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熱海土石流「情報共有で防げた可能性」 静岡県内部検証 砂防法対応、検討余地も

 熱海市伊豆山で2021年7月に盛り土が崩落し、28人が死亡した大規模土石流の行政対応を巡り、県は13日、県庁で記者会見を開き、県議会の要請を受けて実施した県所管6法令の内部検証について説明した。検証を担当した内藤信一総務局長は、砂防法の盛り土規制区域「砂防指定地」の追加指定に「検討の余地があった」とした上で、土石流起点付近の開発行為に関し「(職員間で)情報共有できていれば災害を防げたかもしれない」と述べた。
熱海土石流の内部検証報告書について説明する県の内藤信一総務局長(右端)=13日午後、県庁
 6法令は砂防法、森林法、土砂災害防止法、都市計画法、廃棄物処理法、県土採取等規制条例。
 第三者検証に続いて内部検証でも、砂防法の観点から検証されていない事実関係が多数あったことについては杉本敏彦砂防課長が「砂防法としての対応がなかったため」と説明した。
 09年11月の県熱海土木事務所の会合では幹部職員にも逢初川の濁りや上流部の開発行為の情報が共有されていた。杉本課長は「盛り土行為後、砂防法は法律不遡及の原則で対応できず、既に動いていた県土採取等規制条例で対応できると判断していた」と述べたが、当時、砂防法と土採取条例の目的や規制力などを比較して検討していない。
内部検証のポイント
 土採取条例に基づく盛り土の届け出など、07年以前の土石流起点付近の開発行為の計画が幹部職員に情報共有されたのかも内部検証で扱わなかったという。
 再発防止に関し、杉本課長は開発行為の計画段階で砂防部門以外の情報を共有する方法を検討する考えを示した。
 県は検証した6法令のうち、砂防法以外では、土採取条例も他県の状況を踏まえて「(厳罰化などの)改正の余地があった」と結論づけたが、他の4法令は土石流災害を防ぐ対応ができなかったとした。
 (社会部・大橋弘典)

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