁で10日に開かれた袴田巌さん(87)の再審第2回公判で、弁護団は確定判決で凶器とされた「くり小刀」や事件現場に落ちていた雨がっぱなどを展示した。事件の鍵を握るとされる重要な証拠の数々。傍聴者は身を乗り出すようにして、柵の向こうの実物やモニターに見入った。

確定判決で凶器とされたくり小刀。10日の再審第2回公判で実物が展示された(弁護団提供、写真の一部を加工しています)
確定判決で凶器とされたくり小刀。10日の再審第2回公判で実物が展示された(弁護団提供、写真の一部を加工しています)


 みそ製造会社の専務一家4人の殺害に使われたとされる「凶器」が法廷に現れたのは同日午後1時半ごろ。弁護団の田中薫弁護士がガラスケースに入ったくり小刀を検察官から受け取り、証言台隣の投影機に慎重に据えた。約12センチの刀身はさび付いていた。
 他に展示した実物は、雨がっぱのポケットから発見されたとされるくり小刀のさや、十文字に縄が掛けられた石油缶、確定判決で袴田さんが犯行時に履いていたと認定されたゴム草履。放火のため混合油を入れて運んだとされる「ポリ樽(だる)」は同様の複製品を展示した。袴田さんが犯行を「自白」した1966年9月6日の取り調べの録音テープの一部も再生し、犯行経路を巡る警察官と袴田さんの当時のやりとりが法廷に流れた。
 田中弁護士は冒頭陳述で、ゴム草履について「血も油もどちらも付着していなかった」と指摘。刃渡りの短いくり小刀も4人を殺害した凶器になりえないと主張した。
 角替清美弁護士は閉廷後の記者会見で、「検事が有罪(立証)のために集めた証拠から無罪方向の証拠を探すのが大変だった」と明かした。「写真では大きさの感覚は伝わらない。証拠物はじっくりと見ていただける形で展示したい」と語った。

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