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熱海土石流 他文書も不鮮明加工か 静岡県「白黒コピーの結果」

 熱海市伊豆山で盛り土が崩落して28人が死亡した土石流を巡り、情報公開条例に基づき県が開示した行政対応文書が不鮮明に加工されていた問題で、これまでに加工が判明していた2007年4月の文書(A283)以外にも複数の開示文書が不鮮明に加工された疑いがあることが29日までの取材で分かった。土石流起点の分水嶺(れい)付近で03年に明らかになった無許可開発の写真を掲載した文書などで、黒く塗りつぶされて何が写っているか読み取れない状態の文書が21年10月に開示されていた。

県が2021年10月に開示した文書。写真部分が黒く塗りつぶされたようになっていて、何が写っているのかよく分からない
県が2021年10月に開示した文書。写真部分が黒く塗りつぶされたようになっていて、何が写っているのかよく分からない
記者が元のカラー文書を白黒コピー機で3回複製した文書。不鮮明になるが、何が写っているのか判読はできる
記者が元のカラー文書を白黒コピー機で3回複製した文書。不鮮明になるが、何が写っているのか判読はできる
県が2021年10月に開示した文書。写真部分が黒く塗りつぶされたようになっていて、何が写っているのかよく分からない
記者が元のカラー文書を白黒コピー機で3回複製した文書。不鮮明になるが、何が写っているのか判読はできる

 県は白黒コピーした結果、判読できなくなったと主張しているが、再現して確認していないという。静岡新聞社が元のカラー文書を通常のコピー機で複数回、白黒コピーしても、読み取れない状態にはならなかった。何らかの方法で画像処理した可能性がある。
 不鮮明加工の疑いが判明した文書(D55)は03年3月に作成された。都市計画法に基づく県の許可を得ず逢初(あいぞめ)川と鳴沢川の上流域を開発したとして業者に工事停止命令を出した区域で県職員が撮影した写真が掲載されていた。他にもD141やE13などの通し番号が付いた開示文書の写真が、黒く塗りつぶされたような状態で判読できなくなっていた。
 いずれの文書も21年10月に県がホームページに公表していたが、行政対応検証委員会(第三者委員会)に提出されなかったため検証されず、遺族や被災者が県などを相手に起こした損害賠償請求訴訟で県が静岡地裁沼津支部に提出した資料にも含まれていなかった。元の文書はカラーで保管され、本紙が今年4月に問題を指摘した後、県がHPに順次公表したが、裁判所には未提出になっている。
 文書の開示作業を担った法務課の森隆史課長は5月29日の知事定例記者会見に同席した際、白黒化して判読できなくなった理由を問われ、カラーコピー機ではなく白黒コピー機を使ったためだと説明。「どこかの段階で結果として判読できなくなったが、どの段階かは分からない」と述べていた。また、川勝平太知事は6月27日の記者会見で、文書がどのように加工されたのか調査を継続する意向を明らかにした。

 

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