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2011年に違法性認識 熱海市と静岡県、「第三の盛り土」公文書記載 非公表説明と矛盾

 熱海市伊豆山の大規模土石流起点近くに残されている「第三の盛り土」が「不適切盛り土」として公表されていなかった問題で、市と県が2011年に盛り土造成の違法性を認識し、行政処分を検討していたことが15日、市や県の当時の公文書の記載で分かった。違法性を認識していなかったために公表しなかったとする市や県の説明と矛盾が生じている。

熱海市伊豆山の「第三の盛り土」造成の経緯
熱海市伊豆山の「第三の盛り土」造成の経緯

 公文書によると、「第三の盛り土」の造成地は、神奈川県小田原市の開発業者が都市計画法と森林法の許可を受けていたが、09年10月に工期が切れた。その後、切り土の計画地を盛り土したり、大量のダンプが廃棄物交じりの残土を運び込んだりして、市と県は計画通りに施工されていないことを認識。擁壁も崩れていたが、業者はリーマン・ショックで経営状況が悪化して連絡が取れなくなっていた。
 盛り土の転圧や防災施設の不適正などの問題を踏まえて、市と県は11年3月に対応を協議し、業者と連絡が取れなくても関係法令に基づいて命令(行政処分)を行っていく方針を確認。法令違反を前提に、想定される今後の対応の流れを記した図も作っていた。
 県内の「不適切盛り土」の公表に当たっては①必要な手続きがされていない②計画と異なる内容で造成されている③崩壊等の変状が発生している―のどれか一つ当てはまれば公表対象として報告するよう、県盛土対策課が市町や県の関係部局に求めていた。
 市と県は当初、「第三の盛り土」の非公表理由を「現状で違法性が認識できていない」などと説明していたが、15日の取材に対して市は「開発途中の盛り土なので公表の対象外だと市独自に判断した」と述べ、県は「業者が解散して長期間、現地を確認できていなかった」と話した。(社会部・大橋弘典)

 【図表】熱海市伊豆山の「第三の盛り土」造成の経緯

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