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恒大集団に清算命令 外貨建て債務巡り香港高裁 中国本土への影響 焦点に

 【香港共同】経営再建中の中国の不動産大手、中国恒大集団の外貨建て債務を巡り、香港高等法院(高裁)は29日、恒大に「清算命令」を出した。高度の自治を認める「一国二制度」の下で香港の司法は基本的に中国本土の司法体系とは切り離されており、高裁の決定が恒大の中国本土での事業にどの程度影響が及ぶかが今後の焦点になる。

中国恒大集団のロゴ=2021年9月、中国・深セン市(ロイター=共同)※深センのセンは土ヘンに川
中国恒大集団のロゴ=2021年9月、中国・深セン市(ロイター=共同)※深センのセンは土ヘンに川
中国恒大集団を巡る動き
中国恒大集団を巡る動き
中国恒大集団のロゴ=2021年9月、中国・深セン市(ロイター=共同)※深センのセンは土ヘンに川
中国恒大集団を巡る動き

 恒大の経営危機を皮切りに中国では不動産市況が低迷し経済全体の足かせとなっている。代金支払い後も住宅の引き渡しがない事例が多発しており、清算決定により消費者の購買意欲がさらに減退する可能性もありそうだ。
 恒大は資産のほとんどを中国本土に保有している。中国メディアによると、専門家は清算命令は恒大の本土での主要な業務に実質的な影響を及ぼさないとの見方を示した。恒大の肖恩最高経営責任者(CEO)も同様の見解を示し「恒大は本土事業と経営の安定に努力を尽くし、(支払い済みの)住宅の引き渡しを進める」と述べた。
 恒大は昨年6月末時点で2兆3882億元(約49兆円)の負債を抱え、本拠を置く広東省政府の指導で再建を進めている。外貨建ての債権者の一部が2022年6月に香港で清算を申し立てた。
 香港メディアによると、恒大は債務の一部を恒大の上場子会社2社の株式と交換することなどを債権者に提案した。高裁は昨年12月の審理で、提案の詳細な内容を提示して債権者の支持を得るなど債務再編の実質的な進展を恒大に求めた。しかし恒大は実効性のある再編案を提出できず、高裁は29日、恒大側の審理延長の訴えを退けた。この日は管財人も任命した。
 香港証券取引所は29日、恒大と傘下の2社の株式取引を停止したと発表した。

 中国恒大集団 不動産開発大手。中国広東省で1996年に許家印氏が創業した。中国の経済成長に伴って住宅事業を拡大し、傘下に電気自動車(EV)メーカーを持つなど多角化も進めた。不動産業界の過剰債務を懸念した中国政府は2020年、不動産企業への融資規制を発表。恒大は過剰な開発投資があだとなり、21年に部分的なデフォルト(債務不履行)と認定された。
 (共同)

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