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特集 : 熱海土石流災害

砂防規制放置問題 静岡県担当者の確認記録なし 開発初期の2007年頃 上流域では伐採、山肌露出

 熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、残土投棄を制限する砂防法の規制が長年放置されていた問題で、砂防ダム上流域で開発が始まった2007年頃、静岡県の砂防担当者がダム上流域の状況を確認した記録がないことが21日までの県への取材で分かった。

隣接流域と一体的に開発された逢初川上流域。砂防ダム上流の急斜面に開発が及んでいた=2007年6月、熱海市伊豆山(スタジオ千夢提供)
隣接流域と一体的に開発された逢初川上流域。砂防ダム上流の急斜面に開発が及んでいた=2007年6月、熱海市伊豆山(スタジオ千夢提供)
隣接流域と一体的に開発された逢初川上流域。砂防ダム上流の急斜面に開発が及んでいた=2007年6月、熱海市伊豆山(スタジオ千夢提供)

 国はダム上流域に開発が及ぶ場合、規制区域「砂防指定地」の早急な追加申請を求めている。県は山腹の状況を勘案して上流全体の規制を進めると国に説明していたが、説明通りの対応をしていなかった疑いが強まった。
 県は1998年、砂防ダムの設置に当たり、土石流危険渓流の逢初川は基準に該当するとして国から上流全体の指定を求められた。ただ、土地所有者の同意が得られず、当面の指定申請をダム付近に限定。山腹状況や土地所有者との協議を勘案して上流全体の指定を今後進める旨を国に回答した。上流域は98年時点で開発されていなかった。
 静岡新聞社が新たに入手した07年6月の航空写真によると、盛り土崩落部北側の鳴沢川上流域で宅地が造成される一方、一体的な開発行為が逢初川上流域にも及び、森林が伐採されて山肌が露出していた。
 当時は土地を所有していた神奈川県小田原市の不動産管理会社「新幹線ビルディング」が開発を進めていた。県が開発状況を確認して、土地所有者の同意にこだわらず上流全体を指定申請していれば、土石流の原因になった急斜面への残土搬入は規制された。
 県砂防課は取材に「開発状況の報告は本庁の砂防課に上がっていなかった。記録も残っていない。当時の熱海土木事務所の砂防担当職員が把握していたかどうかは、ヒアリングしていないので分からない」と答えた。

指定基準説明せず 県見解「瑕疵ない」

 県行政対応検証委員会(委員長・青島伸雄弁護士)は、国が土石流危険渓流や開発区域を砂防指定地に指定するよう都道府県に求めていたという説明を受けないまま、検証委の報告書で県の対応に法的な問題はないとしていた。
 議事録によると、県や事務局から、国が1989年に示した砂防指定地の指定基準について説明がなく、逢初川のような急傾斜が続く土石流危険渓流を指定申請するよう国から何度も促されていたことにも触れていない。
 当時の事務局の担当者は第3回会合で、開発行為と砂防指定地の関係について「(開発が)区域を外れていたら、もう行政としては(砂防法の)規制がかけられない」とし、開発が及ぶ場合に早急な指定申請を求める国の方針とは異なる内容を説明。青島委員長は最終会合で、土地所有者の私権を制限する可能性があるので県が指定申請できなかったとし「県の対応は問題ない」と見解を示した。
 検証委の報告書は開発初期に関し「不作為や法令等から逸脱した対応は見られなかった」と記載。県は報告書を踏まえて「法令に基づく対応としては瑕疵(かし)はなかった」と結論付けた。

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