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記者コラム「清流」 裁判官のフォロー光る

 裁判員裁判では、裁判員から被告人や証人に質問する機会がある。とはいえ裁判になじみのない市民にとって、法廷の一番高い場所から発言するのは勇気がいるだろう。積極的な質疑と応答を繰り返す裁判員は少ない印象を持つ。
 静岡地裁浜松支部で開かれた裁判員裁判で、裁判員の質問に対する証人の回答がかみ合わない場面があった。裁判員はどうしようか悩んでいる様子だったが、そのまま質問を終えた。裁判官が言葉を変えて尋ね直すことで別の回答を引き出すと、その裁判員は満足そうにうなずいた。
 質問の意図を正確に伝えたり、求めている回答を引き出したりするのには技術や経験が必要だ。市民感覚を司法判断に生かす裁判員裁判の目的に照らして、プロの裁判官の適切なフォローが光った瞬間だった。
(浜松総局・岩下勝哉)

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