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98年「今後規制」方針、検証委で説明なし 逢初川の砂防規制放置【熱海土石流】

 熱海市伊豆山の大規模土石流で逢初(あいぞめ)川上流域の砂防法に基づく規制が放置されていた問題で、上流全体の規制について1998年に県が「今後進めていきたい」と国に方針を示していた経緯が、県の行政対応検証委員会で説明されていなかったことが、11日までに公表された議事録で分かった。重要な情報が行政対応の検証の俎上(そじょう)に載っておらず、検証委の報告書の信ぴょう性が問われそうだ。

最終会合後に記者会見する青島伸雄委員長(右から2人目)。砂防法の検証は「手が回らなかった」と説明した=5月、県庁
最終会合後に記者会見する青島伸雄委員長(右から2人目)。砂防法の検証は「手が回らなかった」と説明した=5月、県庁
逢初川上流域の砂防規制見送りの経緯
逢初川上流域の砂防規制見送りの経緯
最終会合後に記者会見する青島伸雄委員長(右から2人目)。砂防法の検証は「手が回らなかった」と説明した=5月、県庁
逢初川上流域の砂防規制見送りの経緯

 検証委は砂防法以外の関係法令に検証を重点化した。砂防法に関しては「問題意識を持たなかった。手が回らなかった」(委員長の青島伸雄弁護士)としてほとんど議論していないが、上流全体を規制しなかった県の対応を「妥当」と判断していた。
 議事録によると、砂防規制については第2回会合で難波喬司副知事(当時)、第3回会合で事務局員がそれぞれ説明。崩落した盛り土(積み上げた残土)部分が規制範囲に含まれていないことを繰り返し強調していた。
 県は98年の規制申請時に国から上流全体の規制を求められ、「今後進める」と国に回答していたが、県や事務局の説明はこれらのやりとりに触れず、配布資料にも記されていなかった。どちらの会合でも委員からの関連発言はなく、検証委は3月の中間報告で県の対応を「妥当」と結論付けた。
 5月の最終会合では熱海市の金井慎一郎副市長が「砂防法の地権者調整とエリアの安全性のどちらを優先するかという論点もあった」と問題提起したが、青島委員長が「(別の)検証委を作って(県の検証委の)報告書におかしいところがあれば指摘すれば良い」と述べて議論を引き取った。
 検証委の会合は非公開。5月の最終報告後に議事録と委員に配布した全ての資料を公表している。

 ■事務局が議論主導 検証委の独立性に疑念
 一部の報道で「第三者委員会」と呼ばれていた県行政対応検証委員会には、県議会から独立性や公平性を疑問視する声が上がっている。熱海市選出の唯一の県議、藤曲敬宏氏(自民改革会議)は、盛り土周辺の開発との関係や砂防法の検証が不十分だったのではないかと指摘している。
 県は検証委の報告を全面的に受け入れるとしながら「法的な瑕疵(かし)や不作為はなかった」と巧妙に責任回避を図っている。関係者によると、検証委は県職員OBが事務局員を務め、県の担当部署と頻繁にやりとりしていたという。
 藤曲氏は、検証委の議事録を踏まえ「ほとんど事務局員(県職員OB)が話をしている。委員が主体と言うより、事務局の論点整理を追認している」と事務局主導の議論だったと問題視する。他の県議からも「第三者委員会と言いながら、第三者性はない」と批判の声が上がっている。
(社会部・大橋弘典)

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