テーマ : 熱海土石流災害

ラーメンで復興支援 飲食店、熱海土石流被災の製麺所とコラボ まもなく発生2年 風化防げ

 熱海市伊豆山の大規模土石流の発生から7月3日で2年を迎えるのを前に、同市中央町の飲食店「アンドバルファクトリー」が、土石流で被災した同市の老舗「コマツ屋製麺」とのコラボメニュー「熱海復興夜鳴きラーメン」の販売を始めた。市内でも進みつつある災害の風化を食い止め、少しでも被災者の力になりたいとの思いを込めている。売り上げの一部は伊豆山の復興支援団体に寄付する。

熱海復興夜鳴きラーメンを手にする三浦渉代表(右)と中島秀人社長=熱海市中央町
熱海復興夜鳴きラーメンを手にする三浦渉代表(右)と中島秀人社長=熱海市中央町

 土石流が発生した2021年7月、開業に向けて準備していた同店。当時、市内のさまざまな飲食店が被災者や災害ボランティアなどに食事を提供する支援活動をしていた。三浦渉代表(39)は「自分も何かやりたいと思っていたが、できなかったことが心残りだった」と振り返る。
 一方、コマツ屋製麺の中島秀人社長(54)は避難生活を送りながら、クラウドファンディングで募った資金を活用して昨年7月に事業を再開。「復興の旗印になるようなソウルフードを作りたい」との思いで、市内の中華料理店「熱海美虎(みゆ)本店」と「熱海復興麺」を開発した。
 そんな中島さんの活動を知った三浦代表はすぐに自店でも復興麺を使ったメニューの開発に取りかかった。熱海らしさを前面に押し出そうと、魚介スープの材料に同市網代の削り節製造業「丸藤」のかつお節と昆布を使用。具材に同市銀座町の「小沢ひもの店」のノリ、伊豆山の青果店「キヨミ」のタマネギを取り入れた。
 三浦代表は「地元の材料を調和させたことで、みんなで伊豆山を応援しようという思いを込めた。被災者は今も苦境に立たされている。災害はまだ終わっていない」と強調した。
 食を通じて復興支援の機運を高める仲間が増えたことに、中島社長は「本当にありがたい。被災者は熱海市民の1%にも満たないほんの一握りの存在。当事者だけで復興するのは困難。誰もが復興に関われるように復興麺が広がっていってほしい」と話した。
 熱海復興夜鳴きラーメンは1杯900円。飲食店の営業は午後6時~午前2時(月曜定休)。土石流発生から2年となる7月3日は、限定50杯を100円で提供し、全額を復興支援団体「テンカラセン」に寄付する。

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