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真相究明の進展期待 遺族ら提訴「行政不作為問う」 熱海土石流

 災害関連死を含め27人が死亡し、1人が行方不明になっている熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、国家賠償法に基づき市と県に約64億円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁沼津支部に起こした遺族ら原告団は5日、沼津市内で記者会見を開いた。土石流の起点となった土地の新旧所有者らを相手取った先行訴訟と併合して審理される見通しで、原告団は「真相究明が進むことを期待し、責任を追及していく」と強調した。

提訴後の記者会見で熱海市と県の不作為を訴える遺族ら原告団=5日、沼津市内
提訴後の記者会見で熱海市と県の不作為を訴える遺族ら原告団=5日、沼津市内

 遺族と被災者ら110人と3法人が原告に名を連ねた。元都庁職員でもある代理人の加藤博太郎弁護士は「まさに今回、行政庁の事なかれ主義が出てしまったと考える。危険性を認識しながら先送りした結果、甚大な被害を生じさせた組織的な過失がある」と指摘。「行政の不作為を問う裁判の試金石になる」とした。
 遺族や被災者らでつくる「被害者の会」の会長を務め、母親の陽子さん=当時(77)=を失った瀬下雄史さん(54)は「予見可能性があったが無視した。それが事実だと考えている」と主張。長女の西澤友紀さん=同(44)=を亡くした小磯洋子さん(72)は「なぜ避難指示を出さなかったのか。(住民に)盛り土があると知らせていなかったことも許せない」と述べ、市の対応を重ねて批判した。
 一方、土地の現所有者は6日、熱海市の斉藤栄市長を相手取って損害賠償請求訴訟を静岡地裁沼津支部に起こす。代理人の弁護士は取材に「被災者が県と市を訴えたことは良かったが、斉藤市長は含まれず、画竜点睛を欠いている。提訴はその穴を埋めるため。当事者がそろうことになり、本当の意味で真実の究明ができる」と狙いを説明した。

 ■知事「誠実に対応」
 熱海市伊豆山の大規模土石流災害の遺族、被災者らが5日に同市と県を相手に損害賠償請求訴訟を静岡地裁沼津支部に起こしたことを受け、川勝平太知事は同日、「ご遺族、被害者の皆様のお気持ちを真摯(しんし)に受け止め、誠実かつ適切に対応していく」とのコメントを発表した。
 県の主張内容については「訴状が届いていないため、今後検討していく」との表現にとどめた。

 ■熱海市長「復興 全力尽くす」
 熱海市伊豆山の大規模土石流の遺族らによる損害賠償請求の提訴を受け、斉藤栄市長は5日、「訴状が届き次第、市としての対応については検討していくことになるが、引き続き伊豆山の復旧復興に全力を尽くしていきたい」とのコメントを発表した。

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