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「03年土砂崩れ」不記載 静岡県内部検証の経過報告 熱海土石流

 熱海市伊豆山で盛り土が崩落して28人が死亡した大規模土石流を巡り、県は4日、県議会から求められていた行政対応の内部検証に関する経過報告書を各常任委員会に提出した。土石流の起点で2003年に発生し未検証だった「土砂崩れ」については内部検証の論点や項目として記載しなかった。幹部職員による内部検証の会合は7月以降、週1回ほど開いているが議事録はその都度作成されず、協議内容は経過報告書でも明かされなかった。
 経過報告書は、関係法令ごとに当時の行政対応を時系列に整理した上で「検証の論点」を記した。03年に逢初(あいぞめ)川源頭部に及んでいた無許可開発に関し、論点として「谷状の箇所に集められた倒木に適切に対応したか」を盛り込んだが「03年の土砂崩れ」は事実関係すら記載していなかった。廃棄物処理法の「木くず混じりの土砂に対する対応」は10年以降に検証対象が限定されていた。
 川勝平太知事は7月11日の記者会見で「真実の解明が不十分だと言われている所について、こうなっているという報告を申し上げたい」と述べていた。03年の土砂崩れ箇所は、その後に造成された盛り土の崩落が下流域の多くの住民を巻き込んだとみられる土石流最大波のきっかけになった可能性があり、遺族や被災者の関心も高い。
 担当する県総務局の清水大全参事は取材に「(行政文書の)写真の日付は5月だが、(発生の)時期を特定する情報がないので主な事実関係として記載しなかった。検証はしている」と説明している。

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