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山下市議提訴方針 沼津市議会6会派が理解示す

 沼津市が7日、自宅隣接地の市有地を有料駐車場として貸し出していたとして山下富美子市議(70)=5期、未来の風=に不当利得の返還を求めて提訴する方針を受け、市議会7会派のうち、6会派の代表は市の方針に理解を示した。また、所管の建設水道委員会や本会議での議案審議の中で、市に丁寧な説明を求めるとの姿勢も強調した。

沼津市が不当利得の返還を求め、山下市議を提訴する方針を示した市議会議会運営委員会=沼津市議会
沼津市が不当利得の返還を求め、山下市議を提訴する方針を示した市議会議会運営委員会=沼津市議会

 最大会派の沼津志帥会(植松恭一代表)と志政会(浅原和美代表)は、共に提訴に賛成の立場。植松代表は「放置すれば、市民から議員に忖度(そんたく)しているのかと疑念を持たれる」、浅原代表は「発覚後、速やかに返還すべきだった。ただ、市も長年放置していてしっかりと審議したい」と述べた。
 市民クラブの梶泰久代表も司法の場で明確にする必要があるとし、「交渉の経緯はわれわれも分からない」とし、審議の中で市に詳しい経緯の説明を求めるとした。公明党の長田吉信代表は「市が議員を提訴するのは前代未聞。そこまで至る前に、山下氏が自ら証拠を示して積極的に説明すべきだった」と指摘した。
 虹の会の大場豪文代表と共産党市議団の川口慶代表は提訴はやむを得ないとしつつ、それぞれ「市側にも落ち度があり、双方歩み寄れれば良かった」、「当事者間で和解し、できれば裁判を避けるべき」と提訴されても極力和解の方向に進むことを望んだ。
 山下氏が所属する未来の風の江本浩二代表は「利得の返還を求めるにしても、丁寧に積算して手続きを踏むべき」とし、議案には反対するとした。
 (東部総局・尾藤旭)

 記者の目=丁寧な説明と議論不可欠
 沼津市が、現職市議の山下富美子氏を提訴することを決めた。選挙で負託を受けた政治家の出処進退につながりかねない厳しい決断と言える。市は熟考した上での結論とされるが、きちんとした説明を求めたい。議案を審議して最終判断する議会としても、一層の丁寧な議論が不可欠だ。
 市と山下氏側の調整は昨年来続いていたが難航。一方で、市は長引いてしまうことへの市民感情を考え、裁判という公開の場で決着を図ることにした。今後は所管委員会と本会議で意見を交わすことになるが、議員間で温度差やさまざまな受け止めがある。異例の展開だけに、この問題が明らかになった際、昨年10月に開いた議員全体会を実施するなど議論の機会を増やしてはどうか。
 市も提訴までの経過や判断材料などできる限りの情報を公開し、市民に理解を得る努力が欠かせない。
 (東部総局・高橋和之)

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