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電力カルテルで改善命令 中電子会社など5社 経産省

 経済産業省は14日、大手電力4グループが電力販売でカルテルを結んだとされる問題で、中部電力の小売子会社、関西電力、中国電力、九州電力、九電の小売子会社の5社に電気事業法に基づく業務改善命令を出した。大手電力で不正が相次ぐ中、電力自由化に背く行為として事態を重く見た。再発防止と法令順守徹底に向け、各社に8月10日までに改善計画の報告を求めた。

記者会見する電気事業連合会会長の池辺和弘・九電社長=14日午後、東京都千代田区
記者会見する電気事業連合会会長の池辺和弘・九電社長=14日午後、東京都千代田区
電力カルテルを巡る構図
電力カルテルを巡る構図
記者会見する電気事業連合会会長の池辺和弘・九電社長=14日午後、東京都千代田区
電力カルテルを巡る構図


 中電の小売子会社は中部電力ミライズ、九電の小売子会社は九電みらいエナジー。大手電力に改善命令が出るのは、ライバル会社の顧客情報の不正閲覧問題に続き、今年2回目となった。大手電力への改善命令が相次ぐ異例の事態で、実効性のある再発防止策の策定が急務となる。
 松野博一官房長官は14日の記者会見で「電力システム改革の趣旨に反するものでもあり、極めて遺憾だ」と述べた。
 経産省は公正取引委員会が独禁法違反を認定したことで、電気事業の健全な発達に対する信頼を損なったと問題視した。経産省としてカルテルがあったかどうかは認定していないが、営業上重要な情報に関するやりとりを確認した。営業方針に関する情報交換をしないよう要請し、社外の視点から改善計画の実施状況を評価する仕組みや、他社との接触ルールの整備を要求した。
 九電の池辺和弘社長は14日、会長を務める電気事業連合会の定例記者会見で「疑いを受けること自体非常に良くないことだ。しっかりと対応していきたい」と述べた。
 関電は「再発防止策の徹底と組織風土改革に全力で取り組む」などとするコメントを出した。
 カルテルを巡っては、公取委が3月、事業者向けの電力販売などで顧客獲得競争を制限したとして、独禁法違反を認定。自主的に違反を申告した関電を除く中電、中国電、九電の3グループに対し、総額約1010億円の課徴金納付命令を出した。独禁法違反とは別に、経産省は今回、電気事業法に基づき、関電を含め改善命令を出した。

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中電「適切に対応」
 中部電力の小売子会社の中部電力ミライズは14日、電力販売でカルテルを結んだとされる問題で経済産業省から業務改善命令を受けたことに対し「内容を精査し、適切に対応する」とのコメントを発表した。同様に改善命令を受けた他の3電力とは異なり、謝罪はしなかった。
 中電はカルテル問題を巡り、課徴金納付命令を出した公正取引委員会の決定が不服だとして、取り消しを求め東京地裁に提訴する方針を発表している。

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